JP6108233B2 - 透過潜像印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等の貴重印刷物の分野において、反射光下と透過光下で画像が変化する透過潜像印刷物に関わるものである。
近年のスキャナ、プリンター、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのため、前述したような複製や偽造を防止するため、プリンターやコピー機では再現不可能な様々な偽造防止技術が必要とされている。
この偽造防止技術の一つとして、繊維の粗密や用紙の薄厚によって模様を形成して透過光下で視認させる、いわゆる透かし技術が存在する。この透かし技術は、一定量以上の光さえ存在すれば、あらゆる環境下で真偽判別が可能な技術であり、また、知名度も抜群に高いことから、古くから存在する古典的な技術であるにも関わらず、今なお世界中の銀行券で用いられている。
透かし技術は、用紙の製造段階で形成する必要があることから、用紙メーカでなければ製造不可能であり、加えて用紙メーカが製造した場合でも製造コストが高くなるという問題があることから、これを擬似的に再現する方法として、印刷工程で特殊な浸透型インキを用いて、この透かしに相当する透過画像を印刷で形成する偽造防止技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、浸透型インキを用いて透過光下で透かしのような透過画像を認証する透かし印刷を用いた偽造防止技術に関しては、浸透型インキ自体が多くのメーカから市販されており、一般人であっても容易に入手可能であることから、偽造者にとっても作製が容易であるという問題があった。
このような問題を解決するために、本出願人はすでに、反射光下では等色に観察されるが、透過率が異なる二つのインキをペアインキとして用いて印刷画像を形成する技術であって、反射光下と透過光とで観察される画像が変化する、真偽判別と偽造防止効果に優れた透過潜像印刷物を出願している(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
また、本出願人は、浸透型インキに着色顔料を混合した有色浸透インキと有色浸透インキと対を成す反射インキをペアインキとして、特殊で複雑な網点構成によって画像を形成する印刷物であって、反射光下で観察できる画像と透過光下で観察できる画像とが全く相関のない異なる画像であることを特徴とする透過潜像印刷物をすでに出願している(例えば、特許文献4参照)。
特開平6−228900号公報 特開2011−37234号公報 透過潜像(半透明) 特開2011−143669号公報 透過潜像チェンジ(半透明) 特開2012−223905号公報 着色透過潜像
特許文献2から特許文献4に記載の技術はいずれも反射光下で等色であって、透過光下で異色に見える等色ペアインキを用いて形成する技術である。このような特徴を有するペアインキは、一方のインキに浸透成分を有するワニスを用い、もう一方のインキに通常型のワニスを用い、それぞれのワニスに同じ着色顔料を同じ分量配合すれば、この後、微量の着色顔料を添加して色彩を微調整するだけで作製できてしまうことから、特殊インキの作製に関わる者にとっては偽造が比較的容易であるという問題があった。
特許文献2から特許文献4に記載の技術は、いずれも極めて淡い濃度の等色ペアインキを用いて形成する必要があり、潜像印刷物の色彩は淡いモノトーン調に制限されるために色彩表現に乏しいという問題があった。加えて、このペアインキの濃度は極端に淡いために潜像領域以外の他の部分への流用も難しい。このような専用のペアインキによって印刷機の印刷胴を2胴も占有してしまうため、潜像画像以外に使用できる色数も限定され、セキュリティ印刷物全体の色彩をデザインする上で大きな制約となっていた。
本発明は、前述した課題の解決を目的とし、ペアインキの偽造が困難であって偽造抵抗力に優れ、かつ、デザイン上や製造上の自由度の拡大を目的とするものであり、印刷画像の色彩が極めて淡い濃度に制限されることがなく、二つの領域を明度と光透過性を異ならせて形成する印刷物であって、反射光下で異色に観察できる画像が、透過光下で等色に変化することを特徴とする真偽判別と偽造防止効果に優れた透過潜像印刷物に関わる。
本発明における透過潜像印刷物は、光透過性を有する基材上の少なくとも一部に、基材と異なる色彩の印刷模様を備え、印刷模様は、有彩色の第一のインキにより形成された情報画像と、第一のインキより明度が高く、光透過性が低い特性を有する第二のインキにより形成された背景画像と、少なくとも第二のインキを用いて所定の範囲において単位面積当たりの面積率の差によって区分けされた潜像画像とを有し、第一のインキと第二のインキは同じ色相の有彩色であって、反射光下において明度の差により色彩が異なり、かつ、透過光下において等色であり、反射光下で第一のインキと第二のインキの色彩の違いにより情報画像が視認され、透過光下で情報画像と背景画像が等色に視認されることで、面積率の差により潜像画像が視認可能なことを特徴とする透過潜像印刷物である。
