以下、本発明によるX線CT撮影装置1について、図1乃至図8とともに説明する。
なお、図1はX線CT撮影装置1の概略斜視図を示し、図2はセファロスタット43を装着したX線CT撮影装置1の部分正面図を示し、図3はX線CT撮影装置1の構成を示すブロック図を示し、図4はビーム成形機構13の概略斜視図を示している。
また、図5は照射範囲が規制されたX線コーンビームBXを照射した状態のX線発生部10の概略斜視図による説明図を示し、図6,7は縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての説明図を示している。
詳しくは、図5(a)は大照射野CT用の大照射野CT用X線コーンビームBX1を照射した状態のX線発生部10の概略斜視図を示し、図5(b)は小照射野CT用の小照射野CT用X線コーンビームBX2を照射した状態のX線発生部10の概略斜視図を示している。
また、図6(a)はX線コーンビームBXの照射範囲を大照射野CT用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示し、図6(b)はX線コーンビームBXの照射範囲を小照射野CT用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示し、図6(c)はX線の照射範囲をX線細隙ビームBXPとしてパノラマ撮影用に規制する場合の縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の位置調整についての正面図を示している。なお、図7(a)、(b)、(c)は、図6(a)、(b)、(c)と同様の状態をL型遮蔽板18で実施した場合について示している。
X線CT撮影装置1は、関心領域について長円状の長円状CT撮影領域CAaを設定するともに、表示手段として機能する操作表示部61と、該操作表示部61によって設定された長円状CT撮影領域CAaに対してX線CT撮影を実行して、投影データを収集する本体部2と、本体部2において収集した投影データを処理して、各種画像を生成する情報処理装置8とに大別される。
本体部2の制御部60、情報処理装置8の制御部と演算処理部801b(図3参照)は、X線CT撮影を含むX線撮影のプログラムIMP(図示省略)に従ってX線撮影を実行する。
なお、プログラムIMPは、画像表示ステップs100、重畳表示ステップs110、設定操作受付ステップs120及びX線規制ステップs130をこの順で進行する。
なお、中空の縦長直方体状の防X線室70に収容された本体部2と、防X線室70の壁面に装着された操作表示部61と、防X線室70の外部に配置された情報処理装置8とは、接続ケーブル83によって相互に接続されている。
本体部2は、被写体M1に向けてX線の束で構成するX線コーンビームBXやX線細隙ビームBXPを出射するX線発生部10と、X線発生部10で出射されたX線を検出するX線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20とをそれぞれ支持する支持体である旋回アーム30と、鉛直方向に延びる支柱50と、旋回アーム30を吊り下げるとともに、支柱50に対して鉛直方向に昇降移動可能な昇降部40と、本体制御部60とで構成している。なお、X線発生部10、X線検出部20及びX線発生部10のX線検出部20側に配置したビーム成形機構13を撮像機構3としている。
X線発生部10及びX線検出部20は、旋回アーム30の両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を介して、昇降部40に吊り下げ固定されている。
旋回アーム30は、正面視略逆U字状であり、上端部に備えた旋回軸31を旋回中心Scとして旋回する。なお、本実施形態において、旋回中心Scは上部フレーム41に対して固定した位置としている。また、正面視略逆U字状である旋回アーム30両端のそれぞれに、X線発生部10とX線検出部20とを装着している。なお、旋回アーム30の形状はこれに限定されず、例えば、円環状部分の中心を回転中心として回転する部材に、X線発生部10とX線検出部20とを対向するようにして支持してもよい。
ここで、以下においては、旋回軸31の軸方向と平行な方向(ここでは、鉛直方向、すなわち縦方向)を「Z軸方向」とし、このZ軸に交差する方向を「X軸方向」とし、さらにX軸方向及びZ軸方向に交差する方向を「Y軸方向」とする。なお、X軸及びY軸方向は任意に定め得るが、ここでは、被写体M1である被検者がX線CT撮影装置1において位置決めされて支柱50に正対した時の被検者の左右の方向をX軸方向とし、被検者の前後の方向をY軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、本実施形態では互いに直交するものとする。また、以下において、Z軸方向を鉛直方向、X軸方向とY軸方向の2次元で規定される平面上の方向を水平方向と呼ぶこともある。
これに対して、旋回する旋回アーム30上の三次元座標については、X線発生部10とX線検出部20とが対向する方向を「y軸方向」とし、y軸方向に直交する水平方向を「x軸方向」とし、これらx及びy軸方向に直交する鉛直方向を「z軸方向」とする。本実施形態及びそれ以降の実施形態においては、上記のZ軸方向はz軸方向と共通する同一の方向となっている。また本実施形態の旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を回転軸として旋回する。したがって、xyz直交座標系は、XYZ直交座標系に対してZ軸(=z軸)周りに回転することとなる。
また、図1に示すX線発生部10、X線検出部20を上から平面視したときにX線発生部10からX線検出部20へ向かう方向を(+y)方向とし、この(+y)方向に直交する水平な右手方向(図示の旋回アーム30の向きにおいて、図示の被写体M1の正面側)を(+x)方向とし、鉛直方向上向きを(+z)方向とする。
昇降部40は、上部フレーム41と下部フレーム42とで構成し、鉛直方向に沿って立設された支柱50に係合する側の反対側、つまり正面側に突出する構成である。
支持体保持手段として機能する上部フレーム41には、旋回アーム30における旋回軸31が取り付けられており、昇降部40が支柱50に沿って鉛直方向に移動することによって、旋回アーム30を上下に移動することができる。
なお、上部フレーム41には、旋回軸31を中心として、旋回アーム30を旋回させる旋回用モータ37(支持体駆動部に対応)を備え、ベルトやプーリ、回転軸等からなり、旋回軸31中を通る伝達機構(図示省略)により、旋回用モータ37による回転力を旋回アーム30に伝達して、旋回アーム30を旋回させる。なお、本実施形態では、旋回軸31が鉛直方向に沿って延びるように構成されているが、旋回軸は鉛直方向に対して任意の角度で傾けてもよい。
また、旋回軸31と旋回アーム30の間にはベアリング38(図23参照)が介在しており、旋回軸31に対して旋回アーム30がスムーズに回転するよう構成している。
なお、旋回軸31、ベアリング38、ベルトやプーリ、回転軸等からなる伝達機構及び旋回用モータ37(図23参照)は、旋回アーム30を旋回する旋回機構の一例であり、上述の旋回機構では回転しない旋回軸31に対して旋回アーム30が旋回する構造であるが、このようなものに限定されない。
例えば、旋回アーム30に回転固定された旋回軸31を、上部フレーム41に対して回転させて旋回アーム30を旋回してもよい。
下部フレーム42には、被写体M1(ここでは、人体の頭部)を左右から固定するイヤロッドや、顎を固定するチンレスト等で構成される被写体固定部421を設けている。
旋回アーム30は、被写体M1の身長に合わせて昇降部40の昇降に伴って昇降されて適当な位置に合わせられ、その状態で被写体M1が被写体固定部421に固定される。なお、被写体固定部421は、図1に示した例では被写体M1の体軸が旋回軸31の軸方向とほぼ同じ方向となるように被写体M1を固定する。
X線規制制御部及び駆動制御部として機能する本体制御部60は、本体部2の各構成の動作を制御する制御部であり、図1に示すように、X線検出部20の内部に配置されている。
また、本体制御部60の外側、すなわちX線検出部20のX線検出器21を設置している側における背面側には、各種命令を入力操作するためのボタン等や各種情報を表示するタッチパネルで構成した操作表示部62が取り付けられている。
本体部2を収容する防X線室70の壁の外側には、本体制御部60からの制御に基づいて、各種命令を入力操作するためのボタン等や各種情報を表示するタッチパネルで構成した操作表示部61が取り付けられている。
なお、操作者(術者)は操作表示部62によって本体部2を操作してもよいし、操作表示部61によって本体部2を操作してもよい。
さらに、操作表示部62と操作表示部61とで行う操作や表示を分担するように構成してもよいし、操作表示部62と操作表示部61とで行う操作や表示の一部あるいは全部を共通のものとしてもよい。
さらにまた、例えば、防X線室70を設けない場合は、操作表示部61を省略するように、操作表示部62と操作表示部61の一方を省略してもよい。以下において、操作表示部61による表示や操作について説明するが、操作表示部62による表示や操作に置き換えてもよい。
操作表示部61は、生体器官等の撮影領域の位置などを指定すること等にも用いられる。また、X線撮影には各種のモードがあるが、操作表示部61の操作によって、モードの選択ができるように構成してもよい。
詳しくは、操作表示部61には、図8に示すような、長円状CT撮影領域CAaを設定するためのCT撮影領域設定画面200を表示する。なお、操作表示部62に表示する場合は、CT撮影領域設定画面200と同様のCT撮影領域設定画面202を操作表示部62に表示する。
CT撮影領域設定手段として機能するCT撮影領域設定画面200は、歯列弓画像211を表示する画像表示部210と、上下顎選択部220と、選択範囲設定部230と、条件設定部240とで構成している。なお、図8におけるCT撮影領域設定画面200は、歯列弓領域Xに対して、歯列弓を構成するアーチ状の曲線に沿った長円状の長円状CT撮影領域CAaを設定する長円状モ−ドの設定画面である。
画像表示部210は、表示された歯列弓画像211(画像表示ステップs100)に対して、設定する長円状CT撮影領域CAaにおける長手方向の中心を指定する指定カーソル(ポインタ)212と、指定カーソル212で指定された中心に対し、後述する選択範囲設定部230で指定された長円状CT撮影領域CAaが囲む歯の本数に応じた長円状であり、設定CT撮影領域を示す設定領域画像であるCT撮影領域ライン213とを重畳表示している(重畳表示ステップs110)。
厳密には、CT撮影領域ライン213で示される表示上の設定CT撮影領域(上記の場合は長円状CT撮影領域CAa)と、実際の三次元空間上のCT撮影領域とは区別して考えられる。しかしながら、図8、図14に示す実施形態では、好ましくは表示上の設定CT撮影領域と実際の三次元空間上のCT撮影領域とを領域的に一致するように設定している。ただし、表示上の設定CT撮影領域を操作者(術者)が認識しやすいように実際の三次元空間上のCT撮影領域に対して若干変形加工して表示するように構成してもよい。
上下顎選択部220は、長円状CT撮影領域CAaを上顎に設定するUPPERボタン221と、上顎及び下顎の両方に設定するFULLボタン222と、下顎に設定するLOWERボタン223とで構成している。
選択範囲設定部230は、等間隔に歯数が設定されたスケール231aと、スケール231aに対して所望の本数を指定可能にスライドするスライダ231bとで構成するスライド設定部231を有している。
