以下に、本願発明を具体化した実施形態について、作業車両であるトラクタを例に挙げて図面に基づき説明する。
まず始めに、図1〜図10を参照しながら、トラクタ1の概要について説明する。実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載した動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)で後車輪4及び前車輪3を駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが配置されている。キャビン7の左右下部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。キャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
走行機体2は、前バンパー12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。実施形態の燃料タンク11は左右二つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19をから外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、例えばロータリ耕耘機といった作業機を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取り付けている。ロータリ耕耘機等の作業機は、左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構を介してミッションケース17の後部に連結される。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機等の作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後ろ向きに突設している。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン出力軸(図示省略)には、フライホイル26を直結するように取り付けている。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル26から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している(図1、図7及び図10参照)。ミッションケース17内には、油圧無段変速機、前後進切換機構、走行副変速ギヤ機構及び後輪用差動ギヤ機構を配置している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達され、油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構によって適宜変速される。そして、当該変速動力が後輪用差動ギヤ機構を介して左右の後車輪4に伝達される。
ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30には、前車輪駆動軸31を介して、前輪用差動ギヤ機構(図示省略)を内蔵する前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸(図示省略)を連結している。ミッションケース17内の油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構による変速動力は、前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸から前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構を経由して、左右の前車輪3に伝達される。
次に、図1〜図4を参照しながら、キャビン7内部の構造について説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方にステアリングコラム32を配置している。ステアリングコラム32は、キャビン7内部の前面側に配置したダッシュボード33の背面側に埋設するような状態で立設している。ステアリングコラム32上面から上向きに突出したハンドル軸の上端側に、平面視略丸型の操縦ハンドル9を取り付けている。
ステアリングコラム32の右側には、ロータリ耕耘機等の作業機を最上昇位置や最下降位置に強制的に移動させるワンタッチ昇降レバー34と、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル35とを配置している。ステアリングコラム32の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー36(リバーサレバー)と、動力継断用のクラッチ(図示省略)を遮断操作するためのクラッチペダル37とを配置している。