また、本発明の透過潜像印刷物の第二のインキは、二酸化チタンを含んでいることを特徴とする。
また、本発明の透過潜像印刷物の第一のインキは、浸透成分を含んでいることを特徴とする。
また、本発明の透過潜像印刷物の第一のインキは、第二のインキよりも彩度が低いことを特徴とする。
さらに、本発明の透過潜像印刷物の潜像画像は、背景画像内に面積率の差によって形成されたことを特徴とする。
本発明の透過潜像印刷物は、反射光下で異色であって、透過光下で等色に変化する二つのインキから成る。このペアインキは、従来のような反射光下で等色であって、透過光下で異色に変化するペアインキのように、同じ顔料を同じ量配合するだけでは作製不可能であり、作製にはより専門的な知識が必要となる。このため、従来のペアインキを用いて形成する潜像印刷物と比較すると、作製が困難であって、偽造抵抗力が高い。
本発明の透過潜像印刷物の印刷模様は、従来の技術の印刷模様と異なり、印刷模様は色彩の異なる二つのインキによって形成される。このため、印刷模様の色彩は従来技術のようにモノトーン調に制限されず、複数の異なる色彩で構成することができ、また色濃度も極端に淡い必要もないため、従来の技術と比較して格段に色彩豊かな表現が可能となる。加えて、ペアインキは、一般的な着色インキと遜色ない反射濃度を有するため、セキュリティ印刷物中の本発明の印刷画像が付与された以外の印刷領域にもそれぞれ流用することができるため、従来の技術と比較してセキュリティ印刷物全体も色彩表現に優れたデザインとすることができる。
以上の手法で形成した透過潜像印刷物は、生産性の高い印刷方式であるオフセット印刷で製造可能であることからコストパフォーマンスに優れ、また最新のデジタル機器を用いたとしても透過画像の再現は不可能であることから、偽造防止効果に優れる。また、特別な道具を用いることがなく透かすだけで認証できるため、判別性にも優れる。
本発明の第一の実施形態における透過潜像印刷物を示す。 第一の実施形態における透過潜像印刷物の構成の概要の一例を示す。 第一の実施形態における透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 第一の実施形態における透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 第一の実施形態の潜像要素と背景要素の別の配置を示す。 第一の実施形態における透過潜像印刷物の視認状態を説明するための図を示す。 本発明の第二の実施形態における透過潜像印刷物を示す。 第二の実施形態における透過潜像印刷物の構成の概要の一例を示す。 第二の実施形態における透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 本発明の第三の実施形態における透過潜像印刷物を示す。 第三の実施形態における透過潜像印刷物の構成の概要の一例を示す。 第三の実施形態における透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 第三の実施形態における透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 本発明における実施例の透過潜像印刷物を示す。 本発明における実施例の透過潜像印刷物の構成の概要の一例を示す。 本発明における実施例の透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 本発明における実施例の透過潜像印刷物の具体的な構成を示す。 発明における実施例の透過潜像印刷物の視認状態を説明するための図を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(第一の実施の形態)
図1に、本発明における透過潜像印刷物(1)を示す。透過潜像印刷物(1)は、基材(2)の上に、基材(2)と異なる複数の色彩を有する印刷模様(3)が形成されて成る。
本発明における透過潜像印刷物(1)を構成する基材(2)は、上質紙やコート紙、透明フィルムやプラスティックのように、光を透過する特性、いわゆる光透過性を有する必要がある。不透明なプラスティックや金属では透過光下での効果は得られない。基材(2)の色彩については特に制約はない。また、印刷模様(3)の二つの色彩は基材(2)と異なる有彩色であれば、如何なる色彩であっても良い。
図2に、印刷模様(3)の構成の概要を示す。印刷模様(3)は、それぞれ二つの色彩の異なるインキによって構成される。この二つのインキとは、第一のインキ及び第二のインキである。第一のインキと第二のインキはいずれも有彩色であって、反射光下において色相は同じだが、明度及び彩度が異なるため色彩が異なり、加えて光透過性が異なる。第一のインキと第二のインキの具体的な光学特性については後述する。