条件設定部240は、Setボタン241と、Resetボタン242と、Startボタン243と、Modeボタン244と、Returnボタン245とで構成している。
Setボタン241は、画像表示部210、上下顎選択部220及び選択範囲設定部230で設定された長円状CT撮影領域CAaの指定内容を確定する(設定操作受付ステップs120を実行する)操作ボタンである。
Resetボタン242は、画像表示部210、上下顎選択部220及び選択範囲設定部230で設定された長円状CT撮影領域CAaの指定内容をリセットする操作ボタンである。
Startボタン243は、Setボタン241で確定した指定内容に基づいて長円状CT撮影領域CAaのX線CT撮影を開始指示する操作ボタンである。
Modeボタン244は、各種モードを選択するためのボタンであり、複数本の歯を含む長円状CT撮影領域CAaを設定する長円状モ−ドから、歯列弓領域Xにおける局所的な撮影対象物に対して真円状の真円状CT撮影領域CAdを設定する真円状モードとを切り替える操作ボタンである。なお、パノラマ撮影も可能な装置である場合には、Modeボタン244によってパノラマモードの選択も可能に構成することとなる。
なお、上記パノラマ撮影はパノラマX線撮影を示しており、パノラマ画像はパノラマX線画像である。
Returnボタン245は、図示省略する初期画面に戻る操作ボタンである。
なお、上述の説明では、操作表示部61をタッチパネルで構成し、CT撮影領域設定画面200に表示した指定カーソル212等の操作による長円状CT撮影領域CAaの設定操作を受け付けたが、操作表示部61を液晶画面で構成し、マウスやポインティングデバイスや、あるいは操作表示部61の近傍に配置した操作ボタンによって、CT撮影領域CAの設定操作を受け付けてもよい。
また、上述の説明では、操作表示部61にCT撮影領域設定画面200を表示して、CT撮影領域CAの設定操作を受け付けたが、CT撮影領域設定画面200を、後述する情報処理装置8の表示部81に表示して、CT撮影領域CAの設定操作を受け付けてもよい。
情報処理装置8は、情報処理本体部80と、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示部81、及び、キーボードやマウス等で構成される操作部82とで構成し、操作者(術者)は操作部82を介して情報処理装置8に対して各種指令を入力することができる。なお、表示部81は、タッチパネルで構成することも可能であり、この場合は、表示部81が操作部82の機能の一部または全部を備えることとなる。
情報処理本体部80は、例えばコンピュータやワークステーション等で構成され、通信ケーブルである接続ケーブル83によって本体部2との間で各種データを送受信することができる。ただし、本体部2と情報処理装置8との間で、無線通信によりデータを送受信してもよい。
情報処理装置8は、本体部2で取得された投影データを加工して、ボクセルで表現される三次元データ(ボリュームデータ)を再構成する処理装置であり、例えば、三次元データ中に特定の面を設定し、その特定の面の断層面画像を再構成することができる。
なお、図2に示すように、X線CT撮影装置1にセファロスタット43を装着してもよい。詳しくは、セファロスタット43は、例えば、昇降部40の途中から水平方向に延びるアーム501に取り付けられる。セファロスタット43には、頭部を定位置に固定する固定具431やセファロ撮影用のX線検出器432が備えられる。なお、セファロスタット43としては、特開2003−245277号公報に開示されているセファロスタットを含む種々のものを採用することができる。
次に、X線発生部10で発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線コーンビームBXを形成するビーム成形機構13について図4乃至図7とともに説明する。
旋回アーム30においてX線検出部20に対向配置したX線発生部10は、X線管をハウジング11に収容したX線発生器10aで構成している。なお、ハウジング11の前面には、X線管で発生したX線の透過を許容する出射口12を備えている。そして、出射口12の前方(図4における手前側であり、X線発生部10に対してy軸方向)にビーム成形機構13を配置している。
X線規制部として機能するビーム成形機構13は、X線の照射範囲における縦方向(z方向)を遮蔽する縦方向遮蔽板14(14a,14b)と、横方向(x方向)を遮蔽する横方向遮蔽板15(15a,15b)と、縦方向遮蔽板14や横方向遮蔽板15を移動させる遮蔽板移動機構16(16a,16b)とで構成している。
縦方向遮蔽板14は、出射口12の正面視上下のそれぞれに配置した横長板状の上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとがある。また、横方向遮蔽板15は、出射口12の正面視左右のそれぞれに配置した縦長板状の左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとがある。なお、図4に示すように、横方向遮蔽板15を縦方向遮蔽板14よりX線発生部10側に配置しているが、縦方向遮蔽板14を横方向遮蔽板15よりX線発生部10側に配置してもよい。
遮蔽板移動機構16は、2枚構成した縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する遮蔽板縦方向移動機構16aと、2枚構成した横方向遮蔽板15を横方向に移動する遮蔽板横方向移動機構16bとがある。
遮蔽板縦方向移動機構16aは、縦方向遮蔽板14に対して縦方向に備えたネジ溝141(内部に雌ネジを切った被案内部材)に螺合する縦方向ネジシャフト161aを位置調整モータ162a(162)で回転させ、縦方向遮蔽板14を縦方向に移動する。なお、遮蔽板縦方向移動機構16aは、上側縦方向遮蔽板14aに対して上方に、下側縦方向遮蔽板14bに対して下方にそれぞれ配置されているため、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとは、独立して縦方向に移動することができる。
具体的には、縦方向ネジシャフト161aは上下独立に2本あり、上側の1本が上側縦方向遮蔽板14aのネジ溝141に螺合し、下側の1本が下側縦方向遮蔽板14bのネジ溝141に螺合している。
また、横長板状の縦方向遮蔽板14に対して横方向にずらして遮蔽板縦方向移動機構16aを配置し、横方向反対側に傾き規制孔142(内部に縦方向の貫通口を通した被案内部材)を備え、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bの両方の傾き規制孔142を挿通する傾き規制シャフト143を備えているため、縦方向遮蔽板14は傾くことなく、遮蔽板縦方向移動機構16aによって縦方向に移動することができる。
なお、遮蔽板縦方向移動機構16aは、X線コーンビームBXの縦方向における照射方向を制御する縦方向照射位置調整手段として機能することができる。
遮蔽板横方向移動機構16bは、横方向遮蔽板15に対して横方向に備えたネジ溝161(内部に雌ネジを切った被案内部材)に螺合する横方向ネジシャフト161bを位置調整モータ162b(162)で回転させ、横方向遮蔽板15を横方向に移動する。なお、遮蔽板横方向移動機構16bは、左側横方向遮蔽板15aに対して左側に、右側横方向遮蔽板15bに対して右側にそれぞれ配置されているため、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとは、独立して横方向に移動することができる。
具体的には、縦方向ネジシャフト161bは左右独立に2本あり、左側の1本が左側横方向遮蔽板15aのネジ溝161に螺合し、右側の1本が右側横方向遮蔽板15bのネジ溝161に螺合している。
また、縦長板状の横方向遮蔽板15に対して縦方向にずらして遮蔽板横方向移動機構16bを配置し、縦方向反対側に傾き規制孔152を備え、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bの両方の傾き規制孔152(内部に横方向の貫通口を通した被案内部材)を挿通する傾き規制シャフト153を備えているため、遮蔽板移動機構16は傾くことなく、遮蔽板横方向移動機構16bによって横方向に移動することができる。
このように、ビーム成形機構13を縦方向遮蔽板14、横方向遮蔽板15及び遮蔽板移動機構16で構成し、X線発生部10における出射口12の前方に配置することにより、X線発生部10で発生したX線の照射範囲を遮蔽して規制し、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線コーンビームBXを形成することができる。
詳しくは、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を遮蔽板縦方向移動機構16aで調整し、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を遮蔽板横方向移動機構16bで調整することで、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c及び左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15cにより、所望の形状のX線コーンビームBXを形成する正面視四角形状の開口17を形成することができる。
より具体的には、図5(a)及び図6(a)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を広く調整するとともに、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を広く調整することで、開口17は正面視大きな正方形状の大照射野用開口17aとなり、大照射野用開口17aを透過したX線は断面が大きな正方形となり、X線検出部20に向けて角錐台状に広がる大照射野用X線コーンビームBX1を照射することができる。
これに対し、図5(b)及び図6(b)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を狭く調整するとともに、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を狭く調整することで、開口17は正面視小さな正方形状の小照射野用開口17bとなり、小照射野用開口17bを透過したX線は断面が小さな正方形となり、X線検出部20に向けて角錐台状に広がる小照射野用X線コーンビームBX2を照射することができる。
さらには、図6(c)に示すように、上側縦方向遮蔽板14aと下側縦方向遮蔽板14bとにおける対向縁部14c同士の間隔を広く調整し、左側横方向遮蔽板15aと右側横方向遮蔽板15bとにおける対向縁部15c同士の間隔を狭く調整することで、開口17は正面視縦長の長方形状のパノラマ撮影用開口17cとなり、パノラマ撮影用開口17cを透過したX線は断面が正面視縦長の長方形となり、細隙状に鉛直方向に延伸し、X線検出部20に向けて縦長角錐台状に広がるX線細隙ビームBXP(図22参照)を照射することができる。
なお、上述のビーム成形機構13は、それぞれ2枚構成した縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15を遮蔽板移動機構16で移動し、所望のX線コーンビームBXを照射するための開口17を形成したが、例えば、図7に示すように、正面視L型の2枚のL型遮蔽板18を、開口17の中心に対して点対称配置し、L型遮蔽板18の内角部を構成する縁部18a同士で開口17を構成することができる。