ステアリングコラム32の左側で前後進切換レバー36の下方には、前後進切換レバー36に沿って延びる誤操作防止体38(リバーサガード)を配置している。接触防止具である誤操作防止体38を前後進切換レバー36下方に配置することによって、トラクタ1に乗降する際に、オペレータが前後進切換レバー36に不用意に接触するのを防止している。ダッシュボード33の背面上部側には、液晶パネルを内蔵した操作表示盤39を設けている。
キャビン7内にある操縦座席8前方の床板40においてステアリングコラム32の右側には、エンジン5の回転速度又は車速を制御するアクセルペダル41を配置している。なお、床板40上面の略全体は平坦面に形成している。操縦座席8を挟んで左右両側にはサイドコラム42を配置している。操縦座席8と左サイドコラム42との間には、左右両後車輪4を制動状態に維持する操作を実行するための駐車ブレーキレバー43と、トラクタ1の走行速度(車速)を強制的に大幅に低減させる超低速レバー44(クリープレバー)と、ミッションケース17内の走行副変速ギヤ機構の出力範囲を切り換えるための副変速レバー45と、PTO軸25の駆動速度を切り換え操作するためのPTO変速レバー46とを配置している。操縦座席8の下方には、左右両後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル47を配置している。操縦座席8の後方左側には、PTO軸25を逆転駆動させる操作を実行する逆転PTOレバー48を配置している。
操縦座席8と左サイドコラム42との間には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト49を設けている。アームレスト49は、操縦座席8とは別体に構成すると共に、トラクタ1の走行速度を増減速させる主変速レバー50と、ロータリ耕耘機といった作業機の高さ位置を手動で変更調節するダイヤル式の作業部ポジションダイヤル51(昇降ダイヤル)とを備えている。なお、アームレスト49は、後端下部を支点として複数段階に跳ね上げ回動可能な構成になっている。
左サイドコラム42には、前側から順に、エンジン5の回転速度を設定保持するスロットルレバー52と、PTO軸25からロータリ耕耘機等の作業機への動力伝達を継断操作するPTOクラッチスイッチ53と、ミッションケース17の上面側に配置する油圧外部取出バルブを切換操作するための複数の油圧操作レバー54(SCVレバー)とを配置している。ここで、油圧外部取出バルブは、トラクタ1に後付けされるフロントローダといった別の作業機に作動油を供給制御するためのものである。実施形態では、油圧外部取出バルブの数(4連)に合わせて、油圧操作レバー54を4つ配置している。
次に、図1〜図6及び図11〜図14を参照しながら、キャビン7の詳細構造について説明する。走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7は骨組を構成するキャビンフレーム300を備えている。キャビンフレーム300は、操縦座席8の前方に位置する左右一対の前支柱301と、操縦座席8の後方に位置する左右一対の後支柱302と、前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前支柱301と後支柱302との上端部間を連結する左右の側梁部材305とを備えた略箱枠状のものである。キャビンフレーム301の上端側、すなわち前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305で構成した矩形枠上には屋根体306を着脱可能に取り付けている。
各前支柱301の下端側には、左右内向きに延びる前下部プレート板307の左右外端側を連結している。左右両前下部プレート板307の左右内端側に、ダッシュボード33を固定支持する縦長のボード支持板308を連結し、左右両前支柱301の間にボード支持板308を立設している。一方、左右両後支柱302の下端部間には、後梁部材304と平行状に延びる後中間梁部材309を連結している。後中間梁部材309には、下向きに延びる左右一対の後下部フレーム310の上端側を連結している。前後に並ぶ前下部プレート板307と後下部フレーム301の下端側とには、前後に延びる底フレーム311の長手方向各端部を連結している。
各後支柱302の下端側には、リヤフェンダー21の形状に沿わせて側面視で前方且つ上方に膨らむように湾曲したフェンダフレーム312の後端上部側を連結している。各フェンダフレーム312の前端下部側は、対応する前支柱301の下部から後向きに突出したサイドフレーム313の後端側に連結している。各サイドフレーム313には、前下部プレート板307の左右外端側も連結している。各フェンダフレーム312の左右外面側及びこれに対応する後下部フレーム310の左右外面側に、左右のリヤフェンダー21を取り付けている。
後中間梁部材309と左右の後下部フレーム310とには、後中間梁部材309及び左右の後下部フレーム310で囲まれた領域を覆う後カバー板314を取り付けている。後カバー板314の下端側と左右の底フレーム311とには、側面視L字板状の座席支持板315を取り付けている。座席支持板315上に操縦座席8が配置される。左右のフェンダフレーム312、後下部フレーム310及び底フレーム311には、後車輪4の前部内面側に沿わせた膨出形状のフェンダ内板316を取り付けている。左右のフェンダ内板316上にサイドコラム42が配置される。左右の前下部プレート板307、底フレーム311の前部側、サイドフレーム313及び座席支持板315の前端側に床板支持プレート317を取り付けて支持している。左右の床板支持プレート317上に床板40が配置される。左右のフェンダフレーム312の前端下部側とこれに対応する底フレーム311の前後中途部とは、左右横長の補助フレーム318で連結している。
