JP5570230B2 - 偽造防止媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止シート等の偽造防止媒体に関し、特に、潜像を用いた偽造防止構造に関する。
従来より、プリペイドカードや各種入場券、商品券や株券等の有価証券においては、広く流通しており比較的容易に換金可能である等の理由から、偽造犯罪が頻発している。特に、近年ではカラーコピー機等の複写機の性能向上と普及に伴い、簡単には真正品と見分けられない偽造品が比較的容易に製造可能になってきており、偽造に対する対策が求められている。また、上述したような有価証券に限らず、紙幣においても偽造に対する対策が求められている。
このような偽造に対する対策の1つとして、潜像を用いて有価証券や紙幣の真偽判別を可能とする技術が考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された技術は、シート基材上に、複数本の印刷万線と、この印刷万線と並列し、一部が印刷万線と直交する方向に延在し、かつ、断面が隆起したレリーフ万線とを設け、観察方向によって潜像を浮かび上がらせるものである。基材を正面から見た場合は全ての印刷万線が視認可能な状態となっている。ところが、観察方向を印刷万線及びレリーフ万線と直交する方向に変化させていくと、印刷万線のうちレリーフ万線が延在した部分がその延在したレリーフ万線の陰となって視認できなくなる一方、印刷万線のその他の部分は視認可能な状態のままとなる。これにより、レリーフ万線の形状に応じた潜像を浮かび上がらせることができる。
このように断面が隆起したレリーフ万線を設けたシート基材においては、複写した場合、表面に印刷された印刷万線を含む印刷情報は複写されるものの、レリーフ万線の隆起形状までは再現できない。そのため、複写物の観察方向を変化させていった場合であっても、潜像は浮かび上がらず、それにより、真偽判別を行うことが可能となる。
さらに、このような印刷万線をステルスインクを用いて印刷することによって、偽造防止媒体表面のデザインを損ねることなく、セキュリティ性を向上させることが考えられる。印刷万線をステルスインクを用いて印刷すれば、紫外線を照射しなければ印刷万線を視認することができないため、通常ではこの偽造防止媒体の構造が認識されず、それにより、偽造防止媒体表面のデザインが損なわれることなく、かつ、セキュリティ性が向上することとなる。
特開2000−313161号公報
しかしながら、上述したように、印刷万線をステルスインクを用いて印刷した偽造防止媒体においては、偽造防止媒体表面のデザインが損なわれることがないものの、印刷万線は1方向に延びて形成されるものであるため、紫外線を照射するだけでその構造が容易に認識されてしまい、セキュリティの面で優れているとは言い難い。
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、潜像による偽造防止構造の解析を困難とすることができる偽造防止媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、
基材表面にステルスインクによって印刷が施された第1の領域と、前記基材表面にステルスインクによって印刷が施されていない第2の領域とを組み合わせて所定の配列に並べてなる表示部と、
前記第1及び第2の領域に全部または一部が重なるように前記表示部上に所定の配列に並べられて設けられたエンボス部とを有し、
前記第1の領域と前記第2の領域のいずれか一方がドットから構成されている。
上記のように構成された本発明においては、可視光が照射された状態では偽造防止構造が認識されず、また、紫外線を照射した状態においては、基材の法線方向から観察した場合と観察方向を基材の法線方向から変化させていった場合とで、表示部において第1及び第2の領域の色によって視認される色が変化し、それにより、真偽判別が可能となる。この際、表示部においては、基材表面にステルスインクによって印刷が施された第1の領域と、基材表面にステルスインクによって印刷が施されていない第2の領域とが組み合わされて所定の配列に並べられ、第1の領域と第2の領域のいずれか一方がドットから構成されているため、紫外線を照射した場合、万線に比べてドットの外形や複数のドット間のピッチ等が認識しにくく、この偽造防止構造を再現することが困難となる。また、ステルスインクの乱反射の特性によっても、複数のドットのそれぞれにおけるステルスインクによる反射を正確に認識することは困難であるため、偽造防止構造を再現することが困難となる。
以上説明したように本発明においては、基材表面にステルスインクによって印刷が施された第1の領域と、基材表面にステルスインクによって印刷が施されていない第2の領域とを組み合わせて所定の配列に並べてなる表示部と、第1及び第2の領域に全部または一部が重なるように表示部上に所定の配列に並べられて設けられたエンボス部とを有し、第1の領域と第2の領域のいずれか一方がドットから構成されている構成としたため、紫外線を照射した場合、万線に比べてドットの外形や複数のドット間のピッチ等が認識しにくく、ステルスインクの乱反射の特性によっても、複数のドットのそれぞれにおけるステルスインクによる反射を正確に認識することが困難となり、それにより、潜像による偽造防止構造の解析を困難とすることができる。