この場合、各L型遮蔽板18に遮蔽板縦方向移動機構16aと遮蔽板横方向移動機構16bの両方を備え、各L型遮蔽板18を縦方向及び横方向に移動することで開口17の形状を調整することができる。
例えば、遮蔽板横方向移動機構16bと同様の横方向移動機構によって横方向に変位する図示しない基台上に遮蔽板縦方向移動機構16aと同様の縦方向移動機構を設け、この縦方向移動機構によって1枚のL型遮蔽板18を縦方向に変位させる。
これらの横方向移動機構、基台、縦方向移動機構、L型遮蔽板18の組を2組合わせて遮蔽板移動機構16を構成することができる。
X線発生部10に対向して旋回アーム30に配置したX線検出部20は、X線を検出するための検出面21’を有するX線検出器21で主要部を構成し、確実に検出面にX線コーンビームBXを投影することができる。
上述したように構成したX線CT撮影装置1は、図3に示すように、ビーム成形機構13、旋回用モータ37(図23参照。図23に示すように旋回アーム30側にあってもよいし、上述のように上部フレーム41側にあってもよい)、X線発生部10及びX線検出部20が本体制御部60に接続されており、予め決められたプログラムに従って駆動することによって、撮影対象物に対して設定した長円状CT撮影領域CAaを適切にX線CT撮影することができる。以下において、X線CT撮影装置1で右側歯列撮影対象物OB1をX線CT撮影する態様について説明する。
なお、以下の説明において、前歯を含む前歯側の歯T1、左側臼歯を含む左側臼歯側の歯T2及び右側臼歯を含む右側臼歯側の歯T3(以下、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3という)で構成する上顎の歯列弓における前歯T1から右側臼歯T3までの範囲を右側歯列撮影対象物OB1としている。そして、上顎における右側歯列撮影対象物OB1をX線CT撮影するために、右側歯列撮影対象物OB1(図8においてCT撮影領域ライン213で囲んだ範囲)を、旋回軸31の軸方向から見て、歯列弓領域Xにおける右側の曲線に沿った長円柱状の長円状CT撮影領域CAaとしてX線CT撮影する場合について説明する。
なお、図8等においては、下顎頭を有する下顎骨を図示しているが、上顎についてCT撮影領域CAを設定する場合であっても、下顎骨の形状を図示することにより歯牙等の位置を把握できるため、下顎骨と上顎骨の図示を分けることなく、下顎骨を表示しているだけであり、上顎骨にCT撮影領域CAを設定する場合と下顎骨にCT撮影領域CAを設定する場合とで操作表示部61にそれぞれの顎骨を表示してもよい。
まず、右側歯列撮影対象物OB1をX線CT撮影するためには、操作表示部61に表示されたCT撮影領域設定画面200において、右側歯列撮影対象物OB1を含むCT撮影領域ライン213を設定する。
詳述すると、右側歯列撮影対象物OB1が上下額の一方、あるいは両方かに応じて、上下顎選択部220の各種ボタンで選択する。なお、図8では、上下顎選択部220でUPPERボタン221が押下され、上顎が選択された場合であっても、画像表示部210に顎骨頭を有する下顎の歯列弓画像211を表示しているが、上下顎選択部220における選択操作によって、選択された側の顎骨の歯列弓画像211を切り替え表示してもよい。
次に、CT撮影領域設定画面200の画像表示部210に表示された歯列弓画像211に対して、指定カーソル212で長円状CT撮影領域CAaにおける長手方向の中心を指定するとともに、選択範囲設定部230におけるスライダ231bをスライドさせて長円状CT撮影領域CAaに含まれる歯数を設定する。
なお、スライド設定部231で指定する歯数が奇数本である場合は、長円状CT撮影領域CAaにおける長手方向の中心として、長手方向の中心となる歯を指定カーソル212で指定する。
具体的には、歯TH1,TH2,TH3という歯の並びがある場合において、歯TH2が長手方向の中心の歯であって、歯TH1,TH2,TH3がCT撮影対象であるならば、指定カーソル212で歯TH2を指定するとともに、スライド設定部231で3本の歯数を指定して、歯TH1,TH2,TH3に対して長円状CT撮影領域CAaを設定する。
また、スライド設定部231で指定する歯数が偶数本である場合は、長円状CT撮影領域CAaにおける長手方向の中心として、長手方向の中心付近の2本の歯の間を指定カーソル212で指定することとなる。
具体的には、歯TH1,TH2,TH3,TH4,TH5という歯の並びがあり、歯TH1〜TH4を関心領域とした場合において、指定カーソル212で歯TH2と歯TH3の間の地点を指定して、スライド設定部231で4本の歯数を指定して、歯TH1〜TH4に対して長円状CT撮影領域CAaを設定する。
ただし、必ずしも歯と歯の間を指定せずとも、指定歯数が奇数本である場合と同様、関心領域の中心付近にある歯を指定するように構成してもよい。この場合に、実際にどのような範囲を長円状CT撮影領域CAaとして設定するかは、任意に決めておくことができる。
具体的には、歯TH3を指定して、スライド設定部231で4本の歯数を指定した場合に、歯TH1、歯TH5のそれぞれの中央部分が境界領域になるようにして、歯TH1の半分の領域と、歯TH2〜TH4の全領域と、歯TH5の半分の領域に対して長円状CT撮影領域CAaを設定するように構成してもよい。
さらに、前歯寄りの4本の歯TH1〜TH4に対して長円状CT撮影領域CAaを設定したり、奥歯寄りの4本の歯TH2〜TH5に対して長円状CT撮影領域CAaを設定したり、あるいは、設定範囲を切り上げて歯TH1〜TH5の全てに対して長円状CT撮影領域CAaを設定するか、切り下げて歯TH2〜TH4に対して長円状CT撮影領域CAaを設定するというように、長円状CT撮影領域CAaにおける長手方向の中心の位置を若干調整するように構成してもよい。
CT撮影領域設定画面200で入力操作された、長円状CT撮影領域CAaにおける長手方向の中心と、長円状CT撮影領域CAaに含まれる歯数の指定操作情報は情報処理装置8に送信され、指定情報を受け付けた情報処理装置8は、中心位置と歯数とに応じて予め設定された長円状のCT撮影領域ライン213に関する情報を操作表示部61に送信する。情報処理装置8よりCT撮影領域ライン213に関する情報を受信した操作表示部61は、CT撮影領域設定画面200の画像表示部210において、歯列弓画像211と、受信した情報に基づくCT撮影領域ライン213とを重畳表示する。
CT撮影領域設定画面200を確認した操作者(術者)によって、CT撮影領域ライン213が歯列弓画像211に対して所望の位置及び範囲に設定されていることが確認され、Setボタン241が押下されると、CT撮影領域ライン213を設定長円状CT撮影領域CAaとして情報処理装置8に送信し、さらに、Startボタン243が押下されると、後述するように、設定長円状CT撮影領域CAaに基づいて、X線CT撮影装置1による右側歯列撮影対象物OB1のX線CT撮影を開始する。
これに対し、Resetボタン242が押下されると、画像表示部210、上下顎選択部220及び選択範囲設定部230による指定操作をキャンセルし、指定前のデフォルトである初期状態に戻る。
なお、図示省略するUNDOボタン、REDOボタンをさらに備え、1つ前の操作状態に戻ったり、戻ったところから1つ後の操作状態に進むように構成してもよい。
設定CT撮影領域CAに基づく、X線CT撮影装置1による右側歯列撮影対象物OB1のX線CT撮影は、被写体M1がX線CT撮影装置1における所定位置についた状態において(図1参照)、旋回アーム30が右側臼歯T3側にX線発生部10、左側臼歯T2側にX線検出部20となる初期位置(第1旋回位置)から、図9に示すように、旋回軸31を旋回中心Scとして180度以上旋回して撮影する(X線規制ステップs130)。
なお、180度の旋回角度のみの旋回でもCT撮影はできるが、CT撮影領域のいずれの箇所についても180度以上分の投影データを得ることが好ましいため、X線コーンビームBXの旋回軸31の軸方向から見た広がり角分を180度に加えた旋回角度でCT撮影することがさらに好適である。また、良好な画像を生成するために、360度分の旋回角度を旋回することがさらに好適である。しかしながら、良好な画像を得つつCT撮影時間とX線被曝量の増大を抑えるためには、360度分の旋回でCT撮影を終えることがより好ましい。
なお、上述の180度の旋回角度、X線コーンビームBXの旋回軸31の軸方向から見た広がり角分を180度に加えた旋回角度、あるいは360度分の旋回角度は、画像再構成上、実質的な差が生じない程度の多少の角度の増減を含む範囲を想定している。
詳しくは、X線CT撮影装置1は、旋回軸31を旋回中心Scとして回転させることでX線コーンビームBXを旋回させている間、予め定められた回数分、X線検出部20にて投影データを収集する。具体的には、本体制御部60が旋回用モータ37を監視し、旋回軸31周りに旋回する旋回アーム30が所定の角度分回転する毎に、X線検出器21でのX線の検出データを投影データとして収集する。
なお、X線発生部10によるX線コーンビームBXの照射は、旋回アーム30が旋回する間、X線コーンビームBXを被写体に対して常時照射するように構成してもよいし、X線検出部20がX線を検出するタイミングに合わせて、X線コーンビームBXを間欠的に照射してもよい。後者の場合、被写体M1に対して、X線が間欠的に照射されることとなるため、被写体のX線被曝量を低減することができる。
収集された投影データは、逐次情報処理装置8に転送され、例えば記憶部802に記憶される。そして収集された投影データは、演算処理部801bにおいて加工され、三次元データに再構成される。演算処理部801bにおける再構成の演算処理は、所定の前処理、フィルタ処理、逆投影処理等で構成される。これらの演算処理については、周知技術を含む各種演算処理技術を適用することが可能である。
なお、図9は、初期位置(第1旋回位置)となる状態から第5旋回位置までの旋回アーム30の旋回において、X線発生器10a、横方向遮蔽板15、X線検出器21の軌跡を、第1旋回位置において実線で図示し、第2旋回位置以降において点線で図示している。図10(a)は旋回アーム30が初期位置(第1旋回位置)となる状態の平面概略図を示し、図10(b)は旋回アーム30が第2旋回位置となる状態の平面概略図を示している。同様に、図11(a)は第3旋回位置、図11(b)は第4旋回位置、図12(a)は第5旋回位置、図11(b)は初期位置(第1旋回位置)乃至第5旋回位置までの各状態を合成した状態の平面概略図を示している。
図9乃至図12において図示する旋回位置は、X線CT撮影の状況について説明を容易にするために所定角度ごとに図示しているにすぎず、CT撮影中、旋回は停まることなく連続して行われる。なお、図12(a)に示すように、上述したように初期位置(第1旋回位置)から180度旋回した位置である第5旋回位置は、初期位置のX線発生部10に対する右側歯列撮影対象物OB1を中心とした対称位置となる。
図9乃至図12に示すように、初期位置から旋回中心Scの回りを旋回する旋回アーム30において、X線発生部10からy軸方向に沿って照射するX線コーンビームBXの水平方向基準照射中心線BCL1は旋回中心Scを通り、X線検出部20に向かう。しかし、右側歯列撮影対象物OB1を含む長円柱状の長円状CT撮影領域CAaは、旋回中心Scに対して+x側に偏心しているため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの水平方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
