JP2005149819A - 偏向器、電極製造方法および該偏向器を用いた荷電粒子線露光装置 - Google Patents

偏向器、電極製造方法および該偏向器を用いた荷電粒子線露光装置 Download PDF

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Yasushi Koyama
泰史 小山
Haruto Ono
治人 小野
Futoshi Hirose
太 廣瀬
Kenji Tamamori
研爾 玉森
Akiyoshi Tanimoto
明佳 谷本
Takanori Aono
宇紀 青野
Osamu Kamimura
理 上村
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Abstract

【課題】 偏向電極の剥がれや脱落の発生を防止した、故障の少ない偏向器を提供する。また、この偏向器を用いることで、信頼性の高い荷電粒子線露光装置を提供する。
【解決手段】 基板501に形成された貫通孔513の側壁に配置された電極503a、503bを有する偏向器500において、
前記電極における、前記基板の上面および下面側の少なくとも一方の端部を延長して前記基板の上面および下面の少なくとも一方の面上に回り込ませて、前記電極の縦断面形状をL字状またはコの字状とする。
また、荷電粒子線露光装置のブランカーとして上記の偏向器を用いる。
【選択図】 図7

Description

本発明は、主に半導体集積回路等の微小デバイスの露光に用いられる電子ビーム露光装置やイオンビーム露光装置等の荷電粒子線露光装置に関し、特に、複数の荷電粒子線を用いてパターン描画を行う荷電粒子線露光装置においてブランカーまたは電子レンズを構成する偏向器およびその電極の製造方法に関するものである。
複数の荷電粒子線を用いてパターン描画を行う荷電粒子線露光装置として、例えば特許文献1および2ならびに非特許文献1に開示されているように、貫通孔を有する偏向器を複数配列したブランキングアパーチャアレイによって複数の電子ビームの照射を個別に制御する方法がある。また、特許文献3には、ブランキングアパーチャアレイの製造方法が開示されている。これらのブランキングアパーチャアレイでは、複数の偏向器を構成するそれぞれの偏向電極に電圧を印加するか否かをパターンデータに従って制御して所望のパターンをウエハ等に描画する。
図26は、特許文献2および非特許文献1に開示された荷電粒子線露光装置に用いられるブランキングアパーチャアレイの断面図である。ブランキングアパーチャアレイは貫通孔および偏向電極からなる偏向器をアレイ状に配列したものであり、複数の電子ビームの照射を個別に制御することができる。ここで、図中、51が貫通孔を、52、53が第1および第2のブランキング電極を、それぞれ示している。貫通孔51を通過した荷電粒子ビームをウエハのような試料上に照射する時には、第1および第2のブランキング電極52、53に接地電位の信号を印加し、遮断する時には、第1および第2のブランキング電極52、53に正負の電位の信号を同時に印加する。
また、特許文献2および非特許文献1には、ブランキングアパーチャアレイの製造方法として、シリコンなどの半導体結晶の基板に複数の貫通孔を所定間隔で2次元的に形成し、各貫通孔周囲に偏向電極対を形成することにより製造する方法が紹介されている。具体的には、Si基板の表面に、ブランキングアパーチャアレイに対応した凹部を形成し、各々の凹部に隣接して偏向電極をめっきにより形成した後、前記基板表面から、めっき下地として使われた導体層を除去し、その後で前記Si基板の裏面をウェットエッチングしてメンブレンを形成する。特に、特許文献2において、前記ウェットエッチングは、前記Si基板を、その裏面の一部を除き保護した状態で実行する。また、前記凹部が形成された部分では、前記ウェットエッチングを前記凹部の底面に達するまで行い、前記凹部を前記貫通孔とする。
図27は、特許文献3に開示されたブランキングアパーチャアレイの製造方法を示す。すなわち、この製造方法は、
(a)基板1011に第1開孔1012を形成する工程、
(b)第1開孔1012内に絶縁膜1013を形成する工程、
(c)第1開孔1012内に導電性材料1014を充填し電極1014Aを形成する工程、
(d)電極1014Aの間の基板材料を除去し第2開孔1011Aを形成する工程、および
(e)第2開孔1011A内側面に電極1014Aを露出する工程
を有する。
特許文献3(図27)によれば、
(a)基板に第1開孔を形成する工程、および
(d)電極の間の基板材料を除去し第2開孔を形成する工程
において、基板材料であるシリコンの加工には、加工の異方性や他材料との選択性に優れた反応性イオンエッチング(RIE)法が用いられている。これにより、より微細かつ集積化された偏向電極1014Aおよび電子線通過用貫通孔1011Aを備えたブランキングアパーチャアレイを作製することができ、より高精度により微細なパターンの露光を行うことが可能になる。
特開2000−164495号公報 特開平11−354418号公報 特許第2907221号公報 安田 洋:応用物理 69、1135(1994)
しかしながら、従来のブランキングアパーチャアレイ(BAA)は以下の問題点を有している。すなわち、
(1)印加電圧信号に対応した所望の偏向感度が得られない。
本発明者らの知見によると、これは、BAAを構成する偏向器の構造およびその製造方法に起因している。例えば、前記した特許文献3の製造方法では、対向する電極間の基板材料をRIE法により除去し、電子線通過用貫通孔内に対向する電極面を露出させる工程において、何らかの遮蔽物により、被エッチング面の一部に反応種が供給されず、基板材料が完全に除去されない場合がある。このため電子線通過用貫通孔内部に設けられた、対向する偏向電極の対向する電極面の一部もしくは全部が露出しておらず、電極面に必要な電位が発生しないため、貫通孔内部に必要な電界が発生せず、印加電圧信号に対応した所望の偏向感度が得られない。
(2)配線と偏向電極間の断線や、偏向電極の基板からの剥がれや脱落が発生する。
本発明者らの知見によると、これは、BAAを構成する偏向器の構造に起因している。例えば、前記した特許文献1および3の偏向器においては、偏向器の対向する偏向電極は、シリコン等の基板に設けられた貫通孔の周囲(側壁)に設けられるため、その構造上、貫通孔側面(側壁)と電極側面が接触する面における密着力により、基板上に固定される。そのため、基板と偏向電極の密着力が十分でないと、以下のような原因により、偏向電極と基板の微妙なズレによる配線と偏向電極間の断線や、偏向電極の基板からの剥がれや脱落が発生する。
イ.外力により電極が物理的に押し込まれる、
ロ.作製工程や電子ビーム照射で生じる急激な温度変化で、基板と電極材料の熱膨張率の違いに起因する基板と電極の剥がれおよび電極の熱変形が生じる。
(3)荷電粒子線の適切な偏向および位置制御が行われず、精度良くウエハを露光することが困難になる。
本発明者らの知見によると、これは、BAAを構成する偏向器の構造に起因している。特に、前記した特許文献2および非特許文献1の偏向器においては、偏向電極の付近に例えばシリコン酸化膜等の絶縁体が広範囲に露出している。そのため、荷電粒子線が照射された場合に、チャージアップを引き起こし、貫通孔を通過する荷電粒子線に影響を与える恐れがある。このため、荷電粒子線の適切な偏向および位置制御が行われず、精度良くウエハを露光することが困難になる可能性がある。
(4)特に、特許文献2および非特許文献1の偏向器は、作製方法が非常に複雑である。そのため、アレイ数の増加を試みた場合、多数のブランキングアパーチャアレイを精度および歩留まり良く作製することが難しい。
本発明は、上記した従来のBAAにおける課題を解決し、歩留まり良く製造でき、かつ故障が少なく、荷電粒子線を安定して制御することが可能なBAAの提供、およびBAAの簡易な製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の第1の局面に係る偏向器は、基板に形成された貫通孔の側壁に配置された互いに対向する少なくとも一対の電極面を有する偏向器であって、前記一対の電極面の少なくとも一方が前記基板の上面に実質垂直な方向に対して傾斜していることを特徴とする。
ここで、「実質垂直」とは、厳密に垂直な場合は勿論のこと、通常の製造方法や計測方法で生じる程度の誤差は容認することを意味する。すなわち、「実質垂直な方向に対して傾斜している」とは、通常の製造方法や計測方法で生じる誤差を超えて傾斜していることを意味している。また、本発明において、基板の上面および下面ならびに貫通孔の側壁とは、基板を実質水平に、したがって貫通孔を実質鉛直に配置した場合について表現したものである。但し、本発明を実施する際の基板の向きは任意である。
本発明の第2の局面に係る偏向器は、基板に形成された貫通孔の側壁に配置された互いに対向する少なくとも一対の電極面を有する偏向器であって、前記一対の電極面の間隔が、前記基板の上面または下面において最大であり、前記基板の下面または上面に行くに従い次第に狭くなっていることを特徴とする。
本発明の第3の局面に係る偏向器は、基板に形成された貫通孔の側壁に配置された電極を有する偏向器であって、前記電極は、前記基板の上面および下面側の少なくとも一方の端部を延長され前記基板の上面および下面の少なくとも一方の面上に回り込んでいることを特徴とする。
前記電極の延長部分は、電極そのものを長くして形成しても良く、また電極とは別の部材を電極の端部に接続することにより延長しても良い。特に、電極とは別の部材を電極の端部に接続する場合は、チタン等の接着性に優れた金属を介して接続すると、電極と延長部分とを機械的により堅固に接続することができる。また、配線は、この延長部分の上に別の導電層を積層して形成するとよい。
本発明の第4の局面に係る偏向器は、基板に形成された貫通孔の側壁に配置された互いに対向する電極面を有する偏向器であって、前記対向する電極面によって前記側壁の80%以上が覆われていることを特徴とする。