図2に示す印刷模様(3)は、第一のインキで形成される画像(4)と第二のインキで形成される画像(5)とに区分けされる。第一の実施の形態において第一のインキで形成される画像(4)は情報画像(4)であり、反射光下で視認される第一の有意情報を表す。第一の実施の形態における第一の有意情報とは「鳳凰」の画像である。第一のインキと第二のインキは異なる色彩であるため、第一のインキで形成される画像(4)と第二のインキで形成される画像(5)とは異なる色彩で区分けされる。
第二のインキで形成される画像(5)は、背景画像(5A)と、潜像画像(5B)を有する。背景画像(5A)とは、情報画像(4)と対を成す画像であり、透過光下で情報画像(4)をカモフラージュするための画像であって、情報画像(4)を濃淡反転させた構成の画像である。潜像画像(5B)は、第一の有意情報とは異なる第二の有意情報を表した画像であり、第一の実施の形態における第二の有意情報とはアルファベットの「OK」の文字である。以上のように、印刷模様(3)とは、情報画像(4)及び背景画像(5A)並びに潜像画像(5B)の三つの画像を備える。
図3に印刷模様(3)の一部の画線構成を拡大して示す。印刷模様(3)は、情報画像(4)を構成する要素である情報要素(6)と、背景画像(5A)を構成する要素である背景要素(7A)と、潜像画像(5B)を構成する要素である潜像要素(7B)の三つの要素を備える。それぞれ三つの要素が互いに重なり合うことなく特定のピッチ(P1)で特定の方向(図中S1方向)に連続して配置されて印刷模様(3)を構成している。
情報画像(4)は、特定の画線幅(W1)の情報要素(6)が特定のピッチ(P1)で特定の方向(図中S1方向)に連続して配置されて成る。また、図4に示すように、第二のインキで形成される画像(5)である背景画像(5A)と潜像画像(5B)を備え、背景画像(5A)は、それぞれ特定の画線幅(W2)の背景要素(7A)が特定のピッチ(P1)で特定の方向(図中S1方向)に連続して配置されて成り、一方の潜像画像(5B)は、それぞれ特定の画線幅(W3)の潜像要素(7B)が背景要素(7A)の上下端に接するように二つずつペアとなって、特定のピッチ(P1)で特定の方向(図中S1方向)に連続して配置されて成る。
背景要素(7A)の中には、情報要素(6)と対を成し、同じ大きさで構成された情報反転要素(8)が配されて成る。それぞれの情報反転要素(8)と情報要素(6)の輪郭は完全に一致する構造を有し、背景要素(7A)中の情報反転要素(8)に情報要素(6)が嵌め合わさる構造を有する。対を成す情報要素(6)と情報反転要素(8)はそれぞれの面積率を足し合わせると100%と成る構成であり、例えば情報要素(6)が100%のベタで構成されている場合、情報反転要素(8)は0%のヌキとなり、情報要素が50%の面積率で構成されている場合、情報反転要素(8)の面積率は50%となる。
背景要素(7A)の画線幅(W2)は、情報要素(6)の画線幅(W1)以上である必要がある。これは、背景要素(7A)の画線幅(W2)が、情報要素(6)の画線幅(W1)より小さい場合、透過光下で情報要素(6)を背景要素(7A)で隠蔽することが不可能となり、本発明の特徴である画像のチェンジ効果が損なわれるためである。
潜像要素(7B)は、第一の実施の形態では背景要素(7A)を上下に挟み込んだ形で二つの要素をペアとして配置した形態で説明したが、必ずしも二つの要素をペアとする必要も、背景要素(7A)に接している必要もなく、図5に示すように、単に情報要素(6)及び背景要素(7A)と重ならない位置に一定の面積を有する潜像要素(7B)を配置すれば良い。また、第一の実施例では情報要素(6)、背景要素(7A)及び潜像要素(7B)のいずれも画線で構成したが、それぞれの要素は画線である必要はなく、画素で形成しても良く、画線と画素の組合せで構成しても良い。画素で形成する形態については後述する。
潜像要素(7B)の面積率は、用いる第一のインキ及び第二のインキの色彩や光透過性によって決まる。例えば第二のインキの明度が低い場合、潜像要素(7B)の面積率は低くする必要があり、第二のインキの明度が高い場合、潜像要素(7B)の面積率は高くする必要がある。
印刷模様(3)を構成する第一のインキと第二のインキとは色相が同じである必要があるが、明度及び彩度は異なっている必要があり、結果として色彩が異なる。また、特に明度については、第一のインキが低く、第二のインキが高い必要がある。この場合の「明度が高い」、「明度が低い」とは他方の領域と比較して相対的に高いか低いかを指す。また、第二のインキは第一のインキと比較して光透過性が低い必要がある。以上のように、第一のインキで形成される画像(4)と、第二のインキで形成される画像(5)は明度及び彩度が異なることから、異なる色彩で視認される。
