以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[物品搬送システムの概略構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置としての重量選別機を備える物品搬送システムの概略構成図である。
この実施形態の物品搬送システムは、容量式の充填装置1と包装装置2とを有する商品生産装置3を備えている。この商品生産装置3から搬出される商品としての物品Gは、搬送ラインの搬送方向(図の右方向)の下流側に設置されている重量選別機4によって物品G毎に重量が測定され、図示しない振分け装置によって、良品、不良品に選別される。商品生産装置3では、図示しない容器供給装置から供給される容器に対して、充填装置1によって原料が所定体積分だけ充填され、原料が充填された容器が、次段の包装装置2によって商品の形態に包装されて物品Gとして順次搬出される。搬出された物品Gは、搬送コンベヤ5によって、間隔をあけて順次搬送される。商品生産装置3は、充填装置1に代えて、所定重量範囲の物品を組合せ計量して排出する組合せ秤などであってもよい。
重量選別機4は、物品Gの搬送ラインを構成する搬送コンベヤ5からの物品Gを、計量コンベヤ7へ送込む送込みコンベヤ6と、ロードセル等からなる荷重センサ10に支持された前記計量コンベヤ7と、計量コンベヤ7からの物品Gを、図示しない振分け装置へ搬出する送出しコンベヤ8と、計量コンベヤ7に搬入される物品を検知する物品検知センサ12と、荷重センサ10からの荷重信号及び物品検知センサ12からの検知出力に基づいて、後述のようにして物品Gの重量値や零点重量値を測定する共に、各部を制御する制御装置11とを備えている。
物品検知センサ12は、例えばフォトセンサからなり、送込みコンベヤ6と計量コンベヤ7との間に設置されて、計量コンベヤ7に搬入される直前の物品Gを検知する。
制御装置11では、計量コンベヤ7によって搬送される物品Gの重量を測定して、前記振分け装置を制御することにより、重量が所定範囲内の適量品と、所定範囲未満の軽量品と、所定範囲を超える過量品とに振分け選別する。この制御装置11は、CPU、制御プログラム及び重量値等のデータが記憶されるメモリ、及び、入出力回路等を備え、後述の演算部としての機能を有すると共に、各部を制御する制御部としての機能を有する。
重量選別機4において、物品Gの重量を測定するためには、測定対象となる物品Gのみが、計量コンベヤ7上に存在し、荷重センサ10からの荷重信号が安定する或る程度の期間を確保する必要がある。
また、重量選別機4において、高精度に物品の重量を測定するためには、周囲の温度や湿度の変化、あるいは、計量コンベヤ7への過大な荷重の印加や付着物などに起因する零点変動を、零点調整を行って補正する必要がある。零点調整を行うためには、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態の重量値である零点重量を測定する必要があり、物品Gが計量コンベヤ7上に存在しない無負荷状態を、或る程度の期間確保する必要がある。
この実施形態では、必要に応じて、作業者が、重量選別機4の上流側の搬送ラインから物品Gの除去を行って、重量選別機4が、搬送ラインを搬送される物品Gを、物品G毎に計量コンベヤ7にて計量している計量運転中において、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態を検知して自動的に零点調整を行えるようにする。作業者が、搬送ラインからの物品Gの除去を行う必要があるか否か、何個の物品を除去すればよいかといった判断を容易にして、作業者を支援するための情報として、現在の物品Gの搬送状態における零点調整の実施の状況に関する零点調整情報を、制御装置11の表示部に表示して報知するようにしている。
この零点調整情報には、稼働運転を開始してから現在までの計量運転中に零点調整が行われたか否か、零点調整が行われたときには、何時行われたか、その零点調整の精確さの度合いはどの程度であったか、また、現在の物品Gの搬送状態であれば、精度の高い完全な零点調整を行うためには、物品Gを何個連続して搬送ラインから除去する必要があるかといった情報を含んでいる。
この実施形態では、重量選別機4に備えられている自動零点調整機能、すなわち、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態を検知して自動的に零点調整を行う機能を作動させるための時間間隔として、図2(a)に示すように、物品長さの規定された或る品種の物品Gが、物品検知センサ12で検知された時点から計量コンベヤ7を離脱した後、短い時間が経過した時点、すなわち、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷の状態が短い一定時間継続した時点までの時間Tcを設定する。