ここで、覆われている面積の割合は、前記対向する電極面の前記貫通孔内に露出している面積と前記対向する電極面の間から覗いている側壁の面積との割合を言う。すなわち、「側壁の電極面により覆われている割合が80%」とは、前記一対の電極面の前記貫通孔内に露出している面積が80%で、前記一対の電極面の間から露出している側壁の面積が残りの20%ということであり、チャージアップの防止の実効を図るために好ましい。因みに側壁の電極面により覆われている割合は、上記特許文献2および非特許文献1の偏向器ならびに特許文献1の図7の偏向器では0%である。また、特許文献1の図9の偏向器および特許文献3の偏向器ではいずれも50%以下である。なお、本発明において、側壁の電極面により覆われている割合は、チャージアップの防止の実効を更に図るためには、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。なお、対向する電極面は、1対であっても複数対であっても良い。
この第4の局面で、前記貫通孔は、前記基板の表面と平行な断面の形状が実質的に正方形または長方形であり、前記一対の電極面の少なくとも一方が、前記側壁の二面に渡ってL字状に配置されているか、または前記側壁の三面に渡ってコの字状に配置されていることが好ましい。ここで、実質的に長方形であるとは、通常の長方形である場合は勿論、長方形の1〜4隅がR状またはテーパー状に面取りされている場合、逆に切り込まれて長方形としては1〜4隅に外側に向かう凸部が設けられた形状になっている場合、あるいは1〜4辺が凹凸で変形している場合、さらには、1〜4辺が曲線で構成されている場合をも含むものである。
本発明によれば、簡易な方法で歩留まり良く製造でき、かつ故障が少なく、荷電粒子線を安定して制御することが可能なBAAを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態を列挙する。
[実施形態1](構造;荷電粒子線通過用貫通孔傾斜形状)
荷電粒子線を偏向する偏向器であって、
前記偏向器が、
基板と、
前記基板に設けられた少なくとも1対の対向する電極と、
前記対向する電極の対向する電極面を側面に持つ、前記基板に設けられた貫通孔と、
前記対向する電極の各々に電位を生じさせる手段とを有し、
前記対向する電極の前記対向する電極面が前記基板の上面と垂直または略垂直な方向に対して傾斜していることを特徴とする偏向器。
[実施形態2](構造;電極間幅)
前記対向する電極の前記対向する電極面の、前記対向する電極と垂直または略垂直でかつ前記基板の上面と平行または略平行な方向における幅が、前記基板の上面または下面において最大であり、前記基板の下面または上面に行くに従い次第に狭くなることを特徴とする偏向器。
上記実施形態1の構成のように、対向する電極の向かい合う電極面が、基板の上面と垂直または略垂直な方向に対して傾斜している構造、すなわち、貫通孔の側壁に電極を配置した状態で形成される荷電粒子線通過用開孔の側壁である前記電極面が傾斜した構造、および
上記実施形態2の構成のように、対向する電極の向かい合う電極面の、対向する電極と垂直または略垂直かつ基板の上面と平行または略平行な方向における幅が、基板の上面または下面において最大であり、基板の下面または上面に行くに従い次第に狭くなる構造
のうち、少なくとも一つを満たした構成の偏向器は、作製時の、対向する電極間の基板材料をRIE法により除去し、電子線通過用開孔内に対向する電極面を露出させる工程において、基板材料の被エッチング面は、エッチングの進行方向に対して、反応種(ラジカルとイオン)を遮蔽する部分がないため、基板材料は確実に除去される構造になっている。従って、その結果、対向する電極表面の一部が基板材料により被われて、電極表面が未露出になることを防止でき、電極間に荷電粒子線を偏向するために必要な電位差が生じ、印加電圧に対応した所望の偏向感度が得られる。このように、荷電粒子線を安定して制御することが可能なブランキングアパーチャアレイを、簡単な作製方法で提供することができる。
[実施形態3](構造;電極テーパー形状)
前記少なくとも1対の対向する電極の各々が、前記基板の上面と垂直または略垂直な方向にテーパー状であることを特徴とする実施形態1に記載の偏向器。
上記実施形態3のように、1対の対向する電極が、基板の上面と垂直または略垂直な方向にテーパー状である構造の偏向器を有するブランキングアパーチャ−アレイは、上記実施形態1および2の構造を全て満たしたブランキングアパーチャ−アレイである。したがって上記した理由により、電極表面が露出し、所望の偏向感度が得られる。また、基板材料のRIEの条件により、比較的容易に形成可能な構造である。なお、テーパー形状とは相対する面が対称的または略対称的に傾斜している形状のことである。
[実施形態4](構造;接点)
荷電粒子線を偏向する偏向器であって、
前記偏向器が、
基板と、
前記基板に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔側面に設けられた少なくとも1対の対向する電極と、
前記対向する電極の各々に電位を生じさせる手段とを有し、
前記電極の少なくとも一部が前記基板の上面および下面の少なくとも1面と接点を有することを特徴とする偏向器。
上記実施形態4のように、基板上の貫通孔側壁に設けられた電極が、基板の側面(貫通孔側壁面)以外に、基板の上面および下面の少なくとも1面と接触することで、接触面積が増えるため、基板と電極の密着力が高くなり、電極に対して基板の厚さ方向に働く外力や、急激な温度変化による電極の熱変形などに起因する、電極の剥がれや脱落等の故障を防止できる。したがって、荷電粒子線を安定して制御することができる。
[実施形態5](構造;縦断面Lの字)
前記電極が、前記基板の上面付近において、前記基板の上面と平行または略平行な方向に凸部を有していることを特徴とする実施形態4に記載の偏向器。
上記実施形態5のように、基板の上面で、上面と略平行な方向に凸部を有しているL字型の電極は、基板上面および側面の2面と接触しており、基板と電極の密着力が高くなる。また、構造が単純なため、比較的容易に作製できる。
[実施形態6](構造;縦断面コの字、逆Lの字)
前記電極が、前記基板の下面付近において、前記基板の上面と平行または略平行な方向に凸部を有していることを特徴とする実施形態4または5に記載の偏向器。
上記実施形態6のように、基板の下面で、上面と平行または略平行な方向に凸部を有している逆L字型の電極は、基板下面および側面の2面と接触しており、実施形態5のものと同様に基板と電極の密着力が高くなる。また、構造が単純なため、比較的容易に作製できる。また、基板の上面および下面で、上面と略平行な方向に凸部を有しているコ字型の電極は、基板の上下面および側面の3面と接触しており、接触面積が増えるため、基板と電極の密着力が高くなる。なお、基板の上面と下面とは平行または略平行であるから、基板の上面と平行または略平行な方向とは、基板の下面と平行または略平行な方向ということでもある。
[実施形態7](構造;楔)
前記基板が前記貫通孔の外部に少なくとも1つの開孔を有し、前記基板と前記電極が、前記開孔において、互いに嵌合する部分を有することを特徴とする実施形態4〜6のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態7のように、貫通孔外部に形成された開孔部で、電極と基板が、基板の厚さ方向に互いに嵌め合う構造をしていることで、電極と基板は機械的に係止されるため、さらに基板と電極間の密着力は高くなり、電極の接がれや脱落を防止できる。
[実施形態8](構造;電極の形状)
荷電粒子線を偏向する偏向器であって、
前記偏向器が、
基板と、
前記基板に形成された貫通孔と、
前記貫通孔の側壁に設置された第一の電極と、
前記貫通孔の側壁に第一の電極に対向して設置された第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極とに独立に電圧を印加する電圧印加手段とを有し、
前記第一の電極と前記第二の電極とで前記貫通孔の側壁を略覆って設けられていることを特徴とする偏向器。
上記実施形態8の構成のように、第一の電極と第二の電極とで、貫通孔の側壁を覆うことで、側壁の絶縁体の露出を最小限に留めることができる。そのため、荷電粒子線の照射による側壁のチャージアップの可能性を低くすることができ、安定した動作を期待できる。また、貫通孔の内部は第一の電極と第二の電極との2つの電極で構成され、接地電極を設ける場合と比較して、簡単な構造となる。なお、絶縁体の露出は、側壁における電極の露出面積の25%(=20/80)以下とすればよいが、10/90=約10%以下が好ましく、5/95=約5%以下がより好ましい。
[実施形態9](構造;横断面コの字)
前記第一の電極と前記第二の電極との少なくとも一方が、コの字状であることを特徴とする実施形態8に記載の偏向器。
上記実施形態9の構成のように、対向する第一の電極と第二の電極とをコの字状にすることで、第一の電極と第二の電極とに異なる電位を与えた場合、貫通孔内における電位分布を比較的均一にすることができ、荷電粒子線の制御が容易になる。
[実施形態10](構造;横断面L字)
前記第一の電極と前記第二の電極との少なくとも一方が、L字状であることを特徴とする実施形態8に記載の偏向器。
上記実施形態10の構成のように、第一の電極と第二の電極とをL字状にすることで、貫通孔の側壁の絶縁体を貫通孔の中心から遠ざけることにより、荷電粒子線の照射によるチャージアップの可能性を低くすることができる。
[実施形態11](構造;シールド電極)
前記基板の上側と下側との少なくとも一方に、平面状の電極が設けられ、前記平面状の電極が前記貫通孔の上側または下側に開口を有し、前記平面状の電極が電気的に接地されていることを特徴とする実施形態1〜10のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態11の構成のように、基板の上側や下側に平面状の電極を設置し、電気的に接地することで、基板の特に上面や下面のチャージアップを防ぐことができる。また、偏向器をアレイ状に配置した場合、隣接する偏向器間のクロストークを低減することができる。
[実施形態12](構造;シールド電極が貴金属)
