JP2015107571A - 潜像印刷物 - Google Patents

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Tadashi Morinaga
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Abstract

【課題】高精度な刷り合わせを要求せず、特別なペアインキも必要ない、高い製造技術を要することなく作製可能であって、反射光下で観察できる画像と、透過光下で観察できる画像が異なり、真偽判別性に優れた潜像印刷物を提供するものである。【解決手段】光透過性を有する基材の上の少なくとも一部に、透明又は基材と等色で、基材よりも光透過性が低い潜像画像と、潜像画像の上に、基材と異なる色彩の部分的に反射濃度が異なる画像で、かつ、最大反射濃度と最小反射濃度の差が0.2以下の可視画像が積層された画像変化領域を形成する。【選択図】 図3

Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等の貴重印刷物の分野において、反射光下で観察した場合と、透過光下とで観察される画像が変化する潜像印刷物に関わるものである。
近年のスキャナ、プリンター、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのため、前述したような複製や偽造を防止するため、プリンターやコピー機では再現不可能な様々な偽造防止技術が必要とされている。
この偽造防止技術の一つとして、用紙の粗密や薄厚によって模様を形成して透過光下で視認させる、いわゆる透かし技術が存在する。この透かし技術は、一定量以上の光さえ存在すれば、あらゆる環境下で真偽判別が可能な技術であり、また、知名度も抜群に高いことから、古くから存在する古典的な技術であるにも関わらず、今なお世界中の銀行券で用いられている。
透かし技術は、用紙の製造段階で形成する必要があることから、用紙メーカでなければ製造不可能であり、加えて用紙メーカが製造した場合でも製造コストが高くなるという問題があることから、これを擬似的に再現する方法として、印刷工程で特殊な浸透型インキを用いて、この透かしに相当する透過画像を印刷で形成する偽造防止技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、浸透型インキを用いた透かしに関しては、透かし画像ににじみが生じやすく、また透過光下の視認性も低く、用紙の製造段階で形成する本来の透かし技術と比較すると真偽判別性が低いという問題があった。
このような問題を解決するために、本出願人は、浸透型インキと、浸透型インキと等色の反射インキをペアインキとして、特殊で複雑な網点構成によって画像を形成する印刷物であって、反射光下で観察できる画像と透過光下で観察できる画像とが全く相関のない異なる画像であることを特徴とし、透かし画像を印刷で形成するにもかかわらず、真偽判別性に優れた潜像印刷物をすでに出願している(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
特開平6−228900号公報 特開2011−143669号公報 特開2012−223905号公報
特許文献2、特許文献3の技術は、拡散反射光下で見えていた画像が、正反射光下では全く相関のない異なる画像へと変化する、いわゆる画像のチェンジ効果を実現した技術であるが、所望の効果を得るためには、複数の微細な印刷要素同士が重なり合わないように印刷しなければならない。このため製造にあたって、高精度な刷り合わせが要求され、印刷者の高い技能と高精度な印刷機が必須であって、製造難易度が高いという問題があった。
また、特許文献2及び特許文献3に記載の技術は、いずれも拡散反射光下では等色で、透過光下では異色に変化する特別なペアインキを用いて形成する必要があり、このようなペアインキを作製することは顔料や樹脂等の光学特性や浸透性に関する特別な知識が必要であり、インキ作製が困難であるという問題があった。また、このような特性を有するインキは極めて淡い色彩である必要があり、これは色彩設計上の制約となっていた。
加えて、特許文献2及び特許文献3に記載の技術は、正反射光下で出現する画像は単純な二値画像である必要があり、複雑な階調を有した多階調画像を表現することはできないという問題があった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、特に、高精度な刷り合わせを要求せず、特別なペアインキも必要ない、高い製造技術を要することなく作製可能であって、反射光下で観察できる画像と、透過光下で観察できる画像が異なり、真偽判別性に優れた潜像印刷物を提供するものである。