すなわち、図9に示した長円状のCT撮影領域CAaのCT撮影をする場合、旋回アーム30の旋回位置が変化していくことによりX線発生部10側から見た長円状のCT撮影領域CAaの横方向の端部の旋回中心Scに対する偏心量が変化する。この偏心量の変化に合わせてX線コーンビームBXの水平方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
また、右側歯列撮影対象物OB1を含む長円柱状の長円状CT撮影領域CAaの横方向の幅は、横方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭いため、X線コーンビームBXの横方向の広がりを長円柱状の長円状CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整する。
具体的には、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bにより、旋回角度に応じてそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを長円状CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって−x側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を長円状CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
したがって、図10乃至図12において斜線で示す範囲のX線被曝量を低減することができる。
より詳しくは、図10(a)に示すように、長円状CT撮影領域CAaの長手方向に対して略直交する方向にX線コーンビームBXを照射する初期位置(第1旋回位置)では、左側横方向遮蔽板15aをわずかに−x側に変位させ、右側横方向遮蔽板15bを大きく+x側に変位させて、図6(a)に示す大照射野用開口17aに比べておよそ半分程度の幅の開口17を形成する。その結果、X線コーンビームBXの−x側の境界ラインが水平方向基準照射中心線BCL1に一致する程度に、X線コーンビームBXの照射方向を+x側に偏心させて、長円状CT撮影領域CAaの長手方向の略両端部を含むX線コーンビームBXを照射する。
したがって、図26や図27に示すような、従来のX線CT撮影において歯列弓領域X全体を含む円柱状のCT撮影領域CAoを撮影する場合と比較して、図10(a)において斜線で示す長円状CT撮影領域CAaに対して必要のない範囲おけるX線被曝量を低減することができる。
これに対し、図10(b)に示す第2旋回位置では、X線コーンビームBXの照射方向が、長円状CT撮影領域CAaの長手方向に対して略同方向となるため、左側横方向遮蔽板15aをさらにわずかに−x側に変位させるとともに、右側横方向遮蔽板15bをさらに大きく+x側に変位させて、図10(a)に示す初期位置(第1旋回位置)よりもおよそ半分程度の幅の開口17を形成するとともに、X線コーンビームBXの照射方向を水平方向基準照射中心線BCL1よりもさらに+x側に偏心させて、長手方向に直交する長円状CT撮影領域CAaの幅方向を含むX線コーンビームBXを照射する。
したがって、初期位置(第1旋回位置)よりもさらに長円状CT撮影領域CAaに対して必要のない範囲おけるX線被曝量を低減することができる。
図11(a)に示す第3旋回位置では、X線コーンビームBXの照射方向と長円状CT撮影領域CAaの長手方向とが交差するため、右側横方向遮蔽板15bを初期値での位置に戻して、図10(a)に示す初期位置(第1旋回位置)に対して2/3倍程度の幅の開口17を形成するとともに、第2旋回位置での照射方向から−x側に戻し、その結果、初期位置(第1旋回位置)と同様に、X線コーンビームBXの−x側の境界ラインが水平方向基準照射中心線BCL1に一致する程度に、X線コーンビームBXの照射方向を+x側に偏心させて、長手方向が照射方向に対して交差する方向である長円状CT撮影領域CAaの略両端を含むX線コーンビームBXを照射する。
したがって、第2旋回位置と比べて必要のない範囲おけるX線被曝量の低減量は減少するものの、初期位置(第1旋回位置)よりもさらに長円状CT撮影領域CAaに対して必要のない範囲おけるX線被曝量を低減することができる。
図11(b)に示す第4旋回位置では、X線コーンビームBXの照射方向と長円状CT撮影領域CAaの長手方向との交差角度が第3旋回位置より大きくなるため、左側横方向遮蔽板15a及び右側横方向遮蔽板15bを−x側に変位し、図10(a)に示す初期位置(第1旋回位置)と同程度の幅の開口17を形成するとともに、第2旋回位置での照射方向から−x側に戻して、幅方向中央付近を照射方向とし、長円状CT撮影領域CAaの略両端を含むX線コーンビームBXを照射する。
したがって、長円状CT撮影領域CAaに対して必要のない範囲おけるX線被曝量を初期位置(第1旋回位置)と同程度低減することができる。
図12(a)に示す第5旋回位置は、初期位置に対して旋回中心Scを通る直線の線対称位置であるため、図10(a)に示す初期位置(第1旋回位置)と同程度の幅の開口17を形成するとともに、第2旋回位置での照射方向から−x側に偏心して、幅方向中央付近に対して−x側に偏心した照射方向とし、長円状CT撮影領域CAaの略両端を含むX線コーンビームBXを照射する。したがって、長円状CT撮影領域CAaに対して必要のない範囲おけるX線被曝量を初期位置(第1旋回位置)と同程度低減することができる。
上述のように、X線発生部10からX線検出部20に向かって照射するX線コーンビームBXの水平方向基準照射中心線BCL1に対する長円状CT撮影領域CAaの位置は旋回アーム30の旋回位置に応じて変化するため、旋回アーム30の旋回位置に応じて、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bにより、旋回角度に応じてそれぞれ調整し、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって−x側に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を長円状CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
また、X線コーンビームBXの縦方向の広がりもCT撮影対象に合わせて規制するように構成してもよい。例えば、CT撮影対象が上顎の歯牙である場合は、上顎部分のみがX線コーンビームBXの照射対象となるように規制する。
なお、図13はX線発生器10a、X線コーンビームBX、X線発生部20(具体的にはX線検出器21)を−x方向から+x方向に向かって見た図であり、CT撮影対象が上顎の歯牙など上方に在る場合の様子を示している。
さらにまた、右側歯列撮影対象物OB1を含む長円柱状の長円状CT撮影領域CAaは、X線発生部10からX線検出部20に向かって水平に照射するX線コーンビームBXの鉛直方向基準照射中心線BCL2に対して縦方向に偏心しているため、X線発生部10から照射するX線コーンビームBXの鉛直方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
なお、図示の例ではX線コーンビームBXを水平に照射し、鉛直方向基準照射中心線BCL2はX線検出器21の検出面21に対して垂直入射しているが、後述のパノラマ撮影を行うために適した、X線発生器10aよりもX線検出器21を高く配置する構成である場合においてはX線コーンビームBXを仰角に照射することとなる。
また、右側歯列撮影対象物OB1を含む長円柱状の長円状CT撮影領域CAaの縦方向の高さは、縦方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して狭いため、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを長円柱状の長円状CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整する。
詳しくは、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを長円状CT撮影領域CAaの高さに合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側(+z側)に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を長円状CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
また、図13(b)に示すように、X線発生部10からX線検出部20に向かって照射するX線コーンビームBXの鉛直方向基準照射中心線BCL2に対する長円状CT撮影領域CAaの位置は旋回アーム30の旋回位置に応じて変化する。したがって、旋回アーム30の旋回位置に応じて、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって上側(+z側)に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を長円状CT撮影領域CAaに合わせて調整する。
図示の例では図13(b)に示す長円状CT撮影領域CAaの図示の右上角の位置が図13(a)に示す位置よりも旋回中心Scに近いため、X線コーンビームBXの上端の高さもその分下側(−z側)に向けて下がっている。同様の調整を長円状CT撮影領域CAaの図示の左下角の位置とX線コーンビームBXの下端の高さについても行う。
このように、水平方向において旋回中心Sc及び水平方向基準照射中心線BCL1に対して偏心するとともに、横方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXと比較して狭い長円状CT撮影領域CAaに対して、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を旋回アーム30の旋回位置に応じて遮蔽板横方向移動機構16bでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを長円状CT撮影領域CAaの幅に合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をx方向に変位させて、X線コーンビームBXの照射方向を長円状CT撮影領域CAaに合わせて調整することにより、水平方向において、関心領域である右側歯列撮影対象物OB1に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
なお、ビーム成形機構13によるX線コーンビームBXの広がり制御は撮影中に行われる。
また、鉛直方向において、鉛直方向基準照射中心線BCL2に対して偏心するとともに、縦方向の広がりを規制しないX線コーンビームBXに対して高さの低い長円状CT撮影領域CAaに対して、縦方向遮蔽板14(14a,14b)の出射口12に対する縦方向位置を旋回アーム30の旋回位置に応じて遮蔽板縦方向移動機構16aでそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを長円状CT撮影領域CAaの高さに合わせて狭く調整するとともに、出射口12に対して開口17をz方向に変位させて、X線コーンビームBXの照射方向を長円状CT撮影領域CAaに合わせて調整することにより、鉛直方向において、関心領域である右側歯列撮影対象物OB1に対して適切にX線コーンビームを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
