JP2016105118A - 偏光板、偏光板の製造方法及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温湿度変化による表示ムラを抑えることができる偏光板、当該偏光板の製造方法及び当該偏光板を具備する液晶表示装置を提供する。【解決手段】偏光子の少なくとも一方の面に、セルロースエステルを含有する保護フィルムが配置された偏光板であって、前記保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、前記保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあることを特徴とする偏光板。【選択図】図2
Description
本発明は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを備える偏光板、当該偏光板の製造方法及び当該偏光板を具備する液晶表示装置に関する。
液晶表示装置には、ポリビニルアルコールとヨウ素を用いた偏光子の両面に、保護フィルムと位相差フィルムがそれぞれ配置された偏光板が広く使用されている。保護フィルムとしては、透明性に優れ、ヘイズも小さいことから、セルロースエステルフィルムが好ましく用いられている。
液晶表示装置では、薄型の液晶画面のニーズに応じて、液晶セルに用いられる透明基板が薄膜化されている。透明基板の薄膜化にともなって、液晶表示装置が高温高湿下におかれた後、室温に戻ると表示ムラが発生することが問題となっている。
表示ムラが発生するのは、偏光板の偏光子が高温高湿下で水分を吸収し、室温下に戻った際に収縮するためであることが分かっている。収縮時の力が液晶セルに伝播するが、薄膜化された透明基板では耐えられずに液晶セル全体が曲がる。このとき、液晶セルに隣接する位相差フィルムも曲がることから、位相差フィルムに応力が加わって位相差が変化し、表示ムラが発生する。
表示ムラが発生するのは、偏光板の偏光子が高温高湿下で水分を吸収し、室温下に戻った際に収縮するためであることが分かっている。収縮時の力が液晶セルに伝播するが、薄膜化された透明基板では耐えられずに液晶セル全体が曲がる。このとき、液晶セルに隣接する位相差フィルムも曲がることから、位相差フィルムに応力が加わって位相差が変化し、表示ムラが発生する。
表示ムラの問題に対しては、位相差フィルムの光弾性係数を小さくすることが、表示ムラの改善に有効であることが知られている。
また、弾性率が高いセルロースエステルフィルムを保護フィルムとして用いることにより、収縮の力を低減し、液晶セルの曲がりを抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
セルロースエステルフィルムに、スチレン/無水マレイン酸コポリマーを含有させて、湿度変動による位相差の変化を抑制する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、弾性率が高いセルロースエステルフィルムを保護フィルムとして用いることにより、収縮の力を低減し、液晶セルの曲がりを抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
セルロースエステルフィルムに、スチレン/無水マレイン酸コポリマーを含有させて、湿度変動による位相差の変化を抑制する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、透明基板のさらなる薄膜化が進むにつれて、液晶セルの曲がりも大きくなっている。従来の方法では表示ムラの改善が十分ではなく、さらなる改良が求められていた。
本発明は上記問題・状況に鑑みてなされ、その解決課題は、温湿度変化による表示ムラを抑えることができる偏光板、当該偏光板の製造方法及び当該偏光板を具備する液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、偏光子が光の吸収軸方向に収縮することから、この吸収軸方向に働く力を低減できる保護フィルムを検討した。一般に、偏光子も保護フィルムも長尺フィルムとして形成されて貼り合わされており、偏光子の吸収軸方向と保護フィルムのMD方向(Machine Direction、製造工程におけるフィルムの流涎方向又は搬送方向)が一致している。このことから、本発明者らは保護フィルムのMD方向の弾性率を高めることにより、偏光子が収縮する力を低減できると考え、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.偏光子の少なくとも一方の面に、セルロースエステルを含有する保護フィルムが配置された偏光板であって、
前記保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、
前記保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向(Transverse Direction、MD方向と垂直の方向)の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあることを特徴とする偏光板。
2.前記保護フィルムが、前記MD方向に延伸されたフィルムであり、
前記MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることを特徴とする第1項に記載の偏光板。
3.前記保護フィルムが、前記MD方向及び前記TD方向に延伸されたフィルムであり、
前記MD方向の延伸倍率が前記TD方向の延伸倍率より大きく、前記MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、前記TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることを特徴とする第1項に記載の偏光板。
4.前記保護フィルムが、スチレン系重合体を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板。
5.前記スチレン系重合体が、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることを特徴とする第4項に記載の偏光板。
6.前記保護フィルム及び前記偏光子が長尺フィルムであり、それぞれの長軸方向が一致するように貼り合わされていることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板。
7.前記保護フィルムのMD方向が、前記偏光子の吸収軸方向と一致していることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.偏光子の少なくとも一方の面に、セルロースエステルを含有する保護フィルムが配置された偏光板であって、
前記保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、
前記保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向(Transverse Direction、MD方向と垂直の方向)の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあることを特徴とする偏光板。
2.前記保護フィルムが、前記MD方向に延伸されたフィルムであり、
前記MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることを特徴とする第1項に記載の偏光板。
3.前記保護フィルムが、前記MD方向及び前記TD方向に延伸されたフィルムであり、
前記MD方向の延伸倍率が前記TD方向の延伸倍率より大きく、前記MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、前記TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることを特徴とする第1項に記載の偏光板。
4.前記保護フィルムが、スチレン系重合体を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板。
5.前記スチレン系重合体が、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることを特徴とする第4項に記載の偏光板。
6.前記保護フィルム及び前記偏光子が長尺フィルムであり、それぞれの長軸方向が一致するように貼り合わされていることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板。
7.前記保護フィルムのMD方向が、前記偏光子の吸収軸方向と一致していることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板。
8.偏光子の少なくとも一方の面に、保護フィルムを配置する偏光板の製造方法であって、
セルロースエステルを含有する保護フィルムを製造する製造工程を含み、
前記製造工程では、製造後の保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、かつ当該保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあるように、前記保護フィルムを製造することを特徴とする偏光板の製造方法。
9.前記製造工程が、前記保護フィルムをフィルム製造時のMD方向に延伸する工程を含み、
前記MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることを特徴とする第8項に記載の偏光板の製造方法。
10.前記製造工程が、前記保護フィルムをフィルム製造時のMD方向及びTD方向に延伸する工程を含み、
前記TD方向の延伸倍率が前記MD方向の延伸倍率より小さく、前記MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、前記TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることを特徴とする第8項に記載の偏光板の製造方法。
11.前記製造工程では、前記セルロースエステルとスチレン系重合体とを含有するドープを用いて、溶液流延法により前記保護フィルムを製造することを特徴とする第8項から第10項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
12.前記スチレン系重合体が、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることを特徴とする第11項に記載の偏光板の製造方法。
13.前記偏光子は、長尺フィルムであり、
前記製造工程では、前記保護フィルムを長尺フィルムとして製造し、
長尺フィルムである前記保護フィルムと前記偏光子を、それぞれの長軸方向が一致するように貼り合わせる貼合工程を含むことを特徴とする第8項から第12項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
セルロースエステルを含有する保護フィルムを製造する製造工程を含み、
前記製造工程では、製造後の保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、かつ当該保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあるように、前記保護フィルムを製造することを特徴とする偏光板の製造方法。
9.前記製造工程が、前記保護フィルムをフィルム製造時のMD方向に延伸する工程を含み、
前記MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることを特徴とする第8項に記載の偏光板の製造方法。
10.前記製造工程が、前記保護フィルムをフィルム製造時のMD方向及びTD方向に延伸する工程を含み、
前記TD方向の延伸倍率が前記MD方向の延伸倍率より小さく、前記MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、前記TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることを特徴とする第8項に記載の偏光板の製造方法。
11.前記製造工程では、前記セルロースエステルとスチレン系重合体とを含有するドープを用いて、溶液流延法により前記保護フィルムを製造することを特徴とする第8項から第10項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
12.前記スチレン系重合体が、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることを特徴とする第11項に記載の偏光板の製造方法。
13.前記偏光子は、長尺フィルムであり、
前記製造工程では、前記保護フィルムを長尺フィルムとして製造し、
長尺フィルムである前記保護フィルムと前記偏光子を、それぞれの長軸方向が一致するように貼り合わせる貼合工程を含むことを特徴とする第8項から第12項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
14.液晶セルの少なくとも一方の面に、第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板を具備することを特徴とする液晶表示装置。
15.前記液晶セルで構成された液晶画面が長方形であり、
前記液晶セルの両面にそれぞれ設けられる二つの偏光板のうち、少なくとも前記液晶画面の長軸方向と偏光子の吸収軸方向が一致する偏光板として、前記第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板を具備することを特徴とする第14項に記載の液晶表示装置。
16.前記液晶画面の長軸方向と偏光子の吸収軸方向が一致する偏光板が、前記液晶セルのフロント側の面に設けられる偏光板であることを特徴とする第15項に記載の液晶表示装置。
15.前記液晶セルで構成された液晶画面が長方形であり、
前記液晶セルの両面にそれぞれ設けられる二つの偏光板のうち、少なくとも前記液晶画面の長軸方向と偏光子の吸収軸方向が一致する偏光板として、前記第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板を具備することを特徴とする第14項に記載の液晶表示装置。
16.前記液晶画面の長軸方向と偏光子の吸収軸方向が一致する偏光板が、前記液晶セルのフロント側の面に設けられる偏光板であることを特徴とする第15項に記載の液晶表示装置。
本発明の上記手段により、温湿度変化があっても表示ムラを抑えることができる偏光板、当該偏光板の製造方法及び当該偏光板を具備する液晶表示装置を提供できる。
本発明者らは、偏光子の収縮による表示ムラを下記の作用機能により改良できるものと考えた。
高温高湿下から室温下へと変化すると、偏光子が吸収軸方向に収縮する力が生じるが、本発明の偏光板における保護フィルムは、MD方向の弾性率E1がTD方向の弾性率E2よりも高く、MD方向に加えられる力に対する応力が大きい。一般に、偏光子と保護フィルムは長尺フィルムとしてロール・トゥ・ロール(roll to roll)で貼り合わせられ、保護フィルムのMD方向と偏光子の吸収軸方向は一致していることから、偏光子が収縮する力を保護フィルムによって大きく低減することができる。これにより、偏光子から液晶セルに伝播する力を、薄膜化された透明基板であっても十分耐えられる程度に低減することができ、液晶セル及び液晶セルに隣接する位相差フィルムの曲がりを抑えることができると推察される。位相差フィルムの曲がりを抑えることができれば、位相差の変化ひいては表示ムラを抑えることが可能になるものと推察される。