本発明の偽造防止媒体の実施の一形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部の構成を示す図である。 図1に示した偽造防止シートを正面から観察した場合の作用を説明するための図であり、(a)は可視光下での見え方を示す図、(b)は紫外線を照射した状態での見え方を示す図である。 図1に示した偽造防止シートに対して紫外線を照射した状態において、その観察方向を正面から変化させていった場合の作用を説明するための図であり、(a)は凸部について側面方向から見た図、(b)は凸部について側面方向から見た図、(c)〜(f)は偽造防止構造の見え方を示す図である。 本発明の偽造防止媒体の他の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部の構成を示す図である。 本発明の偽造防止媒体の他の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部の構成を示す図である。 本発明の偽造防止媒体の他の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部の構成を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の偽造防止媒体の実施の一形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造10の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部13の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部14の構成を示す図である。
本形態の偽造防止シート1は図1に示すように、紙からなるシート基材2の一部の領域に偽造防止構造10が設けられて構成されている。シート基材2は、基材表面となる平面部3を有し、この平面部3の一部の領域に情報印刷領域4が設けられるとともに、他の領域に偽造防止構造10が設けられている。このように構成された偽造防止シート1は、例えば、コンサート等の入場チケットとして用いることが考えられる。その場合、コンサートの内容や会場名、座席番号等が情報印刷領域4に印刷されることになる。また、シート基材2の情報印刷領域4に情報が印刷される前に、シート基材2に対してプレ印刷として地紋を印刷したり所定の色に着色したりすることも考えられる。
図1(b)に示すように、シート基材2に設けられた偽造防止構造10においは、ステルスインクによって印刷が施されておらず、シート基材2の平面部3のベース色と同一の色からなる第2の領域となる背景色領域12上に、ステルスインクによって印刷された第1の領域となるドットからなるマーク部11がマトリックス状に複数設けられている。すなわち、偽造防止構造10においては、ステルスインクによって印刷が施されていない背景色領域12と、ステルスインクによって印刷が施されているマーク部11とが組み合わされてマトリックス状に並べられており、この背景色領域12とマーク部11とが組み合わされて並べられた領域が表示部15となっている。表示部15には、エンボス部を構成する凸部13,14が形成されており、これら凸部13,14はそれぞれ複数ずつ設けられている。凸部13,14は図1(c)〜(f)に示すように、円錐から頂点の部分が取り除かれた形状であって、シート基材2の表面から平面部3の法線方向に0.05〜0.1mm程度突出し、平面部3との境界部分が直径0.5mm以下の円形状となっている。この境界部分から離れていくに従ってその断面積が徐々に狭くなり、境界部分の反対側は平面部3と平行な頂部13b,14bとなっている。凸部13は、複数の凸部13によって潜像となる「T」の字を表現するように複数のマーク部11の配列方向と並行して行や列を構成して表示部15の所定領域に形成されており、そのそれぞれは、マトリックス状に設けられた複数のマーク部11間に形成されている。それにより、図1(e)に示すように、4つのマーク部11の一部がそれぞれ側面13aにかかるとともに、その4つのマーク部11に囲まれた部分の背景色領域12が頂部13bにて表出している。また、凸部14は、表示部15において複数の凸部13が形成された領域を取り囲むように、複数の凸部13の配列方向と並行して行や列を構成して形成されており、そのそれぞれは、マトリックス状に設けられた複数のマーク部11のうち、所定領域以外の領域に設けられたマーク部11上に形成されている。それにより、図1(f)に示すように、頂部14b及び側面14aがマーク部11を含むようなものとなっている。なお、本形態にて図示する偽造防止構造10は、説明を簡単にするために100個のマーク部11が10×10のマトリックス状に形成されたものであるが、その数を多くすればするほど、この偽造防止構造10によって浮き上がらせることができる潜像となる文字を精細なものとすることができ、曲線等を表現しやすくなる。
