JP2019123125A - 窓を有する偽造防止媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
第1の実施の形態の偽造防止媒体(1)において、開口部(11)の形状は、図1に示す「ドーナツ形状」で構成され、基材(2)の一部を「円形」で囲む形状とした例について説明する。
本発明において基材(2)は、紙、フィルム、プラスチックであり、有色のものを用いる。なお、本発明において有色とは、無色透明以外の色のことであり、赤、青、黄、緑等の色の他に白色であってもよい。
図2(a)は、図1のA−A’線における断面図である。図2(a)に示す構成において、窓(10)は、基材(2)の一部が貫通して孔が開いた状態の開口部(11)が、積層フィルム(12)によって覆われることで形成される。また、前述のように、図1の平面図において、開口部(11)によって囲まれる基材(2’)は、図2(a)の断面図では、開口部(11)によって挟まれた状態となっている。
本発明において、積層フィルム(12)は、透明又は半透明なフィルムを用い、窓(10)の奥側が透けて見えれば、着色されたフィルムでもよいが、無色透明のフィルムは、奥側を透かして見る際に視認性がよいことから好ましい。積層フィルム(12)を構成する材料の例としては、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等の樹脂がある。また、正反射光下で色彩が変化する干渉フィルムでもよい。また、異なる材料のフィルムを積層した多層フィルムでもよい。なお、基材(2)の表裏に積層フィルム(12)を積層する場合は、同じ材料のフィルムを用いてもよく、異なる材料のフィルムを用いてもよい。
本発明において、開口部(11)を充填する透明材料は、UV硬化型樹脂、透明ニス、ポリマー等の流動性のある材料を用いることができる。なお、透明材料は、窓(10)の奥側が透けて見えれば、着色されていてもよい。
本発明において、基材(2)に形成される開口部(11)の数、すなわち窓(10)の数は、図1に示すように一つだけ設けてもよく、図5に示すように複数設けてもよい。
基材(2)に、開口部(11)を形成する方法としては、レーザ加工、ダイカット、機械的切削装置等の公知の加工技術により施すことができ、積層フィルム(12)が積層される前の基材(2)に加工して、開口部(11)を形成する。このとき、開口部(11)の形成と同時に、開口部(11)よって囲まれた基材(2’)を形成するための加工も行う。なお、本発明において、開口部(11)を形成するために、超音波加工を用いる方法もあるが、詳細については後述する。
開口部(11)を積層フィルム(12)によって覆うことで窓(10)を形成する場合、開口部(11)が形成された基材(2)の一方の面に対して、積層フィルム(12)を接着して積層し、積層フィルム(12)及び開口部(11)に対して、所定の位置に、基材(2’)を貼り合わせることで、本発明の偽造防止媒体(1)を作製することができる(図3(b)及び図3(c))。また、基材(2)の表裏に積層フィルム(12)を積層する場合は、基材(2)の他方の面にも積層フィルム(12)を積層することで、偽造防止媒体(1)を作製することができる(図2(a)及び図3(a))。また、あらかじめ基材(2’)を貼り合わせた積層フィルム(12)を、開口部(11)に対して、所定の位置に合わせて基材(2)に貼り合わせることで、偽造防止媒体(1)を作製することができる。
開口部(11)に透明材料(I)を充填して窓(10)を形成する場合、図8(a)に示すように、開口部(11)に相当する領域の基材(2)と基材(2’)が除かれた基材(2)を支持部材(V)に配置する。支持部材(V)としては、透明材料(I)に対して剥離可能であればよく、金属製の材質から成る板材を用いることができる。支持部材(V)に基材(2)を安定して固定するために、支持部材(V)に、基材(2)を固定するための吸引手段や、支持部材(V)と対向し、基材(2)を挟んで固定する押さえ付け手段を設けることが好ましい(図示せず)。なお、図8(a)に示す破線で囲む領域は、開口部(11)に相当する領域を示したものである。
以上の構成で成る窓(10)を備えた偽造防止媒体(1)は、窓(10)を認証することで、真偽判別が可能であることに加えて、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)の模様によって、真偽判別が可能である。また、本発明の偽造防止媒体(1)は、開口部(11)、すなわち窓(10)によって囲まれた基材(2’)を備えるもので、本構成は、従来技術にない工程を要しなければ製造することができないとともに、基材(2)から切り取った基材(2’)を窓(10)に囲まれた位置に精度よく配置することは、困難であることから、偽造防止の効果がある。特に、基材(2’)の形状が複雑であるほど偽造防止のために好ましく、例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)を複数設けることで偽造防止効果を向上させることができる。また、図6(c)及び図6(d)に示すように、基材(2’)の配置に精度を要する構成も偽造防止のために好ましい。
続いて、超音波加工によって形成された窓(10)の構成について説明する。