本発明者らは、偏光子の収縮による表示ムラを下記の作用機能により改良できるものと考えた。
高温高湿下から室温下へと変化すると、偏光子が吸収軸方向に収縮する力が生じるが、本発明の偏光板における保護フィルムは、MD方向の弾性率E1がTD方向の弾性率E2よりも高く、MD方向に加えられる力に対する応力が大きい。一般に、偏光子と保護フィルムは長尺フィルムとしてロール・トゥ・ロール(roll to roll)で貼り合わせられ、保護フィルムのMD方向と偏光子の吸収軸方向は一致していることから、偏光子が収縮する力を保護フィルムによって大きく低減することができる。これにより、偏光子から液晶セルに伝播する力を、薄膜化された透明基板であっても十分耐えられる程度に低減することができ、液晶セル及び液晶セルに隣接する位相差フィルムの曲がりを抑えることができると推察される。位相差フィルムの曲がりを抑えることができれば、位相差の変化ひいては表示ムラを抑えることが可能になるものと推察される。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを備え、当該保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、当該保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあることを特徴とする。この特徴は請求項1から請求項16までの各請求項に係る発明に共通の技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、上記範囲内の弾性率の比の値E1/E2を得る観点から、保護フィルムが少なくともMD方向に延伸されたフィルムであり、MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることが好ましい。通常の偏光板用保護フィルムは、TD方向に延伸されていることが多いが、本発明では特にMD方向に大きく延伸されていることが好ましい。さらにTD方向にも延伸されていることが好ましい。
このように大きな延伸倍率で延伸を行うためには、フィルムのtanδを0.6以上に調整することが必要である。保護フィルムがスチレン系重合体を含有することが、0.6以上のtanδの最大値を得る観点からは好ましい。
本発明の実施態様としては、上記範囲内の弾性率の比の値E1/E2を得る観点から、保護フィルムが少なくともMD方向に延伸されたフィルムであり、MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることが好ましい。通常の偏光板用保護フィルムは、TD方向に延伸されていることが多いが、本発明では特にMD方向に大きく延伸されていることが好ましい。さらにTD方向にも延伸されていることが好ましい。
このように大きな延伸倍率で延伸を行うためには、フィルムのtanδを0.6以上に調整することが必要である。保護フィルムがスチレン系重合体を含有することが、0.6以上のtanδの最大値を得る観点からは好ましい。
本発明の偏光板の製造方法としては、上記保護フィルムを製造する製造工程を含み、さらに当該製造工程が、保護フィルムをフィルム製造時のMD方向に延伸する工程を含む態様であることが、上記範囲内の弾性率の比の値E1/E2を得る観点から好ましい。
本発明の偏光板は、液晶表示装置の液晶セルの少なくとも一方の面に、好適に具備され得る。これにより、温湿度変化があっても、表示ムラを抑えることができる。本発明では、本発明に係る弾性率の比の値E1/E2が1.5〜3.0の範囲内にある保護フィルムを、液晶セルからより遠い側の偏光子の面に設置することが好ましい。この面は外界の温度、湿度及び光源の熱の影響を受けやすい面であり、本発明の効果をより発揮しやすいためである。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムが配置されている。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムが配置されている。
<保護フィルム>
本発明に係る保護フィルムは、セルロースエステルを含有し、当該保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上である。なお、本発明におけるtanδは、測定時に周波数が1Hzの力を加えたときの値である。
本発明に係る保護フィルムは、セルロースエステルを含有し、当該保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上である。なお、本発明におけるtanδは、測定時に周波数が1Hzの力を加えたときの値である。
tanδは、損失正接と呼ばれ、保護フィルムの動的粘弾性を測定して得られる貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれぞれE′及びE″と表すとき、tanδ=E′/E″として定義される。
δは、試料に正弦波状に振動する力を加えたときに生じたひずみと加えた力との位相差である。加えた力とひずみの比である複素弾性率の実数部が貯蔵弾性率E′であり、虚数部が損失弾性率E″である。保護フィルムの貯蔵弾性率E′及び損失弾性率E″は、動的粘弾性測定装置RSAIII(ティーエイインスツルメント社製)により測定することができる。
δは、試料に正弦波状に振動する力を加えたときに生じたひずみと加えた力との位相差である。加えた力とひずみの比である複素弾性率の実数部が貯蔵弾性率E′であり、虚数部が損失弾性率E″である。保護フィルムの貯蔵弾性率E′及び損失弾性率E″は、動的粘弾性測定装置RSAIII(ティーエイインスツルメント社製)により測定することができる。
具体的には、次のようにしてtanδを求める。
試料を温度23℃・相対湿度55%の雰囲気下に24時間おいて、調湿する。調湿後の試料の動的粘弾性を、55%RHの下、25〜240℃の温度範囲で温度を変化させながら下記測定条件により測定し、測定により得られたtanδのうちの最大値を求める。
測定装置:RSAIII(ティーエイインスツルメント社製)
試料 :幅5mm、長さ50mm(ギャップを20mmに設定)
測定モード:引張モード
測定温度:25〜240℃の範囲内で、5℃/minの速度で昇温
湿度 :相対湿度55%
周波数 :1Hz
試料を温度23℃・相対湿度55%の雰囲気下に24時間おいて、調湿する。調湿後の試料の動的粘弾性を、55%RHの下、25〜240℃の温度範囲で温度を変化させながら下記測定条件により測定し、測定により得られたtanδのうちの最大値を求める。
測定装置:RSAIII(ティーエイインスツルメント社製)
試料 :幅5mm、長さ50mm(ギャップを20mmに設定)
測定モード:引張モード
測定温度:25〜240℃の範囲内で、5℃/minの速度で昇温
湿度 :相対湿度55%
周波数 :1Hz
tanδは、特に限定されないが、フィルム製造時のMD方向又はTD方向で測定することが好ましく、少なくともMD方向で測定されたtanδの最大値が0.6以上であることが好ましい。
MD方向は、保護フィルムを、溶液流延法により製造する場合はフィルムの流延方向をいい、溶融流延法により製造する場合はフィルムの搬送方向をいう。いずれの場合もMD方向は、保護フィルムの長軸方向に一致する。
TD方向は、MD方向に垂直な方向をいう。
MD方向は、保護フィルムを、溶液流延法により製造する場合はフィルムの流延方向をいい、溶融流延法により製造する場合はフィルムの搬送方向をいう。いずれの場合もMD方向は、保護フィルムの長軸方向に一致する。
TD方向は、MD方向に垂直な方向をいう。
本発明に係る保護フィルムのtanδの最大値が0.6以上であれば、保護フィルムの高倍率延伸が可能であり、延伸によって保護フィルムの弾性率を所望の値に調整しやすい。
保護フィルムのtanδの最大値は、可塑剤の種類又は添加量を選択することによって調整することができる。
保護フィルムのtanδの最大値は、可塑剤の種類又は添加量を選択することによって調整することができる。
本発明に係る保護フィルムは、フィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にある。
各弾性率E1及びE2は、次のようにして測定することができる。
試料を23℃・55%RHの環境下で24時間調湿する。JIS K7127に記載の方法に準じて、調湿時と同じ環境下において、引張試験機テンシロンRTA−100(オリエンテック社製)により、調湿後の試料のMD方向及びTD方向それぞれの弾性率(MPa)を測定する。試料の形状を1号形試験片タイプとし、引張速度を10mm/minとする。
試料を23℃・55%RHの環境下で24時間調湿する。JIS K7127に記載の方法に準じて、調湿時と同じ環境下において、引張試験機テンシロンRTA−100(オリエンテック社製)により、調湿後の試料のMD方向及びTD方向それぞれの弾性率(MPa)を測定する。試料の形状を1号形試験片タイプとし、引張速度を10mm/minとする。
本発明に係る保護フィルムは、加えられた力に対する一定の応力を得る観点から、MD方向の弾性率E1が、3.0〜7.5MPaの範囲内にあり、TD方向の弾性率E2が、2.0〜5.0MPaの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、MD方向の弾性率E1が、5.0〜7.5MPaの範囲内にあり、TD方向の弾性率E2が、2.2〜4.0MPaの範囲内にあることである。
弾性率の比の値E1/E2は、延伸条件を選択することによって、上記範囲内に調整することができる。
弾性率の比の値E1/E2は、延伸条件を選択することによって、上記範囲内に調整することができる。
(セルロースエステル)
本発明に用いられるセルロースエステルは、セルロースをエステル化して得られる化合物である。
本発明に用いられるセルロースエステルは、セルロースをエステル化して得られる化合物である。
セルロースエステルは、硬度が良好で、吸水性が低いフィルムが得られやすいことから、アセチル基置換度が2.80〜2.95の範囲内にあるセルロースアセテートであることが好ましい。アセチル基置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定する。
セルロースエステルの数平均分子量Mnは、得られるフィルムの機械的強度を高める観点から、125000〜155000の範囲内であることが好ましく、129000〜152000の範囲内であることがより好ましい。
同様の観点から、セルロースエステルの重量平均分子量Mwは、265000〜310000の範囲内であることが好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量Mwに対する数平均分子量Mnの比の値Mw/Mnは、1.9〜2.1の範囲内であることが好ましい。
同様の観点から、セルロースエステルの重量平均分子量Mwは、265000〜310000の範囲内であることが好ましい。
セルロースエステルの重量平均分子量Mwに対する数平均分子量Mnの比の値Mw/Mnは、1.9〜2.1の範囲内であることが好ましい。
上記セルロースエステルの数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される。測定条件は、次のとおりである。
溶媒 :メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製)を3本接続して使用
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所社製)
流量 :1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー社製、Mw=500〜1000000)の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
溶媒 :メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製)を3本接続して使用
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所社製)
流量 :1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー社製、Mw=500〜1000000)の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明に係るセルロースエステルは、硫酸触媒法、酢酸法、メチレンクロライド法等の公知の方法により製造することができる。
一般的には、原料のセルロースに、カルボン酸、無水カルボン酸、触媒(硫酸等)等を混合して、セルロースをエステル化する。原料のセルロースは特に限定されず、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等であり得る。原料の異なるセルロースエステルを混合して用いてもよい。エステル化の反応は、セルロースのトリエステルができるまで進める。トリエステルにおいてグルコース単位の3個のヒドロキシ基は、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸のアシル酸で置換されている。同時に2種類の脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸を使用すると、混合型のセルロースエステル、例えばセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートを作製することができる。セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアシル基置換度を有するセルロースエステル、例えばアセチル置換度が上記好ましい範囲内にあるセルロースアセテートを合成することができる。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥等の工程を経て、セルロースエステルを得る。
具体的には、特開平10−45804号公報、特開2005−281645号公報等に記載の方法を参考にして合成することができる。
一般的には、原料のセルロースに、カルボン酸、無水カルボン酸、触媒(硫酸等)等を混合して、セルロースをエステル化する。原料のセルロースは特に限定されず、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等であり得る。原料の異なるセルロースエステルを混合して用いてもよい。エステル化の反応は、セルロースのトリエステルができるまで進める。トリエステルにおいてグルコース単位の3個のヒドロキシ基は、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸のアシル酸で置換されている。同時に2種類の脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸を使用すると、混合型のセルロースエステル、例えばセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートを作製することができる。セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアシル基置換度を有するセルロースエステル、例えばアセチル置換度が上記好ましい範囲内にあるセルロースアセテートを合成することができる。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥等の工程を経て、セルロースエステルを得る。