なお、本明細書中でいう明度とは色の明るさを指し、高い場合には明るく、低い場合には暗い。また、彩度とは、色の鮮やかさの度合いを指す。加えて、本発明における「色彩」とは、色相、彩度及び明度の概念を含んで色を表したものであり、また、「色相」とは、赤、青、黄といった色の様相のことであり、具体的には、可視光領域(400〜700nm)の特定の波長の強弱の分布を示すものである。また、本発明における「色相が同じ」とは、二つの色において赤、青、黄といった色の様相が一致し、可視光領域の波長の強弱の分布が二つの色において相関を有することである。
「第一のインキの明度が低く、第二の領域の明度は高い」条件とは前述の通り、相対的な関係を満たすことが絶対条件であるが、その具体的な数値の差異としては、第一のインキと第二のインキのL***表色系の明度L*の値は、その明度差ΔL=5以上異なっている必要があり、より好ましくは10以上異なっていることが望ましい。
また、第一のインキと第二のインキの色彩は、観察者が特に注意を払うことなく一瞥しただけで、二つの領域が同じ色彩ではなく、異なる色彩であると感じる程度に色彩が異なっている必要がある。具体的にはL***表色系における色差ΔEが6以上異なる必要があり、更に色差ΔEが12以上離れていることが望ましい。
また、第一のインキと第二のインキは光透過性が異なっている必要がある。具体的には、第一のインキの光透過性は高く、第二のインキの光透過性は低い必要がある。これは、本発明の透過光下での効果を生じさせるために必須となる特性である。この特性を容易に満足させるためには、第二のインキに高い光遮断性を付与すれば良い。具体的には、二酸化チタンや酸化鉄、酸化亜鉛等のような光反射性の高い金属顔料を含んだインキを用いたり、二酸化ケイ素や炭酸カルシウム等を含んだインキを用いることもできる。あるいは、特殊な金属顔料を含まない一般的なインキを用いて、厚い膜厚で印刷することで高い光遮断性を実現しても良い。
一方、第一のインキは、単に第二のインキより光透過性が高ければ良いため、一般的な着色顔料や着色染料を用いても良い。効果をより強調したい場合には、従来技術同様に透かしインキ(浸透型インキ)に着色染料や着色顔料を混合したインキを用いても問題ない。このようなインキを「有色浸透インキ」と呼ぶが、このインキについては、後述する。
また、第一のインキで形成された情報画像(4)と、第二のインキで形成された画像(5)は、反射光下では色彩が異なって観察されるものの、透過光下では等色に変化する必要がある。透過時のそれぞれの領域の色彩は、それぞれの領域の光透過性に依存して、反射光下の色彩から変化する。光透過性が低い領域は、主に明度が低下して暗い色彩に変化し、光透過性が高い領域(5)は、主に明度が増加して明るい色彩へと変化する。そのため、反射光下の色彩の明度が低い情報画像(4)の透過光下の色彩は明度が上昇し、反射光下の色彩の明度が高い第二のインキで形成された画像(5)の色彩は明度が低下するため、それぞれの反射光下の色彩とそれぞれの光透過性を制御することで、透過光下において二つのインキで形成された画像の色彩をバランスさせることで等色とすることができる。
加えて、透過光下では明度だけでなく、彩度も変化する。透過光下では第一のインキで形成された画像(4)の彩度は相対的に上昇する一方で、第二のインキで形成された画像(5)の彩度は減少する。このため、反射光下における第一のインキで形成された画像(4)の彩度を低く、第二のインキで形成された画像(5)の彩度を高く設計しておけば透過光下で等色と成り易い。混じりけのない純粋な色は彩度が高く、白や灰色、黒等の無彩色に近い色ほど値がゼロに近い。それぞれの画像(4、5)の明度だけでなく、彩度も大きく異なる場合には色彩表現もより豊かになるため、印刷画像の見栄えが良くなり、より好ましい。また、明度が異なる色彩は、同じインキを用いて面積率の違いによってある程度は表現できるが、大きく彩度が異なる色彩は同じインキを用いて単純な面積率の違いだけで表現することは困難であるため、より再現することが難しく、偽造抵抗力にもより優れる形態となる。
以上のように、二つのインキの色彩設計が適切であった場合、例えば第二のインキを酸化チタン含有のインキとし、第二のインキを通常の着色インキとした場合、二つのインキの間に反射光下の色差ΔEに10前後の差があった場合でも、透過光下においてこの差異をほぼゼロすることができる。加えて、例えば第一のインキに後述する有色浸透インキを用いた場合には、反射光下の色差ΔEに20前後の差があった場合でも、透過光下においてこの差異をほぼゼロとすることができる。
以上の構成で形成した透過潜像印刷物(1)の効果を図6に説明する。図6(a)に示すように、透過潜像印刷物(1)を反射光下で観察した場合、潜像画像(5B)の面積率の違いよりも、情報画像(4)と背景画像(5A)の色彩の違いがより強調されるため、潜像画像(5B)は情報画像(4)と背景画像(5A)の色彩の違いによって目視上隠蔽され、結果として観察者には情報画像(4)が表す第一の有意情報(「鳳凰」)が視認される。
