JP2016043551A - 耐剥離性印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】用紙の製造工程及び基材の特性に影響することなく、基材に形成する印刷万線と凹凸形状の万線画線の構成によって、用紙を剥離しようとした際に、剥離途中で用紙が破断し、貴重印刷物を層間剥離させて再利用する行為を防止する耐剥離性印刷物を提供する【解決手段】基材の一方の面に、プレス加工によって形成された凸形状の万線画線と、印刷用インキから成る第1の印刷万線を形成し、他方の面に、同じ印刷用インキから成り、第1の印刷万線と角度が異なる第2の印刷万線を形成する。凸形状の万線画線の形成によって繊維間の空隙の状態が異なる領域に、角度が異なる印刷万線が形成されることで、繊維間の結合強度のバランス崩れた耐剥離性印刷領域が形成される。【選択図】 図1

Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証、通行券等の貴重印刷物の分野において、用紙を剥離した際に、剥離の途中で用紙が破断することで偽造を防止する技術に関する。
銀行券、パスポ−ト、有価証券、身分証明書等に代表されるセキュリティ印刷物には、複製や偽造を防止するために、偽造防止技術が必要とされており、このような偽造防止技術の中には、紙基材に凹凸を施すことで形成されるすき入れ、紫外線の照射により発光する蛍光材料の印刷、傾けて観察すると、色が変化して視認できる光学的変化インキの印刷等がある。これらの技術を用いることで、真正品と偽造品の真偽判別を行うことができるが、個々の技術は、古くから用いられており、偽造が容易になってきていることから、一つの貴重印刷物の中に、複数の偽造防止技術が施されているものが多く、最近では、偽造防止効果を向上させるために複数の技術を組み合わせて一つの偽造防止技術として用いられているものもある。
その一つとして、本出願人は、すき入れ紙の裏面に、蛍光物質の含有層あるいは塗被層をベタ印刷したすき入れ紙を提案している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術は、一般的な透過光下で視認できるすき入れに加えて、紫外線の照射によって反射光下においても、すき入れによる模様を鮮明に視認できるものである。
また、本出願人は、基材に形成された凹凸形状の万線画線と、有色インキで形成された印刷万線、光遮断線材料で形成された万線画線を組み合わせることで、透過光下と傾けて観察した場合に潜像が出現する潜像模様形成体を提案している(例えば、特許文献2参照)。
一方、貴重印刷物を表裏で層間剥離させて、表面と裏面のみを用いて不正に利用する行為が行われるという問題がある中で、特許文献1及び特許文献2の技術は、複数の技術を組み合わせて偽造防止効果を向上させているが、層間剥離を防止するものではなく、不正に利用されてしまうものであった。
これに対し、シートの層間剥離を対策とする技術の例としては、植物性繊維及びフィブリル化し得る化学繊維又は合成繊維に浸透性の良いポリマー組成液を含む糊料を用いて一層で抄紙し、紙厚間剥離を起こさないようにする、繊維状シート状物を衣料用として利用する内容が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平2−191798号公報 特許第5224304号公報 特開平5−93398号公報
しかしながら、特許文献3の技術は、抄紙時にポリマーを添加することで層間剥離性は向上するが、工程内の品質管理が難しくなり、安定的な抄紙ができないという問題があった。また、ポリマーが添加されることで、シート特性、印刷適性が変わってしまうという問題があった。