本発明の潜像印刷物は、光透過性を有する基材の少なくとも一部に画像変化領域を備え、画像変化領域は、基材の一方の面に潜像画像と可視画像が順に積層されて成り、潜像画像は、透明又は基材と等色であり、光透過性が低く、可視画像は、基材と異なる色彩であり、特定の反射濃度の範囲で形成され、反射光下では可視画像が視認され潜像画像が視認できず、透過光下では潜像画像が視認できることを特徴とする。
また、本発明の潜像印刷物は、光透過性を有する基材の上の少なくとも一部に画像変化領域を備え、画像変化領域は、基材から潜像画像と可視画像が順に積層され又は基材の一方の面に潜像画像が形成され、潜像画像が形成された領域に対する基材の他方の面の同じ位置に可視画像が形成されて成り、潜像画像は、透明又は基材と等色で、基材よりも光透過性が低く、可視画像は、基材と異なる色彩の部分的に反射濃度が異なる画像で、かつ、最大反射濃度と最小反射濃度の差が0.2以下であり、反射光下では可視画像のみが視認され、透過光下では潜像画像のみが視認できることを特徴とする。
また、本発明の潜像印刷物は、光透過性と浸透性を有する基材の上の少なくとも一部の表裏同じ位置に画像変化領域を備え、画像変化領域は、基材から潜像画像、可視画像及び浸透画像が順に積層され又は基材の一方の面から潜像画像と可視画像のうち、一方の画像と浸透画像が順に積層され、他方の画像が基材の他方の面に形成されて成り、潜像画像は、透明又は基材と等色で、基材よりも光透過性が低く、可視画像は、基材と異なる色彩の部分的に反射濃度が異なる画像で、かつ、最大反射濃度と最小反射濃度の差が0.3以下であり、浸透画像は、浸透成分を有する透明な色材から成り、反射光下では可視画像のみが視認され、透過光下では潜像画像のみが視認できることを特徴とする。
また、本発明の潜像印刷物は、潜像画像が、光遮断性の高い金属顔料を含む色材で形成されたことを特徴とする。
本発明の潜像印刷物においては、二つの画像を単純に重ね合わせるか、表裏別々に印刷する単純な構成であるため、従来技術のような高精度な刷り合わせを必要とせず、また等色ペアインキも必要ないため、製造が容易である。
本発明の潜像印刷物は、極端に濃度が淡くなくとも充分な効果を発揮する。そのため、従来技術のペアインキように極端に淡い濃度に制限する必要はない。また透過光下で出現する第二の有意情報は二値画像に限らず、複雑な階調を有する多階調画像とすることもでき、デザイン上の自由度が高い。
以上の手法で形成した潜像印刷物は、生産性の高い印刷方式であるオフセット印刷で製造可能であることからコストパフォーマンスに優れ、また最新のデジタル機器を用いたとしても透過画像の再現は不可能であることから、偽造防止効果に優れる。また、特別な道具を用いることがなく、透かすだけで認証できるため、判別性に優れる。
本発明における潜像印刷物を示す。 本発明における画像変化領域を構成する画像を示す。 潜像画像と可視画像の重ね合わせ順を示す。 本発明における潜像画像と可視画像を表裏別に形成した例を示す。 本発明における潜像印刷物の効果を示す図である。 本発明における第2の実施の形態の潜像印刷物を示す。 第2の実施の形態における画像変化領域を構成する画像を示す。 第2の実施の形態におけるそれぞれの画像の重ね合わせ順を示す。 第2の実施の形態の潜像印刷物の効果を示す図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(第1の実施の形態)
図1に、本発明における潜像印刷物(1)を示す。潜像印刷物(1)は、基材(2)の少なくとも一部に、画像変化領域(3)が形成されて成る。
本発明における潜像印刷物(1)を構成する基材(2)は、上質紙やコート紙、透明フィルムやプラスティックのように、光を透過する特性、いわゆる光透過性を有する必要がある。不透明なプラスティックや金属では透過光下での効果は得られない。基材(2)や画像変化領域(3)の色彩について特に制約はない。
図2に、画像変化領域(3)の構成の概要を示す。画像変化領域(3)は、潜像画像(4)と可視画像(5)の二つの画像から成る。潜像画像(4)は、第二の有意情報を表し、可視画像(5)は第一の有意情報を表す。第1の実施の形態において、第一の有意情報とは「七宝」のマークであり、第二の有意情報とは「富士山(富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎 作)」の画像である。