また、図6(b)に示すように、透過潜像印刷物(1)を透過光下で観察した場合、情報要素(4)と背景要素(5A)及び潜像要素(5B)が前述した原理により等色に変化するため、情報要素が表す第一の有意情報は不可視となり、代わって面積率の差異によって潜像画像(5B)が表す第二の有意情報(「OK」)が視認される。
以上のように本発明の透過潜像印刷物(1)は、印刷模様(3)の表す情報が反射光下では第一の有意情報であり、透過効果では第二の有意情報として視認できることを特徴とする。
なお、本発明における「反射光下での観察」とは、観察者の視点が、正反射光がほとんど存在しない領域中にあって透過潜像印刷物(1)を可視光下で観察している状況を示しており、本発明における「透過光下での観察」とは、観察者の視点が、透過光下の領域中にあって、透過潜像印刷物(1)を観察している状況を示している。
本発明の透過潜像印刷物(1)の最大の特徴は、色相は同じだが、明度及び彩度の異なる非等色ペアインキを用いて画像を形成することにある。反射光下と透過光下で視認される画像が変化することを基準として判別ができるという真偽判別機能は、等色ペアインキを用いて形成する従来の技術と基本的には変わらず、この機能が損なわれることはない。その一方で、従来の技術のように等色ペアインキを用いない構成とした場合、印刷物の色彩設計上、以下の大きな利点が生まれる。
発明が解決しようとする課題でも触れたが、等色ペアインキを用いて形成する潜像印刷物において、画像が変化する印刷画像は濃淡の変化でのみ情報を表せず、モノトーン調の画像にしか成り得ないため、色彩表現に乏しい。これは等色ペアインキを用いた印刷画像自体に対する問題であるが、等色ペアインキを用いた印刷画像を配置するセキュリティ印刷物自体に対しても、色彩設計上の問題が生じる場合が多い。この問題について以下に記す。
オフセット印刷のようなインキ転移量の少ない印刷方式を用いて、本発明のように画像を変化させる特殊な効果を有する印刷画像を形成した場合、印刷画像がモノトーンとなるだけでなく、その印刷画像の色彩自体にも制限が設けられることが多い。具体的には淡い色彩に制限されることが多い。
これは、優れた光学変化特性を有する最新の機能性顔料を含んだインキを用いたとしても、オフセット印刷等で転移させられるインキ転移量には限界があり、結果として、形成した画像で実現できる色彩変化等は極めて小さくなるため、もともとの印刷画像が高い濃度であった場合には、その変化が認識されづらいことが一因にある。そのため、例えば、引用文献2から引用文献4までに挙げた潜像印刷物を印刷する場合、極端に淡い色彩で等色の関係にある等色ペアインキが必要になる。
一方、印刷機が一度に使用できるインキの色数には当然のことながら制約があり、例えば、セキュリティ印刷物を印刷するために四色印刷機を用いた場合、この潜像画像を印刷するためだけに、等色ペアインキを使用しなければならず、同じ色彩のインキによって二色分のユニットが占有される。
また、この二色が極端に淡い色彩である場合には、潜像画像以外のセキュリティ印刷物に必要とされる他の印刷要素、例えば、地紋模様や彩紋、文字、マーク、記号、記載事項等への流用も困難である。そのため、一般的な四色印刷機を使用した場合には、潜像画像以外の領域を二種類の色ですべて形成する必要がある。
たとえ機能が優先されるセキュリティ印刷物であっても、印刷物上の色数が多く、色鮮やかな表現が成されたものがより見栄えが良いことは言うまでもなく、潜像画像の形成にあたって、前述したように流用の効かない極端に淡い二種類のインキを使用しなければならないことは、セキュリティ印刷物全体としての色彩設計上の大きな負荷となっていた。
本技術では、印刷模様(3)の形成にあたって従来のような等色ペアインキではなく、明度の大きく異なった非等色ペアインキを用いることで、この問題を解決した。従来のような極めて淡い等色ペアインキでなく、一定の濃度を有する二つの色彩の異なるインキを用いることで、真偽判別機能を損なうことなく、反射光下における印刷模様(3)の色彩表現を豊かにすることを可能としたことに加え、それぞれ色彩の異なるインキを印刷画像以外の印刷要素、すなわち、地紋模様や彩紋、文字、マーク、記号、記載事項等への流用もでき、印刷模様(3)が形成されるセキュリティ印刷物自体の色彩を豊かにすることができる。現実の問題としてセキュリティ印刷物を製造する場合、一つの印刷機を使用して透過潜像印刷物(1)のみを形成すれば良いわけでなく、セキュリティ印刷物全体を形成する必要があり、印刷物全体に対して異なった複数の色彩を使用できることは大きな利点である。
また、第二のインキだけでなく、第一のインキにも特殊な機能性インキを用いても良い。第一のインキに用いることが可能な機能性インキとして、最も効果が高い、「有色浸透インキ」について説明する。有色浸透インキとは、印刷した画像が透過光下で透けて見える(非印刷部よりも明るく観察される)効果を有する浸透成分を含む浸透型インキに、色材を混合することで形成したインキである。