本発明はこのような従来の問題を解決することを目的としたものであり、プレス加工による基材の凹凸と印刷加工による印刷模様が形成された印刷物において、特許文献3のように、ポリマーを添加する必要がないことで、コストをかけることなく、更には、用紙の製造工程とシート特性に影響することがなく、基材に形成する印刷万線と凹凸形状の万線画線の構成によって、用紙を剥離しようとした際に、剥離途中で用紙が破断し、貴重印刷物を層間剥離させて再利用する行為を防止する耐剥離性印刷物を提供することを目的とする。
本発明の耐剥離性印刷物は、基材の一部の表裏同じ位置に、耐剥離性印刷領域を備え、一方の面の耐剥離性印刷領域に、繊維間の空隙の状態を異ならせるために基材をプレス加工することで形成された凸画線が第1の方向に複数配置されて成る万線画線と、印刷用インキから成る第1の画線が第2の方向に複数配置された第1の印刷万線が形成され、他方の面の耐剥離性印刷領域に、印刷用インキから成る第2の画線が第2の方向と異なる第3の方向に複数配置された第2の印刷万線が形成され、第1の画線の少なくとも一部が凸画線に重なって配置され、第2の画線と凸画線の少なくとも一部が、基材を挟んで同じ位置に配置され、繊維間の空隙の状態が異なることで耐剥離性印刷領域に浸透するインキ量の差が生じて繊維同士の結合強度のバランスが崩れ、剥離しようとすると耐剥離性印刷領域が破断することを特徴とする。
また、本発明の耐剥離性印刷物は、第2の方向と第3の方向のいずれかが、第1の方向に対して、40°〜50°異なることを特徴とする。
本発明の耐剥離性印刷物は、シート特性及び用紙の製造工程を変更することなく、基材に形成する印刷万線と凹凸形状の万線画線によって、層間剥離しようとすると破断して、貴重印刷物を層間剥離させて再利用する行為を防止することができる。
また、本発明の耐剥離性印刷物は、ポリマーのように基材自体の層間剥離性を向上させる材料を添加する必要がないことから、コストをかけることなく、用紙を剥離しようとした際に、剥離途中で用紙が破断し、貴重印刷物を層間剥離させて再利用する行為を防止する耐剥離性印刷物を提供することができる。
本発明の耐剥離性印刷物の概要を示す図である。 基材の一方の面に形成される凸形状の万線画線の構成を示す図である。 基材の一方の面に形成される第1の印刷万線の構成を示す図である。 基材の他方の面に形成される第2の印刷万線の構成を示す図である。 第1の画線及び第2の画線の構成を示す図である。 凸画線、第1の画線及び第2の画線が配置される方向を説明する図である。 凸画線、第1の画線及び第2の画線が配置される方向を説明する図である。 従来の貴重印刷物の剥離試験を行ったときの状態を模式的に示す図である。 本発明の耐剥離性印刷物の剥離試験を行ったときの状態を模式的に示す図である。 本発明の耐剥離性印刷物の変形例を示す図であり、凸形状の万線画線の構成を示す図である。 本発明の耐剥離性印刷物の変形例において、凸形状の万線画線と第1の印刷万線が重なる状態と、それを観察したときの状態を示す図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(剥離防止印刷物)
図1に本発明における耐剥離性印刷物(1)の一例を示し、はじめに、耐剥離性印刷物(1)の概要について説明する。耐剥離性印刷物(1)は、基材(2)の表裏同じ位置に、耐剥離性印刷領域(3)を備える。耐剥離性印刷物(1)の一方の面の耐剥離性印刷領域(3)には、図1(a)に示すように、凸形状の万線画線(6)と印刷万線(4)が形成され、耐剥離性印刷物(1)の他方の面の耐剥離性印刷領域(3)にもまた、図1(b)に示すように、印刷万線(5)が形成される。以降の説明では、凸形状の万線画線(6)が形成される側に形成される印刷万線(4)を「第1の印刷万線(4)」とし、凸形状の万線画線(6)が形成される側と反対側の面に形成される印刷万線(5)を「第2の印刷万線(5)」として説明する。図1(c)は、図1(a)及び図1(b)のA−A’線における断面図であり、耐剥離性印刷領域(3)に、凸形状の万線画線(6)、第1の印刷万線(4)及び第2の印刷万線(5)が形成された状態を示しており、以下、図1に示す耐剥離性印刷物(1)の例を基に、詳細な構成について説明する。
