JP2009066305A - X線ct撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、X線検出部に問題があったとしても、検出したデータや3次元的に再構成したCT画像においては問題が生じないまたは問題が低減できているX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るX線CT撮影装置は、X線発生部10と、X線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20との対向状態を保ってそれぞれ支持する支持手段30と、旋回軸32を被写体40に対して相対的に移動させる旋回軸移動機構と、旋回軸移動機構を制御する旋回軸制御部とを有する。そして、旋回軸制御部は、X線CT撮影をする間に、旋回軸移動機構を制御して、旋回軸32の位置を、コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るX線CT撮影装置は、X線発生部10と、X線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20との対向状態を保ってそれぞれ支持する支持手段30と、旋回軸32を被写体40に対して相対的に移動させる旋回軸移動機構と、旋回軸移動機構を制御する旋回軸制御部とを有する。そして、旋回軸制御部は、X線CT撮影をする間に、旋回軸移動機構を制御して、旋回軸32の位置を、コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、X線CT撮影装置に係る発明に関するものである。
近年、コンピュータ技術の発展に伴い、医療用・歯科用等にコーンビームX線を用いたX線コンピュータ断層撮影装置(以下、単にX線CT撮影装置という)が用いられるようになってきている。このような、コーンビームX線を用いたX線CT撮影装置を従来例としてブロック図を図15に示す。図15に示すX線CT撮影装置では、被写体100を挟んでX線発生部101がX線検出部102に対向して配置されている。そして、X線発生部101及びX線検出部102は旋回軸103に対して被写体100の周りを相対的に旋回して、被写体100を通過したX線発生部101からのコーンビームX線をX線検出部102で検出している。
さらに、図15に示すX線CT撮影装置では、X線検出部102で検出されたX線投影データから、被写体100について3次元的なX線吸収係数分布情報を得て、逆投影を行ってこの3次元的なX線吸収係数分布情報を2次元的に再構成した特定の断層面の断層画像や、3次元的に再構成したCT画像を得る。なお、上記のようなX線投影データの処理は、制御部104のCPU105で行われる。また、制御部104には、X線発生部101を制御するX線発生部制御部106と、X線検出部102を制御するX線検出部制御部107とを備えている。
さらに、制御部104には、操作者が指示を入力する操作部108と、CPU105での演算結果等を表示する表示部109とが接続されている。また、図15ではX線発生部101及びX線検出部102が支持手段110に固定され、当該支持手段110が旋回軸103に対して旋回できるように旋回用モータ111に取り付けられている。この旋回用モータ111は、CPU105からの指示により制御されている。
なお、X線発生部101及びX線検出部102と被写体100とはどちらが回転しても良く、X線発生部101及びX線検出部102を被写体100の周りで回転しても、被写体100が、回転テーブルに載せられ回転しても良い。
また、X線CT撮影装置において、X線発生部101とX線検出部102を、旋回軸103を中心として少なくとも180°回転することから、揺らぎが発生し、再構築した三次元画像の一部が、不鮮明になるという問題に対して、特許文献1のような構成で画像処理を行っている。
しかし、従来のX線CT撮影装置では、被写体100のうち、被撮影領域(CT撮影領域)の中心に該当する部分を通過したX線が常にX線検出部102の同じ位置の受光箇所で検出される構成となっている。そのため、X線検出部102にCCDセンサやMOSセンサなどのX線イメージセンサを用いる場合に、当該X線イメージセンサの上記同じ位置の受光箇所の画素(ピクセル)が他の受光箇所の画素に対して感度にばらつきがある、上記同じ位置の受光箇所の画素に不具合があるなどの問題を有していると、常に同じ被写体100の位置を通過したコーンビームX線のX線投影データが得られない問題があった。
つまり、従来のX線CT撮影装置では、X線イメージセンサの上記同じ位置の受光箇所(ピクセル、画素)に問題があると、3次元的に再構成したCT画像上においてアーチファクトと呼ばれるスジが生ずるなどの問題が生じていた。
そこで、本発明は、X線検出部に上記のような問題があったとしても、検出したデータや3次元的に再構成したCT画像においては問題が生じないまたは問題が低減できているX線CT撮影装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る解決手段は、発生させたコーンビームX線を被写体に向かって照射するX線発生部と、前記被写体を挟んで前記X線発生部に対向配置され、前記X線発生部と共に旋回軸を中心にして前記被写体の周りを相対的に旋回し、前記X線発生部から照射された前記コーンビームX線を検出してX線透過データを得るX線検出部と、前記X線発生部と前記X線検出部との対向状態を保ってそれぞれ支持する支持手段と、前記旋回軸を前記被写体に対して相対的に移動させる旋回軸移動機構と、前記旋回軸移動機構を制御する旋回軸制御部とを有するX線CT撮影装置において、前記旋回軸制御部は、前記X線発生部及び前記X線検出部が前記被写体の周りを旋回してX線CT撮影をする間に、前記旋回軸移動機構を制御して、前記旋回軸の位置を前記コーンビームX線の照射方向と交差し、且つ前記旋回軸の方向と異なる方向に移動させる。
本発明の請求項2に係る解決手段は、請求項1に記載のX線CT撮影装置であって、前記旋回軸制御部は、前記支持手段の旋回角の変化に伴い、異なる撮影領域に照射されたX線が前記X線検出部の撮像面に検出されるように前記旋回軸移動機構を制御して前記旋回軸を移動させる。
本発明の請求項3に係る解決手段は、請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、前記支持手段に回転力を伝達して、前記旋回軸を中心に前記X線発生部及び前記X線検出部を旋回させる旋回機構をさらに備える。
本発明の請求項4に係る解決手段は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記旋回軸制御部は、X線CT撮影をする間に、前記旋回軸移動機構を制御して前記旋回軸を、前記コーンビームX線の照射方向と直交し、且つ前記旋回軸の方向と直交する方向に移動させる。
本発明の請求項5に係る解決手段は、請求項3に記載のX線CT撮影装置であって、支持手段は、旋回アームであって、支柱に昇降調節可能に設置されたブラケットに垂下支持されている。
本発明の請求項6に係る解決手段は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、前記旋回軸の移動は、前記コーンビームX線が旋回する周期と異なる周期を有している。
本発明の請求項7に係る解決手段は、請求項6に記載のX線CT撮影装置であって、前記旋回軸の移動の周期αは、前記X線発生部及び前記X線検出部の旋回の1周期に対して、0≦α<1又は1<α≦10の関係を満たす。
本発明の請求項1に記載のX線CT撮影装置は、X線検出部がCCDセンサやMOSセンサなどのX線イメージセンサで、仮に当該センサに感度が異なるなどの欠陥を有するピクセルが存在しても、被写体の同じ部位を透過したコーンビームX線が常に同じ位置のピクセルに照射されないので、欠陥を有するピクセルの影響を受けずにX線透過データを得ることができ、CT再構成した画像の関心領域中心部分にスジが生ずる等の問題を回避あるいは低減できる。
本発明の請求項2に記載のX線CT撮影装置は、X線CT撮影をする間、被写体の撮影領域のうち、同じ箇所を通過したX線を検出することがない状態が保たれ、より撮影に用いるピクセル(画素)に偏りのないX線CT撮影が可能となる。
本発明の請求項3に記載のX線CT撮影装置は、支持手段に回転力を伝達する旋回機構が設けられるので被写体を旋回させる必要がなく、特に被写体が人間を含む動物である場合に身動きを誘発することがない。
本発明の請求項4に記載のX線CT撮影装置は、旋回軸の移動方向がコーンビームX線の照射方向と直交し、且つ旋回軸の方向と直交する方向に限定されるために拡大率が一定に保たれるので、CT再構成した画像に歪が生じない。
本発明の請求項5に記載のX線CT撮影装置は、支持手段を旋回アームによって構成するので歯科や耳鼻科に向く小型のX線CT撮影装置を実現できる。
本発明の請求項6,7に記載のX線CT撮影装置は、X線被照射部位の移動パターンが、コーンビームX線が旋回する周期と異なる周期を採用するので、同じ被写体の部位を透過したコーンビームX線が効率よく同じ位置のピクセルに照射されないように制御でき、より撮影に用いるピクセル(画素)に偏りのないX線CT撮影が可能となる。
