JP2016103326A - 非水電解液二次電池及びその製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境で貯蔵しても容量が劣化せず、抵抗の上昇を抑え、高温サイクルで初期の容量落ち込みを抑制することが可能な非水電解液二次電池及びその製造方法を提供する。【解決手段】正極活物質を含む正極と、リチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li+)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極と、それらを隔離するセパレータとを有する電極群に、少なくとも四フッ化硼酸リチウムを含むリチウム塩と非水電解液を含浸させる。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解液二次電池及びその製造方法に関する。より詳しくは、負極活物質にチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物(以下、チタン酸化物等という場合がある)を用いた非水電解液二次電池において、高温環境で貯蔵しても容量劣化せず、高温サイクルに伴う抵抗上昇を抑制することが可能な非水電解液二次電池及びその製造方法に関する。
非水電解液二次電池は、非水電解液を通してイオンが負極と正極とを移動することにより充放電が行われる二次電池であって、リチウムイオン二次電池が代表的である。近年、チタン酸化物等を負極活物質として用いた非水電解液二次電池が開発されている。チタン酸化物等は少なくともチタンと酸素を含み、リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能な化合物であって、チタン酸リチウム、単斜晶系チタン酸化物及びチタン酸水素リチウム等が挙げられる。これらのチタン酸化物等はリチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上あり、そのリチウムイオン吸蔵電位が金属リチウム析出電位と大きな差をもつため、急速充電を行った場合であっても本質的に金属リチウムが析出しにくいという利点がある。また、例えばLiTi12は充放電に伴う結晶の体積の変化がほとんど無いため構造劣化が極めて遅いという利点もある。よって、チタン酸化物等を負極活物質として用いた電池は、安全性が高く、且つ、優れた電池特性、特にサイクル寿命特性を有している。
例えば、特許文献1には、チタン酸リチウムベースの電気化学セルを第1の充電状態に充電するために、第1の期間の間、活性化された電気化学セルに電流を供給し、さらに、40℃から120℃の温度範囲にて第2の期間の間、第2の充電状態に充電する方法が開示され、これにより電気化学セルが改善されたサイクル寿命、自己放電特性等を示すことが記載されている。
特公表2010−530122号公報
前記の特許文献1の充電方法を行っても、チタン酸化物等を負極活物質として用いた非水電解液二次電池では、高温環境で貯蔵すると電池容量の低下や内部抵抗の上昇が起こり、寿命性能が低下するという問題がある。更に、高温環境で充放電の繰り返しを行うと、初期の数十サイクルの間、充分な放電容量が取り出せず、その期間の経過後、放電容量が設計値レベルまで回復する現象(初期の容量落ち込み現象)が起こりやすい。この現象が見られると正負極のセルバランスが崩れてしまい、サイクルが進むにつれサイクル特性が悪くなるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、負極活物質にチタン酸化物等を用いた非水電解液二次電池において、高温環境で貯蔵しても容量が劣化しない、高温環境での使用、特に高温環境で充放電の繰り返し(高温サイクル)に伴う抵抗上昇の抑制が可能な非水電解液二次電池及びその製造方法を提供すること、更には、高温サイクル初期の容量落ち込みを抑制できる非水電解液二次電池の製造方法を提供すること目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、正極活物質を含む正極と、リチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極と、それらを隔離するセパレータとを有する電極群に、リチウム塩と非水溶媒とを少なくとも含有する非水電解液が含浸されてなる非水電解液二次電池であって、 時定数τ、τが特定の関係を満たすようにすることにより、上記課題が達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明(1)は、
正極活物質を含む正極と、
リチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極と、
それらを隔離するセパレータとを有する電極群に、リチウム塩と非水溶媒を少なくとも含有する非水電解液が含浸されてなる非水電解液二次電池であって、
次の条件で算出した時定数τ、τが式1を満たす、非水電解液二次電池である。
(式1)τ/τ>2
τ:電解液を含浸後、充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
τ:τ測定後の二次電池に対し、負極電位を1Vの電位(対Li/Li)まで充電し、55℃の雰囲気中で7日間貯蔵し、25℃に冷却した後に充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
時定数τは、τ=Rct×Cdlで算出し、Rctは電極と電解液界面の電荷移動抵抗であり、Cdlは電極と電解液界面に存在する電気二重層の容量である。
また、本発明(2)は、前記τ/τが、10未満である(1)に記載の非水電解液二次電池である。
また、本発明(3)は、前記正極活物質は、コバルト及び/又はニッケルを含む(1)又は(2)に記載の非水電解液二次電池である。
また、本発明(4)は、前記正極活物質は、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物である(1)〜(3)のいずれかに記載の非水電解液二次電池である。
また、本発明(5)は、前記リチウム塩が少なくとも四フッ化硼酸リチウムを含む(1)〜(4)に記載の非水電解液二次電池である。更に本発明(6)は、前記四フッ化硼酸リチウムの濃度が非水電解液に対し0.05〜1.0モル/リットルである(1)〜(5)に記載の非水電解液二次電池である。
また、本発明(7)は、正極及びリチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極とそれを隔離するセパレータを含む電極群に、四フッ化硼酸リチウムを含む非水電解液を含浸させる工程を含む非水電解液二次電池の製造方法である。
また、本発明(8)は、正極及びリチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極とそれを隔離するセパレータを含む電極群に非水電解液を含浸させる工程を含む非水電解液二次電池の製造方法であって、前記電解液の含浸を、下記式2を満たす真空度及び保持時間の条件下で行う、非水電解液二次電池の製造方法である。
P≧(10/9)X+70/9 (式2)
ここで、Xは真空度の保持時間(min)、Pは真空度(kPa)である。
また、本発明(9)は、前記電解液の含浸を50kPa以下の真空度で行う、(8)に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
