JP2016107084A - X線撮影装置、画像処理装置及びx線撮影方法 - Google Patents

X線撮影装置、画像処理装置及びx線撮影方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マルチエネルギースキャンにおいて取得される投影画像データにおいて、X線の散乱の影響を低減する技術を提供する。【解決手段】X線コーンビームBX11を発生させるX線発生器11と、該X線コーンビームBX1を検出する二次元X線検出器21とを対向状態で支持アーム30で支持し、被写体M1を間に挟んだ状態で旋回させる。二次元X線検出器21と被写体M1の間には、X線ビームのエネルギー分布の変換特性が互いにそうするフィルタ231,233が配列されてなるエネルギー変換部23が配置される。エネルギー変換部移動機構25は、X線撮影において、支持アーム30の旋回中に、エネルギー変換部23がX線コーンビームBX11を横断するように二次元X線検出器21の検出面21Sに沿った方向に移動させる。【選択図】図4

Description

この発明は、X線撮影の技術に関する。
従来、医用診断又は非破壊検査を目的としてX線撮影装置を用いたCT撮影(Computed Tomography)が行われている。また、X線撮影装置において、X線のエネルギー分布が相違する複数のX線を用いて、被写体の同一部位を撮影するマルチエネルギースキャンが行われている(例えば、特許文献1)。
このマルチエネルギースキャンによると、被写体の同一部位の同一断層面について、互いに相違する複数のエネルギー分布特性のX線に対応した断層画像を得ることができる。これらエネルギー分布特性が相違する断層画像について、例えば差分をとることによって、特定部位の像を抽出することができる。
特許文献1に記載のX線CT撮影装置では、放射線源であるX線管と、放射線を検出する検出手段であるX線検出器との間に被検体が配置される。この状態で、X線管及びX線検出器をCT撮影領域の中心に設定した回転軸周りに360度回転させる。X線管と被検体との間には、透過するX線のエネルギー分布を互いに異ならせる2種のフィルタが並べられている。このため、被検体には、左右で異なるエネルギー分布のX線が同時に照射される。
また、ヘリカルスキャン方式のX線CT装置において、エネルギー特性が異なる2つの検出器をスライス方向に連続配置して、デュアルエネルギースキャンを行う技術も既に知られている(特許文献2)。
特開2008−54831号公報 特開平6−296607号公報
しかしながら、特許文献1に記載のX線CT撮影装置の場合、2種のフィルタの境界部分でX線の散乱が発生する。2種のフィルタからX線検出器までは、相当の距離があるため、散乱したX線が本来入射すべき位置から離れた位置に入射してしまう。すると、得られる投影画像が不鮮明となるおそれがあった。
また、特許文献2では、2つの検出器は、厚みの異なる2つのシンチレータを備えるか、もしくは、X線吸収率、厚さ、形状及び材質の少なくともいずれかが異なる2つのフィルタを備えることによって、エネルギー特性が異なるように構成されている。すると、2つのフィルタまたは2つのシンチレータの境界部分で散乱するX線は、各検出器の特定の位置に集中して入射することとなる。すると、検出器における散乱したX線の入射位置において、本来検出すべき撮影領域を透過したX線が検出できなくなるおそれがあった。
そこで、本発明は、マルチエネルギースキャンにおいて取得される投影画像データにおいて、X線の散乱の影響を低減する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、第1の態様は、X線ビームを発生させるX線発生器からなるX線発生部と、前記X線発生部から照射され、被写体を透過した前記X線ビームを受光して検出する二次元X線検出器を備えるX線検出部と、前記X線発生部と前記X線検出部とを対向状態を保って支持する支持部と、前記X線発生部と前記X線検出部が前記被写体を間に挟んだ状態で前記支持部を前記被写体に対して移動させる移動機構と、前記X線ビームの経路中の前記被写体と前記二次元X線検出器の間に介在し、前記X線ビームのエネルギー分布の変換特性が相違する第一部分及び第二部分が二次元に配列されてなるエネルギー変換部と、X線撮影において、前記支持部の旋回中に、前記エネルギー変換部が前記X線ビームを横断するように前記二次元X線検出器の検出面に対して沿う方向に移動させるエネルギー変換部移動機構とを備える。
また、第2の態様は、第1の態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部が、前記第一部分にフィルタを有し、前記第二部分にフィルタを有さない第一フィルタ構成体を含む。
また、第3の態様は、第1の態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部が、前記第一部分に第一のフィルタを有し、前記第二部分に前記変換特性が前記第一のフィルタとは相違する第二のフィルタを有する第二フィルタ構成体を含む。
また、第4の態様は、第1から第3の態様のいずれか1態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部移動機構が、前記エネルギー変換部を移動させる駆動源としてのモータと、前記モータの運動を伝える伝動部とを有する。
また、第5の態様は、第1から第4の態様のいずれか1態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部移動機構が、前記エネルギー変換部を、前記二次元X線検出器と前記被写体との間の位置であって、前記支持部の回転軸に沿う上下方向または該回転軸に直交する左右方向に移動させる。
また、第6の態様は、第5の態様に係るX線撮影装置において、前記X線撮影装置が実行する前記X線撮影がCT撮影であり、前記第一部分及び前記第二部分が、縞模様状に配列されている。
また、第7の態様は、第5の態様に係るX線撮影装置において、前記X線撮影装置が実行する前記X線撮影がCT撮影であり、前記第一部分及び前記第二部分が市松模様状に配列されている。
また、第8の態様は、第6または第7の態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部移動機構が、前記X線検出部の筐体内に配置される。
また、第9の態様は、第8の態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部が、前記X線検出部の前記筐体内において、前記二次元X線検出器の移動方向に対して交差する方向に移動する。
また、第10の態様は、第8の態様に係るX線撮影装置において、前記エネルギー変換部が、前記X線検出部の前記筐体内において、前記二次元X線検出器の移動方向に沿った方向または対向する方向に移動する。
また、第11の態様は、第1から第10の態様のいずれか1態様に係るX線撮影装置において、前記X線発生器から照射されるX線を規制するX線規制部、をさらに備え、前記X線規制部によって前記X線がX線コーンビームに形成される。
また、第12の態様は、第11の態様に係るX線撮影装置において、前記X線撮影装置が実行する前記X線撮影がCT撮影であり、前記エネルギー変換部移動機構は、前記エネルギー変換部を、CT撮影領域を透過した前記X線コーンビームが入射する位置から退避させる。
また、第13の態様は、第11または第12の態様に係るX線撮影装置において、前記X線規制部によって形成されるX線細隙ビームを用いて、パノラマX線撮影またはセファロ撮影を実行する。
また、第14の態様は、第9の態様に係るX線撮影装置において、CT撮影中に、前記エネルギー変換部移動機構が前記エネルギー変換部を移動させることによって、前記支持部が半回転に前記X線ビームのファン角を加えた旋回を実行する間に、前記第一部分及び前記第二部分のうちの少なくとも一方が、前記一方における前記交差する方向の幅分変位するとともに前記支持部がさらに半回転に前記X線ビームのファン角を加えた旋回を実行する間に、前記一方がさらに前記交差する方向の幅分変位し、前記第一部分及び前記第二部分のうちの他方が、前記X線ビームのうちの前記一方に入射する部分を除く残余の部分のX線を受光する。
また、第15の態様は、第10の態様に係るX線撮影装置において、CT撮影中に、前記エネルギー変換部移動機構が前記エネルギー変換部を移動させることによって、前記支持部の回転中に、前記第一部分が、前記X線検出部の移動方向の幅分変位し、前記第二部分が、前記第一部分の変位と同時に、前記第一部分が変位する方向であって、前記第一部分の変位量と一致する変位量分だけ変位する。
また、第16の態様は、第1から第15の態様のいずれか1態様に係るX線撮影装置によって取得された画像データを処理する画像処理装置であって、前記エネルギー変換部の前記第一部分及び第二部分のそれぞれを透過または通過し、前記二次元X線検出器で前記X線ビームを検出して得られる画像データを画像処理して、それぞれのエネルギー分布特性に対応したX線画像を生成する画像処理部、を備える。
また、第17の態様は、第16の態様に係る画像処理装置において、前記画像処理部が、前記それぞれのエネルギー分布特性に対応した前記画像データの差分の画像を演算によって取得する。
また、第18の態様は、X線撮影方法であって、X線ビームを発生させるX線発生器、及び、被写体を透過したX線ビームを検出する二次元X線検出器を、対向状態で前記被写体周りに回転させる回転工程と、前記回転工程中に、前記X線ビームの経路中の前記被写体と前記二次元X線検出器の間に介在しており、前記X線ビームのエネルギー分布の変換特性が相違する第一部分及び第二部分が二次元に配列されてなるエネルギー変換部を、前記X線ビームを横断するように前記二次元X線検出器の検出面に対して沿う方向に移動させるエネルギー変換部移動工程とを含む。
第1の態様によると、X線撮影中に、X線ビームを横断するようにエネルギー変換部を移動させることによって、エネルギー変換部の第一部分及び第二部分の境界部分を移動させることができる。このため、当該境界部分に入射して散乱したX線が、二次元X線検出器の特定位置に集中して入射することを低減できる。したがって、投影データにおけるX線の散乱X線の影響を低減できる。これによって、例えば、エネルギー変換部の第一部分と第二部分を通過したX線のエネルギー分布特性に対応する2種のCT画像(断層画像)を再構成で得る場合に、散乱X線の影響の小さい鮮明なものとすることができ、X線エネルギーの弁別能を上げることができる。
また、第2の態様によると、フィルタを有する第一部分及びフィルタを有さない第二部分のそれぞれにX線を入射させることによって、それぞれのX線を、互いに相違するエネルギー分布特性を持ったX線に変換できる。
また、第3の態様によると、第一のフィルタ及び第二のフィルタのそれぞれにX線を入射させることによって、それぞれのX線を、互いに相違するエネルギー分布特性を持ったX線に変換できる。