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1のブロック図を示し、図2に本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の概略図を示す。図1に示すX線CT撮影装置1は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体40を保持する被写体保持部材50と、支持手段30を駆動する駆動部60とを備えている。さらに、図1に示すX線CT撮影装置1は、X線発生部10、X線検出部20及び駆動部60を制御する制御部70と、制御部70に対して所定の指示を行う操作部80と、制御部70の処理結果等を表示する表示部90とを備えている。支持手段30は、旋回軸32を有している。画像処理等の演算は、CPU71に接続される図示しない演算手段で行う。演算手段は、例えば図2について後述するコンピュータ等の端末94に演算プログラムをインストールし、演算プロセッサで演算するようにしたもので構成できる。演算プログラムに従いCPU71が演算を行ってもよい。表示部90、制御部70、操作部80、上述の演算手段は、図2に示すX線CT撮影装置本体1´側と端末94側の一方のみにあっても、双方にあってもよい。
図1に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1のブロック図を示し、図2に本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の概略図を示す。図1に示すX線CT撮影装置1は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体40を保持する被写体保持部材50と、支持手段30を駆動する駆動部60とを備えている。さらに、図1に示すX線CT撮影装置1は、X線発生部10、X線検出部20及び駆動部60を制御する制御部70と、制御部70に対して所定の指示を行う操作部80と、制御部70の処理結果等を表示する表示部90とを備えている。支持手段30は、旋回軸32を有している。画像処理等の演算は、CPU71に接続される図示しない演算手段で行う。演算手段は、例えば図2について後述するコンピュータ等の端末94に演算プログラムをインストールし、演算プロセッサで演算するようにしたもので構成できる。演算プログラムに従いCPU71が演算を行ってもよい。表示部90、制御部70、操作部80、上述の演算手段は、図2に示すX線CT撮影装置本体1´側と端末94側の一方のみにあっても、双方にあってもよい。
まず、X線発生部10は、X線を照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線の広がりを規制する開口を持つX線遮蔽部材13とを備えている。X線を規制してコーンビームX線12とする場合、開口の形状を円形にして円錐状のコーンビーム12を形成してもよいし、開口の形状を正方形を含む方形にして角錐状のコーンビーム12を形成してもよい。開口形状は適宜自由に設定しうる。X線検出部20は、CCDセンサ、MOSセンサ、X線検出用の半導体素子などを用いてX線を電気的信号などのX線透過データに変換するセンサからなるX線イメージセンサ21を備えている。XII(X線イメージインテンシファイア)をX線イメージセンサ21として用いてもよい。X線撮影の際、X線発生器11とX線イメージセンサ21とは、被写体40を挟んで対向する。なお、スリット、コリメータ等のX線遮蔽部材13に規制されたコーンビームX線12は、被写体40の関心領域42を含む撮影領域41を照射してX線イメージセンサ21に至る。
駆動部60は、支持手段30を駆動するために、X軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60z及び旋回用モータ60rを備えている。駆動部60、X軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60z及び旋回用モータ60rの構成や作用は後述の図2に関する箇所で説明する。これらのモータは、制御部70のCPU71により制御されている。また、制御部70は、CPU71と、X線検出部20を制御するX線検出部制御部72と、X線発生部10を制御するX線発生部制御部73とを備えている。なお、制御部70は、X線CT撮影装置の外部に設けたコンピュータ等の端末と有線又は無線の回線(例えばLAN等)で接続する構成でも良い。また、当該端末に、操作部や表示部を備えても良い。
図2に示すX線CT撮影装置1の概略図では、X線CT撮影装置本体1´に接続されたコンピュータ等の端末94も図示されている。図2に示すX線CT撮影装置1では、端末94が物理的に分離した構成について図示したが、本発明はこれに限られず、端末94の構成がX線CT撮影装置本体1´に一体として組み込まれた構成でも良い。なお、図2に示すX線CT撮影装置1は、図1に示すブロック図と同じ構成要素については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
図2に示すX線CT撮影装置本体1´の主要部分は、望ましくは図示のようにX線発生部10からのX線を遮蔽するための防X線室95内に設けられている。そして、防X線室95外から操作可能なように操作部80及び表示部90が防X線室95の側壁にも取り付けられている。なお、操作部80及び表示部90は、支持手段30である旋回アーム31又は防X線室95の側壁のいずれか一方のみに取り付ける構成でも良い。また、図2に示すX線CT撮影装置1は、X線CT撮影のほかに歯科用等のパノラマ撮影も可能である。
図2に示すX線CT撮影装置1では、支持手段30である旋回アーム31が支柱61に昇降調節可能に設置された駆動部60(図示せず)を含むブラケット62に垂下支持されている。旋回アーム31には図1に示した旋回軸32が設けられ、ブラケット62に設けられた旋回機構である旋回用モータ60r(図示せず)からの回転力を旋回アーム31に伝達するのに用いられる。旋回アーム31は旋回軸32を介して旋回用モータ60rにより旋回し、X軸モータ60x(図示せず)及びY軸モータ60y(図示せず)により水平方向に移動が可能である。旋回アーム31は図1で示した旋回軸32、厳密には旋回軸32の軸心32´を旋回中心として旋回する。旋回軸32の移動は厳密には軸心32´の移動である。後述する図4〜7、図16、図17では、旋回軸32、CT撮影における撮影領域41の中心であるCT撮影領域中心O、位置Pを示すのに円の中で2本の線を交差させて示している。全ての図に軸心32´を図示してはいないが、上記2本の線の交差した箇所に軸心32´の位置を想定している。また、図4〜7、図16、図17に図示されるCT撮影領域中心O、位置Pの厳密な位置は、上記の円の中で交差した2本の線の交差箇所である。X線発生部10とX線検出部20とは旋回アーム31が旋回することにより旋回軸32を旋回中心として旋回する。
図2の例では、図示の被写体40である患者と対面する側をX線CT撮影装置本体1´の正面とすると、正面に向かって左右の方向をX方向とし、旋回アーム31の旋回軸32と直交する面において、X方向と直交する方向をY方向とする。図2では図示しない図1で示したX軸モータ60xはブラケット62内部に設けられ、旋回軸32をX方向に移動させる。同様に、図2では図示しない図1に示すY軸モータ60yもブラケット62内部に設けられ、旋回軸32をY方向に移動させる。上記X軸モータ60xとY軸モータ60yとの協働で、旋回軸32は、XとY方向からなる2次元の移動が可能である。さらに具体的に述べれば、X軸モータ60x、Y軸モータ60yを用いる旋回軸32´の移動のための移動機構としては、例えば図1に示すX−YテーブルXYのような移動機構が考えられる。X−YテーブルXYは、図2に示すブラケット62内部に設けられ、支持手段30を構成する旋回アーム31の旋回軸32を2次元に移動制御するものであり、次のように構成される。すなわち、ブラケット62に固定したY軸モータ60yの駆動によってY方向に変移可能なYテーブルをY方向に移動させ、さらにYテーブルに固定されたX軸モータ60xの駆動によってYテーブル上でX方向に変移可能なXテーブルをX方向に移動させ、Xテーブルに旋回軸32が固定されるX−YテーブルXYの機構である。このようなX−Yテーブルの例としては、本出願人の出願にかかる特開平11−104123に開示されるXY移動機構を適宜用いることができる。旋回軸32をXテーブルに対して回転可能に固定し、旋回用モータ60rをXテーブルに固定して旋回軸32を旋回駆動するようにしてもよいし、旋回軸32をXテーブルに対して回転しないように固定し、旋回用モータ60rを旋回アーム31側に固定して旋回軸32に対して旋回アーム31を旋回駆動するようにしてもよい。X方向、Y方向は上述のように限定したが、旋回軸32と交差する面における2方向の移動であれば、適宜の方向に設定できる。
さらに、図示における上下方向をZ方向とするとして、ブラケット62が、Z軸モータ60z(図示せず)を用いて支柱61に対して昇降移動することで、旋回アーム31を垂直方向すなわちZ方向に移動させることが可能である。さらに具体的に述べれば、ブラケット62の昇降のための移動機構としては、図示しないが、例えば支柱61にワイヤの一端を固定し、ブラケット62に固定したZ軸モータ60zの駆動でこのワイヤの他端側を巻き上げることでブラケット62自体を昇降させる昇降機構が考えられる。Z方向は上記のように垂直方向に限定したが、ブラケット62を昇降させる移動方向であれば、垂直でなくとも適宜の方向に設定できる。図2の例ではX線CT撮影装置本体1´を立設型つまり患者が立ったままX線CT撮影されるタイプに構成しているので、図の上下方向をZ方向に設定したが、X線CT撮影装置本体1´を寝台型つまり患者が横たわってX線CT撮影されるタイプに構成してもよく、その場合Z方向は図の水平方向に設定される。このように、X線CT撮影装置本体1´におけるZ方向の軸が床に対してとる角度は装置の構成によって変わる。