具体的には、特開平10−45804号公報、特開2005−281645号公報等に記載の方法を参考にして合成することができる。
(可塑剤)
本発明に係る保護フィルムは、可塑剤を含有することができる。
本発明に用いられる可塑剤は、tanδの最大値が0.6以上の保護フィルムを得やすいことから、スチレン系重合体であることが好ましく、なかでもヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることが好ましい。
本発明に係る保護フィルムは、可塑剤を含有することができる。
本発明に用いられる可塑剤は、tanδの最大値が0.6以上の保護フィルムを得やすいことから、スチレン系重合体であることが好ましく、なかでもヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることが好ましい。
スチレン系重合体のモノマーとしては、下記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーを用いることができる。
上記一般式(1)において、R101〜R103は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基を表す。R104は、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、炭素数1〜30のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜30のアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、炭素数2〜30のアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、アミド基又はニトロ基を表す。R104となり得るこれらの基は、それぞれ置換基(例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基等)をさらに有してもよい。五つのR104は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーの具体例には、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン等のアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸等のビニル安息香酸類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレン等のアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミン等のアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレン等のニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレン等のシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレン等のアリールスチレン類、インデン類等が含まれる。
スチレン系重合体は、上記スチレン系モノマーのうち、1種類のみの単独重合体であってもよいし、2種類以上を組み合わせた共重合体であってもよい。
スチレン系重合体は、上記スチレン系モノマーのうち、1種類のみの単独重合体であってもよいし、2種類以上を組み合わせた共重合体であってもよい。
本発明に係る保護フィルムが上記スチレン系重合体を含有することにより、フィルム基材であるセルロースエステルが延伸によって配向したとき、当該セルロースエステルの高分子鎖間にスチレン系重合体が介在することになる。スチレン系重合体のスチレン基は立体的にかさ高い構造であり、高分子鎖間の間隔を広げることから、高分子鎖間の相互作用が低減し、保護フィルムのtanδの最大値が0.6以上の値になりやすい。
上記スチレン系重合体のなかでも、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体は、セルロースエステルとの相溶性が高く、当該スチレン系重合体をセルロースエステルの高分子鎖間に均一に導入しやすいため、好ましい。
ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体は、上記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーのうち、ヒドロキシ基を有するスチレン系モノマーの単独重合体であってもよいし、少なくともヒドロキシ基を有するスチレン系モノマーを含む2種以上のスチレン系モノマーの共重合体であってもよい。
また、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体は、上記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーと、ヒドロキシ基を有するモノマーとの共重合体であることもできる。
上記スチレン系モノマーと組み合わせることができる、ヒドロキシ基を有するモノマーの例としては、ビニルアルコール等の他、下記式(2)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体は、上記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーのうち、ヒドロキシ基を有するスチレン系モノマーの単独重合体であってもよいし、少なくともヒドロキシ基を有するスチレン系モノマーを含む2種以上のスチレン系モノマーの共重合体であってもよい。
また、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体は、上記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーと、ヒドロキシ基を有するモノマーとの共重合体であることもできる。
上記スチレン系モノマーと組み合わせることができる、ヒドロキシ基を有するモノマーの例としては、ビニルアルコール等の他、下記式(2)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
上記一般式(2)において、R105〜R107は、それぞれ独立に水素原子、カルボキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基を表す。R105〜R107は、互いに結合して環を形成してもよい。また、R108は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアリール基を表し、当該アルキル基若しくはアリール基は、ヒドロキシ基又はヒドロキシ基を含む置換基を有する。
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、マレイン酸、シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸が含まれる。
上記一般式(1)で表される構造を有するスチレン系モノマーと、上記一般式(2)で表される構造を有するモノマーとの共重合体における、当該スチレン系モノマー由来の構成単位の含有割合は、セルロースエステルとの相溶性の観点から、好ましくは30〜80モル%の範囲内であり、より好ましくは50〜80モル%の範囲内であることが好ましい。
保護フィルムにおけるスチレン系重合体の含有量は特に限定されないが、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。この範囲内であれば、フィルムの高倍率延伸が可能となり、ブリードアウトも抑えられる。
また、スチレン系重合体の重量平均分子量Mwは、1500〜12000の範囲内であることが好ましい。
また、スチレン系重合体の重量平均分子量Mwは、1500〜12000の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る保護フィルムは、可塑剤として、ポリエステルを含有することができる。
本発明に用いることができるポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含む。
繰り返し単位は、非芳香環構造又は芳香環構造を含むことが好ましい。すなわち、ポリエステルを構成するジカルボン酸とジオールの少なくとも一方が、非芳香環構造又は芳香環構造を含むことが好ましいが、ジカルボン酸が非芳香環構造又は芳香環構造を含むことがさらに好ましい。
本発明に用いることができるポリエステルは、ジカルボン酸とジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含む。
繰り返し単位は、非芳香環構造又は芳香環構造を含むことが好ましい。すなわち、ポリエステルを構成するジカルボン酸とジオールの少なくとも一方が、非芳香環構造又は芳香環構造を含むことが好ましいが、ジカルボン酸が非芳香環構造又は芳香環構造を含むことがさらに好ましい。
ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸であり得る。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。
脂肪族ジカルボン酸の例には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等が含まれる。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。
脂肪族ジカルボン酸の例には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等が含まれる。
芳香族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは8〜20であり、より好ましくは8〜12である。
芳香族ジカルボン酸の例には、1,2-ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3-ベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸)、1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4−キシリデンジカルボン酸等が含まれる。
芳香族ジカルボン酸の例には、1,2-ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3-ベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸)、1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4−キシリデンジカルボン酸等が含まれる。
ポリエステルを構成するジカルボン酸は、一種類であっても、二種類以上あってもよい。
ポリエステルを構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の両方を含むことがより好ましい。芳香族ジカルボン酸は、1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)が特に好ましい。
ポリエステルを構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の両方を含むことがより好ましい。芳香族ジカルボン酸は、1,4-ベンゼンジカルボン酸(テレフタル酸)が特に好ましい。
ジオールは、脂肪族ジオール、アルキルエーテルジオール、脂環式ジオール又は芳香族ジオールであり得る。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12である。
脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールペンタン)、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール等が含まれる。アルキルエーテルジオールの炭素数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。アルキルエーテルジオールの例には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等が含まれる。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12である。
脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールペンタン)、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール等が含まれる。アルキルエーテルジオールの炭素数は、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜12である。アルキルエーテルジオールの例には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等が含まれる。
ポリエステルを構成するジオールは、一種類であっても、二種類以上あってもよい。ポリエステルを構成するジオールは、脂肪族ジオールを含むことが好ましい。
これらのなかでも、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、脂肪族ジオールとの縮合物に由来する繰り返し単位を含むポリエステルが、それを含むフィルムの延伸性と透明性が良好である点から、好ましい。
ポリエステルの分子末端は、必要に応じてモノカルボン酸又はモノアルコールで封止されていてもよい。
モノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸であり得る。
脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜4であり得る。
脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が含まれる。脂環式モノカルボン酸の例には、シクロヘキシルモノカルボン酸等が含まれる。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等が含まれる。
脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜4であり得る。
脂肪族カルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が含まれる。脂環式モノカルボン酸の例には、シクロヘキシルモノカルボン酸等が含まれる。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等が含まれる。
モノアルコールは、脂肪族モノアルコール、脂環式モノアルコール又は芳香族モノアルコールであり得る。
脂肪族モノアルコールの炭素数は1〜30であり、好ましくは1〜3であり得る。
脂肪族モノアルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコール等が含まれる。脂環式モノアルコールの例には、シクロヘキシルアルコール等が含まれる。芳香族モノアルコールの例には、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノール等が含まれる。