キャビンフレーム300の前面側、すなわち左右の前支柱301、前梁部材303及び左右の前下部プレート板307で囲まれる領域には、フロントガラス321を配置している。キャビンフレーム300の後面側、すなわち左右の後支柱302、後梁部材304及び後中間梁部材309で囲まれる領域には、リヤガラス322を配置している。キャビンフレーム300の左右側面側、すなわち前後に並ぶ前支柱301及び後支柱302、側梁部材305、フェンダフレーム312及びサイドフレーム313で囲まれる領域には、透明なガラスで構成したサイドドア323を配置している。各サイドドア323は、対応する後支柱302に上下一対のヒンジ324を介して開閉可能に取り付けている。
フロントガラス321、リヤガラス322及び左右のサイドドア323の配置構造から明らかなように、各支柱301,302及び各梁部材303,304,305はキャビン7(キャビンフレーム300)の側辺部に位置している。このため、キャビンフレーム300の前後左右側面に窓を広く取ることが可能になっている。実施形態では、キャビンフレーム300の前後左右側面に、フロントガラス321、リヤガラス322及び左右のサイドドア323(透明なガラス製)を配置している。その結果、オペレータの前後左右の視界を確保することと、キャビンフレーム300の剛性を確保することとを両立している。
図11及び図12等に示すように、左右の前下部プレート板307の前部側は、防振部材としての前防振ゴム体98を介して、左右の機体フレーム15に取り付けた前部支持台96に連結している。また、左右の後下部フレーム310と底フレーム311との連結部(突合せ部)には、左右外向きに張り出したベースブラケット327を設けている。左右のベースブラケット327は、防振部材としての後防振ゴム体99を介して、左右の後車軸ケース19上に取り付けた後部支持台97に連結している。従って、走行機体2は、複数の防振ゴム体98,99を介してキャビン7を防振支持している。
次に、図13〜図18を参照しながら、エアカットプレート308とその周辺との構造について説明する。各前支柱301の下端側に連結した前下部プレート板307の左右内端側に、ダッシュボード33を固定支持する縦長のエアカットプレート308を連結し、左右両前支柱301の間にエアカットプレート308を立設している。左右の前支柱301及び前下部プレート板307との連結関係から分かるように、エアカットプレート308はキャビンフレーム300の構成要素の一つであり、キャビンフレーム300の強度メンバーを構成している。一方、キャビンフレーム300の前面側、すなわち左右の前支柱301、前梁部材303及び左右の前下部プレート板307で囲まれる領域には、フロントガラス321を配置している。エアカットプレート308はフロントガラス321よりもキャビン7内部側に位置している。フロントガラス321はボード支持板308の前面側を覆っている。切り欠きを形成することなしに、フロントガラス321をキャビン7前部側に配置している。
エアカットプレート308には、前述したステアリングコラム32及びダッシュボード33を取り付けているだけでなく、走行機体2の車輪4を制動させるブレーキバルブ254と、ブレーキバルブ254を操作するブレーキペダル35とを取り付けている。ブレーキバルブ254及びブレーキペダル35をエアカットプレート308に支持させている。この場合、エアカットプレート308及びフロントガラス321の両方に、前後に貫通した貫通穴253,442を形成している。当該両貫通穴253,442にブレーキバルブ254を差し込み固定している。ブレーキバルブ254の前端側は両貫通穴253,442からキャビン7前方に突出させている。なお、フロントガラス321の中央付近には、フロントガラス321を清掃するフロントワイパー421を設けている。フロントワイパー421の駆動軸422aは、フロントガラス321を貫通してエアカットプレート308の上部に軸支されている。
キャビンフレーム300は、操縦座席8前方に位置するダッシュボード33を支持するエアカットプレート308を備え、フロントガラス321よりもキャビン7内部側にエアカットプレート308を位置させ、エアカットプレート308をキャビンフレーム300の強度メンバーに構成している。従って、キャビンフレーム300全体としての剛性向上を図りつつ、ダッシュボード33をエアカットプレート308によって高強度に支持できる。そして、切り欠きを形成することなしにフロントガラス321をキャビン7前部側に取り付けでき、フロントガラス321の加工コストやシール性確保のためのコストを低減できるとともに、キャビン7の防風及び防水構造を簡単に構成できる。