本発明により、高温環境で貯蔵しても容量劣化せず、高温サイクルに伴う抵抗上昇抑制が可能な非水電解液二次電池を提供することができ、更には、高温サイクル初期の容量落ち込みを抑制可能な非水電解液二次電池も提供することができる。
実施例1の初充電後の非水電解液二次電池の交流インピーダンスをプロットした複素平面図である。 実施例1の非水電解液二次電池の等価回路である。
本発明の非水電解液二次電池は、
正極活物質を含む正極と、
リチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極と、
それらを隔離するセパレータとを有する電極群に、リチウム塩と非水溶媒を少なくとも含有する非水電解液が含浸されてなる非水電解液二次電池であって、
次の条件で算出した時定数τ、τが式1を満たす、非水電解液二次電池である。
(式1)τ/τ>2
τ:電解液を含浸後、充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
τ:τ測定後の二次電池に対し、負極電位を1Vの電位(対Li/Li)まで充電し、55℃の雰囲気中で7日間貯蔵し、25℃に冷却した後に充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
時定数τは、τ=Rct×Cdlで算出し、Rctは電極と電解液界面の電荷移動抵抗であり、Cdlは電極と電解液界面に存在する電気二重層の容量である。
正極は、正極集電体と正極活物質層を少なくとも含む。正極活物質層は、正極集電体の片面もしくは両面に形成され、正極活物質を少なくとも含み、必要に応じて導電剤、結着剤、その他の材料も含んでよい。正極集電体には、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることができる。
正極活物質には、負極活物質として用いるチタン酸化物に対して正極として機能しうる公知の電極活物質を用いることができる。具体的には、リチウムイオン吸蔵電位が1.6V(対Li/Li)より大きいものであればよく、2.0V(対Li/Li)以上であればより好ましい。そのような活物質として、種々の酸化物及び硫化物を用いることができる。例えば、二酸化マンガン(MnO)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−y)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo1−y−z)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2−yNi)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(LiFePO、LiFe1−yMnPO、LiCoPO、LiMnPOなど)やリチウムケイ酸化物(Li2xFeSiOなど)、硫酸鉄(Fe(SO)、バナジウム酸化物(例えばV)、xLiMO・(1−x)LiM’O(M、M’は同種又は異種の1種又は2種以上の金属)で表される固溶体系複合酸化物などを用いることができる。これらを混合して用いてもよい。なお、上記においてx、y、zはそれぞれ0〜1の範囲であることが好ましい。
上記正極活物質の中でも、リチウムイオン吸蔵電位が高い活物質を用いるのが好ましい。例えば、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−y)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo1−y−z)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2−yNi)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)などが挙げられる。特にコバルト及び/又はニッケルを含んだ活物質である、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−y)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo1−yーz)であると本願発明の効果が高いため好ましく、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNiMnCo1−yーz)がさらに好適に用いられる。なお、上記においてx、y、zはそれぞれ0〜1の範囲であることが好ましい。
また、正極活物質としてポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料及び無機材料を用いることもできる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、又は黒鉛等を用いることができる。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
正極活物質層に含ませることができるその他の材料としては種々添加剤が挙げられ、例えば、ジニトリル化合物、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、プロパンスルホン、エチレンサルファイトなどを用いることができる。
正極活物質、導電剤、及び結着剤の配合比は、正極活物質80〜95質量%、導電剤3〜18質量%、結着剤2〜10質量%の範囲であることが好ましい。
正極は、正極活物質、導電剤、及び結着剤を適当な溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体の片面もしくは両面に塗布し、乾燥することにより作製することができる。
負極は、負極集電体と負極活物質層を少なくとも含む。負極活物質層は、負極集電体の片面もしくは両面に形成される。負極活物質層は、負極活物質を少なくとも含み、必要に応じて導電剤、結着剤、その他の材料も含んでよい。負極集電体には、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金や銅又は銅合金を用いることができる。
負極活物質にはリチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上であるチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を用いる。これらのチタン酸化物等は、少なくともチタンと酸素を含む化合物であって、前記電位範囲でリチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能なものであれば特に制限は無く、任意のものを用いることができる。リチウム等の他の元素との複合酸化物となっていてもよい。そのような活物質の例には、スピネル構造のチタン酸リチウム(Li4+xTi12(xは0≦x≦3を満たす実数である)、吸蔵電位:1.55V対Li/Li)、ラムスデライト構造のチタン酸リチウム(Li2+xTi(xは0≦x≦3を満たす実数である)、吸蔵電位:1.6V対Li/Li)、単斜晶系チタン酸化物及びチタン酸水素リチウムが含まれる。単斜晶系チタン酸化物の例には、一般式HTi2n+1で表される単斜晶系チタン酸化合物(nは4以上の偶数である。例えばHTi1225、吸蔵電位:1.55V対Li/Li)、一般式LiTi2n+1で表される単斜晶系チタン酸リチウム(nは4以上の偶数である。例えばLiTi1837等)及びブロンズ型酸化チタン(TiO(B)、吸蔵電位:1.6V対Li/Li)が含まれる。チタン酸水素リチウムとしては、前記のチタン酸リチウムのリチウム元素の一部を水素で置換したものが挙げられる。例えば、一般式HLiy−xTi(x、y、zは、y≧x>0、0.8≦y≦2.7、1.3≦z≦2.2を満たす実数である。例えばHLi4/3−xTi5/3)で表されるチタン酸水素リチウム及び一般式H2−xLiTi2n+1で表されるチタン酸水素リチウム(nは4以上の偶数であり、xは0<x<2を満たす実数である。例えばH2−xLiTi1225)が含まれる。これらの化学式において、リチウムやチタン,酸素の一部が他の元素に置換されていてもよいし、化学量論組成のものだけでなく、一部の元素が欠損又は過剰となる非化学量論組成のものでもよい。上記のチタン酸化物は、単独で用いてもよいが、二種以上を混合して用いてもよい。また、充放電によりリチウムチタン複合酸化物となるチタン酸化物(例えばTiO)を活物質として用いてもよい。これらを混合して用いてもよい。なお、チタン酸化物のリチウムイオン吸蔵電位の上限は、これに限定されないが、2Vであることが好ましい。負極にはチタン酸化物以外の公知の負極活物質を含んでもよいが、チタン酸化物が負極容量の50%以上を占めることが好ましく、80%以上であるとより好ましい。