また、第4の態様によると、モータ及び伝導部によって、エネルギー変換部を容易に移動させることができる。
また、第5の態様によると、エネルギー変換部を二次元X線検出器に比較的近い位置に配置できるため、第一部分と第二部分の間の境界部分を二次元X線検出器に接近させることができる。これによって、該境界部分で散乱したX線が、二次元X線検出器における、本来入射すべき位置から遠く離れた位置に入射することを低減できる。
また、第11の態様によると、X線規制部によってコーンビームを形成できる。このため、コーンビームを用いてCT撮影を行うことができる。
また、第12の態様によると、コーンビームが入射する位置から、エネルギー変換部を退避させることで、フィルタを用いないCT撮影を実施することができる。
また、第13の態様によると、X線規制部によってX線細隙ビームを形成できる。このため、X線細隙ビームを用いてパノラマX線撮影及びセファロ撮影を行うことができる。
第1実施形態に係るX線撮影装置を示す概略斜視図である。 X線撮影装置に適用可能なセファロスタットを示す正面図である。 X線撮影装置の構成を示すブロック図である。 本体部による顎部のCT撮影を説明するための概略斜視図である。 被写体頭部における顎部のCT撮影を行う本体部を、被写体の頭部側からX線発生器及び二次元X線検出器の回転軸の方向に沿って見た概略平面図である。 、第1実施形態に係るX線撮影装置における、第1CT撮影例を説明するための概略平面図である。 図6に示す第1CT撮影例において得られるサイノグラムを模式的に示す図である。 図6に示す第1CT撮影例の変形例を示す概略平面図である。 第1実施形態に係るX線撮影装置における、第2CT撮影例を説明するための概略平面図である。 図9に示す第2CT撮影例において得られるサイノグラムを模式的に示す図である。 第2実施形態に係るX線撮影装置における、第3CT撮影例を説明するための概略平面図である。 第2実施形態に係るX線撮影装置100aにおける、第3CT撮影例を説明するための概略平面図である。 図11及び図12に示す第3CT撮影例によって得られるサイノグラムを模式的に示す図である。 図13に示すサイノグラムを改編したサイノグラムを模式的に示す図である。 第2実施形態に係るX線撮影装置における第4CT撮影例を説明するためのサイノグラムを模式的に示す図である。 第2実施形態に係るX線撮影装置における、第5CT撮影例を示す概略平面図である。 第2実施形態に係るX線撮影装置における、第5CT撮影例を示す概略平面図である。 図16及び図17に示す第5CT撮影例で得られるサイノグラムを模式的に示す図である。 第3実施形態に係るX線撮影装置における、第6CT撮影例を説明するための概略平面図である。 第4実施形態に係るX線撮影装置を示す概略斜視図である。 変形例に係るエネルギー変換部を示す概略正面図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るX線撮影装置100を示す概略斜視図である。X線撮影装置100は、X線撮影(例えば、CT撮影)を実行して、投影画像データを収集する本体部1と、本体部1において収集した投影画像データを処理して、各種画像を生成する情報処理装置8とに大別される。なお、X線撮影装置100は、CT撮影だけではなく、パノラマX線撮影、頭部X線規格写真撮影(セファロ撮影)も実行可能に構成されている。
図1には、左手系のXYZ直交座標系及びxyz直交座標系を付している。ここでは、支持部300の旋回軸(回転軸)31の軸方向と平行な方向(ここでは、鉛直方向)を「Z軸方向」とし、このZ軸に交差する方向を「X軸方向」とし、さらにX軸方向及びZ軸方向に交差する方向を「Y軸方向」とする。X軸及びY軸方向は任意に定め得るが、ここでは、被写体M1である被検者がX線撮影装置100において位置決めされて支柱50に正対した時の被検者の左右の方向をX軸方向とし、被検者の前後の方向をY軸方向と定義する。また、以下において、Z軸方向を垂直方向、X軸方向とY軸方向の二次元で規定される平面上の方向を水平方向と呼ぶこともある。
xyz直交座標系は、旋回する支持アーム30上に定義される三次元座標系である。ここでは、X線発生部10とX線検出部20とが対向する方向を「y軸方向」とし、y軸方向に直交する水平方向を「x軸方向」とし、これらx及びy軸方向に直交する鉛直方向を「z軸方向」とする。本実施形態においては、上記のZ軸方向はz軸方向と共通する同一の方向となっている。また本実施形態の支持アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を軸に回転する。したがって、xyz直交座標系は、XYZ直交座標系に対してZ軸(=z軸)周りに回転することとなる。
また、本実施形態においては、図1に示すように、被検者が支柱50に正対したときの右手方向を(+X)方向、背面方向を(+Y)方向、鉛直方向上向きを(+Z)方向としている。また、X線発生部10、X線検出部20を上から平面視したときにX線発生部10からX線検出部20へ向かう方向を(+y)方向、(+y)側に向いたときの左手方向を(+x)方向、鉛直方向上向きを(+z)方向としている。したがって、X線検出部から20X線発生部10へ向かう方向は(−y)方向となり、前述の(+y)側に向いたときの右手方向は(−x)方向となり、鉛直方向下向きは(−z)方向となる。
さらに、以下において、X、Y、Z、x、y、zを二次元座標や、平面を定義するのに用いることもある。例えば、X座標とY座標からなる二次元座標をXY座標とし、X方向とY方向に拡がる二次元平面をXY平面とする。
本体部1は、被写体M1に向けてX線の束で構成されるX線ビームを出射するX線発生部10と、X線発生部10から出射され、被写体M1を通過したX線を検出するX線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20とをそれぞれ支持する支持部300(支持アーム30)と、支持部300を吊り下げ、支柱50に対して鉛直方向に昇降移動可能な昇降部40と、鉛直方向に延びる支柱50と、本体制御部60とを備えている。
X線発生部10及びX線検出部20は、支持アーム30の両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。支持アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を介して、昇降部40に吊り下げ固定されている。
X線発生部10は、X線源であるX線管を有するX線発生器11と、該X線発生器11を収納するためのハウジングとを備えている。該ハウジングは、支持部300に対してZ軸周りに回動可能に取り付けられている。この回動機能は、例えばセファロ撮影時等に使用される(図2参照)。
X線検出部20は、被写体M1を透過したX線を検出する二次元X線検出器21を備えている。二次元X線検出器21は、二次元平面(ここでは、xz平面)に広がるように配置された複数のX線検出素子で構成されるイメージセンサを構成している。X線検出素子は、X線の強度に応じた信号を電気信号に変換して外部に出力する。イメージセンサによって、X線検出部20に入射するX線の強度が、所要のフレームレートで、各画素がX線の強度に応じた画素値を持つフレーム画像データ(X線の投影画像を表す投影画像データ)として取得される。
本実施形態では、支持部300が旋回軸31回りに旋回する支持アーム30で構成され、X線発生部10とX線検出部20とが、略直方体状の支持アーム30両端のそれぞれに取り付けられている。しかしながら、X線発生部10とX線検出部20とを支持する支持部300の構成は、これに限られるものではない。例えば円環状部材によってX線発生部10とX線検出部20とを対向させた状態で支持し、該円環状部材をその中心を通る軸周りに回転させるようにしてもよい。
昇降部40は、鉛直方向に沿って延びるように立設された支柱50に係合している。昇降部40は、上部フレーム41と下部フレーム42とが、支柱50に係合する側の反対側に突出しており、略U字状の構造を有している。
上部フレーム41には、支持アーム30の上端部分が取り付けられている。このように支持アーム30は、昇降部40の上部フレーム41に吊り下げられており、昇降部40が支柱50に沿って移動することによって、支持アーム30が上下に移動する。
下部フレーム42には、被写体保持手段421が設けられている。被写体保持手段421は、被写体M1の頭部を左右から固定するロッドや、顎を固定するチンレスト等で構成される被写体保持手段421が設けられている。被検者の頭部は、頭部の前後方向がY軸方向と平行又はほぼ平行となるように固定される。つまり、頭部が固定された状態では、頭部の正中矢状断面がY軸方向とZ軸方向で規定されるYZ面と平行又はほぼ平行とされる。なお、被写体保持手段421は、ロッドやチンレストに限定されるものではなく、例えば、被写体M1が噛むことで頭部を固定するバイトブロックを備えていてもよい。
支持アーム30は、被写体M1の身長に合わせて昇降部40の昇降に従って昇降されて適当な位置に会わせられ、その状態で被写体M1が被写体保持手段421に固定される。被写体保持手段421は、図1に示した例では被写体M1の体軸が旋回軸31の軸方向と同じ方向又はほぼ同じ方向となるように被写体M1を固定する。
図1に示すように、X線検出部20の内部には、本体部1の各構成の動作を制御する本体制御部60が備えられている。また、本体部1の各構成は、防X線室70内に収容されている。この防X線室70の壁の外側には、本体制御部60からの制御に基づいて、各種情報を表示する液晶モニタ等で構成された表示部61と、本体制御部60に対して各種の命令入力を実現するためのボタン等で構成された操作パネル62とが取り付けられている。操作パネル62は、生体器官等の撮影領域の位置等を指定すること等にも用いられる。また、X線撮影には各種のモード(パノラマX線撮影、CT撮影、セファロ撮影など)があるが、操作パネル62の操作によって、モード選択可能としてよい。
本体部1のX線検出部20の二次元X線検出器21の背面側には操作パネル62と同じ又は類似の機能を有する操作パネル62Aと表示部61と同じ又は類似の機能を有する表示部61Aが設けられている。このため、防X線室70の内外いずれでも、本体部1の操作が可能とされている。
情報処理装置8は、例えばコンピュータやワークステーション等で構成された情報処理本体部80を備えており、通信ケーブルによって本体部1との間で各種データを送受信することができる。ただし、本体部1と情報処理装置8との間で、無線的にデータのやり取りが行われてもよい。
情報処理本体部80には、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示部81、及び、キーボードやマウス等で構成される操作部82が接続されている。オペレータは、表示部81に表示された文字や画像の上で、マウス等を介したポインタ操作等によって、情報処理本体部80に対して各種指令を与えることができる。なお、表示部81は、タッチパネルで構成することも可能であり、この場合は、表示部81が操作部82の機能の一部又は全部を備えることとなる。