(基材)
本発明の耐剥離性印刷物(1)に用いる基材(2)としては、プレス加工によって、凸形状の万線画線(6)が形成可能であり、インキに含まれるワニス成分が浸透するものであれば良く、ボール紙、コート紙、上質紙などの紙材質のシートを用いることができる。基材(2)の透明性及び色については、特に限定はない。
(万線画線)
図2(a)は、凸形状で形成される万線画線(6)の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A’線における断面図である。万線画線(6)は、図2(a)に示すように、幅(T1)の凸画線(6A)が第1の方向(V1)に一定のピッチ(P1)で複数配置されて成る。凸形状の万線画線(6)の形成方法は、紙の抄紙工程で用いられる透かし技術があり、凸画線(6A)以外の基材(2)を加圧する凸状部材を備えたダンディロールを用いてプレス加工する方法や、紙の製造後に、凸状部材によるエンボス加工を行う方法がある。前述した、本発明に用いる紙材質の基材(2)は、パルプ繊維が絡み合って構成されており、この方法によって、基材(2)にプレス加工された部分(F)は、紙基材を構成する繊維が加圧されることで、凸画線(6A)と比べて、紙基材を構成する繊維間の空隙が少ない状態となっている。
(第1の印刷万線)
図3(a)は、第1の印刷万線(4)の構成を示す図である。第1の印刷万線(4)は、図3(a)に示すように、画線幅(W1)の第1の画線(4A)が一定のピッチ(P2)で第2の方向(V2)に複数配置されて成る。
図3(b)は、図3(a)におけるA−A’線の断面図であり、基材(2)の一方の面に凸形状の万線画線(6)と第1の印刷万線(4)が形成された状態を示している。第1の画線のピッチ(P2)は、凸画線(6A)のピッチ(P1)と同じでも良いし、異なっても良いが、図3(b)に示すように、第1の画線(4A)の少なくとも一部が、凸画線(6A)に重なる必要がある。
(第2の印刷万線)
図4は、第2の印刷万線(5)の構成を示す図である。第2の印刷万線(5)は、図4(a)に示すように、画線幅(W2)の第2の画線(5A)が一定のピッチ(P3)で第3の方向(V3)に複数配置されて成る。
図4(b)は、図4(a)におけるA−A’線の断面図であり、基材(2)の他方の面に第2の印刷万線(5)が形成された状態を示している。第2の画線のピッチ(P3)は、凸画線(6A)のピッチ(P1)と同じでもよいし、異なっても良いが、第2の画線(5A)の少なくとも一部が、凸画線(6A)に重なる必要がある。なお、凸画線(6A)と第2の画線(5A)は、基材(2)の反対側の面に形成されるもので実際に重なるものではなく、ここでいう第2の画線(5A)と凸画線(6A)が重なるとは、第2の画線(5A)の領域と凸画線(6A)の領域の一部が基材(2)を挟んで同じ位置に重なるということである。
本発明において、第1の画線(4A)及び第2の画線(5A)の構成は、図3及び図4に示す直線に限定されるものではなく、図5(a)に示す破線、図5(b)に示す波線、図5(c)に示す点線であっても良い。
(角度の関係)
続いて、本発明において、凸画線(6A)が配置される第1の方向(V1)、第1の画線(4A)が配置される第2の方向(V2)及び第2の画線(5A)が配置される第3の方向(V3)の関係について説明する。
