以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施形態1>
[物品搬送システムの概略構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置としての重量選別機を備える物品搬送システムの概略構成図である。
この実施形態の物品搬送システムは、容量式の充填装置1と包装装置2とを備える商品生産装置3を備えている。この商品生産装置3から搬出される商品としての物品Gは、搬送ラインの搬送方向(図の右方向)の下流側に設置されている重量選別機4によって物品G毎に重量が測定され、図示しない振分け装置によって、良品、不良品に選別される。商品生産装置3では、図示しない容器供給装置から供給される容器に対して、充填装置1によって原料が所定体積分だけ充填され、原料が充填された容器が、次段の包装装置2によって商品の形態に包装されて物品Gとして順次搬出される。搬出された物品Gは、搬送コンベヤ5によって、所定間隔L1にて搬送される。商品生産装置3は、充填装置1に代えて、所定重量範囲の物品を組合せ計量して排出する組合せ秤などであってもよい。
重量選別機4は、物品Gの搬送ラインを構成する搬送コンベヤ5からの物品Gを、計量コンベヤ7へ送込む送込みコンベヤ6と、ロードセル等からなる荷重センサ10に支持された前記計量コンベヤ7と、計量コンベヤ7からの物品Gを、図示しない振分け装置へ搬出する送出しコンベヤ8と、荷重センサ10からの荷重信号に基づいて、後述のようにして物品Gの重量値や零点重量値を測定する共に、各部を制御する制御装置11とを備えている。制御装置11では、計量コンベヤ7によって搬送される物品Gの重量を測定して、前記振分け装置を制御することにより、重量が所定範囲内の適量品と、所定範囲未満の軽量品と、所定範囲を超える過量品とに振分け選別する。
重量選別機4において、物品Gの重量を測定するためには、測定対象となる物品Gのみが、計量コンベヤ7上に存在し、荷重センサ10からの荷重信号が安定する或る程度の期間を確保する必要がある。
また、重量選別機4において、高精度に物品の重量を測定するためには、周囲の温度や湿度の変化、あるいは、計量コンベヤ7への過大な荷重の印加や付着物などに起因する零点変動を、零点調整を行って補正する必要がある。零点調整を行うためには、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態の重量値である零点重量値を測定する必要があり、物品Gが計量コンベヤ7上に存在しない無負荷状態を、或る程度の期間確保する必要がある。
ここで、物品Gの重量値の測定及び零点重量値の測定のタイミングについて、図2に基づいて説明する。
図2(a)は、図1に対応する概略構成図であり、図2(b)は、図2(a)の計量コンベヤ7の荷重分布を示す図である。図2において、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付し、また、計量コンベヤ7を含む周辺の物品Gには、搬送順に補助番号(0〜3)を付している。
商品生産装置3から搬出される物品Gの生産量、例えば、1分間当たりの物品Gの最大の生産個数が、A(個/分)であるとき、計量コンベヤ7やその前後のコンベヤ6,8も含めて物品Gを搬送する搬送ラインの搬送速度をV(m/分)とすると、搬送される物品Gの搬送間隔L1、すなわち、先行する物品の先端から後続の物品の先端までの間隔L1は、L1=V/A(m)になる。この最大の生産個数の場合でも物品Gの重量を測定できるように、計量コンベヤ7の物品搬送方向の長さは、略L1に設定される。
計量コンベヤ7上に在る物品Gの重量を測定するには、安定した荷重信号を取得するために、測定対象とする物品Gのみが計量コンベヤ7上に存在する期間を、或る程度以上確保する必要がある。
物品Gの搬送方向に沿う長さをL2(L2<L1)とすると、物品Gが連続的にL1の間隔で計量コンベヤ7に搬入されても、1つの物品Gが計量コンベヤ7上を、(L1−L2)の距離を移動する間、時間にすると(L1−L2)/V(分)の期間は、この物品Gのみが計量コンベヤ7上に存在するので、この期間において、物品Gの重量の測定が可能になる。
反対に計量コンベヤ7の零点重量値を測定し、零点調整を行う場合は、物品Gが計量コンベヤ7上にない無負荷の状態を、或る程度以上の期間確保しなければならない。
図2(b)の台形状の実線は、上記の生産個数A(個/分)や搬送速度V(m/分)等の条件において、図2(a)における物品G1による計量コンベヤ7上での荷重分布であり、1点鎖線は、先行する物品G0による荷重分布であり、破線は、後続の物品G2による荷重分布である。図2(b)において、計量コンベヤ7の荷重は、(L1−L2)の長さに対応する期間(L1−L2)/V(分)が、物品G1のみによるものであるから、この期間に物品G1の重量を測定する。
図2において、仮りに物品G1が存在しなければ、(L1−L2)の長さに対応する期間(L1−L2)/V(分)は、計量コンベヤ7上に物品のない無負荷状態の期間、すなわち、零点重量値を測定することが可能な期間になる。
また、商品生産装置3の生産能力を低下させ、図2(a)の生産ラインであれば、生産能力を、例えば1/2、すなわち、1分間当たりの物品Gの生産個数を、A/2(個/分)にすると、物品G0,G1,G2の搬送において、初めから物品G1がないのと同じであるから、物品1個毎に計量コンベヤ7上に物品Gのない無負荷状態の期間(L1−L2)/V(分)が生じて、物品1個の重量を測定する度に、零点重量値を測定して零点調整を行うことが可能になる。すなわち、生産能力をA/2(個/分)以下にすると、物品Gの1個の重量を測定する度に、零点重量値を測定して零点調整を行う機会を得ることができる。
しかし、通常の場合、商品生産装置3の生産能力は高い値に設定されるので、例えば、1分間当たりの物品Gの生産個数を、上記のようにA(個/分)またはA(個/分)より僅かに小さいA´(個/分)で生産し、下流の搬送ラインに物品Gを搬出することになる。この場合、計量コンベヤ7には、物品Gが途切れることなく、連続的に搬入されてその重量が測定されることになり、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない期間が生じることはない。
したがって、高精度に物品の重量を測定するために、零点調整を必要な時間間隔で行おうとすると、物品Gが計量コンベヤ7上に到来しない期間を強制的に生じさせる必要がある。
上記特許文献1では、所定期間を定め、所定期間中に物品Gが途切れず、重量選別機4の零点調整を行えない場合には、計量コンベヤの前段のコンベヤのモータを停止、或いは低速にすることによって、物品の搬送間隔を空け、計量コンベヤに物品が存在しない無負荷状態の期間を強制的に生じさせ、零点重量値を測定して零点調整を行うようにしている。
しかし、図2(a)に示すように、各物品Gが、例えば、L1という搬送間隔で計量コンベヤ7へ連続的に搬入される場合、零点調整を行うために、或る物品Gを、搬送ライン上で停止させ、或いは搬送速度を低下させると、たちまちそれ以降の物品G間の間隔が、L1より短い間隔に接近し、安定した荷重信号に基づいて物品Gを計量できる間隔(L1−L2)を保てなくなって、計量コンベヤ7上へ物品Gが2個以上搬入されるなど、大きなトラブルになる。
そこで、図1に示す本実施形態では、重量選別機4で零点調整を行う必要のあるタイミングでは、計量コンベヤ7の前段の搬送ラインの物品Gの搬送間隔を乱さないように、すなわち、計量コンベヤ7の前段の搬送ラインの搬送速度を変更することなく、計量コンベヤ7が無負荷状態となる期間を生じさせるようにしている。
具体的には、搬送ラインによる物品Gの搬送速度を変更することなく、重量選別機4の計量コンベヤ7へ搬入される物品Gの搬送間隔を大きくするために、物品Gを搬送コンベヤ5から除去すべきことを作業者に報知する報知手段としてのランプ9を、搬送コンベヤ5の近傍に設置している。作業者は、ランプ9が点灯すると、搬送コンベヤ5によって搬送される物品Gの予め決められた1個ないし複数個を、その前後の物品Gの搬送状態に影響を与えることなく、連続して除去するようにしている。
重量選別機4の制御装置11からの駆動信号によって、零点調整を行う必要がある時間間隔毎に、ランプ9は点灯する。作業者は、ランプ9が点灯すると、必要な個数の物品Gを搬送コンベヤ5から除去し、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態を生じさせる。重量選別機4は、生じた無負荷状態を後述のように検知して零点重量値を測定して零点調整を行い、ランプ9を消灯する。なお、除去した物品Gは、例えば、重量選別機4の運転を終了する終業時あるいは始業時などに搬送ラインに流して重量選別を行えばよい。
制御装置11は、ランプ9の点灯、消灯を制御すると共に、計量コンベヤ7を支持する荷重センサ10からの荷重信号に基づいて、計量コンベヤ7上に搬入された物品Gの重量値を測定し、また、物品Gが計量コンベヤ7に存在していない無負荷状態を検知し、無負荷状態の重量値である零点重量値を測定し、零点調整を行う。
送込みコンベヤ6と計量コンベヤ7との間には、例えばフォトセンサからなる物品検知センサ12が設置され、この物品検知センサ12は、計量コンベヤ7に搬入される直前の物品Gを検知する。