図2は、X線撮影装置100に適用可能なセファロスタット43を示す正面図である。図2に示すように、昇降部40にセファロスタット43が設けられていてもよい。セファロスタット43は、例えば、支柱50の途中から水平方向に延びるアーム501に取り付けられる。セファロスタット43には、頭部を定位置に固定する固定具431やセファロ撮影用のX線検出器432が備えられる。なお、セファロスタット43としては、特開2003−245277号公報に開示されているセファロスタットを含む種々のものを採用することができる。
図3は、X線撮影装置100の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本体部1は、旋回用モータ60R、X軸モータ60X、Y軸モータ60Yとで構成される旋回機構65を備えている。X軸モータ60X、Y軸モータ60Yは、図示しない、被写体M1に対して相対的に旋回軸31をX軸方向に変位させる機械的要素からなるX方向移動機構と、Y軸方向に変位させる機械的要素からなるY方向移動機構の両者からなるX−Y移動機構を介し、旋回軸31をそれぞれX軸方向、Y軸方向に水平移動させる。
また、旋回用モータ60Rは、被写体M1に対して相対的に旋回軸31を回転させる機械的要素からなる旋回機構を介して旋回軸31をZ軸周りに回転させる。つまり旋回機構65は、所要位置に位置付けされた被写体M1に対して、支持アーム30を相対的に水平移動または旋回移動させる。その意味で旋回機構65も支持部300を被写体M1に対して移動させる移動機構である。本実施形態においては、旋回機構65、旋回軸31が、支持部移動部を構成している。なお、支持部300のZ方向への変位駆動も支持部の移動に含めて考える場合は、前述の昇降部40を支柱50に対して鉛直方向に昇降駆動する図示しない昇降用モータも旋回機構65に含む。
本体制御部60は、CPU601と、ハードディスク等の固定ディスクで構成され、各種データやプログラムPG1を記憶する記憶部602と、ROM603と、RAM604とを、バスラインに接続した一般的なコンピュータとしての構成を有している。
CPU601は、旋回機構65を制御するプログラムPG1を含む各種制御プログラムを実行する。より具体的には、CPU601は、記憶部602に記憶されたプログラムPG1をRAM604上で実行することによって、各種の撮影モードに合わせて、X線発生部10を制御するX線発生部制御部601a及びX線検出部20を制御するX線検出部制御部601bとして機能する。X線発生部制御部601aは、X線の照射X線量の制御も可能であり、X線照射制御部の機能も有していてよい。X線検出部制御部601bは、例えばX線検出部20に備えられたエネルギー変換部移動機構25を制御する。
また、CPU601は、旋回機構65を駆動制御する駆動制御部として機能し、例えばX線発生部10、X線検出部20が各種撮影に応じた軌道で移動するように駆動制御する。CPU601は、駆動制御部として旋回機構65を駆動制御することで、支持部移動部の駆動を制御する。
なお、本体制御部60を構成するCPU601と情報処理本体部80を構成するCPU801とは、一体的にX線撮影装置100における制御系を構成している。
本体制御部60に接続された操作パネル62は、複数の操作ボタン等で構成されている。なお、操作パネル62に代わる、もしくは操作パネル62に併用される入力装置としては、操作ボタンのほか、キーボード、マウス、タッチペン等を採用することができる。また、音声による指令をマイク等で受け付けて認識するようにしてもよい。つまり、操作パネル62は操作手段(操作部)の一例である。したがって、操作手段としては、オペレータの操作を受け付ける構成を備えておればよい。また、表示部61をタッチパネルで構成することも可能であり、この場合、表示部61が操作パネル62の機能の一部または全部を備えることとなる。
表示部61には、本体部1の操作に必要な各種情報が文字や画像等で表示される。ただし、情報処理装置8の表示部81に表示されている表示内容を、表示部61にも表示されるようにしてもよい。また、表示部61に表示される文字や画像の上でマウス等によるポインタ操作等を通して本体部1に各種の指令ができるようにしてもよい。
本体制御部60は、被写体M1の位置を特定し、該特定された被写体M1の位置に合わせて、X線発生器11及び二次元X線検出器21の旋回時の軌道を調整する。被写体M1の位置の特定方法は、例えば、図4に示すように、被写体M1の頭部は、チンレストによって顎部が本体部1に対して固定された位置にある。このため、頭部の各部位(特に顎骨や歯牙)の位置を容易に特定できる。また、被写体保持手段421としてバイトブロックを用いた場合も、同様である。
本体部1は、操作パネル62、あるいは情報処理装置8からの指令に従って、被写体M1の関心部位(生体器官、骨(歯列を構成する複数の歯牙、顎骨等を含む。)または関節等)を、X線を用いて撮影する。また、本体部1は、各種指令や座標データ等を情報処理装置8から受信する一方、撮影して取得したX線の投影画像データを情報処理装置8に送信する。
情報処理本体部80は、各種プログラムを実行するCPU801と、ハードディスク等の固定ディスクで構成され、各種データ(投影画像データを含む。)やプログラムPG2を記憶する記憶部802とROM803と、RAM804とを、バスラインに接続した一般的なコンピュータとしての構成を有している。
CPU801は、記憶部802に記憶されたプログラムPG2をRAM804上で実行することによって、位置設定部801a及び画像生成部801bとして機能する。位置設定部801aは、関心部位の形状に応じた断層面の位置の設定を行う。より具体的には、位置設定部801aは、操作部82を介した操作入力に基づく命令を受け、CT撮影領域を設定する。また、画像生成部801bは、CT撮影時に取得された投影画像データを再構成する画像処理をして、CT画像を生成する。
本実施形態では、後述するように、同一のCT撮影領域について、エネルギー分布特性が異なる2つの投影画像データが取得される。そして、これらの投影画像データが画像処理されることによって、それぞれのエネルギー分布特性に対応したCT画像が、情報処理装置8において生成される。このように、情報処理装置8は、画像処理装置の一例である。
図4は、本体部1による顎部のCT撮影を説明するための概略斜視図である。旋回機構65は、旋回軸31に接続されており、旋回軸31を360度以上回転させることが可能となっている。また、旋回機構65は、支持アーム30をXY平面に沿って移動させる。これによって、X線発生器11及び二次元X線検出器21のXY平面内における位置が変更される。
本実施形態では、旋回機構65によってX線発生器11及び二次元X線検出器21を、被写体M1の周りで回転させているが、被写体M1を回転させるようにしてもよい。この場合、被写体M1が着座させる椅子を設け、当該椅子を回転させてもよい。これによって、X線発生器11及び二次元X線検出器21を被写体M1に対して相対的に旋回させることができる。
また、X線発生部10は、照射野制御部12を備えている。照射野制御部12は、X線発生器の前方に配置されているスリット板12aと、スリット板12aをスライド移動させる移動機構とを備えている。スリット板12aには、形状が相違する複数のスリットが形成されている。照射野制御部12は、本体制御部60からの制御信号に基づき、スリット板12aを左右にスライドさせることによって、複数のスリットのうちから特定のスリットを選択可能となっている。X線発生器11から出射されたX線が、選択された矩形状のスリットを通過することによって、略角錐状(断面が矩形状)のX線コーンビームBX1に成形される。なお、パノラマX線撮影またはセファロ撮影を行う場合は、スリット板12aが適宜の位置に移動することで、縦長のX線細隙ビームが形成される。X線撮影装置100では、該X線細隙ビームを用いて、パノラマX線撮影またはセファロ撮影が行われる。照射野制御部12は、X線規制部の一例である。
なお、スリット板12aの代わりに、複数の部材を組み合わせて、X線を通すスリットを形成することも考えられる。この場合、各部材を移動させる移動機構を設けて、各部材を移動させることによって、スリットの縦横の大きさを制御できるようにしてもよい。これによって、X線ビームの広がりを任意に調整することが可能となる。
図5は、被写体頭部における顎部のCT撮影を行う本体部1を、被写体M1の頭部側からX線発生器11及び二次元X線検出器21の回転軸RAの方向に沿って見た概略平面図である。X線コーンビームBX1は、ここでは、被写体M1の顎部全体をCT撮影領域RRとしており、上顎及び下顎の歯群DAを含む広がりを有している。なお、本願においては、CT撮影領域とは、投影画像データを収集するために常にX線コーンビームBX1が照射される範囲をいう。図5に示す例では、CT撮影領域RRは円柱状とされている。このため、CT撮影領域RRを旋回軸31の軸方向に沿って上から見ると、真円状となっている。なお、CT撮影領域の平面の形状は、真円状に限定されるものではない。例えば、CT撮影領域の平面の形状が、楕円形状であってもよい。
図5に示す例では、回転軸RAが、歯群DAが形成する歯列弓の内側を通る位置で固定されている。また、回転軸RAは、支持アーム30の旋回軸31に一致している。さらに、本体制御部60は、X線コーンビームBX1を被写体M1に照射した状態で、旋回機構65を駆動し、支持アーム30を所要の角度(例えば360度)分だけ回転させる。これによって、二次元X線検出器21の検出面21Sに投影された投影画像が被写体M1の投影データとして収集される。収集された投影画像データは、本体制御部60の記憶部に保存される。なお、投影画像データは、CT撮影後もしくはCT撮影中に、情報処理装置8に適宜送信される。
CT撮影中、X線発生器11及び二次元X線検出器21は、被写体M1の関心部位である歯群DAを間に挟んで対向した状態で、被写体M1の周りを相対的に回転する。このとき、旋回軸31がXY平面の特定の場所に固定されていてもよいが、XY平面内で移動させてもよい。いずれの場合においても、CT撮影中における回転軸RAは、XY平面の特定の場所に設定される。図5は、回転軸が旋回軸31となっている場合を図示している。
次に、X線検出部20の構成について説明する。図3及び図4に示されるように、X線検出部20は、二次元X線検出器21及びエネルギー変換部23を備えている。図5ではX線検出部20を単に矢示するが、図3、4を参照すれば構成の理解は容易である。二次元X線検出器21は、X線を受けるX線受光面が平面状である。二次元X線検出器21は、そのX線受光面において、発生した電荷を電気信号として出力する複数の素子が二次元に配列されてなる。当該素子は、例えばテルル化カドミウム半導体やアモルファスセレン半導体等で構成される。半導体で構成される各素子には、フィルタ231,233によって、被写体M1を透過したX線が、互いに相違するエネルギー分布のX線に変換されて入射する。
