JP5033538B2 - 偽造防止媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止シート等の偽造防止媒体に関し、特に、潜像を用いた偽造防止構造に関する。
従来より、プリペイドカードや各種入場券、商品券や株券等の有価証券においては、広く流通しており比較的容易に換金可能である等の理由から、偽造犯罪が頻発している。特に、近年ではカラーコピー機等の複写機の性能向上と普及に伴い、簡単には真正品と見分けられない偽造品が比較的容易に製造可能になってきており、偽造に対する対策が求められている。また、上述したような有価証券に限らず、紙幣においても偽造に対する対策が求められている。
このような偽造に対する対策の1つとして、潜像を用いて有価証券や紙幣の真偽判別を可能とする技術が考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された技術は、シート基材上に、複数本の印刷万線と、この印刷万線と並列し、一部が印刷万線と直交する方向に延在し、かつ、断面が隆起したレリーフ万線とを設け、観察方向によって潜像を浮かび上がらせるものである。基材を正面から見た場合は全ての印刷万線が視認可能な状態となっている。ところが、観察方向を印刷万線及びレリーフ万線と直交する方向に変化させていくと、印刷万線のうちレリーフ万線が延在した部分がその延在したレリーフ万線の陰となって視認できなくなる一方、印刷万線のその他の部分は視認可能な状態のままとなる。これにより、レリーフ万線の形状に応じた潜像を浮かび上がらせることができる。
このように断面が隆起したレリーフ万線を設けたシート基材においては、複写した場合、表面に印刷された印刷万線を含む印刷情報は複写されるものの、レリーフ万線の隆起形状までは再現できない。そのため、複写物の観察方向を変化させていった場合であっても、潜像は浮かび上がらず、それにより、真偽判別を行うことが可能となる。
特開2000−313161号公報
しかしながら、上述したように、シート基材上に、複数本の印刷万線と、この印刷万線と並列し、一部が印刷万線と直交する方向に延在し、かつ、断面が隆起したレリーフ万線とを設け、この印刷万線とレリーフ万線とで潜像を浮かび上がらせるものにおいては、印刷万線及びレリーフ万線と直交する方向から観察した場合にしか潜像が浮かび上がらず、潜像による真偽判別がしやすいとは言い難い。特に、観察方向が制限されている場合、潜像による真偽判別ができなくなる虞れがある。
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、観察方向に制限されることなく真偽判別を容易に行うことができる偽造防止媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、
基材に設けられた複数のマーク部と、
基材形成された複数の凸部を有し、
前記複数の凸部は、それぞれその全周に側面を有し、第1の凸部群と第2の凸部群とからなり、
前記複数のマーク部は、前記複数の凸部のそれぞれの側面の全周に渡って設けられ、かつ、前記第1の凸部群を構成する凸部と、前記第2の凸部群を構成する凸部とで、任意の同一方向から観察した場合前記側面の配色割合が当該マーク部によって互いに異なるように設けられている
上記のように構成された本発明においては、基材を正面から観察した場合、側面の配色割合が互いに異なる第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部とが識別可能となる場合があるものの、これら凸部の側面は観察方向に対向していないため、観察方向からの光が凸部の側面にて観察方向以外の方向にも反射して分散してしまい、凸部の側面の配色割合がはっきりとは視認されず、第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部との識別が曖昧なものとなる。この状態から観察方向を基材表面に対して鋭角をなす方向に変化させていくと、観察方向が複数の凸部の側面に対向するようになっていく。すると、観察方向からの光が凸部の側面にて観察方向に反射することになり、凸部の側面における配色割合が明確に視認される。そのため、第1の凸部群を構成する凸部の配色割合と、第2の凸部群を構成する凸部の配色割合との違いが明確に視認され、第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部とが、明確に識別されることになる。
