JP6345551B2 - 抄き込み部材形成用シート、抄き込み部材形成用シートの製造方法、抄き込み部材の製造方法、および、偽造防止用紙の製造方法 - Google Patents

抄き込み部材形成用シート、抄き込み部材形成用シートの製造方法、抄き込み部材の製造方法、および、偽造防止用紙の製造方法 Download PDF

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本発明は、偽造防止用紙に抄き込まれる抄き込み部材の製造に用いられる抄き込み部材形成用シート、および、その製造方法に関する。さらに、本発明は、抄き込み部材の製造方法、および、偽造防止用紙の製造方法に関する。
繊維状や細片形状を有する抄き込み部材が抄き込まれた偽造防止用紙が知られている。抄き込み部材は、偽造防止用の機能を有している。例えば、特許文献1には、干渉光によって優れた光沢感を呈する繊維である光学干渉性繊維が抄き込まれた偽造防止用紙が開示されている。また例えば、特許文献2には、金属色や干渉色に基づく光輝性を有する細片形状の抄き込み部材が抄き込まれた偽造防止用紙が開示されている。こうした偽造防止用紙においては、カラーコピー機で偽造防止用紙を複写したり、スキャナで偽造防止用紙を読み取ってインクジェットプリンターでプリントしたりしても、抄き込み部材の色彩や光沢の再現が困難であるため、偽造が好適に抑えられる。
抄き込み部材は、偽造防止用紙の印刷時や流通時等に、偽造防止用紙から脱落し難いことが求められる。そのため、偽造防止用の機能を有する層の両面に、偽造防止用紙を構成する繊維と接着する接着層を備えた抄き込み部材が開発されている。しかしながら、抄き込み部材は、抄き込み部材と同様の構成層を有するシートの断裁、あるいは、打ち抜き等によって製造されるため、両面に接着層を有するシートから抄き込み部材を形成しようとすると、接着層が溶融もしくは軟化して、細断された抄き込み部材同士が接着する場合がある。その結果、偽造防止用紙にて、抄き込まれた抄き込み部材が繋がった状態や塊になった状態に見えて、偽造防止効果が低下する恐れが生じる。
こうした課題に対して、例えば、特許文献3に記載の抄き込み部材は、偽造防止用の機能を有する層の両面に設けられた接着層に、水への浸漬によって溶解もしくは分解する保護層が積層された抄き込み部材形成用シートから製造される。こうした構成によれば、抄き込み部材形成用シートから抄き込み部材が製造されるときに、抄き込み部材の有する接着層同士が接着することが起こりにくいため、抄き込み部材同士の接着が抑えられる。
国際公開第2009/119879号 特許第3075454号明細書 特開2012−122162号公報
しかしながら、保護層が設けられた抄き込み部材形成用シートから抄き込み部材を製造する場合であっても、抄き込み部材形成用シートを細断する刃に、細断された抄き込み部材が静電気によって付着することがある。抄き込み部材が付着したままシートの断裁や打ち抜きが繰り返されると、抄き込み部材の一部が複数回切られて、細断された抄き込み部材の寸法精度の低下が生じる。また、特に、抄き込み部材を細く繊維状に形成する場合には、抄き込み部材が蛇行しやすいため、これによっても、細断された抄き込み部材の寸法精度が低下する場合がある。
本発明は、寸法精度の高い抄き込み部材を得ることの可能な抄き込み部材形成用シート、抄き込み部材形成用シートの製造方法、寸法精度の高い抄き込み部材の製造方法、および、寸法精度の高い抄き込み部材を備える偽造防止用紙の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する抄き込み部材形成用シートは、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを備え、かつ、偽造防止用の機能を備える機能層と、前記機能層の前記第1面を覆う第1接着層と、前記機能層の前記第2面を覆う第2接着層と、前記第2接着層に接合された保護層であって、水への浸漬によって分解する、もしくは、水に溶解する前記保護層と、を含む構成層を備え、前記構成層には、前記構成層の厚さ方向において、前記保護層の少なくとも一部以外の前記構成層が切断された半切断部が形成され、前記半切断部が、前記構成層において抄き込み部材を1つずつ区切る部位の少なくとも一部に位置している。
上記構成によれば、半切断部にて、機能層と第1接着層と第2接着層とが切断されている一方で、保護層の少なくとも一部は繋がっているため、切断された機能層と第1接着層と第2接着層とがその周囲と離れて離散することが抑えられる。一方、水への浸漬によって保護層を除去することが可能であるため、こうした保護層の除去によって、半切断部にて切断されている機能層と第1接着層と第2接着層とをその周囲から切り離して抄き込み部材を形成することができる。したがって、切断刃を用いて構成層を切断する際には、抄き込み部材がその周囲と離れてばらばらになることが抑えられるため、抄き込み部材が切断刃に付着して複数回切られることや切断の際に抄き込み部材が蛇行することが抑えられる。その結果、形成される抄き込み部材の寸法精度が高められる。
上記抄き込み部材形成用シートにおいて、前記抄き込み部材形成用シートの広がる方向のなかで、1つの方向を第1方向、前記第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、前記半切断部は、前記第1方向に沿って延びる形状を有し、かつ、前記第2方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられていることが好ましい。
上記構成によれば、抄き込み部材形成用シートから、第2方向に沿って連続的に抄き込み部材が形成されるようにすることが容易になる。その結果、効率的な抄き込み部材の生産が可能となる。
上記抄き込み部材形成用シートにおいて、前記構成層には、前記構成層が含む層のすべてが厚さ方向に沿って切断された全切断部が形成され、前記全切断部は、前記第2方向に沿って延びる形状を有し、かつ、前記第1方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられていることが好ましい。