エネルギー変換部23は被写体M1と二次元X線検出器21の間に介在するように配置されている。エネルギー変換部23はX線コーンビームBX1の経路中に配置されるか、少なくともX線コーンビームBX1の経路中に出現することが可能に配置される。
なお、二次元X線検出器21の検出面21Sは、平面でなくてもよい。検出面が、例えば+y方向に凹む曲面を成していてもよい。また、平面部または曲面部をいくつか連結して、1つの検出面21Sが形成されてもよい。
なお、二次元X線検出器21は、X線を直接検出する半導体素子を備える代わりに、シンチレータ及び該シンチレータにX線が入射することによって発生する光(蛍光)を検出する半導体素子で構成されていてもよい。
エネルギー変換部23は、二次元X線検出器21の前面に配されている。エネルギー変換部23は、X線コーンビームBX1のエネルギー分布を変換する特性(変換特性)が互いに相違する2つのフィルタ231,233が、二次元に配列されてなる。つまり、エネルギー変換部23は、第一部分にフィルタ231(第一のフィルタ)を有し、第二部分に変換特性がフィルタ231とは相違するフィルタ233(第二のフィルタ)を有するフィルタ構成体である。
例えば、フィルタ231,233のうち、一方は相対的に低エネルギー領域のX線を通過させるフィルタとされ、他方は相対的に高エネルギー領域のX線を通過させるフィルタとされる。フィルタ231,233としては、例えばアルミニウム板、チタン板、鉄板及び銅板の中から異なる板材を選択すればよい。なお、フィルタ231,233について、同じ材質の板材を使用してもよい。この場合、フィルタ231,233の厚さ(y軸方向の幅)を互いに異ならせることによって、透過したX線のエネルギー分布を互いに相違させることができる。
フィルタ231,233は、二次元X線検出器21の前側(すなわち、−y側)に配されており、x軸方向に連続して隙間無く並べられている。より詳細には、フィルタ231,233は、図示しない保持機構によって一体に保持されている。すなわち、エネルギー変換部23は、一枚の板状体を構成している。図4に示す例では、フィルタ231が+X側に配置されており、フィルタ233が−X側に配置されている。
X線検出部20は、エネルギー変換部23を移動させるエネルギー変換部移動機構25を備えている。図4に示すように、エネルギー変換部移動機構25は、例えば、エネルギー変換部を移動させる駆動源としてのモータ251と、モータの運動(回転運動)をエネルギー変換部23に伝える伝動部252の他、エネルギー変換部23の移動方向を規定するガイド部材などで構成されている。
エネルギー変換部移動機構25は、CT撮影において、支持アーム30(支持部300)が回転する間、エネルギー変換部23がX線コーンビームBX1を横断するように移動させる。換言すると、エネルギー変換部移動機構25は、X線撮影中、エネルギー変換部23を、X線コーンビームBX1の中心軸に交差する方向に移動させる。本実施形態では、エネルギー変換部移動機構25は、エネルギー変換部23を、二次元X線検出器21の検出面21Sに沿う方向(図4に示す例では、検出面21Sに平行であるx軸方向)に移動させる。
なお、エネルギー変換部23が移動する、検出面21Sに沿う方向の典型例は、検出面21Sの広がる二次元方向に平行な方向である。しかしながら、エネルギー分布の変換特性が異なる部分のそれぞれを、X線ビームに通過させて、特性の異なる投影画像データを得るという目的を達成するならば、エネルギー変換部23の移動方向は、検出面21Sに直交する直交方向をも合成した合成方向であってもよい。ゆえに、エネルギー変換部23の移動方向は、必ずしも二次元X線検出器21の検出面21Sに平行な方向であるとは限らない。すなわち、エネルギー変換部23の移動方向は、二次元である検出面上に定義される二次元方向、及び、検出面21Sに直交する直交方向を合成した合成方向であってもよい。
二次元X線検出器21、エネルギー変換部23及びエネルギー変換部移動機構25は、X線検出部の筐体210内に配置されている。エネルギー変換部23は、筐体210の内部で移動する。
図示を省略するが、エネルギー変換部23が、フィルタ231,233を着脱可能に保持する着脱機構を備えていてもよい。これによって、フィルタを交換することが容易となる。また、フィルタを取り外した状態でのX線撮影を行うことも可能となる。
また、フィルタ231,233のいずれか一方を省略することも可能である。この場合、エネルギー変換部は、第一部分にフィルタを有し、第二部分にフィルタを有さないフィルタ構成体(第一フィルタ構成体)となる。このようなフィルタ構成とした場合、フィルタを有する部分と有さない部分とのそれぞれに入射するX線を、エネルギー分布の変換特性を相違させることができる。これによって、第一部分及び第二部分のそれぞれに入射したX線を、互いに相違するエネルギー分布特性のX線に変換できる。また、X線コーンビームBX1の全域が、フィルタが無い第二部分を通過するようにすれば、フィルタを介さないX線撮影を行うこともできる。
これに対し、前述の、第一部分にフィルタ231(第一のフィルタ)を有し、第二部分に変換特性がフィルタ231とは相違するフィルタ233(第二のフィルタ)を有するフィルタ構成体は、第二フィルタ構成体である。
<第1CT撮影例>
図6は、第1実施形態に係るX線撮影装置100における、第1CT撮影例を説明するための概略平面図である。本CT撮影例では、二次元X線検出器21において、CT撮影領域RR1に照射されたX線コーンビームBX1を、フィルタ231及びフィルタ233を介して検出する。以下の説明では、フィルタ231を介して得られる投影画像データを第一投影画像データと称し、フィルタ233を介して得られる投影画像データを第二投影画像データと称する場合がある。また、X線コーンビームBX1のxy平面における広がりの角度(ファン角)をαとする。
本CT撮影例では、X線発生器11、二次元X線検出器21及びエネルギー変換部23を、CT撮影領域RR1の中心C1周り(ここでは、時計回り)に回転させる。以下の説明では、時計回りを正の向きとして、回転角度を定義する。
図6(a)は回転角度が0度である状態、図6(b)は回転角度が180−α度の状態、図6(c)は回転角度が180度の状態、図6(d)は回転角度が180+α度の状態、図6(e)は回転角度が360度の状態を示している。
図6(a)に示す点E11,E12は、CT撮影領域RR1を規定する輪郭線上の点であって、回転角度が0度の状態におけるX線コーンビームBX1の外縁と接する接点である。点E11はCT撮影領域RR1における+x側に位置し、点E12はCT撮影領域RR1における−x側に位置する。
図6(a)に示すように、本例のCT撮影開始直後は、CT撮影領域RR1を通過したX線コーンビームBX1の全域が、フィルタ231に入射するように、エネルギー変換部23が配置される。このとき、フィルタ231におけるX線コーンビームBX1が入射する幅(x軸方向の長さ)をWとする。
CT撮影開始時点で、エネルギー変換部23は、点E12を通過したX線がフィルタ231,233の境界部分235を照射するような位置にある。エネルギー変換部23は図6(b)に示す回転角度180−α度の状態になるまでフィルタ231,233を変位させない。
この状態から、X線発生器11、二次元X線検出器21及びエネルギー変換部23が一体的に回転することによって、所定期間の間、フィルタ231を介してのX線検出が行われる。ただし、X線発生器11が、図6(a)に示す位置よりも回転方向手前側の位置(すなわち、図6(a)に示す位置よりも−X側の位置)から、回転を開始するようにしてよい。
図6(b)に示すように、回転角度が0度から180−α度の状態になると、CT撮影領域RR1の点E11に対して、X線コーンビームBX1の−x側の外縁が接する。すなわち回転角度が0度から180−α度まで変化することで、点E11に対して180度丁度の各方向からX線照射が行われたこととなる。つまり、CT撮影領域RR1のうち、点E11についての180度分の第一投影画像データが収集されたこととなる。すると、エネルギー変換部移動機構25は、回転角度が180−α度を超えた時点から、エネルギー変換部23を+x方向に移動させる。この+x方向への移動は、二次元X線検出器21の移動方向に対向する方向への移動である。
図6(b)に示すように、回転角度が180−α度となった時点で、X線コーンビームBX1の−x側の外縁が、フィルタ231,233の境界部分235を透過する。同時にエネルギー変換部23の+x方向への変位が始まるため、エネルギー変換部23の移動開始直後から、二次元X線検出器21に、フィルタ233を通過したX線が入射し始めることとなる。すなわち、図6(b)に示すように、回転角度が180−α度となる状態は、点E11についての第二投影画像データを取得開始する状態である。ここで、二次元X線検出器21における、X線コーンビームBX1が入射する範囲を全入射範囲RA1とする。すると、二次元X線検出器21における、フィルタ233を透過したX線コーンビームBX1が入射する範囲が、全入射範囲RA1における−x側端部から+x側に向けて、次第に広がっていくこととなる。
エネルギー変換部23の移動量は、回転角度の変化量に比例する大きさとされる。より具体的には、エネルギー変換部23の移動量は、回転角度1度あたりW/2αとされる。したがって、図6(c)に示すように、回転角度が180度の状態では、α度回転したことになる。このため、エネルギー変換部23の移動量がW/2となる。したがって、X線コーンビームBX1のうち、+x側半分がフィルタ231に入射し、−x側半分がフィルタ233に入射する状態となる。また、X線コーンビームBX1のうち、CT撮影領域RR1の中心C1を通るX線が、境界部分235に入射する。
また、図6(d)に示すように、回転角度が180+α度の状態では、図6(b)に示す状態から2α度回転したことになる。このため、エネルギー変換部23の移動量がWとなる。フィルタ233は、フィルタ231と同方向に同じ変位量W分変位する。したがって、X線ビームの+x側外縁が、点E12に接する状態となる。なお、本CT撮影例では、この時点で、エネルギー変換部移動機構25による、エネルギー変換部23の移動が完了する。この状態では、X線コーンビームBX1の全域が、フィルタ233を通過して二次元X線検出器21に入射する状態となる。換言すると、この状態は、点E12についての第二投影画像データの取得が開始される状態である。本CT撮影例では、この後も引き続き、回転角度が360度となるまでX線発生器11が回転して、投影画像データの取得が行われる。
図7は、図6に示す第1CT撮影例において得られるサイノグラムを模式的に示す図である。図7中、横軸は二次元X線検出器21における検出面21Sのx軸方向の位置を示しており、縦軸は、回転角度を示している。曲線CL11は点E11の投影位置の移動軌跡を示しており、曲線CL12は点E12の投影位置の移動軌跡を示している。