上述のようなX−YテーブルXYは旋回軸32を被写体40に対して相対的に移動させる旋回軸移動機構の例である。本実施の形態では、X−YテーブルXYが旋回軸32を移動させる構成であるが、後述する実施の形態2においては、X−YテーブルXYが被写体保持手段50を移動させる構成である。また、後述するように旋回軸32を移動させるX−YテーブルXYと被写体保持手段50(被写体40)を移動させるX−YテーブルXYの双方を備えて旋回軸32と被写体保持手段50(被写体40)の双方を移動させる構成も考えられる。被写体40に対して旋回軸32を移動させるには、このようなX−YテーブルXYにより旋回軸32の移動をさせても被写体保持手段50の移動(つまり被写体40の移動)をさせてもよく、その意味で被写体40に対する旋回軸32の移動は相対的である。制御部70はCPU71によりX−YテーブルXYを制御するので、旋回軸制御部の例である。旋回軸移動機構がX−YテーブルXYと共に上述のような昇降移動に関するZ軸モータ60zを含み、旋回軸制御部としての制御部70の制御がZ軸モータ60zの制御を含んでも構わない。
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の動作について説明する。本実施の形態に係るX線CT撮影装置1は、従来のX線CT撮影装置と異なり、X線CT撮影中に旋回軸32を、コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させる。旋回軸32の移動により、コーンビームX線12の移動が行われる。そして、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、X線検出部20のX線CT撮影の間に、X線検出部20の撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出するように旋回軸32の移動が制御される。後に詳述する。
X線検出部20のX線撮像面Sや旋回軸32等の関係を説明するための概略図を図3に示す。図3では、X線発生部10及びX線検出部20を支持する旋回アーム31と駆動部60とが図示されている。この旋回アーム31は、駆動部60により旋回軸32を中心に旋回することができると共に、図1、2の説明で述べたX−YテーブルXYの作用により旋回軸32を水平方向(コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸の方向と異なる方向)に移動可能である。
X線発生器11と、X線発生器11から照射されたコーンビームX線12などのX線ビームを受けるX線イメージセンサ21からなる撮像のための機構を撮像系FSと呼ぶことにする。後述の図4〜7では、図を解りやすく簡素にするため、X線発生器11、X線イメージセンサ21を略してあるので、X線発生器11がX線ビームを発生する点である焦点FとX線イメージセンサ21のX線を検出する面である撮像面Sとが撮像系FSを構成するものとする。なお、図5〜7では図を複雑にしないよう、図番FSの図示を略す。図3においては、コーンビームX線12がX線発生器11から照射されて被写体40を照射、透過してX線検出器21の撮像面Sにより検出される。撮像面Sには被写体40のX線投影像40´が投影されている。被写体40に対する撮像系FSの位置は、前述のX−YテーブルXYを用いて旋回軸32を水平方向に移動させることでずらすことができる。被写体40に対して撮像系FSをずらすことで、被写体40に対してコーンビームX線12、X線イメージセンサ21の撮像面Sの位置をずらすことができる。
被写体40に対してX線イメージセンサ21の撮像面Sの位置をずらすことは、被写体40のX線投影像40´に対してX線イメージセンサ21の撮像面Sの位置をずらすことをも意味する。本実施の形態に係るX線CT撮影装置1では、撮像面Sのある位置と被写体40のある位置とが常には対応しないように旋回アーム31を動かして(つまり被写体40に対して撮像系FSを動かして)旋回軸32を移動させており、X線CT撮影の間に、X線検出部20の撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出するように旋回軸32の移動が制御される。
ここで、X線検出部20の撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出するように旋回軸32の移動が制御される構成について説明する。以下、図4から図7はいずれも本実施形態によるX線CT撮影において、旋回アーム31が旋回するにつれてコーンビームX線12bがコーンビームX線12aに対してどのような位置関係をとって移動していくかを、旋回軸32の軸方向より平面視するように見下ろしたときの様子を示す図であるが、図4、図5は被写体40を固定して示し、被写体40に対しコーンビームX線12a、12bで示されるコーンビームX線12(図番12は図示を略する)が旋回していく様子を示しているのに対し、図6、図7は、コーンビームX線12の方を固定して示し、被写体40の方が旋回しているように示している点が異なっている。これは、図4、図5においてはコーンビームX線12が被写体40の周囲をどのように旋回移動していくかを示したいこと、図6、図7においては旋回アーム31の旋回角度ごとにコーンビームX線12aに対するコーンビームX線12bのずれ量がどのように変化するかを示したいことによる。
被写体40、旋回アーム31を旋回軸32の軸方向より平面視するように見下ろしたとき、被写体40に対する旋回アーム31の移動は相対的なものであるので、2とおりの旋回系を考えることができる。1つは被写体40を中心として、被写体40から見て旋回アーム31またはコーンビームX線12がどのような旋回の動きをするかという見方をした旋回系であり、もう1つは旋回アーム31またはコーンビームX線12から見て被写体40がどのような旋回の動きをするかという見方をした旋回系である。前者を第1の旋回系とし、後者を第2の旋回系とする。第1の旋回系では被写体40を固定して旋回系の上に置き、第1の旋回系の上で旋回アーム31またはコーンビームX線12が旋回するととらえる。図4、図5は第1の旋回系による。第2の旋回系では旋回アーム31またはコーンビームX線12を固定して旋回系の上に置き、第2の旋回系の上で被写体40が旋回するととらえる。図6、図7は第2の旋回系による。もっとも、コーンビームX線12bはコーンビームX線12aに対してずれるので、第2の旋回系においてコーンビームX線12を固定して旋回系の上に置くといっても、コーンビームX線12bのずれの表示はしてある。
図4、図5は、コーンビームX線12、旋回軸32及び被写体40の関係を説明するための概略図であり、前述の第1の旋回系による。図4、図5に図示されるX軸、Y軸は、前述の第1の旋回系におけるX軸、Y軸である。旋回アームの旋回角θは、次のとおりである。図4において0°、図5(a)において−30°、図5(b)において−60°、図5(c)において−90°である。図4に示すコーンビームX線12は、X線発生部10のX線発生器11から発生する点を焦点F、X線イメージセンサ21のX線を検出する面を撮像面Sとしている。さらに、図4では、被写体40のCT撮影領域中心Oと旋回軸32の軸心32´の位置とが一致している通常のCT撮影のコーンビームX線12aと、通常のCT撮影における被写体40のCT撮影領域中心Oより旋回軸32、厳密には軸心32´を図示のY軸方向、位置PにずらしたコーンビームX線12bとが図示されている。
実際のCT撮影では、コーンビームX線12aとコーンビームX線12bとが同時に照射されるわけではないが、図は位置的比較のためのものであるので、重ねて表示する。以下、通常のCT撮影における被写体40のCT撮影領域中心Oを、単に「CT撮影領域中心O」と呼ぶ。旋回軸32は、好ましくはコーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向に移動される。この、コーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向とは、図4に示す旋回角度0度の状態では、図示のY軸方向である。コーンビームX線12aは円錐、角錐等の錐の形状であり、図4のように旋回軸32の軸方向から見た状態で、撮像面SとコーンビームX線12aの広がりの端とが二等辺三角形を形成している。旋回軸32は、好ましくは二等辺三角形の頂点に位置する焦点Fから二等辺三角形の底辺に位置する撮像面Sに降ろした垂線に直交する方向にずらされる。図4の状態ではコーンビームX線12aのなす二等辺三角形が図示のY軸方向にコーンビームX線12bのなす二等辺三角形の位置まで平行移動されている。撮像面Sを中心に考えると、コーンビームX線12aにおける撮像面SとコーンビームX線12bにおける撮像面Sとは同一の平面上で図のY軸方向に平行移動した位置関係である。
なお、コーンビームX線12aにおいて、二等辺三角形の頂点に位置する焦点Fから二等辺三角形の底辺に位置する撮像面Sに降ろした垂線上を通過するX線をX線Caで示し、コーンビームX線12bにおいて、二等辺三角形の頂点に位置する焦点Fから二等辺三角形の底辺に位置する撮像面Sに降ろした垂線上を通過するX線をX線Cbで示す。X線Caは、X線Cbの位置まで平行移動した位置関係にある。図4の例ではコーンビームX線12aと撮像面Sが二等辺三角形を形成するが、必ずしも二等辺でなくとも、不等辺の三角形を形成する関係であってもよく、旋回軸32は、好ましくは撮像面Sのなす面に平行な方向に平行移動し、この場合もコーンビームX線12aにおける撮像面SとコーンビームX線12bにおける撮像面Sとが同一の平面上で平行移動する位置関係にある。
以下、旋回軸32が、上述のようにずらされた後の旋回軸32、厳密には軸心32´の位置を「位置P」と呼ぶ。また、以下、被写体40のCT撮影領域中心Oと旋回軸32、厳密には軸心32´の位置とが一致している通常のCT撮影を「通常のCT撮影」と呼び、旋回軸32が(好ましくはコーンビームX線12aの照射方向に直交する方向でかつ旋回軸32の軸方向に直交する方向に)ずらされたCT撮影を「旋回軸をずらしたCT撮影」と呼ぶ。なお、図4、5においては、コーンビームX線12aの移動の様子を前述の第1の旋回系で説明することを目的として旋回開始角度つまり旋回角度0度における上記焦点Fから二等辺三角形の底辺に位置する撮像面Sに向けて降ろした垂線の方向をX軸とし、旋回軸32に直交する平面上でX軸に直交する方向をY軸とした場合に、コーンビームX線12aの移動はどのようなものであるかを説明しており、X線CT撮影装置本体1´が存在する空間において、特定の方向がX軸方向、Y軸方向と決まっているわけではない。