脂肪族モノアルコールの炭素数は1〜30であり、好ましくは1〜3であり得る。
脂肪族モノアルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコール等が含まれる。脂環式モノアルコールの例には、シクロヘキシルアルコール等が含まれる。芳香族モノアルコールの例には、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノール等が含まれる。
上記ポリエステルは、重量平均分子量Mwが300〜3000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは400〜2000である。
また、保護フィルムにおけるポリエステルの含有量は、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。この範囲内であれば、フィルムの高倍率延伸が可能となり、ブリードアウトも抑えられる。
また、保護フィルムにおけるポリエステルの含有量は、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。この範囲内であれば、フィルムの高倍率延伸が可能となり、ブリードアウトも抑えられる。
本発明に係る保護フィルムは、可塑剤として上述したセルロースエステル以外の糖エステルも使用することができる。
本発明に用いることができる糖エステルは、フラノース構造又はピラノース構造を1〜12個有する化合物であって、化合物中のヒドロキシ基の全部又は一部がエステル化された化合物である。
そのような糖エステルの好ましい例には、下記一般式(FA)で表されるスクロースエステルが含まれる。
本発明に用いることができる糖エステルは、フラノース構造又はピラノース構造を1〜12個有する化合物であって、化合物中のヒドロキシ基の全部又は一部がエステル化された化合物である。
そのような糖エステルの好ましい例には、下記一般式(FA)で表されるスクロースエステルが含まれる。
上記一般式(FA)のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を表す。R1〜R8は、互いに同じであっても、異なってもよい。
置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基は、炭素原子数2以上の置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基であることが好ましい。置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基の例には、メチルカルボニル基(アセチル基)が含まれる。アルキル基が有する置換基の例には、フェニル基等のアリール基が含まれる。
置換若しくは無置換のアリールカルボニル基は、炭素原子数7以上の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基であることが好ましい。アリールカルボニル基の例には、フェニルカルボニル基が含まれる。アリール基が有する置換基の例には、メチル基等のアルキル基や、メトキシ基等のアルコキシ基等が含まれる。
置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基は、炭素原子数2以上の置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基であることが好ましい。置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基の例には、メチルカルボニル基(アセチル基)が含まれる。アルキル基が有する置換基の例には、フェニル基等のアリール基が含まれる。
置換若しくは無置換のアリールカルボニル基は、炭素原子数7以上の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基であることが好ましい。アリールカルボニル基の例には、フェニルカルボニル基が含まれる。アリール基が有する置換基の例には、メチル基等のアルキル基や、メトキシ基等のアルコキシ基等が含まれる。
スクロースエステルのアシル基の平均置換度は、3.0〜7.5の範囲内であることが好ましい。アシル基の平均置換度がこの範囲内であると、フィルム基材であるセルロースエステルとの十分な相溶性が得られやすい。
糖エステルの例には、特開昭62−42996号公報及び特開平10−237084号公報に記載の化合物が含まれる。
保護フィルムにおける糖エステルの含有量は、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、フィルムの高倍率延伸が可能となり、ブリードアウトも抑えられる。
保護フィルムにおける糖エステルの含有量は、5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、フィルムの高倍率延伸が可能となり、ブリードアウトも抑えられる。
(紫外線吸収剤)
本発明に係る保護フィルムは、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤の例には、ベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物等が含まれる。
本発明に係る保護フィルムは、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤の例には、ベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸フェニルエステル系化合物等が含まれる。
なかでも、分子量400以上の紫外線吸収剤は、昇華しにくいか、又は高沸点で揮発しにくく、フィルムの高温乾燥時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる観点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造をともに有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
なかでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、特に好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造をともに有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
なかでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、特に好ましい。
紫外線吸収剤は、市販品であってもよく、例えばBASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズ、ADEKA社製のLA31のような2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659)を好ましく使用できる。
保護フィルムにおける紫外線防止剤の含有量は、質量割合で1〜1000ppmの範囲内であることが好ましく、10〜1000ppmの範囲内であることがより好ましい。
(マット剤)
本発明に係る保護フィルムは、フィルムに滑り性を付与するためにマット剤をさらに含有してもよい。
マット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なわず、かつフィルム製造時の耐熱性があれば無機化合物であっても有機化合物であってもよい。マット剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る保護フィルムは、フィルムに滑り性を付与するためにマット剤をさらに含有してもよい。
マット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なわず、かつフィルム製造時の耐熱性があれば無機化合物であっても有機化合物であってもよい。マット剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なかでも、セルロースエステルと屈折率が近く、フィルムの透明性(ヘイズ)に優れる二酸化ケイ素が好ましく用いられる。
二酸化ケイ素の具体例としては、市販品であるアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上、日本アエロジル社製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、日本触媒社製)、サイロホービック100(富士シリシア社製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業社製)、アドマファインSO(アドマテックス社製)等が好ましく使用できる。
二酸化ケイ素の具体例としては、市販品であるアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上、日本アエロジル社製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、日本触媒社製)、サイロホービック100(富士シリシア社製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業社製)、アドマファインSO(アドマテックス社製)等が好ましく使用できる。
粒子の形状は、不定形、針状、扁平、球状等、特に制限されない。球状の粒子を用いると、得られるフィルムの透明性が良好となり得るので好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。滑り性を十分に改善するため、粒子の大きさは80〜180nmの範囲内であることが好ましい。粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は、凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。滑り性を十分に改善するため、粒子の大きさは80〜180nmの範囲内であることが好ましい。粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は、凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
マット剤の含有量は、セルロースエステルに対して0.05〜1.00質量%程度の範囲内とすることができ、好ましくは0.10〜0.80質量%の範囲内である。
(剥離助剤)
本発明に係る保護フィルムは、剥離助剤を含有することもできる。
剥離助剤は、表面に存在して空気中の水分を吸収し、電気伝導度を高めて表面抵抗を大きく低下させる機能を有し、さらには金属ベルト面に一部凝集することで、ドープの剥離性を向上させる。
剥離助剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。また、塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
本発明に係る保護フィルムは、剥離助剤を含有することもできる。
剥離助剤は、表面に存在して空気中の水分を吸収し、電気伝導度を高めて表面抵抗を大きく低下させる機能を有し、さらには金属ベルト面に一部凝集することで、ドープの剥離性を向上させる。
剥離助剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。また、塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
具体例としては、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。また、これらの市販品としては、クラリアントジャパン社製ホスタスタットHS−1、竹本油脂社製エレカットS−412、エレカットS−418、花王社製ネオペレックスG65等が挙げられる。
<保護フィルムの製造方法>
本発明に係る保護フィルムは、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイライン等の光学欠点の抑制の観点から、溶液流延法又は溶融流延法により製造され得る。なかでも、得られるフィルムの平面性、筋等の故障耐性及び膜厚の精度が良好となることから、溶液流延法が好ましい。
本発明に係る保護フィルムは、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイライン等の光学欠点の抑制の観点から、溶液流延法又は溶融流延法により製造され得る。なかでも、得られるフィルムの平面性、筋等の故障耐性及び膜厚の精度が良好となることから、溶液流延法が好ましい。
溶液流延法による保護フィルムの製造は、1)セルロースエステルと、必要に応じて可塑剤等の他の添加剤とを溶剤に溶解又は分散させてドープを調製する工程、2)当該ドープを無端状の金属支持体上に流延する工程、3)流延されたドープを乾燥させて得られる膜状物を、金属支持体から剥離してフィルムを得る工程、4)得られたフィルムを延伸する工程、5)延伸後のフィルムを巻き取る工程、を経て行われることが好ましい。
1)ドープ調製工程
ドープの調製に有用な有機溶媒は、セルロースエステル、添加剤等を同時に溶解又は分散するものであれば、制限無く用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、メチレンクロライド(ジクロロメタン)が挙げられる。非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等が挙げられる。なかでも、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましい。
ドープの調製に有用な有機溶媒は、セルロースエステル、添加剤等を同時に溶解又は分散するものであれば、制限無く用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、メチレンクロライド(ジクロロメタン)が挙げられる。非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等が挙げられる。なかでも、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中にアルコールを含有させることで、膜状物がゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になる。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性が得られ、沸点が比較的低く、乾燥性も良いことから、エタノールが好ましい。
特に、メチレンクロライド及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、セルロースエステル及び添加剤を、少なくとも計15〜45質量%溶解又は分散させることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性が得られ、沸点が比較的低く、乾燥性も良いことから、エタノールが好ましい。
特に、メチレンクロライド及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、セルロースエステル及び添加剤を、少なくとも計15〜45質量%溶解又は分散させることが好ましい。