曲線CL11で示されるように、点E11の投影位置は、全入射範囲RA1の+x側端部からスタートして、次第に−x側へ移動する。そして、該投影位置は、回転角度が180−α度の時点で、全入射範囲RA1の−x側端部に位置することとなる。さらに回転が進むと、投影位置は+x側へ移動し始め、回転角度が360度となった時点で、全入射範囲RA1の+x側端部へ戻る。
点E12についても、点E11に関する説明より容易に理解可能である。曲線CL12で示されるように、点E12の投影位置は、全入射範囲RA1の−x側端部からスタートして、次第に−x側へ移動する。そして、該投影位置は、回転角度が180+α度の時点で、全入射範囲RA1の+x側端部に位置することとなる。さらに回転が進むと、投影位置は−x側へ移動し始め、回転角度が360度となった時点で、全入射範囲RA1の−x側端部へ戻る。
図6において説明したように、回転角度が180−α度から180+α度まで変化する間、エネルギー変換部23が+x方向へ移動することで、フィルタ233を透過したX線が検出され始める。このため、図7に示すサイノグラム上においては、全投影画像データのうちの第一投影画像データに相当する第一エリアAR11(斜線で示す。)と、全投影画像データのうちの第二投影画像データに相当する第二エリアAR12とが存在する。サイノグラム上では、180−α度における−x側端部の位置から180+α度における+x側端部の位置までを結ぶ直線L1が、第一エリアAR11と第二エリアAR12の境界線となっている。
ここで、CT撮影領域RR1の点E11,E12の投影位置に着目する。サイノグラム上では、点E11,E12の投影位置は、曲線CL11,CL12で示されるように、回転開始後は、+x側または−x側に移動し、その後、折り返し点(直線L1上の点SP1,SP2)を通って、逆方向(−x側または+x側)へ移動し、初期の位置に戻る。図示を省略するが、CT撮影領域RR1の他の特定の点(以下、「特定点」という。)の投影位置も、サイノグラム上では、その移動幅は点E11,E12の移動幅に比べて狭いものの、回転角度の増大に合わせて、+x方向又は−x方向に進み、直線L1上のある特定の回転角度で折返して、逆方向に進み、初期の投影位置に戻る。
このように、ある特定点については、投影位置が移動し始めてから直線L1上の折返し点(例えば点E11,点E12については、折り返し点SP1,SP2)に到達した時点で、フィルタ231通過分について180度丁度のX線照射が完了することとなる。また、投影位置が、直線L1上の折り返し点から初期の投影位置に戻ることで、フィルタ233通過分について180度丁度のX線照射が完了する。直線L1は、第一エリアAR11及び第二エリアAR12の境界線であるため、第一エリアAR11及び第二エリアAR12のそれぞれに、各特定点についての180度丁度の投影画像データが含まれることとなる。
以上のように、本CT撮影例によると、同一のCT撮影領域RR1について、エネルギー分布が異なる第一投影画像データ及び第二投影画像データを取得する、いわゆるデュアルエネルギースキャンを実現できる。デュアルエネルギースキャンによって、同一断層面について、エネルギー分布特性が異なる2種の投影画像データから、フィルタ231,233を通過したX線のエネルギー分布特性に対応する2種のCT画像(断層画像)を得ることができる。このような複数種のX線画像(CT画像)は情報処理装置8が画像処理して生成する。各CT画像について、例えば差分演算処理を行って差分の画像を取得することによって、特定の部位が鮮明に写った画像を取得するようにしてもよい。
また、X線コーンビームBX1がCT撮影領域RR1の中心C1周りに360度回転することによって、CT撮影領域RR1に含まれる各点について、180度の各方向からX線を照射できる。すなわち、CT撮影領域RR1の全域について、エネルギー分布が相違する2つの投影画像データを1度のCT撮影で取得できるため、比較的短時間でデュアルエネルギースキャンを実現できる。
また、CT撮影中に、エネルギー変換部23を移動させるため、CT撮影中にフィルタ231,233の境界部分235が移動することとなる。これによって、該境界部分235付近に入射して散乱したX線が、二次元X線検出器21の特定位置に集中して入射することを軽減できる。このため、CT画像上における散乱したX線の影響を軽減できる。これによって、散乱X線の影響の小さい鮮明なものとすることができ、X線エネルギーの弁別能を上げることができる。以上の説明では、原理的に理解を容易にするために180度(半回転)、あるいは、360度(1回転)と角度を定めている。しかしながら、実際は、回転角度に多少の増減があってもCT画像は得られるので、概ね(substantially)180度、あるいは、概ね360度の設定であってもよい。以下、いずれの実施形態においても同様である。
図8は、図6に示す第1CT撮影例の変形例を示す概略平面図である。図8に示すCT撮影は、図6に示すCT撮影領域RR1よりも小さいCT撮影領域RR2を撮影するものである。図8において、X線コーンビームBX2のファン角をβとする。図8(a)はX線発生器11の回転角度が0度の状態、図8(b)は回転角度が180−β度の状態、図8(c)は回転角度が180度の状態、図8(d)は回転角度が180+β度の状態、図8(e)は回転角度が360度の状態をそれぞれ示している。
CT撮影領域RR2に照射するX線コーンビームBX2のファン角βは、CT撮影領域RR1に照射するX線コーンビームBX1のファン角αよりも小さい。
CT撮影領域RR2が狭い場合であっても、CT撮影中に、エネルギー変換部23の移動制御は、CT撮影領域RR1の時と同様に行われる。すなわち、X線発生器11の回転角度が0度の状態((図8(a)に示す状態)では、X線コーンビームBX1が例えばフィルタ231のみを通過するように、エネルギー変換部23が配置される。そして、回転角度が180−α度の状態(図8(b)に示す状態)に至るまで、二次元X線検出器21は、フィルタ231のみを透過したX線コーンビームBX1を検出する。
そして、回転角度が180−β度から180+β度に変化する間に、エネルギー変換部23を+x方向へ移動させ、フィルタ231からフィルタ233に徐々に切り換えられる。そして、回転角度が360度となるまで、X線発生器11が回転し、CT撮影が終了する。
このように、CT撮影領域が小さい場合であっても、フィルタ231,233をCT撮影中に移動させることで、デュアルエネルギースキャンを実現することが可能である。
<第2CT撮影例>
図9は、第1実施形態に係るX線撮影装置100における、第2CT撮影例を説明するための概略平面図である。図9(a)は回転角度が0度の状態、図9(b)は回転角度が180−α度の状態、図9(c)は回転角度が180度の状態、図9(d)は回転角度が180+α度の状態、図9(e)は回転角度が180度−αの状態、図9(f)は回転角度が0度の状態をそれぞれ示している。
本CT撮影例においては、図9(a)から図9(d)に示すように、回転角度が0度から180+α度までの間は、X線発生器11、二次元X線検出器21及びエネルギー変換部23が、図6に示す第1CT撮影例のときと同様に回転するとともに、エネルギー変換部23が相対的に+x方向に移動する。しかしながら、図9(d)に示すように、回転角度が180+α度になると、X線発生器11及び二次元X線検出器21の回転を停止させ、逆方向(ここでは、反時計回り)に回転させる。そして、図9(e)及び図(f)に示すように、回転角度が0度となるまで、X線発生器11を逆回転させる。図9(d)に示す状態から、図9(f)に示す状態までは、エネルギー変換部23のX線発生器11及び二次元X線検出器21に対する相対的な位置は固定される。
図10は、図9に示す第2CT撮影例において得られるサイノグラムを模式的に示す図である。曲線CL21は点E11の投影位置の移動軌跡を示しており、曲線CL22は点E12の投影位置の移動軌跡を示している。また、斜線で示す第一エリアAR21が、全投影画像データのうちの第一投影画像データに対応する部分であり、第二エリアAR22が、全投影画像データのうちの第二投影画像データに対応する部分である。
本CT撮影例に係るサイノグラムにおいては、CT撮影領域RR1内の各点の投影位置の移動軌跡が、回転角度が0度から180+α度までは、図7に示すサイノグラムのものと一致する。しかしながら、本CT撮影例では、回転角度が180+α度の時点で、逆回転する。回転角度が180+α度から0度になるまでのCT撮影領域RR1内の各点の投影位置は、回転角度が0度から180+α度になるまでの投影位置の移動軌跡を逆になぞる。すなわち、サイノグラム上では、CT撮影領域RR1内の各点の投影位置は、図10に代表的に示される曲線CL21,CL22のように、180+α度を通る直線を軸に対照となる。
ここで、点E12については、回転角度が0度から180+α度まで変化することで、フィルタ231を介した180度丁度の投影が行われ、回転角度が180+α度から0度まで変化することで、フィルタ233を介した180度丁度の投影が行われる。すなわち、点E12については、過不足無く、第一投影画像データ及び第二投影画像データが取得可能となっている。しかしながら、CT撮影領域RR1内の他の点については、フィルタ233を介して得られる第二投影画像データは180度を超える分まで取得される。例えば、点E11に着目すると、回転角度が0度から180−α度まで変化する間で、フィルタ231を介した180度丁度の投影画像データが得られ、その後、回転角度が180−α度から0度まで変化する間で、フィルタ233を介した180度丁度の投影画像データが得られる。回転角度が180−αから180度+αまで、及び、180+α度から180−α度まで変化する間、同一の投影画像データが重複的に取得されることとなる。
このように、第2CT撮影例では、部分的に投影角度が重複する投影画像データが取得されることとなる。重複する投影画像データは、CT画像の再構成演算の際に排除することも可能である。この場合、全投影画像データを使用する場合に比べて、再構成演算を軽減できる。もちろん、重複する投影画像データを、再構成演算に取り入れるようにしてもよい。この場合、最低限の投影画像データで再構成したCT画像に比べて、信頼性の高いCT画像を取得し得る。
エネルギー変換部移動機構25が、エネルギー変換部23を、CT撮影領域RR1を透過した前記コーンビームの入射位置から退避する位置に移動させてもよい。これによって、同一のX線撮影装置100において、フィルタ231,233を用いるX線撮影、及び、フィルタを用いないX線撮影が可能となる。また、本変形例の場合、X線発生器11及び二次元X線検出器21を一回転させるCT撮影において、エネルギー変換部23を適宜に移動させることによって、フィルタ231またはフィルタ233のどちらか一方を介した投影画像データ及びフィルタを介さない投影画像データを、それぞれ取得することが可能である。