本発明において、第1の画線(4A)が配置される第2の方向(V2)と第2の画線(5A)が配置される第3の方向(V3)は異なる方向である。本明細書中の図2乃至図4に示す方向は、このような条件を満たす例となっており、図6(a)に示すように、第1の方向(V1)と第2の方向(V2)が同じであり、第3の方向(V3)が異なる方向とした例である。この場合、図6(b)に示すように、凸画線(6A)と第1の画線(4A)の配置される方向が同じであり、それに対して、第2の画線(5A)の配置される方向が異なる。
凸画線(6A)と第1の画線(4A)が同じ方向に配置される場合、第2の画線(5A)が配置される第3の方向(V3)と凸画線(6A)が配置される第1の方向(V1)のなす角度(θ)は、5°〜85°の範囲で形成され、好ましくは、40°〜50°で形成するのが良い。これは、基材(2)に形成された凸画線(6A)とプレス加工された部分(F)は、繊維間の空隙の状態が異なっており、第2の画線(5A)を形成する際に、耐剥離性印刷領域(3)の基材(2)に浸透するインキ量のばらつきを大きくすることで、繊維同士の結合強度のバランスを崩すためである。なお、プレス加工によって空隙が少ない領域は、インキが浸透し難く、凸形状の凸画線(6A)は、空隙が多いためインキが浸透しやすい状態となっている。
図6では、第1の方向(V1)と第2の方向(V2)が同じであり、第3の方向(V3)が異なる例について説明したが、前述の条件を満たす例として、図7(a)に示すように、第1の方向(V1)と第3の方向(V3)が同じであり、第2の方向(V2)が異なる方向であっても良い。この場合、図7(b)に示すように、凸画線(6A)と第2の画線(5A)の配置される方向が同じであり、それに対して、第1の画線(4A)の配置される方向が異なる。なお、第1の画線(4A)が配置される第2の方向(V2)と凸画線(6A)が配置される第1の方向(V1)のなす角度(θ)は、5°〜85°の範囲で形成され、好ましくは、40°〜50°で形成するのが良い。この場合においても、基材(2)中の繊維間の空隙の状態が異なる凸画線(6A)とプレス加工された部分(F)に対して、第1の画線(4A)が交差した配置となることで、浸透するインキ量のばらつきができるので、繊維同士の結合強度のバランスを崩すことができる。
また、図6及び図7では、三つの方向のうち、二つの方向が同じであり、一つの方向が異なる例について説明したが、本発明の耐剥離性印刷物(1)において、三つの方向が異なっても良い。この場合、第1の方向(V1)と第3の方向(V3)のなす角度(θ)と第1の方向(V1)と第2の方向(V2)のなす角度(θ)は、5°〜85°の範囲であるが、第2の方向(V2)と第3の方向(V3)のなす角度が小さくなるほど、耐剥離防止効果が低下し、同じ方向とした場合には、剥離防止効果が得られなくなることから、前述した角度の範囲内で、第2の方向(V2)と第3の方向(V3)のなす角度が、5°以上異なる必要があり、好ましくは、第1の画線(4A)と第2の画線(5A)のうち、一方の配置される方向が、凸画線(6A)が配置される方向に対して、40〜50°異なるのが良い。
本発明の第1の画線(4A)と第2の画線(5A)は、樹脂や油脂等のワニス成分を含む印刷用インキを用いて形成され、印刷用インキに含まれるワニス成分は、基材(2)に浸透して、繊維同士の結合強度のバランスを崩すこととなる。このような印刷用インキとしては、浸透成分を含むものであれば特に限定されるものではなく、通常のインキ、紫外線硬化型のインキや酸化重合型インキ、紫外線硬化型と酸化重合型の効果を併せ持ったインキを用いることができる。なお、インキ中の顔料の含有率は、通常のインキと同様の範囲であり、第1の画線(4A)と第2の画線(5A)を形成するインキの色は、基材(2)と同じ色でも良いし、基材(2)と異なる色でも良い。また、顔料を含まないワニス成分のみを印刷用インキとして印刷しても良い。
第1の画線(4A)及び第2の画線(5A)は、印刷によって形成し、印刷方式は、オフセット印刷、フレキソ印刷やグラビア印刷、凹版印刷やスクリーン印刷等で形成することができる。