前記チタン酸化物等として、Li4+xTi12、Li2+xTi、一般式HTi2n+1で表されるチタン酸化合物、ブロンズ型酸化チタンから選択される化合物を用いるのが好ましい。上記のxは0≦x≦3を満たす実数であり、nは4以上の偶数である。
リチウムイオン吸蔵電位とは、後述の方法の容量測定において充電時の電位−容量曲線を描いたときに、容量の中点に対応する電位のことを言う。
チタン酸化物等は、平均一次粒子径が2μm以下であることが好ましい。平均一次粒子径が2μm以下であると、電極反応に寄与する有効面積が十分確保でき、良好な大電流放電特性を得ることができる。また、一次粒子を公知の方法で造粒するなどした二次粒子としてもよい。レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定した平均粒子径は、0.1〜30μmとするのが好ましい。
また、チタン酸化物は、比表面積が1〜20m/gであることが好ましい。比表面積が1m/g以上であると、電極反応に寄与する有効面積が十分確保でき、良好な充放電特性を得ることができる。比表面積が20m/g以上であっても本発明の効果は得られるが、電極の製造において、負極合剤スラリー中の活物質の分散性や合剤スラリーの集電体への塗工性、活物質層と集電体との密着性などのハンドリング面で問題が生じるのを回避するため、比表面積を20m/g以下とするのが好ましい。チタン酸化物等の比表面積は、3〜20m/gがより好ましく、5〜20m/gが更に好ましい。比表面積は窒素吸着によるBET一点法により求めることができる。
前記導電剤は、負極に導電性を付与するために使われるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こさない導電性材料であるならば、いかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素ファイバのような炭素系物質、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末又は金属ファイバのような金属系物質、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー、又はそれらの混合物を含む導電性材料などを用いることができる。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
負極活物質層に含ませることができるその他の材料としては公知の種々添加剤が挙げられる。
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質70〜95質量%、導電剤0〜25質量%、結着剤2〜10質量%の範囲であることが好ましい。
負極は、負極活物質、導電剤、及び結着剤を適当な溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体の片面もしくは両面に塗布し、乾燥することにより作製することができる。
セパレータは、正極と負極の間に配置され、正極と負極が接触するのを防止する。セパレータは、絶縁性材料で構成される。また、セパレータは、正極及び負極の間を電解質が移動可能な形状を有する。
セパレータの例には、合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム、及び、セルロース系のセパレータを挙げることができる。
前記非水電解液には、非水溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液を用いる。前記非水溶媒としては非水系有機溶媒が用いられ、リチウム電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を行う。このような非水系有機溶媒の例としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、又はその他の非プロトン性の溶媒を用いることができる。
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを用いることができる。
前記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン(GBL)、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを用いることができる。
前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを用いることができる。
前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを用いることができる。
前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを用いることができる。
前記その他の非プロトン性溶媒としては、R−CN(Rは、C−C20の直鎖状、分枝状又は環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環又はエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類、などを用いることができる。
前記リチウム塩の例には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiN(CFSO、LiTSFI)及びトリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)が含まれる。これらは、単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
リチウム塩としては、四フッ化硼酸リチウムを少なくとも含んでいるのが好ましい。四フッ化硼酸リチウムの含有量は非水電解液に対し0.05〜1.0モル/リットルが好ましい。より好ましくは0.05〜0.8モル/リットルであり、更に好ましくは0.05〜0.5モル/リットルである。この範囲でチタン酸化物等を含む負極と併用すると、高温サイクルに伴う電池容量の低下をさらに抑制することができる。0.05モル/リットル以上とすることで、ガス発生を十分に低減することができ、1.0モル/リットル以下とすることで、高温環境で充放電の繰り返し(高温サイクル)に伴う抵抗上昇を小さくできるため好ましい。また、特にコバルト及び/又はニッケルを含んだ正極活物質をチタン酸化物等を含む負極と併用する場合、四フッ化硼酸リチウムを添加することで、高温での貯蔵及び高温サイクルでの電荷移動抵抗の上昇を著しく抑制できる。理由はわかっていないが、RctとCdlの変化が確認されることから、初期充電中に良好な被膜が形成されるものと推測される。四フッ化硼酸リチウムを用いる場合は、他のリチウム塩を同時に含ませる必要があり、特に六フッ化リン酸リチウムと同時に使用するのが好適である。
