本発明の透過潜像印刷物(1)の概要について説明する。本発明の透過潜像印刷物(1)は、基材(2)の少なくとも一部に、基材(2)と異なる色の第1の反射画像(10)と透過画像(20)が形成される。図1(a)は、基材(2)の一部に、第1の反射画像(10)と透過画像(20)が形成された例を示し、図1(b)は、基材(2)全体に、第1の反射画像(10)と透過画像(20)が形成された例を示したもので、以降の説明では、図1(a)に示す構成について説明する。第1の反射画像(10)と透過画像(20)は、図1(c)及び図1(d)に示すように、異なる画像であり、ここでは、例として、第1の反射画像(10)は、図1(c)に示す「波」の画像で形成され、透過画像(20)は、図1(d)に示す「富士山」の画像で形成された透過潜像印刷物(1)について説明する。
第1の反射画像(10)及び透過画像(20)の詳細な構成については後述するが、本発明の透過潜像印刷物(1)は、図2(a)に示すように、反射光下で観察すると第1の反射画像(10)のみが視認され、図2(b)に示すように、透過光下で観察すると透過画像(20)のみが視認される。以下、本発明の透過潜像印刷物(1)の詳細について説明する。
(第1の実施の形態)
(基材)
第1の実施の形態の透過潜像印刷物(1)において使用される基材(2)は、印刷用の色材が形成可能な平面を備えていれば良く、例えば、紙類、フィルム、プラスチック等が挙げられる。また、第1の実施の形態において、基材(2)は、光透過性を有し、具体的には、透過光下で透過画像(20)を観察するために、不透明度が70%以下の基材(2)を用いる必要があり、透過画像(20)の視認性を高めるには、透明フィルムを用いることが好ましい。
図3(a)は、透過潜像印刷物(1)の平面図である。本実施の形態において、第1の反射画像(10)は、図3(b)に示す「波」、透過画像は、図3(c)に示す「富士山」の画像の例で説明するが、本発明において、第1の反射画像(10)と透過画像(20)は、これに限定されるものではなく、他の模様、文字、記号、図形等であっても良い。
(第1の反射画像)
図3(b)に示す第1の反射画像(10)は、図4(a)に示す、「波」の画像である第1の基画像(100)を基に形成されたものである。以下、第1の反射画像(10)を形成する方法について説明する。
第1の反射画像(10)は、図4(b)に示すように、第1の基画像(100)が線幅(W1)で万線状に分割された複数の画像要素(101)のうち、互いに隣合うことのない複数の画像要素(101)によって構成される。なお、図4(b)において、第1の基画像(100)が万線状に分割された画像要素(101)を区別するため、分割された画像要素(101)を、上から順に異なる符合で示している。第1の基画像(100)が万線状に分割された画像要素(101−1、101−2、・・・、101−n)の線幅(W1)は、全て同じ大きさでも良いし、部分的に異なる大きさであっても良いが、ここでは、全て同じ大きさで分割される例について説明し、線幅(W1)が部分的に異なる大きさで分割される例については後述する。
本発明において、互いに隣合うことのない画像要素(101)とは、第1の基画像(100)が分割された画像要素(101)のうち、図4(b)に示す、奇数番目にある画像要素(101−1、101−3、・・・、101−(n−2)、101−n(nは奇数の整数))か、又は、偶数番目にある画像要素(101)のことであり、いずれかの画像要素(101)によって、第1の反射画像(10)が構成される。ここでは、図4(c)に示すように、第1の基画像(100)が分割された画像要素(101)のうち、奇数番目にある画像要素(101−1、101−3、・・・、101−(n−2)、101−n(nは奇数の整数))によって、第1の反射画像(10)が構成される例について説明するが、この場合、偶数番目にある画像要素(101)は、基材(2)に形成されることはない。
ここでは、図4(b)に示す第1の方向(V1)に向かって、第1の基画像(100)が万線状に分割された状態を示したが、万線状に分割する第1の方向(V1)は、図4(b)に示す方向に限定されるものではく、図4(b)に示す分割する方向と直交する方向でも良いし、図4(b)に示す第1の基画像(100)に対して、斜めの方向であっても良い。
また、図4(b)では、第1の基画像(100)内で、一つの同じ方向に万線状に分割された状態を示しているが、第1の基画像(100)を複数の領域に分割し、分割された領域同士で異なる方向に分割しても良い。
また、図4(b)では、万線状に分割される例として、第1の基画像(100)が直線状に分割されているが、本発明において、万線状とは、隣同士の画線が交差しなければ良く、例えば、波線状であっても良いし、鋸刃状であっても良いし、同心円状であっても良い。
第1の基画像(100)から、第1の反射画像(10)を構成する画像要素(101)を抽出するためには、予め作成した第1の基画像(100)の画像データを、画像処理ソフトに入力又は画像処理ソフト上で第1の基画像(100)を作成し、第1の基画像(100)をマスク処理することで、第1の基画像(100)から、互いに隣合うことのない画像要素(101)を抽出することができる。なお、予め第1の基画像(100)の画像データを作成する方法としては、スキャナを用いて写真や印刷物の画像を取得しても良いし、カメラを用いて、所望とする立体物の画像を取得すれば良い。