以上の構成で成る、本発明の耐剥離性印刷物(1)の効果について説明する。耐剥離性印刷物(1)の剥離性を確認するため、耐剥離性印刷領域(3)から所定の大きさを測定用紙片(S)として切り出し、図8に示すように、基材(2)の断面に切れ目を入れ、テンシロン万能試験機(RTC−1310A エー・アンド・デイ製)で剥離試験を行った。
図8(a)乃至図8(c)は、従来の印刷物を同じように剥離試験を行ったときの模式図を示しており、この場合、完全に二枚に剥離されてしまう結果であった。
一方、本発明の耐剥離性印刷物(1)は、図9(a)の切れ目から引っ張ると、図9(b)に示すように、破断開始部(8)が生じ、その破断開始部(8)から連続的に破断が始まり、図9(c)に示すように、剥離試験の途中で、破断する結果となった。詳細な結果は実施例で説明するが、従来技術と比較して破断する傾向が高い結果であった。これは、耐剥離性印刷領域(3)の凸画線(6A)とプレス加工された部分(F)は、繊維間の空隙の状態が異なっており、第1の印刷万線(4)と第2の印刷万線(5)を形成する際に、耐剥離性印刷領域(3)の基材(2)に浸透するインキ量の差が生じて、繊維同士の結合強度のバランスが崩れ、剥離しようとすると、その一部で破断するためであると考えられる。なお、基材(2)自体は、繊維同士が水素結合によってできたものであるが、繊維間にインキが浸透すると、ワニス成分によって固化されることで、さらに、結合強度が高くなる。このように、本発明では、繊維間に浸透するインキ量の差によって、結合強度のバランスを崩した構成としている。
以上に説明した耐剥離性印刷物(1)においては、凸画線(6A)が万線状に配置されたものであるが、本発明の耐剥離性印刷物(1)は、万線状に配置された凸画線(6A)の位相が部分的に異なる構成でも良い。この構成については、例えば、特許第2615401号公報に記載の技術と同様であり、傾けて観察したときに潜像が視認できるものとなる。なお、万線状に配置された凸画線(6A)の位相が部分的に異なる構成の耐剥離性印刷物(1)については、実施例3で説明する。
以下、前述の発明を実施するための形態に従って、具体的に作製した耐剥離性印刷物(1)の実施例およびその比較例について詳細に説明をするが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1は、上質紙を基材(2)とし、凸画線の幅(T1)が0.2mm、凸画線(6A)のピッチ(P1)を0.5mmとして、万線画線(6)をエンボス加工によって形成した。第1の画線(4A)の画線幅(W1)は、0.125mm、ピッチ(P2)を0.5mmとし、紫色のオフセットインキを用いてオフセット印刷して第1の印刷万線(4)を形成した。なお、第1の画線(4A)が配置される第2の方向(V2)は、凸画線(6A)が配置される方向と同じ方向とし、第1の画線(4A)の全体が凸画線(6A)に重なるように印刷した。
第2の画線(5A)の画線幅(W1)は、0.7mm、ピッチ(P2)を1.0mmとし、赤色のオフセットインキを用いてオフセット印刷して第2の印刷万線(4)を形成した。なお、第2の画線(5A)が配置される第3の方向(V3)は、凸画線(6A)が配置される方向と45°異なる方向とした。
効果の確認のため、実施例1の耐剥離性印刷領域(3)から1.5cm×5.0cmに切り出した測定用紙片(S)を剥離試験機により剥離試験を行った。効果の再現性を確認するため、同じ条件で作製した耐剥離性印刷物(1)から20枚の測定用紙片(S)を剥離試験した。その結果、11枚(55%)の測定用紙片(S)は、破断する結果であり、耐剥離防止効果があることを確認することができた。
(実施例2)