同様に、後に詳述する図6、図7においては、位置Pの移動の様子を前述の第2の旋回系で説明することを目的として旋回開始角度つまり旋回角度0度における上記焦点Fから二等辺三角形の底辺に位置する撮像面Sに向けて降ろした垂線の方向をY軸とし、旋回軸32に直交する平面上でY軸に直交する方向をX軸とした場合に、第2の旋回系における位置Pの移動はどのようなものであるかを説明している。したがって、前述の図2におけるX方向、Y方向と、図4から図7におけるX軸方向、Y軸方向とは直接は関係ないが、図4から図7におけるX軸方向の一例として図2におけるX方向を、図4から図7におけるY軸方向の一例として図2におけるY方向を設定することは差し支えないので、図4、図5における第1の旋回系のX軸方向は図2におけるX方向と一致し、図4、図5における第1の旋回系のY軸方向は図2におけるY方向と一致することとする。同様に、図6、図7における第1の旋回系のX軸方向は図2におけるX方向と一致し、図6、図7における第1の旋回系のY軸方向は図2におけるY方向と一致することとする。また、図6(a)における第2の旋回系のX軸方向は図2におけるX方向と一致し、図6(a)における第2の旋回系のY軸方向は図2におけるY方向と一致することとする。
コーンビームX線12aとコーンビームX線12bとの旋回軸32のずれ量つまりCT撮影領域中心Oから位置Pへのずれ量は、コーンビームX線12(旋回アーム31)の旋回角θの関数としてf(θ)と表すことができる。このf(θ)は、旋回角θの任意の関数で良い。具体的なf(θ)として、数1や数2が考えられる。
なお、数1は、A及びBが定数であり、撮像面Sが旋回角θの変化に伴い一定の速度で一方向に動く関数である。また、数2は、Aが定数で、撮像面Sが旋回角θの360度の変化に伴い、左右に2回動く正弦波の関数である。
また、旋回角θの変化に伴い、旋回軸32の位置Pは数3のように複素平面上を移動する。
なお、数3は、jが虚数単位であり、実数部がX座標で、虚数部がY座標で表している。
図5に、旋回角θがX軸から−30度,−60度,−90度の場合のコーンビームX線12の概略図を示す。なお、図5においては、数学で一般的に用いられる三角関数のグラフに合わせて旋回角θは反時計回りを正、時計回りを負として表している。また、図5でも、通常のCT撮影におけるコーンビームX線12aと旋回軸をずらしたCT撮影におけるコーンビームX線12bとを図示している。コーンビームX線12bの旋回軸32の位置Pは、P=(−f(θ)sin(θ),f(θ)cos(θ))と表すことができる。ずれ量f(θ)は図4、図5に示されるとおり、CT撮影中一定ではない。図4、図5の例では、図4の状態が最もずれ量f(θ)が大きく、図4,図5(a),図5(b),図5(c)の順に旋回角度が変化するにつれてずれ量f(θ)が小さくなっている。
次に、X線被照射部位22の移動パターンについて図6及び図7を用いて説明する。図6、図7は、後述するように、本実施形態によるX線CT撮影において、旋回アーム31が旋回するにつれてコーンビームX線12bがコーンビームX線12aに対してどのような位置関係をとっていくか、コーンビームX線12の方を固定して示し、被写体40の方が旋回しているように示した図であり、前述の第2の旋回系による。図6、図7においては、被写体の動きを示すために前述の第1の旋回系のX軸、Y軸が表示してあるが、図6、図7自体は第2の旋回系によるので被写体40の方を移動させて表示している。図6、図7においては、第2の旋回系のX軸、Y軸の表示は略すが、図6、図7の上下方向が第2の旋回系のY軸であり、図6、図7の左右方向が第2の旋回系のX軸である。図6から図7においては、図6(a)の旋回角0度の状態で、第1の旋回系のX軸方向と第2の旋回系のX軸方向が一致し、第1の旋回系のY軸方向と第2の旋回系のY軸方向が一致しているが、図6(b)以降、旋回角が異なるにつれて第1の旋回系のX軸方向、Y軸方向が旋回するように異なる角度で示される。図6及び図7でも、通常のCT撮影におけるコーンビームX線12aと旋回軸をずらしたCT撮影におけるコーンビームX線12bとが図示されている。図示しない旋回軸32は、好ましくはCT撮影領域中心Oの位置から位置Pまで、コーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向に移動される。この方向は、図6(a)に示す旋回角度0度の状態では、図示のX軸方向である。図6(a)では、CT撮影領域中心Oを原点(0,0)とし、ずらせた旋回軸32の位置Pを(−4,0)としている。前述のように、図6から図7においては第2の旋回系のX軸、Y軸の表示は略しているが、第2の旋回系におけるX軸の方向が、コーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向である。
また、図6及び図7では、CT撮影を行う場合に、コーンビームX線12aのうち、CT撮影領域中心Oの位置にある原点を通過したX線が撮像面Sの上のA点で結像し、旋回軸をずらしたCT撮影をする場合に、コーンビームX線12bのうち、位置Pを通過したX線が撮像面Sの上のB点で結像する。撮像面Sの面上ではA点とB点とは位置的に一致する。すなわち、撮像面Sは、通常のCT撮影の場合にA点の画素(ピクセル)で画像を受け、旋回軸をずらしたCT撮影の場合にはA点の画素(ピクセル)と同じ画素(ピクセル)であるB点の画素(ピクセル)で画像を受けるが、それぞれの点に対応する被写体40の位置が異なる。このB点の移動パターンは、図3に示した撮像面Sの移動パターンである。そして、このB点の移動は、図6及び図7から分かるように、位置Pの移動と対応している。図示の例では、撮像系FSがずらされてX線発生器11とX線イメージセンサ21が平行移動しているので、コーンビームX線12aにおける焦点FからコーンビームX線12bにおける焦点Fまでの移動方向及び移動量とA点からB点までの移動方向及び移動量すなわち撮像面Sの移動方向及び移動量が同じ量となる。そのため、以下の説明では、撮像面Sの移動パターンに対応する位置Pの移動パターンを説明する。
図6及び図7では、図6(a)を旋回角0度とし、図6(b)〜(e),図7(a)〜(d)の順に45度ずつ旋回角を大きくした場合を示している。但し、前述のとおり、図6及び図7では、被写体40を固定して、コーンビームX線12a,12bが旋回するのではなく、前述の第2の旋回系により、コーンビームX線12a,12bを固定して被写体40を旋回させて示した図となっている。また、図6及び図7では、旋回角0度からの位置Pの軌跡が図示されている。旋回アームの旋回角θは、次のとおりである。図6(a)において0°、図6(b)において−45°、図6(c)において−90°、図6(d)において−135°、図6(e)において−180°、図7(a)において−225°、図7(b)において−270°、図7(c)において−315°、図7(d)において−360°である。CT撮影領域中心Oと位置Pの間の距離(図示の例では点Aと点B間の距離と一致)で示されるずれ量f(θ)の変化は、次のとおりとなる。図6(a)においてD1の量、図6(b)においてD2の量、図6(c)においてD3の量、図6(d)においてD4の量、図6(e)においてD5の量、図7(a)においてD6の量、図7(b)においてD7の量、図7(c)においてD8の量、図7(d)においてD9の量である。
図6、図7に示す状態で、旋回角0°から−360°までの間に、コーンビームX線12bはコーンビームX線12aの左側から出発し、右に移動している。この移動は前述の撮像系の移動で行う。コーンビームX線12bはコーンビームX線12aに対し、図6(a)の状態で最も左の地点にあり、図6(e)の状態で位置的にコーンビームX線12aと一致し、図7(d)の状態で最も右の地点に移動する。つまり、コーンビームX線12bは左から右への移動1回分の、半往復の移動をする。したがって、ずれ量f(θ)は図6(a)で左側において最大であり(D1)、図6(e)でゼロとなり(D5)、図7(d)で右側において最大である(D9)。上記の移動に従い、位置Pは、旋回角が大きくなるにつれ移動する。位置Pの変移と位置Pの描く軌跡をたどると、次のようになる。図6(a)においてP1の位置、図6(b)においてP2の位置、P1からP2までの軌跡L1、図6(c)においてP3の位置、P1からP3までの軌跡L2、図6(d)においてP4の位置、P1からP4までの軌跡L3、図6(e)においてP5の位置、P1からP5までの軌跡L4、図7(a)においてP6の位置、P1からP6までの軌跡L5、図7(b)においてP7の位置、P1からP7までの軌跡L6、図7(c)においてP8の位置、P1からP8までの軌跡L7、図7(d)においてP9の位置、P1からP9までの軌跡L8である。