また、走行機体2の車輪4を制動させるブレーキバルブ254と、ブレーキバルブ254を操作するブレーキペダル35とをエアカットプレート308に取り付けているから、可動部材であるブレーキペダル35とブレーキバルブ254とを、キャビンフレーム300の強度メンバーであるエアカットプレート308に高強度に支持できる。更に、フロントガラス321及びエアカットプレート308に、前後に貫通した貫通穴253,442を形成し、貫通穴253,442にブレーキバルブ254を差し込み固定し、ブレーキバルブ254の前端側を貫通穴253,442からキャビン7前方に突出させている。これにより、キャビン7の防風及び防水構造を簡単に構成できるものでありながら、キャビン7内にブレーキペダル35を配置した上で、ブレーキバルブ254から車輪4制動のための制動機構までを簡単に連結できる。
図14〜図18に示すように、左右一対のブレーキペダル35は、ブレーキバルブ254の入力側ピストン(第1ピストン)501と当接させた押込部材352を、ブレーキアーム351の中途部に設けている。そして、スイッチステー353が、左右ブレーキペダル35それぞれのブレーキアーム351背面を覆うようにして配置されている。スイッチステー353は、左右ブレーキペダル35のブレーキアーム351背面と当接する位置に、左右一対のブレーキストッパ354、及び、左右一対のブレーキペダルスイッチ355を固定している。ブレーキストッパ354は、ブレーキペダル35を踏み込まない状態でブレーキアーム351と当接して、ブレーキペダル35の位置を規制する。ブレーキペダルスイッチ355は、ブレーキペダル17を踏み込まない状態でブレーキアーム351と当接し、ON状態となる。
左右ブレーキペダル35に対して、ブレーキ−アーム351背面となる位置に、ブレーキストッパ354とブレーキペダルスイッチ355とをスイッチステー353で一体的に固定しており、押込部材352をブレーキアーム351に取り付けている。そして、ブレーキストッパ354でブレーキペダル35の位置を規制した状態で、ブレーキペダルスイッチ355がON状態となるように、ブレーキペダルスイッチ355を配置している。従って、ブレーキペダル35の組付時には、ブレーキペダル35を踏み込まない状態において、押込部材351とブレーキバルブ254の入力側ピストン501とが間隙なく当接するように、押込部材28の位置を調節するだけでよい。そのため、ブレーキ機構の組立作業を簡素化して組立工数を低減することができると同時に、各部品の位置調整を正確に実行できる。
左右ブレーキペダル35の一方のブレーキアーム351に連結プレート356の一端を枢着しており、他方のブレーキアーム351に、連結プレート356の他端と係合する係止プレート357を設ける。連結プレート356の他端を係止プレート357に係止させることにより、左右ブレーキペダル35を連結して、左右のブレーキペダル35の同時操作を可能とする。一方、連結プレート356の他端を係止プレート357から外すことにより、左右のブレーキペダル35それぞれを独立して操作できる。また、係止プレート357には、連結プレート356が係止プレート357に連結したことを検知する連結確認センサ358が設けられている。連結確認センサ358は、例えば、連結プレート356の他端を光学的に検知する近接スイッチなどで構成されており、連結プレート356が係止プレート357に係合したときにON状態となる。この連結プレート356、係止プレート357、及び連結確認センサ358は、左右ブレーキペダル35の連結具として構成している。
図14〜図17等に示すように、ダッシュボード33の前側は、ボンネット6下のエンジン5等からの熱を遮蔽するためのエアカットプレート(ボード支持板)308で覆われる。また、フロントウィンドガラス321が1枚のガラス板で構成されており、フロントウィンドガラス321背面にエアカットプレート308を連結する。ダッシュボード33は、フロントウィンドガラス321後方を覆ってワイパ駆動機構422を内装している。ワイパ駆動機構422は、フロントウィンドガラス321に軸支されているワイパ421への回転動力を生成する駆動モータと、駆動モータの回転動力をワイパ421に伝達するギヤ機構とで構成されている。ワイパ駆動機構422における駆動モータが回転することで、ギヤ機構を介して駆動モータの回転がワイパ421に伝達し、ワイパ421がフロントウィンドガラス321表面に沿って回動する。
ワイパ駆動機構422は、エアカットプレート308と連結して固定されている。すなわち、エアカットプレート308の後面にワイパ駆動機構422を固着し、エアカットプレート308の前面側にフロントウィンドガラス321を張設している。そして、フロントウィンドガラス321に、ワイパ駆動機構422の駆動軸422aを貫通させている。ワイパ駆動機構422の駆動軸422aがワイパ421を枢支することで、ワイパ駆動機構422によりワイパ421が回動する。
エアカットプレート308の後面には、ワイパ駆動機構422とともに、メータ制御装置(メータECU)904やアンテナ905が固着されている。エアカットプレート308に、ワイパ駆動機構422、メータECU904、及びアンテナ905を取り付けることによって、1つのユニットとして構成できるため、ダッシュボード33内側への各部品の組付け作業を簡略化できる。