前記平面状の電極が貴金属材料から成ることを特徴とする実施形態1〜11のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態12の構成のように、平面状の電極に貴金属を用いることで、酸化することが無く、電極を導体として保持することができ、シールド電極としての機能を保つことができる。
[実施形態13](構造;絶縁)
前記基板と前記対向する電極の少なくとも一方との接触面において、前記基板が、絶縁層を備えていることを特徴とする実施形態1〜12のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態13の構成のように、電極と基板の接触面が絶縁層を備えることで、安定して電極に電位を与えることができる。よって、電極により高い電位を与えて荷電粒子線の制御速度の向上を試みる場合にも対応できる。
[実施形態14](構造;熱酸化膜)
前記絶縁層が、二酸化シリコンであることを特徴とする実施形態13に記載の偏向器。
上記実施形態14の構成のように、絶縁層に二酸化シリコンを用いることで、CVDやスパッタリング等様々な成膜手段により、容易に絶縁層を設けることができる。特に、基板にシリコンを用いている場合には、熱酸化法により熱酸化膜を形成することが可能であり、カバレッジの良い絶縁層を形成できる。
[実施形態15](構造;Cu電極)
前記対向する電極の少なくとも一方が、銅を含むことを特徴とする実施形態1〜14のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態15の構成のように、電極に銅を用いることで、電気メッキまたは無電解メッキにより、数十〜数百μmといった厚膜の導体が形成可能である。また、銅は非磁性体であるため、材料の磁性による荷電粒子線への影響を考慮する必要が無い。
[実施形態16](構造;電極材料)
前記電極が2種類以上の導電性材料を含むことを特徴とする実施形態1〜15のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態16の構成のように、電極に2種類以上の導電性材料を用いる、例えば、基板との密着力が比較的弱い主電極材料と基板の間に密着性の良い導電性材料の層を挟むことで、電極と基板の密着力を向上できる。
[実施形態17](構造;シリコン基板)
前記基板が、シリコンであることを特徴とする実施形態1〜16のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態17の構成のように、基板にシリコンを用いることで、反応性イオンエッチングや強アルカリによるウェットエッチングを行うことができ、貫通孔の側壁に電極を配置した状態で形成される荷電粒子線通過用開孔を高精度に形成することができる。
[実施形態18](構造;Au電極)
前記対向する電極の少なくとも一方の露出面が、金を含むことを特徴とする実施形態1〜17のいずれか1つに記載の偏向器。
上記実施形態18の構成のように、電極の露出面に金を用いることで、電極の酸化の恐れが無い。そのため、電極の酸化による絶縁の恐れが無く、電極自身のチャージアップの可能性が無くなる。
[実施形態19](構造;アレイ)
実施形態1〜18のいずれか1つに記載の偏向器が、一次元的または二次元的に配列されていることを特徴とする偏向器アレイ。
上記実施形態19の構成のように、偏向器をライン状またはマトリクス(行列)状に配列することで、複数の荷電粒子線による露光装置に用いることができる。
[実施形態20](製造方法;作製プロセス全般)
実施形態1〜18のいずれか1つに記載の偏向器または実施形態19に記載の偏向器アレイを作成する方法であって、
下記工程(A)〜(E):
(A)基板の対向する位置に少なくとも1対の対向する第1開孔をフォトリソグラフィを用いて形成する工程;
(B)前記第1開孔内部に絶縁層を形成する工程;
(C)前記第1開孔内部に電極を形成する工程;および
(D)前記第1開孔の間に第2開孔をフォトリソグラフィを用いて形成することで前記電極の側面を露出する工程
を含んでなることを特徴とする荷電粒子線を偏向する偏向器または偏向器アレイの作製方法。
上記の構成のように、基板にフォトリソグラフィを用いて第1開孔を形成し、第1開孔内部に電極を形成し、さらに第1開孔の間に第2開孔を形成することで、実施形態1〜19で説明した偏向器または偏向器アレイを比較的容易に作製することができる。
[実施形態21](製造方法;開孔形成RIE)
前記工程(A)および(D)の少なくとも一方が、反応性イオンエッチングを含むことを特徴とする実施形態20に記載の作製方法。
上記の構成のように、反応性イオンエッチング(RIE)を用いて開孔を形成することで、第1開孔、第2開孔(荷電粒子線通過用開孔)および偏向電極を精度良く形成することができる。また、多数の偏向器を配列して作製する場合にも適用できる。
[実施形態22](製造方法;テーパー状第1開孔)
前記第1開孔がテーパー状の開孔であることを特徴とする実施形態20または21に記載の作製方法。
[実施形態23](製造方法:電極幅の広い面からエッチング)
前記工程(D)において、前記第1開孔間の幅が広い面から、前記基板を加工し、前記第2開孔を形成することを特徴とする実施形態22に記載の偏向器の作製方法。
上記の実施形態20〜23のように、工程(A)〜(D)を含む製造工程により偏向器を作製すると、工程(A)で対向するテーパー状の第1開孔を形成し、工程(C)において、第1開孔の形状に従ってテーパー状の偏向電極が形成され、工程(D)により、電極表面が露出した対向する偏向電極が得られる。ここで、第1開孔は偏向電極の型となる開孔であり、第2開孔は荷電粒子線通過用開孔である。また、工程(D)において、基板の、対向するテーパー状の偏向電極の電極間幅が広い面を選択して、該面側から、RIEにより基板材料を除去し第2開孔を形成することで、電極表面が露出した対向する偏向電極が得られる。
[実施形態24](製造方法;メッキ)
前記工程(C)がメッキを含むことを特徴とする実施形態20〜23のいずれか1つに記載の偏向器の作製方法。
上記実施形態24の構成のように、電極をメッキによって形成することで、電極を精度良く形成することができる。また、スパッタリングやCVDと比較して、電極を厚く、高速に形成することができる。
[実施形態25](製造方法;熱酸化膜)
前記基板がシリコンであって、前記工程(B)が熱酸化を含むことを特徴とする実施形態20〜24のいずれか1つに記載の偏向器の作製方法。
上記実施形態25の構成のように、開孔の側壁に熱酸化によって二酸化シリコンを形成することができ、カバレッジの良い絶縁層を形成できる。
[実施形態24](露光装置)
荷電粒子線を用いてウエハを露光する荷電粒子線露光装置であって、
前記荷電粒子線露光装置が、
荷電粒子線を放射する荷電粒子源と、
前記荷電粒子源の中間像を複数形成する第1の電子光学系と、
前記第1の電子光学系によって形成される複数の中間像をウエハ上に投影する第2の電子光学系と、
前記ウエハを保持し所定の位置に駆動して位置決めする位置決め装置とを有し、
前記第1の電子光学系が、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の偏向器または実施形態19に記載の偏向器アレイを有することを特徴とする荷電粒子線露光装置。
上記実施形態24の構成のように、実施形態1〜19に記載の偏向器または偏向器アレイを荷電粒子線露光装置に応用することで、故障の少ない、安定した動作が可能な荷電粒子線露光装置を提供することができる。また、偏向器および偏向器アレイが簡単な構成のため、歩留まり良く安価に提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
[第1の実施例](テーパー状貫通孔を有する荷電粒子線偏向器の説明)
図1は、本発明の第1の実施例に係る荷電粒子線偏向器の概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図をそれぞれ示している。
先ず、偏向器500の構造について説明する。偏向器500は一つの荷電粒子線を偏向する偏向器であり、基板501に荷電粒子を偏向する一対の対向する偏向電極503a、503bと、荷電粒子線が通過する貫通孔513を備えている。貫通孔513は、偏向電極503a、503bの対向する電極面520a、520bを貫通孔513内の側壁に持つ貫通孔であり、したがって貫通孔513内部側面には、対向する電極面520a、520bが露出している。図1(b)によれば、この電極面520a、520bは、基板の厚さ方向に対して傾斜しており、さらに電極面520a、520b間の幅は、基板上面で最大であり、基板下面に行くに従い、次第に狭くなっている。さらに偏向電極503a、503bは、基板の上面と略垂直な方向にテーパー状になっている。このように、電極面520a、520b間の幅が基板上面において最大で、基板下面に行くに従い次第に狭くなっているようなテーパー形状や、基板上面において最小で、基板下面に行くに従い次第に広くなっているようなテーパー形状の偏向電極503a、503bを有する偏向器では、貫通孔513形成時に、電極面520a、520b間の幅の広い面から、選択的にRIEを行えば、貫通孔513内部の側面に、対向する電極面520a、520bが露出される。
さらに、偏向電極503a、503bに電位を与えるための配線502a、502bが設けられ、配線502a、502bの一端が偏向電極503a、503bにそれぞれ電気的に接触している。また、配線502a、502bのもう一端は、パッド510a、510bとして機能し、プローブピンやワイヤボンディング等で電気的接触がとられる。さらに、電源511により、偏向電極503a、503bに任意の電位を印加することができる。また、基板501は絶縁層504を備えており、偏向電極503a、503bに安定して電位を与えることができる。また、基板501は例えば、厚さ200μmのシリコン基板であり、厚さは主に必要な偏向感度により決定される。また、偏向電極503a、503bおよび配線502a、502bは金、銅、アルミニウム等の低抵抗な金属、絶縁層504にはシリコン窒化膜やシリコン酸化膜等を用いる。主要部の寸法は各図に示した。
また、本実施例の偏向器500は一つの開孔513および一対の偏向電極503a、503bを有したものであるが、同一の基板に偏向器500をライン状又はアレイ状に配置する構成をとり、偏向器アレイとしても良い。