上記構成によれば、第2方向では、半切断部によって、切断された機能層と第1接着層と第2接着層とがその周囲と離れて離散することが抑えられる一方、第1方向では、切断された機能層と第1接着層と第2接着層とは周囲から完全に切り離されている。したがって、水への浸漬によって保護層が除去される際に、抄き込み部材が離散しやすいため、抄き込み部材の形成が容易になる。
上記抄き込み部材形成用シートにおいて、前記第1方向は、前記抄き込み部材形成用シートの短辺方向であり、前記第2方向は、前記抄き込み部材形成用シートの長辺方向であることが好ましい。
上記構成によれば、長辺方向に沿って、切断された機能層と第1接着層と第2接着層とが周囲と離れて離散することが抑えられる。したがって、相対的に長い長さを有する方向にて切断された層の離散が抑えられるため、構成層を切断する際に、抄き込み部材がばらばらになることが的確に抑えられる。
上記抄き込み部材形成用シートにおいて、前記機能層は、偽造防止用の機能として光学干渉性を有することが好ましい。
上記構成によれば、抄き込み部材の視認性が高められる。その結果、抄き込み部材が偽造防止用紙に抄き込まれて用いられた場合には、偽造防止用紙の偽造を抑える効果がより高められる。
上記課題を解決する抄き込み部材形成用シートの製造方法は、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを備え、かつ、偽造防止用の機能を備える機能層と、前記機能層の前記第1面を覆う第1接着層と、前記機能層の前記第2面を覆う第2接着層と、前記第2接着層に接合された保護層であって、水への浸漬によって分解する、もしくは、水に溶解する前記保護層と、を含む構成層を備える複合シートを形成する工程と、前記構成層の厚さ方向に前記保護層の少なくとも一部以外の前記構成層が切断された半切断部を、前記複合シートにおいて抄き込み部材を1つずつ区切る部位の少なくとも一部に形成する工程と、を含む。
上記方法によれば、半切断部にて、機能層と第1接着層と第2接着層とが切断されている一方で、保護層の少なくとも一部は繋がっているため、構成層が切断される際に、機能層と第1接着層と第2接着層とから構成される抄き込み部材がばらばらになることが抑えられる。その結果、抄き込み部材が切断刃に付着して複数回切られることや切断の際に抄き込み部材が蛇行することが抑えられるため、こうした製法によって製造される抄き込み部材形成用シートから形成される抄き込み部材の寸法精度が高められる。
上記課題を解決する抄き込み部材の製造方法は、上述の製造方法によって製造された抄き込み部材形成用シートを用いて抄き込み部材を製造する方法であって、前記抄き込み部材形成用シートを水に浸漬して、前記保護層を溶解もしくは分解させる工程を含む。
上記方法によれば、上述の方法によって製造された抄き込み部材形成用シートから抄き込み部材が製造されるため、形成される抄き込み部材の寸法精度が高められる。
上記課題を解決する偽造防止用紙の製造方法は、上述の製造方法によって製造された抄き込み部材を用いて偽造防止用紙を製造する方法であって、前記偽造防止用紙を構成する基材中に抄き込み部材を分散させる工程を含む。
上記方法によれば、寸法精度の高い抄き込み部材が抄き込まれた偽造防止用紙が得られる。
本発明によれば、抄き込み部材の寸法精度を高めることができる。
一実施形態の偽造防止用紙の平面構造を示す平面図である。 一実施形態の偽造防止用紙の断面構造を示す断面図であって、図1の2−2線での断面を示す断面図である。 一実施形態の抄き込み部材形成用シートの断面構造を示す断面図である。 一実施形態の抄き込み部材形成用シートの平面構造を示す平面図である。 一実施形態の抄き込み部材形成用シートの製造工程を示す図である。 一実施形態の抄き込み部材の製造工程を示す図である。 一実施形態の抄き込み部材の製造工程を示す図である。 変形例の抄き込み部材形成用シートの平面構造を示す平面図である。 変形例の抄き込み部材の平面構造を示す平面図である。
図1〜図7を参照して、抄き込み部材形成用シート、抄き込み部材形成用シートの製造方法、抄き込み部材の製造方法、および、偽造防止用紙の製造方法の一実施形態について説明する。
[偽造防止用紙および抄き込み部材]
図1および図2を参照して、偽造防止用紙の構成、および、偽造防止用紙に含まれる抄き込み部材の構成について説明する。
図1に示されるように、偽造防止用紙10は、基材11と、抄き込み部材12とを備えている。複数の抄き込み部材12は、基材11中に分散されて抄き込まれている。
抄き込み部材12は、偽造防止用の機能を有する部材であって、繊維状、もしくは、細片形状を有する。
繊維状を有する抄き込み部材12は、短辺の長さと比較して長辺の長さの長い形状を有する。通常、短辺の長さは0.05mm〜2mm程度であって、長辺の長さは3mm〜20mm程度である。細片形状を有する抄き込み部材12は、円、楕円、正方形、矩形、菱形、五角形、六角形等の任意の形状を有する。通常、細片の最大径は0.5mm〜5mm程度である。
図2に示されるように、抄き込み部材12は、基材11の表面に近い部分および裏面に近い部分である表層のみに含まれていてもよいし、基材11の全体に分散されていてもよい。抄き込み部材12が偽造防止用の機能として光学干渉性を有する構成では、基材11に抄き込まれた抄き込み部材12の視認性が高められるため、偽造防止用紙の偽造がより好適に抑えられる。基材11の表層に抄き込み部材12を抄き込む方法は、特に限定されないが、例えば、基材11を多層構造とし、その最外層に抄き込み部材12を抄き込む方法が挙げられる。
抄き込み部材12は、偽造防止用の機能を有する機能層と、機能層の両面に設けられた接着層とから構成される。機能層は、例えば、高分子フィルム、紙、不織布等から構成され、これらの材料自身が偽造防止用の機能を有するか、もしくは、これらの材料からなる層に偽造防止用の機能を付する加工が施されて機能層が形成されている。接着層は、抄紙機の乾燥ゾーンで、パルプ等のセルロース繊維を主成分として含む基材11に接着する機能を有する。これにより、偽造防止用紙10から抄き込み部材12が脱落することが抑えられる。
[抄き込み部材形成用シート]
図3および図4を参照して、抄き込み部材形成用シートの構成について説明する。抄き込み部材12は、抄き込み部材形成用シートから製造される。