セルロースエステル等の溶解又は分散は、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報又は特開平9−95538号公報に記載のような冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等、種々の方法があるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
調製したドープには、凝集物が含まれることがある。凝集物を除去するため、当該ドープを濾過することが好ましい。
濾過は、捕集粒子径0.5〜5.0μmの範囲内で、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの範囲内の濾材を用いることが好ましい。このような濾材を用いることにより、凝集物だけを除去できる。
濾過は、捕集粒子径0.5〜5.0μmの範囲内で、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの範囲内の濾材を用いることが好ましい。このような濾材を用いることにより、凝集物だけを除去できる。
2)流延工程
調製したドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液する。そして、加圧ダイのスリットから、無限に移送する無端の金属支持体上(例えばステンレスベルト、回転する金属ドラム等)の流延位置に、ドープを流延する。
加圧ダイは、口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一に制御しやすい加圧ダイとすることが好ましい。加圧ダイとしては、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために、加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープの流量を分割して重層してもよい。又は、複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得てもよい。
調製したドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液する。そして、加圧ダイのスリットから、無限に移送する無端の金属支持体上(例えばステンレスベルト、回転する金属ドラム等)の流延位置に、ドープを流延する。
加圧ダイは、口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一に制御しやすい加圧ダイとすることが好ましい。加圧ダイとしては、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために、加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープの流量を分割して重層してもよい。又は、複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得てもよい。
3)溶媒蒸発及び剥離工程
金属支持体上に流延されたドープを金属支持体上で加熱して、ドープ中の溶媒を蒸発させ、膜状物を得る。
溶媒を蒸発させるには、ドープの液面側から風を吹かせる方法、支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、これらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。金属支持体上のドープを40〜100℃の範囲内の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の範囲内の雰囲気下に維持するには、この温度の温風を、金属支持体上のドープの液面に当てるか、赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
金属支持体上に流延されたドープを金属支持体上で加熱して、ドープ中の溶媒を蒸発させ、膜状物を得る。
溶媒を蒸発させるには、ドープの液面側から風を吹かせる方法、支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、これらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。金属支持体上のドープを40〜100℃の範囲内の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の範囲内の雰囲気下に維持するには、この温度の温風を、金属支持体上のドープの液面に当てるか、赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
次に、金属支持体上で溶媒を蒸発させて得られる膜状物を、剥離位置で剥離し、フィルムを得る。得られるフィルムの面品質、透湿性及び剥離性の観点から、流延後30〜120秒以内に、金属支持体から膜状物を剥離することが好ましい。金属支持体上の剥離位置における温度は、好ましくは10〜40℃の範囲内であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲内である。
剥離する時点での金属支持体上の膜状物における残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により、50〜120質量%の範囲内であることが好ましい。しかしながら、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、膜状物が柔らかすぎると剥離時に平面性を損ね、得られるフィルムに剥離張力によるツレや縦スジが発生しやすい。そのため、製造速度と品質との兼ね合いから剥離時の残留溶媒量が決められる。
膜状物の残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)=(膜状物の加熱処理前の質量−膜状物の加熱処理後の質量)/(膜状物の加熱処理後の質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、140℃で1時間の加熱を行う処理を表す。
残留溶媒量(質量%)=(膜状物の加熱処理前の質量−膜状物の加熱処理後の質量)/(膜状物の加熱処理後の質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、140℃で1時間の加熱を行う処理を表す。
金属支持体と膜状物を剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
4)乾燥工程及び延伸工程
剥離されたフィルムを、乾燥装置内に設けられた複数のローラーにより乾燥装置内を搬送させながら乾燥させる。次に、テンター延伸装置にて、フィルムの両端をクリップで挟みながら搬送し、フィルムを延伸する(テンター延伸法)。フィルムを搬送する複数のローラーに周速差をつけ、その周速差を利用して延伸する方法(ローラー延伸法)を用いてもよい。
剥離されたフィルムを、乾燥装置内に設けられた複数のローラーにより乾燥装置内を搬送させながら乾燥させる。次に、テンター延伸装置にて、フィルムの両端をクリップで挟みながら搬送し、フィルムを延伸する(テンター延伸法)。フィルムを搬送する複数のローラーに周速差をつけ、その周速差を利用して延伸する方法(ローラー延伸法)を用いてもよい。
乾燥は、フィルムの両面に熱風を当てる方法が一般的であるが、熱風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱してもよい。余り急激な乾燥は得られるフィルムの平面性を損ねやすい。高温による乾燥は、残留溶媒量が8質量%以下程度まで低下してから行うことが好ましい。全体を通して、乾燥はおおむね40〜250℃の範囲内で行われる。特に、40〜200℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置で乾燥させることもでき、この場合、乾燥温度は30〜160℃の範囲内が好ましく、50〜150℃の範囲内がさらに好ましい。テンター延伸装置において、雰囲気の温度分布がTD方向において少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましい。そのため、テンター延伸装置でのTD方向の温度分布は、±5℃以内であることが好ましく、±2℃以内であることがより好ましく、±1℃以内であることが最も好ましい。
保護フィルムのMD方向とTD方向のうち、少なくともMD方向に延伸することが、保護フィルムのMD方向の弾性率E1及びTD方向の弾性率E2の比の値E1/E2を、1.5〜3.0の範囲内に調整しやすいことから好ましい。
MD方向の延伸倍率は、1.6倍以上であることが好ましく、1.6〜3.0倍の範囲内であることがより好ましい。
MD方向の延伸倍率は、1.6倍以上であることが好ましく、1.6〜3.0倍の範囲内であることがより好ましい。
MD方向に加えて、TD方向にも延伸を実施する二軸延伸も、フィルムの強度を得る観点から好ましい。
二軸延伸の場合、MD方向の延伸倍率がTD方向の延伸倍率より大きく、MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることが好ましい。なかでも、MD方向の延伸倍率は、1.6〜3.0倍の範囲内であることが好ましい。また、TD方向の延伸倍率は、1.3〜4.0倍の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0倍の範囲内であることがより好ましい。
なお、上記MD方向及びTD方向の延伸倍率は、それぞれの方向の延伸前後のフィルムの長さから、下記式により求められる。
延伸倍率=延伸後のフィルムの長さ/延伸前のフィルムの長さ
二軸延伸の場合、MD方向の延伸倍率がTD方向の延伸倍率より大きく、MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることが好ましい。なかでも、MD方向の延伸倍率は、1.6〜3.0倍の範囲内であることが好ましい。また、TD方向の延伸倍率は、1.3〜4.0倍の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0倍の範囲内であることがより好ましい。
なお、上記MD方向及びTD方向の延伸倍率は、それぞれの方向の延伸前後のフィルムの長さから、下記式により求められる。
延伸倍率=延伸後のフィルムの長さ/延伸前のフィルムの長さ
二軸延伸は、同時に行ってもよいし、段階的に行ってもよい。
同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方向における張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
段階的に行う二軸延伸は、例えば延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
例えば、次のような延伸ステップが可能である。
・MD方向に延伸→TD方向に延伸
・TD方向に延伸→MD方向に延伸
・MD方向に延伸→TD方向に延伸→TD方向に延伸
・TD方向に延伸→TD方向に延伸→MD方向に延伸
同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方向における張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
段階的に行う二軸延伸は、例えば延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
例えば、次のような延伸ステップが可能である。
・MD方向に延伸→TD方向に延伸
・TD方向に延伸→MD方向に延伸
・MD方向に延伸→TD方向に延伸→TD方向に延伸
・TD方向に延伸→TD方向に延伸→MD方向に延伸
延伸開始時のフィルムの残留溶媒量は、20〜100質量%の範囲であることが好ましい。延伸終了後に得られるフィルムは、残留溶媒量が5質量%以下、好ましくは1質量%以下となるまで乾燥させることが好ましい。
5)巻き取り工程
延伸、乾燥後のフィルムを、巻取り機でロール状に巻き取る。巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
延伸、乾燥後のフィルムを、巻取り機でロール状に巻き取る。巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
本発明に係る保護フィルムは、長尺フィルムであることもできる。例えば、巻長が100〜10000m程度の範囲内にあり、TD方向の長さが1.0〜4.0m、好ましくは1.4〜3.0mの範囲内にある長尺フィルムとし得る。長尺フィルムは、通常、長軸方向であるMD方向に巻き取られたロール体として保存され得る。
巻き取る前に、製品とするときの幅に合わせて、保護フィルムのTD方向端部をスリットして裁ち落とした後、巻き内面の貼り付きや擦り傷防止のために、例えばエンボッシング加工のようなナール加工をTD方向両端部に施してもよい。ナール加工は、例えば凸凹のパターンを側面に有する金属リングでフィルムを加熱又は加圧することにより加工することができる。
巻き取る前に、製品とするときの幅に合わせて、保護フィルムのTD方向端部をスリットして裁ち落とした後、巻き内面の貼り付きや擦り傷防止のために、例えばエンボッシング加工のようなナール加工をTD方向両端部に施してもよい。ナール加工は、例えば凸凹のパターンを側面に有する金属リングでフィルムを加熱又は加圧することにより加工することができる。
<保護フィルムの物性>
(膜厚)
本発明に係る保護フィルムの膜厚は、好ましくは15〜35μmの範囲内であり、より好ましくは15〜30μmの範囲内である。膜厚が上記範囲内であれば、フィルムの強度が十分であり、液晶セルの曲がりを抑えて表示ムラを改善でき、ロール体を巻芯が水平になるように保存した際に、フィルムのTD方向中央部が自重で凹む等の変形(巻き形状の変化)も抑制できる。
(膜厚)
本発明に係る保護フィルムの膜厚は、好ましくは15〜35μmの範囲内であり、より好ましくは15〜30μmの範囲内である。膜厚が上記範囲内であれば、フィルムの強度が十分であり、液晶セルの曲がりを抑えて表示ムラを改善でき、ロール体を巻芯が水平になるように保存した際に、フィルムのTD方向中央部が自重で凹む等の変形(巻き形状の変化)も抑制できる。
(ヘイズ)
本発明に係る保護フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
本発明の保護フィルムを散乱フィルムとして用いる場合は、ヘイズ値は上記の範囲を超えていてもよい。
ヘイズは、JIS K−7136に準拠して、ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色社製)にて測定できる。
本発明に係る保護フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
本発明の保護フィルムを散乱フィルムとして用いる場合は、ヘイズ値は上記の範囲を超えていてもよい。
ヘイズは、JIS K−7136に準拠して、ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色社製)にて測定できる。
本発明に係る保護フィルムは、ハードコート層、帯電防止層、バックコート層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層をさらに有してもよい。