これにより、例えば、第1の凸部群によって文字部を構成し、第2の凸部群によって背景部を構成すれば、観察方向を基材表面に対して鋭角をなす方向に変化させていくと、複数の凸部の側面の配色割合による見え方が変化し、第2の凸部群による背景の中に、第1の凸部群による文字が明確に現れてくることになる。ここで、第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部とは、同一方向から観察した場合における側面の配色割合が互いに異なっているので、観察方向を基材表面に対して鋭角をなすどの方向に変化させていった場合であっても、第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部とが、明確に識別されることになる。
以上説明したように本発明においては、基材表面に側面を具備して形成された第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部とが、同一方向から観察した場合における側面の配色割合が互いに異なる構成としたため、観察方向を基材表面に対して鋭角をなすどの方向に変化させていった場合であっても、第1の凸部群を構成する凸部と第2の凸部群を構成する凸部とが明確に識別されることになり、観察方向に制限されることなく真偽判別を容易に行うことができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の偽造防止媒体の第1の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造10の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は第1の凸部群を構成する凸部11の構成を示す図、(e)は第2の凸部群を構成する凸部11の構成を示す図である。
本形態の偽造防止シート1は図1に示すように、紙からなるシート基材2の一部の領域に偽造防止構造10が設けられて構成されている。シート基材2は、平面部3を有し、この平面部3の一部の領域に情報印刷領域4が設けられるとともに、他の領域に偽造防止構造10が設けられている。このように構成された偽造防止シート1は、例えば、コンサート等の入場チケットとして用いることが考えられる。その場合、コンサートの内容や会場名、座席番号等が情報印刷領域4に印刷されることになる。また、シート基材2の情報印刷領域4に情報が印刷される前に、シート基材2に対してプレ印刷として地紋を印刷したり所定の色に着色したりすることも考えられるが、その場合、偽造防止構造10による潜像が見にくくならないようにする必要がある。
シート基材2に設けられた偽造防止構造10は図1(b)に示すように、シート基材2に複数の凸部11がマトリックス状に形成されるとともに、その凸部11のそれぞれに重なるようにマーク12,13が印刷されて構成されている。この凸部11は、図1(c)〜(e)に示すように、円錐から頂点の部分が取り除かれた形状であって、シート基材2をエンボス版等で平面部3側から0.05〜0.1mm程度窪ませることにより側面11aが形成され、平面部3との同一面が頂部11bとなっている。そして、この頂部11bからシート基材2の窪み方向に向かうに従ってその断面積が徐々に広くなり、凸部11の底部においては、直径が0.5mm以下の円形状となっている。
複数の凸部11は、側面11aにマーク13が形成された第1の凸部群を構成する凸部11と、側面11aにマーク12が形成された第2の凸部群を構成する凸部11とからなる。第1の凸部群を構成する凸部11に形成されたマーク13と、第2の凸部群を構成する凸部11に形成されたマーク12とは、それぞれ凸部11の側面11aの全周に渡って形成されており、マーク部13の線幅13がマーク部12の線幅よりも太くなっている。これにより、第1の凸部群を構成する凸部11と第2の凸部群を構成する凸部11とは、同一方向から観察した場合に側面11aにおける配色割合が互いに異なっている。マーク13が形成された第1の凸部群を構成する凸部11は、マトリックス状に形成された複数の凸部11のうち、潜像となる「T」を表現する位置に配置されたものであり、また、その他の凸部11が第2の凸部群を構成するものとなる。
なお、本形態にて図示する偽造防止構造10は、説明を簡単にするために100個の凸部11が10×10のマトリックス状に形成され、その100個の凸部11にマーク12あるいはマーク13が形成されたものであるが、その数を多くすればするほど、この偽造防止構造10によって浮き上がらせることができる潜像となる文字を精細なものとすることができ、曲線等を表現しやすくなる。
以下に、上記のように構成された偽造防止シート1の製造方法について説明する。
まず、シート基材2の偽造防止構造10が設けられる領域に、円形状の複数のマーク12,13を10×10のマトリックス状に印刷する。マーク13は、10×10のマトリックス状のうち、「T」を形成する位置に印刷し、マーク12は、それ以外の位置に印刷する。これらマーク12,13の組み合わせは、偽造防止構造10によって浮かび上がる潜像(本形態においては「T」)に応じて予め設定されており、印刷データとして与えられる。また、これらマーク12,13の印刷は、上述したようなプレ印刷と同時に行ってもよいし、上述したプレ印刷を行った後に行ってもよい。