図3に示されるように、抄き込み部材形成用シート20は、構成層として、上述の機能層21と、第1接着層22と、第2接着層23と、保護層24と、を備える。機能層21は、第1面と、第1面とは反対側の面である第2面とを有し、第1接着層22は機能層21の第1面を覆い、第2接着層23は機能層21の第2面を覆う。保護層24は、第2接着層23が有する2つの面のうちの機能層21と接する面とは反対側の面と接している。
抄き込み部材形成用シート20には、構成層において抄き込み部材12を1つずつ区切る部位に、半切断部25と全切断部26とが形成されている。半切断部25では、抄き込み部材形成用シート20の厚さ方向に、第1接着層22側から、抄き込み部材形成用シート20を完全には切断しない切り込みが入れられている。半切断部25では、切り込みによって、機能層21と接着層22,23とが切断されており、保護層24の少なくとも一部は切断されずに繋がっている。
全切断部26では、抄き込み部材形成用シート20の厚さ方向に、構成層のすべてが切断され、抄き込み部材形成用シート20が完全に切断されている。
図4に示されるように、半切断部25は、抄き込み部材形成用シート20の短辺方向に沿って延びる形状を有し、かつ、長辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられている。全切断部26は、抄き込み部材形成用シート20の長辺方向に沿って延びる形状を有し、かつ、短辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられている。半切断部25と全切断部26とによって区画される各領域における機能層21と接着層22,23とが、抄き込み部材12を構成する。
[抄き込み部材形成用シートの製造方法]
図5を参照して、上述の抄き込み部材形成用シート20の製造方法について説明する。
まず、半切断部25と全切断部26とが形成されていない複合シート30が形成される。複合シート30は、構成層として、機能層21と接着層22,23と保護層24とを備え、機能層21は、例えば、高分子フィルム、紙、あるいは、不織布等から構成される。
機能層21を構成する高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子フィルム、ポリ塩化ビニル系高分子フィルム、ポリアリレートやポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系高分子フィルム、ポリメチルメタクリレート系高分子フィルム、ポリカーボネート系高分子フィルム、ポリイミド系高分子フィルム、ポリエーテルスルホン系高分子フィルム、ポリスルホン系高分子フィルム、ポリスチレン系高分子フィルム、ポリビニルアルコール系高分子フィルム、酢酸セルロースや、セルロースジアセテートや、セルローストリアセテートや、セロファン等のセルロース系高分子フィルム、液晶ポリマーからなる高分子フィルム、多層光学干渉フィルムのようなフィルム自身が偽造防止用の機能を有する高分子フィルム、等が挙げられる。
これらの高分子フィルムには、添加剤として、例えば、着色剤、白色の無機顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤等が加えられてもよい。高分子フィルムの厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
機能層21を構成する紙は、セルロース繊維を主成分として、このセルロース繊維に種々の製紙用副素材や偽造防止用の機能を発現させる素材が混合されたスラリーが、抄紙機によって製紙されることによって製造される。
セルロース繊維としては、典型的には、パルプが用いられる。また、複数種類のセルロース繊維が使用されてもよい。パルプの具体例としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の製紙用パルプが挙げられる。これらのパルプがビーターやディスクリファイナー等の使用によって叩解処理され、さらに、白土、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム等の各種填料、合成繊維、紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、定着剤等の製紙用副素材が適宜添加されて、スラリーが調整される。スラリーには、紫外線の照射によって蛍光発色する繊維や、紫外線の照射によって蛍光発色する微細粒子等の偽造防止用の機能を有する公知の素材が混合されてもよい。
上記スラリーが用いられ、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の公知の抄紙機によって、機能層21を構成する紙が製造される。紙の表面には、乾燥工程の途中で、サイズプレス装置等を使用することによって、サイズ剤や紙力増強剤が塗工されてもよい。紙の坪量は、20g/m以上100g/m以下であることが好ましい。
機能層21を構成する不織布は、湿式法、あるいは、スパンボンド法、メルトブローン法、スパンレース法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法等の公知の乾式法のいずれによっても製造できる。不織布を製造する際に、不織布を構成するための繊維と、偽造防止用の機能を有する物質、例えば、紫外線の照射で蛍光発色する繊維とを併用してもよい。不織布の坪量は、20g/m以上100g/m以下であることが好ましい。
機能層21の表面には、種々の加工が施されてもよい。例えば、機能層21が紙から構成される場合には、カオリン、酸化チタン、炭酸カルシウム等の顔料、および、澱粉、SBRラテックス、MBRラテックス、アクリルエマルション等の接着剤や塗工用副資材から構成される塗工液が、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等の塗工機が用いられることによって、紙の表面に塗工されてもよい。塗工量(乾燥換算)は、3g/m以上20g/m以下であることが好ましい。