まず、潜像画像(4)について説明する。潜像画像(4)は、特にその階調(濃淡)を制限する必要は無く、網点面積率0%から網点面積率100%までの網点面積率を用いて形成した任意の階調によって第二の有意情報を表現することができる。第二の有意情報としては、文字やマーク等の二値画像であっても良いし、人物や風景のような多階調画像であっても良い。また、印刷網点で単純に画像を表現するだけでなく、画線や画素を用いた構成としても良い。ただし、拡散反射光下において不可視である必要があるため、色彩は透明か、あるいは基材(2)と等色である必要がある。
なお、本明細書における「画線」とは、画像変化領域を形成する最小単位である印刷網点を特定の方向に連続して配置したものであり、点線や破線の分断線、直線、曲線及び波線を言う。一方、「画素」とは、印刷網点を一塊にしたものであり、円や三角形、四角形を含む多角形、星型等の各種図形、あるいは文字や記号、数字等も含まれる。
潜像画像(4)については、基材(2)よりも光透過性が低い必要がある。これは、透過光下で観察した場合に、潜像画像(4)を可視化するために必要とされる特性である。潜像画像(4)を印刷で形成する場合、使用する印刷インキは、高い光遮断性を有することが望ましい。具体的には、酸化チタンや酸化鉄、酸化亜鉛等のような光反射性の高い金属顔料を含んだインキを用いたり、二酸化ケイ素や炭酸カルシウム等を含んだインキを用いることもできる。特殊な金属顔料を含まない一般的なインキを用いて、厚い膜厚で印刷することで光透過性を低くしても良い。
続いて、可視画像(5)について説明する。可視画像(5)は、基材(2)と異なる色彩を有していればその色彩について特に制約はなく、一般的な着色インキを用いて形成することができる。また、本発明において可視画像(5)は、画像全体が特定の階調範囲内で表現された部分的に反射濃度が異なる構成とする必要がある。例えば、図2に示す可視画像(5)において、「七宝」のマークをポジで表す部分は濃く、「七宝」のマークをネガで表す部分は淡い状態となっており、濃い部分と淡い部分とでは、反射濃度が異なっている。なお、可視画像(5)の濃淡については、網点面積率の大小によって表現することができる。仮に、可視画像(5)中に適用する階調の範囲、すなわち最大反射濃度と最小反射濃度の差が大きくなれば反射光下で視認される第一の有意情報の視認性は高くなるが、逆に透過光下での第一の有意情報の消失効果が低くなる。一方、可視画像(5)中の最大反射濃度と最小反射濃度の差が小さくなれば透過光下での第一の有意情報の消失効果は高くなるが、反射光下で視認される第一の有意情報の視認性は低くなる。このため、本発明においては、透過光下で可視画像(5)が表す第一の有意情報を消失させるために、可視画像(5)中の最大反射濃度と最小反射濃度の差を、印刷によって形成された画像としては低い値である0.2以下とする必要があり、より望ましくは、最大反射濃度と最小反射濃度の差を0.15以下とする。なお、可視画像(5)中の反射濃度の差がない場合、すなわち、濃度差が「0」の場合は有意情報を表現できないため、本発明の課題とする反射光下と透過光下で観察できる画像が変化する効果を得ることができなくなる。
また、透過光下での第二の有意情報の視認性を高めることを優先する場合には、可視画像(5)の最大反射濃度と最小反射濃度の差を0.2以下とした上で、可視画像(3)の網点面積率も低く抑えることが望ましい。この理由は、同じ最大反射濃度と最小反射濃度の差で構成された画像であっても、網点面積率が高い場合と低い場合では透過する光の量の違いがあり、網点面積率が低い場合の方が透過光下で視認される第二の有意情報の視認性は高くなるためである。
第一の有意情報で表現する情報は、文字やマーク等の二値画像であっても良いし、人物や風景のような多階調画像であっても良いが、可視画像(5)の階調表現域は狭いため、視認性を考慮すると二値画像であることが望ましい。潜像画像(4)と同様に、印刷網点で単純に画像を表現するだけでなく、画線や画素を用いた構成としても良い。色彩は基材(2)と異なる色彩であれば如何なる色彩であっても良い。また、可視画像(5)は通常の着色インキで形成すれば良い。