メータパネル906は、操縦ハンドル9の前方下側となる位置で、操縦座席8に着座したオペレータに対面するように、そのパネル表面を後方からやや上方に傾けた状態で配置されている。ダッシュボード33は、メータパネル906外周となる位置に、例えば、パーキングスイッチやワイパスイッチなどの複数のスイッチ部材907を配置している。また、キースイッチ61は、鍵穴に差し込んだ所定の鍵にて回転操作可能なロータリ式スイッチであり、ダッシュボード33における操縦ハンドル9の右側位置に取り付けられている。
ステアリングコラム32は、ダッシュボード33の背面側に埋設するような状態で立設して、縦長のハンドル軸を軸支しており、ハンドル軸の上端側に平面視略丸型の操縦ハンドル9を取り付けている。操縦ハンドル9が配置されるステアリングコラム32の左右に、操縦ハンドル9の姿勢を調節するチルトレバー915とテレスコレバー914を振分けて配置している。すなわち、ステアリングコラム32の右側面に、左右横方向に軸支されて前後方向に回動するテレスコレバー914を設けている。ステアリングコラム32の左側面下側に、左右横方向に軸支されて前後方向に回動するチルトレバー915を設けている。
ステアリングコラム32前方には、左右のブレーキペダル35を軸支するブレーキペダル軸720を備えたブレーキペダル支持機構916を配置している。ブレーキペダル支持機構916は、エアカットプレート308中途部に連結支持されている。ステアリングコラム32は、その左側面に前後進切換レバー36を突設させており、前後進切換レバー36の下方には、誤操作防止体38(リバーサガード)を配置している。また、ステアリングコラム32は、その右側面に、ワイパ421を駆動させるワイパレバーや作業車両を一定速度で走行させるオートクルーズ用レバーなどといった、操作レバー62,63を突設させている。
操縦ハンドル9基部のステアリングコラム32上面には、排気ガス浄化装置224の再生制御を実行させるDPF再生スイッチ62を設けている。すなわち、直進作業姿勢のときにオペレータの視界にDPF再生スイッチ62が配置されている。したがって、DPF再生スイッチ62が、操縦ハンドル9または操作レバー36,62,63などに隠れることなく、座乗したオペレータにて、DPF再生スイッチ64の位置及び点灯表示状態を容易に視認できる。
ステアリングコラム32上面のうち、操縦ハンドル9のハンドル軸を中心として左右対称となる位置に、作業用スイッチやワンタッチ自動スイッチ等の複数のスイッチ65を配置している。したがって、座乗したオペレータにて、ステアリングコラム32上面に配置されたスイッチ65群を視認して、作業用スイッチとワンタッチ自動スイッチの位置を容易に確認できるので、誤操作を低減できる。
次に、図18〜図24を参照しながら、ブレーキバルブ254の構造とその周辺について説明する。ブレーキペダル35を踏み込むと、ブレーキペダル35に取り付けた押込部材351が、ブレーキバルブ254の入力側ピストン501を該ブレーキバルブ254内に押し込むように構成している。そして、入力側ピストン501がブレーキバルブ254内に押し込まれることで、左右一対の後輪4それぞれを制動する左右一対のブレーキシリンダ255へ、ブレーキバルブ254から作動油を圧送して、ブレーキシリンダ255を作動させる。
ブレーキバルブ254は、バルブケース502に左右一対の入力側ピストン501を挿入させている。バルブケース502は、平面外周に固定用フランジ505を備えた前側ケース503と、入力側ピストン501後端を背面から突出させた後側ケース504とを前後で連結させて構成している。前側ケース503は、上方に設けた空間を上蓋506に覆うことで、作業油を貯留させるリザーバタンク(貯留タンク)507を構成している。前側ケース503は、リザーバタンク507の下側に、前後に貫通させた前方シリンダ508を左右一対に構成しており、前方シリンダ508の前側開口部に前方封止プラグ509を螺着させている。
前側ケース503は、リザーバタンク507の底部と左右それぞれの前方シリンダ508と連通させた2つの貫通穴に、T字断面の弁体511を前方シリンダ508側に備えたチェックバルブ510を嵌着させている。なお、本実施形態では、下方の開口径を上方の開口径より大きくして段差を設けた貫通穴513を中心に備えたプラグ512で、チェックバルブ510を構成しており、弁体511をプラグ512の貫通穴513に下側から挿入させるとともに、プラグ512をリザーバタンク507の底部に螺着させている。弁体511は、一端をプラグ512下端に係止されたバネによりリザーバタンク507側に付勢されており、弁体511が貫通穴513の段差と当接することで、リザーバタンク507と前方シリンダ508との連通を遮断する。
前側ケース503は、左右の前方シリンダ508それぞれの前方下側に貫通穴を設けて油路514を形成し、左右の油路514それぞれの下端に、左右のブレーキシリンダ255それぞれに連結させたブレーキ用油圧配管256と連結する連結ポート515を設けている。前側ケース503は、左右の前方シリンダ508の下側であってチェックバルブ510と対向する位置に、左右の前方シリンダ508を連通させるピストンシリンダ(イコライザピストン用シリンダ)516を設けている。