前記非水電解液には添加剤を含ませてもよい。添加剤は、1種の物質のみでもよく、2種以上の物質の混合物であってもよい。具体的には、前記電解液は、スクシノニトリル(SCN)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンサルファイト(ES)及び1,3−プロパンスルトン(PS)からなる群から選択された一つ以上の添加剤をさらに含ませることができる。これらの物質は、負極のチタン酸化物等に安定な被膜を形成する作用をもつと推測され、高温環境下でのガス発生を低減できる。
前記添加剤の含有量は、前記非水系有機溶媒とリチウム塩との総量100質量部当たり10質量部以下とするのがこのましく、0.1〜10質量部とするとより好ましい。この範囲であると高温環境での電池特性を向上させることができる。前記添加剤の含有量は、1〜5質量部とすると更に好ましい。
電解液中の溶媒およびリチウム塩の種類及び濃度の測定には、公知の方法を用いることができる。溶媒の分析としては、例えば、ガスクロマトグラフ‐質量分析法を用いることができ、溶媒、リチウム塩の分析には、例えば、NMRを用いることができる。
外装部材としてはラミネート製フィルムや金属製容器を用いることができる。ラミネート製フィルムには、樹脂フィルムで被覆された金属箔からなる多層フィルムが用いられる。樹脂フィルムを形成する樹脂には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のような高分子を用いることができる。ラミネートフィルム製外装部材の内面は、PP及びPEのような熱可塑性樹脂により形成される。
ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下であることが好ましい。
本発明の非水電解液二次電池の特徴は、次の条件で算出した時定数τ、τが式1を満たすことである。
(式1)τ/τ>2
τ:電解液を含浸後、充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
τ:τ測定後の二次電池に対し、負極電位を1Vの電位(対Li/Li)まで充電し、55℃の雰囲気中で7日間貯蔵し、25℃に冷却した後に充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
時定数τは、τ=Rct×Cdlで算出し、Rctは電極と電解液界面の電荷移動抵抗であり、Cdlは電極と電解液界面に存在する電気二重層の容量である。
時定数τは、二次電池に交流電圧を印加し、周波数特性を取得し、解析する交流インピーダンス法で求める。交流インピーダンス法の測定では、交流電圧の周波数を高い周波数から低い周波数へ掃引し、所定の周波数間隔で、各周波数における二次電池の内部インピーダンスを測定する。高い周波数領域では溶液抵抗が支配的であり、次に、中間の周波数になると電極表面での電荷移動反応が律速となり、さらに低周波数となると、物質移動過程が律速となる。本発明では、特に電荷移動反応が律速となる中間の周波数領域の交流インピーダンスに注目した。
測定された内部インピーダンスの周波数特性は、実数軸を抵抗成分、虚数軸をリアクタンス成分(通常は容量性)とする複素平面図(ナイキストプロット)に表すことができる。図1に実施例1の初充電後の二次電池の交流インピーダンスをプロットした複素平面図(ナイキストプロット)を示す。測定周波数を高周波から低周波に変化させていくと、時計回りに半円を描くインピーダンスの軌跡が得られる。この軌跡において、実数軸の切片や半円の頂点での周波数などから、測定対象のインピーダンスを解析することができる。
次に、リチウムイオン電池の内部インピーダンスの周波数特性の測定データを用いて、リチウムイオン電池の解析を行う。この解析は計算機によって総てを自動的に行ってもよいし、一部をオペレーターが手動で行ってもよい。
本発明者は、シミュレータとして、交流インピーダンス測定・解析ソフトウェアZViewを用いた。このソフトウェアでは、等価回路モデルと各パラメータの初期値を入力することにより、測定データに対する各パラメータの合わせこみ計算を行うことができる。本発明では図2の等価回路モデルを仮定し、得られたデータを図1のように解析した。
複素平面図(ナイキストプロット)に表された電荷移動抵抗Rctは半円弧の直径、電気二重層容量Cdlは半円弧の頂点の周波数fと電荷移動抵抗Rctから、Cdl=1/(2πf×Rct)により得られる。これで測定した、電荷移動抵抗RctとキャパシタンスCdlを求め、この積Rct×Cdlを時定数τといい、時間(s)の単位を持つ。
一般的に、リチウムイオン電池の測定は充電状態で行うことが望ましい。これは、リチウムイオン電池を充電状態で測定すると、測定結果のばらつきを小さく抑えることができるからである。例えば、セル容量SOC50%で測定を行うことなどが例示される。
交流インピーダンスの測定は、例えば、交流周波数を100kHz〜0.1Hzへと変化させたときのインピーダンスを測定することで実施できるが、得られたデータを全て解析に供する必要はない。例えば、必要な範囲のデータから解析を行うことができる。このような解析データ範囲は、評価対象である電極の特性等に因るため一概には言えないが、例えば、10kHz〜10Hzの範囲のデータを用いることなどが例示される。
測定用ケーブルから二次電池に印加する測定用電圧は、直流電圧成分に交流電圧成分を重畳したものである。直流電圧成分は、測定する二次電池の電圧程度に設定することが望ましい。また、重畳する交流電圧成分は、二次電池の特性に影響を与えない程度の電圧、例えば10mV程度に設定することが望ましい。
交流抵抗測定に際して、Princeton Applied Research社のポテンショ/ガルバノスタット VersaSTAT 4(周波数応答アナライザ付き)を用いたが、その他市販されている周波数応答アナライザ付きポテンショ/ガルバノスタットで支障ない。
時定数τは以下のようにして測定する。非水電解液を電極群に含浸した非水電解液二次電池を、電解液を含浸してから少なくとも3時間放置後、0.2Cで充電状態(SOC)が100%になるまで充電し、SOCが0%になるまで0.2Cで放電する。この充放電を2度繰り返し、次にこの二次電池を0.2C でSOC50%まで充電を行う。この状態で、重畳交流成分を10mV、周波数100kHz〜0.1Hzへと変化させたときのインピーダンスを測定した。これから、RctとCdlを求めて、τを算出した。充電状態(SOC)とは電気容量に対して、充電している電気量を比率で表したものである。
また、時定数τは以下のようにして測定する。τ測定後の二次電池に対し、負極電位が1Vの電位(対Li/Li)になるまで充電し、55℃の雰囲気中で7日間貯蔵し、25℃まで冷却し、必要に応じて電池内部にたまった気体を排出した後に再度密封する。当該二次電池を少なくとも3時間放置後、0.2Cで電流を流し、SOCが100%になるまで充電し、SOCが0%になるまで0.2Cで放電する。この充放電を2度繰り返し、次にこの二次電池を0.2CでSOC50%まで充電を行う。この状態で、重畳交流成分を10mV、周波数100kHz〜0.1Hzへと変化させたときのインピーダンスを測定した。これから、RctとCdlを求めて、τを算出した。