有色浸透インキとは、基材に印刷した場合に、反射光下では、はっきりと視認できる色彩を有した画像を形成できる一方、透過光下では、その画像を極端に淡く変化させる効果を有する。言い換えると、通常の着色インキと比較して、「透かすと画像がより淡く見える」効果を有したインキである。有色浸透インキは、浸透成分と色材とを含んで構成され、浸透成分が基材内部の光の散乱を抑制することで生じさせる透過率の上昇によって、画像が淡く見える効果を実現している。
浸透成分が透かしインキとして一般に販売されているインキに相当する程度の性能を備えていれば、一定量の色材を混合して「透かすと画像が淡く見える」効果を有する有色浸透インキとすることは可能である。有色浸透インキに混合する色材は、着色顔料や着色染料として販売されている印刷色材を用いれば良い。印刷物として市場に流通させることを目的とすると、長期にわたる堅牢性が得られやすい着色顔料を用いることが望ましい。
なお、本発明における浸透成分とは、印刷時に用紙内部へと浸透して印刷領域の透過率を上昇させる働きを成す成分のことを指し、具体的には、セルロースの屈折率(1.49)に近い樹脂やワックス、動植物油等を指す。これらの成分は、印刷した場合に用紙の中に存在するセルロース繊維間の空隙を埋め、主として用紙内部における光の散乱を抑制することで光の透過率を上げる働きを成す。
また、本発明における「浸透型インキ」とは、前述した浸透成分を含み、一般に透かしインキとして販売されているインキを指す。このようなインキとしては、T&K TOKA製ベストワン透かしインキ、帝国インキ製ユニマーク、東洋インキ製SMXすかしインキ、合同インキ製E2ニス等が存在する。本発明の有色浸透インキは、これらのインキを用いても作製可能である。
第二のインキには光遮断性に優れる機能性インキを用い、一方の第一のインキに有色浸透インキを用いた場合、第一のインキで形成される画像(4)の光透過性はより高く、第二のインキで形成される画像(5)の光透過性はより低く成るため、それぞれのインキの明度や彩度の違いを大きくすることができる。すなわち、第一のインキの明度や彩度はより低く、第二のインキの明度や彩度はより高くすることで、第一のインキと第二のインキの色差を大きくすることができる。この場合、反射光下における情報画像(4)と背景画像(5)の異色性が最も高まり、反射光下と透過光下での色彩の変化の割合も大きくなることから、反射光下での第一の有意情報の視認性を上げたい場合には望ましい構成である。
また、第一のインキ及び第二のインキに脱刷や印刷不良等の発生の有無を見極めることを目的又は真偽判別性の向上を目的として、蛍光顔料や蛍光染料、燐光顔料、蓄光顔料等の発光顔料や発光染料、赤外線吸収材料や赤外反射材料等の機能性材料を添加しても何ら問題ない。
本発明の透過潜像印刷物(1)の印刷方式は、オフセット印刷で十分な効果を発揮するが、製造者のシーズに応じてフレキソ印刷やグラビア印刷、凹版印刷やスクリーン印刷等で形成しても良い。
第一の実施の形態では、第二のインキのみで潜像画像(5B)を構成したが、第一のインキと第二のインキのそれぞれで潜像画像(5B)を表現しても良い。以下に第二の実施の形態としてその具体的な方法を示す。
(第二の実施の形態)
図7に第二の実施の形態の透過潜像印刷物(1')を示す。透過潜像印刷物(1’)は、基材(2’)の上に、基材(2’)と異なる複数の色彩を有する印刷模様(3’)が形成されて成る。
図8に印刷模様(3’)の構成の概要を示す。第二の実施の形態の透過潜像印刷物(1’)は、第一のインキで形成される画像(4’)及び第二のインキで形成される画像(5’)を有し、第一のインキで形成される画像(4’)の中には情報画像(4A’)に加え第一の潜像画像(4B’)がある。また、第二のインキで形成される画像(5’)の中には背景画像(5A’)及び第二の潜像画像(5B’)がある。第一の潜像画像(4B’)と第二の潜像画像(5B’)が組み合わさることで第二の有意情報であるアルファベットの「OK」の文字となる。第一の実施の形態では潜像画像は第二のインキのみで形成されたが、この第二の実施の形態のように第一のインキと第二のインキの両方で形成することもできる。この構成の場合、図9に示すように、アルファベットの「OK」の文字のうち、情報要素(6A’)に接する第一の潜像要素(6B’)は、第一のインキで、背景要素(7A’)に接する第二の潜像要素(7B’)は第二のインキで形成すればよい。以下の構成については第一の実施の形態と同じであるから説明を省略する。
第一の実施の形態の透過潜像印刷物(1)と 第二の実施の形態の透過潜像印刷物(1’)とを比較すると、反射光下における潜像画像(5B)の隠蔽性に関しては、潜像画像(5B)を、明度が高くて視認されづらい第二のインキで構成する第一の実施の形態の透過潜像印刷物(1)がより優れているが、構造の単純さや印刷時の刷り合わせを含めた製造の容易さに関しては、第二の実施の形態の透過潜像印刷物(1’)が優れていると言える。