また、機能層21の表面には、偽造防止用の機能を付する加工が施されてもよい。なお、機能層21を構成する高分子フィルム、紙、不織布そのものが偽造防止用の機能を有する場合には、こうした加工は施されなくてもよい。
偽造防止用の機能を付する加工としては、例えば、真珠顔料、着色顔料、コレステリック液晶顔料、磁気粉体、金属粉体、紫外線の照射で蛍光発色する染料や顔料等とバインダー、その他の添加剤から構成されるインキをオフセット印刷法、凹版印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等の公知の印刷法によって機能層21の表面に塗工する加工が挙げられる。
こうした加工においては、複数種類の上記インキを組み合わせて使用してもよい。例えば、2種類以上の干渉色の真珠顔料からインキを作製し、複数色を交互に取り入れたストライプ模様となるようにインキを機能層21に印刷してもよいし、紫外線の照射で発光する2色以上の蛍光体を同様の方法によって印刷してもよい。また、真珠顔料と金属粉体との組み合わせ、磁気粉体と着色顔料との組み合わせ等、2種類以上の顔料を組み合わせて模様を印刷してもよい。
また、機能層21が高分子フィルムから構成される場合には、高分子フィルムの表面に、ホログラム、金属蒸着、多層蒸着薄膜、コレステリック液晶層等が設けられてもよい。さらに、上記金属蒸着や多層蒸着薄膜にディメタライズド加工が施されてもよいし、上記ホログラム、金属蒸着、多層蒸着膜の層上、もしくは、ディメタライズド加工されたフィルム上に上記真珠顔料、磁気粉体、蛍光体がパターン状に印刷されてもよい。
特に、機能層21が、その構成材料や上記の加工に基づいて、偽造防止用の機能として、視認する角度によって反射光・散乱光の光強度や色が変化する光学干渉性を有する構成では、抄き込み部材12が偽造防止用紙10に抄き込まれたときに、抄き込み部材12の視認性が高いため好ましい。
接着層22,23は、偽造防止用紙10が製造される際に、抄紙機の乾燥ゾーンで溶解または軟化して基材11を構成する主成分であるセルロース繊維と接着する。
接着層22,23を構成する接着剤としては、抄紙機のドライヤーで軟化もしくは溶融もしくは膨潤して、基材11と強固に接着する性能を有した周知の接着剤が用いられることが好ましい。接着剤の具体例としては、ポリ酢酸ビニル樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアクリル酸エステル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系等の水系もしくは溶剤系の周知の接着剤が挙げられる。これらの接着剤が、単独もしくは複数用いられ、ロールコーターやグラビアコーター等の周知の塗工機によって機能層21の第1面および第2面に塗工されることによって、接着層22,23が形成される。接着剤の塗工量は、0.1g/m以上10g/m以下(乾燥質量換算)であることが好ましい。なお、接着層22,23を形成する前に、機能層21と接着層22,23との間の接着性を向上するために、機能層21にコロナ放電処理やプライマー剤の塗工が行われてもよい。
熱可塑性の接着剤が用いられる場合、接着剤としては、ガラス移転点が−30℃以上50℃以下である樹脂が用いられることが好ましく、ガラス転移点が−20℃以上30℃以下である樹脂が用いられることがより好ましい。ガラス転移点が−30℃以上であると、常温で接着層が粘着性を有することが抑えられ、ガラス転移点が50℃以下であると、抄紙機の乾燥ゾーンで接着層がセルロース繊維と接着しやすい。
接着剤として、ポリビニルアルコール樹脂系の水溶性もしくは熱水熔解性の樹脂が用いられる場合、樹脂の溶解性は重合度および鹸化度、特に鹸化度に大きく支配される。例えば、鹸化度88%以下の樹脂は約20℃の水に完全に溶解し、鹸化度97%の樹脂は約50℃の熱水に初めて溶解し、完全鹸化の樹脂は約80℃の熱水に初めて溶解する。こうした特徴に鑑みて、接着剤としては、熱水溶解温度が60℃以上80℃以下の樹脂を使用することが好ましい。熱水溶解温度が60℃以上であると、抄紙機の乾燥ゾーンで樹脂が過度に膨潤したり溶解したりすることが抑えられ、熱水溶解温度が80℃以下であると、損紙あるいは古紙として回収されたときに、スラリーを高温に上げる必要がないため、処理が行いやすい。機能層21が高分子フィルムから構成される場合には、機能層21と、ポリビニルアルコールから構成される接着層22,23との間に、両者の親和性を改善するための、ポリウレタン樹脂等の公知のプライマー剤層が設けられてもよい。
保護層24は、水への浸漬によって分解する、もしくは、水に溶解する層であって、保護層24としては、例えば、無サイズ紙、もしくは、水溶性シートが用いられる。
保護層24として用いられる無サイズ紙は、水に浸漬されると極めて短時間に紙を構成するセルロース繊維に分解される特徴を有する。無サイズ紙は、セルロース繊維を主成分として調整されたスラリーを用いて、抄紙機によって製造される。セルロース繊維としては、典型的には、パルプが用いられる。また、複数種のセルロース繊維が使用されてもよい。パルプの具体例としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の製紙用パルプが挙げられる。これらのパルプはビーターやディスクリファイナー等の使用によって、通常、フリーネス(C.S.F.)が200ml以上500ml以下に叩解され、基本的には他の製紙用副資材が添加されずにスラリーが調整される。そして、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の公知の抄紙機が使用されて、調整されたスラリーから無サイズ紙が製造される。無サイズ紙の坪量は、20g/m以上80g/m以下であることが好ましい。
なお、無サイズ紙として、水解紙が用いられてもよい。水解紙は、紙を構成する繊維間の接着力が、乾燥状態では紙の加工に必要な最低限の強度を有する一方で、水に浸された状態では、上記接着力が極端に低下して、紙が繊維状に分解される性質を有する。水解紙としては、例えば、特開2006−002296号公報、特開2006−307384号公報、特開2006−180983号公報、特開2006−002277号公報等に開示された水解紙を用いることができる。