次に、マーク12,13が印刷された領域に、シート基材2の平面部3側からエンボス版を押し付けることにより複数の凸部11を形成する。このエンボス版による凸部11のピッチとマーク12,13のピッチとは同一であって、凸部11をマーク12,13に重なるように形成することにより、マーク部12,13がそれぞれ凸部11の側面11aの全周に渡って形成された状態となる。
上述したようにして偽造防止シート1が製造され、その後、用途に応じた情報がシート基材2の情報印刷領域4に印刷されて使用されることになる。
以下に、上述した偽造防止シート1の作用について説明する。
まず、図1に示した偽造防止シート1を正面、すなわち、シート基材2の平面部3の法線方向から観察した場合の作用について説明する。
図2は、図1に示した偽造防止シート1を正面から観察した場合の作用を説明するための図であり、(a)は第1の凸部群を構成する凸部11における光の反射を示す図、(b)は(a)に示した光の反射によるマーク13の見え方を示す図、(c)は第2の凸部群を構成する凸部11における光の反射を示す図、(d)は(c)に示した光の反射によるマーク12の見え方を示す図、(e)は偽造防止構造10におけるマーク12,13の見え方を示す図である。
図1に示した偽造防止シート1を正面から観察した場合、シート基材2に形成された凸部11の側面11aにおいては、観察方向に対向しない状態となっているため、観察方向からの光は観察方向以外の方向にも反射してこの反射光の観察方向における受光量が少なくなる。偽造防止構造10に設けられたマーク13は、凸部11の側面11aに設けられているため、図2(a)の破線で示すように観察方向からの光がマーク13上で観察方向以外にも反射して分散し、それにより、図2(b)に示すようにマーク13は薄くしか見えない状態となる。
また、偽造防止構造10に設けられたマーク12においても同様に、凸部11の側面11aに設けられているため、偽造防止シート1を正面から観察した場合、図2(c)の破線で示すように観察方向からの光がマーク12上で観察方向以外にも反射して分散し、それにより、図2(d)に示すようにマーク12は薄くしか見えない状態となる。
そのため、偽造防止シート1を正面から観察した場合は、図2(e)に示すように、マーク12,13が薄くしか見えないことにより、第1の凸部群を構成する凸部11の側面11aにおけるマーク13による配色割合と、第2の凸部群を構成する凸部11の側面11aにおけるマーク12による配色割合との違いがはっきりとは認識されず、それにより、第1の凸部群を構成する凸部11と第2の凸部群を構成する凸部11とが曖昧にしか識別することができず、側面11aにマーク13が形成された第1の凸部群を形成する凸部11による潜像「T」がはっきりとは認識されない。また、凸部11の側面11aの平面部3に対してなす角度が90度に近ければ、凸部11の側面11aに形成されたマーク12とマーク13とは、線幅が互いに異なるものの、偽造防止シート1を正面から観察した場合、その線幅の違いが認識されにくく、それによっても、第1の凸部群を構成する凸部11と第2の凸部群を構成する凸部11とが曖昧にしか識別することができない。
このように、図1に示した偽造防止シート1を正面から観察した場合は、第1の凸部群を構成する凸部11による潜像「T」は認識されにくくなっている。
次に、図1に示した偽造防止シート1に対する観察方向を正面、すなわち、シート基材2の平面部3の法線方向から変化させていった場合の作用について説明する。
図3は、図1に示した偽造防止シート1に対する観察方向を正面から変化させていった場合の作用を説明するための図であり、(a)は第1の凸部群を構成する凸部11における光の反射を示す図、(b)は第2の凸部群を構成する凸部11における光の反射を示す図、(c)〜(f)は偽造防止構造10におけるマーク12,13の見え方を示す図である。
図1に示した偽造防止シート1に対する観察方向を正面から変化させていくと、その観察方向が、シート基材2に形成された凸部11の側面11aに対向する方向に近づいていく。すると、凸部11の側面11aにおいては、観察方向からの光が観察方向にそのまま反射してこの反射光の観察方向における受光量が多くなる。偽造防止構造10に設けられたマーク13は、シート基材2に形成された凸部11の側面11aに設けられているため、図3(a)の一点鎖線で示すように観察方向からの光がマーク13上で観察方向に反射し、それにより、マーク13が明確に見えるようになる。