<偏光子>
偏光子は、ヨウ素系偏光膜、二色染料を用いた染料系偏光膜又はポリエン系偏光膜であり得る。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色して得られたフィルムであってもよいし、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。
偏光子は、ヨウ素系偏光膜、二色染料を用いた染料系偏光膜又はポリエン系偏光膜であり得る。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色して得られたフィルムであってもよいし、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜したものであってもよい。ポリビニルアルコール系フィルムは、偏光性能及び耐久性能に優れ、色斑が少ないことから、エチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましい。
二色性染料の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等が含まれる。
二色性染料の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等が含まれる。
偏光子の厚さは、5〜30μmの範囲内であることが好ましく、10〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
<位相差フィルム>
偏光子の一方の面に本発明に係る保護フィルムが配置される場合、偏光子の他方の面には位相差フィルムが配置される。
位相差フィルムの面内の遅相軸と、偏光子の吸収軸とが交差する角度は、目的に応じて適切な角度を採用し得る。例えば、λ/4位相差フィルムであれば、40〜50°の範囲内であることが好ましく、45°がより好ましい。
偏光子の一方の面に本発明に係る保護フィルムが配置される場合、偏光子の他方の面には位相差フィルムが配置される。
位相差フィルムの面内の遅相軸と、偏光子の吸収軸とが交差する角度は、目的に応じて適切な角度を採用し得る。例えば、λ/4位相差フィルムであれば、40〜50°の範囲内であることが好ましく、45°がより好ましい。
位相差フィルムの位相差値は、組み合わされる液晶セルの種類に応じて設定され得る。例えば、位相差フィルムの、23℃・55%RH下、波長590nmで測定される面内方向及び厚さ方向の位相差値Roを、それぞれRo(590)及びRt(590)としたとき、Ro(590)は30〜150nmの範囲内にあることが好ましく、Rt(590)は70〜300nmの範囲内にあることが好ましい。位相差値Ro(590)及びRt(590)が上記範囲内にある位相差フィルムは、例えばVA型液晶セル等に好ましく用いることができる。
なお、本発明に係る保護フィルムの位相差値を調整し、上記位相差フィルムとして機能させてもよい。
<偏光板の製造方法>
本発明の偏光板の製造方法は、上述した保護フィルムを製造する製造工程を含み、当該製造工程では、製造後の保護フィルムのtanδの最大値が、0.6以上であり、かつ当該保護フィルムのMD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあるように、保護フィルムを製造する。
さらに、製造後の保護フィルムを偏光子に貼り合わせる工程を経ることにより、本発明の偏光板を得ることができる。貼り合わせに用いられる接着剤としては、例えば完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液等が好ましい。
本発明の偏光板の製造方法は、上述した保護フィルムを製造する製造工程を含み、当該製造工程では、製造後の保護フィルムのtanδの最大値が、0.6以上であり、かつ当該保護フィルムのMD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあるように、保護フィルムを製造する。
さらに、製造後の保護フィルムを偏光子に貼り合わせる工程を経ることにより、本発明の偏光板を得ることができる。貼り合わせに用いられる接着剤としては、例えば完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液等が好ましい。
偏光子と保護フィルムをそれぞれ長尺フィルムとし、それぞれの長軸方向が一致するようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を製造する場合、偏光子の吸収軸は偏光子の延伸方向と平行であることから、偏光子の吸収軸方向と保護フィルムのMD方向は一致する。
なお、長軸方向が一致する、又は吸収軸方向とMD方向が一致するとは、それぞれの方向のなす角度が±5°程度の範囲内にあることをいう。
なお、長軸方向が一致する、又は吸収軸方向とMD方向が一致するとは、それぞれの方向のなす角度が±5°程度の範囲内にあることをいう。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、液晶セルの少なくとも一方の面に、上述した偏光板を具備する。これにより、温湿度変化による表示ムラの少ない液晶表示装置を提供することができる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルの少なくとも一方の面に、上述した偏光板を具備する。これにより、温湿度変化による表示ムラの少ない液晶表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す断面図である。
図1に示すように、液晶表示装置100は、液晶セル40と、液晶セル40の両面にそれぞれ配置された二つの偏光板50及び60と、バックライト70とを備えている。
図1に示すように、液晶表示装置100は、液晶セル40と、液晶セル40の両面にそれぞれ配置された二つの偏光板50及び60と、バックライト70とを備えている。
液晶セル40の表示方式は、特に制限されず、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、IPS(In-Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、VA(Vertical Alignment)方式(MVA;Multi-domain Vertical Alignment及びPVA;Patterned Vertical Alignmentを含む)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式等がある。コントラストを高めるためには、VA(MVA、PVA)方式が好ましい。
VA方式の液晶セルは、一対の透明基板と、当該一対の透明基板間に挟持された液晶層とを有する。
透明基板は、例えばガラス基板である。透明基板の膜厚は、液晶画面を薄型化する観点から、0.2〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
一対の透明基板のうち、一方の透明基板には、液晶分子に電圧を印加するための画素電極が配置される。対向電極は、一方の透明基板(画素電極が配置された透明基板)に配置されてもよいし、他方の透明基板に配置されてもよい。
透明基板は、例えばガラス基板である。透明基板の膜厚は、液晶画面を薄型化する観点から、0.2〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
一対の透明基板のうち、一方の透明基板には、液晶分子に電圧を印加するための画素電極が配置される。対向電極は、一方の透明基板(画素電極が配置された透明基板)に配置されてもよいし、他方の透明基板に配置されてもよい。
液晶層は、負又は正の誘電率異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子は、透明基板の液晶層側の面に設けられた配向膜の配向規制力により、電圧無印加時(画素電極と対向電極との間に電界が生じていないとき)には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して略垂直となるように配向している。
液晶セル40において、画素電極に画像信号に応じた電圧を印加すると、画素電極と対向電極との間に電界が生じる。これにより、透明基板の表面に対して垂直に初期配向している液晶分子を、その長軸が透明基板の表面に対して水平方向となるように配向させることができる。このようにして液晶層を駆動し、各副画素の透過率及び反射率を変化させて画像表示を行う。
偏光板50は、フロント側(視認側)の液晶セル40の面に配置され、フロント側から順に保護フィルム51、偏光子52及び位相差フィルム53を具備する。フロント側は、ユーザーにより液晶画面が視認される側である。
偏光板60は、リア側(バックライト側)の液晶セル40の面に配置され、リア側から順に保護フィルム63、偏光子62及び位相差フィルム61を具備する。リア側は、バックライト70が設けられている側である。
各偏光板50及び60は、それぞれの吸収軸のなす角度が90°となるように配置されている。
偏光板60は、リア側(バックライト側)の液晶セル40の面に配置され、リア側から順に保護フィルム63、偏光子62及び位相差フィルム61を具備する。リア側は、バックライト70が設けられている側である。
各偏光板50及び60は、それぞれの吸収軸のなす角度が90°となるように配置されている。
図2は、図1の液晶セル40と二つの偏光板50及び60を階層的に表した図である。
図2に示すように、液晶表示装置100がおかれた環境の温度及び湿度に変化があると、水分を吸収した偏光子52及び62がそれぞれの吸収軸方向52d及び62dに収縮する。図2において、この収縮する力を白の矢印で表している。収縮する力は液晶セル40に伝播するが、液晶セル40の透明基板がこの力に耐えられないと、液晶セル40に曲がりが生じ、液晶セル40に隣接する位相差フィルム53及び61も曲がってしまう。位相差フィルム53及び61の曲がりによって、位相差が変化し、表示ムラを引き起こす。
図2に示すように、液晶表示装置100がおかれた環境の温度及び湿度に変化があると、水分を吸収した偏光子52及び62がそれぞれの吸収軸方向52d及び62dに収縮する。図2において、この収縮する力を白の矢印で表している。収縮する力は液晶セル40に伝播するが、液晶セル40の透明基板がこの力に耐えられないと、液晶セル40に曲がりが生じ、液晶セル40に隣接する位相差フィルム53及び61も曲がってしまう。位相差フィルム53及び61の曲がりによって、位相差が変化し、表示ムラを引き起こす。
しかしながら、偏光板50又は60の少なくとも一方に本発明の偏光板が用いられている場合、本発明の偏光板は、保護フィルムのMD方向の弾性率が高いことから、MD方向に加えられる力に対する応力が大きい。
一般に、偏光子と保護フィルムは長尺フィルムとしてロール・トゥ・ロールで貼り合わせられ、図2に示すように保護フィルム51のMD方向51dと偏光子52の吸収軸方向52d、保護フィルム63のMD方向63dと偏光子62の吸収軸方向62dは一致している。そのため、偏光子52及び62が収縮する力を、それぞれに貼り合わされた保護フィルム51及び63によって大きく低減することが可能である。
これにより、液晶セル40に伝播する力を、薄膜化された透明基板であっても十分耐えられる程度に低減することができ、液晶セル40及び液晶セル40に隣接する位相差フィルム53及び61の曲がりを抑えることができる。位相差フィルムの曲がりを抑えることができれば、位相差の変化ひいては表示ムラを抑えることが可能になる。
一般に、偏光子と保護フィルムは長尺フィルムとしてロール・トゥ・ロールで貼り合わせられ、図2に示すように保護フィルム51のMD方向51dと偏光子52の吸収軸方向52d、保護フィルム63のMD方向63dと偏光子62の吸収軸方向62dは一致している。そのため、偏光子52及び62が収縮する力を、それぞれに貼り合わされた保護フィルム51及び63によって大きく低減することが可能である。
これにより、液晶セル40に伝播する力を、薄膜化された透明基板であっても十分耐えられる程度に低減することができ、液晶セル40及び液晶セル40に隣接する位相差フィルム53及び61の曲がりを抑えることができる。位相差フィルムの曲がりを抑えることができれば、位相差の変化ひいては表示ムラを抑えることが可能になる。
液晶セルで構成される液晶画面が長方形である場合には、液晶セルの両面にそれぞれ用いられる二つの偏光板のうち、少なくとも偏光子の吸収軸方向が液晶画面の長軸方向と一致する偏光板として、本発明の偏光板を用いることが好ましい。
偏光子が収縮する力のモーメントは、偏光子の吸収軸方向の長さが長いほど、大きくなる。そのため、液晶画面が長方形である場合、各偏光板の偏光子が収縮する力のモーメントは同一ではなく、液晶画面の長軸方向と吸収軸方向が一致する偏光板の方が、モーメントは大きくなる。このモーメントの差によって、液晶セルには反るような曲がりが生じる。
偏光子が収縮する力のモーメントは、偏光子の吸収軸方向の長さが長いほど、大きくなる。そのため、液晶画面が長方形である場合、各偏光板の偏光子が収縮する力のモーメントは同一ではなく、液晶画面の長軸方向と吸収軸方向が一致する偏光板の方が、モーメントは大きくなる。このモーメントの差によって、液晶セルには反るような曲がりが生じる。
一般的には、図2に示すように、液晶セル40のフロント側に設けられる偏光板50が、液晶画面の長軸方向と吸収軸方向52dが一致するように配置されている。偏光板50の方が、偏光板60よりも収縮の力のモーメントが大きくなるため、図3の断面図に示すように、液晶セル40はリア側に突き出るようにして反る。
このとき、フロント側の最外郭に位置する保護フィルム51は最も曲がりが大きくなる。しかし、フロント側の偏光板50として、本発明の偏光板を用いることにより、保護フィルム51のMD方向51dにおける弾性率E1が高くなり、偏光子52の収縮する力を大きく低減することができる。その結果、リア側へ突き出るような液晶セル40の曲がりを効果的に抑えることができる。
フロント側の偏光板50だけでなく、リア側の偏光板60も、本発明の偏光板とすることも可能である。
これにより、リア側の偏光子62が吸収軸方向62dに収縮する力も、当該偏光板60に設けられた保護フィルム63によって大きく低減することができる。
これにより、リア側の偏光子62が吸収軸方向62dに収縮する力も、当該偏光板60に設けられた保護フィルム63によって大きく低減することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
<保護フィルム11の作製>
下記成分を、撹拌及び加熱しながら十分に溶解させて、ドープを調製した。
(ドープの組成)
セルロースエステル(アセチル基置換度2.87、重量平均分子量Mw300000):
100.0質量部
ポリエステル(コハク酸、テレフタル酸及びエチレングリコールをモノマーとする縮合物の末端封止物、コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコールのモル比は50/50/100、重量平均分子量Mw2000): 10.0質量部
紫外線吸収剤;チヌビン928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、BASFジャパン社製): 3.0質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径16nm):
0.3質量部