画像変化領域(3)の形成方法は大きく分けて2種類有る。一つは、基材(2)の片側表面に二つの画像を重ね合わせて形成する方法、もう一つは、基材(2)の表裏別々の面にそれぞれの画像を印刷する方法である。図3に示すのは、画像変化領域(3)を基材(2)の片側一面に形成する場合の潜像画像(4)と可視画像(5)の積層順を示す。この場合、基材(2)の片側一面に潜像画像(4)を形成した上に、可視画像(5)を重ね合わせる構造である必要がある。
また、本発明の潜像印刷物(1)において基材(2)の別々の表面にそれぞれの画像を形成する場合、図4に示すように、可視画像(5)は、基材(2)の片側表面に印刷し、可視画像が印刷された表面の裏面に潜像画像(4)を印刷する。図4に示すように、表裏別々に画像を印刷する場合でも、それぞれの画像が形成された領域が表裏でオーバラップしている必要がある。この形態においてはそれぞれの画像が表裏でオーバラップした領域が画像変化領域(3)となり、潜像画像(4)と可視画像(5)の全体が反射光下と透過光下の観察で画像が変化するためには、二つの画像を同じ大きさで形成し、同じ位置でオーバラップした配置とする。なお、本発明の潜像印刷物(1)において、潜像画像(4)と可視画像(5)を、同じ大きさで形成する必要はなく、潜像画像(4)と可視画像(5)の一部がオーバラップしない領域があっても良いが、オーバラップしない領域は、本発明の画像変化領域(3)ではなく、単なる画像変化領域(3)に隣接した画像となる。本発明の潜像印刷物(1)は、潜像画像(4)と可視画像(5)がオーバラップした画像変化領域(3)を備える構成であれば、その他に本発明の技術分野とする貴重印刷物に施される、公知のすかし技術、蛍光印刷、光学的変化インキによる模様等が施される構成であっても良い。
本発明の潜像印刷物(1)の効果については後述するが、可視画像(5)と潜像画像(4)を表裏別々に形成した場合には、可視画像(4)が形成された面から潜像印刷物(1)を透過光下で観察したときに、潜像画像(4)がミラー反転することから、潜像画像(5)の図柄に応じて、予めミラー反転した潜像画像(5)を可視画像(4)と反対側の面に形成すれば良い。
潜像画像(4)及び可視画像(5)は印刷で形成可能であり、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凹版印刷等いかなる印刷方式で形成しても良い。また、IJPやレーザプリンタ等で形成してもよく、この場合には一枚一枚の情報が異なるオンデマンド印刷が可能である。
図5を用いて、以上のような構成で作製した潜像印刷物(1)の効果について説明する。図5(a)に示すように、潜像印刷物(1)を反射光下で観察した場合、観察者(7)には、可視画像(5)が表す第一の有意情報が視認される。
また、図5(b)に示すように、潜像印刷物(1)を透過光下で観察した場合、観察者(7)には、可視画像(5)が表す第一の有意情報が消失して、潜像画像(4)が表す第二の有意情報が視認される。具体的には、透過光下では、前述した反射濃度で可視画像を構成することで、画像変化領域(3)全体が可視画像(5)の色彩となり、その中でも
光透過性が低く形成される潜像画像(4)において、面積率が高い領域は暗く、潜像画像(4)の面積率が低い領域は明るく視認される。
以上のように本発明の潜像印刷物(1)は、観察条件に応じて、画像変化領域(3)の中に出現する画像が第一の有意情報から第二の有意情報へと変化する。
続いて、第1の実施の形態で説明した二層構造の潜像印刷物(1)とは異なり、三層構造の潜像印刷物(1´)であって、第1の実施の形態で説明した潜像印刷物(1)よりも画像のチェンジ効果に優れる潜像印刷物(1´)について第2の実施の形態で説明する。
(第2の実施の形態)
図6に、本発明における潜像印刷物(1´)を示す。潜像印刷物(1´)は、基材(2´)の上に、画像変化領域(3´)が形成されて成る。基材(2´)に必要とされる特性は、第1の実施の形態で説明した光透過性に加えて浸透性を有する必要がある。なお、本発明において浸透性とは、後述する浸透型インキを印刷した場合に、インキ成分が基材(2)の内部に浸透する特性であり、例えば、第1の実施の形態で説明した上質紙、コート紙等を用いることができる。
図7に、画像変化領域(3´)の構成の概要を示す。画像変化領域(3´)は、潜像画像(4´)と可視画像(5´)の二つの画像の上に浸透画像(8´)が重ね合わさって成る。潜像画像(4´)は、第二の有意情報を表し、可視画像(5´)は第一の有意情報を表し、浸透画像(8´)は面積率100%のベタ画像か、あるいは一定の面積率の塗りで構成された画像を用いる。