この実施形態では、重量選別機4の零点調整を行う必要があるとして、ランプ9を点灯して作業者に物品を除去すべき旨を報知する時間間隔、すなわち、零点調整を行う時間間隔を、後述のように、重量選別機4の零点変動速度の大きさに応じた時間間隔に制御するようにしている。
具体的には、重量選別機4の零点変動速度を検出し、零点変動速度が大きいときには、零点調整を行う時間間隔を短くし、零点変動速度が小さいときには、零点調整を行う時間間隔を長くするように制御する。
このように重量選別機4の零点変動速度の大きさに応じた時間間隔でランプ9を点灯させて作業者に物品を除去すべきことを報知し、作業者が物品を除去することによって生じる無負荷状態の期間を利用して零点調整を行うので、不必要に短い時間間隔で零点調整を行って物品の計量処理能力を低下させたり、逆に長い時間間隔で零点調整を行って、その間に生じる大きな零点変動によって計量精度が低下するといった事態を回避することができる。
[重量選別機4の構成]
図3は、重量選別機4の制御装置11における要部のブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
制御装置11は、荷重センサ10からのアナログ荷重信号を増幅すると共に、高い周波数成分を除去する増幅器15と、増幅器15からの荷重信号をデジタル信号に変換するA/D変換器16と、A/D変換器16からの荷重信号に含まれる振動ノイズ等を減衰させるためのフィルタ処理を行なって物品の重量値等を演算すると共に、上記ランプ9を含む各部を制御する制御部17と、各種の設定などのために操作される操作キーを有する入力部18と、計量結果等を表示する表示部19とを備えている。入力部18及び表示部19は、それらを一体化したタッチパネルで構成してもよい。
制御部17は、CPU、制御プログラム及び重量値等のデータが記憶されるメモリ、及び、入出力回路等を備えると共に、後述の各種のタイマーカウンタ機能を備えている。
制御部17は、上記フィルタ処理に加えて、フィルタ処理した荷重信号に基づいて、計量コンベヤ7上に物品がない無負荷状態のときには、零点重量値を算出して零点調整を行い、計量コンベヤ7上に物品が在るときには、物品の重量値を算出するなどの各種の演算処理を行うものであり、零点調整を行う零点調整部としての機能を有する。
制御部17には、物品検知センサ12の検知出力が与えられ、作業者に物品を除去すべき旨を報知するランプ9の駆動を制御する。この制御部17は、物品検知センサ12の出力に基づいて、計量コンベヤ7上に物品がない無負荷状態を検知する無負荷状態検知部としての機能を有する。
[計量コンベヤ7の無負荷状態の期間及び零点調整]
次に、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態の期間及びその期間に行われる零点調整について説明する。
計量コンベヤ7へ搬入される物品を、ランプ9の点灯によって作業者が搬送ライン外へ除去し、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態の期間を生じさせ、この無負荷状態の期間において、零点重量値を測定して零点調整を行う。
ここで、零点重量値と零点調整について説明する。
Kをスパン係数、WadをA/D変換器16から出力されるデジタル荷重信号をフィルタ処理するフィルタの出力値、Wiを計量コンベヤ7の風袋重量、WZを累積零点変動量とすると、計量コンベヤ7上の物品の重量測定値Wnは、
Wn=K・(Wad−Wi)−WZ ・・・(1)
と表される。
計量コンベヤ7上に物品が存在しているときのデジタル荷重信号Wadに基づいて得られる重量測定値Wnが、物品の重量値である。
計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態のときのデジタル荷重信号Wadに基づいて得られる重量測定値Wnが、零点重量値である。
零点調整とは、
Wn+WZ→WZ
と演算する動作、すなわち、新たに測定された零点重量値Wnに、それまでの累積零点変動量WZを加算して、新たな累積零点変動量WZとする動作である。
例えば、計量コンベヤ7上が無負荷状態の場合であっても、Wn≠0であって、例えば、Wn=wdであるときに、零点調整を行うことによって、Wn+WZ=wd+WZ→WZと演算されると、累積零点変動量WZが今までよりwdだけ増加し、上記(1)式より、重量測定値Wn=0に調整され、その後の物品の重量値は、零点調整後のWZを累積零点変動量として上記(1)式によって算出される。
作業者が、ランプ9の点灯によって物品を除去し、先行する物品が、計量コンベヤ7上から搬出された後に、計量コンベヤ7へ物品が搬入されない無負荷状態を生じさせても、先行する物品が計量コンベヤ7から搬出される際の振動信号、すなわち、過渡応答信号が大きく残っていると、測定した零点重量値Wnは、ばらつき量が大きくなる。このように零点重量値Wnにばらつきがある場合に、零点調整を行って精確でない零点重量値Wnが、累積零点変動量WZへ加算されると、精確でない累積零点変動量WZを用いてその後の物品の重量値が算出されることになり、物品の重量値が不精確になる。
計量コンベヤ7から物品が搬出される際の過渡応答振動信号は、フィルタによって減衰されるものの、物品が計量コンベヤ7から搬出されて十分な時間が経過していないと、フィルタ出力が応答していなかったり、平滑されていなかったりすることがある。このため、仕様によっては零点重量値が十分安定するに必要な時間だけ計量コンベヤ7を無負荷の状態にする必要がある。そこで、予め調整運転を行って零点重量値を十分安定させるために、必要な物品の除去個数を決めておき、ランプ9が点灯したときには、作業者は、予め決められた個数である1個あるいは複数個の物品を連続して除去する。
例えば、上記の図2において、物品G1を1個だけ除去したとすると、図2の物品G1の荷重分布がなくなり、先行する物品G0が計量コンベヤ7から搬出された時点aから最長で60・(L1−L2)/V(秒)の後のb点まで無負荷状態となるが、このb点の測定では、まだ零点重量値のバラツキが大きい場合は、物品の除去個数を2個とし、物品G1に続いて物品G2も続いて除去し、最長でa〜c点迄の期間で零点重量値が測定できるようにする。
[零点変動速度に応じた零点調整の時間間隔]
次に、ランプ9を点灯させて零点調整を行う時間間隔について説明する。この実施形態では、上記のように、重量選別機4の零点変動速度に応じた時間間隔で、零点調整を行うようにしている。
すなわち、重量選別機4の零点変動速度に応じて、ランプ9を点灯させる時間間隔を長短制御して、作業者が、物品を除去する時間間隔、すなわち、零点調整を行う時間間隔を制御するようにしている。
例えば、仕様によって零点変動量が最大で0.2g(零点変動許容量)まで許容されるとし、デフォルト値として、ランプ9を点灯させる時間間隔を0.5時間(基準間隔)に設定したとする。
本実施形態では、ランプ9を点灯させる時間間隔は、物品重量の測定が一定の時間間隔で行われるので、重量を測定した物品の個数、すなわち、物品重量の測定回数Cnで規定するようにしている。
或る時点で計量コンベヤ7を無負荷状態にするためにランプ9を点灯させ、作業者が、搬送ラインを流れる物品を除去し、重量選別機4の計量コンベヤ7上に物品のない無負荷状態の重量値である零点重量値Wn=Z(n+1)の1回目の測定を行い、1回目の零点重量値Z(n+1)として記憶した後、その零点重量値を用いて、1回目の零点調整を行ったとする。すなわち、Wn=0にする。零点調整を行った時点でランプ9を消灯させる。
1回目に零点調整を行った後、次の零点調整を行うまでの時間間隔を、上記のように、重量測定した物品の個数を計数して、次にランプ9を点灯させるタイミングまでの時間間隔をカウントし、上記デフォルト値である時間間隔Tx=0.5時間をカウントしたところで、ランプ9を再び点灯させて作業者が物品を除去することによって無負荷状態を生じさせ、零点重量値Wn=Z(n+1)を測定したとする。
1回目である前回の零点調整後の零点重量値Wn=0に対して、2回目である今回の零点調整前の零点重量値Wnが、
|Wn|=|Z(n+1)|=0.1gであれば、1回目から2回目までの0.5時間の間に0.1gの零点変動があったことになる。
したがって、1回目から2回目までの間の零点変動速度は、
|Z(n+1)|/Tx
=0.1/0.5
=1/5=0.2(g/h)である。
したがって、この零点変動速度で、上記の零点変動許容量である0.2gに達する時間は
0.2/0.2=1.0時間
と算出され、次にランプ9を点灯させて作業者が物品を除去し、零点調整を行うまでの時間間隔は、今回の作動タイミングより1.0時間以内、例えば、1.0時間後とする。この場合は、零点変動速度が比較的遅いので、物品を除去して零点調整を実施する時間間隔を長くする。
一方、1回目である前回の零点調整後の零点重量値Wn=0に対して、2回目である今回の零点調整前の零点重量値Wnが、
|Wn|=|Z(n+1)|=0.3gであって、1回目から2回目までの0.5時間の間に0.3gの零点変動があったとすると、この間の零点変動速度は、
|Z(n+1)|/Tx
=0.3/0.5=0.6(g/h)である。
したがって、この零点変動速度で、零点変動許容量である0.2gに達する時間は、