図2は偏向器500の他の構造を示す概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図をそれぞれ示している。図中、図1と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。偏向電極503a、503bの、対向する電極面520a、520bは、図2に示すような、上面から下面に行くに従い次第に傾斜している曲面であっても良い。
次に、偏向器500の動作について説明する。荷電粒子線を貫通孔513を通過するように照射した場合を考える。偏向電極503a、503bのそれぞれを電気的に接地した場合には荷電粒子線は貫通孔513を軌道を変えることなく通過する。しかし、偏向電極503a、503bのそれぞれに異なる電位を与えた場合には貫通孔513に電界が発生し、荷電粒子線を所望の方向に偏向することができる。
[第2の実施例](シールド電極付荷電粒子線偏向器の説明)
図3は本発明の第2の実施例に係る荷電粒子線偏向器500の概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図である。図中、第1の実施例の図1と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、偏向器500の構造について説明する。偏向器500は第1の実施例において説明した偏向器500と基本構造は同一である。異なる点は、偏向電極503a、503bおよび絶縁層504の上面に絶縁膜505とシールド電極506とが設けられていることである。絶縁膜505およびシールド電極506には、貫通孔513に対応する荷電粒子通過用の開孔514が設けられている。図3(a)の上面図に示すように上側からは偏向電極503a、503bや絶縁層504等の大部分が見えない構造となっていることを特徴としており、特に開孔514近傍の絶縁層504が見えない構造となっている。なお、絶縁層504の開孔514から十分に遠い部分(例えば、数十mm以上の部分)については、チャージアップによる影響が少ないので、配線を取り出すため露出させている。また、シールド電極506は電気的に接地されている。絶縁膜505にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機膜を用いる。また、シールド電極506には金、白金、ロジウム、イリジウム等の貴金属を用いると、シールド電極506を構成する導電膜が酸化しにくいので表面を導体として保持することができ、シールド電極506としての機能を保つことができる。
次に、シールド電極506の機能について説明する。荷電粒子線が貫通孔513を通過するように照射される時に、シールド電極は506は絶縁層504のチャージアップを防ぐものである。シールド電極506は電気的に接地されているため、常に接地電位に保たれる。また、偏向器500を例えばアレイ状に配置した偏向器アレイとして構成した場合、隣接する偏向器500間のクロストークを低減する効果が見込める。
図4は偏向器500の他の構造を示す断面図である。図中、図3と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。シールド電極506と絶縁膜505とを基板501の両面に設けたことを特徴としている。シールド電極506を基板501の下面にも設けることで、偏向器500の下側からの荷電粒子線の反射等による絶縁層504のチャージアップを防ぐことができる。また、上記説明したようにクロストークを低減する効果が見込める。
次に、上記説明した上面のみにシールド電極506を備えた偏向器500の作製方法について図5(a)〜(h)および図6(i)〜(n)を用いて説明する。例えば、以下の(1)〜(14)に示す工程を行うことにより作製する。
(1)基板501を用意する。基板501はシリコンより成り、厚さは例えば200μmのものを用いる。厚さは、偏向感度を決定する重要な要素であるので、偏向感度に応じて適宜選択する。次に、熱酸化法を用いて、基板501の表裏面に膜厚1.5μmの二酸化シリコン507を形成する(図5(a))。
(2)基板501の表面(上面)にノボラック系のレジストを用いて、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、CFやCHF等のガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を行い、二酸化シリコン507をエッチングする。その後、レジストを除去する(図5(b))。
(3)シリコンである基板501に誘導結合型プラズマおよびBOSCHプロセスを用いたRIEを行い、エッチングストッパーである裏面(下面)の二酸化シリコン507を露出させる(図5(c))。本工程により、偏向電極用開孔(第1開孔)521a、521bが形成される。ここで、BOSCHプロセスとは、エッチングガスと側壁保護用ガスを交互に供給し、エッチングと側壁保護を切換えることにより、シリコンを選択的にかつ異方性良くエッチングする方式である。本方式のRIEを用いることで、アスペクト比の高い偏向電極用開孔521a、521bを形成することができる。また、本方式のRIE法を使用して、エッチング時間に対して側壁保護の時間が長くなるようなエッチング条件にてエッチングを行えば、開孔521a、521bは、基板上面から下面に行くに従い開孔幅が広くなるテーパー形状になる。具体的には、エッチングガスにSF(六弗化硫黄)を、側壁保護用ガスにはC(八弗化四炭素)を使用し、RFパワー:1800W、バイアスパワー:30V、ガス流量:SF=300sccm(Standard Cubic Centimeter)、C=150sccm、SF/Cガス切替時間:11秒/2秒、基板温度:10℃、エッチング時間:50分という条件でエッチングを行うと良い。
(4)二酸化シリコン507をバッファードフッ酸を用いて、除去する(図5(d))。なお、基板501上のシリコン熱酸化膜を全て除去することで、工程(1)から(3)による基板501の表面に付着した有機物残渣、微粒子および重金属等の汚染は、二酸化シリコン507と共にリフトオフ除去されるため、基板501は清浄な状態になる。その後、熱酸化法を用いて、基板501の表裏面および開孔521a、521bの側壁に膜厚1.5μmの二酸化シリコンから成る絶縁層504を形成する(図5(e))。
(5)ガラス等の絶縁体に金を成膜した導電性基板509を用意する。また、導電性基板509は金属から成る基板でも良い。次に、ノボラック系のレジスト508を導電性基板509に塗布し、基板501と導電性基板509とを接着する(図5(f)。
(6)酸素を用いた反応性イオンエッチング(RIE)を行い、開孔の底部のレジスト508を除去し、導電性基板509を露出させる。その後、硫酸銅メッキ液を用いて、銅の電気メッキを、基板501から銅が突出するまで行う(図5(g))。
(7)基板501をアセトン等の有機溶媒に浸し、超音波洗浄を行い、レジスト508の除去および導電性基板509の離脱を行う。次に、基板501の表裏面を化学機械研磨(CMP)を用いて平坦化する(図5(h))。
(8)基板上面に、チタン/金/チタンをそれぞれ5nm/100nm/5nmの厚さで連続蒸着して配線502a、502bとなる配線層532を形成する。また、チタンの膜厚は密着促進の働きをすればよく、数nm〜数百nmの範囲で使用される。また、導電層となる金は数十nm〜数百nmの範囲で使用される(図6(i))。
(9)配線層532上にノボラック系のレジストを用いて、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、塩素やアルゴン等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、チタン/金/チタンをエッチングして配線502a、502bを形成する。その後、レジストを除去する(図6(j))。
(10)絶縁膜505となるシリコン窒化膜535をプラズマCVDを用いて1μmの厚さで成膜する。次に、チタン/金をそれぞれ5nm/50nmの厚さで連続蒸着してシールド電極506となるシールド電極用導電層536を形成する。その後、下面にレジスト等を塗布して保護膜539とする(図6(k))。
(11)導電層536上にノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、塩素やアルゴン等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、導電層536のチタン/金をエッチングしてシールド電極506を形成する。さらに、CF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、シリコン窒化膜535をエッチングして、絶縁膜505、開口514およびパッド510a、510bを形成する。その後、レジストを除去する(図6(l))。
(12)シールド電極506上にノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、CF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、絶縁層504に開口を形成し、シリコンから成る基板501を露出させる(図6(m))。
(13)シリコンである基板501に誘導結合型プラズマおよびBOSCHプロセスを用いた反応性イオンエッチングを行い、底面の絶縁層504を露出させる(図6(n))。エッチングのマスク下のシリコンの被エッチング面は、エッチング進行方向に対して、反応種、すなわちラジカルとイオンを遮蔽する部分がないため、電極面520a、520b間にあるシリコンも、反応種により確実にエッチング除去され、電極面520a、520b上の一部がシリコンに被われることは防止される。なお、電極面520a、520bは絶縁層504で覆われている。
(14)バッファードフッ酸を用いて二酸化シリコンである絶縁層504を除去し、貫通孔513を形成するとともに、偏向電極503a、503bの電極面520a、520bを露出させる。なお、この工程では基板下面はレジスト等からなる保護膜539によって保護されているため、エッチングされない。その後、レジストおよび保護膜539を除去する(図6(o))。