以下に、上記のように構成された偽造防止シート1の製造方法について説明する。
まず、シート基材2の偽造防止構造10が設けられる領域、すなわち、表示部15となる領域に、100個のマーク部11を10×10のマトリックス状にステルスインクを用いて印刷する。
次に、マーク部11が印刷された領域に、凸部13,14をエンボス版を用いて形成する。凸部13は、マーク部11が印刷された領域のうち、潜像となる「T」を形成する所定領域にてマトリックス状に設けられた複数のマーク部11間に形成し、また、凸部14は、マトリックス状に設けられた複数のマーク部11のうち、所定領域以外の領域に設けられたマーク部11上に形成する。
上述したようにして偽造防止シート1が製造され、その後、用途に応じた情報がシート基材2の情報印刷領域4に印刷されて使用されることになる。
以下に、上述した偽造防止シート1の作用について説明する。
まず、図1に示した偽造防止シート1を正面、すなわち、シート基材2の平面部3の法線方向から観察した場合の作用について説明する。
図2は、図1に示した偽造防止シート1を正面から観察した場合の作用を説明するための図であり、(a)は可視光下での見え方を示す図、(b)は紫外線を照射した状態での見え方を示す図である。
図1に示した偽造防止シート1を、太陽光等の可視光下において、正面、すなわち平面部3の法線方向から観察した場合、マーク部11がステルスインクによって印刷されてなるものであるため、マーク部11は視認されず、それにより、図2(a)に示すように、偽造防止構造10は認識されない。そのため、偽造防止シート1の表面全面を情報印刷領域4とすることもでき、偽造防止シート1の表面におけるデザインの自由度が向上する。
一方、図1に示した偽造防止シート1に対して紫外線を照射した状態において、正面、すなわち平面部3の法線方向から観察すると、マーク部11がステルスインクによって印刷されてなるものであることから、図2(b)に示すように、偽造防止構造10においては、マトリックス状に配列した複数のマーク部11が認識される。この際、シート基材2には、平面部3から突出した複数の凸部13,14が形成されているが、偽造防止シート1を正面から観察した場合は、この凸部13,14の突出方向から観察することになるため、マーク部11は観察方向から遮るものが存在せずにマトリックス状に設けられた全てのマーク部11が視認され、また、凸部13,14が認識されにくく、潜像「T」は浮かび上がって見えてこない。
次に、図1に示した偽造防止シート1に対して紫外線を照射した状態において、その観察方向を正面、すなわち、シート基材2の平面部3の法線方向から変化させていった場合の作用について説明する。
図3は、図1に示した偽造防止シート1に対して紫外線を照射した状態において、その観察方向を正面から変化させていった場合の作用を説明するための図であり、(a)は凸部13について側面方向から見た図、(b)は凸部14について側面方向から見た図、(c)〜(f)は偽造防止構造10の見え方を示す図である。
図1に示した偽造防止シート1に対して紫外線を照射した状態において、その観察方向を正面から変化させていくと、シート基材2の平面部3に対する観察方向のなす角度が鋭角になっていく。すると、図3(a),(b)に示すように、平面部3から突出した複数の凸部13,14の側面13a,14aが、その凸部13,14の観察方向側に隣接する凸部13,14によって隠れて見えなくなっていき、頂部13b,14bのみが見えるような状態となる。
ここで、複数の凸部13,14のうち、潜像を表現する凸部13においては、図1(e)に示したように、その頂部13bにて背景色領域12が表出しており、また、凸部14においては、図1(f)に示したように、ステルスインクによって印刷が施されてなるマーク部11が頂部14bにて表出している。これにより、紫外線を照射した状態においては、凸部13の頂部13bと凸部14の頂部14bとで見える色が互いに異なっている。
そのため、偽造防止シート1に対する観察方向を、例えば図1中下側に変化させていき、複数の凸部13,14の側面13a,14aが、その凸部13,14の観察方向側に隣接する凸部13,14によって隠れて見えなくなっていき、頂部13b,14bのみが見えるような状態となると、凸部13の頂部13bと凸部14の頂部14bとの見える色の違いによって、図3(c)に示すように、複数の凸部13によって構成される潜像「T」が、背景色領域12に近い色で浮かび上がって見えるようになる。