0.2/0.6=0.33時間
と算出され、次にランプ9を点灯させて作業者が物品を除去し、零点調整を行うまでの時間間隔は、今回の作動タイミングより0.33時間以内、例えば、0.33時間後とする。この場合は、零点変動速度が比較的速いので、物品を除去して零点調整を実施する時間間隔を短くする。
なお、ランプ9が点灯した時点から、実際に作業者が搬送コンベヤ5上の物品を除去するまでに要する時間を考慮して、ランプ9を点灯させる時間を少し早めるようにしてもよい。
零点変動速度に応じて算出される時間間隔には、上下限飽和値を設けるのが好ましい。零点変動速度が大きいために、下限飽和値TLより小さい時間間隔が算出された場合は、下限飽和値TLに制限し、零点変動速度が小さいために、上限飽和値TUより大きい時間間隔が算出された場合は、上限飽和値TUに制限するのが好ましい。
偶然に、商品生産装置3や途中の搬送ラインの都合で、物品が、次にランプ9を点灯させる時間間隔に至るまでに途切れるようなことがあって、前回の零点調整時に算出した時間間隔より短い時間間隔、すなわち、早い時点で計量コンベヤ7上が無負荷の状態となったときには、零点調整を行い、零点重量値をZ(n)として測定し、前回の記憶分を更新記憶させるが、次にランプ9を点灯させる時間間隔は再計算せず、この時点を基点に前回算出した時間間隔まで改めて時間間隔を測定する。
但し、このとき、前回の零点調整時から或る値以上に時間間隔が空いていれば、この時点における零点重量値をZ(n+1)とし、この零点重量値Z(n+1)と前回の零点調整時に記憶させていた零点重量値Z(n)とによって新たに、次にランプ9を点灯させる時間間隔を、上記のように零点変動速度に応じて算出するようにしてもよい。
このように、零点調整を行う度に、零点変動速度を測定しながら、零点変動許容量まで変動しないように、零点調整を行う時間間隔、すなわち、ランプ9を点灯させて作業者に物品を除去すべき旨を報知する時間間隔を長短制御することによって、不必要に短い時間間隔で零点調整を行ったり、逆に、零点変動量が大きいのに零点調整を行わなかったりするという事態を回避することができる。
ランプ9を点灯させる時間間隔を、物品重量値の測定回数のカウント値で行う場合、物品重量値の測定回数Cnは、ライン搬送能力がA(個/分)であれば、時間値としてCn/A(分)に相当する。
なお、本発明の他の実施形態として、物品重量値の測定回数Cnをカウントするのではなく、制御部17の演算回路に設けた時間カウンタによって時間間隔を直接カウントしてもよい。
[物品重量の測定]
次に、物品重量の測定について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
図4の処理は、制御部17に内蔵のクロック生成回路の、例えば1msec毎のクロックパルスによって、1msec間隔でスタートし、後述の図5のエンドまで起動し、他の処理よりも優先して処理される。すなわち、1msec毎に最優先で実行される。
制御部17の演算回路内には、物品計測用タイマーカウンタTCiを含む後述の複数のタイマーカウンタが内蔵されている。
物品の重量の測定は、図6(a)に示すように、計量コンベヤ7へ搬入される直前の物品Gが物品検知センサ12で検知された時点t1から、該物品Gの計量コンベヤ7からの搬出が開始される直前の時点t2までの時間(物品計測時間Ti)内で行われるものであり、前記直前の時点t2では、後続の物品Gの計量コンベヤ7上への搬入が開始されておらず、測定対象の物品Gのみが計量コンベヤ7上に存在している。
具体的には、前記直前の時点t2を、物品重量値の測定タイミングとしており、物品が、物品検知センサ12で検知されると、その時点t1で物品計測時間カウント用フラグF1を「1」にセットして、物品計測用タイマーカウンタTCiでカウントを開始し、物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品Gの計量コンベヤ7からの搬出が開始される直前の前記時点t2に対応する物品計測時間Tiに到達すると、物品重量値の測定タイミングであるとして重量値を算出するものである。
図4に示すように、先ず、A/D変換器16の出力であるデジタル荷重信号を読込んでフィルタ処理を行い(ステップn1,n2)、物品計測時間カウント用フラグF1が「0」にリセットされているか否かを判断する(ステップn3)。
ステップn3で、物品計測時間カウント用フラグF1が、「0」にリセットされているときには、物品検知センサ12によって物品が未だ検知されていないので、物品検知センサ12によって物品が検知されたか否かを判断し(ステップn4)、検知されないときには、図5のステップn12に移り、物品が検知されたときには、物品を検知した時点t1から、物品が計量コンベヤ7から搬出される直前の時点t2までの物品計測時間Tiを計測する物品計測用タイマーカウンタTCiをリセットし(ステップn5)、物品計測時間Tiを計測中であることを示す物品計測時間カウント用フラグF1を「1」にセットしてステップn7に移る。
ステップn7では、物品が検知された時点t1からの経過時間を計測するために物品計測用タイマーカウンタTCiをインクリメントし、物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品検知センサ12によって物品が検知された時点t1から物品重量を測定する時点t2までの時間である物品計測時間Tiに達したか否かを判断し(ステップn8)、達していないときには、図5のステップn12に移り、達したときには、物品計測時間カウント用フラグF1を「0」にリセットし(ステップn9)、物品重量値を読取るタイミングであることを示す物品重量値読取りフラグFiを「1」にセットし(ステップn10)、物品計測用タイマーカウンタTCiをリセットして図5のステップn12に移る(ステップn11)。
上記ステップn3で、物品計測時間カウント用フラグF1が「0」でない、すなわち、「1」であるときには、既に物品を検知して物品計測時間Tiを計測中であり、ステップn7に移る。
このように、物品が物品検知センサ12に検知されると、物品計測時間カウント用フラグF1が「1」にセットされ、物品計測用タイマーカウンタTCiがカウントを開始する。物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品計測時間Tiになると(TCi=Ti)、計量コンベヤ7上の物品の重量値を算出するタイミングであるとして、物品重量値読取りフラグFiを「1」にセットし、物品計測用タイマーカウンタTCiを「0」にリセットする。
次に物品重量値の算出処理について説明する。
物品の重量値の算出は、図4,図5よりも優先度の低い処理として実行され、具体的には、図7に示すフローチャートに従って処理される。
図7に示すように、上記の物品重量値読取りフラグFiが、「1」にセットされているか否か判断し(ステップn101)、セットされていないときには、図8のステップn107に移り、セットされているときには、物品重量値読取りフラグFiを「0」にリセットし(ステップn102)、制御部17のフィルタの出力値Wadを読取り、上記(1)式に従って物品の重量値Wnを算出取得し(ステップn103)、ステップn104に移る。
このように、商品生産装置3からの物品が、搬送ラインを連続的に搬送され、計量コンベヤ7に搬入される直前に、物品検知センサ12によって、検知されると、物品計測用タイマーカウンタTCiによる物品計測時間Tiの計測が開始され、物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品計測時間Tiになると、計量コンベヤ7に搬入された物品が、搬出される直前の位置であって、後続の物品の計量コンベヤ7への搬入が開始されていない測定タイミングの位置、すなわち、図6(a)の時点t2の位置に達したとして、物品の重量値を算出して取得する。
計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態は生じさせるために、上記のように、ランプ9の点灯によって、計量コンベヤ7の搬送方向の上流側で物品を除去すべき旨を作業者に報知するのであるが、この報知の時間間隔を、上記のように、重量を測定した物品の個数、すなわち、物品重量の測定回数Cnによって決定するようにしている。
このため、図7のステップn103で物品の重量値を取得した後、ステップn104では、物品重量測定回数カウンタCxに「1」を加算し、物品重量測定回数カウンタCxによる測定回数が、零点調整を行うべき時間間隔を示す零点計測間隔値NCxに達したか否かを判断し(ステップn105)、達していないときには、図8のステップn107に移り、達したときには、零点調整を行うために、物品を除去する必要があるとして、ランプ9を点灯させて作業者に物品を除去すべき旨を報知して図8のステップn107に移る(ステップn106)。
[零点重量値の測定]
次に、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態における零点重量値の測定、すなわち、零点計測について、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、零点計測を行った後には、引き続いて、計測した零点重量値によって零点調整を行う。