[第3の実施例](電極と基板との密着力を強化した荷電粒子線偏向器の説明)
図7は本発明の第3の実施例に係る荷電粒子の偏向器の概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図をそれぞれ示している。図中、第1の実施例の図1と同一または共通の構成要素には同一符号を付している。
先ず、偏向器500の構造について説明する。
図7において、偏向器500は一つの荷電粒子線を偏向する偏向器であり、基板501に荷電粒子を偏向する一対の対向する偏向電極503a、503bと、荷電粒子線が通過する貫通孔513を備えている。対向する偏向電極503a、503bは、貫通孔513の側面に設置されている。図7(b)の断面図によれば、偏向電極503a、503bは基板501の上面および側面と接触したL字型になっている。このため、基板上面に回り込んだ部分543a、543bによって接触面積が増える分、基板501と電極503a、503bの密着力が高くなる。また、電極を基板の厚さ方向に物理的に押し込むような外力に対しても、電極が基板から剥れたり、脱落したりしなくなる。また、構造が単純な為、比較的容易に作製できる。
さらに、偏向電極503a、503bに電位を与えるための配線502a、502bが設けられ、配線502a、502bの一端が偏向電極503a、503bにそれぞれ電気的に接触している。また、配線502a、502bのもう一端は、パッド510a、510bとして機能し、プローブピンやワイヤボンディング等で電気的接触がとられる。さらに、電源511により、偏向電極503a、503bに任意の電位を印加することができる。また、基板501は偏向電極503a、503bとの接触面に絶縁層504を備えており、偏向電極503a、503bに安定して電位を与えることができる。基板501は例えば、シリコン基板である。基板501の厚さは主に必要な偏向感度により決定されるが、本実施例では、厚さ200μmのシリコン基板を用いた。また、偏向電極503a、503bおよび配線502a、502bには金、銅、アルミニウム等の低抵抗な金属、絶縁層504にはシリコン窒化膜やシリコン酸化膜等を用いる。主要部の寸法は各図に示した。
なお、配線502a、502bは、一端を偏向電極503a、503bの基板上面に回り込んだ部分543a、543b上に配置されているので、もう一端の高さを揃えるためのステップ層542a、542bが、部分543a、543bの延長上に設けられている。このステップ層は、高さを揃えるという目的からは、絶縁層、半導体層および導体層のいずれであってもよいが、絶縁層であることが好ましい。
本実施例の偏向器500は一つの開孔513および一対の偏向電極503a、503bを有したものであるが、同一の基板に偏向器500をライン状またはアレイ状に配置する構成をとり、偏向器アレイとしても良い。
図8は図7の偏向器500の変形例を示す概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図をそれぞれ示している。図中、図7と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。図8(b)の断面図によれば、偏向電極503a、503bは基板501の上面、側面(貫通孔513の側壁)および下面の3面と接触したコ字型になっている。この構造では、基板と電極の接触面積がさらに増える分、上記した理由により、基板からの電極の剥れ・脱落を防止できる。
図9は図7の偏向器500の他の変形例を示す概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図をそれぞれ示している。図中、図7と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。図9(b)の断面図によれば、偏向電極は基板上面、側面および下面の3面と接触したコ字型になっており、さらに貫通孔外部に形成された開孔541で、電極503a、503bの基板上面に回り込んだ部分と基板501とが、基板の厚さ方向に互いに嵌め合う構造をしている。これにより、電極と基板は機械的に係止されているため、基板と電極間の密着力はさらに高くなる。このため、急激な温度変化による基板と電極材料の熱膨張率の違いに起因する電極材料の内部応力や、電極の熱変形により生じる、基板からの電極の剥れや脱落を防止することができる。
図7〜図9の偏向器500の動作は、図1の偏向器と同様であるので、詳細な説明は省略する。
[第4の実施例](シールド電極付の密着力強化型荷電粒子線偏向器の説明)
図10は本発明の第4の実施例に係る荷電粒子線偏向器の概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図である。図中、第3の実施例の図7と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、偏向器500の構造について説明する。偏向器500は第3の実施例において説明した偏向器500と基本構造は同一である。異なる点は、偏向電極503a、503bおよび絶縁層504の上面に絶縁膜505とシールド電極506とが設けられていることである。図10(a)の上面図に示すように上側からは偏向電極503a、503bや絶縁層504等の大部分が見えない構造と成っていることを特徴としており、特に開孔近傍の絶縁層504が見えない構造となっている。なお、絶縁層504の開孔から十分に遠い部分(例えば、数十mm以上の部分)については、チャージアップによる影響が少ないので、配線を取り出すため露出させている。また、シールド電極506は電気的に接地されている。絶縁膜505にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機膜を用いる。また、シールド電極506には金、白金、ロジウム、イリジウム等の貴金属を用いると、導電膜506が酸化しにくいので表面を導体として保持することができ、シールド電極506としての機能を保つことができる。
シールド電極506の機能は、図3のものと同様である。
また、シールド電極506を有する偏向器500を例えばアレイ状に配置した偏向器アレイとして構成した場合、隣接する偏向器500間のクロストークを低減する効果が見込める。
次に、上記説明した、基板の三面と密着したコ字型の偏向電極および上面のみにシールド電極506を備えた図10の偏向器500の作製方法について図11(a)〜(h)、図12(i)〜(n)および図13(o)〜(s)を用いて説明する。
この偏向器500例えば、以下の(1)〜(14)に示す工程を行うことにより作製する。なおこれより、説明の都合上、偏向電極のうち、基板上面より上側の領域にある部分を電極上部5032a、5032b、基板下面より下側の領域にある部分を電極下部5033a、5033b、基板の上面から下面の領域にある部分を電極中部5031a、5031bと表現する。
(1)基板501を用意する。基板501はシリコンより成り、厚さは例えば200μmのものを用いるが、偏向感度を決定する重要な要素である。次に、熱酸化法を用いて、基板501の表裏面に膜厚1.5μmの二酸化シリコン507を形成する(図11(a))。
(2)基板501の表面(上面)に、ノボラック系のレジストを用いたフォトリソグラフィとCFやCHF等のガスを用いた二酸化シリコン507の反応性イオンエッチングにより、二酸化シリコンによるエッチングマスクを形成する。その後、レジストを除去する(図11(b))。
(3)シリコンである基板501に前記二酸化シリコンをエッチングマスクとして誘導結合型プラズマおよびBOSCHプロセスを用いたRIEを、エッチングストッパーである裏面(下面)側の二酸化シリコン507が露出するまで行う(図11(c))。本工程により、偏向電極用開孔521aおよび521bが形成される。ここで、BOSCHプロセスとは、エッチングガスと側壁保護用ガスを交互に供給し、エッチングと側壁保護を切換えることにより、シリコンを選択的にかつ異方性良くエッチングする方式である。本方式のRIEを用いることで、アスペクト比の高い偏向電極用開孔を形成することができる。
(4)基板501上の二酸化シリコン507をバッファードフッ酸を用いて、全て除去する。なお、基板501上のシリコン熱酸化膜(二酸化シリコン)を全て除去することで、工程(1)から(3)による基板501の表面に付着した有機物残渣、微粒子および重金属等の汚染は、二酸化シリコン507と共にリフトオフ除去されるため、基板501は清浄な状態になる。その後、熱酸化法を用いて、基板501の表裏面および開孔の側壁に膜厚1.5μmの二酸化シリコンから成る絶縁層504を形成する(図11(d))。
(5)ガラス等の絶縁体に金を成膜した導電性基板509を用意する。また、導電性基板509は金属から成る基板でも良い。次に、ノボラック系のレジスト508を導電性基板509に塗布し、基板501と導電性基板509とを接着する(図11(e))。
(6)酸素を用いた反応性イオンエッチングを行い、開孔の底部のレジスト508を除去し、導電性基板509を露出させる。その後、硫酸銅メッキ液を用いて、銅の電気メッキを行い、基板501から銅を突出させる(図11(f))。その後、基板501の表面の銅を化学機械研磨(CMP)を用いて平坦化する。ここで偏向電極503a、503bの電極中部5031a、5031bが形成される(図11(g))。
(7)基板上面に、導電層531a、531bとなるチタン膜を5nmの厚さで蒸着する。この導電層531a、531bは電極503a、503bの基板上面に回りこんだ部分543a、543bである電極上部5032a、5032bの一部をなす。続いて、ノボラック系のレジストを用いたフォトリソグラフィとSF等のガスを用いた反応性イオンエッチングにより、上記チタン膜が基板上面に露出した電極中部5031a、5031bの表面、および基板501と電極上部5032a、5032bが接する部分531a、531bにのみ残るようにパターニングする。チタン膜による導電層531a、531bは基板と電極の密着性を向上するための層である。その後、レジストを除去する(図11(h))。