また、第1CT撮影及び第2CT撮影では、エネルギー変換部23を、二次元X線検出器21の移動方向(+x方向)と同一の方向に移動させているが、この二次元X線検出器の移動方向とは対抗する方向(−x方向)に移動させてもよい。この場合、フィルタ233を介したX線検出を先に行い、その後、エネルギー変換部23を−x方向に移動させて、フィルタ231を介したX線検出を行えばよい。
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同一要素又は同様の機能を有する要素については、同じ符号又は文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
<第3CT撮影例>
図11及び図12は、第2実施形態に係るX線撮影装置100aにおける、第3CT撮影例を説明するための概略平面図である。図11(a)は、回転角度が0度の状態、図11(b)は回転角度が90度の状態、図11(c)は回転角度が180度の状態、図11(d)は回転角度が270度の状態、図11(e)は回転角度が360度の状態をそれぞれ示している。また、図12(a)は、回転角度が360度の状態、図12(b)は回転角度が450度の状態、図12(c)は回転角度が540度の状態、図12(d)は回転角度が630度の状態、図12(e)は回転角度が720度の状態をそれぞれ示している。
本実施形態に係るX線撮影装置100は、エネルギー変換部23aが、x軸方向において、2つのフィルタ231a(第一部分)及び2つのフィルタ233a(第二部分)が交互に縞模様状に配列されている。このため、エネルギー変換部23aは、4つの変換部分を有している。以下の説明では、各フィルタ231a,233aのx軸方向の幅をWとする。また以下の説明では、2つのフィルタ231a,231aのうち、+x側にあるフィルタ231aを+x側のフィルタ231aと称し、もう一つのフィルタ231aを、−x側のフィルタ231aと称する。また、2つのフィルタ233a,233aのうち、+x側のフィルタ231aと−x側のフィルタ233aに挟まれるフィルタ233aを+x側のフィルタ233aと称し、もう一つのフィルタ233aを−x側のフィルタ233aと称する。
本CT撮影例では、縞模様状のエネルギー変換部23aを用いて、デュアルエネルギースキャンを実行してCT画像を取得する。このため、図11及び図12に示すように、エネルギー変換部23をx軸方向に移動させながら、CT撮影を720度回転(すなわち2回転)させる。
より詳細には、図11(a)に示すように回転角度が0度の状態では、X線コーンビームBX1のうち、+x側半分が+x側のフィルタ231aに入射し、−x側半分が+x側のフィルタ233aに入射するように、エネルギー変換部23aが配置される。本実施例では、各フィルタ231a,233aのそれぞれに入射するX線コーンビームBX1のx軸方向の幅は、フィルタ231a,233aの幅Wと一致している。そして、X線発生器11,二次元X線検出器21を、CT撮影領域RR1の中心C1を回転軸として回転させるとともに、エネルギー変換部23aを+x側に移動させる。エネルギー変換部23aの移動量は、回転角度の変化量に比例する量とされる。より詳細には、エネルギー変換部23aの移動量は、回転角度1度あたりW/360とされる。
例えば、図11(c)に示すように、回転角度が180度の状態では、移動量がW/2となる。このため、CT撮影領域RR1の中心C1を通るX線が、+x側のフィルタ233aの中心を通る位置に、エネルギー変換部23aが位置する。また、図11(e)に示すように、回転角度が360度の状態では、移動量がWとなり、X線コーンビームBX1のうち、+x側の部分が+x側のフィルタ233aに入射し、−x側の部分が−x側のフィルタ231aに入射することとなる。
図13は、図11及び図12に示す第3CT撮影例によって得られるサイノグラムを模式的に示す図である。図13に示すサイノグラムにおいて、斜線で示す第一エリア部AR31a,は、全投影画像データのうち、+x側の231aを介して得られる第一投影画像データに対応する部分である。第一エリア部AR31b,AR31cは、全投影画像データのうち、−x側の231aを介して得られる第一投影画像データに対応する部分である。第二エリア部AR32a、AR32bは、全投影画像データのうち、+x側のフィルタ233aを介して得られる第二投影画像データに対応する部分である。第二エリア部AR32cは、全投影画像データのうち、−x側のフィルタ233aを介して得られる第二投影画像データに対応する部分である。
図13に示す曲線L31は、点E11の投影位置の移動軌跡を示している。曲線L32は、点E12の投影位置の移動軌跡を示している。曲線L31,L32のうち、第一エリア部AR31c(回転角度が360度から720度までの範囲)に含まれる曲線部分は、第二エリア部AR32a(回転角度が0度から360度までの範囲)に含まれる曲線部分と形状が一致している。すなわち、これらのエリア部の曲線部分は、交換して考えることが可能である。
図14は、図13に示すサイノグラムを改編したサイノグラムを模式的に示す図である。図14に示すサイノグラムによれば、0度から360度の範囲で、CT撮影領域RR1内の各点について、360度丁度の第一投影画像データが取得されており、また、360度から720度の範囲で、CT撮影領域360度丁度の第二投影画像データが取得されていることとなる。
本実施形態は、平易な表現をすれば、回転角度0度から360度の範囲で足りないデータを、次の回転角度360度から720度の範囲で補うものである。このため、エネルギー変換部23の移動方向を、図11及び図12に示すものとは反対の方向としてもよい。
すなわち、図11、12の例では、回転角度0度において+側のフィルタ231aの+x端がX線コーンビームBX1の+x側の辺に接している。そして、回転角度720度までに、エネルギー変換部23が+x方向に2W分移動させている。これを、回転角度0度において−x側のフィルタ233aの−x端がX線コーンビームBX1の−x側の辺に接するようにする。そして、回転角度720度までに、エネルギー変換部23を−x方向に2W分移動させるようにしてもよい。この場合においても、エネルギー変換部23は、二次元X線検出器21の移動する方向に沿った移動をすることになる。
このように、図11及び図12に示すCT撮影によると、2つのフィルタ231a,231aを介して得た360度分の第一投影画像データと、2つのフィルタ233a,233aを介して得た360度分の第二投影画像データとが得られる。したがって、エネルギー変換部23aを適宜に移動させることで、デュアルエネルギースキャンを行うことができる。
<第4CT撮影例>
図15は、第2実施形態に係るX線撮影装置100における第4CT撮影例を説明するためのサイノグラムを模式的に示す図である。図14に示すように、本CT撮影例では、X線発生器11及び二次元X線検出器21の回転、並びにエネルギー変換部23aのx軸方向の移動は、図11〜図14で説明した第3CT撮影例と同様に行われる。しかしながら、X線の照射が、回転角度が180+α度から360度までと、540+α度から720度までの範囲で、CT撮影領域RR1にX線照射しないように、X線の遮蔽等が行われる。
図15に示すサイノグラム上では、0度から180+α度の範囲で得られる投影画像データ農地、斜線で示す第一エリア部AR41a,AR41bが第一投影画像データの部分に相当し、第二エリア部AR42aが第二投影画像データに対応する。また、360度から540+α度の範囲で得られる投影画像データのうち、斜線で示す第一エリア部AR41cが第一投影画像データの部分に相当し、第二エリア部AR42b,AR42cが第二投影画像データに対応する。
ここで、CT撮影領域RR1に含まれる各点の投影位置の移動軌跡は、0度から180+α度までの範囲と、360度から540+α度の範囲とで一致する。つまり、第一エリア部AR41cにおける各点の投影位置の移動軌跡、及び、第二エリア部AR42aにおける各点の投影位置の移動軌跡は、互いに一致する。このため、これらのエリアを交互に入れ替えることができる。すると、第一エリア部AR41a,AR41b,AR41cは、2つのフィルタ231a,231aを介した180度分の第一投影画像データに相当する。また、第二エリア部AR42a,42b,42cは、2つのフィルタ233a,233aを介した180度分の第二投影画像データに相当する。このように、本CT撮影例においても、エネルギー分布特性が互いに相違する180度分の投影画像データが取得可能となっている。
<第5CT撮影例>
図16及び図17は、第2実施形態に係るX線撮影装置100aにおける、第5CT撮影例を示す概略平面図である。本CT撮影では、X線発生器11及び二次元X線検出器21を180+α度回転させた後、逆回転させて元の位置まで回転させるとともに、エネルギー変換部23aを+x側に移動させる。このため、本CT撮影では、X線コーンビームBX1のうち、2つのフィルタ231に入射する部分と、フィルタ233aによって第二エネルギー分布に入射する部分との割合が、回転角度に応じて刻々と変化する。
図16は、X線発生器11を0度から180+α度まで正回転させたときの各状態を示している。図16(a)は回転角度が0度の状態、図16(b)は回転角度が90度の状態、図16(c)は回転角度が180−α度の状態、図16(d)は回転角度が180+α度の状態をそれぞれ示している。また、図17はX線発生器11を180+α度から0度に逆回転させたときの各状態を示している。図17(a)は回転角度が180+αの状態、図16(b)は回転角度が180−α度の状態、図16(c)は回転角度が90度の状態、図16(d)は回転角度が0度の状態を示している。
図16及び図17に示すように、エネルギー変換部23aの移動量は、回転角度の変量に比例する量とされる。より具体的には、回転角度1度に対して、移動量がW/(180+α)とされる。つまり、図16(d)に示すように、回転角度が180+α度の状態では、0度の状態からエネルギー変換部23aが、+x側に幅Wだけ相対的に移動して、+x側のフィルタ233a及び−x側のフィルタ231aに、X線コーンビームBX1が入射することとなる。そして、また、図17(d)に示すように、逆回転によって回転角度が0度となると、エネルギー変換部23aがさらに+x側に幅Wだけ相対的に移動して、−x側のフィルタ231a,233aに、X線コーンビームBX1が入射することとなる。
図18は、図16及び図17に示す第5CT撮影例で得られるサイノグラムを模式的に示す図である。図18に示すサイノグラムにおいて、斜線で示す第一エリア部AR51a,AR51b,AR51cが第一投影画像データに対応する部分であり、第二エリア部AR52a,AR52b,AR52cが第二投影画像データに対応する部分である。曲線CL41は点E11の投影位置の移動軌跡を示しており、曲線CL42は点E12の投影位置の移動軌跡を示している。