本発明の非水電解液二次電池はτ/τ>2を満たす。これは、高温で貯蔵後の時定数τが小さいことから、時定数τのRctとCdlの一方又はどちらも小さくなっていることを意味する。本発明では、正極の交流インピーダンス成分の応答周波数が高周波側に変化していたことから、電解液中の溶媒又は溶質が分解して正極に何らかの良好な被膜が形成されていると考えられる。
前記τ/τは、10未満であるとより好ましい。この範囲とすると、高温サイクルに伴う電池抵抗の上昇を特に抑制できる。
また、本発明の非水電解液二次電池は、その充電が負極によって規制される構成とすることができる。このような構成とすることで、高温サイクルに伴うガス発生のさらなる低減及び電池容量の低下をさらに抑制することが可能であり、かつ低温充放電特性に一層優れた非水電解液二次電池を提供できる。規制極の判断や容量比の算出は次のようにして行うことができる。
乾燥アルゴン中で、コインセル用に形状を合わせた前記正極とリチウム金属箔とをセパレータを介して対向させる。これらの部材をコインセルに入れ、電解液を注ぎ、セパレータと電極に充分に電解液が含浸された状態で、コインセルを密閉する。なお、電解液には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)が体積比率1:3:6で混合された混合溶媒に電解質としての六フッ化リン酸リチウムを1.0モル/リットル溶解させたものを使用する。作製したコインセルに対して、25℃環境下、十分小さい電流密度、例えば理論容量から算出される0.2C程度の電流(例えばリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の場合、活物質量9.8mg/cmでは、電流密度を0.28mA/cmとすればよい)で、実際の非水電解質二次電池で使用を想定している正極電位上限まで(例えば、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物であれば4.2V)定電流で充電した後、充電時と同じ電流密度で、電圧が3.0Vに到達するまで定電流で放電させる。この放電時の電気容量をコインセルの正極活物質層の面積で除することにより、正極の単位面積当りの25℃環境下での実電気容量P(mAh/cm)を算出する。実電気容量の測定のための温度環境は、恒温漕(ヤマト科学 恒温槽 型番IN804型)等を用いて形成される。
前記正極に代えて、コインセル用に形状を合わせた前記負極を用いた以外は同様の手法でコインセルを作製する。作製したコインセルに対して、25℃環境下、十分小さい電流密度、例えば理論容量から算出される0.2C程度の電流(例えばLiTi12の場合、活物質量7.7mg/cmでは、電流密度を0.24mA/cmとすればよい)で、1.0Vになるまで定電流で充電した後、充電時と同じ電流密度で、セル電圧が3.0Vに到達するまで定電流で放電させた。この放電時の電気容量をコインセルの負極活物質層の面積で除することにより、負極の単位面積当りの25℃環境下での実電気容量N(mAh/cm)を算出する。なお、Nの測定においては、リチウムイオンが活物質に吸蔵される側を充電と、脱離する側を放電と称する。
次に、本実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法を説明する。本発明の非水電解質二次電池は、正極及び負極とそれらを隔離するセパレータを含む電極群を外装部材に収容し、非水電解液を前記電極群に含浸させ、外装部材の開口部を仮封止して仮封止二次電池を得る工程(第1の工程)を経て製造することができる。
(第1の工程)
第1の工程において、仮封止二次電池を作製する。まず、外装部材内に電極群を収容する。電極群は正極、負極、及びセパレータから構成される。具体的には、例えば、正極、セパレータ、負極、及びセパレータを順に積層し、この積層体を扁平形状に捲回することにより扁平型の電極群が形成される。別の方法として、例えば、正極と負極とを、セパレータを介して一組又は複数組積層して電極群を形成してもよい。必要に応じて、該電極群を絶縁テープで捲回して固定してもよい。電極群の形成後及び/又は形成前に電極群や各構成部材を加熱及び/又は真空乾燥して吸着水分を低減させる工程を追加してもよい。
正極には帯状の正極端子が電気的に接続されている。負極には帯状の負極端子が電気的に接続されている。正負極端子は、それぞれ、正負極集電体と一体に形成されていてもよい。或いは、集電体とは別個に形成された端子を集電体と接続してもよい。正負極端子は、積層体を捲回する前に正負極のそれぞれと接続してもよい。或いは、積層体を捲回した後に接続してもよい。
ラミネートフィルム製外装部材は、ラミネートフィルムを、熱可塑性樹脂フィルム側から張り出し加工又は深絞り加工をしてカップ状の電極群収容部を形成した後、熱可塑性樹脂フィルム側を内側にして180°折り曲げて蓋体とすることにより形成することができる。金属製容器の場合は、例えば金属板を絞り加工することにより形成することができる。以下では、代表例としてラミネートフィルム製外装部材を用いた場合について説明する。
電極群を外装部材の電極群収容部に配置し、正負極端子を容器外部に延出させる。次いで、外装部材の正負極端子が延出している上端部と、該上端部と直交する端部の一つをヒートシールし、封止部を形成する。これにより、一辺が開口部として開口した状態の外装部材が形成される。ここで各構成部材を加熱及び/又は真空乾燥して吸着水分を低減させる工程を追加してもよい。
次いで、開口部から非水電解液を注入し、電極群に非水電解液を含浸させる。電解液には前記のとおりリチウム塩として四フッ化硼酸リチウムを含ませるのが好ましい。ここで、電解液の含浸を促進させるため、電池を厚さ方向に加圧して貯蔵してもよく、電極内部を減圧してから電解液を注入してもよい。減圧方法としては、電池をデシケータに投入しデシケータ内を減圧する方法が挙げられる。
本発明の非水電解液二次電池の製造方法は、前記の電極群への非水電解液の含浸を、式2の真空度及び保持時間の条件下で行うのが好ましい。
P≧(10/9)X+70/9 (式2)
ここで、Xは真空度の保持時間(min)、Pは真空度(kPa)である。
上記式2を満たす適切な時間その状態を保持すると、電極群に充分に電解液を含浸させることができ、高温環境での貯蔵による容量劣化や高温サイクルに伴う抵抗上昇を抑制できるとともに、高温サイクル初期の容量落ち込みを低減することが可能となる。具体的には、高温サイクル10サイクル目の容量低下率を1サイクル目比で5%以下とすることができる。前記減圧と電解液の注入は、反復して複数回行うとより効果的であるため好ましい。ここで、真空度の保持時間とは、減圧と電解液の注入を反復した場合は、Xは保持時間の和とする。前記電解液含浸と、後述の第3の工程での気体排出工程の保持時間の和が前記式2を満たすとより好ましい。また、真空度が式2を満たしていれば、工程により真空度が異なっても同様の効果を得ることができる。一方、真空度の上限は好ましくは100kPa以下とし、より好ましくは80kPa以下であり、更に好ましくは50kPa以下とする。このため、もっとも好ましい真空度の範囲は式3で表される。
50(kPa)≧P≧(10/9)X+70/9 (式3)
ここで、Xは真空度の保持時間(min)、Pは真空度(kPa)である。
その後、開口部をヒートシールして仮封止部を形成することにより、電極群及び電極群に含浸された非水電解質が密封された仮封止二次電池を得る。後述の第2の工程以降のコンディショニングを行わない場合は、ここで本封止することで非水電解液二次電池が得られる。