(8)ステップ層542a、542bとなるシリコン酸化膜542をプラズマTEOS−CVDを用いて5μmの厚さで成膜する。なお、シリコン酸化膜542の膜厚は、偏向電極503a、503bの電極上部5032a、5032bの厚みにより決定すると良い。続いてシリコン酸化膜542表面を、ノボラック系のレジストを用いたフォトリソグラフィとCF等のガスを用いた反応性イオンエッチングによりパターニングし、導電層531a、531bが露出する位置に開口を形成する(図12(i))。
(9)硫酸銅メッキ液を用いて銅の電気メッキを行い、基板501下面の導電性基板509より通電し、導電層531a、531bから銅を成長させ絶縁層(シリコン酸化膜)542の開口から突出させる。続いて、絶縁層542表面の銅を化学機械研磨(CMP)を用いて平坦化し電極上部5032a、5032bを形成する(図12(j))。
(10)基板501をアセトン等の有機溶媒に浸し、超音波をかけて、レジスト508の除去および導電性基板509の離脱を行う。次に、基板501の下面に突出した銅を、化学機械研磨(CMP)を用いて平坦化する(図12(k))。
(11)基板下面について、前記工程(7)〜(9)と同様なプロセスを行い、電極下部5033a、5033bを形成する(図12(l))。
(12)基板下面に、ノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィによりエッチングマスクを形成する。その後、CFガスを用いた反応性イオンエッチングにより、基板下面の荷電粒子線が通過すべき部分の絶縁膜542と絶縁層504を連続して除去し、基板下面の一部にシリコン501を露出させる。その後、レジストを除去する(図12(m))。
(13)基板上面に、チタン/金/チタンをそれぞれ5nm/100nm/5nmの厚さで連続蒸着して配線502a、502bとなる配線層532を形成する。チタンの膜厚は密着促進の働きをすればよく、数nm〜数百nmの範囲で使用される。また、導電層となる金は数十nm〜数百nmの範囲で使用される。続いて、ノボラック系のレジストを用いたフォトリソグラフィと、塩素やアルゴン等のガスを用いた反応性イオンエッチングによりチタン/金/チタンをエッチングし、配線502a、502bを形成する。その後、レジストを除去する(図12(n))。
(14)絶縁膜505となるシリコン窒化膜535をプラズマCVDを用いて1μmの厚さで成膜する。次に、チタン/金をそれぞれ5nm/50nmの厚さで連続蒸着してシールド電極506となるシールド電極用導電層536を形成する。その後、基板501の下面にレジスト等を塗布して保護膜539とする(図13(o))。
(15)導電層536上にノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィを行い、エッチングマスクを形成する。次に、塩素やアルゴン等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、基板上面の荷電粒子線が通過すべき部分のチタン/金導電層536をエッチングしてシールド電極506を形成する。さらに、CF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、シリコン窒化膜535を除去し、絶縁膜505、開口514およびパッド部510a、510bを形成する。その後、レジストを除去する。その後、再び基板501の下面にレジスト等を塗布して保護膜540とする(図13(p))。
(16)基板上面にノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィを行い、電子線通過用貫通孔513のエッチングマスクを形成する。次に、CF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、基板上面の荷電粒子線が通過すべき部分の絶縁膜542と絶縁層504を除去し、シリコンから成る基板501を露出させる(図13(q))。
(17)シリコンである基板501に誘導結合型プラズマおよびBOSCHプロセスを用いた反応性イオンエッチングを行い、基板501に側壁を絶縁層504で覆われた開孔538を形成する(図13(r))。
(18)バッファードフッ酸用いて二酸化シリコンである開孔538の側壁の絶縁層504を除去して貫通孔513を完成し、貫通孔513内部に偏向電極503a、503bを露出させる。なお、この工程では下面はレジスト等からなる保護膜によって保護されているためエッチングされない。その後、レジストを除去する(図13(s))。
[第5の実施例](チャージアップ防止型荷電粒子線偏向器の説明)
図14は本発明の第5の実施例に係る荷電粒子の偏向器の概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図、(c)が(a)におけるB−B’断面図をそれぞれ示している。
先ず、偏向器500の構造について説明する。偏向器500は一つの荷電粒子線を偏向する偏向器であり、基板501に荷電粒子線が通過する貫通孔513を備えている。貫通孔513の側壁には一対の偏向電極503a、503bが貫通孔513の側壁を略周回するように設置され、503aと503bとが対向している。偏向電極503a、503bが貫通孔513の側壁の絶縁体512の露出を最小限に留めている。さらに、偏向電極503a、503bに電位を与えるための配線502a、502bが設けられ、配線502a、502bの一端が偏向電極503a、503bにそれぞれ電気的に接触している。また、配線502a、502bのもう一端は、パッド510a、510bとして機能し、プローブピンやワイヤボンディング等で電気的接触がとられる。さらに、電源511により、偏向電極503a、503bに任意の電位を印加することができる。また、基板501は絶縁層504を備えており、偏向電極503a、503bに安定して電位を与えることができる。また、基板501は例えば、厚さ200μmのシリコン基板であり、厚さは主に必要な偏向感度により決定される。また、偏向電極503a、503bおよび配線502a、502bは金、銅、アルミニウム等の低抵抗な金属、絶縁層504にはシリコン窒化膜やシリコン酸化膜等を用いる。主要部の寸法は各図に示した。
本実施例の偏向器500は一つの貫通孔513および一対の偏向電極503a、503bを有したものであるが、同一の基板に偏向器500をライン状またはアレイ状に配置する構成をとり、偏向器アレイとしても良い。
図15は図14の偏向器500の変形例を示す上面図である。図中、図14と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。偏向電極503a、503bを図15に示すように、L字状にすると、貫通孔513内の絶縁体512を貫通孔513の中心から遠ざけることができ、チャージアップの可能性を低くすることができる。
次に、偏向器500の動作について説明する。荷電粒子線を貫通孔513を通過するように照射した場合を考える。偏向電極503a、503bのそれぞれを電気的に接地した場合には荷電粒子線は貫通孔513を軌道を変えることなく通過する。しかし、偏向電極503a、503bのそれぞれに異なる電位を与えた場合には貫通孔513に電界が発生し、荷電粒子線を所望の方向に偏向することができる。また、絶縁体512の露出を最低限に留めているため、チャージアップの恐れが少なく、安定した動作が期待できる。
[第6の実施例](シールド電極付のチャージアップ防止型荷電粒子線偏向器の説明)
図16は本発明の第6の実施例に係る荷電粒子線偏向器の概観図であり、(a)が上面図、(b)が(a)におけるA−A’断面図である。図中、第5の実施例の図14と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、偏向器500の構造について説明する。偏向器500は第5の実施例において説明した偏向器500と基本構造は同一である。異なる点は、偏向電極503a、503bおよび絶縁層504の上面に絶縁膜505とシールド電極506とが設けられていることである。図16(a)の上面図に示すように上側からは偏向電極503a、503bや絶縁層504の大部分が見えない構造と成っていることを特徴としており、特に開孔近傍の絶縁層504が見えない構造となっている。なお、絶縁層504の開孔から十分に遠い部分(例えば、数十mm以上の部分)については、チャージアップによる影響が少ないので、配線を取り出すため露出させている。
また、シールド電極506は電気的に接地されている。絶縁膜505にはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機膜を用いる。また、シールド電極506には金、白金、ロジウム、イリジウム等の貴金属を用いると、シールド電極506が酸化しにくいので表面を導体として保持することができ、シールド電極506としての機能を保つことができる。
次に、シールド電極506の機能について説明する。荷電粒子線が貫通孔513を通過するように照射される時に、シールド電極506は絶縁層504のチャージアップを防ぐものである。シールド電極506は電気的に接地されているため、常に接地電位に保たれる。また、偏向器500を例えばアレイ状に配置した偏向器アレイとして構成した場合、隣接する偏向器500間のクロストークを低減する効果が見込める。
図17は図16の偏向器500の他の構造を示す断面図である。図中、図16と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。シールド電極506と絶縁層505とを基板501の両面に設けたことを特徴としている。シールド電極506を基板501の下面にも設けることで、偏向器500の下側からの荷電粒子線の反射等による絶縁層504のチャージアップを防ぐことができる。また、上記説明したようにクロストークを低減する効果が見込める。
次に、上記説明した上面のみにシールド電極506を備えた図16の偏向器500の作製方法について図18(a)〜(i)および図19(j)〜(n)を用いて説明する。図16の偏向器500は、例えば、以下の(1)〜(14)に示す工程を行うことにより作製する。