第2の実施の形態における潜像画像(4´)と可視画像(5´)の構成については第1の実施の形態と同様であるから説明を省略する。第2の実施の形態と第1の実施の形態の違いは最後に重ねられる浸透画像(8´)の存在のみであることから、以下に浸透画像(8´)について具体的に説明する。
基材(2´)の片側一面に画像変化領域(3´)を形成する形態において、浸透画像(8´)は、図8に示すように潜像画像(4´)の上に重なった可視画像(5´)の上に、更に重ねて形成する。一方、基材(2´)の両面に可視画像(5´)と潜像画像(4´)が別々に形成される場合にはいずれの画像の上に重ねて形成しても良い。
浸透画像(8´)は有意情報を含まず、網点面積率100%の単純なベタ画像か、それに近い高い網点面積率100%〜80%程度の単純な画像の構成を有する。また、浸透画像(8´)は、潜像画像(4)及び可視画像(5´)を隠蔽してはならず、そのため透明である必要がある。
浸透画像(8´)は浸透型インキによって形成する。浸透型インキとは浸透成分を含んだインキを指し、浸透成分とは、印刷時に用紙内部へと浸透して印刷領域の透過率を上昇させる働きを成す成分のことを指し、具体的には、セルロースの屈折率(1.49)に近い樹脂やワックス、動植物油等を指す。これらの成分は、印刷した場合に用紙の中に存在するセルロース繊維間の空隙を埋め、主として用紙内部における光の散乱を抑制することで光の透過率を上げる働きを成す。
前述した浸透成分を含んだ市販のインキとしては、一般に透かしインキとして販売されているインキを用いても良い。このようなインキとしては、T&K TOKA 社製ベストワン透かしインキ、T&K TOKA 社製UV透かしインキ、帝国インキ社製ユニマーク、東洋インキ社製SMXすかしインキ、合同インキ社製E2ニス等が存在する。また、低粘度のOPニスも印刷したのち低粘度成分が浸透する効果を有するため、これらのインキを用いても良い。
図9に潜像印刷物(1´)の効果について示す。第1の実施の形態同様に観察条件に応じて、画像変化領域(3´)の中に出現する画像が第一の有意情報から第二の有意情報へと変化する効果を有する。
浸透画像(8´)を潜像画像(4´)と可視画像(5´)の上に重ね合わせることで、画像変化領域(3)の潜像画像(4´)を除く領域の基材(2)内部へ浸透型インキが浸透し、その領域の光透過性が高まる。これによって、透過光下での潜像画像(4´)の視認性が向上するとともに、可視画像(5´)の消失効果も飛躍的に高まる。可視画像(5´)の消失効果が高まることを利用して、可視画像(5´)の階調表現域、すなわち可視画像(5´)中の最大反射濃度と最小反射濃度の差を第1の実施の形態よりも大きくすることができる。この場合には反射光下における可視画像(5´)の視認性も高まり、結果として反射光下、透過光下における画像のチェンジ効果に優れる形態となる。ただし、最大反射濃度と最小反射濃度の差は0.3以下とする必要がある。
なお、本発明における「反射光下での観察」とは、観察者の視点が、正反射光がほとんど存在しない領域中にあって潜像印刷物(1)を可視光下で観察している状況を示しており、本発明における「透過光下での観察」とは、観察者の視点が、透過光下の領域中にあって潜像印刷物(1)を観察している状況を示している。
また、本発明における「色彩」とは、色相、彩度及び明度の概念を含んで色を表したものであり、また、「色相」とは、赤、青、黄といった色の様相のことであり、具体的には、可視光領域(400〜700nm)の特定の波長の強弱の分布を示すものである。
また、本発明における「透明」とは、下地を完全に隠蔽しない透過性を有する特性を指し、完全な透明の他に、下地がやや濁って見える程度の半透明も含む。
本発明における反射濃度とは、印刷の分野で一般に用いられている入射光に対する反射光の比率を指し、反射濃度計を用いて計測する反射濃度のCYMK色成分のうちの最も値の高い色成分の反射濃度を指すこととする。反射濃度計はグレタグマクベス社やX−rite社等が印刷物の反射濃度を管理するために販売している測定装置であり、印刷の分野においては一般的な装置である。