なお、上述の説明では、長円状CT撮影領域CAaの中心付近をCT撮影領域設定画面200の画像表示部210における指定カーソル212で指定するとともに、選択範囲設定部230で長円状CT撮影領域CAaに含まれる本数を指定し、長円状CT撮影領域CAaを設定したが、この指定方法に限定されない。以下において、別のCT撮影領域設定画面について、図14乃至図17とともに説明する。
図14に示すCT撮影領域設定画面200Aは、図8に示すCT撮影領域設定画面200と同様に、画像表示部210A、上下顎選択部220、及び条件設定部240を備えているが、CT撮影領域設定画面200における選択範囲設定部230を備えていない。CT撮影領域設定画面200Aにおける上下顎選択部220及び条件設定部240については、CT撮影領域設定画面200と同じであるため、説明を省略する。
画像表示部210Aは、図8に示すCT撮影領域設定画面200の画像表示部210と同様に、歯列弓画像211と指定カーソル(ポインタ)212とを表示している。なお、CT撮影領域設定画面200では、CT撮影領域ライン213を設定するために、長円状CT撮影領域CAaの長手方向の中心付近を指定カーソル212で指定したが、CT撮影領域設定画面200Aでは、長円状CT撮影領域CAaの長手方向の両端部である始点と終点とを指定カーソル212で指定する構成である。なお、歯列弓画像211は、体軸方向から見た顎骨の画像である。
なお、図14では、画像表示部210Aで2つの指定カーソル212を図示しているが、実際には、ひとつの指定カーソル212で始点となる歯を指定した後、指定カーソル212を移動させて終点となる歯を指定する構成である。しかしながら、図14で図示するように、始点の歯を指定した指定カーソル212を固定し、別の指定カーソル212を出現させて、別の指定カーソル212で終点の歯を指定してもよい。
また、指定を誤った場合や指定を変更したい場合を考慮して、始点、終点の位置変更ができるように構成してもよい。
さらに、CT撮影領域CAaの指定を、上述のように始点の歯、終点の歯という歯単位で行ってもよいが、デフォルトの範囲でCT撮影領域ライン213を示しておいて、その長手方向の両端を指定カーソル212でポイントしてホールドし、ドラッグ操作で動かしてCT撮影領域ライン213を変形させ、覆う範囲が変えられるように構成してもよい。
このCT撮影領域設定画面200Aにおける画像表示部210Aで、指定カーソル212を用いて始点と終点の歯を指定した指定操作情報は情報処理装置8に送信され、指定情報を受け付けた情報処理装置8は、始点となる歯と終点となる歯の組み合わせに応じて予め設定された長円状のCT撮影領域ライン213に関する情報を操作表示部61に送信する。なお、歯列弓領域Xでは全部で16箇所に歯が並ぶため(対象が上顎の歯のみまたは下顎の歯のみである場合は1箇所に1本であり、対象が上下顎に及ぶ場合は1箇所に上下の歯合計2本)、120通りの長円状のCT撮影領域ライン213を予め設定しておけばよい。
また、1箇所の歯のみをCT撮影できるように構成してもよく、この場合の図示しない16通りのCT撮影領域ラインを加えると136通りの長円状のCT撮影領域ライン213を準備することができる。
なお、上述の1箇所の歯のみをCT撮影する16通りのCT撮影領域ラインは、長円状のCT撮影領域のバリュエーションとして、長手方向と短手方向の長さの差がほとんどない特殊な長円状のCT撮影領域である。
また、上顎の歯、下顎の歯、及び上下顎の歯のそれぞれについて、120通りのパターンをそれぞれ準備してもよく、上顎の歯、下顎の歯、及び上下顎の歯のうち2部位について120通り、残りの1部位について別の120通りのパターンを準備してもよい。
さらには、インプラントの植立対象となる頻度が高い箇所のみに対象を絞るために智歯を除いた設定としてもよい。
また、歯の本数に関係なく、単にCT撮影領域ライン213で囲まれた範囲がそのまま長円状CT撮影領域CAaとなるように構成してもよい。
情報処理装置8よりCT撮影領域ライン213に関する情報を受信した操作表示部61は、CT撮影領域設定画面200の画像表示部210において、歯列弓画像211と、受信した情報に基づくCT撮影領域ライン213とを重畳表示する。重畳表示後の処理フローはCT撮影領域設定画面200における処理フローと同様であるため、説明を省略する。
また別の設定画面である図15に示すCT撮影領域設定画面200Bは、図14に示すCT撮影領域設定画面200Aと同様に、画像表示部210B、上下顎選択部220、及び条件設定部240で構成している。CT撮影領域設定画面200Bにおける上下顎選択部220及び条件設定部240については、CT撮影領域設定画面200及びCT撮影領域設定画面200Aと同じであるため、説明を省略する。
画像表示部210Bは、CT撮影領域設定画面200の画像表示部210と同様に、歯列弓画像211と指定カーソル212とを表示している。さらに、CT撮影領域設定画面200Bは、画像表示部210Bにおける歯列弓画像211を複数に分割する分割エリア214を重畳表示し、歯列弓画像211を分割する分割エリア214を指定カーソル(ポインタ)212で選択指定する構成である。
このCT撮影領域設定画面200Bにおける画像表示部210Bで、関心領域である右側歯列撮影対象物OB1が含まれる分割エリア214を指定カーソル212で選択指定した指定操作情報は情報処理装置8に送信され、指定情報を受け付けた情報処理装置8は、選択指定された分割エリア214に対応して予め設定された長円状CT撮影領域CAaをX線CT撮影装置1に送信し、X線CT撮影を実行する。
なお、図15に示すCT撮影領域設定画面200Bでは、歯列弓画像211に対して、前歯T1を中心とする部分、左側臼歯T2を中心とする部分、右側臼歯T3を中心とする部分、及び左右各顎関節部分の全部で5つの分割エリア214を設定しているが、分割パターンはこれに限定されず、歯列弓画像211の中心となる正中線に対して線対称であれば、様々な分割パターンを設定することができる。また、様々な分割パターンを予め設定しておくとともに、分割パターンを切り替える切換えボタンをCT撮影領域設定画面200Bに設け、所望の分割パターンを画像表示部210Bに表示させてから分割エリア214を選択指定してもよい。
また、分割エリアのラインを指定カーソル212でポイントしてホールドし、ドラッグ操作で動かして変形できる構成とし、変形後のラインの形に最も適合する分割パターンが呼び出されるように構成してもよい。
なお、分割エリア214の選択指定後のX線CT撮影の処理フローは上述の説明の通りであるため、説明を省略する。
さらに、別の設定画面である図16に示すCT撮影領域設定画面200Cは、図14に示すCT撮影領域設定画面200Aと同様に、画像表示部210C、上下顎選択部220、及び条件設定部240で構成している。CT撮影領域設定画面200Cにおける上下顎選択部220及び条件設定部240については、CT撮影領域設定画面200等と同じであるため、説明を省略する。
画像表示部210Cは、歯列弓画像211を表示している。なお、CT撮影領域設定画面200では、CT撮影領域ライン213を設定するために、CT撮影領域CAの長手方向の中心付近を指定カーソル212で指定したが、CT撮影領域設定画面200Cでは、タッチペン250で関心領域である右側歯列撮影対象物OB1を長円状に囲うように手書きした手書きCT撮影領域ライン213Cで長円状CT撮影領域CAaを指定する構成である。
このCT撮影領域設定画面200Cにおける画像表示部210Cで、タッチペン250で手書きした手書きCT撮影領域ライン213Cによる指定操作情報は情報処理装置8に送信され、指定情報を受け付けた情報処理装置8は、手書きCT撮影領域ライン213Cに近似する予め設定された長円状の長円状CT撮影領域CAaをX線CT撮影装置1に送信し、X線CT撮影を実行する。なお、CT撮影領域CAは、径外側向きに凸状の曲線で構成する閉鎖領域である必要があるため、手書きCT撮影領域ライン213Cに径内側に向かう凹状部分があったとしても、予め登録されたCT撮影領域ライン213では、径外側向きに凸状の曲線で構成されたCT撮影領域ライン213のうち近似するラインをCT撮影領域CAとする。あるいは、手書きCT撮影領域ライン213Cにおける径内側に向かう凹状部分を凸状に補正してCT撮影領域CAとしてもよい。また、X線CT撮影の処理フローは上述の説明の通りであるため、説明を省略する。
さらにまた、別の設定画面である図17に示すCT撮影領域設定画面200Dは、図14に示すCT撮影領域設定画面200Aと同様に、画像表示部210D、上下顎選択部220、及び条件設定部240で構成している。CT撮影領域設定画面200Dにおける上下顎選択部220及び条件設定部240については、CT撮影領域設定画面200等と同じであるため、説明を省略する。
画像表示部210Dは、歯列弓画像211の替わりに、被写体である患者の歯列弓領域Xを予めパノラマX線撮影したパノラマ画像211Dを表示している。この画像表示部210Dでは、上述のいずれかの方法で関心領域である右側歯列撮影対象物OB1をCT撮影領域CAとして指定する構成である。図示の例では、CT撮影領域CAとして長円状CT撮影領域CAaが指定され、長円状CT撮影領域CAaは213で示す曲線で囲まれるように表示される。
このCT撮影領域設定画面200Dにおける画像表示部210Dで、被写体である患者の歯列弓領域Xを予めパノラマ撮影したパノラマ画像211Dに対する指定操作情報は情報処理装置8に送信され、指定情報を受け付けた情報処理装置8は、予め設定された長円状のCT撮影領域ライン213に関する情報を操作表示部61に送信する。
情報処理装置8よりCT撮影領域ライン213に関する情報を受信した操作表示部61は、CT撮影領域設定画面200Dの画像表示部210において、パノラマ画像211Dと、受信した情報に基づくCT撮影領域ライン213とを重畳表示する。重畳表示後の処理フローはCT撮影領域設定画面200における処理フローと同様であるため、説明を省略する。
なお、被写体固定部421に固定された被写体M1のパノラマ断層位置の三次元位置情報は被写体固定部421と設定されているパノラマ断層位置の位置関係から演算処理部801bで把握できるため、パノラマ画像211Dに対する位置指定により指定された位置の三次元座標を演算により算出することができる。
また仮に、パノラマ画像211Dが別のX線撮影装置で撮影したパノラマ画像であった場合であっても、パノラマ撮影した際のパノラマ断層の位置情報さえあれば指定された位置を座標演算により算出することができる。
このように、CT撮影領域設定画面200,200A,200B,200C,200Dでは、様々な方法で、関心領域である右側歯列撮影対象物OB1に対して適切な長円状の長円状CT撮影領域CAaを設定することができる。しかし、診療条件や症例によっては、図9に示すような歯列弓領域Xの右側半分を占める右側歯列撮影対象物OB1でなくとも、図18に示すような歯列弓領域Xにおける複数本の前歯T1を撮影対象物OBとする楕円状の楕円状CT撮影領域CAbを設定してもよい。
この場合、図18に示すように、楕円状CT撮影領域CAbをX線CT撮影する場合と比べて、幅方向にさらに狭いX線コーンビームBXを、旋回角度に応じて横方向遮蔽板15で規制して照射して撮影する。このように幅の狭いX線コーンビームBXであっても、幅方向にそれぞれ独立して変位する左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bにより、X線コーンビームBXの照射方向を楕円状CT撮影領域CAbに合わせて変更し、撮影することができる。したがって、X線を照射する必要のない箇所へのX線照射量を低減することができる。