先ず、図5のフローチャートの説明に先立って、零点計測処理の概要について説明する。
上記のように物品の生産が順調に連続して行われているときには、先行の物品が、その重量が測定されて計量コンベヤ7から搬出され始めると、後続の物品が、計量コンベヤ7に搬入され始めるために、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態は発生せず、零点計測を行うことはできない。
この実施形態では、上記のようにランプ9を点灯させることによって、作業者が、計量コンベヤ7の上流側で物品を除去するので、物品が計量コンベヤ7に搬入されず、物品の搬送間隔が大きくなって、無負荷の状態が発生する。この無負荷の状態を検知して零点計測を行うものである。
この無負荷状態は、次のようにして検知する。すなわち、図6(a)に示すように、計量コンベヤ7へ搬入される直前の物品Gが物品検知センサ12で検知された時点t1から、該物品Gが計量コンベヤ7に搬入されて重量測定された後、計量コンベヤ7から搬出され、送出しコンベヤ8への搬入が完了する時点t3までの時間(零点計測時間Tz)を、後続の物品が、物品検知センサ12で検知されることなく計測できたときに、その時点で、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態であるとして、零点計測を行うものである。
具体的には、物品Gが、図6(a)の時点t1において、物品検知センサ12で検知されると、零点計測時間カウント用フラグF2を「1」にセットして、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzでカウントを開始し、後続の物品が物品検知センサ12で検知されることなく、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzのカウント値が、前記時点t3に対応する零点計測時間Tzに到達すると、計量コンベヤ7上に物品の存在しない無負荷状態であるとして零点計測を行うものである。
ランプ9を点灯させることなく、物品の生産が順調に途切れなく行われているときには、先行の物品が、その重量が測定されて計量コンベヤ7から搬出され始めると、後続の物品が、物品検知センサ12で検知されるので、零点計測時間カウント用フラグF2及び零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzはリセットされ、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzのカウント値が、零点計測時間Tzに到達することはなく、零点計測は行われない。
しかし、ランプ9の点灯によって、後続の物品が、計量コンベヤ7の上流側で作業者によって除去されたときには、物品検知センサ12で後続の物品が検知されないので、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzのカウント値が、零点計測時間Tzに到達し、零点計測が行われることになる。
なお、ランプ9の点灯に基づく作業者による物品の除去に限らず、例えば、商品生産装置3による物品の生産に途切れが生じたような場合にも、同様に無負荷状態が検知されて零点計測が行われる。
更に、この実施形態では、運転スイッチをオンして重量選別機4の運転を開始したときには、最初の物品が、物品検知センサ12で検知される迄、あるいは、上記のようにして、後続の物品が物品検知センサ12によって検知されることなく、零点計測を行ったときには、後続の物品が、物品検知センサ12で検知される迄は、計量コンベヤ7に物品が存在しない無負荷状態が継続しているので、零点計測を短い時間間隔で繰り返し行い、零点重量値を更新するようにしている。
具体的には、重量選別機4の運転スイッチがオンされて運転が開始された後、物品が物品検知センサ12で検知されないとき、あるいは、上記のように零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzのカウント値が、零点計測時間Tzに到達して零点計測を行った後、引き続いて物品が物品検知センサ12で検知されないときには、物品検知センサ12によって物品が継続して検知されていないとして、物品非検知フラグF4を「1」にセットし、零点計測を更新するための更新時間を計測する更新時間計測用タイマーカウンタTCdによって、零点計測更新時間Td、例えば、数十msec〜1秒程度の短い零点計測更新時間Tdをカウントし、零点計測更新時間Tdが経過する度に、零点計測を行う。
また、この実施形態では、物品の形状等を考慮して、物品検知センサ12による同一物品の重複した検知を防止するようにしている。すなわち、物品Gの形状等によっては、例えば、図6(b)に示すように、物品検知センサ12からの投光が通過してしまうような窪んだ凹部25を有するような場合がある。かかる場合には、物品Gの前記凹部25が、物品検知センサ12の検知領域を通過する際に、物品検知センサ12の出力が、検知、非検知、検知といったように、物品Gの検知動作を繰り返すことがあるので、この実施形態では、物品Gが物品検知センサ12で一旦検知されたときには、物品Gが物品検知センサ12の検知領域を完全に通過してしまう迄は、物品検知センサ12の出力を無視するようにしている。
具体的には、物品検知センサ12で物品が検知されたときには、重複検知防止時間カウント用フラグF3を「1」にセットし、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmでカウントを開始する。この重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmによって、物品Gが物品検知センサ12の検知領域を通過し終えるまでの時間を、重複検知防止時間Tmとして計測し、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmのカウント値が、重複検知防止時間Tmに達するまでは、物品検知センサ12の出力を無視するようにしている。
重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmのカウント値が、重複検知防止時間Tmに達したときには、物品検知センサ12で検知された物品が、該センサ12の検知領域を通過したとして、重複検知防止時間カウント用フラグF3を「0」にリセットすると共に、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmを「0」にリセットし、その後は物品検知センサ12の出力を判定しながら零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzで零点計測時間Tzをカウントする。
なお、重複検知防止時間カウント用フラグF3が「1」にセットされている間は、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmをカウントすると共に、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzをカウントし、この零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzは、零点計測時間カウント用フラグF2が「1」の間は、カウントを継続する。
次に、この零点計測について、図5のフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。この図5の零点計測のための処理は、上記図4の物品の重量の測定処理に引き続いて実行される。
ここで、理解を容易にするために、図5の処理を、複数の領域1〜6の処理に分けて説明する。
先ず、領域1では、零点計測時間カウント用フラグF2(ステップn12)、及び、重複検知防止時間カウント用フラグF3(ステップn13)が、共に「0」である初期状態(F2=F3=0)において、物品検知センサ12によって物品が検知されたか否かの判定がなされる(ステップn14)。零点計測時間カウント用フラグF2、及び、重複検知防止時間カウント用フラグF3が、共に「0」である初期状態は、物品検知センサ12で物品が検知されていないために、零点計測時間Tz及び重複検知防止時間Tmの計測が行われていない状態である。この初期状態(F2=F3=0)は、重量選別機4の運転スイッチがオンされた後、最初の物品が物品検知センサ12で検知される迄、あるいは、零点計測が行われた後、後続の物品が物品検知センサ12に検知される迄の状態である。
初期状態において、計量コンベヤ7へ搬入される物品が、物品検知センサ12で検知されると(ステップn14)、領域2の処理が実行される。物品検知センサ12で物品が検知されたので、領域2では、先ず、零点計測時間Tzを計測するために、零点計測時間カウント用フラグF2を「1」にセットすると共に、物品が検知されたので、零点計測を短い時間間隔で更新する必要がなくなったとして、零点計測更新時間Tdを計測する更新時間計測用タイマーカウンタTCdを「0」にリセットする(ステップn15)。更に、物品が検知されたので、重複検知防止時間Tmを計測するために、重複検知防止時間カウント用フラグF3を「1」にセットする(ステップn16)。