ここで、本発明でいうマスク処理について説明する。マスク処理とは、画像処理ソフトによる処理であって、図5(a)に示すマスク画像(150)と図5(b)に示す第1の基画像(100)を、図5(c)に示すように、重ね合わせて、第1の基画像(100)に対して、マスク画像のマスク領域(150A)が重なる部分の第1の基画像(100)のデータを白色に置き換える処理のことである(図5(d))。図4(b)に示す同じ線幅(W1)で分割された第1の基画像(100)から図4(c)に示す画像要素(101)を抽出する場合、図5(a)に示すマスク領域(150A)である画線の幅(W’1)と間隔(T’1)は、線幅(W1)と同じ大きさとすることで、線幅(W1)の画像要素(101)を抽出することができる。ここでは、同じ線幅(W1)で分割された第1の基画像(100)から画像要素(101)を抽出する方法について説明したが、マスク画像(150)は、第1の基画像(100)と同じ大きさとし、第1の基画像(100)から抽出する画像要素(101)に応じて、マスク領域(150A)である画線の幅(W’1)と間隔(T’1)を設定すれば良い。
マスク処理によって、抽出された画像要素(101)のデータを基にして、オフセット印刷、フレキソ印刷等の版式による印刷方式又は版面を用いないインクジェットプリンタ等のデジタル印刷方式によって、図6に示すように、抽出された線幅(W1)の画像要素(101)を第1の画像要素(11)として基材(2)に形成する。
本発明において、基材(2)に形成される第1の画像要素(11)は、光遮断性を有し、透過光下で観察したときに、透過する光を遮断して、第1の画像要素(11)自体が見えなくなるという効果を有する。このような効果を得るために、第1の画像要素(11)は、光遮断性のインキを用いて形成され、具体的には、金属顔料インキやチタンインキに着色顔料を添加したインキがある。
(透過画像)
図3(c)に示す透過画像(20)は、図7(a)に示す、「富士山」の画像である第2の基画像(200)を基に形成されたものである。以下、透過画像(20)を形成する方法について説明する。
本発明において、第2の基画像(200)は、第1の基画像(100)の分割と同じ規則性で分割される。ここでいう規則性とは、第1の基画像(100)が分割される条件と同じ条件で分割されることであり、図4(b)に示す線幅(W1)の直線で分割された第1の基画像(100)に対して、図7(b)に示す第2の基画像(200)は、同じ線幅(W2)の直線で分割される。ここでは、図4(b)と図7(b)に示すように、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)が、直線で万接状に分割される例について説明するが、仮に、第1の基画像(100)が波線状に分割される場合は、第2の基画像(200)も波線状に分割され、第1の基画像(100)が鋸刃状に分割される場合は、第2の基画像(200)も鋸刃状に分割される。
図7(b)に示すように、第2の基画像(200)が万線状に分割された画像要素(201)のうち、透過画像(20)は、互いに隣合うことのない複数の画像要素(201)によって構成される。なお、図7(b)において、第2の基画像(200)が万線状に分割された画像要素(201)を区別するため、分割された画像要素(201)を、上から順に異なる符合で示している。
第2の基画像(200)が万線状に分割された画像要素(201)において、互いに隣合うことのない画像要素(201)とは、第2の基画像(200)が分割された画像要素(201)のうち、図7(c)に示す、奇数番目にある画像要素(201−1、201−3、・・・、201−(n−2)、201−n(nは奇数の整数))か、又は、偶数番目にある画像要素(201)のことであり(図示せず)、いずれかの画像要素(201)によって、透過画像(20)が構成される。ここでは、図7(c)に示すように、第2の基画像(200)が分割された画像要素(201)のうち、奇数番目にある画像要素(201−1、201−3、・・・、201−(n−2)、201−n(nは奇数の整数))によって、第2の反射画像(20)が構成される例について説明するが、この場合、偶数番目にある画像要素(201)は、基材(2)に形成されることはない。
図7(b)では、第1の方向(V1)に第2の基画像(200)が分割された状態を示しているが、本発明において、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)が分割される方向は同じである。第1の基画像(100)と第2の基画像(200)を分割する方向が同じであれば、第2の基画像(200)が分割される方向は、図7に示す方向に限定されるものではない。
第2の基画像(200)が万線状に分割された画像要素(201−1、201−2、・・・、201−n)の線幅(W2)は、全て同じ大きさでも良いし、部分的に異なる大きさであっても良いが、ここでは、全て同じ大きさであって、第1の基画像(100)が分割された画像要素(101)の線幅(W1)と第2の基画像(200)が分割された画像要素(201)の線幅(W2)が等しい例について説明する。なお、線幅(W2)が部分的に異なる大きさで分割される例については後述する。