また、保護層24として無サイズ紙が用いられ、抄き込み部材12が繊維状に形成される場合、無サイズ紙の縦方向と抄き込み部材12の長辺方向が同じ向きになるようにして、抄き込み部材形成用シート20から抄き込み部材12が形成されることが好ましい。こうした構成によれば、抄き込み部材12が切られるときに接着層22,23の切断面と保護層24の切断面とが、圧着したり、摩擦熱によって接着したりすることが起こりにくくなる。
保護層24として用いられる水溶性シートは、水に溶解もしくは離解する性質を有するシート状もしくはフィルム状の素材である。水溶性シートを構成する材料としては、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩等のセルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル系、プルラン等のポリサッカライド系等の公知の水溶性材料が挙げられ、水溶性シートの代表的な例としては、水溶紙が挙げられる。
水溶紙としては、カルボキシメチルセルロースをパルプ等の抄紙原料と混抄した後、アルカリ剤でカルボキシメチルセルロースをそのアルカリ金属塩に変換させる方法(例えば特公昭40−968号公報等に記載の方法)によって製造された水溶紙や、木材パルプ繊維等の繊維に、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩と、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルトおよびニッケルの水溶塩からなる群から選択される塩の1種または2種以上とが含有された水溶紙(例えば特許第2549159号等に記載の水溶紙)等の公知の水溶紙を用いることができる。
水溶性シートの厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましく、水溶性シートが水溶紙である場合には、水溶紙の坪量は30g/m以上80g/m以下であることが好ましい。
保護層24は、ラミネート加工等の熱圧着によって、第2接着層23に接合されて、第2接着層23に固定される。
図5は、複合シート30から抄き込み部材形成用シート20が製造される過程を示す図である。図5では、複合シート30に半切断部25と全切断部26とが形成される様子を中心に示し、各種の刃やローラー等を回転させる機構やシートを搬送する機構等を省略して示している。
図5に示されるように、複合シート30がロール状に巻かれた複合シート原反31から、複合シート30が引き出され、引き出された複合シート30は、回転する半切断刃部40の下方を通過する。半切断刃部40は、半切断刃部40の軸方向に沿って延び、かつ、半切断刃部40の回転方向に沿って並ぶ複数の半切断刃41を有する。複合シート30が半切断刃部40の下方を通過するとき、半切断刃41が複合シート30を切ることによって、複合シート30の搬送方向と直交する方向、すなわち、複合シート30の短辺方向に沿って延びる半切断部25が形成される。複合シート30の搬送と半切断刃部40の回転とに伴って、複数の半切断刃41が順に複合シート30を切り、これによって、複数の半切断部25が、所定の間隔をあけて形成される。
続いて、半切断部25が形成された複合シート30は、全切断刃部42の下方を通過する。全切断刃部42は、全切断刃部42の回転方向に沿って延び、かつ、全切断刃部42の軸方向に沿って並ぶ複数の全切断刃43を有する。複合シート30が全切断刃部42の下方を通過するとき、複数の全切断刃43が複合シート30を切ることによって、複合シート30の搬送方向、すなわち、複合シート30の長辺方向に沿って延びる複数の全切断部26が、所定の間隔をあけて形成される。これにより、抄き込み部材形成用シート20が形成される。形成された抄き込み部材形成用シート20は、シート状を保った状態で、巻き取られる。
なお、複合シート30の短辺方向の両端部には、半切断部25と全切断部26とが形成されず、両端部は、全切断刃部42によって両端部以外の部分に全切断部26が形成された後に、除去されることが好ましい。例えば、図5に示す例では、複合シート30の両端部のそれぞれは、全切断刃部42よりも搬送方向における後段で、抄き込み部材形成用シート20とは別に巻き取られる。こうした構成によれば、半切断部25と全切断部26とが形成される部分が両端部によって支えられるため、複合シート30の両端部まで半切断部25と全切断部26とが形成される構成と比較して、半切断部25と全切断部26とが形成される部分が蛇行することが抑えられる。そのため、互いに隣接する全切断部26の間の長さが不均一になることが抑えられ、その結果、形成される抄き込み部材12の寸法精度が高められる。
このように、ロール状の複合シート原反31から引き出された複合シート30に、半切断部25と全切断部26とが順に形成される製造方法によれば、抄き込み部材形成用シート20を効率よく製造することができる。
なお、複合シート30に半切断部25と全切断部26とが形成されることによって、抄き込み部材形成用シート20が製造される方法であれば、抄き込み部材形成用シート20の製造方法は、上述の方法に限られない。
[抄き込み部材および偽造防止用紙の製造方法]
抄き込み部材12の製造方法、および、偽造防止用紙10の製造方法を説明する。まず、図6および図7を参照して、抄き込み部材12の製造方法について説明する。
図6に示されるように、抄き込み部材形成用シート20は、水に浸漬される。例えば、図6に示す例では、水がためられた水槽50に、芯が取り除かれたロール状の抄き込み部材形成用シート20が入れられる。そして、水槽中の水が回転翼51によって攪拌される。これにより、保護層24は、水中で分解もしくは溶解する。
その結果、互いに隣接する抄き込み部材12が離散することを抑えていた保護層24がなくなるため、図7に示されるように、抄き込み部材12が、抄き込み部材12ごとにばらばらになって、水中に分散する。これにより、抄き込み部材12が製造される。
こうした抄き込み部材形成用シート20を用いた抄き込み部材12の製造方法によれば、抄き込み部材形成用シート20がシート状を保った状態で、半切断部25と全切断部26とが形成されることによって、抄き込み部材12となる領域が区画され、これによって抄き込み部材12の形状が決定される。そして、水中で保護層24が除去されることによって、抄き込み部材12が製造される。