ピストンシリンダ516は、前側ケース503を左右に貫通させた貫通穴における左右両端の開口部に、左右一対の封止プラグ517を螺着して構成している。また、ピストンシリンダ516の上側に、左右の前方シリンダ508それぞれと連通させる左右一対の油路518を設けている。ピストンシリンダ516は、ピストンシリンダ516内を左右に摺動するイコライザピストン519と、ピストン本体520の左右に振り分け配置した左右一対のバネ520とを内装し、イコライザピストン519を変位させて左右の前方シリンダ508の圧力を調整する。
バネ520は、一端を封止プラグ517に係止して、他端でイコライザピストン519を押圧している。ピストンシリンダ516は、イコライザピストン519左側と左側封止プラグ517で閉鎖された空間に、左側調整油室521を設けており、イコライザピストン519右側と右側封止プラグ517で閉鎖された空間に、右側調整油室522を設けている。即ち、イコライザピストン519がピストンシリンダ516内を左右に摺動することで、左右の調整油室521,522の容積を変化させて、左右の前方シリンダ508内の圧力を調整する。
前側ケース503における左右の前方シリンダ508それぞれには、円筒形状の出力側ピストン(第2ピストン)523が、背面(固定用フランジ505側)から挿入されている。出力側ピストン523は、ピストン内油路を構成する貫通穴524を設けた円筒形状で構成されている。貫通穴524は、前後両端内径を中途部内径より太くなるように構成している。また、出力側ピストン523の外壁には、前端側中途部の外周面全面を切り欠いた切欠部525を設けている。
出力側ピストン523の貫通穴524の前端に、前方封止プラグ509に前端を挿入させたバネ526の後端が挿入されており、バネ526の後端を貫通穴524の前側段差に当接させている。これにより、出力側ピストン523は、前方シリンダ508前端におけるプラグ509に係止されたバネ526により、前方シリンダ508後方に向かって付勢されている。出力側ピストン523の後端に、入力側ピストン501前端に後端を当接させたチェックバルブ527を嵌着させている。
チェックバルブ527は、出力側ピストン523後端に螺着させるプラグ528に、段差を有する貫通穴529を設けている。貫通穴529の段差部前側に、球状の弁体530を内装しており、貫通穴520の段差部後側に、入力側ピストン501前端中心部分が挿入されるバルブ入力側油室531が設けられている。弁体530は、一端をプラグ528前端に係止されたバネにより入力側ピストン501側に付勢されており、弁体530が貫通穴529の段差と当接することで、バルブ入力側油室531と出力側ピストン523の貫通穴(ピストン内油路)524との連通を遮断する。また、プラグ528の後方側壁には、バルブ入力側油室531と連通した複数の連通穴532を備えている。
前側ケース503は、左右の前方シリンダ508それぞれの下側であってピストンシリンダ516より後方となる位置に、後述のパイロットバルブ537への制御ポートとなる油路533を設けている。油路533は、前方シリンダ508下方に穿設した縦穴534と、前側ケース505背面(固定用フランジ505側の面)から前方に穿設した横穴535とを連結させて構成している。
後側ケース504は、前後に貫通させた後方シリンダ536を左右一対に構成しており、前側ケース503に設けた左右一対の前方シリンダ508それぞれと後方シリンダ536の前端を連通させる一方、入力側ピストン501後端を後方シリンダ536後端から突出させている。後方シリンダ536前端には、前側ケース503の前方シリンダ508から突出した出力側ピストン523とチェックバルブ527とが挿入されており、チェックバルブ527の後端面に、入力側シリンダ501の前端面を当接させている。
後側ケース504は、左右一対の後方シリンダ536の下側に、軸体形状の弁体538を備えるパイロットバルブ537を左右一対に備えている。パイロットバルブ537の弁体538は、後方端面から軸方向に沿って穿設させた中空部539を備えており、弁体538前端部の外周壁に中空部539と連通させる連通孔540を設けている。後側ケース504は、左右一対の後方シリンダ536それぞれの下側に、パイロットバルブ537の弁体538を前後方向に摺動させるバルブ用シリンダ541を左右一対に並設している。
バルブ用シリンダ541は、後方ケース504の前端面から穿設されており、その前端開口部を前方ケース503における油路(制御ポート)533の横穴535の後端開口部と連通させている。後側ケース504は、左右一対のバルブ用シリンダ541後端それぞれに、後方に向かって穿孔したシリンダ後方油路542を設けている。バルブ用シリンダ541は、入力ポートとなる縦方向の油路543を介して、後方シリンダ536の前方部分(中間油室551)と連通しており、シリンダ後方油路542は、出力ポートとなる縦方向の油路544を介して、後方シリンダ536の後方部分(後方油室552)と連通している。