つまり、位置Pの移動パターンは、第1の旋回系上で図7(d)に示すような軌跡を描き、第2の旋回系上で(−4,0)から(4,0)に移動する。そのため、位置Pの移動パターンは、単純に360度旋回するコーンビームX線12の移動パターンとは異なり、従来のCT撮影のように被写体40のCT撮影領域中心Oに旋回軸32の位置Pが固定されない。通常のCT撮影におけるCT撮影領域中心Oの箇所を通過したX線は、通常のCT撮影においては旋回アーム31の旋回角度いかんに関わらず撮像面Sの同じ箇所A点で検出されるが、旋回軸32をずらしたCT撮影においては、旋回アーム31の旋回角度によって撮像面Sの異なる箇所で検出される。このことを、撮像面Sを中心に考える。通常のCT撮影においては旋回アーム31の旋回角度いかんに関わらず撮像面Sの同じ箇所A点でCT撮影領域中心Oを通過したX線を検出するが、旋回軸をずらしたCT撮影においては、旋回アーム31の旋回角度が異なるにしたがい、撮像面SのB点の位置(撮像面Sの面上の位置としてはA点と同じ位置)で被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を通過したX線が検出される。図4から図7に示す例では、撮像面SのB点の位置で刻々と変化する位置Pを通過したX線が検出される。つまり、この位置Pを通過して撮像面Sの上に結像したB点は、常に同じ位置の被写体40の情報を得ることがないため、仮にB点のX線イメージセンサのピクセルに問題があっても、3次元的に再構成したCT画像には問題が生じない。
従来のCT撮影のように、旋回軸32を原点に固定した場合、当該原点を通過したX線が常にA点に照射されるが、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1では、旋回アーム31の旋回軸32が図7(d)に示す軌跡L8を移動するのでB点に照射される被写体40の位置が常に変化する。なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1では、上記の撮像面Sの移動パターンにより得られたX線透過データから3次元的にCT画像再構成する場合、当該移動パターンをキャンセルするように位置補正の演算処理を行う。この位置補正の演算処理を行った上で従来のCT画像再構成の処理を行うことにより正常なCT画像再構成ができる。具体的な例で述べると、図6(a)に示すように、旋回軸をずらしたCT撮影において、撮像面Sは被写体40のPの地点をX線が透過したX線透過像の情報を点Bの画素で受ける。上記位置補正の演算処理を行わずに画像処理すると、Pの地点をX線が透過したX線透過像の情報であるにもかかわらず、前述の演算手段は点Bの画素で受けた情報を、被写体40のCT撮影領域中心Oの地点をX線が透過したX線透過像の情報として演算してしまうので、シフトしてやはりPの地点をX線が透過したX線透過像の情報として画像処理する。このようなシフトの処理が上記位置補正の演算処理である。
図6及び図7で示したB点の移動パターンは、旋回角0度でA点の左側、旋回角180度でA点と交差し、旋回角360度でA点の右側にあるよう、B点が一方方向に移動する。さらに、図6及び図7では、距離T1(焦点Fから撮像面Sまでの距離)と距離T2(原点O又は位置Pから撮像面Sまでの距離)が常に一定である。つまり、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、拡大率が一定である。
図6及び図7で示した位置Pの移動パターンにおける移動の例を示したグラフを図8に示す。図8は、コーンビームX線12が360度(図4〜7の例では−360°)回転する間の第1の旋回系上の位置Pの軌跡を示す図である。X線CT撮影装置の実機における旋回軸32の移動量は様々に具体的数値をとるとしても、図8においては、原点からの移動距離をX軸及びY軸を−1から1の間に収まる値にして2次元座標に表示している。この移動量−1から1までが、−1mmから1mmまでの場合も、−1cmから1cmまでの場合もありうる。図8に示す移動パターンは、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に位置Pが原点を通り左から右へと0.5周期分移動している。つまり、前述したように、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に、図6及び図7に示す撮像面SのB点がA点の左側からA点の右側へと半往復移動するパターンである。
しかし、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、位置Pの移動パターンが図8に限られず、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に0.25周期や1.5周期や2.0周期等しても良い。具体的に、図9に、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に位置Pが原点から右へと0.25周期分移動するパターンを示している。つまり、図9に示す移動パターンでは、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に、図6及び図7に示す撮像面SのB点がA点の左側からA点へと1/4往復移動するパターンである。
図10に、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に位置Pが3度原点を通る1.5周期分移動するパターンを示している。つまり、図10に示す移動パターンでは、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に、図6及び図7に示す撮像面SのB点がA点の左側−A点−A点の右側−A点−A点の左側−A点へと1.5往復移動するパターンである。
図11に、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に位置Pが4度原点を通る2.0周期分移動するパターンを示している。つまり、図11に示す移動パターンでは、コーンビームX線12が1回旋回する間(1周期)に、図6及び図7に示す撮像面SのB点がA点の左側−A点−A点の右側−A点−A点の左側−A点−A点の右側−A点へと2.0往復移動するパターンである。
以上のように、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、旋回軸制御部であるCPU71が、X線CT撮影中に旋回軸移動機構であるX軸モータ60x,Y軸モータy,Z軸モータzを制御して旋回中の旋回軸32を、コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させて、X線検出部20のX線被照射部位の移動パターンをコーンビームX線12の移動パターンと異なるパターンに制御する。そのため、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、X線検出部20がCCDセンサやMOSセンサなどのX線イメージセンサ21で、仮に当該センサに感度が異なるなどの問題を有するピクセルが存在しても、同じ被写体40の部位を透過したコーンビームX線12が常に同じ位置のピクセルに照射されないので、問題を有するピクセルの影響を受けずに、または極めて希釈してX線透過データを得ることができ、CT再構成した画像の関心領域中心部分にスジが生じる等の問題を回避できる。
特に図8、図9、図10、図11に示される旋回軸32の移動制御は、X線CT撮影の間に、X線発生器11より照射され撮像面Sで検出される全てのX線が、旋回アーム31の旋回角θが異なると、撮影領域41の異なる箇所を照射する制御である。このため、CT撮影中に常に被写体40の撮影領域41のうち、同じ箇所を通過したX線を検出することがない状態が保たれ、より撮影に用いるピクセル(画素)に偏りのないCT撮影が可能である。以上の例においては、距離T1(焦点Fから撮像面Sまでの距離)と距離T2(原点O又は位置Pから撮像面Sまでの距離)が常に一定である。つまり、拡大率が一定である構成を述べたが、必ずしも拡大率は一定でなくともよい。図16(a)〜(e)は、図6(a)〜(e)におけると同様のコーンビームX線12bの移動を示す図であり、前述の第2の旋回系による。図6(a)〜(e)と異なる点は、図6(a)に示す位置Pは、CT撮影領域中心Oに対し、図示のX軸方向にのみ変移しているのに対し、図16(a)に示す位置Pは、CT撮影領域中心Oに対し、図示のX軸方向のみならず、Y軸方向にも変移している点である。
なお、図6、図7と同じ主旨より、図16においては前述の第1の旋回系のX軸、Y軸が表示してあり、第2の旋回系のX軸、Y軸は表示しないが、図16自体は第2の旋回系によるので被写体40の方を移動させて表示している。図16における第2の旋回系のX軸方向の変化量をDx1〜Dx5で、Y軸方向の変化量をDy1〜Dy5で示す。図16(a)〜(e)において、旋回アームの旋回角θは、次のとおりである。図16(a)において0°、図16(b)において−45°、図16(c)において−90°、図16(d)において−135°、図16(e)において−180°である。なお、旋回の角度が−180°超から−360°までの範囲は移動パターンが同じなので省略する。また、CT撮影に必要な旋回角度は量にして180°分あれば足りるので、上記図16(e)における−180°まで旋回した時点でCT撮影終了としても構わない。
図示しない旋回軸32は、好ましくはCT撮影領域中心Oの位置から位置Pまで移動される。CT撮影領域中心Oと位置Pの間の距離で示されるずれ量f(θ)の変化は、次のとおりとなる。図16(a)においてDx1、Dy1の量、図16(b)においてDx2、Dy2の量、図16(c)においてDx3、Dy3の量、図16(d)においてDx4、Dy4の量、図16(e)においてDx5、Dy5の量である。図16(a)の状態から図16(e)の状態まで、コーンビームX線12bにおける撮像面Sは図示の左上の位置から斜めに等間隔で右下に向かって移動し、図16(e)の状態でコーンビームX線12aにおける撮像面Sの位置と一致する。このように被写体40に対し、撮像面Sが遠近する移動を行うと拡大率が変わるが、画像処理で補正を行うことで不都合は解消できる。すなわち、被写体40に撮像面Sが近づいて被写体40のX線投影像が拡大した場合は拡大した分を適正に縮小するよう補正して画像処理する。逆に被写体40から撮像面Sが遠ざかって被写体40のX線投影像が縮小した場合は縮小した分を適正に拡大するよう補正して画像処理する。