本実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法においては、前記第1の工程に引き続き、更に、仮封止二次電池に初充電を行った後、50℃以上80℃未満の雰囲気中で貯蔵する工程(第2の工程)、前記仮封止二次電池を開封して内部の気体を排出し、次いで、前記外装部材を本封止する工程(第3の工程)を含むことが好ましい。以下、工程ごとに説明する。
(第2の工程)
次いで、第2の工程を行う。仮封止二次電池の正極端子と負極端子の間に電流を流し、負極電位が0.8Vより高く1.4V以下の電位(対Li/Li)の範囲になるように初充電する。負極活物質のリチウムイオン吸蔵電位よりも負極電位が350mV以上低くなるように初充電するとより好ましい。
負極電位が1.4V以下(対Li/Li)の状態になるように電池を初充電すると、高温環境での使用に伴うガス発生をより低減でき、電池容量の低下をより抑制できるため好ましく、1.2V(対Li/Li)以下とするとより好ましい。負極電位が0.8V以下(対Li/Li)の状態になるまで電池を初充電してしまうと、負極表面に過剰の被膜が形成されるものと推測されるが、電池の放電容量が低下するので好ましくない。また、負極集電体にアルミニウムを用いた場合、負極電位を0.4V以下(対Li/Li)まで下げると集電体のアルミニウムがリチウムと合金化してしまうので好ましくない。
前記仮封止電池の作製後、初充電を行うまでの期間には特に制限は無く、生産スケジュール等に合わせて任意に設定することができ、例えば、1時間〜1ヶ月としてよい。また、前記初充電及び後述の高温貯蔵は、仮封止電池作製後最初の充電に限られるものではなく、その後に開封して気体を排出可能であれば、充放電や貯蔵を一度又は複数回行った後に行ってもよい。
負極電位の調整は、例えば、同一の電池構成のセルにおいて、参照極を用いて負極電位が0.8Vより高く1.4V以下(対Li/Li)の範囲の所望の電位となるような充電電気量を事前に算出しておき、その電気量を前記仮封止電池に充電することによって調整することができる。又は、同一の電池構成のセルにおいて、参照極を用いて負極電位が0.8Vより高く1.4V以下(対Li/Li)の範囲の所望の電位となるまで同条件で充電し、その時のセル電圧を確認しておき、前記仮封止電池の初充電終止電圧を該確認したセル電圧の値とすることによって調整することができる。別の方法として、次のようにしてもよい。非水電解液二次電池に用いる正極を切り出して作用極とし、対極に金属リチウム箔を、電解液とセパレータには該電池と同種のものを用いてコインセルを作製する。このコインセルに該電池の初充電と同C率・温度条件で充電を行い、縦軸:電位−横軸:容量の充電曲線を描く。負極についても、前記正極評価時と同寸法に切り出した負極を作用極として、前記正極評価に準じた方法で、所望の負極電位を含むLi吸蔵側の電位−容量曲線を描く。こうして得られた正極,負極それぞれの電位−容量曲線を一つの図に重ね合わせ、負極が所望の負極電位に到達した時の容量に対応する正極の電位を読み取り、その正負極電位差からセル電圧を求め、そのセル電圧を初充電終止電圧とする。
なお、正極活物質としてリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を用いる場合、前記仮封止電池の負極電位を調整するときにセル電圧が2.7〜3.3Vとなるようにすることが好ましく、2.9〜3.3Vとなるようにすることがより好ましい。
初充電を行う温度は任意に設定することができるが、20〜45℃程度とすると好ましく、常温(20〜30℃)で行ってもよい。常温で行うと、設備を簡略化できるため好ましい。
充電電流値は任意に設定することができる。1C以下とすると本発明の高温環境下でのガス発生抑制の効果が得られやすく、0.5C以下とするとより好ましい。また、充電中に電流値を変更してもよく、例えば、CC−CV充電を行ってもよい。なお、1C容量=電池の公称容量としてよい。
仮封止二次電池が略偏平状の形状であれば、該電池体を厚み方向に加圧しながら初充電を行ってもよい。加圧の方法には特に制限は無く、例えば、該電池をプレスして初充電を行ったり、電池の前面及び背面と接触して電池を固定できるホルダーに電池を収容して初充電を行う方法が挙げられる。
次に、前記負極電位まで初充電された仮封止二次電池を、温度50℃以上80℃未満の雰囲気中において貯蔵する。
初充電された仮封止二次電池は、温度50℃以上80℃未満の雰囲気中において貯蔵した方が好ましい。雰囲気温度を50℃以上80℃未満とすることで、負極表面での被膜がより形成されやすくなる。特に雰囲気温度のより好ましい範囲は50〜70℃である。
仮封止二次電池を温度50℃以上80℃未満の雰囲気中において貯蔵する時間は、負極からガスが十分に放出される時間であればよい。これに限定されないが、例えば、5時間〜10日とすることができ、好ましくは1日〜8日とすることができる。この貯蔵時間は正極活物質種に応じて調整してよく、例えば、正極活物質としてリチウム−遷移金属複合酸化物を用いる場合、5時間〜8日とすることができ、好ましくは1〜7日とすることができる。また、例えば、正極活物質としてリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を用いる場合、5時間〜10日とすることができ、好ましくは5〜8日とすることができる。初充電を行ってから高温貯蔵を開始するまでの時間には特に制限は無く、任意に設定することができる。
前記高温貯蔵期間中、仮封止二次電池を開回路状態で貯蔵すると自己放電により負極電位は高くなっていく。ここで、貯蔵中該電池を略継続的に充電することによって定電位で貯蔵すると、貯蔵後に電池容量が大きく低下してしまうため、定電位での貯蔵、例えば、トリクル充電やフロート充電は行わない方が好ましい。自己放電容量の一部を補填するために、前記貯蔵中に自己放電量の10%程度の充電を間欠的に行ってもよいが、開回路状態で貯蔵することが最も好ましい。
なお、「仮封止二次電池の負極電位を0.8Vより高く1.4V以下の電位に調整し、50℃以上80℃未満の雰囲気中で貯蔵する」とは、前記高温貯蔵期間中、負極電位を前記範囲に維持する必要があることを意味するものではなく、充電終止時の負極電位を前記電位範囲としておけば、貯蔵期間中に負極電位が上昇して前記電位範囲外となるものも包含する。このような場合であっても本発明の効果が得られる。
(第3の工程)
次に、外装部材の一部を切断するか、又は穴を開け、第2の工程において外装部材の中に滞留した気体を外部に排出する。例えば、仮封止部の内側であってヒートシールされていない部分である開封部の何れかの位置においてラミネートフィルムを切断することにより、外装部材を開封することができる。開封は減圧下で行うことが好ましく、また、不活性雰囲気下又は乾燥空気中で行うことが好ましい。
外装部材を開封した後、減圧チャンバーなどを用いて非水電解液二次電池を減圧雰囲気下においてもよく、或いは、吸引ノズルを用いて外装部材の開封口又は穴から気体を吸引してもよい。これらの方法によれば、外装部材内部の気体をより確実に排出することができる。
気体を排出した後、開封部の切断部より内側で外装部材をヒートシールすることにより本封止部を形成して、電極群及び非水電解質を再び密封する。さらに、本封止部の外側で開封部を切断する。これにより非水電解液二次電池が得られる。このとき、減圧下で密封することが好ましい。或いは、外装部材の穴をあけた箇所に粘着テープなどを貼り付けて密封してもよい。コンディショニングを行わない場合であっても、充電工程後に開封、ガス抜き、再封止を行ってもよい。
得られた非水電解液二次電池は、任意に、充放電を1回以上行ってもよい。また、常温や高温でさらに貯蔵をおこなってもよい。コンディショニング処理(第2の工程、又は、第2の工程+第3の工程)を複数回行ってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実験1>