したがって、従来のように、抄き込み部材形成用シート20が抄き込み部材12ごとに切断されないため、細断された抄き込み部材12が抄き込み部材形成用シート20を切る刃に付着することが抑えられ、その結果、抄き込み部材12が複数回切られることが抑えられる。また、抄き込み部材12を繊維状に形成する場合であっても、シート状が保持された状態で抄き込み部材12となる領域が区画されるため、細断される際に抄き込み部材12が蛇行することが抑えられる。したがって、形成される抄き込み部材12の寸法精度が高められる。
また、保護層24が設けられていることによって、全切断部26の周囲で第1接着層22と第2接着層23とが接着することが抑えられるため、抄き込み部材12同士が接着することが抑えられる。その結果、抄き込み部材12が繋がった状態や塊になった状態で偽造防止用紙10に抄き込まれることが抑えられる。
続いて、偽造防止用紙10の製造方法について説明する。
偽造防止用紙10は、基材11中に抄き込み部材12を分散させて製紙することによって製造される。基材11中に抄き込み部材12を分散させる方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
・基材11の構成材料を含むスラリーに、抄き込み部材12が分散された水、もしくは、こうした水を含む液体を加えることによって、スラリー中に抄き込み部材12を分散させる。そして、このスラリーから、抄紙機を用いて偽造防止用紙10を製造する。なお、スラリーは、パルプ等のセルロース繊維を主成分とし、種々の製紙用副素材等を含んでもよい。
・抄紙機にてスラリーから偽造防止用紙10が製造される過程で、抄き込み部材12が分散された水、もしくは、こうした水を含む液体を、加工中の紙に吹きかけたり塗工したりする。
なお、基材11中に抄き込み部材12を分散させることが可能であれば、その方法は上述の方法に限られない。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)抄き込み部材形成用シート20では、半切断部25にて、抄き込み部材12を構成する機能層21と第1接着層22と第2接着層23とが切断されている一方で、保護層24の少なくとも一部は繋がっているため、切断された抄き込み部材12がその周囲と離れて離散することが抑えられる。一方、水への浸漬によって保護層24を除去することが可能であるため、こうした保護層24の除去によって、半切断部25にて切断されている機能層21と第1接着層22と第2接着層23とをその周囲から切り離して抄き込み部材12を形成することができる。したがって、抄き込み部材形成用シート20が抄き込み部材12ごとに切断されないため、抄き込み部材12が切断刃に付着して複数回切られることや切断の際に抄き込み部材12が蛇行することが抑えられる。その結果、形成される抄き込み部材12の寸法精度が高められる。
(2)半切断部25が、抄き込み部材形成用シート20の短辺方向に沿って延び、長辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されているため、長辺方向に並ぶ抄き込み部材12が周囲と離れて離散することが抑えられる。したがって、相対的に長い長さを有する方向にて切断された層の離散が抑えられるため、抄き込み部材形成用シート20の構成層の切断が行われる際に抄き込み部材12がばらばらになることが的確に抑えられる。
(3)全切断部26が、抄き込み部材形成用シート20の長辺方向に沿って延び、短辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されている。こうした構成によれば、長辺方向では、半切断部25によって、切断された抄き込み部材12が周囲と離れて離散することが抑えられる一方、短辺方向では、抄き込み部材12が周囲から完全に切り離されているため、水への浸漬によって保護層24が除去される際に、抄き込み部材12が離散しやすい。したがって、抄き込み部材12の形成が容易になる。
(4)機能層21が、偽造防止用の機能として、光学干渉性を有する構成では、抄き込み部材12の視認性が高められる。その結果、抄き込み部材12が偽造防止用紙10に抄き込まれて用いられた場合には、偽造防止用紙10の偽造を抑える効果がより高められる。
(5)複合シート30に半切断部25を形成することによって、上述のように、寸法精度の高い抄き込み部材12を形成可能な抄き込み部材形成用シート20が得られる。そして、こうして製造された抄き込み部材形成用シート20を水に浸漬して、保護層24を溶解もしくは分解させることによって、抄き込み部材12が製造されるため、形成される抄き込み部材12の寸法精度が高められる。さらに、こうして製造された抄き込み部材12を基材11中に分散させて偽造防止用紙10が製造されるため、寸法精度の高い抄き込み部材12が抄き込まれた偽造防止用紙10が得られる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・図8に示されるように、半切断部25は、直線状でなく、不規則に折れ曲がりながら短辺方向に延びる線状であってもよい。こうした半切断部25は、例えば、半切断刃部40の有する半切断刃41として鋸刃状の刃を用いることによって形成される。こうした製法によれば、図9に示されるような複雑な形状を有する抄き込み部材12を容易に形成することができる。
こうした構成では、偽造防止用紙10の基材11が抄き込み部材12の不規則な形状を有する端部に絡まりやすくなるため、偽造防止用紙10にて抄き込み部材12が抄き込まれている領域の形状がより複雑になって、偽造防止効果が高められる。また、偽造防止用紙10から抄き込み部材12がより脱落し難くなる。さらに、抄き込み部材12の機能層21が光学干渉性を有する場合には、基材11が絡まっている部分で基材11を構成する繊維の間から干渉光が見えるため、偽造防止用紙10の偽造がより困難になる。