弁体538の中空部539には、シリンダ後方油路542に後端側を挿入させたバネ545の前端が挿入されている。弁体538の中空部539及びシリンダ後方油路542それぞれに段差が設けてあり、中空部539の段差にバネ545の前端を当接させる一方で、シリンダ後方油路542の段差にバネ545の後端を当接させている。従って、弁体538は、シリンダ後方油路542の段差に係止させたバネ545によって、前方(前側ケース502側)に付勢され、制御ポート533の油圧が低い場合は、弁体538の前端が前側ケース502の後端面に当接する。また、制御ポート533の油圧が高くなり、制御ポート533からの油圧による押圧力がバネ545の付勢力を超えると、弁体538が後方に摺動する。尚、弁体538は、バルブ用シリンダ541の後端部分によって、後方への移動が規制されている。
後側ケース504における左右後方シリンダ536それぞれの後方部分(後方油室552)は、戻り油路546〜549を介して、前側ケース503のリザーバタンク507と連通している。後側ケース504において、戻り油路546が、左右一対の後方シリンダ536における後方部分(後方油室552)を連通させるよう、後方シリンダ536の間で左右方向に穿設されている。また、後側ケース504は、戻り油路547を、戻り油路546の中間位置から上方向に穿設した縦方向の油路として構成し、戻り油路548を戻り油路547の上端から前方向に穿設した前後方向の油路として構成している。そして、戻り油路548は、後側ケース504の前端面で開口しており、前側ケース503においてリザーバタンク507の後方から前側ケース503後端面に向かって穿孔させた戻り油路549の開口部と連通している。
前方シリンダ508は、中途部から前方の内径を中途部から後方の内径より太くなるような段差を設けており、中途部から後方の内径を出力側ピストン523の外径R1と同等に構成している。前方シリンダ508は、上記段差から前方部分(内径の太い部分)により、油圧配管用油路514、イコライザピストン用油路518、及びパイロットバルブ用油路(制御ポート)533と連通する前方油室(第1油室)550を構成している。前方シリンダ508における前方油室550において、出力側ピストン523前端が前後方向に移動することで、ブレーキシリンダ255に対する作業油の吐出又は吸入を行う。
また、出力側ピストン523の切欠部525前方となる前端部分の外径をR1とするとともに、出力側ピストン523における切欠部525の軸方向長さL2を、出力側ピストン523のストローク長L1以上としている。従って、ブレーキペダル35が非操作状態となるときには、図19に示すように、チェックバルブ510の弁体511の外周面下側に出力側ピストン523の前端外周部分が当接して、弁体511が傾斜することで、チェックバルブ510が開いた状態となり、前方油室550とリザーバタンク507とを連通させている。
一方、ブレーキペダル35が操作されて、入力側ピストン501を介して出力側ピストン523が前方に押し込まれると、出力側ピストン523の切欠部525がチェックバルブ510の下方に位置することとなル。従って、チェックバルブ510が動作可能となり、前方油室550及びリザーバタンク507それぞれの油圧に応じて弁体511が開閉する。なお、出力側ピストン523の押し込みにより、通常は、前方シリンダ507における前方油室550の圧力がリザーバタンク507の圧力より高くなり、弁体511が傾斜状態から直立状態に遷移するため、チェックバルブ510が閉じた状態となり、前方油室550とリザーバタンク507とを非連通とする。
後方シリンダ536は、中途部から前方の内径を中途部から後方の内径より太くなるような段差を設けており、中途部から前方の内径を入力側ピストン501前端部分の外径R2(R2>R1)と同等に構成している。入力側ピストン501は、後方のロッド部分の外径に対して前端のピストン部分の外径を太くした形状を有しており、入力側ピストン501前端のピストン部分を後方シリンダ536の段差部分に当接させて、入力側ピストン501の後方移動を規制している。
後方シリンダ536は、上記段差から前方部分(内径の太い部分)により、出力側ピストン523及びチェックバルブ527が挿入される中間油室(第2油室)551を構成している。そして、中間油室(第2油室)551は、パイロットバルブ用油路(入力ポート)543と連通している。また、後方シリンダ508は、上記段差から後方部分(内径の細い部分)において、上記段差付近にパイロットバルブ用油路(出力ポート)544及び戻り油路546と連通する後方油室(第3油室)552を構成している。更に、後方シリンダ536は、上記段差から後方部分(内径の細い部分)の後端部分の内径を、入力側ピストン501のロッド部分(外径の細い部分)と略同径としている。そして、入力側ピストン501のロッド部分と後方シリンダ508との間にOリングなどを介在させて、後方油室(第3油室)552を密封させている。
前側ケース503上方を覆う上蓋506には、リザーバタンク507と連通する入力ポート(油圧供給口)553及び出力ポート(油圧吐出口)554を設けている。入力ポート553は、油圧式昇降機構22等の外部の油圧機器の油圧回路と油圧配管を通じて連結して、外部から作業油が供給されるとともに、不図示のフィルタを内装して、重要保安部品であるブレーキバルブ254への塵や異物の混入を防止している。出力ポート554は、ミッションケース17の油圧回路と油圧配管を通じて連結して、リザーバタンク507の作業油をミッションケース17内の油圧タンク(図示省略)に戻す。