剥離助剤;エレカットS412(竹本油脂社製): 0.5質量部
メチレンクロライド: 300.0質量部
エタノール: 40.0質量部
下記成分を、撹拌及び加熱しながら十分に溶解させて、ドープを調製した。
(ドープの組成)
セルロースエステル(アセチル基置換度2.87、重量平均分子量Mw300000):
100.0質量部
ポリエステル(コハク酸、テレフタル酸及びエチレングリコールをモノマーとする縮合物の末端封止物、コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコールのモル比は50/50/100、重量平均分子量Mw2000): 10.0質量部
紫外線吸収剤;チヌビン928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、BASFジャパン社製): 3.0質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径16nm):
0.3質量部
剥離助剤;エレカットS412(竹本油脂社製): 0.5質量部
メチレンクロライド: 300.0質量部
エタノール: 40.0質量部
得られたドープを、ベルト流延装置を用いて、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。さらに、ステンレスバンド支持体上で、残留溶剤量が100質量%になるまでドープ中の溶媒を蒸発させた。得られた膜状物を、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離し、フィルムを得た。
得られたフィルムを温度35℃でさらに乾燥させた後、TD方向の長さが1.5mとなるようにTD方向の端部をスリットした。スリット後のフィルムをローラーでMD方向に延伸温度200℃で2.0倍延伸し、テンター延伸装置にてTD方向に延伸温度200℃で1.5倍延伸した。テンター延伸装置による延伸開始時の残留溶媒量は8質量%であった。
テンター延伸装置で延伸した後、130℃で5分間の緩和処理を施し、得られたフィルムを多数のローラーにより120℃及び140℃の各乾燥ゾーンに搬送し、搬送しながら乾燥させた。次に、フィルムをTD方向の長さが1.35mとなるようにTD方向の端部をスリットした。その後、フィルムのTD方向両端に幅10mm及び高さ5μmのナール加工を施して、コアに巻き取り、保護フィルム11のロール体を得た。保護フィルム11の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
テンター延伸装置で延伸した後、130℃で5分間の緩和処理を施し、得られたフィルムを多数のローラーにより120℃及び140℃の各乾燥ゾーンに搬送し、搬送しながら乾燥させた。次に、フィルムをTD方向の長さが1.35mとなるようにTD方向の端部をスリットした。その後、フィルムのTD方向両端に幅10mm及び高さ5μmのナール加工を施して、コアに巻き取り、保護フィルム11のロール体を得た。保護フィルム11の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム12の作製>
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルの添加量を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム12を作製した。
保護フィルム11と同様に、保護フィルム12の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルの添加量を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム12を作製した。
保護フィルム11と同様に、保護フィルム12の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム13〜15の作製>
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルを、それぞれ下記スチレン系重合体1〜3に変更した以外は、保護フィルム11と同様にして各保護フィルム13〜15を作製した。
スチレン系重合体1:SMA2625(スチレンとマレイン酸の共重合体、スチレンとマレイン酸のモル比(スチレン/マレイン酸)67/33、重量平均分子量Mw9000)、サートマー社製): 10.0質量部
スチレン系重合体2:SMA17325(スチレンとマレイン酸の共重合体、スチレンとマレイン酸のモル比(スチレン/マレイン酸)50/50、重量平均分子量Mw7000)、サートマー社製): 10.0質量部
スチレン系重合体3:マルカリンカーCST50(スチレンとヒドロキシスチレンの共重合体、スチレンとヒドロキシスチレンのモル比(スチレン/ヒドロキシスチレン)50/50、重量平均分子量Mw2000、丸善石油化学社製): 10.0質量部
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム13〜15の膜厚は25μm、巻長(MD方向の長さ)は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルを、それぞれ下記スチレン系重合体1〜3に変更した以外は、保護フィルム11と同様にして各保護フィルム13〜15を作製した。
スチレン系重合体1:SMA2625(スチレンとマレイン酸の共重合体、スチレンとマレイン酸のモル比(スチレン/マレイン酸)67/33、重量平均分子量Mw9000)、サートマー社製): 10.0質量部
スチレン系重合体2:SMA17325(スチレンとマレイン酸の共重合体、スチレンとマレイン酸のモル比(スチレン/マレイン酸)50/50、重量平均分子量Mw7000)、サートマー社製): 10.0質量部
スチレン系重合体3:マルカリンカーCST50(スチレンとヒドロキシスチレンの共重合体、スチレンとヒドロキシスチレンのモル比(スチレン/ヒドロキシスチレン)50/50、重量平均分子量Mw2000、丸善石油化学社製): 10.0質量部
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム13〜15の膜厚は25μm、巻長(MD方向の長さ)は4000mであった。
<保護フィルム16及び17の作製>
保護フィルム13の作製において、延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム13と同様にして保護フィルム16及び17をそれぞれ作製した。なお、保護フィルム17は、TD方向の延伸を行わず、MD方向の延伸のみ行った。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム16及び17の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム13の作製において、延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム13と同様にして保護フィルム16及び17をそれぞれ作製した。なお、保護フィルム17は、TD方向の延伸を行わず、MD方向の延伸のみ行った。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム16及び17の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム18及び19の作製>
保護フィルム13の作製において、スチレン系重合体1の添加量を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム13と同様にして保護フィルム18を作製した。
保護フィルム14の作製において、スチレン系重合体2の添加量を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム14と同様にして保護フィルム19を作製した。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム18及び19の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム13の作製において、スチレン系重合体1の添加量を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム13と同様にして保護フィルム18を作製した。
保護フィルム14の作製において、スチレン系重合体2の添加量を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム14と同様にして保護フィルム19を作製した。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム18及び19の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム20及び21の作製>
保護フィルム11の作製において、MD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして各保護フィルム20及び21を作製した。
保護フィルム11と同様に、保護フィルム20及び21の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、MD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして各保護フィルム20及び21を作製した。
保護フィルム11と同様に、保護フィルム20及び21の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム22の作製>
保護フィルム11の作製において、ポリエステルを下記糖エステルに変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム22を作製した。
糖エステル(上記一般式(FA)において、R1〜R8がそれぞれベンゾイル基か水素原子であり、当該ベンゾイル基の平均置換度が5.5の糖エステル) 10質量部
保護フィルム11と同様に、保護フィルム22の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、ポリエステルを下記糖エステルに変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム22を作製した。
糖エステル(上記一般式(FA)において、R1〜R8がそれぞれベンゾイル基か水素原子であり、当該ベンゾイル基の平均置換度が5.5の糖エステル) 10質量部
保護フィルム11と同様に、保護フィルム22の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム31の作製>
保護フィルム11の作製において、ドープにポリエステルを添加せずに、さらに延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム31を作製した。
保護フィルム11と同様に、保護フィルム31の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、ドープにポリエステルを添加せずに、さらに延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム31を作製した。
保護フィルム11と同様に、保護フィルム31の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム32及び33の作製>
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルをエチルフタリルエチルグリコレートに代えて下記表1に示す添加量で添加し、さらに延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム32及び33をそれぞれ作製した。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム32及び33の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルをエチルフタリルエチルグリコレートに代えて下記表1に示す添加量で添加し、さらに延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム32及び33をそれぞれ作製した。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム32及び33の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<保護フィルム34及び35の作製>
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルの添加量及び延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム34及び35をそれぞれ作製した。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム34及び35の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
保護フィルム11の作製において、ドープ中のポリエステルの添加量及び延伸時のMD方向及びTD方向の延伸倍率を下記表1に示すように変更した以外は、保護フィルム11と同様にして保護フィルム34及び35をそれぞれ作製した。
保護フィルム11と同様に、各保護フィルム34及び35の膜厚は25μm、巻長は4000mであった。
<偏光板11〜22及び31〜35の作製>
下記手順で、偏光子を作製した。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、MD方向に一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。延伸後、ヨウ素0.075質量部、ヨウ化カリウム5質量部及び水100質量部からなる水溶液に60秒間浸漬した。次いで、ヨウ化カリウム6質量部、ホウ酸7.5質量部及び水100質量部からなる68℃の水溶液に浸漬した後、水洗、乾燥して、長尺フィルムの偏光子を得た。
得られた偏光子は、膜厚が10μmであった。
下記手順で、偏光子を作製した。
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、MD方向に一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。延伸後、ヨウ素0.075質量部、ヨウ化カリウム5質量部及び水100質量部からなる水溶液に60秒間浸漬した。次いで、ヨウ化カリウム6質量部、ホウ酸7.5質量部及び水100質量部からなる68℃の水溶液に浸漬した後、水洗、乾燥して、長尺フィルムの偏光子を得た。
得られた偏光子は、膜厚が10μmであった。
次に、下記工程1〜5に従って、保護フィルム11〜22及び31〜35をそれぞれ具備する偏光板11〜22及び31〜35を作製した。
工程1:保護フィルムの一方の表面を、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、水洗、乾燥してケン化した。ケン化された表面が偏光子との貼合面である。
工程2:作製した偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭いて取り除いた後、偏光子を工程1でケン化した保護フィルムの表面上に重ね、貼り合わせた。