第2の基画像(200)から、透過画像(20)を構成する画像要素(201)を抽出する方法は、第1の基画像(100)を構成する画像要素(101)を抽出する方法と同様であり、第2の基画像(200)から抽出する画像要素(201)に応じて、マスク領域である画線の幅と間隔を設定すれば良い。抽出された画像要素(201)は、図8に示すように、第2の画像要素(21)として基材(2)に形成する。
本発明において、基材(2)に形成された第2の画像要素(21)は、光透過性を有し、透過光下で観察したときに、光を透過して、第2の画像要素(21)自体が見えるという効果を有する。このような効果を得るために、第2の画像要素(21)は、光透過性のインキを用いて形成され、第1の画像要素(11)を形成するインキに対して、金属等の光遮断性の材料を含まなければ良く、具体的には、オフセット、IJP、水性インキを用いることができる。
(反射画像と透過画像の配置)
続いて、第1の反射画像(10)を構成する第1の画像要素(11)と透過画像(20)を構成する第2の画像要素(21)の配置について説明する。
図9は、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の配置を示す図である。
第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)は、図9に示すように、交互に配置される。第1の基画像(100)と第2の基画像(200)は、同じ線幅(W1、W2)で分割され、かつ、互いに隣合わない画像要素が抽出されることによって、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が交互に配置されたときに、第1の画像要素(11)は、第1の基画像(100)の基の位置に対応して配置される。なお、第1の画像要素(11)が第1の基画像(100)の基の位置に対応して配置されるとは、例えば、図4(c)に示す画像要素(101−1、101−3、101−5、・・・、101−(n−2)、101−n)が抽出されたときに、抽出された画像要素(101−1、101−3、101−5、・・・、101−(n−2)、101−n)が、第1の基画像(100)の基の位置関係を保ったまま基材(2)に形成されることである。これと同様に、第2の画像要素(21)もまた、第2の基画像(200)の基の位置に対応して配置される。
以上の説明では、第1の反射画像(10)と透過画像(20)が、万線状に配置された画像要素から成る構成について説明したが、続いて、格子状に配置された画像要素から成る構成について説明する。
(第1の反射画像)
図10(a)は、第1の基画像(100)が格子状に分割された状態の一例を示す図であり、ここでは、第1の基画像(100)が、長方形の画像要素(101)によって、二つの異なる方向に分割された構成について説明する。図10(a)において、第1の基画像(100)が格子状に分割された画像要素(101)を区別するため、分割された画像要素(101)を、異なる符合で示しており、図10(a)に示す符号「101」以降の数字は、格子状に分割された画像要素の行方向と列方向の順番を示すものである。
図10(a)では、第1の方向(V1)と、第1の方向(V1)と直行する第2の方向(V2)に、第1の基画像(100)が分割された状態を示しているが、第1の基画像(100)を格子状に分割する方向は、図10(a)に示す方向に限定されるものではない。
また、格子状に分割された複数の画像要素(101)の幅(D1)は、全て同じ大きさでも良いし、部分的に異なっても良い。また、格子状に分割された複数の画像要素(101)の高さは、全て同じ大きさでも良いし、部分的に異なっても良い。ここでは、格子状に分割された画像要素(101)が全て同じ幅と高さで分割される例について説明する。
図10(a)に示す格子状に分割された画像要素(101)の形状は、幅(D1)、高さ(H1)の長方形の例であるが、画像要素(101)の形状は、正方形であっても良いし、格子状に分割された所定の幅(D1)と高さ(H1)の範囲内において画像要素(101)の形状は長方形以外の形状、例えば、三角形、五角形等の多角形や、文字、図形、記号等の形状であっても良い。
第1の基画像(100)が格子状に分割された場合もまた、第1の反射画像(10)は、格子状に分割された画像要素(101)のうち、互いに隣合うことのない複数の画像要素(101)によって構成される。格子状に分割された場合の、互いに隣合うことのない画像要素(101)とは、図10(b)に示すように、分割された一つの画像要素(101)に対して、行方向(第1の方向)と列方向(第2の方向)に隣合わない画像要素のことである。なお、格子上に分割された画像要素(101)から、互いに隣合うことのない複数の画像要素(101)を抽出する方法は、第1の基画像(100)が万線状に分割された場合と同様であり、マスク画像によってマスクする領域の形状を変更すれば良い。そして抽出された画像要素(101)を第1の画像要素(11)として基材(2)に形成することで第1の反射画像(10)を形成することができる。
図10では、長方形の画像要素(101)によって、第1の基画像(100)が格子状に分割される例について説明したが、格子状に分割する他の例としては、図11(a)に示すように、第1の基画像(100)を三角形の画像要素(101)によって分割して、図11(b)に示すように、互いに隣合わない画像要素(101)を抽出しても良い。
(透過画像)