実施例2は、上質紙を基材(2)とし、凸画線の幅(T1)が0.2mm、凸画線(6A)のピッチ(P1)を0.5mmとして、万線画線(6)をエンボス加工によって形成した。第1の画線(4A)の画線幅(W1)は、0.15mm、ピッチ(P2)を0.5mmとし、紫色のオフセットインキを用いてオフセット印刷して第1の印刷万線(4)を形成した。なお、第1の画線(4A)が配置される第2の方向(V2)は、凸画線(6A)が配置される方向と同じ方向とし、第1の画線(4A)の全体が凸画線(6A)に重なるように印刷した。
第2の画線(5A)の画線幅(W1)は、0.3mm、ピッチ(P2)を1.0mmとし、赤色のオフセットインキを用いてオフセット印刷して第2の印刷万線(4)を形成した。なお、第2の画線(5A)が配置される第3の方向(V3)は、凸画線(6A)が配置される方向と45°異なる方向とした。このように、実施例2の耐剥離性印刷物(1)は、実施例1に対して、第1の画線(4A)と第2の画線(5A)の線幅が異なったものである。
効果の確認のため、実施例2の耐剥離性印刷領域(3)から1.5cm×5.0cmに切り出した測定用紙片(S)を剥離試験機により剥離試験を行った。効果の再現性を確認するため、同じ条件で作製した耐剥離性印刷物(1)から20枚の測定用紙片(S)を剥離試験した。その結果、16枚(80%)の測定用紙片(S)は、破断する結果であり、耐剥離防止効果があることを確認することができた。
(実施例3)
実施例3は、実施例2に対して、万線状に配置された凸画線(6A)の位相が部分的に異なる構成の耐剥離性印刷物(1)である。実施例3の耐剥離性印刷物(1)について図10及び図11を用いて説明する。なお、第1の印刷万線(4)と第2の印刷万線(5)の構成は、実施例2と同じであるため説明を省略する。
図10は、基材(2)の一方の面に形成される凸形状の万線画線(6)の構成を示す図であり、実施例3の万線画線(6)は、図10の拡大図に示すように、凸画線(6A)の位相を部分的に異なせることで、模様部(10)と背景部(20)に区分けされる構成とした。なお、凸画線(6A)の位相が部分的に異なるとは、万線状に配置される凸画線(6A)において、第1の方向に配置されるピッチ(P1)とは異なるピッチ(Pt)で部分的に配置されることである。また、模様部(10)とは、位相が異なることで現わされた文字、図形、記号等のことであり、図10に示す例では、「NPB」の文字となっている。また、背景部(20)とは、模様部(10)の図柄に対して背景となる部分である。
図11(a)は、実施例3の凸形状の万線画線(6)と第1の印刷万線(4)が重なる配置を示す図であり、図11(b)は、図11(a)におけるB−B’線、すなわち、潜像部(10)の断面を説明する図であり、図11(c)は、図11(a)におけるC−C’線、すなわち、背景部(20)の断面を説明する図である。図11(a)に示す配置で万線画線(6)と第1の印刷万線(4)が重なるとき、図11(b)に示すように、潜像部(10)の凸画線(6A)に対して、第1の画線(4A)が重なり、図11(c)に示すように、背景部(20)の凸画線(6A)に対して、第1の画線(4A)が重なるが、位相が異なる潜像部(10)と背景部(20)の凸画線(6A)に対して、第1の画線(4A)が重なる位置が異なっている。
そして、実施例3の耐剥離性印刷領域(3)を、図11(b)及び図11(c)に示すように、基材(2)に対して真上の位置(S1)から観察すると、潜像部(10)及び背景部(20)ともに第1の画線(4A)がそのまま視認にされ、潜像の図柄を視認することはできない。一方、図11(b)及び図11(c)に示す基材(2)に対して斜めの位置(S2)から耐剥離性印刷領域(3)を観察すると、潜像部(10)は、第1の画線(4A)が視認できるが、背景部(20)は、凸画線(6A)の影となって第1の画線(4A)が視認できない。これによって、潜像部(10)である「NPB」の文字のみが第1の画線(4A)の色で見えることで、図11(d)に示す潜像(30)が視認される。実施例3の耐剥離性印刷物(1)の剥離試験の結果は、実施例2と同じ結果であった。