この設定期間Tc以上の期間に亘って、後続の物品Gが、物品検知センサ12で検知されず、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態が一定時間以上継続すると、その継続時間に応じた時点、すなわち、後続の物品Gが物品検知センサ12で検知された時点で零点調整を自動的に行う。この零点調整が行われる時点では、後続の物品Gは、未だ計量コンベヤ7に搬入されておらず、無負荷状態である。
上記設定時間Tcが経過した時点は、物品Gが計量コンベヤ7を離脱した後、短い一定時間が経過した時点であり、この時点で零点調整を行うと、荷重信号には、計量コンベヤ7からの物品の離脱による過渡応答振動による影響が残っており、精度の高い完全な零点調整を行うことはできない。
また、物品の滑走などによって搬送ラインにおける搬送間隔が変わったり、原料の密度変化に追従させるため商品生産装置3の原料充填時間を長短に調節することにより、先行の物品と後続の物品との時間間隔が、上記設定期間Tcより短くなったり、長くなったりする場合がある。
この実施形態では、図2(b)に示すように、物品検知センサ12による先行の物品G0と後続の物品G1の検知タイミングに基づいて、制御装置11では、両方の物品G0,G1の搬送間隔である時間間隔Txを測定する。この時間間隔Txが、上記設定期間Tc以上のときに、無負荷状態であるとして零点調整を実施するものである。
この時間間隔Txが短くなると、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態の継続時間も短くなり、計量コンベヤ7からの物品の離脱による過渡応答振動のために、零点調整の精度は低くなり、逆に、この時間間隔Txが長くなると、計量コンベヤ7上に物品Gが存在しない無負荷状態の継続時間も長くなり、計量コンベヤ7からの物品の離脱による過渡応答振動が減衰し、零点調整の精度は高くなる。
そこで、測定した時間間隔Txに応じて、そのときに実施できる零点調整の精確さの度合い、すなわち、零点調整度合を、零点修正率Rとして規定する。
この実施形態では、上記設定期間Tc、及び、先行の物品と後続の物品との時間間隔Txに基づいて、後述の零点調整ルールに従って零点修正率Rを規定する。
そして、零点調整を行う際にも、従来のように、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態の重量値、すなわち、零点重量の測定値を、そのまま用いて零点調整を行うのではなく、前記時間間隔Txに応じた前記零点修正率Rによって、零点重量測定値を修正し、修正した零点重量測定値を、零点調整量として零点調整を行うようにしている。
また、前記時間間隔Txに応じて、精確な零点調整を行うために、作業者が、搬送ラインから除去すべき物品の個数を、後述の物品除去個数表示ルールに従って算出し、制御装置11の表示部に表示する。
この実施形態では、精度の高い完全な零点調整を行うための、先行する物品と後続の物品との時間間隔Txとして、上記設定時間Tcの3倍の時間3・Tcを規定し、先行する物品と後続の物品との時間間隔Txが、前記3倍の時間3・Tc以上のときには、精度の高い完全な零点調整が行えるとし、このときの零点修正率Rを、R=1.0としている。
[重量選別機4の構成]
図3は、重量選別機4の制御装置11における演算部のブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
荷重センサ10からのアナログ荷重信号は、増幅器15によって増幅されると共に、高い周波数成分が除去され、A/D変換器16によってデジタル荷重信号に変換される。
演算部9は、A/D変換器16からのデジタル荷重信号に含まれる振動ノイズ等を減衰させるためのフィルタ処理を行う複数の第1〜第4フィルタFC0,FC1,FC2´,FC3´と、物品重量値及び零点重量値等の算出処理を行うと共に、算出した物品の重量値や零点調整情報を作成して表示部19に表示する重量値処理部13を備えている。
重量値処理部13には、各フィルタFC0,FC1,FC2´,FC3´の出力が与えられると共に、物品検知センサ12の検知出力及び操作設定部18からの操作信号が与えられる。
重量値処理部13は、上記フィルタ処理に加えて、フィルタ処理したデジタル荷重信号に基づいて、計量コンベヤ7上に物品がない無負荷状態のときには、零点重量値を算出して零点調整を行い、計量コンベヤ7上に物品が在るときには、物品の重量値を算出するなどの各種の演算処理を行うものであり、零点調整を行う零点調整部としての機能を有する。