・半切断部25では、保護層24の少なくとも一部以外の構成層が厚さ方向に切断されていればよく、保護層24は全部が切断されていなくてもよいし、一部のみが切断されていなくてもよい。例えば、半切断部25にて、保護層24における第2接着層23とは反対側の面から保護層24の一部が切断され、保護層24は、厚さ方向の中央部のみが切断されていない構成であってもよい。こうした構成によれば、抄き込み部材12の離散を抑えている部分が薄くなるため、水への浸漬によって保護層24が除去される際に、抄き込み部材12が離散しやすくなる。その結果、抄き込み部材12の形成が容易になる。
・上記実施形態において、全切断部26の形成されている部分に、全切断部26に代えて半切断部25が形成されてもよい。この場合、抄き込み部材形成用シート20には、短辺方向に沿って延び、長辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられている半切断部25と、長辺方向に沿って延び、短辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられている半切断部25とが形成されている。こうした構成では、抄き込み部材12は半切断部25によって囲まれることによって区画され、抄き込み部材形成用シート20の全域で、保護層24の少なくとも一部が繋がっている。こうした構成によっても、上記(1),(2)の効果は得られる。
・半切断部25の構成は、抄き込み部材形成用シート20の短辺方向に沿って延びる形状を有し、かつ、長辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられる構成に限られない。半切断部25は、抄き込み部材形成用シート20の広がる方向の1つを第1方向、第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、第1方向に沿って延びる形状を有し、かつ、第2方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられていればよい。上記実施形態では、抄き込み部材形成用シート20の短辺方向が第1方向であり、長辺方向が第2方向である。
例えば、半切断部25は、抄き込み部材形成用シート20の長辺方向に沿って延び、短辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されてもよい。この場合、長辺方向が第1方向であり、短辺方向が第2方向である。またこのとき、全切断部26は、短辺方向に沿って延び、長辺方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されればよい。
あるいは、半切断部25は、抄き込み部材形成用シート20の短辺方向とも長辺方向とも異なる方向に沿って延び、この方向と直交する方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されてもよい。
こうした構成によっても、半切断部25では機能層21と第1接着層22と第2接着層23とが切断されている一方で、保護層24の少なくとも一部は繋がっているため、切断された抄き込み部材12がその周囲と離れて離散することが抑えられる。したがって、上記(1)の効果は得られる。
また、半切断部25が、第1方向に沿って延び、第2方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されていることによって、抄き込み部材形成用シート20から、第2方向に沿って連続的に抄き込み部材12が形成されるようにすることが容易になる。その結果、効率的な抄き込み部材12の生産が可能となる。
・さらには、半切断部25の構成は、第1方向に沿って延び、第2方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されている構成に限らず、半切断部25は、円や多角形等の任意の形状を区画するように形成されていてもよい。要は、半切断部25が構成層において抄き込み部材12を1つずつ区切る部位の少なくとも一部に位置していれば、半切断部25にて切断された抄き込み部材12がその周囲と離れて離散することが抑えられるため、上記(1)の効果は得られる。なお、半切断部25が円形の領域を区画する場合のように、半切断部25によって区画された抄き込み部材12の周囲が、抄き込み部材12として用いられない場合には、水への浸漬によって保護層24が除去された後に、水中から、抄き込み部材12として用いられない部分が除去されればよい。
・抄き込み部材形成用シート20の構成層は、機能層21、接着層22,23、および、保護層24に加えて、他の層を含んでいてもよい。例えば、第1接着層22にも、水への浸漬によって分解する、もしくは、水に溶解する保護層が積層されていてもよい。こうした場合であっても、半切断部25においては、第2接着層23に接している保護層24の少なくとも一部を残してそれ以外の構成層が厚さ方向に切断されていればよい。
[実施例]
上述した抄き込み部材形成用シート、抄き込み部材形成用シートの製造方法、抄き込み部材の製造方法、および、偽造防止用紙の製造方法について、具体的な実施例を用いて説明する。
<抄き込み部材形成用シートの作製>
機能層として、ポリエチレンテレフタレート樹脂とアクリル樹脂の多層膜からなる厚さ18μmの多層光学干渉フィルム(商品名「オーロラフィルム」、BASF社製)の巻き取りロールを準備した。このフィルムは、反射光で赤色、透過光でその補色であるシアン色を示す。フィルムがこのような性質を有することにより、このフィルムを機能層として用いて製造した抄き込み部材は、カラーコピー等でコピーしてもその色相を再現することができないため、偽造が困難である。上記フィルムをコロナ放電処理することによって、表面の濡れ指数を高め、機能層を得た。
機能層の一方の面に、下記[接着層の構成]を有するインキをグラビアコーターにて3μm(ドライ膜厚)塗工し接着層を形成した。接着層塗工後、ロールから繰り出した水溶紙(商品名「30CD−2」、日本製紙パピリア(株)製、坪量30g/m)と、接着層とをラミネーターにて加熱温度90℃で圧着させて、接着層に保護層を積層し、作製された層状体を巻き取った。
[接着層の構成]
ポリエステル系樹脂(バイロン2310、東洋紡績(株)製) 150重量部
トルエン 300重量部
メチル・エチル・ケトン 200重量部