なお、上述の説明では、長円状CT撮影領域CAaに比べて小範囲である楕円状CT撮影領域CAbについて説明したが、症状や診療方法等に応じては、長円状CT撮影領域CAaや楕円状CT撮影領域CAbのみならず、例えば、図19に示すような、様々な形状のCT撮影領域CAを設定することができる。
例えば、図19(a)に示す長円状CT撮影領域CAa1は、図9に示す長円状CT撮影領域CAaに比べて歯列弓領域Xの曲線における長手方向の長さがさらに長く、顎骨Kにおける平面視で右の下顎頭がある位置Khまでを一体的に囲む長円状で構成している。
また、図19(b)に示す長円状CT撮影領域CAa2は、長円状CT撮影領域CAa1に比べて、反対側の前歯T1及び左側臼歯T2の一部までを一体的に囲む長円状で構成している。
図19(c)に示す略三角形状CT撮影領域CAcは、平面視で左右の下顎頭がある位置Khを含む歯列弓領域Xの全体を囲み、前歯T1側の角部が前歯T1の並びに沿った略三角形状である。詳しくは、略三角形状CT撮影領域CAcは、角部を弧状とするとともに、角部と角部を結ぶ辺部分が径外側に凸状となる弧状であり、前歯T1の並びに沿った角部を頂点とした略三角形状であり、平面視で左右の下顎頭がある位置Kh同士を結ぶ底辺部分の弧状は斜辺部分の弧状に比べて大きな曲率の曲線で構成した、いわばおむすび形状に形成している。なお、この略三角形状は、ルーローの三角形の3つの頂点の部分の角を外側に凸な円弧でつないだ略ルーローの三角形状と換言することができる。
このように、このような構成の略三角形状CT撮影領域CAcは、図26や図27に示すような、従来のX線CT撮影において歯列弓領域X全体を含む円柱状のCT撮影領域CAoに比べて、CT撮影領域が関心領域の形状に近づくため、X線を照射する必要のない箇所への照射量を低減することができる。
また、図19(d)に示す略三角形状CT撮影領域CAc1は、略三角形状CT撮影領域CAcの相似形であり、歯列弓領域Xのうちの歯牙領域の部分のみを囲み、前歯T1側の角部が前歯T1の並びに沿った略三角形状である。
これに対し、図19(e)に示す略三角形状CT撮影領域CAc2は、略三角形状CT撮影領域CAc,CAc1とは異なり、前歯T1の並びに沿った曲線が底辺側となる略三角形状、換言すると略半円形状であり、略三角形状CT撮影領域CAc,CAc1に比べて、斜辺と角部とが略連続する曲線で構成した幅方向に扁平な略三角形状である。
図19(c)に示す略三角形状CT撮影領域CAcのCT撮影をする場合、図9に示した長円状のCT撮影領域のCT撮影と同様、旋回アーム30の旋回位置が変化していくことによりX線発生部10側から見た略三角形状CT撮影領域CAcの横方向の端部の旋回中心Scに対する偏心量が変化する。この偏心量の変化に合わせてX線コーンビームBXの水平方向における照射方向をビーム成形機構13で調整する。
図19(c)に示す略三角形状CT撮影領域CAcのCT撮影において、旋回アーム30が図9に示した長円状のCT撮影領域のCT撮影における第3旋回位置に相当する旋回位置をとるときに、略三角形状CT撮影領域CAcの図示の状態における底辺の部分にX線発生部10が対面する。(以下、図9に示した第1旋回位置〜第5旋回位置に相当する位置を略三角形状CT撮影領域CAcのCT撮影における第1旋回位置〜第5旋回位置とする。)このときX線コーンビームBXのセンタービームは平面視で略三角形状CT撮影領域CAcの底辺の中央部分の法線に沿って入射する。
この位置関係のため、X線発生部10から見た略三角形状CT撮影領域CAcの横幅は他の旋回位置である第1旋回位置、第2旋回位置、第4旋回位置、第5旋回位置に比べて最も大きくなる。この広がりに合わせて横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する開度(横方向における互いに対する間隔)を最大にする必要がある。
さらに、長円状CT撮影領域CAa、楕円状CT撮影領域CAb、略三角形状CT撮影領域CAc以外にも、図19(f)に示すように二つの等しい長さの平行線と二つの半円形からなる長円状の角丸長方形状のCT撮影領域CAや、図19(g)に示すような角部が弧状に面取りされた略四角形状のCT撮影領域CAであってもよく、さらには図示省略するが略卵形等のオーバル形状など様々な形状のCT撮影領域CAとすることができる。
換言すると、図9、図14の長円状CT撮影領域CAa、図18の楕円状CT撮影領域CAb、図19(a),(b)の長円状CT撮影領域CAa1,CAa2、図19(f),(g)の長円状の角丸長方形状のCT撮影領域CA、及び略卵形等のオーバル形状のCT撮影領域CAは、歯列弓領域Xに沿った長手方向を有する略長円形状のX線CT撮影領域として総括することができる。なお、オーバル形状には略卵形以外の略長円形状も含まれる。
これまでに説明した長円状CT撮影領域CAa,CAa1,CAa2、楕円状CT撮影領域CAb、略三角形状CT撮影領域CAc,CAc1,CAc2、あるいは、例えばオーバル形状等の歯列弓領域Xの曲線に沿った部分を有するCT撮影領域CAは、上述したように、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bにより、旋回角度に応じてそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりをCT撮影領域CAの幅に合わせるとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって横方向に変位させて、X線コーンビームBXの照射方向をCT撮影領域CAに合わせて調整することで実現する。
なお、長円状CT撮影領域CAa,CAa1,CAa2、楕円状CT撮影領域CAbについては長手方向が歯列弓領域Xに沿うように設定されるが、さらに具体的には、長径の径方向が歯列弓領域Xの湾曲の曲線の接線方向と一致するように設定する。オーバル形状のCT撮影領域CAについても同様である。
このようにして、関心領域の一例である右側歯列撮影対象物OB1の大きさ、範囲及び歯列弓領域Xにおける位置に対して、CT撮影領域CAを歯列弓領域Xの曲線に沿った部分を有する長円状、楕円状、略三角形状あるいはオーバル形状等の様々な形状に設定することによって、無駄なX線被爆量を低減しながら、確実に関心領域である右側歯列撮影対象物OB1を確実に撮影することができるものの、例えば埋もれた智歯の領域で智歯が横倒しに近い状態になっていないかなどを観察する場合や、腫瘍の広がりの状況を診たい場合、あるいは歯列弓領域Xの長手部分のみならず、その舌側・頬側に広がる領域の観察も要する診断等の様々な症例や部位に応じて、図20に示すように、例えば、2、3本の右側臼歯T3を局所的な局所的撮影対象物OB2として、CT撮影領域を真円形状の真円状CT撮影領域CAdとした方がよい場合がある。
局所的撮影対象物OB2を囲む真円状CT撮影領域CAdをX線CT撮影するためには、図20に示すように、横方向遮蔽板15(15a,15b)の出射口12に対する横方向位置を遮蔽板横方向移動機構16bにより、旋回角度に応じてそれぞれ調整し、X線コーンビームBXの横方向の広がりを真円状CT撮影領域CAdの幅に合わせてするとともに、出射口12に対して開口17をX線発生部10からX線検出部20に向かって横方向に偏心させて、X線コーンビームBXの照射方向を真円状CT撮影領域CAdに合わせて調整することで実現する。
さらに、局所的撮影対象物OB2を囲む真円状CT撮影領域CAdを設定するためには、まず、CT撮影領域設定画面200における条件設定部240のModeボタン244を押下し、図21に示すような、真円状CT撮影領域CAdを設定するための局所的真円状CT撮影領域設定画面300を表示し、局所的真円状CT撮影領域設定画面300で真円状CT撮影領域CAdを設定する。
局所的真円状CT撮影領域設定画面300は、歯列弓画像211を表示する画像表示部310と、上下顎選択部320と、選択範囲設定部330と、条件設定部340とで構成している。
上下顎選択部320と条件設定部340は、CT撮影領域設定画面200における上下顎選択部220と条件設定部240と同様に、Setボタン341と、Resetボタン342と、Startボタン343と、Modeボタン344と、Returnボタン245とで構成しているため、詳細な説明を省略する。
画像表示部310は、表示された歯列弓画像311に対して、設定する真円状CT撮影領域CAdにおける中心を指定する指定カーソル(ポインタ)312と、指定カーソル312で指定された中心に対し、後述する選択範囲設定部330で指定された半径に応じた真長円状の真円状CT撮影領域ライン313とを重畳表示している。
選択範囲設定部330は、指定カーソル312で指定した中心に対する半径を入力するテキストボックス331を有しているが、直径を入力する構成であってもよい。
まず、局所的撮影対象物OB2をX線CT撮影するためには、操作表示部61に表示された局所的真円状CT撮影領域設定画面300において、局所的撮影対象物OB2を含む真円状CT撮影領域ライン312を設定する。
詳述すると、局所的撮影対象物OB2が上下額の一方、あるいは両方かに応じて、上下顎選択部320の各種ボタンで選択し、局所的真円状CT撮影領域設定画面300の画像表示部310に表示された表示された歯列弓画像211に対して、指定カーソル312で真円状CT撮影領域CAdにおける円の中心を指定するとともに、選択範囲設定部330におけるテキストボックス331に半径の値を入力する。
局所的真円状CT撮影領域設定画面300で入力操作された、真円状CT撮影領域CAdにおける円の中心と、テキストボックス331に入力された半径値に基づく指定操作情報は情報処理装置8に送信され、指定情報を受け付けた情報処理装置8は真円状CT撮影領域ライン312に関する情報を操作表示部61に送信する。情報処理装置8より真円状CT撮影領域ライン312に関する情報を受信した操作表示部61は、局所的真円状CT撮影領域設定画面300の画像表示部310において、歯列弓画像311と、受信した情報に基づく真円状CT撮影領域ライン312とを重畳表示する。
局所的真円状CT撮影領域設定画面300を確認した操作者(術者)によって、真円状CT撮影領域ライン312が歯列弓画像311に対して所望の位置及び範囲に設定されていることが確認でき、Setボタン341が押下されると、真円状CT撮影領域ライン312を設定真円状CT撮影領域CAdとして、情報処理装置8に送信し、さらに、Startボタン343が押下されると、後述するように、X線CT撮影装置1による局所的撮影対象物OB2のX線CT撮影を開始する。
なお、上述の説明では、真円状CT撮影領域CAdの大きさを示す半径値をテキストボックス331に数値入力したが、指定カーソル312で指定したポイントを中心とした真円状の真円状CT撮影領域ライン312を歯列弓画像211に重畳表示し、表示された真円状CT撮影領域ライン312の周上のポイントを指定カーソル312でホールドし、真円状CT撮影領域ライン312の大きさを調整してもよい。
このようにして、例えば、2、3本の右側臼歯T3を局所的な局所的撮影対象物OB2として、CT撮影領域を真円形状の真円状CT撮影領域CAdを設定可能にしたことにより、関心領域である右側歯列撮影対象物OB1の大きさ、範囲及び歯列弓領域Xにおける位置に対して、CT撮影領域CAを歯列弓領域Xの曲線に沿った部分を有する長円状、楕円状、略三角形状あるいはオーバル形状等の様々な形状に設定することで無駄なX線被爆量を低減しながら、確実に関心領域である右側歯列撮影対象物OB1を確実に撮影できることに加え、診断等の様々な症例や部位に応じた局所的撮影対象物OB2に対して、無駄なX線被爆量をより低減でき、利用可能性を向上することができる。