領域1の初期状態で物品検知センサ12による物品の検知がないときには(ステップn14)、領域3の処理を実行する。この領域3は、運転スイッチをオンした後、或いは、零点計測を行った後、物品を継続して検知しない場合に、零点計測更新時間Td毎に零点計測を起動させるための処理である。運転スイッチがオンされると、運転スイッチのオンによって「1」にセットされた運転フラグFdを「0」にリセットし(ステップn24,n25)、物品検知センサ12で物品が検知されていない状態が継続しているとして、物品非検知フラグF4を「1」にセットする(ステップn27)。この物品非検知フラグF4は、運転スイッチがオフされると、「0」にリセットされる。次に、零点計測を短い一定の時間間隔で更新するために、更新時間計測用タイマーカウンタTCdによって、零点計測更新時間Tdをカウントする(ステップn28)。その後、初期状態において、物品検知センサ12が物品を検知しない状態が継続すると(ステップn12〜n14)、この領域3において、物品非検知フラグF4が「1」であることを判定し(ステップn26)、更新時間計測用タイマーカウンタTCdをカウントさせる(ステップn28)。
更新時間計測用タイマーカウンタTCdのカウント値が、零点計測更新時間Tdに達したときには(ステップn29)、更新時間計測用タイマーカウンタTCdをリセットし(ステップn30)、領域2のステップn23に移行して、零点重量値読取りフラグFzを「1」にセットし、零点計測を起動する。
これによって、初期状態において、物品が物品検知センサ12で検知されない状態が継続するときには、零点計測更新時間Tdが経過する度に、すなわち、数十msec〜1秒程度の短い時間間隔で零点計測を行うようにしている。
更新時間計測用タイマーカウンタTCdによる零点計測更新時間Tdの計測中であっても、領域1において、物品検知センサ12によって物品が検知されると(ステップn14)、上記のように領域2の処理へ移行し、零点計測時間カウント用フラグF2及び重複検知防止時間カウント用フラグF3を、「1」にセットすると共に、更新時間計測用タイマーカウンタTCdをリセットする(ステップn15,n16)。その後は、基本的に領域2のステップn17以降の処理、あるいは、ステップn20以降の処理が繰り返し実行される。
すなわち、この後の最優先の処理の繰り返しの実行では、領域1において、零点計測時間カウント用フラグF2=1であるか否かを判断し(ステップn12)、上記のように物品検知センサ12によって物品が既に検知されて零点計測時間カウント用フラグF2=1であるので、領域4のステップn31に移行し、重複検知防止時間カウント用フラグF3=1であるか否かを判断し、上記のように物品検知センサ12によって物品が既に検知されて重複検知防止時間カウント用フラグF3=1であるので、領域2のステップn17に移行し、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmによってカウントし、検知された物品が、物品検知センサ12の検知領域を通過するに十分な時間としての重複検知防止時間Tmを計測する。
そして、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmのカウント値が、重複検知防止時間Tmに達したか否かの判断処理(ステップn18)を経て、更に、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzによってカウントし(ステップn20)、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzのカウント値が、零点計測時間Tzに達したか否かを判断する(ステップn21)。
上記ステップn18で、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmが、重複検知防止時間Tmまでカウントすると、検知された物品が、物品検知センサ12の検知領域を通過したとして、重複検知防止時間カウント用フラグF3は、「0」にリセットされると共に、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmが「0」にリセットされる(ステップn19)。一旦、物品が物品検知センサ12に検知されて重複検知防止時間カウント用フラグF3が「1」にセットされると、領域1のステップn12、領域4のステップn31を経て領域2のステップn17に移行することによって、重複検知防止時間Tmが経過する間は、物品検知センサ12の出力を無視できるようにしている。
重複検知防止時間Tmが経過して重複検知防止時間カウント用フラグF3が「0」にリセットされた(ステップn19)後は、領域4のステップn31では、重複検知防止時間カウント用フラグF3が、「1」でないので、領域5の処理へ移行し、物品検知センサ12の出力に応じた処理を行う。
すなわち、領域5では、領域1における零点計測時間カウント用フラグF2=1の判定(ステップn12)と、領域4における重複検知防止時間カウント用フラグF3=0の判定(ステップ31)とを前提に、物品検知センサ12が物品を検知したか否かを判断し(ステップn32)、物品を検知していないときには、後続の物品が検知されていないとして、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzによる零点計測時間Tzの計測を継続するために、領域2のステップn20に移行する。
領域5のステップn32で、物品を検知したときには、後続の物品を検知したとして、領域6へ移行し、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzを「0」にリセットすると共に(ステップn33)、零点計測時間カウント用フラグF2を「0」にリセットし、初期状態へ戻す。
領域2の上記ステップn21で、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzがタイムアップ(TCz=Tz)すると、物品が物品検知センサ12で検知されてから、後続の物品が物品検知センサ12で検知されることなく、零点計測時間Tzが経過した、すなわち、計量コンベヤ7上に物品が存在していない無負荷状態であるとして、零点計測処理が起動され、零点計測時間カウント用フラグF2を「0」にリセットすると共に、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzをリセットし(ステップn22)、零点重量値読取りフラグFzを「1」にセットする(ステップn23)。重複検知防止時間Tmは、零点計測時間Tzよりも短いので、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzがタイムアップした時点では、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmは、既にタイムアップ(TCm=Tm)しており(ステップn18)、重複検知防止時間カウント用フラグF3及び重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmは、既にリセットされているので(ステップn19)、領域1の初期状態(F2=F3=TCz=TCm=0)に戻る。
次に、零点計測における零点重量値の算出処理について説明する。
零点重量値の算出は、図4,図5よりも優先度の低い処理において実行される。具体的には、図8に示すフローチャートに従って処理される。この図8は、上記図7に引き続く処理である。
図8に示すように、零点重量値読取りフラグFzが、「1」にセットされているか否かを判断し(ステップn107)、セットされているときには、零点重量値読取りフラグFzを「0」にリセットし(ステップn108)、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態であるので、制御部17において、フィルタの出力を読取った値Wadは零点重量値を表し、このWadによって上記(1)式に従って零点重量値Wnを算出し(ステップn109)、零点重量値Wnによって、Wn+WZ→WZとして零点調整を行い(ステップn110)、零点調整を行ったので、ランプ9を消灯し(ステップn111)、ステップn112に移る。ステップn112では、この零点調整が、零点計測間隔値NCxへの到達によるものか、あるいは、その途中での物品の途切れ等によるものかを、物品重量測定回数カウンタCxのカウント値と、零点計測間隔値NCxとを比較して判断する。
今回の零点調整が、零点計測間隔値NCxへの到達によるものであれば(Cx=NCx)、前回の零点調整を行ったときに測定し、記憶させていた零点重量値と、今回測定した零点重量値と、零点変動量の許容量と、前回から今回までの時間間隔である零点計測間隔値NCxとに基づいて、今回の時間間隔における零点変動速度に応じて、次にランプ9を点灯させる時間間隔を算出し、これまでの零点計測間隔値NCxを更新する(ステップn113)。そして物品重量測定回数カウンタCxを、「0」にリセットして終了する(ステップn114)。新たな零点調整によって求められた零点重量値Wn=Z(n+1)は、今まで記憶されていた零点重量値Z(n)に換わって、Z(n)として制御部17のレジスタに記憶される。