工程4:工程3で保護フィルム上に重ねた偏光子の他方の面上に、位相差フィルムとしてコニカミノルタタックKC4DR(コニカミノルタアドバンストレイヤー社製のセルロースエステルフィルム)を重ね、圧力20〜30N/cm2、搬送スピード約2m/分で貼り合わせた。
工程5:80℃の乾燥機中に、工程4で貼り合わせた保護フィルム、偏光子及びコニカミノルタタックKC4DRを2分間乾燥し、偏光板を作製した。
工程1:保護フィルムの一方の表面を、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、水洗、乾燥してケン化した。ケン化された表面が偏光子との貼合面である。
工程2:作製した偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭いて取り除いた後、偏光子を工程1でケン化した保護フィルムの表面上に重ね、貼り合わせた。
工程4:工程3で保護フィルム上に重ねた偏光子の他方の面上に、位相差フィルムとしてコニカミノルタタックKC4DR(コニカミノルタアドバンストレイヤー社製のセルロースエステルフィルム)を重ね、圧力20〜30N/cm2、搬送スピード約2m/分で貼り合わせた。
工程5:80℃の乾燥機中に、工程4で貼り合わせた保護フィルム、偏光子及びコニカミノルタタックKC4DRを2分間乾燥し、偏光板を作製した。
<液晶表示装置11〜22及び31〜35の作製>
VAモード型の液晶表示装置であるBRAVIA KDL−52W5(ソニー社製)において、液晶セルの両面にあらかじめ貼り合わされていた二つの偏光板のうち、液晶セルのフロント側の面に貼り合わされていた一つを剥がし、代わりに偏光板11を貼り合わせて、液晶表示装置11を作製した。偏光板11は、位相差フィルムが液晶セル側に位置するようにして貼り合わせた。
VAモード型の液晶表示装置であるBRAVIA KDL−52W5(ソニー社製)において、液晶セルの両面にあらかじめ貼り合わされていた二つの偏光板のうち、液晶セルのフロント側の面に貼り合わされていた一つを剥がし、代わりに偏光板11を貼り合わせて、液晶表示装置11を作製した。偏光板11は、位相差フィルムが液晶セル側に位置するようにして貼り合わせた。
BRAVIA KDL−52W5の液晶画面は、上下方向よりも左右方向に長い長方形であった。
また、BRAVIA KDL−52W5の液晶セルのフロント側に配置されていた偏光板は、吸収軸方向が液晶画面の長軸方向(左右方向)と一致し、液晶セルのリア側に配置されていた偏光板は、吸収軸方向が液晶画面の短軸方向(上下方向)と一致していた。よって、偏光板11も同じように長方形に形成し、吸収軸方向が液晶画面の長軸方向と一致するように配置した。
液晶表示装置11と同様にして、各偏光板12〜22及び31〜35を使用し、液晶表示装置12〜22及び31〜35をそれぞれ作製した。
また、BRAVIA KDL−52W5の液晶セルのフロント側に配置されていた偏光板は、吸収軸方向が液晶画面の長軸方向(左右方向)と一致し、液晶セルのリア側に配置されていた偏光板は、吸収軸方向が液晶画面の短軸方向(上下方向)と一致していた。よって、偏光板11も同じように長方形に形成し、吸収軸方向が液晶画面の長軸方向と一致するように配置した。
液晶表示装置11と同様にして、各偏光板12〜22及び31〜35を使用し、液晶表示装置12〜22及び31〜35をそれぞれ作製した。
<液晶表示装置23の作製>
液晶表示装置13の作製において、BRAVIA KDL−52W5の液晶セルの両面に貼り合わされていた二つの偏光板を剥がし、液晶セルの両面に二つの偏光板13をそれぞれ貼り合わせた以外は、液晶表示装置13と同様にして液晶表示装置23を作製した。二つの偏光板13は、いずれも位相差フィルムが液晶セル側に位置するように貼り合わせた。また、元の偏光板と同じようにして、液晶セルのフロント側の面に配置する偏光板13の吸収軸方向が液晶画面の長軸方向と一致し、リア側の面に配置する偏光板13の吸収軸方向が液晶画面の短軸方向と一致するように、各偏光板13を配置した。
液晶表示装置13の作製において、BRAVIA KDL−52W5の液晶セルの両面に貼り合わされていた二つの偏光板を剥がし、液晶セルの両面に二つの偏光板13をそれぞれ貼り合わせた以外は、液晶表示装置13と同様にして液晶表示装置23を作製した。二つの偏光板13は、いずれも位相差フィルムが液晶セル側に位置するように貼り合わせた。また、元の偏光板と同じようにして、液晶セルのフロント側の面に配置する偏光板13の吸収軸方向が液晶画面の長軸方向と一致し、リア側の面に配置する偏光板13の吸収軸方向が液晶画面の短軸方向と一致するように、各偏光板13を配置した。
<評価>
(1)保護フィルムのtanδ
各保護フィルム11〜22及び31〜35の動的粘弾性を測定し、25〜240℃の温度範囲におけるtanδの最大値を求めた。
最初に、各保護フィルム11〜22及び31〜35から試料を切り出し、23℃・55%RHの環境下に24時間おいて調湿した。調湿後の試料の動的粘弾性を、55%RH下で温度を25℃から240℃まで昇温させながら、下記測定条件により測定した。測定により得られた25〜240℃の温度範囲におけるtanδの最大値を求めた。
測定装置:RSAIII(ティーエイインスツルメント社製)
試料:幅5mm、長さ50mm(ギャップを20mmに設定)
測定モード:引張モード
測定温度:25〜240℃の温度範囲内で、5℃/minの速度で昇温
湿度:相対湿度55%
昇温速度:5℃/min
周波数:1Hz
(1)保護フィルムのtanδ
各保護フィルム11〜22及び31〜35の動的粘弾性を測定し、25〜240℃の温度範囲におけるtanδの最大値を求めた。
最初に、各保護フィルム11〜22及び31〜35から試料を切り出し、23℃・55%RHの環境下に24時間おいて調湿した。調湿後の試料の動的粘弾性を、55%RH下で温度を25℃から240℃まで昇温させながら、下記測定条件により測定した。測定により得られた25〜240℃の温度範囲におけるtanδの最大値を求めた。
測定装置:RSAIII(ティーエイインスツルメント社製)
試料:幅5mm、長さ50mm(ギャップを20mmに設定)
測定モード:引張モード
測定温度:25〜240℃の温度範囲内で、5℃/minの速度で昇温
湿度:相対湿度55%
昇温速度:5℃/min
周波数:1Hz
(2)保護フィルムのMD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2
各保護フィルム11〜22及び31〜35の試料を、23℃・55%RHの環境下に24時間おいて調湿した。調湿後の試料のMD方向及びTD方向の各弾性率E1及びE2(MPa)を、JIS K7127に記載の方法に準じて、引張試験機テンシロンRTA−100(オリエンテック社製)により測定した。測定は、調湿時と同じ環境下で行い、試料の形状を1号形試験片タイプとし、引張速度を10mm/minとした。
得られた弾性率E1及びE2から、弾性率の比の値E1/E2を求めた。
各保護フィルム11〜22及び31〜35の試料を、23℃・55%RHの環境下に24時間おいて調湿した。調湿後の試料のMD方向及びTD方向の各弾性率E1及びE2(MPa)を、JIS K7127に記載の方法に準じて、引張試験機テンシロンRTA−100(オリエンテック社製)により測定した。測定は、調湿時と同じ環境下で行い、試料の形状を1号形試験片タイプとし、引張速度を10mm/minとした。
得られた弾性率E1及びE2から、弾性率の比の値E1/E2を求めた。
(3)液晶表示装置の表示ムラ
各液晶表示装置11〜23及び31〜35を、50℃・90%RHの環境下に24時間おいて湿熱処理した。その後、23℃・55%RHの環境下において各液晶表示装置11〜23及び31〜35のバックライトを点灯させてから2時間後、黒表示したときの輝度ムラ及び画像を表示したときの輝度ムラを目視で確認した。この輝度ムラを、下記基準に従って表示ムラとして評価した。
○:黒表示時及び画像表示時のいずれも輝度ムラがほとんどない
△:黒表示時の輝度ムラが多いが、画像表示時の輝度ムラはほとんど気にならない
×:黒表示時の輝度ムラが多く、画像表示時においても輝度ムラが気になる
評価が○又は△であれば、実用上問題なく使用できるレベルである
各液晶表示装置11〜23及び31〜35を、50℃・90%RHの環境下に24時間おいて湿熱処理した。その後、23℃・55%RHの環境下において各液晶表示装置11〜23及び31〜35のバックライトを点灯させてから2時間後、黒表示したときの輝度ムラ及び画像を表示したときの輝度ムラを目視で確認した。この輝度ムラを、下記基準に従って表示ムラとして評価した。
○:黒表示時及び画像表示時のいずれも輝度ムラがほとんどない
△:黒表示時の輝度ムラが多いが、画像表示時の輝度ムラはほとんど気にならない
×:黒表示時の輝度ムラが多く、画像表示時においても輝度ムラが気になる
評価が○又は△であれば、実用上問題なく使用できるレベルである
下記表1は、評価結果を示す。
表1に示すように、実施例に係る各偏光板11〜22を用いた液晶表示装置11〜23は、温湿度変化による表示ムラが十分に抑えられていることが分かる。
100 液晶表示装置
40 液晶セル
50 偏光板
51 保護フィルム
52 偏光子
53 位相差フィルム
60 偏光板
61 位相差フィルム
62 偏光子
63 保護フィルム
40 液晶セル
50 偏光板
51 保護フィルム
52 偏光子
53 位相差フィルム
60 偏光板
61 位相差フィルム
62 偏光子
63 保護フィルム
Claims (16)
- 偏光子の少なくとも一方の面に、セルロースエステルを含有する保護フィルムが配置された偏光板であって、
前記保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、
前記保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあることを特徴とする偏光板。 - 前記保護フィルムが、前記MD方向に延伸されたフィルムであり、
前記MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。 - 前記保護フィルムが、前記MD方向及び前記TD方向に延伸されたフィルムであり、
前記MD方向の延伸倍率が前記TD方向の延伸倍率より大きく、前記MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、前記TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。 - 前記保護フィルムが、スチレン系重合体を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記スチレン系重合体が、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の偏光板。
- 前記保護フィルム及び前記偏光子が長尺フィルムであり、それぞれの長軸方向が一致するように貼り合わされていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記保護フィルムのMD方向が、前記偏光子の吸収軸方向と一致していることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の偏光板。
- 偏光子の少なくとも一方の面に、保護フィルムを配置する偏光板の製造方法であって、
セルロースエステルを含有する保護フィルムを製造する製造工程を含み、
前記製造工程では、製造後の保護フィルムの動的粘弾性を25〜240℃の温度範囲内で測定したときに得られるtanδの最大値が、0.6以上であり、かつ当該保護フィルムのフィルム製造時のMD方向及びTD方向の弾性率(MPa)を、温度23℃、相対湿度55%の環境下で測定して得られる値をそれぞれE1及びE2と表すとき、MD方向及びTD方向の弾性率の比の値E1/E2が、1.5〜3.0の範囲内にあるように、前記保護フィルムを製造することを特徴とする偏光板の製造方法。 - 前記製造工程が、前記保護フィルムをフィルム製造時のMD方向に延伸する工程を含み、
前記MD方向の延伸倍率が、1.6倍以上であることを特徴とする請求項8に記載の偏光板の製造方法。 - 前記製造工程が、前記保護フィルムをフィルム製造時のMD方向及びTD方向に延伸する工程を含み、
前記TD方向の延伸倍率が前記MD方向の延伸倍率より小さく、前記MD方向の延伸倍率が1.6倍以上であり、前記TD方向の延伸倍率が1.3倍以上であることを特徴とする請求項8に記載の偏光板の製造方法。 - 前記製造工程では、前記セルロースエステルとスチレン系重合体とを含有するドープを用いて、溶液流延法により前記保護フィルムを製造することを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
- 前記スチレン系重合体が、ヒドロキシ基を有するモノマーとスチレンを含むモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項11に記載の偏光板の製造方法。
- 前記偏光子は、長尺フィルムであり、
前記製造工程では、前記保護フィルムを長尺フィルムとして製造し、
長尺フィルムである前記保護フィルムと前記偏光子を、それぞれの長軸方向が一致するように貼り合わせる貼合工程を含むことを特徴とする請求項8から請求項12までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。 - 液晶セルの少なくとも一方の面に、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の偏光板を具備することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記液晶セルで構成された液晶画面が長方形であり、
前記液晶セルの両面にそれぞれ設けられる二つの偏光板のうち、少なくとも前記液晶画面の長軸方向と偏光子の吸収軸方向が一致する偏光板として、前記請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の偏光板を具備することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。 - 前記液晶画面の長軸方向と偏光子の吸収軸方向が一致する偏光板が、前記液晶セルのフロント側の面に設けられる偏光板であることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
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JP2013060638A JP2016105118A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | 偏光板、偏光板の製造方法及び液晶表示装置 |
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- 2013-03-22 JP JP2013060638A patent/JP2016105118A/ja active Pending
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- 2014-03-18 WO PCT/JP2014/057294 patent/WO2014148476A1/ja active Application Filing
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