本CT撮影では、回転角度が180+α度になってから、逆回転させる。このため、CT撮影領域RR1内の各点の投影位置の移動軌跡は、図18に示すサイノグラム上において、回転角度180+α度を通る線で対称となる。したがって、第一エリア部AR51cと第二エリア部AR52aとを回転角度180+α度を通る線を軸に反転すると、0度から180+α度までの範囲に、180度分の第一投影画像データが含まれ、180+α度から0までの範囲に180度分の第二投影画像データが含まれることとなる。このように、第5CT撮影例によっても、デュアルエネルギースキャンを実現できる。
<3.第3実施形態>
<第6CT撮影例>
図19は、第3実施形態に係るX線撮影装置100bにおける、第6CT撮影例を説明するための概略平面図である。本実施形態に係るX線撮影装置100bは、エネルギー変換部23bを備えている。該エネルギー変換部23bは、エネルギー変換特性が相違する2種類のフィルタ231b,233bが、縦方向(z軸方向)に交互に配列されてなるフィルタ構成体である。換言すると、エネルギー変換部23bは、−z側から+z側に向けて、順にフィルタ231b、フィルタ233b、フィルタ231b、フィルタ233bを隣接配置することによって構成されている。各フィルタを区別するために、この順でフィルタ231b1、フィルタ233b1、フィルタ231b2、フィルタ233b2であるものとする。各フィルタ231b,233bの縦幅は、Wで統一されている。
図19(a)は回転角度が0度の状態、図19(b)は回転角度が180+α度の状態、図19(c)は回転角度が360+2α度の状態をそれぞれ示している。
本CT撮影では、X線発生器11及び二次元X線検出器21を、CT撮影領域RR1の中心C1周りに360+2α度回転させるとともに、エネルギー変換部23bを縦方向(z軸方向)に移動させる。具体的には、各図19(a)〜図19(c)の下段に示すように、X線発生器11の回転に合わせて、エネルギー変換部23bを、二次元X線検出器21の移動方向(ここでは、−x方向。二次元X線検出器21の旋回移動は厳密には円弧移動ではあるが、概ね−x方向への移動と考える。)に直交する−z方向に下降させる。なお、枠線FL1は、各回転角度における、エネルギー変換部23bにおけるX線コーンビームBX1が入射する領域の範囲を示している。エネルギー変換部23bの移動量は、回転角度の変化量に比例している。より詳細には、本CT撮影では、回転角度の1度あたりのエネルギー変換部23bの移動量は、W/(180+α)とされている。このため、0度の時点では、フィルタ231b1,233b1の位置にある枠線FL1は、180+α度の時点では、フィルタ233b1及びフィルタ231b2の位置に相対的に変位することとなる(図19(b)参照)。その変位量はWである。また、該枠線FL1は、360+2α度の時点では、フィルタ231b2,233b2の位置に相対的に変位する(図19(c)参照)。
ここで、フィルタ233b1の動きに着目してみる。回転角度0度から180度の間にフィルタ233b1は変位量Wの変位をし、回転角度180度から360度の間にさらに変位量Wの変位をする。その間、つまり回転角度0度から180度の間、フィルタ233b1またはフィルタ233b2が枠線FL1の残余の部分を占めるように移動している。
エネルギー変換部23bも、図4のエネルギー変換部23と同様に筐体210内に配置される。x方向への変位駆動構成かz方向への変位駆動構成かの差のみなので、図示は省略する。
CT撮影領域RR1内の各点の代表として、点E11a,E11b,E11mに着目する。点E11a,E11bは、CT撮影領域RR1を規定する輪郭線上の点であり、かつ回転角度が0度から360+2α度まで進む間、X線コーンビームBX1における−x側の外縁と接する接点である。したがって、点E11a、E11bはZ軸方向から見て、回転角度が0度から360+2α度まで進む間、CT撮影領域RR1の外郭の円の上を移動する点であり、一点固定の地点ではない。また、点E11aはCT撮影領域RR1の−z側端部(底部)の点であり、点E11bはCT撮影領域RR1の+z側端部(頂部)の点であるものとする。そして、E11mは点E11a,E11bの中間地点である。
点E11aを通過するX線は、各図19(a)〜図19(c)の下段において、枠線FL1における−x側端部かつ−z側端部の点IE11aに入射する。また、点E11bを通過するX線は、枠線FL1における−x側端部かつ+z側端部の点IE11bに入射する。また、点E11mを通過するX線は、枠線FL1における点IE11aと点IE11bの中間地点IE11mに入射する。
図19から明らかなように、点IE11aは、0度から180+α度までの間は、フィルタ231b1に含まれ、180+α度から360+2α度までの間は、フィルタ233b1に含まれる。すなわち、点E11aを通過するX線は、0度から180+α度までの間はフィルタ231bに入射し、180+α度から360+2α度までの間はフィルタ233bに入射する。したがって、CT撮影領域RR1内の点E11aについては、0度から180+α度までの間に、180度分(図19(a)に示される点E11aとz方向に同じ高さにある別の地点については180度を超える角度分すなわち少なくとも180度分)の第一投影画像データが取得されており、180+α度から360+2α度までの間に、180度分(正確には、180度を超える角度分すなわち少なくとも180度分)の第二投影画像データが取得されている。
また、点IE11mは、0度から180+α度までの間は、フィルタ233b1に含まれ、180+α度から360+2α度までの間は、フィルタ231b2に含まれる。すなわち、E11mを通過するX線は、0度から180+α度までの間はフィルタ233bに入射し、180+α度から360+2α度までの間はフィルタ231bに入射する。したがって、CT撮影領域RR1内の点E11mについては、0度から180+α度までの間に、180度分(図19(a)に示される点E11mとz方向に同じ高さにある別の地点については180度を超える角度分すなわち、少なくとも180度分)の第二投影画像データを取得することができ、180+α度から360+2α度までの間に、180度分(正確には、180度を超える角度分すなわち、少なくとも180度分)の第一投影画像データを取得することができる。
点E11bを通過して点IE11bに入射するX線については、点E11aと同じ順にフィルタ231bの次にフィルタ233bへの入射の経過をたどるので、0度から180+α度までの間に、180度分(正確には、180度を超える角度分)の第一投影画像データが取得されており、180+α度から360+2α度までの間に、180度分の第二投影画像データが取得される。詳述は略する。
エネルギー変換部23bを透過したX線コーンビームBX1は、二次元X線検出器21がエネルギー変換部23bよりもX線発生器11から離れている分、拡大されて検出面で受光される。その拡大率を、ここでは比MG1とする。また、二次元X線検出器21の検出面においてX線コーンビームBX1が入射する領域RA1bとする。すなわち、領域RA1bは、枠線FL1を比MG1の割合で拡大した領域である。
フィルタ231b1,233b1,231b2,233b2の各領域を通過して二次元X線検出器21の検出面において受光されるX線の各領域を、領域RA1b1,RA1b2,RA1b3,RA1b4とする。すると、領域RA1b1,RA1b2,RA1b3,RA1b4のそれぞれは、枠線FL1内で移動するフィルタ231b1,233b1,231b2,233b2の各領域を比MG1の割合で拡大したものとなり、かつ、枠線FL1内のフィルタ231b1,233b1,231b2,233b2の各領域と相似となる。
このように、本CT撮影例によっても、デュアルエネルギースキャンが可能である。また、本CT撮影例においても、各フィルタ231b,233b,231b,233bの境界部分が、CT撮影中に移動する。このため、該境界部で発生するX線の散乱X線が、二次元X線検出器21の特定位置に集中して入射することを軽減できる。このため、CT画像上における散乱したX線の影響を軽減できる。
<4.第4実施形態>
図20は、第4実施形態に係るX線撮影装置100cを示す概略斜視図である。なお、図20においては、X線撮影装置100cの内部構造を説明するために、筐体の一部分を切り欠いて示している。X線撮影装置100cは、図示を省略するが、被験者が台上において仰臥位(または伏臥位)の状態で支持され、X線撮影装置100cの環状のガントリー91内に搬送され、関心部位をX線撮影する。
より詳細には、ガントリー91内には、環状の回転体92が回転可能に備えられている。また、該回転体92の内側には、X線発生器11a、二次元X線検出器21a及びエネルギー変換部23cが設けられている。二次元X線検出器21aの検出面21Saは、回転体92の曲率に適合する曲面とされている。また、エネルギー変換部23cは、エネルギー変換効率が互いに異なるフィルタ231c,233cが回転体92の回転方向に沿って隣接して配列されてなるフィルタ構成体である。また、エネルギー変換部23cは、エネルギー変換部移動機構25aによって、回転体92の回転方向に沿って移動可能に構成されている。エネルギー変換部移動機構25aは、例えばエネルギー変換部23aを移動させる駆動源としてのモータ251aと、該モータ251aの回転運動をエネルギー変換部23aに伝える伝導部252aを備える。伝導部252aは、エネルギー変換部23aに当接するローラー体などで構成される。
また、エネルギー変換部移動機構25aは、エネルギー変換部23cを、回転体92の回転方向に直交する回転軸Qに沿って移動可能とする回転軸方向移動機構を備えていてもよい。該回転軸方向移動機構は、例えばボールネジ95と該ボールネジを回転させるモータ96とで構成される。なお、エネルギー変換部23aの移動機構に、リニアモータ等を採用してもよい。
X線撮影装置100cにおいても、第1実施形態または第2実施形態で説明した第1CT撮影例から第5CT撮影例のように、X線撮影時に、回転体92が回転軸Q周りに回転することによって、X線発生器11a、二次元X線検出器21a及びエネルギー変換部23cの回転させることによって、CT撮影が行われる。また、エネルギー変換部移動機構25aがエネルギー変換部23cをX線発生器11aから出射されるX線コーンビームを横断する方向であって、二次元X線検出器21aの検出面21Sに沿う方向に適宜に移動させる。これによって、CT撮影領域について、フィルタ231cを介する180度分の第一投影画像データ及びフィルタ231cを介する180度分の第二投影画像データを取得することができる。また、CT撮影中に、X線コーンビームを横断するようにエネルギー変換部23cを移動させるによって、フィルタ231c,233cの境界部分で拡散するX線が、二次元X線検出器21aの特定位置に集中して入射することを軽減できる。このため、CT画像上における散乱したX線の影響を軽減できる。
なお、本実施形態において、エネルギー変換部23cのフィルタ構成を、図11または図19に示すエネルギー変換部23a,23bのように、縞模様状に配列された複数のフィルタとしてもよい。