また、今回の零点調整が、零点計測間隔値NCxへの到達によるものでないときには、ステップn114に移り、零点計測の時間間隔を計測するための物品重量測定回数カウンタCxを「0」にリセットして終了する。このように、物品重量測定回数カウンタCxのカウント値が、零点計測間隔値NCxに到達するまでに物品が途切れ、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態が生じて、零点計測が行われたときには、物品重量測定回数カウンタCxは、「0」にリセットされるので(ステップn113)、零点計測間隔は、改めて計測し直されることになり、これが短期間に繰り返されれば、ランプ9を点灯するに至らないようにしている。
本実施形態では、或るタイミングで零点計測を行ってから、次にランプ9を点灯させることによって零点計測を行うまでの時間間隔を、上記のように物品重量の測定回数をカウントすることによって決定する。
上記の図7において、物品の重量が算出されると(ステップn103)、物品重量測定回数カウンタCxがインクリメントされる(ステップn104)。零点計測を行うことなく、物品の重量を測定し続けると、物品重量測定回数カウンタCxは漸増し、該カウンタCxのカウント値が零点計測間隔値NCxに到達すると(ステップn105)、ランプ9を点灯させる(ステップn106)。零点計測間隔値NCxは、以前の零点計測を行ったときに算出された間隔値であり、上記のように、図8のステップn113で更新される。
以上のように本実施形態によれば、ランプ9を点灯させて作業者に物品を除去すべき旨を報知し、作業者が物品を搬送ライン外へ除去することによって、搬送ラインによる物品の搬送速度を変更することなく、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態とすることができるので、搬送ラインを停止させたり、搬送速度を低下させたりすることなく、零点調整を必要とするタイミングに零点調整を行うことができる。このように零点調整を行うために、搬送ラインを停止させたり、搬送速度を低下させたりする必要がないので、物品を滞留させることなく、容易に零点調整を行うことが可能となる。
しかも、無負荷状態を生じさせて零点調整を行う時間間隔を、零点変動速度が大きい場合には、短くし、零点変動速度が小さい場合には、長くするので、零点調整を行う時間間隔が長過ぎて、零点変動量が大きくなって、物品の重量値の測定精度が低下したり、逆に、零点調整を行う時間間隔が短過ぎて、計量処理能力が低下するといったことがない。したがって、零点調整の実施タイミングが適切で、不必要に頻度が多過ぎたり、少な過ぎたりしない。また、物品を不必要に除去しないので、除去した物品を再計量するといった作業の増加も少なくて済む。
<実施形態2>
上記実施形態では、ランプ9を点灯させる時間間隔、すなわち、計量コンベヤ7を無負荷状態にして零点調整を行う時間間隔を、重量選別機4の零点変動速度に応じて可変したけれども、重量選別機4の運転開始時点など、入力部18を操作して予め設定した時点からの経過時間に応じて可変するようにしてもよい。
すなわち、重量選別機4の設置環境による零点変動量の特性に合わせて零点調整を行う時間間隔を制御するようにしてもよい。
重量選別機4の零点変動量は、電源をオンした直後は、荷重センサや測定回路のウオーミングアップ特性、周囲温度の変化などによって速く大きく変動し、やがて変動量は遅く小さくなる。
したがって、例えば、重量選別機4の始業時点、すなわち、重量選別機4の電源をオンした時点を設定し、この時点からの経過時間の大きさをカウントしてランプ9を点灯させる時間間隔を変更して零点調整を行う時間間隔を制御するようにしてもよい。
この実施形態では、運転開始からの経過時間に応じて、ランプ9を点灯させる時間間隔、すなわち、計量コンベヤ7を無負荷状態にして零点調整を行う時間間隔を可変するようにしている。
具体的には、運転開始後の経過時間である運転経過時間Tvの長さに応じて零点調整を行うために作業者に物品を除去すべき旨を報知するためにランプ9を点灯する間隔を変更するものであり、上記実施形態における零点計測間隔値NCxを変更するものである。
この実施形態では、運転経過時間Tvが、第1運転経過時間T1、この第1運転経過時間T1より長い第2運転経過時間T2に達したか否かに応じて、零点計測間隔値NCxを、第1零点調整実施間隔Ta、この第1零点調整実施間隔Taより長い第2零点調整実施間隔Tb、この第2零点調整実施間隔Tbより長い第3零点調整実施間隔Tcのいずれかとする。すなわち、
0≦Tv≦T1の場合 NCx=Ta
T1<Tv≦T2の場合 NCx=Tb
T2<Tvの場合 NCx=Tc
各運転経過時間T1,T2及び各零点調整実施間隔Ta,Tb,Tcは、制御装置11の入力部18を操作して設定することができる。
図9は、運転開始時点からの経過時間Tvを計測して零点計測間隔値NCxを変更する処理を示すフローチャートであり、上記実施形態の図5にフローチャートに引き続く処理、具体的には、図5のステップn23,n34,n21,n26,n29に引き続く処理である。
先ず、ステップn35では、運転スイッチがオンされているか否かを判断し、運転スイッチがオンされているときには、零点計測間隔値NCxとして、最も長い第3零点調整実施間隔Tcが設定されていることを示す最長実施間隔設定フラグFkが、「1」にセットされているか否かを判断し(ステップn36)、「1」にセットされているときには、終了する。ステップn36で、最長実施間隔設定フラグFkが「1」にセットされていないときには、運転開始時点からの運転経過時間Tvを計測する運転経過時間カウンタCtをインクリメントし(ステップn37)、運転経過時間カウンタCtによる運転経過時間が第1運転経過時間T1以下であるか否かを判断し(ステップn38)、第1運転経過時間T1以下であるときには、終了する。
ステップn38で、運転経過時間カウンタCtによる運転経過時間が第1運転経過時間T1以下でないときには、運転経過時間カウンタCtによる運転経過時間が第2運転経過時間T2以下であるか否かを判断し(ステップn39)、第2運転経過時間T2以下であるときには、運転開始からの運転経過時間Tvが、第1運転経過時間T1より長く第2運転経過時間T2以下であるので、零点計測間隔値NCxを、第2零点調整実施間隔Tbに設定して終了する(ステップn40)。
ステップn39で、運転経過時間カウンタCtによる運転経過時間が第2運転経過時間T2以下でないときには、運転開始からの運転経過時間Tvが、第2運転経過時間T2より長いので、零点計測間隔値NCxを、最も長い第3零点調整実施間隔Tcに設定し(ステップn41)、最長実施間隔設定フラグFkを「1」にセットして終了する(ステップn42)。
ステップn35において、運転スイッチがオンしていない、すなわち、運転が終了すると、運転経過時間カウンタCt及び最長実施間隔設定フラグFkを「0」にリセットし(ステップn43,44)、零点計測間隔値NCxを、最も短い第1零点調整実施間隔期間Taに設定して終了する(ステップn45)。
これによって、運転開始からの運転経過時間Tvが、第1運転経過時間T1に達するまでは、零点計測間隔値NCxを最も短い第1零点調整実施間隔Taとし、第1運転経過時間T1を経過して第2運転経過時間T2に達するまでは、零点計測間隔値NCxを第2零点調整実施間隔Tbとし、第2運転経過時間T2を経過すると、零点計測間隔値NCxを最も長い第3零点調整実施間隔Tcとする。
この実施形態では、物品の重量値の算出処理は、上記実施形態の図7と同様であり、また、零点調整の処理は、図8と基本的に同様であるが、零点変動速度を算出する必要がなく、ステップn112,n113は不要である。
以上のようにして、本実施形態では、運転開始時点からの経過時間を計測して零点計測間隔値NCxを変更し、ランプ9を点灯させる時間間隔を可変し、作業者が物品を除去して零点調整を実施させる時間間隔を可変することができる。これによって、重量選別機4の設置環境等に応じた時間間隔で零点調整を行うことが可能となる。
また、零点調整を実施させる時間間隔が、所定の一定時間間隔であってもよい。一定時間毎にランプ9を点灯させれば、作業者は零点調整操作、つまり、計量コンベヤ7の前段での物品除去を忘れずに実施できる。この一定時間は、入力部18を操作して予め設定する。
<実施形態3>
上記実施形態では、ランプ9を点灯させる時間間隔、すなわち、計量コンベヤ7を無負荷状態にして零点調整を行う時間間隔を、重量選別機4の零点変動速度、あるいは、運転開始からの経過時間に応じて可変したけれども、本発明の他の実施形態として、計量コンベヤ7によって測定される物品の重量値に基づいて、ランプ9の点灯の要否を制御してもよい。
すなわち、この実施形態では、測定される物品の重量値の変動量に基づいて、ランプ9を点灯させるか否かを制御するものである。物品の重量値が変動する要因は、商品生産装置3側にある場合と、重量選別機4側にある場合とがあるが、少なくとも重量選別機4の零点が大きく変動している可能性があるので、物品の重量値が変動する場合に、零点調整を行うものである。