上述の変化量Dx1〜Dx5は、コーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向の移動変化量である。この移動変化が加わることにより、撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出することができる。この移動変化に上述の変化量Dy1〜Dy5の移動変化が加わっているのであるが、変化量Dx1〜Dx5の移動変化による上記効果の妨げにはならない。すなわち、コーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向の旋回軸32の移動成分をX移動成分と呼ぶこととし、上記の変化量Dy1〜Dy5の移動変化の移動成分をY移動成分と呼ぶこととし、X移動成分、Y移動成分からなる2次元座標に直交する方向の移動成分をZ移動成分と呼ぶこととすると、このうちX移動成分が含まれていれば、他の移動成分や、これらの移動成分を合成した移動成分が含まれていても構わない。
図17は、コーンビームX線12bの移動制御の別の例を示す図である。図17は、図6、図7に示した例と同様、旋回アーム31が旋回するにつれてコーンビームX線12bがコーンビームX線12aに対してどのような位置関係をとっていくか、コーンビームX線12の方を固定して示し、被写体40の方が旋回しているように示した図であり、前述の第2の旋回系による。なお、図6、図7と同じ主旨より、図17においては前述の第1の旋回系のX軸、Y軸が表示してあり、第2の旋回系のX軸、Y軸は表示しないが、図17自体は第2の旋回系によるので被写体40の方を移動させて表示している。図17における第2の旋回系のX軸方向の変化量をD1〜D3で示す。旋回アームの旋回角θは、次のとおりである。図17(a)において0°、図17(b)において−45°、図17(c)において−90°である。図示しない旋回軸32は、好ましくはCT撮影領域中心Oの位置から位置Pまで、コーンビームX線12aの照射方向に直交する方向で、かつ旋回軸32の軸方向に直交する方向に移動される。この方向は、図17(a)に示す旋回角度0度の状態では、図示のX軸方向である。
CT撮影領域中心Oと位置Pの間の距離(図示の例では点Aと点B間の距離と一致)で示されるずれ量f(θ)すなわち図17における第2の旋回系のX軸方向の変化量は、次のとおりとなる。図17(a)においてD1の量、図17(b)においてD2の量、図17(c)においてD3の量である。今、被写体40中のある位置PPに注目する。ずれ量f(θ)は、位置PPに関し、旋回角度θに関する余弦関数の値をとっている。つまり、仮に位置PPの座標を(xp,0)とすると、ずれ量f(θ)の値は、f(θ)=xp・cos(θ)となる。このように旋回軸32を移動制御すると、通常のCT撮影のようにコーンビームX線12aにおける前述のX線Caが撮像面Sの前述のA点で検出されることは避けられるが、前述のX線Cbが、常に被写体40のうち位置PPを透過して撮像面SのB点で検出されるという現象が生じる。
仮に撮像面SのB点の受光箇所(ピクセル)に前述のような感度のばらつきなどの問題がある場合は、3次元的に再構成したCT画像上において位置PPの箇所に関するスジが生ずるなどの問題が生じる可能性はある。この点、図4から図11に示す制御や、図16に示す制御は特定の箇所を透過したX線が撮像面Sの特定の箇所で検出されることが常に避けられるという点で図17に示す制御に比べて優れている。しかし、図17に示すような、被写体40のうち特定の位置を透過したX線が撮像面Sの特定の位置で検出されるような、ずれ量f(θ)が余弦関数の値をとる制御でも、常に撮像面Sの同じ箇所で検出される位置PPが関心領域から外れるような旋回軸32の移動制御をすれば、位置PPの箇所を除く部分については撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出できる。
例えば、CT撮影領域中心Oの周辺が関心領域である場合、その関心領域から外れる箇所に位置PPを設定して、位置PPについては上述のようなf(θ)の値がxp・cos(θ)をとるように旋回軸32の移動を制御する制御である。この場合、仮に位置PPの箇所に関するスジが生じたとしても、それは関心領域の範囲外であるので無視すればよい。また、そのように、被写体40のうち位置PPの箇所を関心領域から外す旋回軸32の移動制御をしなくとも、例えば旋回アームの一周の旋回のうち、部分的には通常のCT撮影を行い、他の部分では図17に示すようなX線Cbが常にCT撮影領域中心Oの位置とは別の位置PPを透過するCT撮影を行う制御も考えられる。例えば、360°旋回のうち前半180°を通常のCT撮影で、後半の180°では図17に示すようなCT撮影を行う制御である。このように、位置PPのように常に撮像面Sの同じ位置で検出される箇所ができるとしても、その箇所の位置をCT撮影中に変更すれば、CT撮影中に終始一貫して撮影面Sの同じ位置で被写体40中の同じ箇所を透過したX線の検出をすることが避けられ、その分アーチファクトの低減の効果がある。なお、図17においては、旋回の出発におけるコーンビームX線12bが図17 (a)に示すY軸の方向を照射する角度から出発したので f(θ)=xp・cos(θ)の値となったが、コーンビームX線12bを逆方向に旋回する場合を考え、図17 (c)の状態から旋回をはじめて図17(a)の状態まで旋回する場合を考えると、この場合はずれ量f(θ)の値は、f(θ)=xp・sin(θ)となる。このように図17のような制御は余弦関数からも正弦関数からも考えられる。
以上に述べた実施の形態1の旋回軸32の移動はいずれでもよいのであるが、図8〜図11のように旋回アーム31の旋回1周期に対して1周期と異なる周期で旋回軸32の位置をコーンビームX線12aの照射方向と交差し且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動する移動パターンによると、CT撮影中に撮影面Sの同じ位置で被写体40中の同じ箇所を透過したX線の検出をすることが避けられることは明白である。周期が異なることにより、CT撮影中に撮影面Sの同じ位置で被写体40中の同じ箇所を透過したX線の検出をする制御を終始続けることがかえって困難であり、少なくとも撮影面Sの同じ位置で被写体40中の同じ箇所を透過したX線の検出をすることを回避するのは容易である。また、仮に旋回アーム31の旋回1周期に対して1周期で旋回軸32の位置をコーンビームX線12aの照射方向と交差し且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動する移動パターンをとるとしても、上述のようなf(θ)の値がxp・cos(θ)をとるような制御を避ければよいのであって、例えば時間あたりの旋回軸32の位置変化量が等しい、つまり等速の変移による制御などをすれば、1周期であったとしても問題はない。要は、CT撮影中に終始一貫して関心領域中に撮影面Sの同じ位置で透過X線の検出をするような箇所を作らない制御が望まれるということである。できれば、CT撮影中に撮影面Sの同じ位置で関心領域中の同じ箇所を透過したX線の検出を続けることが全くない制御がさらに望ましい。また、旋回アーム31の旋回1周期に対する旋回軸32の移動周期は何周期でもよいのであるが、あまり周期の数が大きすぎると演算に時間がかかりすぎる、旋回アーム31に横揺れによるブレが生じるなどの不都合が生じるので、10周期程度までが適切と考えられる。以上より、旋回アーム31の旋回1周期に対する、より好適な旋回軸32の移動周期αは、0≦α<1または1<α≦10の関係にあると考えられる。
コーンビームX線12aの照射方向と交差し且つ旋回軸32の方向と異なる方向への具体的な旋回軸32の変移量は、あまり小さすぎると、撮影面Sの同じ位置で被写体40中の異なる箇所を透過したX線の検出ができる度合いが減り、あまり大きすぎると撮像面Sの端部においてCT撮影中常にX線検出ができない範囲が大きくなり、撮像面Sの有効検出範囲が狭くなりすぎる。その観点からは、図6、図7の例で述べれば、図6(a)におけるD1と図7(d)におけるD9の合計つまり変移の最大幅が2〜100ピクセル分程度である旋回軸32の変移が適切と考えられる。上述の変移の最大幅は、距離で考えた場合、0.2〜10mm程度と考えられる。できるだけ効率よく撮影面Sの同じ位置で被写体40中の異なる箇所を透過したX線の検出を行い(被写体40中の同じ箇所をできるだけいろいろな箇所のピクセルで検出する)、かつできるだけ撮像面Sの有効検出範囲を大きく保つには、上述の変移の最大幅が10〜50ピクセル分程度、距離で考えた場合1〜5mm程度がさらに適切と考えられ、さらに好ましくは変移の最大幅が20〜30ピクセル分程度、距離で考えた場合2〜3mm程度と考えられる。
(実施の形態2)
図12に、実施の形態1とは別の実施の形態2に係るX線CT撮影装置1のブロック図を示し、図13に本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の概略図を示す。実施の形態1では、支持手段30に旋回アーム31を用いて、被写体40に対してX線発生部10及びX線検出部20を旋回させるX線CT撮影装置の構成について説明した。つまり、実施の形態1に係るX線CT撮影装置では、支持手段30が旋回し、且つ支持手段30が移動することで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成を示した。しかし、本発明に係るX線CT撮影装置はこれに限られず、被写体40を旋回させ、且つ被写体40を移動させることで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成や、支持手段30を旋回させ、被写体40を移動させることで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成や、被写体40を旋回させ、支持手段30が移動することで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成等でも良い。つまり、本発明に係るX線CT撮影装置では、支持手段30及び被写体40のうち少なくとも一方を旋回させ、支持手段30及び被写体40のうち少なくとも一方が移動することで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成であれば良い。