また、重量値処理部13には、物品検知センサ12の検知出力が与えられ、作業者を支援するための零点調整情報を算出し、算出した零点調整情報を数値情報として表示部19に表示する。この重量値処理部13は、物品検知センサ12の出力に基づいて、計量コンベヤ7上に物品がない無負荷状態を検知する無負荷状態検知部、及び、零点調整情報を算出する零点調整情報算出部としての機能を有すると共に、計量コンベヤ7に搬入される物品の搬送間隔を測定する搬送間隔測定部としての機能を有する。また、重量値処理部13は、表示部19と共に、零点調整情報を後述のように数値情報として報知する零点調整情報報知部としての機能を有する。
第1フィルタFC0は、物品の重量測定用のフィルタである。
第2〜第4フィルタFC1,FC2´,FC3´は、先行の物品と後続の物品の時間間隔Txが、種々の値を取る場合に対応する零点重量測定用のフィルタである。
第2フィルタFC1及び第3フィルタFC2’が従属接続されて、フィルタFC2が構成され、第1フィルタFC1、第2フィルタFC2’及び第3フィルタFC3’が従属接続されて、フィルタFC3が構成されている。
第2〜第4の各フィルタFC1、FC2、FC3は、デジタル荷重信号の入力がステップ入力であれば、それぞれ、設定時間Tc以内、2倍の設定時間2・Tc以内、3倍の設定時間3・Tc以内に100%近傍まで応答するようなフィルタ形式、フィルタ定数が設定される。
そして、稼動運転中に先行の物品と後続の物品との時間間隔Txに応じて、下記の零点調整ルールに従って、いずれかのフィルタFC1、FC2、FC3の出力を選択して零点重量値を取得する。つまり、零点重量値を測定する。
[零点重量値及び零点調整]
ここで、零点重量値と零点調整について説明する。
上記A/D変換器16の出力を、フィルタ処理したデジタル荷重信号をWadとする。
計量コンベヤ7が無負荷の時のデジタル荷重信号Wadの値を初期荷重Wiとする。
既知の重量Mの物品を、停止状態の計量コンベヤ7上に載置し、デジタル重量表示値がMになるようにスパン係数Kが定められる。Wzを累積零点変動量とすると、
計量コンベヤ7上の物品の重量測定値Wnは、
Wn=K・(Wad−Wi)−Wz ・・・(1)
と表される。
計量コンベヤ7上に物品が存在しているときのデジタル荷重信号Wadに基づいて得られる重量測定値Wnが、物品の重量値である。
計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態のときのデジタル荷重信号Wadに基づいて得られる重量測定値Wnが、零点重量値である。
零点調整とは、
Wn+Wz→Wz
と演算する動作、すなわち、新たに測定された零点重量値Wnに、それまでの累積零点変動量Wzを加算して、新たな累積零点変動量Wzとする動作である。
例えば、計量コンベヤ7上が無負荷状態の場合であっても、Wn≠0であって、例えば、Wn=wdであるときに、零点調整を行うことによって、Wn+Wz=wd+Wz→Wzと演算されると、累積零点変動量Wzが今までよりwdだけ増加し、上記(1)式より、重量測定値Wn=0に調整され、その後の物品の重量値は、零点調整後のWzを累積零点変動量として上記(1)式によって算出される。
安定な零点重量値が求まるのであれば、上記の通常の零点調整を行えばよい。しかし、上記のように先行の物品と後続の物品との時間間隔Txが、種々変化して無負荷状態の時間が変化する場合には、信頼性の低い零点重量値が求まる場合がある。つまり、無負荷状態の継続時間が短いほど、荷重信号に先行の物品の離脱時の過渡現象による振動信号の影響が強く残り、求まる零点重量値の信頼性は低くなる。
そこで、この実施形態では、後述の零点調整ルールに従って、信頼性の程度に応じた上記の零点修正率Rを、測定した零点重量値Wnに乗算し、R・Wnを零点調整量として、それまでの累積零点変動量Wzに加算し、この値を累積零点変動量Wzに置き換える。
これによって、信頼性の低い零点重量値を用いることによる過度な零点調整を防止している。
なお、A/D変換器16のデジタル分解能レベルは高く、したがって、A/D変換器16の出力信号をフィルタ処理したデジタル荷重信号も、実際に表示させる重量値よりも分解能が高いので、重量測定値Wnは、実際の表示重量値より分解能が高い。零点調整量を表示させるときは、実際に使用される最小表示量を考慮した上で、表示重量値に換算してもよいし、内部分解能のレベルのままで表示させるようにしてもよい。
<零点調整ルール>
この実施形態では、上記のように、連続的に物品が計量コンベヤ7上に送り込まれて計量される計量運転中に、先行の物品と後続の物品との時間間隔Txを測定し、その時間間隔Tx及び設定時間Tcに基づいて、下記の零点調整ルール(1)〜(6)に従って、零点調整を行うようにしている。