図10は、本発明の偽造防止媒体(1)において窓(10)を形成するための超音波加工機(30)の模式図である。超音波加工機(30)は、図10に示すように、ホーン(31)、アンビル(33)及びアンビル(33)を固定する台座(34)によって構成される。ホーン(31)とアンビル(33)は金属製であり、アンビル(33)の上には、開口部(11)、すなわち窓(10)の形状に対応した凸形状の金型(32)が設けられている。なお、超音波加工機(30)は、枚葉紙に加工を行うスタンプ型と、連続紙に加工を行うミシン方式があるが、いずれの加工機を用いてもよい。
はじめに、図12に示す熱可塑性樹脂層積層工程(S1)において、基材(2)の表裏に熱可塑性樹脂層(13)を積層する。熱可塑性樹脂層(13)は、前述のように、フィルムを積層してもよく、熱可塑性樹脂を含む液体状の材料を塗布して積層してもよい。なお、熱可塑性樹脂層(13)の材質として、超音波加工によって生じる熱の温度(200℃程度)より融点が低いほど、金型(32)の加圧による熱可塑性樹脂層(13)の変形に伴い繊維が移動しやすくなる。このため、融点が200℃より低いポリプロピレン、ポリエチレン等から成る材料を用いると繊維を移動させやすいことから好ましい。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明した偽造防止媒体(1)において、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)の輪郭に、基材(2’)の視認性を向上させるための輪郭要素(21)が形成された輪郭部(20)が設けられた偽造防止媒体(1)であり、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態においても、開口部(11)の形状は、前述のように特に限定はないが、一例として、開口部(11)の形状は、「ドーナツ形状」で構成され、基材(2)の一部を「円形」で囲む形状とした構成について説明する。
図16は、第2の実施の形態の偽造防止媒体(1)の平面図であり、窓(10)が形成された領域を拡大して示す図である。本発明において輪郭部(20)は、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)の輪郭の少なくとも一部に沿って形成され、輪郭部(20)には、輪郭要素(21)が形成されて成る。図16では、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)の形状である「円形状」の輪郭の全体に沿って、直線状の画線で構成された輪郭要素(21)が形成された状態を示している。
1つ目の輪郭部(20)の構成は、印刷材料によって形成された輪郭要素(21)から成る形態である。その構成を示す図として、図19に示すように、基材(2)と異なる色のインキで印刷された輪郭要素(21)が基材(2’)の上に形成され、その上を積層フィルム(12)が覆っている状態を示している。この場合、印刷するインキの色によって、基材(2’)の輪郭部(20)が強調されて、視認性が向上する効果が得られる。なお、図19は、基材(2)の一方の面に輪郭要素(21)が施されているが、基材(2)の他方の面に形成してもよく(図示せず)、基材(2)の両面に形成してもよい。
印刷によって輪郭要素(21)を形成する場合には、開口部(11)を設けてから印刷してもよく、基材(2)に開口部(11)を設ける前に輪郭要素(21)を形成してもよく、後者の場合、開口部(11)の加工に許容を持たせるために、輪郭部(20)より外側の領域にも印刷しておくとよい。輪郭要素(21)を印刷する手段としては、オフセット、フレキソ、グラビア、スクリーン、凹版印刷、インクジェット印刷機等を用いることができる。
2つ目の輪郭部(20)の構成は、基材(2)の厚さによって、透過性が変化する、いわゆる、透かしの原理を利用した形態である。その構成を示す図として、図22(a)は、輪郭部(20)の周囲の基材(2’)よりも部分的に厚さを薄くすることで、透過光下で明るく視認される白透かしの効果がある輪郭要素(21)が形成された状態を示している。この場合、透過光下で観察する際に、基材(2’)の輪郭が明るく強調されて、基材(2’)の視認性が向上する効果が得られる。また、図22(b)は、基材(2’)において、部分的に厚さを厚くすることで、透過光下で暗く視認される黒透かしの効果がある輪郭要素(21)が形成された状態を示している。この場合、透過光下で観察する際に、基材(2’)の輪郭が暗く強調されて、基材(2’)の視認性が向上する効果が得られる。なお、図22(a)に示すように、輪郭要素(21)の厚さを部分的に薄く形成する場合及び図22(b)に示すように、部分的に厚く形成する場合において、厚さの差を20μm以上設けることで立体的にも強調されて視認できることから好ましく、偽造防止媒体(1)の流通適性を考慮すると50μm以下とすることが好ましい。
輪郭要素(21)を形成する方法としては、紙から成る基材(2’)を対象として、公知の抄き入れ加工技術とされている、円網、ダンディロール、プレスロールによって形成することができ、この場合、あらかじめ、基材(2’)を作製する製紙工程で加工して、輪郭要素(21)を形成すればよい。また、透過性のあるフィルム、プラスチックを基材(2’)として用いる場合は、レーザ加工により、基材(2’)の一部を除去して厚さを異ならせて透過性が異なる輪郭要素(21)を形成すればよい。また、紙、フィルム又はプラスチックから成る基材(2’)に、エンボス加工により、基材(2’)の一部を薄くして、透過性が異なる輪郭要素(21)を形成してもよい。なお、輪郭要素(21)を形成する際には、輪郭部(20)の範囲のみ抄き入れ加工してもよく、開口部(11)の加工に許容を持たせるために、輪郭部(20)より外側の領域にも加工しておくとよい。