ここで、図1に示した偽造防止シート1においては、表示部15に複数のマーク部11がマトリックス状に設けられ、この表示部15の所定領域にて複数のマーク部11の配列方向と並行して行や列を構成することにより潜像「T」を形成する複数の凸部13が形成されるとともに、表示部15における所定領域を取り囲む領域にて複数の凸部13の配列方向と並行して行や列を構成することにより潜像「T」を取り囲む複数の凸部14が形成されている。そのため、複数の凸部13と複数の凸部14とが行や列を含む略マトリックス状となっており、平面部3に対して鋭角をなすどの方向から観察した場合であっても、複数の凸部13,14の側面13a、14aが、その凸部13,14の観察方向側に隣接する凸部13,14によって隠れて見えなくなっていき、頂部13b,14bのみが見えるような状態となり、複数の凸部13の頂部13bにて見える色と複数の凸部14の頂部14bにて見える色との違いによって潜像「T」が浮かび上がって見えるようになる。例えば、偽造防止シート1に対する観察方向を図1中上側に変化させていくと、複数の凸部13によって形成される潜像「T」が図3(d)に示すように浮かび上がって見えるようになり、また、偽造防止シート1に対する観察方向を図1中右側に変化させていくと、複数の凸部13によって形成される潜像「T」が図3(e)に示すように浮かび上がって見えるようになり、また、偽造防止シート1に対する観察方向を図1中左側に変化させていくと、複数の凸部13によって形成される潜像「T」が図3(f)に示すように浮かび上がって見えるようになる。
なお、上述したどの方向から観察した場合においても、複数の凸部14のうち観察方向最も手前の列を構成する凸部14においては、その側面14aが視認可能な状態となるが、凸部13,14の数が多かったり、凸部13によって構成される潜像の線幅が、観察方向最も手前の列を構成する凸部14の側面14aに表出したマーク部11による線幅よりも太かったりすること等によってこのマーク部11が潜像とは無関係であることが認識できればよい。もし、観察方向最も手前の列を構成する凸部14の側面14aに表出したマーク部11によって潜像が不明瞭となるような場合は、潜像を形成する凸部13を、マトリックス状に形成された複数のマーク部11のうち、周囲から離れたマーク部11間に設ける等すればよい。
このように、図1に示した偽造防止シート1においては、紫外線を照射した状態において、その観察方向を正面から変化させていった場合に潜像「T」が浮かび上がって見えることにより、真偽判別が行われることになる。
上述した偽造防止シート1においては、太陽光等の可視光が照射された状態では偽造防止構造10が認識されず、紫外線を照射した状態において、ステルスインクによって印刷が施されてなるマーク部11が認識されることになるが、シート基材2の平面部3の法線方向から観察した場合と観察方向をシート基材2の平面部3の法線方向から変化させていった場合とで、表示部15においてマーク部11と背景色領域12の色によって視認される色が変化し、それにより、真偽判別が可能となる。この際、表示部15においては、ステルスインクを用いて印刷が施されることによりドットからなるマーク部11がマトリックス状に設けられているため、紫外線を照射した場合、万線に比べてマーク部11の外形や複数のマーク部11間のピッチ等が認識しにくく、この偽造防止構造10を再現することが困難となる。また、ステルスインクの乱反射の特性によっても、複数のマーク部11のそれぞれにおけるステルスインクによる反射を正確に認識することは困難であるため、偽造防止構造10を再現することが困難となる。
(他の実施の形態)
図4は、本発明の偽造防止媒体の他の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造110の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部113の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部114の構成を示す図である。
本形態は図4に示すように、図1に示したものに対して、シート基材102の偽造防止構造110の表示部115となる領域にステルスインクを用いて印刷が施されることにより第1の領域となる背景色領域112が設けられ、この背景色領域112に、ステルスインクを用いて印刷が施されていないドットからなる第2の領域となる複数のマーク部111がマトリックス状に設けられている点のみが異なるものである。すなわち、図1に示したものに対して、ステルスインクによってマーク部11が印刷されているのではなく、背景色領域112が印刷されている点が異なるものである。
上記のように構成された偽造防止シート101においては、紫外線を照射した状態において、正面から見た場合は、ステルスインクによる色の背景色領域112にマトリックス状に設けられたマーク部111がシート基材102の色で認識されるだけで潜像「T」は認識されない。そして、偽造防止シート101に対する観察方向を正面から変化させていくと、平面部103から突出した複数の凸部113,114の側面113a,114aが、その凸部113,114の観察方向側に隣接する凸部113,114によって隠れて見えなくなっていき、頂部113b,114bのみが見えるような状態となり、凸部113の頂部113bと凸部114の頂部114bとの見える色の違いによって、複数の凸部113によって形成される潜像「T」が、ステルスインクによる色に近い色で浮かび上がって見えるようになる。