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質としてリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)粉末、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液を、質量比がLiNi1/3Mn1/3Co1/3:アセチレンブラック:PVdF=92:4:4となるように混合し、NMPを加えて正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に片面あたりの活物質量が9.8mg/cmとなるように両面に塗布した。塗布後に、乾燥、プレスして合剤密度が2.9g/cmになるように正極を作製した。その後130℃で8時間減圧乾燥を行った。
<負極の作製>
負極活物質としてスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物(石原産業製LiTi12、リチウム吸蔵電位=1.55VvsLi/Li、比表面積=6.5m/g、平均粒子径=7.3μm)の粉末と、導電剤としてのアセチレンブラックと、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液を、質量比がLiTi12:アセチレンブラック:PVdF=88.0:5.0:7.0となるように混合し、NMPを加えて負極合剤スラリーを調製した。このスラリーを厚さが20μmのアルミ箔からなる集電体に片面あたりの活物質量が7.7mg/cmとなるように両面に塗布した。塗布後、乾燥、プレスして合材密度が1.8〜2.0g/cmになるように負極を作製した。その後130℃で8時間減圧乾燥を行った。活物質の平均粒子径はレーザー回折法(堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)にて測定した。比表面積については、比表面積測定装置(Monosorb:Quantachrome Instruments社製)を用いて、窒素吸着によるBET一点法にて測定した。
<電極群の作製>
上記で作製したシート状正電極と、厚さ50μmのレーヨンからなるセパレータと、上記で作製したシート状負電極と、セパレータとを、この順序で交互に積層して絶縁テープで固定した。固定後に正極、及び負極の集電体に厚さ20μmのアルミニウム箔からなるリードタブを溶接した。得られた電極群は幅が36mmで、厚さが3.9mmの偏平状電極群だった。得られた電極群を、ラミネートフィルムからなる外装部材に収容し、80℃で8時間真空乾燥した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比10:30:60)に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル、四フッ化硼酸リチウム(LiBF)を0.2モル/リットルとなるように溶解した溶液を調製した。
<第1の工程>
第1の工程として、ラミネートフィルムからなる外装部材に一辺から正負極端子が延出した状態で電極群を収容した。これをデシケータに入れて減圧し、該外装部材中に非水電解質を注入し、電極群に非水電解質を含浸させた。このときの真空度は20kPaとし、2分保持した。次いで、ラミネートフィルムをヒートシールにより仮封止して密封し、仮封止二次電池を得た。
<第2の工程>
第2の工程として、仮封止二次電池を3時間放置後、その負極端子と正極端子の間に電流を流し0.2C (50mA) で負極電位が1.0Vになるまで、常温下(25℃)で充電を行った。このときのセル電圧は3Vであり、SOCは100%であった。続いてセル電圧が1Vになるまで0.2Cで放電を行った。これを2度繰り返して2度目の容量を高温貯蔵前容量とした。
次に0.2CでSOC50%になるまで充電を行い、交流インピーダンス測定を行った。
再び0.2Cで充電を行い、セル電圧を3Vとした。引き続き、前記初充電済みの仮封止二次電池を温度55℃の雰囲気(恒温槽)中、開回路状態で168時間貯蔵した。
第3の工程として、貯蔵後の仮封止二次電池を周囲温度まで冷却し、ラミネートフィルムの一部を切り取って減圧チャンバーに入れ、気体を排出した。このときの真空度は20kPaとし、2分保持した。真空保持時間は合計4分だった。次いで、ラミネートフィルムの一部をヒートシールにより再度密封(本封止)した。このようにして、幅が60mmで、厚さが3.9mm、かつ高さが83mmの非水電解液二次電池を作製した。
非水電解液二次電池を3時間放置後、その負極端子と正極端子の間に電流を流し0.2C (50mA) で負極電位が1.0Vになるまで、常温下(25℃)で充電を行った。このときのセル電圧は3Vであり、SOCは100%であった。続いてセル電圧が1Vになるまで0.2Cで放電を行った。これを2度繰り返して2度目の容量を高温貯蔵後容量とした。
次に0.2CでSOC50%になるまで充電を行い、交流インピーダンス測定を行った。
非水電解液二次電池に用いた正極の実電気容量Pと負極の実電気容量Nを前述の方法で測定した結果、P=1.42mAh/cm、N=1.28mAh/cmであった。従って、この電池は正負極容量比R=N/P=0.9であり、設計容量は250mAhである。
(実施例2)
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比10:30:60)に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル、四フッ化硼酸リチウム(LiBF)を0.1モル/リットルとなるように溶解した溶液を用いた以外は実施例1と同様な方法にて非水電解液二次電池を製造した。
(実施例3)
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比10:30:60)に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル、四フッ化硼酸リチウム(LiBF)を0.4モル/リットルとなるように溶解した溶液を用いた以外は実施例1と同様な方法にて非水電解液二次電池を製造した。
(実施例4)
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比10:30:60)に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル、四フッ化硼酸リチウム(LiBF)を0.8モル/リットルとなるように溶解した溶液を用いた以外は実施例1と同様な方法にて非水電解液二次電池を製造した。
(比較例1)
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比10:30:60)に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルとなるように溶解した溶液を調製した以外は、実施例1と同様な方法にてラミネートフィルム型の非水電解液二次電池を製造した。
<高温サイクル試験>
実施例1〜4及び比較例1の非水電解液二次電池を用いて評価を行った。試料を温度55℃の恒温槽に投入し、1Cで3.0Vまで充電し、1Cで1.0Vまで放電するサイクルを200サイクル行った。その後、室温まで冷却し、SOC50%に調整し、交流インピーダンス測定を行った。
<交流インピーダンス測定>