図12に、実施の形態1とは別の実施の形態2に係るX線CT撮影装置1のブロック図を示し、図13に本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の概略図を示す。実施の形態1では、支持手段30に旋回アーム31を用いて、被写体40に対してX線発生部10及びX線検出部20を旋回させるX線CT撮影装置の構成について説明した。つまり、実施の形態1に係るX線CT撮影装置では、支持手段30が旋回し、且つ支持手段30が移動することで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成を示した。しかし、本発明に係るX線CT撮影装置はこれに限られず、被写体40を旋回させ、且つ被写体40を移動させることで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成や、支持手段30を旋回させ、被写体40を移動させることで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成や、被写体40を旋回させ、支持手段30が移動することで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成等でも良い。つまり、本発明に係るX線CT撮影装置では、支持手段30及び被写体40のうち少なくとも一方を旋回させ、支持手段30及び被写体40のうち少なくとも一方が移動することで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成であれば良い。
本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、特に支持手段30が旋回し、被写体40を移動させることで旋回軸32を所定の方向に移動させる構成について説明する。他の構成については、実施の形態1及び実施の形態2を適宜組み合わせることで実現可能であるため詳細な説明は省略する。
図12に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1のブロック図を示す。図12に示すX線CT撮影装置1は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体40を保持する被写体保持部材50と、支持手段30を駆動する駆動部60と、被写体40を移動させるための被写体保持部材50を駆動する被写体駆動部65とを備えている。さらに、図12に示すX線CT撮影装置1は、X線発生部10、X線検出部20、駆動部60及び被写体駆動部65を制御する制御部70と、制御部70に対して所定の指示を行う操作部80と、制御部70の処理結果等を表示する表示部90とを備えている。図1に示すX線CT撮影装置1は、支持手段30を駆動するX軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60zを備え、図12に示すX線CT撮影装置1は被写体保持部材50を駆動する被写体駆動部65を備える点が相違する点である。
まず、X線発生部10は、実施の形態1と同じく、X線を照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線の広がりを規制する開口を持つX線遮蔽部材13とを備えている。X線検出部20は、CCDセンサやMOSセンサなどのX線イメージセンサ21を備えている。X線撮影の際、X線発生器11とX線イメージセンサ21とは、被写体40を挟んで対向する。なお、X線遮蔽部材13に規制されたコーンビームX線12は、被写体40の関心領域42を含む撮影領域41を照射してX線イメージセンサ21に至る。
駆動部60は、支持手段30を駆動するために、旋回用モータ60rを備えている。また、被写体駆動部65は、被写体保持部材50を駆動するX軸モータ65x、Y軸モータ65y、Z軸モータ65zを備えている。これらのモータは、制御部70のCPU71により制御されている。また、制御部70は、CPU71と、X線検出部20を制御するX線検出部制御部72と、X線発生部10を制御するX線発生部制御部73とを備えている。なお、制御部70は、X線CT撮影装置の外部に設けたコンピュータ等の端末と有線又は無線の回線(例えばLAN等)で接続する構成でも良い。また、当該端末に、操作手段や表示手段を備えても良い。
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の概略図を図13に示す。図13に示すX線CT撮影装置1の概略図では、X線CT撮影装置に接続された端末94も図示されている。図13に示すX線CT撮影装置では、端末94が物理的に分離した構成について図示したが、本発明はこれに限られず、端末94の構成がX線CT撮影装置に一体として組み込まれた構成でも良い。なお、図13に示すX線CT撮影装置は、図12に示すブロック図と同じ構成要素については同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
図13に示すX線CT撮影装置1では、操作部80及び表示部90が、支柱61に取り付けられている。また、図13に示すX線CT撮影装置1は、X線CT撮影のほかに歯科用等のパノラマ撮影も可能である。
図13に示すX線CT撮影装置1では、支持手段30である旋回アーム31が支柱61に支持された駆動部60を含むブラケット62に垂下支持されている。つまり、旋回アーム31は、ブラケット62に設けられた旋回用モータ60rにより旋回する。さらに、図13に示すX線CT撮影装置1では、被写体駆動部65のX軸モータ65x及びY軸モータ65yにより被写体保持部材50を水平方向に移動させることが可能である。図13の例では、図示の被写体40である患者が被写体保持部材50に着座した場合に患者と対面する側をX線CT撮影装置の正面とすると、正面に向かって左右の方向をX方向とし、旋回アーム31の旋回軸32と直交する面において、X方向と直交する方向をY方向とする。図12に示したX軸モータ65xは被写体駆動部65内部に設けられ、被写体保持部材50をX方向に移動させる。同様に、図12に示したY軸モータ65yも被写体駆動部65内部に設けられ、被写体保持部材50をY方向に移動させる。上記X軸モータ65xとY軸モータ65yとの協働で、旋回軸32は、XとY方向からなる2次元の移動が可能である。
さらに具体的に述べれば、X軸モータ65x、Y軸モータ65yを用いる被写体保持部材50の移動のための移動機構としては、例えば図12に示すX−YテーブルXYような移動機構が考えられる。X−YテーブルXYは、図13に示す被写体保持手段50を底部から支え、被写体40を保持する被写体保持手段50を2次元に移動制御するものであり、図1において説明したX−Yテーブルと同様の機構で構成される。すなわち、支柱61の底部に固定したY軸モータ65yの駆動によってY方向に変移可能なYテーブルをY方向に移動させ、さらにYテーブルに固定されたX軸モータ65xの駆動によってYテーブル上でX方向に変移可能なXテーブルをX方向に移動させ、Xテーブルに被写体保持部材50が固定支持されるX−YテーブルXYの機構である。旋回アーム31に対し、被写体保持手段50が移動することにより被写体40も移動される。また、Xテーブルに設けられたZ軸モータ65zは、被写体保持部材50を昇降調節可能にし、旋回アーム31に対する被写体40の垂直方向の位置を移動させることが可能である。被写体保持部材50の昇降のための機構としては、例えばZ軸モータ65zの回転軸をねじ軸とし、内部に雌ねじのねじ切りをした移動部材に被写体保持部材50を固定させた昇降機構が考えられるZ軸モータ65zからなる昇降機構の代わりに、シリンダ65z´を用いて油圧制御するようにしてもよい。上述のようなX−YテーブルXYは旋回軸32を被写体40に対して相対的に移動させる旋回軸移動機構の例である。制御部70はCPU71によりX−YテーブルXYを制御するので、旋回軸制御部の例である。旋回軸移動機構がX−YテーブルXYと共に上述のような昇降移動に関するZ軸モータ65zやシリンダ65z´を含み、旋回軸制御部としての制御部70の制御がZ軸モータ65zやシリンダ65z´の制御を含んでも構わない。
次に、本実施の形態に係るX線CT撮影装置1の動作について説明する。本実施の形態に係るX線CT撮影装置1でも、従来のX線CT撮影装置と異なり、X線CT撮影中に旋回軸をコーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸の方向と異なる方向に移動させることができる。そして、本実施の形態に係るX線CT撮影装置でも、X線検出部20のX線被照射部位の移動パターンがコーンビームX線12の移動パターンと異なるパターンを有する。
本実施の形態に係るX線検出部20のX線被照射部位や旋回軸等の関係を説明するための概略図を図14に示す。図14では、X発生部10及びX線検出部20を支持する旋回アーム31と被写体駆動部65とが図示されている。この旋回アーム31は、図示されていない駆動部60により旋回軸32を中心に旋回することができる。そして、被写体駆動部65は、被写体40を載せた被写体保持部材50を、コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させることができる。