なお、上述のX線CT撮影装置1では、図25に示すように、特定の位置に固定で設定した旋回中心Scに旋回軸31の軸心を置いてパノラマ撮影を行うこともできる。
具体的には、ビーム成形機構13による規制範囲を変更して形成したパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPの照射方向を、旋回角度に応じて横方向遮蔽板15で制御して撮影する。
パノラマ撮影において、X線細隙ビームBXPは、図6(c)に示されるビーム成形機構13が成すパノラマ撮影用開口17cによって形成される。
図25に示すように、X線発生部10、横方向遮蔽板15、X線検出部20(X線検出器21)は、図示省略した旋回アーム30と共に初期位置である旋回開始位置LC1から180度旋回して旋回終了位置まで旋回してパノラマ撮影を行う。
図示の例では初期位置LC1は歯列弓領域Xの右真横にX線発生部10が位置し、X線発生部10が頭部の背後側を旋回していくように構成している。
旋回中心Scは正中線上、左右の最も奥の奥歯の間付近に設定している。
なお、図25には、旋回アーム30の旋回角度30度ごとにLC2、LC3と旋回が進み、90度旋回したLC4までを図示し、旋回角度90度から180度までは左右対象であるため、図示省略している。
パノラマ撮影中、歯列弓領域Xに対してX線細隙ビームBXPの照射が継続的に行われる。
旋回位置LC1では、X線発生部10のX線管焦点とX線検出器21の検出面の中央とを結ぶ水平方向基準中央線SCLに対し、X線細隙ビームBXPの照射方向が−x方向に偏心するようにパノラマ撮影用開口17cの位置を水平方向基準中央線SCLに対して−x方向に偏心させるよう横方向遮蔽板15が位置制御される。
旋回位置LC2では、X線発生部10のX線管焦点とX線検出器21の検出面の中央とを結ぶ水平方向基準中央線SCLに対し、X線細隙ビームBXPの照射方向が+x方向に僅かに偏心していくようにパノラマ撮影用開口17cの位置を水平方向基準中央線SCLに対して僅かに+x方向に偏心させるよう横方向遮蔽板15が位置制御される。
旋回位置LC3では、X線発生部10のX線管焦点とX線検出器21の検出面の中央とを結ぶ水平方向基準中央線SCLに対し、X線細隙ビームBXPの照射方向が旋回位置LCにおけるよりもさらに+x方向に僅かに偏心していくようにパノラマ撮影用開口17cの位置を水平方向基準中央線SCLに対してさらに+x方向に偏心させる横方向遮蔽板15の変位制御がなされる。
旋回位置LC3から旋回位置LC4に到るまで、X線発生部10のX線管焦点とX線検出器21の検出面の中央とを結ぶ水平方向基準中央線SCLに対し、X線細隙ビームBXPの照射方向が−x方向に戻されていき、位置LC4においてX線細隙ビームBXPの照射方向が水平方向基準中央線SCLに一致するようにパノラマ撮影用開口17cの位置を水平方向基準中央線SCLに対して−x方向に戻していき、位置LC4においてパノラマ撮影用開口17cを水平方向基準中央線SCLに対して全く偏心しない位置に移動させる横方向遮蔽板15の変位制御がなされる。
上記の制御により、X線細隙ビームBXPの軌跡が包絡線EMを形成することができる。
また、図26に示すように、従来の径80mmの径小な真円状のCT撮影領域CAoに比べて顎骨の一部や智歯を含む、例えば、径100mmの径の大きな真円状CT撮影領域CAdを設定してもよい。
しかしながら、本願構成のX線CT撮影中のビーム成形機構13の制御による略三角形状の略三角形状CT撮影領域CAcのX線CT撮影によれば、径100mmの真円状CT撮影領域CAdのX線CT撮影に比べて、図示のハッチング領域の分だけX線被曝量を低減することができる。そのため、関心領域が略三角形状CT撮影領域CAcに含まれる場合は、径100mmの真円状CT撮影領域CAdよりX線被曝量を低減できるため好ましい。
また、従来の径80mmの径小な真円状のCT撮影領域CAoに歯列弓の全歯牙を収めれば、智歯や顎骨を、従来の径80mmの径小な真円状のCT撮影領域CAoに収めることができなかったが、X線CT撮影中のビーム成形機構13の制御による略三角形状CT撮影領域CAcのX線CT撮影によれば、歯列弓の全歯牙をX線CT撮影領域内に収めた上で、智歯や顎骨も略三角形状CT撮影領域CAc内に収めることができる。さらに、従来の径80mmの径小な真円状のCT撮影領域CAoのX線CT撮影に用いたのと同じサイズのX線検出面を有するX線検出器21により、歯列弓の全歯牙、智歯、顎骨をX線CT撮影領域内に収めた略三角形状CT撮影領域CAcのX線CT撮影ができるので、装置コストを低く抑えることができる。
さらには、上述のX線CT撮影装置1で、図22に示すように、パノラマ撮影してもよい。
具体的には、ビーム成形機構13による規制範囲を変更して形成したパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPを照射しながら、ビーム成形機構13で照射方向を調整したX線細隙ビームBXPによって包絡線EMとなるパノラマX線撮影用軌跡を形成するように旋回アーム30を旋回するとともに、旋回用モータ37を有する上部フレーム41を制御することにより、パノラマ画像が必要な場合にも別のX線撮影装置を準備することなく、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1によりX線細隙ビームBXPでパノラマX線撮影もできる。
なお、照射するX線細隙ビームBXPによって包絡線EMとなるパノラマX線撮影用軌跡を形成するためには、旋回軸31を移動するための旋回アーム30及び上部フレーム41の内部構造についての説明図である図23、旋回軸31を移動させてX線コーンビームの広がりを規制するX線撮影装置の構成を示すブロック図である図24に示すように、軸移動機構34を上部フレーム41に装着してもよい。
図23(a)は、上部フレーム41をその内部構造とともに示す部分断面図であり、図23(b)は、旋回アーム30及び上部フレーム41をその内部構造とともに示す部分断面図である。なお、図23(b)は、X線CT撮影装置1を側方から見たときの旋回アーム30、及び上部フレーム41を示し、図23(a)は、上方から見たときの上部フレーム41を示している。
上部フレーム41に装着される軸移動機構34は、旋回アーム30ごと旋回軸31を水平方向に移動するXYテーブル35と、XYテーブル35を駆動する駆動用モータ36とで構成している。
XYテーブル35は、旋回アーム30を前後方向(Y軸方向)に移動するYテーブル35Y、及び、Yテーブル35Yに支持されて横方向(X軸方向)に移動するXテーブル35Xで構成している。
駆動用モータ36は、Yテーブル35Yを駆動するY軸駆動用モータ36Yと、Yテーブル35Yに対してXテーブル35XをX方向に移動させるX軸駆動用モータ36Xとで構成している。
X線CT撮影装置1では、図23に示すように、駆動用モータ36は本体制御部60に接続されており、予め決められたプログラムに従って駆動することによって、旋回アーム30を旋回させながら、Xテーブル35Xを左右(X方向)に、Yテーブル35Yを前後(Y方向)に移動する。これにより、旋回軸31を前後左右のX−Y方向に2次元的に移動制御することができる。
なお、軸移動機構34は被写体固定部421に対して、水平方向における二次元方向に旋回軸31を相対移動させる二次元移動機構として機能するともに、旋回用モータ37とともに旋回アーム30を駆動する支持体駆動部を構成する。
このように、上部フレーム41に軸移動機構34を装着することにより、関心領域である右側歯列撮影対象物OB1の大きさ、範囲及び歯列弓領域Xにおける位置に対して、CT撮影領域CAを歯列弓領域Xの曲線に沿った部分を有する長円状、楕円状、略三角形状あるいはオーバル形状等の様々な形状に設定することで無駄なX線被爆量を低減しながら、確実に関心領域である右側歯列撮影対象物OB1を確実に撮影できるX線CT撮影装置1で、ビーム成形機構13による規制範囲を変更して形成したパノラマ撮影用のX線細隙ビームBXPによって包絡線EMとなるパノラマX線撮影用軌跡を形成するように旋回アーム30を旋回させてX線細隙ビームBXPでパノラマX線撮影もできる。
なお、上述の説明では、上部フレーム41に軸移動機構34を装着して旋回軸31を平面方向において移動可能に構成し、パノラマ撮影可能に構成したが、上部フレーム41に対して旋回軸31を固定したままであっても、下部フレーム42に配置した被写体固定部421を、上部フレーム41に対して平面方向において相対移動可能に構成して、パノラマ撮影可能に構成してもよく、さらには、上部フレーム41に軸移動機構34を備えるとともに、被写体固定部421を相対移動可能に構成してもよい。
上述したように、X線CT撮影装置1に、X線を発生するX線発生部10と、X線発生部10から発生したX線の照射範囲を規制してX線コーンビームBXを形成するビーム成形機構13と、被写体に照射されたX線コーンビームBXをされたX線コーンビームBXを検出するX線検出部20と、X線発生部10とX線検出部20と被写体を挟んで対向させて被写体を挟んで対向させた状態で支持する旋回アーム30と、少なくとも旋回アーム30を旋回軸31の軸周りに旋回駆動し、X線発生部10とX線検出部20とを被写体の周りに旋回させる旋回用モータ37と、歯列弓領域Xの画像である歯列弓画像211を表示する操作表示部61と、歯列弓領域Xに対して長円状CT撮影領域CAaの設定操作を受け付けるCT撮影領域設定画面200と、CT撮影領域設定画面200で操作入力された設定長円状CT撮影領域CAaに応じ、長円状CT撮影領域CAaが、歯列弓領域Xに沿った長手方向を有する略長円形状または列弓領域の形状に適合す歯列弓領域Xの形状に適合する略三角形状となるように、ビーム成形機構13を制御する本体制御部60とを備えたことにより、関心領域に対して適切にX線コーンビームBXを照射し、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
詳しくは、歯列弓領域Xの画像である歯列弓画像211を表示する操作表示部61と、歯列弓領域Xに対して長円状CT撮影領域CAaの設定操作を受け付けるCT撮影領域設定画面200と、CT撮影領域設定画面200で操作入力された設定長円状CT撮影領域CAaに応じて、長円状CT撮影領域CAaが、歯列弓領域Xに沿った長手方向を有する略長円形状または歯列弓領域Xの形状に適合する略三角形状となるように、ビーム成形機構13を制御する本体制御部60とを備えているため、操作表示部61に表示された歯列弓画像211を確認しながら、歯列弓領域Xに対する長円状CT撮影領域CAaの設定操作を行い、CT撮影領域設定画面200で操作入力された設定長円状CT撮影領域CAaに応じて、本体制御部60が、長円状CT撮影領域CAaが、歯列弓領域Xに沿った長手方向を有する略長円形状または歯列弓領域Xの形状に適合する略三角形状となるように、ビーム成形機構13を制御する。したがって、関心領域に対して適切にX線コーンビームBXを照射し、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。また、関心領域に対して適切にX線コーンビームBXを照射するため、無駄なX線被曝量を低減することができる。