図12(a)は、第2の基画像(200)が格子状に分割された状態を示す図である。このとき、第2の基画像(200)は、第1の基画像(100)の分割と同じ規則性で分割され、図12(a)に示す第2の基画像(200)が分割された画像要素(201)の幅(D2)と高さ(H2)は、図10(a)に示す第1の基画像(100)が分割された画像要素(101)の幅(D1)、高さ(H1)と同じである。なお、図12(a)において、第2の基画像(200)が格子状に分割された画像要素(201)を区別するため、分割された画像要素(201)を、異なる符合で示しており、図12(a)に示す符号「201」以降の数字は、格子状に分割された画像要素の行方向と列方向の順番を示すものである。
図12(a)では、図10(a)に示す第1の基画像(100)が分割された第1の方向(V1)と第2の方向(V2)と同じ方向に、第2の基画像(200)が分割された状態を示しており、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)が格子状に分割される場合においても、二つの基画像(100、200)が分割される方向は、同じ方向である。
また、格子状に分割された複数の画像要素(201)の幅(D2)は、全て同じ大きさでも良いし、部分的に異なっても良い。また、格子状に分割された複数の画像要素(201)の高さは、全て同じ大きさでも良いし、部分的に異なっても良い。ここでは、格子状に分割された画像要素(201)が全て同じ幅と高さであって、第1の基画像(100)が分割された画像要素(101)の幅(D1)と高さ(H1)のそれぞれが、第2の基画像(200)が分割された画像要素(200)の幅(D2)と高さ(H2)のそれぞれと等しい例について説明する。
図12(a)に示す格子状に分割された画像要素(201)の形状は、幅(D2)、高さ(H2)の長方形の例であるが、画像要素(201)の形状は、正方形でも良いし、格子状に分割された所定の幅(D2)と高さ(H2)の範囲内において画像要素(201)の形状は長方形以外の形状、例えば、三角形、五角形等の多角形や、文字、図形、記号等の形状であっても良い。
第2の基画像(200)が格子状に分割された場合もまた、透過画像(20)は、格子状に分割された画像要素(201)のうち、互いに隣合うことのない複数の画像要素(201)によって構成される。格子状に分割された場合の、互いに隣合うことのない画像要素(201)とは、図12(b)に示すように、分割された一つの画像要素(201)に対して、行方向(第1の方向)と列方向(第2の方向)に隣合わない画像要素のことである。なお、格子上に分割された画像要素(201)から、互いに隣合うことのない複数の画像要素(201)を抽出する方法は、第2の基画像(200)が万線状に分割された場合と同様であり、マスク画像によってマスクする領域の形状を変更すれば良い。そして抽出された画像要素(201)を第2の画像要素(21)として基材(2)に形成することで透過画像(20)を形成することができる。
続いて、格子状に分割され抽出された画像要素(101、201)を基に形成された第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の配置について説明する。
格子状に分割され抽出された画像要素(101、201)は、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)として基材(2)に形成され、図13に示すように、交互に配置される。第1の基画像(100)と第2の基画像(200)は、同じ幅(D1、D2)と高さ(H1、H2)で分割され、かつ、行方向と列方向で互いに隣合わない画像要素が抽出されることによって、第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が交互に配置されたときに、第1の画像要素(11)は、第1の基画像(100)の基の位置に対応して配置され、第2の画像要素(21)もまた、第2の基画像(200)の基の位置に対応して配置されることとなる。
(発明の効果)
本発明の透過潜像印刷物(1)を反射光下で観察すると、第1の画像要素(11)は光遮断性によって光が透過しないため、第1の画像要素(11)の色がそのまま観察される。一方、第2の画像要素(21)及び基材(2)は光透過性を有しているため一部の光は透過することから観察される印刷濃度は淡くなる。このため第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の視認性に差が生じ、より観察されやすい第1の画像要素(11)から成る第1の反射画像(10)が観察される。
一方、本発明の透過潜像印刷物(1)を透過光下で観察すると、第1の画像要素(11)は光遮断性を有するため、光は遮断され画像は暗く観察されるが、第2の画像要素(21)は光透過性を有しているため画像は明るく観察される。このため第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)の視認性に差が生じ、より観察されやすい第2の画像要素(21)から成る透過画像(20)が観察される。このように、本発明の透過潜像印刷物(1)は、反射光下と透過光下で観察したときに、視認できる画像が変化し、これを真偽判別に用いることができる。