(1)基板501を用意する。基板501はシリコンより成り、厚さは例えば200μmのものを用いるが、基板の厚さは、偏向感度を決定する重要な要素である。次に、熱酸化法を用いて、基板501の上下および側面の全面に膜厚1.5μmの二酸化シリコン507を形成する(図18(a))。
(2)基板501の上面にノボラック系のレジストを用いて、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、CFやCHF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、二酸化シリコン507をエッチングする。その後、レジストを除去する(図18(b))。
(3)二酸化シリコン507をエッチングマスクとして、シリコンである基板501の上面から誘導結合型プラズマおよびBOSCHプロセスを用いた反応性イオンエッチングを行う。エッチングは、下面の二酸化シリコン507が露出するまで行う(図18(c))。
(4)基板501の全面において残った二酸化シリコン507をバッファードフッ酸を用いて、除去する(不図示)。これにより、基板501に開孔(第1開孔)521a、521bが形成される。その後、熱酸化法を用いて、基板501の上下左右面および開孔521a、521bの側壁に膜厚1.5μmの二酸化シリコンから成る絶縁層504を形成する(図18(d))。
(5)ガラス等の絶縁体に金を成膜した導電性基板509を用意する。また、導電性基板509は金属から成る基板でも良い。次に、ノボラック系のレジスト508を導電性基板509に塗布し、基板501と導電性基板509とを接着する(図18(e)。
(6)酸素を用いた反応性イオンエッチングを行い、開孔の底部のレジスト508を除去し、導電性基板509を露出させる。その後、硫酸銅メッキ液を用いて、銅の電気メッキを、電極503a、503bとなる銅(金属体)550が基板501上面から突出するまで行う(図18(f))。
(7)基板501をアセトン等の有機溶媒に浸し、超音波洗浄を行い、レジスト508の除去および導電性基板509の離脱を行う。次に、基板501の上下面を化学機械研磨(CMP)を用いて平坦化する(図18(g))。
(8)チタン/金/チタンをそれぞれ5nm/100nm/5nmの厚さで連続蒸着し、配線502a、502bとなる配線層532を形成する。チタンの膜厚は密着促進の働きをすればよく、数nm〜数百nmの範囲で使用される。また、導電層となる金は数十nm〜数百nmの範囲で使用される(図18(h))。
(9)配線層532上にノボラック系のレジストを用いて、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、塩素やアルゴン等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、チタン/金/チタンをエッチングして配線502a、502bを形成する。その後、レジストを除去する(図18(i))。
(10)絶縁層505となるシリコン窒化膜535をプラズマCVDを用いて1μmの厚さで成膜する。次に、チタン/金をそれぞれ5nm/50nmの厚さで連続蒸着してシールド電極用導電層536とする。その後、下面にレジスト等を塗布して保護膜539とする(図19(j))。
(11)シールド電極506上にノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、塩素やアルゴン等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、チタン/金536をエッチングしてシールド電極506を形成する。さらに、CF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、絶縁膜505、荷電粒子線通過用の開口514およびパッド510a、510bを形成する。その後、レジストを除去する(図19(k))。
(12)シールド電極506上にノボラック系のレジストであるAZP4620(クラリアントジャパン製)を8μmの厚さで塗布して、フォトリソグラフィを行い、エッチングのマスクを形成する(不図示)。次に、CF等のガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、絶縁層504に開口を形成し、シリコンから成る基板501を露出させる(図19(l))。
(13)シリコンである基板501に誘導結合型プラズマおよびBOSCHプロセスを用いた反応性イオンエッチングを行い、基板下面の絶縁層504を露出させる(図19(m))。これにより、側壁および底面が二酸化シリコンである絶縁層504からなる開孔538が形成される。
(14)バッファードフッ酸用いて開孔538の側壁および底面の絶縁層504を除去し、偏向電極503a、503bを露出させるとともに、貫通孔513を完成させる。なお、この工程では下面はレジスト等からなる保護膜539によって保護されているため、エッチングされない。その後、レジストを除去する(図19(n))。
[第7の実施例](電子ビーム露光装置の構成要素説明)
本発明の第7の実施例では、第1〜第6の実施例において説明した荷電粒子線偏向器をブランカーとして用いた電子ビーム露光装置の例を示す。なお、本発明は、電子ビームに限らずイオンビームを用いた露光装置にも同様に適用できる。
図20は本発明の第7の実施例に係る電子ビーム露光装置の要部概略図である。図20において、1は、複数の電子源像を形成し、その電子源像から電子ビームを放射するマルチソースモジュールである。マルチソースモジュール1は、3×3に配列されていて、その詳細については後述する。
21、22、23、24は磁界レンズアレイであって、3×3に配列された同一形状の開口を有する磁性体円板MDを間隔を置いて上下に配置し、共通のコイルCCによって励磁したものである。その結果、各開口部分が各磁界レンズMLの磁極となり、設計上レンズ磁界を発生させる。
各マルチソースモジュール1の複数の電子源像は、磁界レンズアレイ21、22、23、24の対応する4つの磁界レンズ(ML1、ML2、ML3、ML4)によって、ウエハ4上に投影される。そして、ひとつのマルチソースモジュールからの電子ビームがウエハに照射するまでに、その電子ビームに作用する光学系をカラムと定義する。すなわち、本実施例は、9カラム(col.1〜col.9)の構成である。
この時、磁界レンズアレイ21と磁界レンズアレイ22の対応する2つの磁界レンズで、一度、像を形成し、次にその像を磁界レンズアレイ23と磁界レンズアレイ24の対応する2つの磁界レンズでウエハ4上に投影している。そして、磁界レンズアレイ21、22、23、24のそれぞれの励磁条件を共通コイルで個別に制御することにより、各カラムの光学特性(焦点位置、像の回転、倍率)のそれぞれを略一様に言い換えれば同じ量だけ調整することができる。
3は、マルチソースモジュール1からの複数の電子ビームを偏向させて、複数の電子源像をウエハ4上でX、Y方向に変位させる主偏向器である。
5は、ウエハ4を載置し、光軸AX(Z軸)と直交するXY方向とZ軸回りの回転方向に移動可能なステージであって、ステージ基準板6が固設されている。
7は、電子ビームによってステージ基準板6上のマークが照射された際に生じる反射電子を検出する反射電子検出器である。
図21は、図20の装置におけるマルチソースモジュール1の機能を説明する図である。図21を用いてマルチソースモジュール1およびマルチモジュール1からウエハ4に照射される電子ビームの光学特性の調整機能について説明する。
図21において、101は電子銃が形成する電子源(クロスオーバ像)である。この電子源101から放射される電子ビームは、コンデンサーレンズ102によって略平行な電子ビームとなる。本実施例のコンデンサーレンズ102は、3枚の開口電極からなる静電レンズである。
103は開口が2次元配列して形成されたアパーチャアレイ、104は同一の光学パワーを有する静電レンズが2次元配列して形成されたレンズアレイ、105、106は個別に駆動可能な静電型の8極偏向器が2次元配列して形成された偏向器アレイ、107は個別に駆動可能な静電型のブランカーが2次元配列して形成されたブランカーアレイである。第1〜第6の実施例において説明した偏向器はこのブランカーとして用いられ、本実施例においてはブランカーアレイ107を形成する。
図22は、図21におけるアパーチャアレイ103からブランカーアレイ107までの1カラム分の光学系の構成を示す。図22を用いて各機能を説明する。コンデンサーレンズ102(図21)からの略平行な電子ビームは、アパーチャアレイ103によって複数の電子ビームに分割される。分割された電子ビームは、対応するレンズアレイ104の静電レンズを介して、ブランカーアレイ107の対応するブランカー上に、電子源の中間像を形成する。
この時、偏向器アレイ105、106は、ブランカーアレイ107上に形成される電子源の中間像の位置(光軸と直交する面内の位置)を個別に調整する。また、ブランカーアレイ107で偏向された電子ビームは、図21のブランキングアパーチャAPによって遮断されるため、ウエハ4には照射されない。一方、ブランカーアレイ107で偏向されない電子ビームは、図21のブランキングアパーチャAPによって遮断されないため、ウエハ4には照射される。
図21に戻り、マルチソースモジュール1で形成された電子源の複数の中間像は、磁界レンズアレイ21と磁界レンズアレイ22の対応する2つの磁界レンズを介して、ウエハ4に投影される。
この時、複数の中間像がウエハ4に投影される際の光学特性のうち、像の回転および倍率は、ブランカーアレイ107上の各中間像の位置を調整できる偏向器アレイ105、106で調整でき、焦点位置は、カラム毎に設けられたダイナミックフォーカスレンズ(静電もしくは磁界レンズ)108、109で調整できる。
次に本実施例のシステム構成図を図23に示す。ブランカーアレイ制御回路41は、ブランカーアレイ107を構成する複数のブランカーを個別に制御する回路、偏向器アレイ制御回路42は、偏向器アレイ105、106を構成する偏向器を個別に制御する回路、D_FOCUS制御回路43は、ダイナミックフォーカスレンズ108、109を個別に制御する回路、主偏向器制御回路44は、主偏向器3を制御する回路、反射電子検出回路45は、反射電子検出器7からの信号を処理する回路である。これらのブランカーアレイ制御回路41、偏向器アレイ制御回路42、D_FOCUS制御回路43、主偏向器制御回路44、反射電子検出回路45は、カラムの数(col.1〜col.9)と同じだけ装備されている。