続いて、第三の実施の形態について説明する。第一の実施の形態及び第二の実施の形態では、すべての要素を画線で構成したが、要素を画素で表現しても良い。以下に第三の実施の形態としてその具体的な方法を示す。
(第三の実施の形態)
図10に第三の実施の形態の透過潜像印刷物(1’’)を示す。透過潜像印刷物(1’’)は、基材(2’’)の上に、基材(2’’)と異なる複数の色彩を有する印刷模様(3’’)が形成されて成る。
図11に印刷模様(3’’)の構成の概要を示す。第三の実施の形態の透過潜像印刷物(1’’)の印刷模様(3’’)は、すべて画素で構成されて成る。印刷模様(3’’)は、第一のインキで形成される画像である情報画像(4’’)及び第二のインキで形成される画像(5’’)を有し、第二のインキで形成される画像(5’)の中には背景画像(5A’’)及び潜像画像(5B’’)がある。
図12に印刷模様(3’’)の一部の画線構成を拡大して示す。印刷模様(3’’)は、情報画像(4’’)を構成する要素である情報要素(6’’)と、背景画像(5A’’)を構成する要素である背景要素(7A’’)と、潜像画像を構成する要素である潜像要素(7B’’)の三つの要素を備える。それぞれ三つの要素は画素形状であるが、第一の実施の形態及び第二の実施の形態で説明した、要素が画線形状の形態と同じように、互いに重なり合うことなく特定のピッチ(P1)で特定の方向(図中S1方向及びS2方向)に連続して配置されて印刷模様(3’’)を構成している。
情報要素(4’’)は、第一の方向(図中S1方向)に特定の幅(W1)、第二の方向(図中S2方向)に特定の高さ(W2)の画素形状の情報要素(6’’)が第一の方向に特定のピッチ(P1)で第二の方向に特定のピッチ(P2)で連続して配置されて成る。また、図13に示すように、第二のインキで形成される画像(5’’)である背景画像(5A’’)と、潜像画像(5B’’)は、第一の方向(図中S1方向)に特定の幅(W3)、第二の方向(図中S2方向)に特定の高さ(W4)の画素形状の背景要素(7A’’)が第一の方向に特定のピッチ(P1)で第二の方向に特定のピッチ(P2)で連続して配置されて成り、第一の方向(図中S1方向)に特定の幅(W5)、第二の方向(図中S2方向)に特定の高さ(W6)の画素形状の潜像要素(7B’’)が第一の方向に特定のピッチ(P1)で第二の方向に特定のピッチ(P2)で連続して配置されて成る。
また、背景要素(7A’’)の中には、情報要素(6’’)と対を成し、同じ大きさで構成された情報反転要素(8’’)が配されて成る。対を成す情報要素(6’’)と情報反転要素(8’’)はそれぞれの面積率を足し合わせると100%と成る構成であり、例えば情報要素(6’’)が100%のベタで構成されている場合、情報反転要素(8’’)は0%のヌキとなり、情報要素が50%の面積率で構成されている場合、情報反転要素(8’’)の面積率は50%となる。
背景要素(7A’’)の第一の方向の幅(W3)は、情報要素(6’’)の第一の方向の幅(W1)以上である必要があり、また、背景要素(7A’’)の第二の方向の高さ(W4)は、情報要素(6’’)の第二の方向の幅(W2)以上である必要がある。これは、背景要素(7A’’)が情報要素(6’’)よりも小さい場合、透過光下で情報要素(6’’)を背景要素(7A’’)で隠蔽することが不可能となり、本発明の特徴である画像のチェンジ効果が損なわれるためである。以下の構成については第一の実施の形態と同じであるから説明を省略する。
以上のように、本発明の透過潜像印刷物の構成は様々な形態を取りうる。以下、前述の発明を実施するための最良の形態にしたがって、具体的に作製した透過潜像印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
本実施例は、第一の実施の形態で説明した形態と同様な形態を用いて、図14から図18までを用いて説明する。図14に実施例における透過潜像印刷物(1−1)を示す。透過潜像印刷物(1−1)は、基材(2−1)の上に、緑系の色を有した印刷模様(3−1)が形成されて成る。基材(2−1)には、一般的な白色上質紙(しらおい 日本製紙製)を使用した。
印刷模様(3−1)は、図15に示す第一のインキで形成される画像である情報画像(4−1)と第二のインキで形成される画像(5−1)から構成した。第二のインキで形成される画像(5−1)は背景画像(5A−1)及び潜像画像(5B−1)を有する。第一のインキの色彩は深緑とし、第二のインキの色彩は黄緑としたため、情報画像(4)は深緑色であって、第二のインキで形成される画像(5−1)は黄緑色となった。
図16に、印刷模様(3−1)の具体的な画線構成を示す。それぞれの画線は第一の方向(S1方向)にピッチ0.4mmで連続して配置して構成した。また、情報画像(4−1)は、画線幅0.25mmの情報要素(6−1)を第一の方向(S1方向)にピッチ0.4mmで連続して配置して構成した。