特許文献2の技術は、有色浸透インキを用いて形成した画像が、透過光下で消失するために、画像全体の濃度が淡い色に制限されるものであった。これに対して、本発明の透過潜像印刷物(1)は、光遮断性を有する第1の画像要素(11)と光透過性を有する第2の画像要素(21)を交互に配置して、反射光下と透過光下で視認される画像のコントラストを得るもので、この原理によれば、印刷画像の濃度が淡い色に限定されることがなく、また、複数の色を用いて第1の反射画像(10)と透過画像(20)を形成することも可能である。
続いて、第1の基画像(100)が万線状に分割された画像要素(101)の線幅(W1)と、第2の基画像(200)が万線状に分割された画像要素(201)の線幅(W2)が部分的に異なる構成について説明する。
本発明の透過潜像印刷物(1)は、図9及び図13に示すように、交互に配置された第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)の基の位置に対応して形成されることが必須の構成であり、この関係を満たしていれば、第1の画像要素(11)の線幅(W1)と第2の画像要素(21)の線幅(W2)が異なっても良く、その場合には、分割される画像要素(101、201)の線幅も部分的に異なることとなる。詳細について図面を用いて説明する。
図14(a)は、第1の基画像(100)が部分的に異なる線幅(W1)で分割された状態を示しており、このとき、互いに隣り合うことのない画像要素(101−1、101−3、・・・、101−n(nは奇数の整数))の線幅(W1−1)はすべて同じ大きさであり、残りの互いに隣り合うことない画像要素(101−2、101−4、・・・、101−(n−1)(nは奇数の整数))の線幅(W1−2)は、すべて同じ大きさであり、かつ、線幅(W1−1)とは異なる大きさで分割される。すなわち、図14(a)では、第1の基画像(100)が、線幅(W1−1)の画像要素(101)と線幅(W1−2)の画像要素(101)によって交互に分割された状態となっている。
第1の反射画像(10)は、第1の基画像(100)が、二つの線幅で分割された画像要素のうちの一方を第1の画像要素(11)として基材(2)に形成すれば良く、図14(b)では、線幅(W1−1)の画像要素(101−1、101−3、・・・101−n(nは奇数の整数))を第1の画像要素(11)として形成した状態を示している。続いて、図14(b)に示す第1の反射画像(10)に対して、形成される透過画像(20)の構成について説明する。
図15(a)は、第2の基画像(200)が部分的に異なる線幅(W2)で分割された状態を示しており、このとき、互いに隣り合うことない画像要素(201−1、201−3、・・・、201−n(nは奇数の整数))の線幅(W2−1)はすべて同じ大きさであり、残りの互いに隣り合うことない画像要素(201−2、201−4、・・・、201−(n−1)(nは奇数の整数))の線幅(W2−2)は、すべて同じ大きさであり、かつ、線幅(W2−1)とは異なる大きさで分割される。すなわち、図15(a)では、第2の基画像(200)が、線幅(W2−1)の画像要素(201)と線幅(W2−2)の画像要素(201)によって交互に分割された状態となっている。さらに、第2の基画像(200)が分割される二つの線幅(W2−1、W2−2)は、第1の基画像(100)が分割される二つの線幅(W1−1、W1−2)と同じであり、図15(a)においては、線幅(W1−1)と線幅(W2−1)が同じ大きさであり、線幅(W1−2)と線幅(W−2)が同じ大きさとなっている。このように、第1の基画像(100)が異なる線幅で分割されるのと同じ規則性で第2の基画像(200)も分割される。
以上のようにして、第2の基画像(200)が分割された画像要素(201)において、前述のように、透過画像(20)を構成する第2の画像要素(21)を第2の基画像(200)の基の位置に対応して配置するために、図15(b)に示すように、線幅(W2−2)の画像要素(201)を第2の画像要素(21)として形成する。すなわち、基材(2)に、図14(a)に示す第1の基画像(100)が分割された画像要素(101)のうち、奇数番目の画像要素(101)と、その間に、図15(a)に示す第2の基画像(200)が分割された画像要素(201)のうち、偶数番目の画像要素(201)が形成されることで、基材(2)に形成される二つの画像要素(11、21)は、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)の基の位置に対応して配置されることとなる。なお、図14(a)に示す線幅(W1−2)の画像要素(101)と図15(a)に示す線幅(W2−1)の画像要素(201)を基材(2)に形成しても良い。
このように、線幅が異なる第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)を形成する場合、一方の画像要素の線幅が極端に小さいと、小さい方の画像要素によって形成される第1の反射画像(10)又は透過画像(20)の視認性が低下するため、小さい方の線幅は100μm以上の線幅で形成するのが良い。