磁界レンズアレイ制御回路46は、磁界レンズアレイ21、22、23、24のそれぞれの共通コイルを制御する回路、ステージ駆動制御回路47は、ステージの位置を検出する不図示のレーザ干渉計と共同してステージ5を駆動制御する制御回路である。主制御系48は、上記複数の制御回路を制御し、電子ビーム露光装置全体を管理する。
上述した第1および第2の実施例によれば、印加電圧に対応した所望の偏向感度が得られ、荷電粒子線を安定して制御することが可能な偏向器を提供することができる。
また、第3および第4の実施例によれば、偏向電極の剥れや脱落の発生を防止した、故障の少ない偏向器を提供することができる。
また、第5および第6の実施例によれば、荷電粒子線の照射によるチャージアップの可能性を低くすることができ、安定した動作を期待できる。また、簡単な構造の偏向器を提供することができる。
また、これらの偏向器は、いずれも構造が簡単であり、作製が簡易である。
そして、第7の実施例のように、これらの偏向器を荷電粒子線の露光装置に用いることで、信頼性の高い露光装置を提供することができる。
[第8の実施例](デバイスの生産方法)
次に上記説明した電子ビーム露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
図24は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(EBデータ変換)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図25は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
本実施形態の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の微小デバイスを低コストに製造することができる。
[発明の適用範囲]
上述においては、本発明をブランカーを構成する偏向器に適用した例を示したが、本発明は、荷電粒子を収束または発散させる電子レンズを構成する電極基板または偏向器に適用することも可能である。また、上述においては、3×3の9本の荷電粒子線を用いたマルチ荷電粒子線露光装置の例を示したが、荷電粒子線の本数(カラム数)に限定はない。現在、カラム数は千〜数千が一般的である。
本発明の第1の実施例に係る偏向器の構造を説明する図である。 図1の偏向器の一変形例を示す図である。 本発明の第2の実施例に係る偏向器の構造を説明する図である。 図3の偏向器の一変形例を示す図である。 図3の偏向器の作製方法を説明する図である。 図3の偏向器の作製方法を説明する図である。 本発明の第3の実施例に係る偏向器の構造を説明する図である。 図7の偏向器の一変形例を示す図である。 図7の偏向器の他の変形例を示す図である。 本発明の第4の実施例に係る偏向器の構造を説明する図である。 図10の偏向器の作製方法を説明する図である。 図10の偏向器の作製方法を説明する図である。 図10の偏向器の作製方法を説明する図である。 本発明の第5の実施例に係る偏向器の構造を説明する図である。 図14の偏向器の一変形例を示す図である。 本発明の第6の実施例に係る偏向器の構造を説明する図である。 図16の偏向器の一変形例を示す図である。 図16の偏向器の作製方法を説明する図である。 図16の偏向器の作製方法を説明する図である。 本発明の第7の実施例に係る電子ビーム露光装置の要部概略を示す図である。 図20の装置のマルチソースモジュールの機能を説明する図である。 図20の装置のカラム毎の電子光学系を説明する図である。 図20の装置のシステム構成を説明する図である。 本発明の第8の実施例に係るデバイスの製造プロセスのフローを説明する図である。 図24におけるウエハプロセスを説明する図である。 本発明の第1の従来技術を説明する図である。 本発明の第2の従来技術を説明する図である。
符号の説明
107 ブランカーアレイ
500 偏向器
501 基板
502a,502b 配線
503a,503b 偏向電極
504 絶縁層
505 絶縁膜
506 シールド電極
507 二酸化シリコン
508 レジスト
509 導電性基板
510a,510b パッド
511 電源
512 絶縁体
513 貫通孔
514 荷電粒子線通過用開口
520a,520b 電極面
521a,521b 偏向電極用開孔(第1開孔)
531 チタン膜
531a,531b 導電層
532 配線層
535 シリコン窒化膜
536 シールド電極層
538 開孔
539 保護膜
541 嵌め合い用開孔
542 ステップ層
550 金属体

Claims (19)

  1. 基板に形成された貫通孔の側壁に配置された互いに対向する少なくとも一対の電極面を有する偏向器であって、
    前記一対の電極面の少なくとも一方が前記基板の上面に実質垂直な方向に対して傾斜していることを特徴とする偏向器。
  2. 基板に形成された貫通孔の側壁に配置された互いに対向する少なくとも一対の電極面を有する偏向器であって、
    前記一対の電極面の間隔が、前記基板の上面または下面において最大であり、前記基板の下面または上面に行くに従い次第に狭くなっていることを特徴とする偏向器。
  3. 前記傾斜した電極面は、前記貫通孔の側壁に配置され前記基板の上面と実質垂直な方向に対してテーパー形状を有する導電部材のテーパー面であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏向器。
  4. 基板に形成された貫通孔の側壁に配置された電極を有する偏向器であって、
    前記電極は、前記基板の上面および下面側の少なくとも一方の端部を延長され前記基板の上面および下面の少なくとも一方の面上に回り込んでいることを特徴とする偏向器。
  5. 前記基板が、前記貫通孔の外部に少なくとも1つの開孔を有し、前記電極の延長部分が、前記開孔において前記基板と嵌合していることを特徴とする請求項4に記載の偏向器。
  6. 基板の厚み方向に形成された貫通孔の側壁に配置された互いに対向する電極面を有する偏向器であって、
    前記対向する電極面によって前記側壁の80%以上が覆われていることを特徴とする偏向器。
  7. 前記貫通孔の前記基板の上面と平行な断面の形状が実質的に正方形または長方形であり、前記対向する電極面の少なくとも一方が前記側壁の三面に渡ってコの字状に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の偏向器。
  8. 前記貫通孔の前記基板の表面と平行な断面の形状が実質的に正方形または長方形であり、前記対向する電極面の少なくとも一方が前記側壁の二面に渡ってL字状に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の偏向器。
  9. 前記基板の上側および下側の少なくとも一方に、前記貫通孔に対応する開口を有しかつ電気的に接地された平面状の電極がさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の電極基板。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の偏向器が、一次元または二次元に配列されていることを特徴とする偏向器アレイ。
  11. 基板に形成された貫通孔の側壁に配置される1組の電極を製造する方法であって、
    前記1組の電極の形状および配置に対応する複数の第1開孔を基板に形成する第1の工程と、
    前記複数の第1開孔のそれぞれに前記電極となる金属体を形成する第2の工程と、
    前記貫通孔に前記1組の電極を配置した形状に対応する第2開孔を前記複数の第1開孔の間およびその近傍を含む部分に形成して前記貫通孔内に前記金属体の側面を露出させる第3の工程と
    備えることを特徴とする電極製造方法。
  12. 前記電極は、偏向器を構成するための少なくとも一対の対向電極を含むことを特徴とする請求項11に記載の電極製造方法。
  13. 前記対向電極用の前記第1開孔は、前記基板の上面に実質垂直な方向に対して傾斜した面を前記第2開孔が形成される側に有することを特徴とする請求項12に記載の電極製造方法。
  14. 前記対向電極用の前記第1開孔は、前記対向電極の対向面に対応する面が前記基板の上面に実質垂直な方向に対してテーパー状をなす開孔であることを特徴とする請求項13に記載の電極製造方法。
  15. 前記第3の工程において、前記第1開孔間の幅が広い面から前記基板を加工し、前記第2開孔を形成することを特徴とする請求項13または14に記載の電極製造方法。
  16. 前記基板は、導体または半導体であり、前記第1の工程の後に、少なくとも前記第1開孔の側壁に絶縁層を形成する第4の工程をさらに含む請求項11〜15のいずれか1つに記載の電極製造方法。
  17. 前記第3の工程の後に、前記金属体の表面に酸化防止用の金属保護膜を単数または複数層形成する第5の工程をさらに含む請求項11〜16のいずれか1つに記載の電極製造方法。
  18. 荷電粒子線を用いて被露光基板を露光する荷電粒子線露光装置であって、
    荷電粒子線を放射する荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源の中間像を複数形成する第1の電子光学系と、
    前記第1の電子光学系によって形成される複数の中間像を被露光基板上に投影する第2の電子光学系と、
    前記被露光基板を保持し所定の位置に駆動して位置決めする位置決め装置とを有し、
    前記第1の電子光学系が、請求項10に記載の偏向器アレイを有することを特徴とする荷電粒子線露光装置。
  19. 請求項18に記載の荷電粒子線露光装置を用いてデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
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