さらに、機能層の他方の面にも、上記[接着層の構成]を有するインキをグラビアコーターにて3μm(ドライ膜厚)塗工し接着層を形成した。これにより、「第1接着層/機能層/第2接着層/保護層」の構成を有する複合シートを得た。
上記複合シートの原反を巻き取り機に取り付け、テンションをかけた状態で、搬送方向と直交する方向に延びる半切断部を、搬送方向に5mm間隔で形成し、機能層と機能層を挟む2つの接着層とをカットした。その後、ローターリー刃によって、幅1.0mmの間隔で搬送方向に複合シートをカットして全切断部を形成して巻き取り、抄き込み部材形成用シートを得た。これにより、抄き込み部材形成用シートには、1.0mm幅×5mm長の細片形状を有した抄き込み部材となる領域が大量に区画された。
<抄き込み部材の作製>
巻き取られた抄き込み部材形成用シートから芯となっている紙管を抜き、抄き込み部材形成用シートを水に入れて攪拌した。その結果、保護層は溶解し、水中に、細片形状を有した抄き込部材が個々に分散されることが観察された。
<偽造防止用紙の作製>
上記抄き込み部材を含む水を、下記[パルプスラリーの組成]からなるスラリーに混合して製紙することによって、スラリー中に抄き込み部材が1.5%含まれた、坪量100g/mの偽造防止用紙を作製した。
[パルプスラリーの組成]
NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ) 30質量部
LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ) 70質量部
カオリン 15質量部
紙力増強剤(商品名「ポリストロン117」、荒川化学工業(株)製) 0.5質量部
サイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製) 1.0質量部
硫酸バンド 適量
水 1000重量部
この偽造防止用紙をカラーコピー機で複写したところ、抄き込み部材の干渉色はコピーされず、目視による判断では偽造防止用紙と複写物の差は明確に区別できた。
また、抄き込み部材の製造工程において、シートが切られる際に抄き込み部材が切断刃に付着して複数回切られることはなかった。その結果、寸法精度の高い抄き込み部材を製造することができた。
10…偽造防止用紙、11…基材、12…抄き込み部材、20…抄き込み部材形成用シート、21…機能層、22…第1接着層、23…第2接着層、24…保護層、25…半切断部、26…全切断部、30…複合シート、31…複合シート原反、40…半切断刃部、 41…半切断刃、42…全切断刃部、43…全切断刃。

Claims (8)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを備え、かつ、偽造防止用の機能を備える機能層と、
    前記機能層の前記第1面を覆う第1接着層と、
    前記機能層の前記第2面を覆う第2接着層と、
    前記第2接着層に接合された保護層であって、水への浸漬によって分解する、もしくは、水に溶解する前記保護層と、
    を含む構成層を備え、
    前記構成層には、前記構成層の厚さ方向において、前記保護層の少なくとも一部以外の前記構成層が切断された半切断部が形成され、前記半切断部が、前記構成層において抄き込み部材を1つずつ区切る部位の少なくとも一部に位置している
    抄き込み部材形成用シート。
  2. 前記抄き込み部材形成用シートの広がる方向のなかで、1つの方向を第1方向、前記第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、
    前記半切断部は、前記第1方向に沿って延びる形状を有し、かつ、前記第2方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられている
    請求項1に記載の抄き込み部材形成用シート。
  3. 前記構成層には、前記構成層が含む層のすべてが厚さ方向に沿って切断された全切断部が形成され、
    前記全切断部は、前記第2方向に沿って延びる形状を有し、かつ、前記第1方向に沿って所定の間隔をあけて複数並べられている
    請求項2に記載の抄き込み部材形成用シート。
  4. 前記第1方向は、前記抄き込み部材形成用シートの短辺方向であり、
    前記第2方向は、前記抄き込み部材形成用シートの長辺方向である
    請求項2または3に記載の抄き込み部材形成用シート。
  5. 前記機能層は、偽造防止用の機能として光学干渉性を有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の抄き込み部材形成用シート。
  6. 第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを備え、かつ、偽造防止用の機能を備える機能層と、
    前記機能層の前記第1面を覆う第1接着層と、
    前記機能層の前記第2面を覆う第2接着層と、
    前記第2接着層に接合された保護層であって、水への浸漬によって分解する、もしくは、水に溶解する前記保護層と、
    を含む構成層を備える複合シートを形成する工程と、
    前記構成層の厚さ方向に前記保護層の少なくとも一部以外の前記構成層が切断された半切断部を、前記複合シートにおいて抄き込み部材を1つずつ区切る部位の少なくとも一部に形成する工程と、
    を含む抄き込み部材形成用シートの製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法によって製造された抄き込み部材形成用シートを用いて抄き込み部材を製造する方法であって、
    前記抄き込み部材形成用シートを水に浸漬して、前記保護層を溶解もしくは分解させる工程を含む抄き込み部材の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法によって製造された抄き込み部材を用いて偽造防止用紙を製造する方法であって、
    前記偽造防止用紙を構成する基材中に抄き込み部材を分散させる工程を含む偽造防止用紙の製造方法。
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