図14及び図15では、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)が、二つの線幅で分割され、抽出された二つの線幅の第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が形成される例について説明したが、抽出された画像要素(101、201)のそれぞれが、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)の基の位置に対応して形成されれば、複数の第1の画像要素(11)の中で線幅が異なっても良いし、それに対応して、複数の第2の画像要素(21)の中で線幅が異なっても良い
また、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)が格子状に分割される画像要素(101、201)の場合においても、これと同様にして、格子状に分割された画像要素(101、201)の幅(D)と高さ(H)を部分的に異ならせても良い。
以上に説明した第1の画像要素(11)は、光遮断性のインキによって形成される例であるが、第1の画像要素(11)の変形例について、図16を用いて説明する。なお、第1の反射画像(10)が万線状に配置された第1の画像要素(11)によって形成される例について説明する。
図16(a)は、透過潜像印刷物(1)の平面図で、第1の反射画像(10)の構成を示す図であり、図16(b)は、図16(a)のA−A’線における断面図を示す図である。変形例において第1の画像要素(11)は、図16(b)の断面図に示すように、光遮断性の光遮断層(30)の上に光透過性又は光遮断性の第1aの画像要素(11A)が積層されて成る。
(光遮断層)
図17(a)は、光遮断層(30)の構成を示す図である。光遮断層(30)は透過光を遮断する必要があるため、金属顔料インキ、黒色インキ、酸化チタンを含む白インキといった光遮断性の高いインキを用いて形成する。また、インキの他に金属箔を用いても良い。また、光透過性のインキであっても、凹版、スクリーン印刷によって、インキ膜を厚く印刷することで、光遮断性を得ることも可能である。
光遮断層(30)は、第1aの画像要素(11A)が形成される位置に、予め基材(2)に形成されるものであり、例として、図17(b)に示すように、線幅(W1)の第1aの画像要素(11A)に対しては、光遮断層(30)も同じ線幅(W1)で万線状に形成される。
(第1aの画像要素の構成)
第1aの画像要素(11A)は、第1の基画像(100)を分割して抽出された画像要素(101)を基に、光透過性インキ又は光遮断性インキによって光遮断層(30)の上に形成される。このとき、光遮断層(30)が黒色の場合、第1aの画像要素(11A)は、光遮断性のインキで形成する必要がある。これは、第1aの画像要素(11A)を光透過性インキで形成すると、反射光下の観察で、第1aの画像要素(11A)を透過した光が、光遮断層(11)で吸収されて、第1aの画像要素(11A)の色が視認できなくなる、すなわち、第1の反射画像(10)が視認できなくなるからである。
一方、光遮断層(30)が黒でない有彩色であれば、第1aの画像要素(11A)を、光透過性のインキを用いて形成しても、その色を視認することができるが、光遮断層(30)の色が第1の反射画像(10)に影響しないために、白色の光遮断層(30)とするのが好ましい。
図17では、光遮断層(30)の線幅と第1aの画像要素(11A)の線幅が等しい構成について説明したが、光遮断層(30)と第1aの画像要素(11A)の位置合わせに許容を持たせるために、光遮断層(30)の線幅よりも第1aの画像要素(11A)の線幅を若干小さく設計して、光遮断層(30)の上に第1aの画像要素(11A)を形成しても良い。
以上の構成で成る第1の画像要素(11)の変形例において、光遮断層(30)の上に、光遮断性のインキで第1aの画像要素(11A)を形成すれば、透過光下で光を遮断する効果が高くなって、コントラストが向上する。また、第1aの画像要素(11A)を光透過性のインキで形成する場合は、第2の画像要素(21)と同じインキとなることから、光透過性印刷物(1)を形成するインキの数を減らすことができる。
第1の画像要素(11)の変形例について、光遮断層(30)の上に、第1aの画像要素(11A)が積層されて成る構成について説明したが、基材(2)の一方の面に第1aの画像要素(11A)のみが形成され、基材(2)の他方の面に光遮断層(30)が形成される構成でも良い。この場合、光遮断層(30)は、基材(2)を挟んで第1aの画像要素(11A)と同じ位置に形成される。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の透過潜像印刷物(1)は、光遮断性を有する基材(2)を用いたものである。第2の実施の形態において、光遮断性を有する基材(2)として、不透明度が70%より高い紙類、フィルム、プラスチックを用いる。
光遮断性を有する基材(2)に、光透過性の第2の画像要素(21)をそのまま形成しても、反射光下と透過光下で視認される画像が変化しなくなる。このため、第2の実施の形態では、光遮断性を有する基材(2)に、不透明度が70%以下の光透過性が高い領域(以降、光透過性領域(3)という。)を形成して第2の画像要素(21)を形成する。図18(a)に示すように、基材(2)に光透過性領域(3)を形成する方法としては、すき入れ加工、レーザー加工があり、このような加工方法によって、図18(b)に示すように、基材(2)の厚さを薄くして、基材(2)の不透明度を70%以下とすることができる。