また、偽造防止構造10に設けられたマーク12においても、シート基材2に形成された凸部11の側面11aに設けられているため、図3(b)の一点鎖線で示すように観察方向からの光がマーク12上で観察方向に反射し、それにより、マーク12が明確に見えるようになる。
そのため、偽造防止シート1に対する観察方向を、例えば図1中下側に変化させていくと図3(c)に示すように、マーク12とマーク13との線幅の違い、すなわち、この線幅の違いによる第1の凸部群を構成する凸部11の側面11aにおける配色割合と第2の凸部群を構成する凸部11の側面11aにおける配色割合との違いが明確となり、それにより、マーク13が形成された凸部11によって構成される潜像「T」が浮かび上がって見えるようになる。またこの際、凸部11を近接して形成したり、偽造防止シート1に対する観察方向をシート基材2の法線方向から大きく変化させたりした場合、第2の凸部群を構成する凸部11の側面11aに形成されたマーク12が、その凸部11の観察方向側に隣接する凸部11によって隠れて見えなくなり、マーク13による潜像が視認しやすくなる。この効果は、マーク12が凸部11の頂部11bから離れた領域に形成されていればいるほど得やすいものである。
ここで、図1に示した偽造防止シート1においては、観察方向によって潜像を浮かび上がらせるためのマーク12,13が、それぞれ、シート基材2に形成された凸部11の側面11aの全周に渡って設けられており、かつ、マーク12が形成された凸部11の側面11aにおけるマーク12による配色割合と、マーク13が形成された凸部11の側面11aにおけるマーク13による配色割合とが、同一方向から観察した場合に互いに異なるものとなっているため、観察方向をシート基材2の平面部3の法線方向からどの方向に変化させていった場合であっても、潜像が浮かび上がって見えるようになる。例えば、偽造防止シート1に対する観察方向を図1中上側に変化させていくと、マーク13によって構成される潜像「T」が、図3(d)に示すように浮かび上がって見えるようになり、また、偽造防止シート1に対する観察方向を図1中右側に変化させていくと、マーク13によって構成される潜像「T」が、図3(e)に示すように浮かび上がって見えるようになり、また、偽造防止シート1に対する観察方向を図1中左側に変化させていくと、マーク13によって構成される潜像「T」が、図3(f)に示すように浮かび上がって見えるようになる。
上述した偽造防止シート1は、複写した場合、シート基材2の情報印刷領域4に印刷された情報や、シート基材2に印刷により設けられたマーク12,13は複写されるものの、凸部11までは再現できない。そのため、複写物の観察方向を変えていった場合であっても、マーク12,13の見え方が変化することがなく、マーク13による潜像は浮かび上がらず、それにより、真偽判別を行うことが可能となる。このように真偽判別を行う際、本形態の偽造防止シート1においては、偽造防止シート1に対する観察方向をシート基材2の平面部3の法線方向からどの方向に変化させていった場合であっても、マーク12,13の見え方が変化してマーク13による潜像が浮かび上がって見えるため、観察方向に制限されることなく潜像による真偽判別を容易に行うことができる。また、凸部11が、シート基材2の平面部3を窪ませることによって形成されているため、シート基材2を表裏から見た場合や、直接触れた場合において、凸部11が認識されにくく、凸部11が再現しにくいものとなり、偽造防止機能を向上させることができる。
なお、偽造防止構造10に設けられるマーク12,13のうち、第1の凸部群を構成する凸部11に形成されるマーク13は、凸部11の側面11aのみではなく、頂部11bにも形成されていてもよい。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の偽造防止媒体の第2の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造110の詳細な構成を示す図、(c)は第1の凸部群を構成する凸部111を(b)中矢印A方向から見た図、(d)は第2の凸部群を構成する凸部111を(b)中矢印A方向から見た図である。
本形態の偽造防止シート101は図4に示すように、第1の実施の形態に示したものに対して、マトリックス状に形成された複数の凸部111のピッチとマーク112,113のピッチとが同一であり、かつ、複数の凸部111の配列方向とマーク112,113の配列方向とが並行となっているものの、マーク112,113の行及び列が凸部111の行及び列に対してずれている点のみが異なるものである。
上記のように構成された偽造防止シート101においても、図4(c),(d)に示すように、側面111aにマーク113が形成されて第1の凸部群を構成する凸部111と、側面111aにマーク112が形成されて第2の凸部群を構成する凸部111とでは、マーク112,113の線幅が互いに異なることにより、同一方向から観察した場合における側面111aの配色割合が互いに異なっている。