潜像画像(4)及び可視画像(5)を形成するインキに脱刷や印刷不良等の発生の有無を見極めること又は真偽判別性の向上を目的として、蛍光顔料や蛍光染料、燐光顔料、蓄光顔料等の発光顔料や発光染料、赤外線吸収材料や赤外反射材料等の機能性材料を添加しても何ら問題ない。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した潜像印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、第2の実施の形態同様に図6から図9までを用いて説明する。図6に実施例1における潜像印刷物(1´)を示す。潜像印刷物(1´)は、基材(2´)の上に、緑色の画像変化領域(3´)が形成されて成る。基材(2´)には、一般的な白色上質紙(しらおい 日本製紙製)を使用した。
画像変化領域(3´)は、図7に示すように三つの画像から構成した。三つの画像とは、潜像画像(4´)及び可視画像(5´)並びに浸透画像(8´)であり、潜像画像(4´)は第二の有意情報として「富士山」の画像を表し、可視画像(5´)は、第一の有意情報として「七宝」のマークを表す。
潜像画像(4´)は、階調制限を設けず、網点面積率0%から100%の範囲で多階調画像を表現し、一方の可視画像(5´)は、最大反射濃度と最小反射濃度の差が0.3以内に収まるように網点面積率に制限を設けた。可視画像(5´)を構成する網点面積率は、最大網点面積率を40%とし、最小網点面積率を20%として、網点面積率の範囲を20%とした。
以上の構成の潜像画像(4´)を、チタン白を顔料とする白インキ(No.3 UVLカートン白 GW T&K TOKA 社製)で印刷したのち、淡い緑色インキ(UVL 淡緑 T&K TOKA 社製)で可視画像(5´)を重ね合わせ、最後に浸透画像(8´)を浸透型インキ(UV透かしインキ T&K TOKA 社製)を印刷して形成した。いずれもオフセット印刷方式で印刷した。なお、可視画像(5´)中の最大反射濃度はDy=0.37(黄色成分の反射濃度)であり、最小反射濃度はDy=0.17であって、濃度差は0.2であった。測定にはグレタグマクベス社の濃度計を用いた。
以上の構成で作製した潜像印刷物(1´)の効果について、図9を用いて以下に説明する。図9(a)に示すように、潜像印刷物(1´)を反射光下で観察した場合、観察者(9´)には、可視画像を表す第一の有意情報が淡い緑色の色彩で視認された。一方、図9(b)に示すように、潜像印刷物(1´)を透過光下で観察した場合、観察者(9´)には、可視画像を表す第一の有意情報は消失して画像変化領域(3´)全体が極めて淡い緑色の色彩となり、その中に潜像画像(5´)が表す第二の有意情報が光の強弱によって透かし画像のように視認された。
以上のように本発明の潜像印刷物(1´)は、反射光下と透過光下とで視認できる情報が、第一の有意情報から第二の有意情報にチェンジすることが確認できた。
1、1´ 潜像印刷物
2、2´ 基材
3、3´ 画像変化領域
4、4´ 潜像画像
5、5´ 可視画像
6、6´ 光源
7、7´ 観察者の視点
8´ 浸透画像

Claims (3)

  1. 光透過性を有する基材の上の少なくとも一部に画像変化領域を備え、前記画像変化領域は、前記基材から潜像画像と可視画像が順に積層され又は前記基材の一方の面に潜像画像が形成され、前記潜像画像が形成された領域に対する前記基材の他方の面の同じ位置に可視画像が形成されて成り、前記潜像画像は、透明又は前記基材と等色で、前記基材よりも光透過性が低く、前記可視画像は、前記基材と異なる色彩の部分的に反射濃度が異なる画像で、かつ、最大反射濃度と最小反射濃度の差が0.2以下であり、反射光下では前記可視画像のみが視認され、透過光下では前記潜像画像のみが視認できることを特徴とする潜像印刷物。
  2. 光透過性と浸透性を有する基材の上の少なくとも一部の表裏同じ位置に画像変化領域を備え、前記画像変化領域は、前記基材から潜像画像、可視画像及び浸透画像が順に積層され又は前記基材の一方の面から潜像画像と可視画像のうち、一方の画像と浸透画像が順に積層され、他方の画像が前記基材の他方の面に形成されて成り、前記潜像画像は、透明又は前記基材と等色で、前記基材よりも光透過性が低く、前記可視画像は、前記基材と異なる色彩の部分的に反射濃度が異なる画像で、かつ、最大反射濃度と最小反射濃度の差が0.3以下であり、前記浸透画像は、浸透成分を有する透明な色材から成り、反射光下では前記可視画像のみが視認され、透過光下では前記潜像画像のみが視認できることを特徴とする潜像印刷物。
  3. 前記潜像画像が、光遮断性の高い金属顔料を含む色材で形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の潜像印刷物。
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