歯列弓領域Xの画像である歯列弓画像211を表示する操作表示部61を操作入力可能なタッチパネルで構成しているため、歯列弓画像211として表示された歯列弓領域Xに対して直接、長円状CT撮影領域CAaの設定操作ができ、より容易、且つ適切に長円状CT撮影領域CAaを設定することができる。
また、操作表示部61に表示する歯列弓画像211に、設定長円状CT撮影領域CAaを示すCT撮影領域ライン213を重畳表示するため、歯列弓領域Xに対して、より適切に長円状CT撮影領域CAaを設定することができる。
詳しくは、操作表示部61に表示する歯列弓画像211に、設定長円状CT撮影領域CAaを示すCT撮影領域ライン213が重畳表示されるため、関心領域に対して設定長円状CT撮影領域CAaを適切な形状、大きさ及び位置で設定していることを目視で確認できる。したがって、歯列弓領域Xに対して、より適切に長円状CT撮影領域CAaを設定することができる。
また、図14に示すように、CT撮影領域設定画面200Aにおいて、操作表示部61に表示した歯列弓画像211に示す湾曲した歯列弓領域Xの曲線上において、関心領域の一端と他端の位置を指定カーソル212で指定する指定操作を受け付ける構成であるため、より簡単な操作で、関心領域に対して長円状CT撮影領域CAaを適切に設定することができる。
また、指定する2本の歯の組み合わせによる長円状CT撮影領域CAaを予め設定しているため、設定された長円状CT撮影領域CAaのうち、関心領域の一端と他端の位置を指定する指定操作に対応する長円状CT撮影領域CAaを設定長円状CT撮影領域CAaとして設定することができる。したがって、より簡単な操作で、関心領域に対して長円状CT撮影領域CAaを適切に設定することができる。
また、図15に示すように、CT撮影領域設定画面200Bにおいて、操作表示部61に表示する歯列弓画像211を複数の分割エリア214に分けて表示し、CT撮影領域設定画面200Bにおいて、分割エリア214のいずれかを選択する指定操作を受け付ける構成であるため、より簡単な操作で、関心領域に対して長円状CT撮影領域CAaを適切に設定することができる。
詳しくは、歯列を複数のグループに分けて分割エリア214を設定し、操作表示部61に表示する歯列弓画像211を複数の分割エリア214に分けて表示するため、CT撮影領域設定画面200として、表示された分割エリア214のいずれかを選択する指定操作を受け付け、より簡単な操作で、関心領域に対して長円状CT撮影領域CAaを適切に設定することができる。
また、CT撮影領域設定画面200Dにおいて、画像表示部210Dに、被写体についてのパノラマ画像211Dを表示するため、例えば、歯の欠損等の被写体である患者特有の状態を確認しながら、関心領域に対して長円状CT撮影領域CAaを設定することができる。したがって、関心領域に対してさらに適切にX線コーンビームBXを照射し、無駄なX線被曝量をより低減することができる。
また、旋回軸31の軸方向を縦方向とし、縦方向に直交する方向を横方向とし、長円状CT撮影領域CAaに対してX線コーンビームBXの照射範囲を縦方向と横方向の少なくともいずれかに遮蔽量を可変に遮蔽して規制する縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15を備えたため、長円状CT撮影領域CAaを、より確実に形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を確実に低減することができる。
また、それぞれ横方向に移動して、X線コーンビームBXの横方向の広がりを規制する2枚のX線遮蔽板からなる横方向遮蔽板15を備えたことにより、X線コーンビームBXの横方向における照射方向を制御しながら、長円状CT撮影領域CAaを、より確実に形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、それぞれ縦方向に移動して、X線コーンビームBXの縦方向の広がりを規制する2枚のX線遮蔽板からなる縦方向遮蔽板14を備えたことにより、X線コーンビームBXの縦方向における照射方向を制御しながら、長円状CT撮影領域CAaを、より確実に形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、X線発生部10に対する縦方向遮蔽板14の縦方向の位置を調整して、X線コーンビームBXの縦方向における照射方向を本体制御部60で制御したため、例えば、関心領域を上顎のみ、あるいは下顎のみといった、X線発生部10から照射するX線に対して縦方向に偏心した局所的な関心領域をCT撮影領域CAとして設定した場合であっても、より確実にCT撮影領域CAを形成することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減するとともに、確実に関心領域をX線CT撮影することができる。
また、旋回軸31を吊下げ保持する上部フレーム41と、上部フレーム41に対して、水平方向における二次元方向に旋回軸31を相対移動させる二次元移動機構からなる旋回用モータ37とを備えたため、仮に、歯列弓領域Xの中心から偏心した位置にある設定長円状CT撮影領域CAaであっても、X線コーンビームBXの広がりを設定長円状CT撮影領域CAaに対してより適切に調整することができる。
また、縦方向遮蔽板14及び横方向遮蔽板15の規制により形成した鉛直方向に延伸する細隙状のX線細隙ビームBXPの軌跡が、パノラマX線撮影における包絡線EMを形成するように旋回用モータ37を駆動制御するため、パノラマ画像が必要な場合にも別のX線撮影装置を準備することなく、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1によりX線細隙ビームBXPでパノラマX線撮影もできる。したがって、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1の汎用性を向上することができる。
また本体制御部60を、旋回軸31の軸方向から見たCT撮影領域CAが、長手方向が歯列弓領域Xの長手方向に沿った略オーバル形状となるようにビーム成形機構13を制御する構成、あるいは、旋回軸31の軸方向から見たCT撮影領域CAが、前歯T1近傍に頂部が位置し、歯列弓領域Xの外周を結ぶ略半円形状または略三角形状となるようにビーム成形機構13を制御する構成とすることにより、ビーム成形機構13を制御することで、設定長円状CT撮影領域CAaの形状に応じて、長手方向が歯列弓領域Xの長手方向に沿った略オーバル形状、あるいは前歯T1近傍に頂部が位置し、歯列弓領域Xの外周を結ぶ略半円形状または略三角形状に絞り込むことによって、無駄なX線被曝量を低減できるとともに、X線検出部20の検出範囲を小さくすることができる。
また、本体制御部60を、旋回軸31の軸方向から見たCT撮影領域CAが、略長円形状及び略三角形状に加えて、真円形状となるようにビーム成形機構13を制御することにより、部位や症例応じて適切な真円状CT撮影領域CAdを設定し、無駄なX線被曝量を低減することができる。
詳しくは、例えば埋もれた智歯の領域で智歯が横倒しに近い状態になっていないかなどを観察する場合や、腫瘍の広がりの状況を診たい場合、あるいは歯列弓領域Xの長手部分のみならず、その舌側・頬側に広がる領域の観察も要する診断等の様々な症例や部位に応じて、CT撮影領域CAを、略長円形状や略三角形状と、真円形状とを選択可能に構成することによって、関心領域以外の箇所に照射される無駄なX線被曝量を低減することができる。したがって、無駄なX線被曝量を低減することができるX線CT撮影装置1の汎用性を向上することができる。
また、CT撮影領域CAのX線CT撮影は、ノーマルスキャンCTによってもよいが、オフセットスキャンCTによってもよい。ノーマルスキャンCTにおいては、X線CT撮影中に得られる全ての投影データが、X線コーンビームBXをCT撮影領域CAの全域に照射して得られる、CT撮影領域CA全域の透過画像データである。
これに対し、オフセットスキャンCTにおいては、ノーマルスキャンCTに対し、CT撮影領域CAに照射するX線コーンビームBXの照射範囲をx方向について限定し、X線コーンビームBXがCT撮影領域CAの一部の領域にのみ照射される位置関係を実現する。X線CT撮影中に得られる全ての投影データは、X線コーンビームBXをCT撮影領域CAの一部の領域のみに照射して得られる、CT撮影領域CAの一部領域の透過画像データである。
ただし、CT画像の再構成にはCT撮影領域CAの全ての地点について180度分の異なる投影角度の投影データが要るので、オフセットスキャンCTによる場合、旋回アーム30を360度以上旋回させてCT撮影領域CAの全ての地点について180度分の異なる投影角度の投影データを得るようにする。
オフセットスキャンCTの例としては、例えば特許登録4516626号公報の図3A〜図4D、特開2008−114056号公報の図16〜図20、国際公開2009/063974公報の図2A〜図12などに示されている。
オフセットスキャンCTによれば、CT撮影領域CAの一部の領域のみを透過したX線コーンビームBXが検出できるX線検出面さえ有していればよいので、X線検出面の小さなX線検出器21で広い範囲のCT撮影領域CAのX線CT撮影ができる利点がある。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のX線規制部は、ビーム成形機構13に対応し、
以下同様に、
X線検出器は、X線検出部20におけるX線検出器21に対応し、
支持体は、旋回アーム30に対応し、
支持体駆動部は、旋回用モータ37、および軸移動機構34に対応し、
表示手段は、操作表示部61に対応し、
CT撮影領域は、CT撮影領域CA、長円状CT撮影領域CAa、楕円状CT撮影領域CAb、略三角形状CT撮影領域CAc、真円状CT撮影領域CAdに対応し、
CT撮影領域設定手段は、CT撮影領域設定画面200,局所的真円状CT撮影領域設定画面300に対応し、
X線規制制御部及び駆動制御部は、本体制御部60に対応し、
設定領域画像は、CT撮影領域ライン213に対応し、
撮影済みのパノラマ画像は、パノラマ画像211Dに対応し、
X線遮蔽手段は、縦方向遮蔽板14、横方向遮蔽板15及びL型遮蔽板18の一部に対応し、
横方向規制遮蔽板は、横方向遮蔽板15、左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bに対応し、
縦方向規制遮蔽板は、縦方向遮蔽板14、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bに対応し、
支持体保持手段は、上部フレーム41に対応し、
被写体保持手段は、被写体固定部421に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述の説明においては、前歯T1、左側臼歯T2及び右側臼歯T3で構成する歯列弓領域X全体を撮影対象物としてX線CT撮影装置1でX線CT撮影する態様について説明したが、検出面をX線検出部本体に対して移動可能に構成してもよい。これにより、高価なセンサで構成する検出面を小さく形成することができる。
また、CT撮影領域設定画面等において、画像表示部210に表示されたCT撮影領域ライン213を、マウス等の操作手段でホールドし、CT撮影領域ライン213の大きさや形を変更し、CT撮影領域CAを設定する構成であってもよい。
また、上述の説明においては、歯科領域である歯列弓領域Xを撮影対象物OBとして、X線CT撮影したが、顎関節のみを撮影対象物OBとしてX線CT撮影してもよい。さらには、歯科領域のみならず、手足や頭頸部等の局所をX線CT撮影してもよい。