個別の物品の重量測定値には、商品生産装置3側、或いは、重量選別機4側の要因による大きいばらつき量が含まれるので、ばらつきながらも全体としての傾向的な重量測定値の変動を示す統計的な評価値、例えば、重量測定値の平均値(平均重量値)、平均重量値の、物品の目標重量値に対する偏差(平均偏差)、あるいは、前記偏差の積算値などを演算し、物品の重量測定値の傾向的な変動を表す情報の大きさに基づいて、ランプ9を点灯させるか否か、すなわち、零点調整を行うか否かを制御するものである。
この場合、物品搬送システムが、フィードバックを有する第1のシステムであるか、あるいは、フィードバックを有しない第2のシステムであるかによって、ランプ9を点灯させるか否かの判定処理が異なる。
第1のシステムでは、重量選別機4で測定される物品の重量値が、商品生産装置3へフィードバックされ、商品生産装置3は、フィードハックされる物品の重量値の、物品の目標重量値に対する偏差をなくすように、生産する物品の重量を自動的に修正するフィードバックを有するシステムである。
具体的には、重量選別機4では、測定した物品の平均重量値、あるいは、前記平均重量値の、物品の目標重量値に対する偏差(平均偏差)を商品生産装置3の充填装置1へフィードバックする。充填装置1では、物品の平均重量値がフィードバックされるときには、その平均重量値から目標重量値に対する偏差(平均偏差)を算出し、算出した前記偏差(平均偏差)、あるいは、フィードバックされる偏差(平均偏差)を打ち消すように、充填量を自動的に修正する。
偏差を自動的に修正する第1のシステムでは、前記平均偏差の値であれば、個別の物品の重量測定値に含まれるばらつき量は縮小され、全体としての重量測定値の傾向的な変動を表している。
以下、第1,第2の各システムに適用してそれぞれ説明する。
(1)第1のシステムにおいて
先ず、フィードバックを有する第1のシステムに適用して説明する。
この第1のシステムでは、上記のように、重量選別機4によって測定される物品の平均重量値が変動すると、物品の搬送方向の上流側の商品生産装置3によって生産される物品の重量値が変動したとして、平均重量値を求める度に平均重量値、又は、平均重量値の目標重量値からの偏差(平均偏差)を商品生産装置3にフィードバックし、商品生産装置3では、平均偏差をなくすように物品の生産重量を自動調整する。
重量選別機4の零点が変動した場合にも物品の平均重量値が、物品の目標重量値から変動するので、フィードバック機能の作動によって逐次、商品生産装置3が零点変動量の分だけ物品の重量を増減させて調節することになる。
しかも、制御は、平均重量値が目標重量値から大きく離れないようにするため小さい偏差であっても逐次制御する。
したがって、見掛けの上で、物品の重量測定値が目標重量値通りの物品を生産しているように見えても、物品の実重量は、目標重量値とは異なる。
このように物品の平均重量値の変動量を用いると、偏差がなくなるように逐次制御されるために、重量選別機4の零点変動を検出しにくい。
そこで、フィートバックを有する第1のシステムの場合には、零点調整を行った以降に、重量選別機4で測定した平均重量値の、物品の目標重量値に対する偏差(平均偏差)の積算値(累積値)の大きさによって、ランプ9を点灯させるか否か、すなわち、零点調整を行うか否かを決定する。前記偏差の積算値も重量測定値の変動、すなわち、重量測定値の目標重量値からどの程度離れているかの度合の大きさの傾向を表す。
この実施形態では、零点調整を行った時点において、重量選別機4で測定した物品の平均重量値の、物品の目標重量値に対する偏差(平均偏差)の積算値をリセットし、零点調整を行った時点以降に求まる正負の前記偏差(平均偏差)の値を積算し、積算値(累積値)Wetの絶対値を、予め定めた許容値Wfと比較し、積算値Wetの絶対値が、許容値Wfを超えれば、零点調整を行う必要があるとしてランプ9を点灯させるものである。
前記偏差(平均偏差)の積算値は、商品生産装置3側の要因による物品の重量変動によっても異なる。したがって、偏差の積算値の異常な増加は、商品生産装置3側の異常によっても生じるが、少なくとも重量選別機4における零点が大きく変動している可能性が大きい確率で存在していると言えるので、偏差の積算値Wetの絶対値が、許容値Wfを超えれば、零点調整を行うためにランプ9を点灯させる。
なお、商品生産装置3側で物品の重量値を異常に増大させる故障と、重量選別機4側で、零点重量値を異常に減少させる故障が同時に生じれば、又は、その反対の現象が同時に生じれば、偏差(平均偏差)の積算値の変動は小さいままであるが、このような故障の同時発生の確率はきわめて小さいとする。
次に、前記偏差(平均偏差)の積算値Wetと比較する許容値Wfの定め方について説明する。
許容値の定め方としては、正常な状態の商品生産装置3が生産する物品の重量のばらつき量と、重量選別機4における重量測定上の測定ばらつき量とに基づいて定めるのが好ましい。
この許容値を定める基準としては、例えば、商品生産装置3が、この実施形態のような体積充填装置であれば、毎回一定の充填量を設定していても充填量にばらつきが生じ、物品重量である充填重量にばらつきが生じる。
物品重量の生産上でのばらつき量を、標準偏差値ws1で表すとする。この標準偏差値ws1は、予め商品生産装置3側で、調整運転時において稼働運転時と同じ条件で物品と同じサンプル品を生産し、求めておく。
また、重量選別機4は、計量条件や物品の性状による測定上のばらつき量が存在する。物品重量の測定上のばらつき量を標準偏差値ws2で表すとする。この標準偏差値ws2は、予め重量選別機4側で、調整運転時において稼働運転時と同じ条件でサンプル品を計量し、求めておく。
双方のばらつき量は、互いに独立しているので、重量選別機4にて重量測定された物品の重量の総合ばらつき量の標準偏差WSは、
WS=(ws12+ws22)1/2
で求められる。
平均偏差に対する許容値であるから、
M個の平均重量値の標準偏差のkシグマ値は、k・[WS/(M)1/2]であるので、例えば、k=2として2・[WS/(M)1/2]を通常変動量に対する許容値とすると、物品が1個重量測定される度に、生成される最新のM個の物品の重量測定値の平均値の、目標重量値に対する偏差の絶対値が、許容値である2・[WS/(M)1/2]を超えると、零点調整を行う必要があるとして、ランプ9を点灯させる。
最新のM個の物品の重量の測定値を求めるには、上記制御部17の演算回路に、1個の物品の重量の測定値を記憶するセルメモリをM個直列に接続したシフトレジスタを設け、常に最新のM個の物品重量の測定値を記憶させるようにすればよい。
(2)第2のシステムにおいて
次に、第2のシステムに適用して説明する。
第2のシステムでは、フィードバックによる修正がなされないので、作業者が何らかの修正操作をしない限りは、商品生産装置3側の要因や重量選別機4側の要因によって上記の偏差(平均偏差)は変動する。
したがって、零点調整を行った時点以降の偏差(平均偏差)の絶対値を、予め定めた許容値と比較し、許容値を超えれば、商品生産装置3側に異常な変動が生じた可能性もあるが、零点調整を行った時点以降に大きい零点変動が生じた可能性が高い確率で存在しているとして零点調整を行うために、ランプ9を点灯させる。
この場合の許容値は、上記第1のシステムの場合の許容値Wfと同じ値としてもよい。
次に、フィードバックを有する上記第1のシステムに適用した実施形態について、更に説明する。
この実施形態は、零点調整を行った時点以降に累積されるフィードバック修正量の大きさを判定して、零点調整を行う時点を決定するものである。
具体的には、最新のM個の物品の重量測定値(正味重量値)の平均値と物品の目標重量値Woとの偏差(平均偏差)weaを、商品生産装置3へフィードバックして生産される物品の重量値を修正するものである。
上記図4、図5の処理は、上記実施形態と同様である。
図10は、この実施形態の上記図7に対応するフローチャートである。
図10に示すように、物品重量値読取りフラグFiが、「1」にセットされているか否か判断し(ステップn101)、セットされていないときには、図11のステップn112に移り、セットされているときには、物品重量値読取りフラグFiを「0」にリセットし(ステップn102)、制御部17のフィルタの出力値Wadを読取り、上記(1)式に従って物品の重量値Wnを算出し、更に、風袋である容器及び包装材の重量を差し引いて正味の物品の重量値Wxを算出し(ステップn103)、取得した物品の重量値Wxを、M個のセルを有するシフトレジスタにおいて、これまでに格納した物品重量値を右シフトさせ、空いた左端のセルに格納し(ステップn104)、ステップn105に移る。
ステップn105では、シフトレジスタにM個の物品の重量値Wxが格納されているか否かを判断し、格納されていないときには、図11のステップn112に移り、格納されているときには、M個の物品の重量値Wxの平均値Wxaを算出し(ステップn106)、物品の正味の目標重量値Woとの偏差である平均偏差Wea(=Wxa−Wo)を算出し(ステップn107)、ステップn108に移る。
ステップn108では、平均偏差Weaをその極性と共に、商品生産装置3の充填装置1へフィードバックし、平均偏差Weaを積算して累積平均偏差Wetを算出し(ステップn109)、ステップn110に移る。なお、商品生産装置3の充填装置1では、フィードバックされた平均偏差Weaをなくすように、充填量を修正する。