3つ目の輪郭部(20)の構成は、金属箔によって輪郭要素(21)を構成する形態である。その構成を示す図として、図24(a)は、金属箔(P)が基材(2’)の上に形成され、その上を、積層フィルム(12)が覆っている状態を示している。前述のように、輪郭要素(21)は、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)の輪郭に沿って形成されることから、金属箔(P)は、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)を囲む形状で構成される。
第2の実施の形態において、開口部(11)に透明材料(I)を充填することで窓(10)を形成する場合、輪郭要素(21)を形成する順番に、特に限定はなく、基材(2’)に輪郭要素(21)を形成してから透明材料(I)を充填してもよく、透明材料(I)を充填してから輪郭要素(21)を形成してもよい。また、図25(a)に示すように、基材(2’)の一方の面に印刷又は金属箔による輪郭要素(21)を形成し、基材(2)の他方の面に積層フィルム(12)を積層する場合又は図25(b)に示すように、基材(2’)の一方の面に抄き入れ加工による輪郭要素(21)を形成し、基材(2)の他方の面に積層フィルム(12)を積層する場合もまた、輪郭要素(21)を形成する順番の限定はなく、積層フィルム(12)を積層してから輪郭要素(21)を形成してもよく、輪郭要素(21)を形成してから積層フィルム(12)を積層してもよい。ただし、印刷、金属箔又は抄き入れ加工によって形成された輪郭要素(21)の上に、積層フィルム(12)を積層して窓(10)を形成する場合(図19、図22及び図24(a))は、先に基材(2)に輪郭要素(21)を形成した後、その上に積層フィルム(12)を積層する必要がある。なお、3つ目の輪郭部(20)の構成において、金属箔(P)と積層フィルム(12)が一体となったOVDにより、輪郭要素(21)を形成する場合には、段落(0037)で説明した内容と同様にして、OVDと基材(2’)を積層すればよい。
実施例1は、第1の実施の形態で説明した偽造防止媒体(1)の例であり、窓(10)の図柄は、図1に示す「ドーナツ形状」であり、基材(2)及び積層フィルム(12)は、図3(a)に対応した積層状態の構成で成る偽造防止媒体(1)である。以下、実施例1の偽造防止媒体(1)の詳細について説明する。
実施例2は、開口部(11)によって囲まれた基材(2’)を複数設けた例であり、図6(e)に示すように、開口部(11)によって囲まれる基材(2’)を「星型」として二つ設けた偽造防止媒体(1)である。また、基材(2)及び積層フィルム(12)は、図3(b)に対応した積層状態の構成で成る偽造防止媒体(1)である。以下、実施例2の偽造防止媒体(1)の詳細について説明する。
実施例3は、超音波加工により窓(10)を形成した偽造防止媒体(1)であり、開口部(11)、すなわち、窓(10)の形状は、図26に示す形状とし、開口部(11)は、外側の「ドーナツ形状」の開口部(11−1)と、その内側に「100」の数字を囲む形状の開口部(11−2)から成る構成とした。また、開口部(11−1)によって囲まれた基材(2’−1)は、図26に示すように、ドーナツ形状であり、開口部(11−2)によって囲まれた基材(2’−2)は、「100」の数字から成る構成とした。
2 基材
2’開口部によって囲まれた基材
10 窓
11 開口部
12 積層フィルム
13 熱可塑性樹脂層
20 輪郭部
21 輪郭要素
30 超音波加工機
31 ホーン
32 金型
32A 第1の領域
32B 第2の領域
33 アンビル
34 台座
S 繊維の密度が高い領域
Claims (3)
- 基材に、少なくとも一つの開口部を備え、前記開口部が、積層フィルムによって覆われるか又は透明材料によって充填されて成る窓が形成され、前記開口部は、前記基材の一部を囲む形状で形成されるか又は前記基材と異なる基材を囲んで形成されたことを特徴とする窓を有する偽造防止媒体。
- 前記開口部によって囲まれた基材の輪郭の少なくとも一部に沿って、輪郭要素を備えた輪郭部が形成され、前記輪郭要素は、印刷材料による構成、周囲の前記基材と厚さが異なる構成又は金属箔から成る構成のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の窓を有する偽造防止媒体。
- 前記輪郭要素が前記印刷材料によって構成される場合であって、前記輪郭要素は、i)前記開口部によって囲まれた基材と異なる色の印刷材料によって形成、又は、ii)前記開口部によって囲まれた基材と同じ色又は異なる色の印刷材料によって盛り上がって形成、又は、iii)透かしインキによって形成されたことを特徴とする請求項2記載の窓を有する偽造防止媒体。
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