図17、に第二のインキで形成される画像(5−1)を示す。第二のインキで形成される画像(5−1)は、背景画像(5A−1)及び潜像画像(5B−1)を有する。背景画像(5A−1)は、画線幅0.28mmの背景要素(7A−1)を第一の方向(S1方向)に、ピッチ0.4mmで連続して配置して構成し、潜像画像(5B−1)は、画線幅0.04mmの潜像要素(7B−1)の二つの画線をペアとして第一の方向(S1方向)に、ピッチ0.4mmで連続して配置して構成した。また、それぞれの潜像要素(7A-1)の中にはそれぞれの情報要素(6−1)と対を成し、情報要素と同じ大きさを有する情報反転要素(8−1)をヌキで配置した。
以上のような構成とし、第一のインキは、表1に示すインキを用いた。この第一のインキは、高い光透過性を有する浸透成分を含んだ深緑色の有色浸透インキである。
Figure 0006108233
一方の第二のインキには、チタンを大量に含有する淡い緑インキ(ベストワン Panton381 淡淡緑 T&K TOKA製)を用いた。この第一のインキは高い光遮断性を有する。以上の第一のインキ及び第二のインキを用いて前述の構成で印刷模様(3−1)をオフセット印刷で印刷した。
この例における第一のインキの色彩は、L*=69.32 a*=−15.15 b*=57.17であり、第二のインキの色彩は、L***表色系の値で、L*=80.36 a*=−14.88 b*=63.52であり、第一のインキと第二のインキの明度差ΔL*は、約11であり、第一のインキの彩度は59.1であって、第二のインキの彩度は65.2であって、その彩度の差ΔC*abは約6であった。また、この二つのインキの色差ΔEは12.7であった。
以上の構成で作製した透過潜像印刷物(1−1)の効果について、図18を用いて以下に説明する。図18(a)に示すように、透過潜像印刷物(1−1)を反射光下で観察した場合、観察者(10−1)には、情報画像(4−1)が深緑色で、背景画像(5A−1)が黄緑色と認識され、色彩の差で表現された第一の有意情報である「鳳凰」の画像が視認された。このとき、潜像画像(5B−1)は第一の有意情報のコントラストに隠蔽されて不可視であった。
また、図18(b)に示すように、透過潜像印刷物(1−1)を透過光下で観察した場合、観察者(10−1)には、情報画像(4−1)と背景画像(5−1)の色彩が同じ緑色に見え、その結果面積率の差で表現された潜像画像(5B−1)が現す第二の有意情報であるアルファベットの「OK」の文字が緑色で視認された。
以上のように本発明の透過潜像印刷物(1−1)において、印刷模様(3−1)の中の情報が反射光下では第一の有意情報に、透過光下では第二の有意情報に変化する効果を有することが確認できた。
1、1’、1’’、1−1 透過潜像印刷物
2、2’、2’’、2−1 基材
3、3’、3’’、3−1 印刷模様
4、4’、4’’、4−1 第一のインキで形成される画像
4、4A’、4’’、4−1 情報画像
4B’ 第一の潜像画像
5、5’、5’’、5−1 第二のインキで形成される画像
5A、5A’、5A’’、5A−1 背景画像
5B、5B’’、5B−1 潜像画像
5B’ 第二の潜像画像
6、6’’、6−1 情報要素
7A、7A’’、7A−1 背景要素
7B、7B’’、7B−1 潜像要素
8、8’’、8−1 情報反転要素
9、9−1 光源
10、10−1 観察者の視点

Claims (5)

  1. 光透過性を有する基材上の少なくとも一部に、前記基材と異なる色彩の印刷模様を備え、
    前記印刷模様は、有彩色の第一のインキにより形成された情報画像と、前記第一のインキより明度が高く、かつ、光透過性が低い特性を有する第二のインキにより形成された背景画像と、少なくとも前記第二のインキを用いて所定の範囲において単位面積当たりの面積率の差によって区分けされた潜像画像とを有し、
    前記第一のインキと前記第二のインキは同じ色相の有彩色であって、反射光下において明度の差により色彩が異なり、かつ、透過光下において等色であり、
    反射光下で前記第一のインキと前記第二のインキの色彩の違いにより前記情報画像が視認され、透過光下で前記情報画像と前記背景画像が等色に視認されることで、前記面積率の差により前記潜像画像が視認可能なことを特徴とする透過潜像印刷物。
  2. 前記第二のインキは、二酸化チタンを含んでいることを特徴とする請求項1記載の透過潜像印刷物。
  3. 前記第一のインキは浸透成分を含んでいることを特徴とする請求項2記載の透過潜像印刷物。
  4. 前記第一のインキは、前記第二のインキよりも彩度が低いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の透過潜像印刷物。
  5. 前記潜像画像は、前記背景画像の領域内に面積率の差によって配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の透過潜像印刷物。
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