そのため、第1の実施の形態に示したものと同様に、偽造防止シート101に対する観察方向を正面から変化させていくと、マーク112とマーク113との線幅の違い、すなわち、この線幅の違いによる第1の凸部群を構成する凸部111の側面111aにおける配色割合と第2の凸部群を構成する凸部111の側面111aにおける配色割合との違いが明確となり、それにより、マーク113が形成された凸部111によって構成される潜像「T」が浮かび上がって見えるようになる。
そして、本形態における偽造防止シート101においても、複写した場合、シート基材2の情報印刷領域4に印刷された情報や、シート基材2に印刷により設けられたマーク112,113は複写されるものの、凸部111までは再現できないため、複写物の観察方向を変えていった場合であっても、マーク112,113の見え方が変化することがなく、マーク113による潜像は浮かび上がらず、それにより、真偽判別を行うことが可能となる。なお、本形態においては、偽造防止シート101に対する視認方向によっては、第1の凸部群を構成する凸部111と第2の凸部群を構成する凸部111とでマーク112,113によって見える配色割合の差があまりない場合が生じるが、その視認方向は一部であるため、それによって偽造防止機能を失うことはない。
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の偽造防止媒体の第3の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造210の詳細な構成を示す図、(c)は第1の凸部群を構成する凸部211を正面から見た図、(d)は第2の凸部群を構成する凸部211を正面から見た図である。
本形態の偽造防止シート201は図5に示すように、第1の実施の形態に示したものに対して、シート基材2にマトリックス状に設けられた複数の凸部211の側面211aに形成されたマーク212,213が、それぞれ側面211aの周方向に4等分され、分割された領域のそれぞれの色となるマーク色212a〜212d,213a〜213dが互いに異なる点のみが異なるものである。なお、このマーク色212a〜212d,213a〜213dは、第1の凸部群を構成する凸部111と第2の凸部群を構成する凸部111とで、同一方向から観察した場合に同じ色となっている。
上記のように構成された偽造防止シート201においても、図5(c),(d)に示すように、側面211aにマーク213が形成されて第1の凸部群を構成する凸部211と、側面211aにマーク212が形成されて第2の凸部群を構成する凸部211とでは、マーク212,213の線幅が互いに異なることにより、同一方向から観察した場合における側面211aの配色割合が互いに異なっている。
そのため、第1の実施の形態に示したものと同様に、偽造防止シート201に対する観察方向を正面から変化させていくと、マーク212とマーク213との線幅の違い、すなわち、この線幅の違いによる第1の凸部群を構成する凸部211の側面211aにおける配色割合と第2の凸部群を構成する凸部211の側面211aにおける配色割合との違いが明確となり、それにより、マーク213が形成された凸部211によって構成される潜像「T」が浮かび上がって見えるようになる。
そして、本形態における偽造防止シート201においても、複写した場合、シート基材2の情報印刷領域4に印刷された情報や、シート基材2に印刷により設けられたマーク212,213は複写されるものの、凸部211までは再現できないため、複写物の観察方向を変えていった場合であっても、マーク212,213の見え方が変化することがなく、マーク213による潜像は浮かび上がらず、それにより、真偽判別を行うことが可能となる。
さらに本形態においては、偽造防止構造210を観察する方向によってマーク212,213の視認される色が変化するため、それによっても真偽判別を行うことが可能となる。
なお、上述した3つの実施の形態においては、潜像「T」を表現する凸部11,111,211の側面11a,111a,211aに形成された第1の凸部群を構成するマーク部13,113,213の線幅が、その他の凸部11,111,211の側面11a,111a,211aに形成された第2の凸部群を構成するマーク部12,112,212の線幅よりも太いものを例に挙げて説明したが、第1の凸部群を構成するマーク部13,113,213の線幅と、第2の凸部群を構成するマーク部12,112,212の線幅とが互いに異なるものであれば、第1の凸部群を構成するマーク部13,113,213の線幅が、第2の凸部群を構成するマーク部12,112,212の線幅よりも細いものであってもよい。