また、基材(2)に紙材を用いる場合は、透過インキを用いて透明性を上げ、光透過性領域(3)を形成することもできる。ここでいう透過インキとは、印刷時に用紙内部へと浸透して印刷領域の透過率を上昇させる働きを成す成分のことを指し、具体的には、セルロースの屈折率(1.49)に近い樹脂やワックス、動植物油等を指す。これらの成分は、印刷した場合に用紙の中に存在するセルロース繊維間の空隙を埋め、主として用紙内部における光の散乱を抑制することで光の透過率を上げる働きを成す。
この透過インキとして市販されているものとしては、一般に透かしインキとして販売されているインキを用いても良い。このようなインキとしては、株式会社T&K TOKA製 ベストワン透かしインキ、株式会社T&K TOKA製 UV透かしインキ、帝国インキ製造株式会社製 ユニマーク、東洋インキ製造株式会社製 SMXすかしインキ、合同インキ株式会社製 E2ニス等が存在する。また、低粘度のOPニスも印刷したのち低粘度成分が浸透する効果を有するため、これらのインキを用いても良い。
以上に説明した方法で形成した光透過性領域(3)に、第1の実施の形態で説明した第1の反射画像(10)と透過画像(20)を形成することで、第1の実施の形態と同様な効果を有する透過潜像印刷物(1)を作製することができる(図18(c))。ここでは、図18に示すように、光遮断性を有する基材(2)の一部に光透過性領域(3)が形成された例について説明したが、光遮断性を有する基材(2)全体に、前述した加工を施して、基材(2)全体を光透過性領域(3)としても良い。
続いて、第2の実施の形態の透過潜像印刷物(1)の変形例について説明する。本発明の透過潜像印刷物(1)は、第1の実施の形態で説明した原理と効果からして、光透過性領域(3)に、透過画像(20)が形成されれば良く、第1の反射画像(10)は、光透過性領域(3)に形成される必要はない。すなわち、基材(2)に透過画像(20)が形成される領域のみ光透過性が高ければ良く、以下、その構成について説明する。例として、万線状に配置された第2の画像要素(21)から成る透過画像(20)とそれに対する、光透過性領域(3)について説明する。
図19(a)は、基材(2)に万線状に形成された光透過性領域(3)の構成を示す図である。光透過性領域(3)は、万線状に形成される第2の画像要素(21)に対応した大きさであり、第2の画像要素(21)が形成される位置に形成される。なお、光透過性領域(3)を形成する方法としては、前述のようにすき入れ加工、レーザー加工によって、図19(b)に示すように、部分的に基材(2)の厚さが薄い光透過性領域(3)を形成しても良いし、透過インキを印刷しても良い。
このようにして形成された光透過性領域(3)に、第2の画像要素(21)が形成され、基材(2)に対して加工が施されていない部分に第1の画像要素(11)が形成されることで、先に説明した透過潜像印刷物(1)と同様の効果を得ることができる。なお、第2の実施の形態においては、基材(2)が光遮断性を有することから、第1の反射画像(10)を構成する第1の画像要素(11)を形成するインキは、光透過性のインキを用いても良いし、第1の実施の形態と同様に、光遮断性のインキを用いても良いが、第2の画像要素(21)と同じ特性のインキとすることで、用いるインキの数を減らすことができるので、光透過性インキを用いるのが好ましい。
第1の画像要素(11)と第2の画像要素(21)が格子状に配置される場合においても、これと同様であり、基材(2)の第2の画像要素(21)が形成される位置に、予め光透過性領域(3)を形成することで、光遮断性の基材(2)の場合でも、格子状に形成された第2の画像要素(21)から成る透過画像(20)の形成が可能である。
第2の実施の形態のように、光遮断性の基材(2)においても、部分的に光透過性領域(3)を形成することで、前述のように透過潜像印刷物(1)を作製できることから、本発明で用いることができる基材(2)の範囲を広げることができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に対して、さらに、第2の反射画像(40)が形成される透過潜像印刷物(1)である。第3の実施の形態の透過潜像印刷物(1)の一例について、図20を用いて説明する。ここでは、第1の実施の形態で説明した透過潜像印刷物(1)に、第2の反射画像(40)が形成される例について説明する。
第3の実施の形態の透過潜像印刷物(1)は、図20(a)に示すように、基材(2)の一方の面に第1の反射画像(10)と透過画像(20)が形成され、図20(b)に示すように、第1の反射画像(10)が形成された面と反対側の面に第2の反射画像(40)が形成される。図20(a)に示す第1の反射画像(10)と透過画像(20)の構成については、第1の実施の形態と同様であるため省略し、続いて、第2の反射画像(40)の構成について説明する。
図20(b)に示す第2の反射画像(40)は、複数の第3の画像要素(41)から成り、第3の画像要素(41)は、第1の反射画像(10)を構成する第1の画像要素(11)を形成するのと同様にして、第3の基画像(ここでは、「花」の画像)を分割した画像要素のうち、互いに隣合うことのない複数の画像要素を、有色インキを用いて形成する。第3の画像要素(41)を形成する有色インキは、前述した光遮断性のインキを用いても良いし、前述した光透過性のインキを用いても良い。なお、第3の基画像を分割するときの画像要素の大きさは、第1の基画像を分割するときの画像要素の大きさと同じ大きさとし、基材(2)に形成する第3の画像要素(41)と第1の画像要素(11)の大きさ、この場合、幅と高さを等しく形成する。