この被写体駆動部65により、旋回軸32に対する被写体40の位置を水平方向(コーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸の方向と異なる方向)に移動可能である。
図14においても、被写体40に対して撮像系FSをずらし、被写体40に対してコーンビームX線12、X線イメージセンサ21の撮像面Sの位置をずらすことができる点は、図3に関して述べたのと同様であるが、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、撮像系FSに対して被写体保持部材50の方を移動させる。この移動により、撮像面Sのある位置と被写体40のある位置とが常には対応しないように被写体保持部材50を移動させ(つまり撮像系FSに対して被写体40を動かして)、X線CT撮影の間に、X線検出部20の撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出するように旋回軸32の移動が制御される。
本実施の形態に係る撮像系FSの移動パターンも、旋回軸32に対する被写体40の位置により制御することになるが、本実施の形態では、実施の形態1のように旋回軸32を移動させるのではなく、被写体保持部材50を移動させる。しかし、旋回軸32を移動させるか、被写体保持部材50を移動させるかは相対的であり、被写体保持部材50を移動させることで、結果的に図8に示した旋回軸32の位置Pの軌跡が得られるように撮像面Sの相対的な移動パターンを制御すれば良い。すなわち、原理的に説明すると、図4、5に示す被写体40に対する撮像系FSの相対的移動を、被写体保持部材50の移動によって実現するためには、図4、5における旋回軸32を位置PにずらすことなくCT撮影領域中心Oに固定し、被写体保持部材50に、図4、5に示す位置Pの移動に対しCT撮影領域中心Oを対称中心とする点対象の移動をさせる。機構的には、被写体保持部材50の任意の位置が、この点対象の移動の軌跡を描くように移動する。この移動を行わない場合のコーンビームX線12をコーンビームX線12aとし、移動を行った場合のコーンビームX線12をコーンビームX線12bとすると、被写体40、コーンビームX線12a、コーンビームX線12bの位置関係は、結果的には図4、5と同じである。
このことは、図6、図7でも同様である。考え方としては、実施の形態1において、図6、図7に示す例では、旋回角0°から360°までの間に、コーンビームX線12bがコーンビームX線12aの左側から出発し、右に移動していると考え、実施の形態2では、被写体保持部材50に保持された被写体40がコーンビームX線12bの右側から出発し、左側に移動すると考える。実施の形態1で考えられる旋回軸32の移動は、上記のように、実施の形態2において被写体保持部材50に実施の形態1における位置Pの移動に対しCT撮影領域中心Oを対称中心とする点対象の移動をさせることで実現できるので、これ以上の説明を省略する。
以上のように、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、被写体制御部であるCPU71が、X線CT撮影中に被写体移動機構であるX軸モータ65x,Y軸モータ65y,Z軸モータ65zを制御して被写体40をコーンビームX線12の照射方向と交差し、且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させることで相対的に旋回軸32の位置をコーンビームX線12aの照射方向と交差し且つ旋回軸32の方向と異なる方向に移動させ、X線検出部20の撮像面Sのいずれの位置においても、被写体40の撮影領域41のうち、異なる箇所を透過したX線を検出するように被写体保持部材50の移動が制御される。そのため、本実施の形態に係るX線CT撮影装置では、X線検出部20がCCDセンサやMOSセンサなどのX線イメージセンサで、仮に当該センサに感度のばらつきがあるなどの問題を有するピクセルが存在しても、同じ被写体40の部位を透過したコーンビームX線12が常に同じ位置のピクセルに照射されないので、欠陥を有するピクセルの影響を受けずにまたは低減してX線透過データを得ることができ、CT再構成した画像の関心領域中心部分にスジが生じる等の問題を回避あるいは低減できる。また、本請求項の構成であれば、X線発生部,X線検出部,旋回アーム31の制御部60に移動機構を設ける必要がない。
なお、本実施の形態に係るX線CT撮影装置でも、被写体保持部材50を移動させることで得られる旋回軸32の位置Pの軌跡は図8に限られず、図9,10,11に示す軌跡であっても良い。実施の形態1と実施の形態2においては、旋回アーム31が旋回することによりX線発生部10とX線検出部20が旋回するが、被写体保持部材50に回転力を伝達する図示しない旋回軸を設け、この旋回軸を図示しない旋回用モータ等で旋回駆動して、X線発生部10とX線検出部20からなる撮像系の側は旋回させずに、被写体保持部材50の方を撮像系FSに対して旋回させる構成とすることも可能である。この場合は、上記の図示しない旋回軸がX線発生部10とX線検出部20が被写体40の周りを相対的に旋回する中心となる旋回軸である。図13に示すX線CT撮影装置1においては、図示のX−YテーブルXYの上にさらに上記の図示しない旋回用モータ等を設けてX−YテーブルXYで2次元移動される被写体保持部材50をさらに旋回駆動する構成が考えられる。
実施の形態1と実施の形態2を組み合わせたものとしては、例えば次のようなものが考えられる。第1に、上述のX−YテーブルXYが支持手段30側の駆動部60側にも被写体駆動部65側にも備えられたもの。第2に、支持手段30側の駆動部60側にはXテーブルのみ備えられ、被写体駆動部65側にはYテーブルのみ備えられ、XテーブルとYテーブルとの総合運動で被写体40に対する旋回軸32または撮像系FSの2次元移動が可能であるもの。第3に、支持手段30側の駆動部60側にはYテーブルのみ備えられ、被写体駆動部65側にはXテーブルのみ備えられ、YテーブルとXテーブルとの総合運動で被写体40に対する旋回軸32または撮像系FSの2次元移動が可能であるものがある。
1 X線CT撮影装置、1´ X線CT撮影装置本体、10,101 X線発生部、11 X線発生器、12 コーンビームX線、13 X線遮蔽部材、20,102 X線検出部、21 X線イメージセンサ、22 X線被照射部位、30,110 支持手段、31 旋回アーム、32,103 旋回軸、32´ 軸心、40,100 被写体、40´ X線投射像、41 撮影領域、42 関心領域、50 被写体保持部材、60 駆動部、60x,65x X軸モータ、60y,65y Y軸モータ、60z,65z Z軸モータ、60r,111 旋回用モータ、61 支柱、62 ブラケット、65 被写体駆動部、70 制御部、71,105 CPU、72,106 X線検出部制御部、73,107 X線発生部制御部、80,108 操作部、90,109 表示部、94 端末、95 防X線室、XY X−Yテーブル
Claims (7)
- 発生させたコーンビームX線を被写体に向かって照射するX線発生部と、
前記被写体を挟んで前記X線発生部に対向配置され、前記X線発生部と共に旋回軸を中心にして前記被写体の周りを相対的に旋回し、前記X線発生部から照射された前記コーンビームX線を検出してX線透過データを得るX線検出部と、
前記X線発生部と前記X線検出部との対向状態を保ってそれぞれ支持する支持手段と、
前記旋回軸を前記被写体に対して相対的に移動させる旋回軸移動機構と、
前記旋回軸移動機構を制御する旋回軸制御部とを有するX線CT撮影装置において、
前記旋回軸制御部は、前記X線発生部及び前記X線検出部が前記被写体の周りを旋回してX線CT撮影をする間に、前記旋回軸移動機構を制御して、前記旋回軸の位置を前記コーンビームX線の照射方向と交差し、且つ前記旋回軸の方向と異なる方向に移動させることを特徴とするX線CT撮影装置。 - 請求項1に記載のX線CT撮影装置であって、
前記旋回軸制御部は、前記支持手段の旋回角の変化に伴い、異なる撮影領域に照射されたX線が前記X線検出部の撮像面に検出されるように前記旋回軸移動機構を制御して前記旋回軸を移動させることを特徴とするX線CT撮影装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のX線CT撮影装置であって、
前記支持手段に回転力を伝達して、前記旋回軸を中心に前記X線発生部及び前記X線検出部を旋回させる旋回機構をさらに備えることを特徴とするX線CT撮影装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記旋回軸制御部は、X線CT撮影をする間に、前記旋回軸移動機構を制御して前記旋回軸を、前記コーンビームX線の照射方向と直交し、且つ前記旋回軸の方向と直交する方向に移動させることを特徴とするX線CT撮影装置。 - 請求項3に記載のX線CT撮影装置であって、
前記支持手段は、旋回アームであって、支柱に昇降調節可能に設置されたブラケットに垂下支持されていることを特徴とするX線CT撮影装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のX線CT撮影装置であって、
前記旋回軸の移動は、前記コーンビームX線が旋回する周期と異なる周期を有していることを特徴とするX線CT撮影装置。 - 請求項6に記載のX線CT撮影装置であって、
前記旋回軸の移動の周期αは、前記X線発生部及び前記X線検出部の旋回の1周期に対して、0≦α<1又は1<α≦10の関係を満たすことを特徴とするX線CT撮影装置。
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