上記したように、ブレーキバルブ254は、入力側ピストン(第1ピストン)501と出力側ピストン(第2ピストン)523とに分離構成したブレーキピストンを、ブレーキペダル35により往復動させるように内挿している。そして、入力側ピストン501の断面積を、出力側ピストン523の断面積よりも大きく設定している。具体的には、入力側ピストン501の外径R2を出力側ピストン523の外径R1よりも太く設定している。また、ブレーキバルブ254において、ブレーキペダル35の踏み込み操作によって、入力側ピストン501を先に移動させてから出力側ピストン523が移動する。従って、ブレーキペダル35の踏み込み初期は、入力側ピストン501によって短めのストロークでブレーキ圧を効かせ、その後は出力側ピストン523によって軽い踏力で大きなブレーキ圧を作用させることができる。これにより、ブレーキバルブ254におけるブレーキピストンのストローク長L1を長くすることなく、軽い踏力でブレーキを効かせることができるため、ブレーキペダル35の操作性や制動性能を向上できる。
ブレーキバルブ254は、ブレーキペダル35により往復動する左右一対のブレーキピストン501,523と、前記両ブレーキピストン501,523を内装するシリンダ508に連通する油室(ピストンシリンダ)516内を変位するイコライザピストン519とを備える。イコライザピストン519の各端部にそれぞれ対応するブレーキピストン501,523でのブレーキ圧を作用させ、シリンダ518内でイコライザピストン519を変位させる。左右のブレーキペダル35を同時に踏んだ際に左右の踏力差があったとしても、各ブレーキピストン501,523でのブレーキ圧の差でイコライザピストン519を移動させることによって、左右のブレーキピストン501,523でのブレーキ圧の差を吸収して、ブレーキ圧を左右同程度にできる(左右車輪4の制動力を同程度にできる)。
ブレーキバルブ254に内挿するブレーキピストンが、ブレーキペダル35に押圧される入力側ピストン(第1ピストン)501と、走行機体2の左右車輪4を制動させるブレーキシリンダ255への作動油の吐出又は吸入を行う出力側ピストン(第2ピストン)523とで分離構成されている。これにより、ブレーキペダル35の踏み込み操作によって、入力側ピストン501を先に移動させてから出力側ピストン523が移動し、各ブレーキピストンの出力側ピストン523同士をイコライザピストン519経由で連通させ、出力側ピストン523同士のブレーキ圧を調整している。
入力側ピストン(第1ピストン)501と出力側ピストン(第2ピストン)523の間にチェックバルブ527を介在させて、入力側ピストン501と出力側ピストン523の連結部分(中間油室551)での圧力(ブレーキ圧)が、出力側ピストン523の圧力(ブレーキ圧)より高くなると、チェックバルブ527を作動して入力側ピストン501の出力側(中間油室551)と出力側ピストン523の出力側(前方油室550)とを連通させて、入力側ピストン501側の圧力(ブレーキ圧)を出力側ピストン523側に逃がす。このとき、チェックバルブ527の作動により、入力側ピストン501の変位に基づく流量の作業油がブレーキシリンダ255に吐出される。入力側ピストン501を出力側ピストン523に連結させた状態を維持することができ、入力側ピストン501からの押圧力を出力側ピストン523に伝達させることができる。従って、ブレーキペダルの踏み込み初期において、入力側ピストン501によって短めのストロークでブレーキ圧を効かすことができ、ブレーキペダル35の操作性の向上に寄与する。
ブレーキバルブ245は、入力側ピストン(第1ピストン)501の入力側(後方油室552)と連通するリザーバタンク507を備え、入力側ピストン501の出力側(中間油室551)とリザーバタンク507との間にパイロットバルブ537を介在させる。パイロットバルブ537は、出力側ピストン(第2ピストン)523のブレーキ圧が所定圧力より高くなったときに作動して、入力側ピストン501の出力側(中間油室551)をリザーバタンク507に連通させ、入力側ピストン501のブレーキ圧を開放させる。このとき、パイロットバルブ537が開くことで、チェックバルブ527が閉じて、出力側ピストン523の変位に基づく流量の作業油がブレーキシリンダ255に吐出される。即ち、ブレーキペダル35の踏み込み操作によって出力側ピストン523側のブレーキ圧が所定圧力に達すると、パイロットバルブ537が作動して入力側ピストン501側のブレーキ圧をリザーバタンク507に逃がし、出力側ピストン523だけでブレーキ圧を保持できる。入力側ピストン501によるブレーキ作動状態から出力側ピストン523によるブレーキ作動状態への切換が円滑になるため、ブレーキペダル35の操作性の向上に寄与する。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。