<5.変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
図21は、変形例に係るエネルギー変換部23dを示す概略正面図である。エネルギー変換部23dは、X線のエネルギー分布の変換特性が互いに異なる第一部分及び第二部分を有する。より詳細には、第一部分にはフィルタ231dが設けられており、第二部分にはフィルタ233dが設けられている。
図21中拡大して示すように、フィルタ231dは、X線のエネルギー分布の変換特性が互いに異なる2つのフィルタ部2311,2313が、市松模様状に配列されている。換言すると、フィルタ231dにおいて、多数のフィルタ部2311,2313が、x軸方向及びz軸方向において、隙間無く交互に配列されている。
このようなエネルギー変換部23dを用いて投影画像データを収集した場合、フィルタ231dを透過したX線は、フィルタ部2311によってエネルギー分布が変換されたものと、フィルタ部2313によって変換されたものとが含まれることとなる。フィルタ部2311を透過したX線、及び、フィルタ部2313を透過したX線のそれぞれについて、二次元X線検出器における入射位置は、X線発生器11、フィルタ231d及び二次元X線検出器の位置関係から特定可能である。このため、全フィルタ部2311に入射したX線に基づく投影画像データ、及び、全フィルタ部2313を透過したX線に基づく投影画像データをそれぞれ分離して取得できる。したがって、これらのエネルギー分布特性が異なる2種の投影画像データに基づき、同一断層面について、2種のCT画像を取得することができる。
上記実施形態に係るエネルギー変換部は、変換特性が互いに相違する2つの部分を有するフィルタ構成としている。しかしながら、変換特性が互いに相違する3つ以上の部分を有するフィルタ構成としてもよい。この場合、CT撮影中に、エネルギー変換部を移動させて、CT撮影領域を透過したX線が、3つ以上の各部分を介して、二次元X線検出器で検出することによって、エネルギー分布特性が互いに相違する3つ以上の投影画像データを取得するマルチエネルギースキャンを実施できる。
上記実施形態に係るX線撮影装置100は、被写体M1の頭部(特に顎部)をCT撮影する場合について説明したが、人体の他の部位(耳鼻咽喉、各種内臓、四肢等)をCT撮影する場合においても、本発明は有効である。また、上記実施形態係るX線撮影装置100等においては、CT撮影中、X線発生器11及び二次元X線検出器21は、被写体M1に対する高さが一定(詳細には、被写体M1の体軸方向(Z軸方向)の位置が一定)の状態で回転する。しかしながら、本発明に係るX線撮影装置は、X線発生器及び二次元X線検出器が、被写体M1の体軸方向の位置を相対的に変えながら回転することによって、相対的にスパイラル状に回転するよう構成されてもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
100,100a,100b,100c X線撮影装置
1 本体部
10 X線発生部
11,11a X線発生器
12 照射野制御部(X線規制部)
12a スリット板
20 X線検出部
210 筐体
21,21a 二次元X線検出器
21S,21Sa 検出面
23,23a,23b,23c,23d エネルギー変換部
231,231a,231b,231c,231d フィルタ
233,233a,233b,233c,233d フィルタ
2311,2313 フィルタ部
235 境界部分
25,25a エネルギー変換部移動機構
251,251a モータ
252,252a 伝動部
30 支持アーム
300 支持部
31 旋回軸
43 セファロスタット
60 本体制御部
601 CPU
601a X線発生部制御部
601b X線検出部制御部
65 旋回機構
8 情報処理装置(画像処理装置)
801b 画像生成部
91 ガントリー
92 回転体
BX1,BX2 X線コーンビーム
C1 中心
DA 歯群
M1 被写体
PG1,PG2 プログラム
Q,RA 回転軸
RR1,RR2 CT撮影領域

Claims (18)

  1. X線ビームを発生させるX線発生器からなるX線発生部と、
    前記X線発生部から照射され、被写体を透過した前記X線ビームを受光して検出する二次元X線検出器を備えるX線検出部と、
    前記X線発生部と前記X線検出部とを対向状態を保って支持する支持部と、
    前記X線発生部と前記X線検出部が前記被写体を間に挟んだ状態で前記支持部を前記被写体に対して移動させる移動機構と、
    前記X線ビームの経路中の前記被写体と前記二次元X線検出器の間に介在し、前記X線ビームのエネルギー分布の変換特性が相違する第一部分及び第二部分が二次元に配列されてなるエネルギー変換部と、
    X線撮影において、前記支持部の旋回中に、前記エネルギー変換部が前記X線ビームを横断するように前記二次元X線検出器の検出面に対して沿う方向に移動させるエネルギー変換部移動機構と、
    を備える、X線撮影装置。
  2. 請求項1に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部が、前記第一部分にフィルタを有し、前記第二部分にフィルタを有さない第一フィルタ構成体を含む、X線撮影装置。
  3. 請求項1に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部が、前記第一部分に第一のフィルタを有し、前記第二部分に前記変換特性が前記第一のフィルタとは相違する第二のフィルタを有する第二フィルタ構成体を含む、X線撮影装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部移動機構が、
    前記エネルギー変換部を移動させる駆動源としてのモータと、
    前記モータの運動を伝える伝動部と、
    を有する、X線撮影装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部移動機構が、
    前記エネルギー変換部を、前記二次元X線検出器と前記被写体との間の位置であって、前記支持部の回転軸に沿う上下方向または該回転軸に直交する左右方向に移動させる、X線撮影装置。
  6. 請求項5に記載のX線撮影装置において、
    前記X線撮影装置が実行する前記X線撮影がCT撮影であり、
    前記第一部分及び前記第二部分が、縞模様状に配列されている、X線撮影装置。
  7. 請求項5に記載のX線撮影装置において、
    前記X線撮影装置が実行する前記X線撮影がCT撮影であり、
    前記第一部分及び前記第二部分が市松模様状に配列されている、X線撮影装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部移動機構が、前記X線検出部の筐体内に配置される、X線撮影装置。
  9. 請求項8に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部が、前記X線検出部の前記筐体内において、前記二次元X線検出器の移動方向に対して交差する方向に移動する、X線撮影装置。
  10. 請求項8に記載のX線撮影装置において、
    前記エネルギー変換部が、前記X線検出部の前記筐体内において、前記二次元X線検出器の移動方向に沿った方向または対向する方向に移動する、X線撮影装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のX線撮影装置において、
    前記X線発生器から照射されるX線を規制するX線規制部、
    をさらに備え、
    前記X線規制部によって前記X線がX線コーンビームに形成される、X線撮影装置。
  12. 請求項11に記載のX線撮影装置において、
    前記X線撮影装置が実行する前記X線撮影がCT撮影であり、
    前記エネルギー変換部移動機構は、前記エネルギー変換部を、CT撮影領域を透過した前記X線コーンビームが入射する位置から退避させる、X線撮影装置。
  13. 請求項11または請求項12に記載のX線撮影装置において、
    前記X線規制部によって形成されるX線細隙ビームを用いて、パノラマX線撮影またはセファロ撮影を実行する、X線撮影装置。
  14. 請求項9に記載のX線撮影装置において、
    CT撮影中に、前記エネルギー変換部移動機構が前記エネルギー変換部を移動させることによって、
    前記支持部が半回転に前記X線ビームのファン角を加えた旋回を実行する間に、前記第一部分及び前記第二部分のうちの少なくとも一方が、前記一方における前記交差する方向の幅分変位するとともに
    前記支持部がさらに半回転に前記X線ビームのファン角を加えた旋回を実行する間に、前記一方がさらに前記交差する方向の幅分変位し、前記第一部分及び前記第二部分のうちの他方が、前記X線ビームのうちの前記一方に入射する部分を除く残余の部分のX線を受光する、X線撮影装置。
  15. 請求項10に記載のX線撮影装置において、
    CT撮影中に、前記エネルギー変換部移動機構が前記エネルギー変換部を移動させることによって、
    前記支持部の回転中に、
    前記第一部分が、前記X線検出部の移動方向の幅分変位し、
    前記第二部分が、前記第一部分の変位と同時に、前記第一部分が変位する方向であって、前記第一部分の変位量と一致する変位量分だけ変位する、X線撮影装置。
  16. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のX線撮影装置によって取得された画像データを処理する画像処理装置であって、
    前記エネルギー変換部の前記第一部分及び第二部分のそれぞれを透過または通過し、前記二次元X線検出器で前記X線ビームを検出して得られる画像データを画像処理して、それぞれのエネルギー分布特性に対応したX線画像を生成する画像処理部、
    を備える、画像処理装置。
  17. 請求項16に記載の画像処理装置において、
    前記画像処理部が、前記それぞれのエネルギー分布特性に対応した前記画像データの差分の画像を演算によって取得する、画像処理装置。
  18. X線撮影方法であって、
    X線ビームを発生させるX線発生器、及び、被写体を透過したX線ビームを検出する二次元X線検出器を、対向状態で前記被写体周りに回転させる回転工程と、
    前記回転工程中に、前記X線ビームの経路中の前記被写体と前記二次元X線検出器の間に介在しており、前記X線ビームのエネルギー分布の変換特性が相違する第一部分及び第二部分が二次元に配列されてなるエネルギー変換部を、前記X線ビームを横断するように前記二次元X線検出器の検出面に対して沿う方向に移動させるエネルギー変換部移動工程と、
    を含む、X線撮影方法。
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