0.2Cで充電してSOC50%に調整した電池を、25℃環境下で、交流抵抗(正極+負極の電荷移動抵抗)測定を実施した。交流抵抗の測定は、10mVの振幅にて交流電圧を印加させて100kHzから0.1Hzの範囲で行った。交流抵抗測定に際して、Princeton Applied Research社のポテンショ/ガルバノスタット VersaSTAT 4(周波数応答アナライザ付き)を用いた。測定した複素インピーダンスをナイキストプロットするとひとつの半円状のプロットとなり、正極か負極かその帰属を分離できなかった。そこで、この半円の直径を正極+負極の電荷移動抵抗とみなした。
交流インピーダンス測定から求めた電荷移動抵抗と電気二重層容量を表1に、表1のデータから求めたτ、τ、τ/τを表2に、高温貯蔵前後の容量測定結果を表3に示す。
Figure 2016103326
Figure 2016103326
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表1〜3に示すように、実施例1から4のようにτ/τ>2とすることで、電荷移動抵抗を下げることができ、高温貯蔵後の容量劣化を抑制することができた。比較例1のようにτ/τ<2となると、高温貯蔵)後に容量の劣化が見られサイクル後も抵抗が大きかった。また実施例4から、τ/τ>10となると、高温貯蔵後の容量劣化はなくなったが比較例ほどではないもののサイクル後の抵抗が若干大きくなった。この結果から、2<τ/τ<10とすることが好ましいことがわかる。
実験2
(実施例5)
設計容量を240mAhとし、第1の工程の電解液含浸時と第3の工程の気体排出時の真空度を50kPaとした以外は、実施例1と同様の方法にて非水電解液二次電池を製造した。
(実施例6)
真空度を20kPaとした以外は、実施例5と同様の方法にて非水電解液二次電池を製造した。
(実施例7)
真空度を40kPaとした以外は、実施例5と同様の方法にてラミネートフィルム型の非水電解液二次電池を製造した。
(実施例8)
電解液含浸工程での減圧を行わなかったこと以外は、実施例5と同様の方法にてラミネートフィルム型の非水電解液二次電池を製造した。
(実施例9)
真空度を60kPaとした以外は、実施例5と同様の方法にてラミネートフィルム型の非水電解液二次電池を製造した。
(比較例2)
第1の工程の電解液含浸時、第3の工程の気体排出時にそれぞれ10分、合計20分真空含浸を真空度20kPaで行った以外は、実施例5と同様な方法にてラミネートフィルム型の非水電解液二次電池を製造した。
上記のようにして作製した実施例5〜9、比較例2の非水電解液二次電池について算出したτ/τを表4に示す。
<高温サイクル試験>
非水電解液二次電池を、温度55℃の恒温槽に投入し、1Cで3.0Vまで充電し、1Cで1.0Vまで放電して、200サイクルの充放電を行った。このときの1、10、200サイクル目の放電容量を測定し、その結果を表4に合わせて示す。
Figure 2016103326
表4に示すように、τ/τ≦2であった比較例2では、初期容量が小さく高温貯蔵により容量劣化が起こっており、また、サイクル後の容量劣化も大きくなった。一方、τ/τ>2である実施例5〜9では、設計容量並みの1サイクル目容量が得られており高温貯蔵後の容量劣化を抑制することができた。さらに、真空度が式2の範囲内(例えば、真空時間が4minであれば50(kPa)≧P≧12)である実施例5〜7は高温サイクル初期の容量落ち込みを抑制できることが確認された。真空度が式2を満たしていない実施例8、9は、高温サイクルで初期の容量落ち込みが確認された。初期に容量が落ち込むということから正負極のセルバランスが悪くなっていることが考えられ、サイクルが進むにつれ他と比較して容量劣化が大きくなる可能性が大きいため、好ましくない。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明により、高温環境で貯蔵しても容量劣化せず、高温サイクルに伴う抵抗上昇抑制が可能な非水電解液二次電池を提供することができ、更には、高温サイクル初期の容量落ち込みを抑制可能な非水電解液二次電池も提供することができる。本発明は、チタン酸化物等を負極活物質とする非水二次電池に適用することができ、リチウムイオン二次電池などに幅広く適用することができる。
そのため、本発明の非水電解液二次電池は、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バス、電車、飛行機、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ、負荷平準化用電源、自然エネルギー貯蔵電源等が挙げられる。

Claims (9)

  1. 正極活物質を含む正極と、
    リチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極と、
    それらを隔離するセパレータとを有する電極群に、リチウム塩と非水溶媒を少なくとも含有する非水電解液が含浸されてなる非水電解液二次電池であって、
    次の条件で算出した時定数τ、τが式1を満たす、非水電解液二次電池。
    (式1)τ/τ>2
    τ:電解液を含浸後、充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
    τ:τ測定後の二次電池に対し、負極電位を1Vの電位(対Li/Li)まで充電し、55℃の雰囲気中で7日間貯蔵し、25℃に冷却した後に充電状態(SOC)100%までの充電を経た非水電解液二次電池のRct、dlを測定し求めた時定数。
    時定数τは、τ=Rct×Cdlで算出し、Rctは電極と電解液界面の電荷移動抵抗であり、Cdlは電極と電解液界面に存在する電気二重層の容量である。
  2. 前記τ/τが、10未満である請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記正極活物質は、コバルト及び/又はニッケルを含む請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記正極活物質は、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記リチウム塩が少なくとも四フッ化硼酸リチウムを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記四フッ化硼酸リチウムの濃度が非水電解液に対し0.05〜1.0モル/リットルである、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
  7. 正極及びリチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極とそれを隔離するセパレータを含む電極群に、四フッ化硼酸リチウムを含む非水電解液を含浸させる工程を含む非水電解液二次電池の製造方法。
  8. 正極及びリチウムイオン吸蔵電位が1.2V(対Li/Li)以上のチタン複合酸化物及び/又はチタン酸化物を含有する活物質を含む負極とそれを隔離するセパレータを含む電極群に非水電解液を含浸させる工程を含む非水電解液二次電池の製造方法であって、前記電解液の含浸を、下記式2を満たす真空度及び保持時間の条件下で行う、非水電解液二次電池の製造方法。
    P≧(10/9)X+70/9 (式2)
    ここで、Xは真空度の保持時間(min)、Pは真空度(kPa)である。
  9. 前記電解液の含浸を50kPa以下の真空度で行う、請求項8に記載の非水電解液二次電池の製造方法。
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