ステップn110では、累積平均偏差の絶対値|Wet|が、許容値Wfより大きいか否かを判断し、大きくないときには、図11のステップn112に移り、累積平均偏差の絶対値|Wet|が、許容値Wfより大きいときには、零点調整を行うために、物品を除去する必要があるとして、ランプ9を点灯して図11のステップn112に移る(ステップn111)。
図11は、上記実施形態の図8に対応するフローチャートである。
図11のステップn112では、零点重量値読取りフラグFzが、「1」にセットされているか否かを判断し、セットされていないときには終了し、セットされているときには、零点重量値読取りフラグFzを「0」にリセットし(ステップn113)、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態であるので、制御部17では、フィルタの出力を読取った値Wadによって上記(1)式に従って零点重量値Wnを算出し(ステップn114)、零点重量値Wnによって、Wn+WZ→WZとして零点調整を行い(ステップn115)、ランプ9を消灯し(ステップn116)、ステップn117へ移る。ステップn117では、累積平均偏差Wetを、「0」にリセットして終了する。
次に、フィードバックを有しない上記第2のシステムに適用した実施形態について、更に説明する。
この実施形態は、零点調整を行った時点以降の平均偏差の大きさを判定して、零点調整を行う時点を決定するものである。
具体的には、最新のM個の物品の重量測定値(正味重量値)の平均値と物品の目標重量値Woとの偏差(平均偏差)weaに基づいて、零点調整を行う時点を決定するものである。
図12及び図13は、第2のシステムの場合の上記図10及び図11に対応するフローチャートである。
図12に示すように、物品重量値読取りフラグFiが、「1」にセットされているか否か判断し(ステップn101)、セットされていないときには、図13のステップn112に移り、セットされているときには、物品重量値読取りフラグFiを「0」にリセットし(ステップn102)、制御部17のフィルタの出力値Wadを読取り、上記(1)式に従って物品の重量値Wnを算出し、更に、風袋である容器及び包装材の重量を差し引いて正味の物品の重量値Wxを算出し(ステップn103)、取得した物品の重量値Wxを、M個のセルを有するシフトレジスタにおいて、これまでに格納した物品重量値を右シフトさせ、空いた左端のセルに格納し(ステップn104)、ステップn105に移る。
ステップn105では、シフトレジスタにM個の物品の重量値Wxが格納されているか否かを判断し、格納されていないときには、図13のステップn112に移り、格納されているときには、最新のM個の物品の重量値Wxの平均値Wxaを算出し(ステップn106)、物品の正味の目標重量値Woとの偏差である平均偏差wea(=Wxa−Wo)を算出し(ステップn107)、ステップn110に移る。
ステップn110では、平均偏差weaの絶対値|wea|が、許容値Wfより大きいか否かを判断し、大きくないときには、図13のステップn112に移り、平均偏差weaの絶対値|wea|が、許容値Wfより大きいときには、零点調整を行うために、物品を除去する必要があるとして、ランプ9を点灯して図13のステップn112に移る(ステップn111)。つまり、平均偏差weaの絶対値|wea|が、許容値Wfより大きくなるということは、零点重量値が、正負いずれかの方向に大きくシフトしている可能性が高いことを意味するので、ランプ9を点灯して報知させるのである。それによって、作業者が、物品を搬送ライン外へ除去し、零点調整が行われ、その結果、ランプ9が消灯すればそれでよいし、零点調整の実施後に一旦消灯したランプ9が比較的早く点灯すれば、他の不具合、例えば上流の充填装置1の不具合によって、原料が多い目、或いは、少な目に充填されるという現象があることを認知できる。
図13のステップn112では、零点重量値読取りフラグFzが、「1」にセットされているか否かを判断し、セットされていないときには終了し、セットされているときには、零点重量値読取りフラグFzを「0」にリセットし(ステップn113)、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態であるので、制御部17では、フィルタの出力を読取った値Wadによって上記(1)式に従って零点重量値Wnを算出し(ステップn114)、零点重量値Wnによって、Wn+WZ→WZとして零点調整を行い(ステップn115)、ランプ9を消灯し(ステップn116)、ステップn117へ移る。ステップn117では、平均偏差weaを、「0」にリセットして終了する。
なお、物品の重量測定値の傾向的な変動を表す評価値、すなわち、累積平均偏差や平均偏差などに基づいて、零点調整を行うか否かを決定する上記第1,第2のシステムを、運転開始時点などからの経過時間に応じて零点調整を行う時間間隔を可変する上記実施形態2と組合せてもよい。すなわち、運転開始からの経過時間に応じて零点調整を行う時間間隔を可変しつつ、物品の重量測定値の傾向的な変動が生じたときにも零点調整を行うようにしてもよい。
上記の第2のシステムでは、零点調整を行うか否かを決定する方法として、零点調整を行った時点以降の偏差(平均偏差)の絶対値を、予め定めた許容値と比較する方法以外に次のようにして決定してもよい。
すなわち、個別の物品の重量測定値の変動量の傾向を判定するものである。具体的には、例えば、物品の過量、適量、軽量という重量選別のための境界値とは別に、商品生産装置3におけるばらつき量と、重量選別機4単独での重量測定値のばらつき量を含めて、重量選別機4の物品重量測定値における総合ばらつき量を考慮し、商品生産装置3の物品重量値の変動量と重量選別機4の零点変動量のいずれか、または双方の増減方向の変動量を異常と判定する境界値(又は正常と判定する許容値)を表す上限重量値と下限重量値とを設定する。
この場合も零点調整を行った時点以降の物品の重量測定値に対して実施する。
上限重量値を超える重量の物品(過大重量品)、又は、下限重量値未満の重量の物品(過小重量品)が、予め定めたNa個連続した場合、あるいは、断続的であっても、予め設定した最新の所定の物品重量の個数Nmの測定期間において、前記過大重量品、又は、前記過小重量品が、予め設定した確率よりも高い確率Raで現れた場合には、物品の重量が、重量選別機4の零点の偏りによって、又は、商品生産装置3の不具合による生産重量の偏りによって変動したとするものである。
但し、生産重量値の変動量にしても零点重量値の変動量にしても正負何れかの方向への偏り状況を評価するので、上限重量値を超える重量の物品(過大重量品)に関する集計・判定と、下限重量値未満の重量の物品(過小重量品)に関する集計・判定とは、分離して別途に演算し、判定する。
上記Na個が連続したり、確率Raより高い確率で現れたりする場合には、生産重量値または零点重量値に、傾向的に、定常的に正(プラス)方向または負(マイナス)方向に大きい変動が生じている可能性があるとみなせるので、零点調整を行うためにランプ9を点灯させる。
上限重量値、下限重量値、及び、目標重量値あるいは物品の基準重量値は、
上限重量値>目標重量値(または基準重量値)>下限重量値
の関係に設定されるが、直接、これらを設定するのでなく、生産目標重量値を設定すると共に、上限重量値は、目標重量値(または基準重量値)に対する上限偏差重量値、下限重量値は、該目標重量値(または基準重量値)に対する下限偏差重量値を設定するようにしてもよい。
最新のNm個分の重量測定値についての、重量測定値が上限重量値を超えるか、下限重量値未満であるか、上限重量値以下で下限重量値以上であるかの判定結果を識別記号で記憶させるシフトレジスタを上記制御部17の演算回路に設け、1つの判定結果を得る度にレジスタに記憶された判定結果を対象に連続個数Na、または、確率Raを評価すればよい。
例えば、それぞれの判定結果をA、B、C、すなわち、重量測定値が上限重量値を超える場合をA(過大重量品)、重量測定値が上限重量値以下で下限重量値以上である場合をB(適量品)、重量測定値が下限重量値未満である場合をC(過小重量品)とし、例えば、最新の6個の判定結果でもって零点調整を行うためにランプ9を点灯させるとする。
連続個数Naに関して、許容連続個数=3なら大きい零点変動の可能性ありとする場合、シフトレジスタの内容に過大重量品であるA、A、A、または、過小重量品であるC、C、Cの3個が連続すると、零点調整を行うために、ランプ9を点灯させる。
また確率による判定に関して、許容値を4/6=2/3とすると、シフトレジスタの内容が、A、B、A、B、A、A、やC、B、C、C、B、Cのように6個中4個以上に過大重量品A、または、過小重量品Cが存在すると、零点調整を行うために、ランプ9を点灯させる。
要するに、零点変動量が小さい値でも零点調整を行いたいが、個別の物品の重量測定値にはばらつきがあって、小さい許容値を設定すると、誤って度々零点調整を行ってしまうところ、平均値を求めたり、零点重量値の正負傾向へのシフトが推定できる統計・確率上の評価値を扱うようにして傾向的な零点変動の大きさを判定できるようにする。
更に傾向的な変動を検出するために、物品重量の最新のP個の平均値に対して、上下限の重量値を設定し、個別の物品重量値に対する場合と同じ判定基準を設けて判定結果を生成させ、零点調整を行うために、ランプ9を点灯させるようにしてもよい。