また、上述した3つの実施の形態における凸部11,111,211の高さや平面部3から窪んだ底部の寸法については、上述したものに限らず、適宜設定が可能である。
また、凸部11,111,211においては、円柱形のものや頂部11b,111b,211bがない円錐形のものやドーム型のものとすることも考えられる。また、断面が矩形状となるものとすることも考えられる。また、シート基材2の平面部3を窪ませることによって形成されるものに限らず、シート基材2の平面部3から平面部3の法線方向に突出したものであってもよい。
また、潜像となる情報は、上述した「T」のように複数の凸部11,111,211のうち「T」となる位置にマーク13,113,213を形成したものに限らず、複数の凸部11,111,211のうち行あるいは列を構成する凸部11,111,211のみにマーク13,113,213を形成したものであってもよい。また、一文字からなるものに限らず、複数の文字からなるものや模様等であってもよい。また、潜像を表現する第1の凸部群を構成する複数の凸部11,111,211を複数の領域に分割し、その複数の領域毎に文字等が浮かび上がる構成とすることも考えられる。また、第2の凸部群を構成する複数の凸部11,111,211が、第1の凸部群を構成する複数の凸部11,111,211が形成された領域を完全に取り囲むのではなく、一部が開放されるようにして、第2の凸部群を構成する複数の凸部11,111,211が、第1の凸部群を構成する複数の凸部11,111,211が形成された領域を囲むような形状であってもよい。
また、上述した3つの実施の形態においては、偽造防止媒体として、紙からなるシート基材2に偽造防止構造10,110,210が設けられた偽造防止シート1,101,201を例に挙げて説明したが、本発明はこのような偽造防止シート1,101,201に限らず、フィルムからなるシート基材や複数の樹脂層が積層されてなるカード基材に上述したような偽造防止構造10,110,210を設けたものにも適用することが可能である。
本発明の偽造防止媒体の第1の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は第1の凸部群を構成する凸部の構成を示す図、(e)は第2の凸部群を構成する凸部の構成を示す図である。 図1に示した偽造防止シートを正面から観察した場合の作用を説明するための図であり、(a)は第1の凸部群を構成する凸部における光の反射を示す図、(b)は(a)に示した光の反射によるマークの見え方を示す図、(c)は第2の凸部群を構成する凸部における光の反射を示す図、(d)は(c)に示した光の反射によるマークの見え方を示す図、(e)は偽造防止構造におけるマークの見え方を示す図である。 図1に示した偽造防止シートに対する観察方向を正面から変化させていった場合の作用を説明するための図であり、(a)は第1の凸部群を構成する凸部における光の反射を示す図、(b)は第2の凸部群を構成する凸部における光の反射を示す図、(c)〜(f)は偽造防止構造におけるマークの見え方を示す図である。 本発明の偽造防止媒体の第2の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は第1の凸部群を構成する凸部を(b)中矢印A方向から見た図、(d)は第2の凸部群を構成する凸部を(b)中矢印A方向から見た図である。 本発明の偽造防止媒体の第3の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は第1の凸部群を構成する凸部を正面から見た図、(d)は第2の凸部群を構成する凸部を正面から見た図である。
符号の説明
1,101,201 偽造防止シート
2 シート基材
3 平面部
4 情報印刷領域
10,110,210 偽造防止構造
11,111,211 凸部
11a,111a,211a 側面
11b,111b,211b 頂部
12,112,212,13,113,213 マーク
212a〜212d,213a〜213d マーク色

Claims (1)

  1. 基材に設けられた複数のマーク部と、
    基材形成された複数の凸部を有し、
    前記複数の凸部は、それぞれその全周に側面を有し、第1の凸部群と第2の凸部群とからなり、
    前記複数のマーク部は、前記複数の凸部のそれぞれの側面の全周に渡って設けられ、かつ、前記第1の凸部群を構成する凸部と、前記第2の凸部群を構成する凸部とで、任意の同一方向から観察した場合前記側面の配色割合が当該マーク部によって互いに異なるように設けられている偽造防止媒体。
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