図20(a)におけるA−A’と図20(b)におけるB−B’線は、透過潜像印刷物(1)の表裏で同じ位置にあたり、このとき、図20(c)の断面図に示すように、第1の反射画像(10)を構成する第1の画像要素(11)と第2の反射画像(40)を構成する第3の画像要素(41)は、基材(2)を挟んで同じ位置に配置される。詳細には、第1の基画像(100)を分割して隣り合うことなく抽出された画像要素(101)と、第3の基画像を分割して隣り合うことなく抽出された画像要素のそれぞれが、同じ位置に配置される。
図20(c)において、第1の画像要素(11)と第3の画像要素(41)は、光遮断性のインキで形成された状態を示しているが、第3の実施の形態の第1の画像要素(11)と第3の画像要素(41)は、第1の実施の形態で説明した光遮断層(30)の上に第1aの画像要素(11A)が形成されるのと同様にして形成しても良い。
以上の構成で成る第3の実施の形態の透過潜像印刷物を、図21(a)に示すように、
第1の反射画像(10)が形成された側から反射光下で観察すると、第1の反射画像(10)が視認でき、図21(b)に示すように、透過光下で観察すると透過画像(20)が視認できる。また、図21(c)に示すように、第2の反射画像(40)が形成された側から反射光下で観察すると、第2の反射画像(40)が視認でき、図21(d)に示すように、透過光下で観察すると透過画像(20)が視認される。このように、第3の実施の形態の透過潜像印刷物(1)は、第1の反射画像(10)が形成された側と第2の反射画像(40)形成された側から、反射光下と透過光下で観察したときに、視認できる画像が変化し、これを真偽判別に用いることができる。
続いて、第3の実施の形態の変形例について図22を用いて説明する。第3の実施の形態の変形例においては、基材(2)に透明フィルムを用い、図22に示すように、基材(2)と第1の画像要素(11)の間に、前述した第3の画像要素(41)を形成する。
図22に示すように、第1の画像要素(11)と基材(2)の間に、第3の画像要素(41)を積層しても、透明フィルムを通して、第2の反射画像(40)が見えることから、図21に示すものと同じ効果が得られる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
実施例1は、第1の実施の形態で説明した透過潜像印刷物(1)であって、第1の画像要素(11)が、光遮断層(30)の上に、第1aの画像要素(11A)を積層して成る構成である。なお、第1の基画像(100)と第2の基画像(200)は、実施の形態で説明した「波」と「富士山」の画像とした。実施例1の透過潜像印刷物(1)について、第1の実施の形態で説明した図面を用いて説明する。
実施例1では、基材(2)として透明なペットフィルムを用いた。
図17(a)に示す光遮断層(30)は、線幅250μm、ピッチ500μmの画線を万線状に配置した構成とし、光遮断層(30)の上に、図17(b)に示す第1aの画像要素(11A)を同じ線幅とピッチで配置して、「波」の画像である第1の反射画像(10)を形成した。なお、光遮断層(30)は、白色であり、UVインクジェット用チタン白インキを用いて形成し、第1aの画像要素(11A)は、UVインクジェット用インキを用いて形成した。なお、印刷はUVインクジェットプリンタ(トライテック社製)を使用し、た。
図8に示す透過画像(20)は、第2の画像要素(21)の線幅250μm、ピッチ500μmとし、第2の画像要素(21)を万線状に配置して、「富士山」の画像である透過画像(20)を形成した。透過画像(20)は、第1の反射画像(10)の形成と同じUVインクジェット用インキを用いて形成した。
以上の構成で成る透過潜像印刷物(1)を、図2(a)に示すように、反射光で観察した際には、第1の反射画像(10)である「波」の画像が視認できた。また、図2(b)に示すように、透過光下で観察した際には、透過画像(20)である「富士山」の画像が視認できた。
(実施例2)
実施例2は、基材(2)に不透明度が65%の用紙(カセン和紙工業株式会社製 プラカシートデミ)を用いた透過潜像印刷物(1)であり、その他の構成である第1の反射画像(10)と透過画像(20)の構成は実施例1と同じ条件で作製した。
実施例2の透過潜像印刷物(1)は、実施例1に対して、視認できる透過画像(20)の光透過量が、若干低下したが、反射光下と透過光下の観察で視認できる画像が変化する効果が得られた。
(実施例3)
実施例3は、第2の実施の形態で説明した、光遮断性の基材(2)を用いた透過潜像印刷物(1)である。
実施例3では、不透明度が94%の光遮断性の紙材(北越紀州製紙株式会社製 再生コピー用紙)を基材(2)に用いた。そして、図18に示すように、基材(2)に透かしインキ(UVインクジェット用OPV)を用いて不透明度を低下させた光透過性領域(3)を形成した。その他の構成である第1の反射画像(10)と透過画像(20)の構成は実施例1と同じ条件で作製した。実施例3の透過潜像印刷物(1)においても、実施例1及び2と同様に、反射光下と透過光下の観察で視認できる画像が変化する効果が得られた。