図5は、本発明の偽造防止媒体の他の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造210の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部213の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部214の構成を示す図である。
本形態は図5に示すように、図1に示したものに対して、シート基材202にマトリックス状に設けられたマーク部211の大きさが、凸部214の頂部214bよりも小さい点のみが異なるものである。
上記のように構成された偽造防止シート201においては、紫外線を照射した状態において、正面から見た場合は、背景色領域212にマトリックス状に設けられたマーク部211がステルスインクによる色で認識されるだけで潜像「T」は認識されない。そして、偽造防止シート201に対する観察方向を正面から変化させていくと、平面部203から突出した複数の凸部213,214の側面213a,214aが、その凸部213,214の観察方向側に隣接する凸部213,214によって隠れて見えなくなっていき、頂部213b,214bのみが見えるような状態となり、凸部213の頂部213bと凸部214の頂部214bとの見える色に違いによって、複数の凸部213によって形成される潜像「T」が背景色領域212に近い色で浮かび上がって見えるようになる。
図6は、本発明の偽造防止媒体の他の実施の形態となる偽造防止シートを示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示した偽造防止構造310の詳細な構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図、(d)は(b)に示したB−B’断面図、(e)は(b),(c)に示した凸部313の構成を示す図、(f)は(b),(d)に示した凸部314の構成を示す図である。
本形態は図6に示すように、図5に示したものに対して、シート基材302の偽造防止構造310の表示部315となる領域にステルスインクを用いて印刷が施されることにより第1の領域となる背景色領域312が設けられ、この背景色領域312に、ステルスインクを用いて印刷が施されていないドットからなる第2の領域となる複数のマーク部311がマトリックス状に設けられている点のみが異なるものである。すなわち、図5に示したものに対して、ステルスインクによってマーク部211が印刷されているのではなく、背景色領域312が印刷されている点が異なるものである。
上記のように構成された偽造防止シート301においては、紫外線を照射した状態において、正面から見た場合は、ステルスインクによる色の背景色領域312にマトリックス状に設けられたマーク部311がシート基材302の色で認識されるだけで潜像「T」は認識されない。そして、偽造防止シート301に対する観察方向を正面から変化させていくと、平面部303から突出した複数の凸部313,314の側面313a,314aが、その凸部313,314の観察方向側に隣接する凸部313,314によって隠れて見えなくなっていき、頂部313b,314bのみが見えるような状態となり、凸部313の頂部313bと凸部314の頂部314bとの見える色の違いによって、複数の凸部313によって形成される潜像「T」が、ステルスインクによる色に近い色で浮かび上がって見えるようになる。
なお、上述した実施の形態における凸部13,14,113,114,213,214,313,314の平面部3,103,203,303からの高さや平面部3,103,203,303との境界部分の寸法については、上述したものに限らず、適宜設定が可能である。
また、凸部13,14,113,114,213,214,313,314においては、円柱形のものや頂部13b,14b,113b,114b,213b,214b,313b,314bがない円錐形のものやドーム型のものとすることも考えられる。ただし、上述したように平面部3,103,203,303と平行となる頂部13b,14b,113b,114b,213b,214b,313b,314bを有する形状の方が、背景色領域12,112,212,312による色が連なる状態となって潜像を明確に浮かび上がらせることができる。また、断面が矩形状となるものとすることも考えられる。ただし、図1及び図4に示したものにおいては、凸部13,14,113,114のうち、少なくとも潜像を形成する凸部13,113を、平面部3,103との境界部分が円形状のように中心からの距離が略一定となるものとした方が、どの方向から観察しても視認可能となる頂部13b,113bの形状が同一となり、凸部13,113によって浮かび上がる潜像の精細な形状を均一化することができる。また、平面部3,103,203,303に対する形成角度においては、凸部13,14,113,114,213,214,313,314の側面13a,14a,113a,114a,213a,214a,313a,314aを観察方向側に隣接する凸部13,14,113,114,213,214,313,314によって隠れやすくするために、平面部3,103,203,303の法線方向に平行に突出するように形成し、凸部13,14,113,114,213,214,313,314のそれぞれを円柱等の柱状に形成することが好ましい。