実施例3で説明した耐剥離性印刷物(1)は、傾けて観察したときに潜像が視認できる構成の一例であるが、基材(2)の一方の面に凸形状の万線画線と印刷万線を形成して傾けて観察したときに潜像が視認できる技術に、本発明の第2の印刷万線を形成することで、潜像の視認できる効果と剥離防止効果を同時に実現することができ、例えば、特許第5062645号公報や特許第4734616号公報の技術に剥離防止効果を付与することができる。
(比較例1)
比較例1の印刷物として、上質紙を基材(2)とし、凸画線の幅(T1)が0.2mm、凸画線(6A)のピッチ(P1)を0.5mmとして、万線画線(6)をエンボス加工によって形成した。基材(2)の一方の面の耐剥離性印刷領域(3)には、紫色のオフセットインキでベタ印刷し、他方の面の耐剥離性印刷領域(3)には、赤色のオフセットインキでベタ印刷した。
効果の確認のため、耐剥離性印刷領域(3)から1.5cm×5.0cmに切り出した測定用紙片(S)を剥離試験機により剥離試験を行った。効果の再現性を確認するため、同じ条件で作製した印刷物から20枚の測定用紙片(S)を剥離試験した。その結果、すべての用紙が完全に2枚に剥離されてしまうことが確認された。
(比較例2)
比較例2の印刷物について、比較例1と異なる点について説明する。比較例2の印刷物は、基材(2)の一方の面の耐剥離性印刷領域(3)に、画線幅が0.125mm、ピッチが0.5mmの万線をオフセット印刷し、他方の面の耐剥離性印刷領域(3)に、画線幅が0.7mm、ピッチが1mmの万線をオフセット印刷して形成した。なお、凸画線と一方の面に形成した万線の角度は平行であり、凸画線と他方の面に形成した万線の角度は1°異なる構成とした。
効果の確認のため、耐剥離性印刷領域(3)から1.5cm×5.0cmに切り出した測定用紙片(S)を剥離試験機により剥離試験を行った。20枚の測定用紙片(S)を剥離試験した結果、すべての用紙が完全に2枚に剥離されてしまうことが確認された。このように、凸画線と万線の交差する角度が浅い角度では効果が発現しない結果であった。
1 耐剥離性印刷物
2 基材
3 耐剥離性印刷領域
4 第1の印刷万線
4A 第1の画線
5 第2の印刷万線
5A 第2の画線
6 万線画線
6A 凸画線
V1 第1の方向
V2 第2の方向
V3 第3の方向
8 破断開始部
9 破断部
10 潜像部
20 背景部
30 潜像

Claims (2)

  1. 基材の一部の表裏同じ位置に、耐剥離性印刷領域を備え、一方の面の前記耐剥離性印刷領域に、繊維間の空隙の状態を異ならせるために前記基材をプレス加工することで形成された凸画線が第1の方向に複数配置されて成る万線画線と、印刷用インキから成る第1の画線が第2の方向に複数配置された第1の印刷万線が形成され、他方の面の前記耐剥離性印刷領域に、前記印刷用インキから成る第2の画線が前記第2の方向と異なる第3の方向に複数配置された第2の印刷万線が形成され、前記第1の画線の少なくとも一部が前記凸画線に重なって配置され、前記第2の画線と前記凸画線の少なくとも一部が、前記基材を挟んで同じ位置に配置され、前記繊維間の空隙の状態が異なることで前記耐剥離性印刷領域に浸透するインキ量の差が生じて繊維同士の結合強度のバランスが崩れ、剥離しようとすると前記耐剥離性印刷領域が破断することを特徴とする耐剥離性印刷物。
  2. 前記第2の方向と前記第3の方向のいずれかが、前記第1の方向に対して、40°〜50°異なることを特徴とする請求項1に記載の耐剥離性印刷物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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