また、潜像となる情報は、上述した「T」のように複数の凸部13,113,213,313が行及び列を構成したものに限らず、複数の凸部13,113,213,313が行のみを構成しただけ、あるいは列のみを構成しただけのものであってもよい。また、一文字からなるものに限らず、複数の文字からなるものや模様等であってもよい。また、潜像を表現する複数の凸部13,113,213,313を複数の領域に分割し、その複数の領域毎に文字等が浮かび上がる構成とすることも考えられる。また、複数の凸部14,114,214,314が、背景色領域12,112,212,312にて複数の凸部13,113,213,313が形成された領域を完全に取り囲むのではなく、一部が開放されるようにして、複数の凸部14,114,214,314が、凸部13,113,213,313が形成された領域を囲むような形状であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、複数の凸部13,113,213,313によって潜像「T」を表現しているが、複数の凸部14,114,214,314によって潜像「T」を表現してもよい。その場合は、偽造防止シート1,101,201,301に対する観察方向を正面から変化させていくと、複数の凸部14,114,214,314の頂部14b,114b,214b,314bに表出している色、すなわち、マーク部11,111,211,311に近い色で潜像「T」が浮かび上がって見えるようになる。
また、上述した実施の形態においては、背景色領域12,112,212,312上にドットからなるマーク部11,111,211,311がマトリックス状に並べてなる表示部15,115,215,315と、表示部15,115,215,315の所定領域において複数のマーク部11,111,211,311間に形成された凸部13,113,213,313と、表示部15,115,215,315において複数の凸部13,113,213,313が形成された領域を取り囲むようにマーク部11,111,211,311上に形成された凸部14,114,214,314とを有するものを例に挙げて説明したが、上述したような凸部13,113,213,313と凸部14,114,214,314とのような2種類の凸部を、互いに平行となる中心線にて分離される2つの領域のそれぞれにおいてステルスインクによる印刷が施された領域とステルスインクによる印刷が施されていない領域との面積が互いに異なり、かつ、その面積の大小関係が、中心線を介した同一方向側の領域に対して逆転するように形成されたものであってもよい。
また、潜像「T」を構成する凸部とそれを取り囲む凸部とを上述したようにずらして形成するのではなく、同一列及び同一行としてマトリックス状に形成し、これら2種類の凸部において、側面の平面部からの高さが互いに異なる領域の全周に渡ってマーク部を形成し、それにより、観察方向を正面から変化させていった場合に、平面部からの高さが低い領域に形成されたマーク部を見えなくして潜像「T」を浮かび上がらせる構成とすることも考えられる。
また、上述した実施の形態においては、偽造防止媒体として、紙からなるシート基材2,102,202,302に偽造防止構造10,110,210,310が設けられた偽造防止シート1,101,201,301を例に挙げて説明したが、本発明はこのような偽造防止シート1,101,201,301に限らず、フィルムからなるシート基材や複数の樹脂層が積層されてなるカード基材に上述したような偽造防止構造10,110,210,310を設けたものにも適用することが可能である。
1,101,201,301 偽造防止シート
2,102,202,302 シート基材
3,103,203,303 平面部
4,104,204,304 情報印刷領域
10,110,210,310 偽造防止構造
11,111,211,311 マーク部
12,112,212,312 背景色領域
13,14,113,114,213,214,313,314 凸部
13a,14a,113a,114a,213a,214a,313a,314a 側面
13b,14b,113b,114b,213b,214b,313b,314b 頂部
15,115,215,315 表示部

Claims (1)

  1. 基材表面にステルスインクによって印刷が施された第1の領域と、前記基材表面にステルスインクによって印刷が施されていない第2の領域とを組み合わせて所定の配列に並べてなる表示部と、
    前記第1及び第2の領域に全部または一部が重なるように前記表示部上に所定の配列に並べられて設けられたエンボス部とを有し、
    前記第1の領域と前記第2の領域のいずれか一方がドットから構成されている偽造防止媒体。
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