先行の物品と後続の物品との時間間隔Txが、上記の設定時間Tc以上であるとき、すなわち、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態が、一定時間以上継続したときには、その無負荷状態の継続時間の長短に応じて、実施する零点調整の精確さを示す零点調整度合である零点修正率Rの値を規定する。
計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態の継続時間が短いとき、すなわち、計量コンベヤ7から先行の物品が離脱した時点からの経過時間が短い場合には、零点調整を行っても、そのとき得られる零点重量値は信頼性が乏しいので、信頼性に応じた比率でしか零点調整できない。
無負荷状態の継続時間が長い程、すなわち、計量コンベヤ7から先行の物品が離脱した時点からの経過時間が長い程、前記離脱による過渡応答振動信号の影響を受けにくく、安定な零点重量値が取得できるので、より精確な零点調整を実施できる。そこで、無負荷状態の継続時間が長い程、零点修正率Rを大きな値とする。
この実施形態では、先行の物品と後続の物品との時間間隔Txが、設定時間Tcの3倍の時間3・Tcとなったときには、精度の高い完全な零点調整が実施できるとして、上記のように零点修正率Rを、最大値とする(R=1.0)。
また、先行の物品と後続の物品との時間間隔Tx、すなわち、無負荷状態の継続時間に応じて、対応する上記フィルタFC1,FC2,FC3のいずれかのフィルタの出力を選択して零点調整を実施する。
具体的には、下記の通りである。
(1)Tx<Tcのとき
先行の物品と後続の物品との時間間隔Txが、設定時間Tcより短いときには、計量コンベヤ7上に物品が存在している、あるいは、先行物品が計量コンベヤ7から離脱したときの過渡応答振動信号が大きく、有効な零点調整を行えないので、零点調整は行わない。
(2)Tc≦Tx<1.5Tcのとき
第1フィルタFC1の出力を取得して零点重量値Wnを算出し、算出した零点重量値Wnに、零点修正率R=0.2を掛けて零点調整量0.2・Wnとし、この値を累積零点変動量Wzに加算してこれまでの累積零点変動量Wzと置き換える。
(3)1.5Tc≦Tx<2Tcのとき
第1フィルタFC1の出力を取得して零点重量値Wnを算出し、算出した零点重量値Wnに、零点修正率R=0.4を掛けて零点調整量0.4・Wnとし、この値を累積零点変動量Wzに加算してこれまでの累積零点変動量Wzと置き換える。
(4)2Tc≦Tx<2.5Tcのとき
第2フィルタFC1と第3フィルタFC2’とが従属接続されてなるフィルタFC2の出力を取得して零点重量値Wnを算出し、算出した零点重量値Wnに、零点修正率R=0.6を掛けて零点調整量0.6・Wnとし、この値を累積零点変動量Wzに加算してこれまでの累積零点変動量Wzと置き換える。
(5)2.5Tc≦Tx<3Tcのとき
フィルタFC2の出力を取得して零点重量値を算出し、算出した零点重量値に、零点修正率R=0.8を掛けて零点調整量0.8・Wnとし、この値を累積零点変動量Wzに加算してこれまでの累積零点変動量Wzと置き換える。
(6)Tx≧3Tcのとき
第1フィルタFC1と第2フィルタFC2’と第3フィルタFC3’とが従属接続されてなるフィルタFC3の出力を取得して零点重量値Wnを算出し、算出した零点重量値Wnに、零点修正率R=1.0を掛けて零点調整量1.0Wnとし、この値を累積零点変動量Wzに加算してこれまでの累積零点変動量Wzと置き換える。
以上の(1)〜(6)の零点調整ルールに従って、零点調整演算を実施する。
この実施形態では、計量運転中に零点調整ルールに従って零点調整を行ったときには、零点調整の実施状況に関する零点調整情報として、零点調整の実施間隔、零点重量の測定値、零点調整量R・wn、零点調整の精確さの度合いを示す零点修正率R、及び、前回の零点調整時点からの経過時間に対応する物品重量の測定回数を、後述のように、制御装置11の表示部19に表示する。
更に、この実施形態では、測定した時間間隔Txに基づいて、現在の物品の搬送状態において、精度の高い完全な零点調整、すなわち、零点修正率R=1.0の零点調整を実施するために、作業者が、搬送ラインの、重量選別機4よりも上流側で除去すべき物品の除去個数を、除去個数表示ルールに基づいて算出し、零点調整情報として表示部19に表示する。
次に、この除去個数表示ルールについて説明する。
<除去個数表示ルール>
測定した時間間隔Txに基づいて、精度の高い完全な零点調整を実施するために、作業者が除去すべき物品の除去個数を算出表示するための除去個数表示ルールは、下記(a)〜(c)からなる。
(a)Tx<1.5Tcであれば、除去数2個を表示する。
1人の作業者が両手を使うなどして物品を、連続2個除去すれば、上記の零点調整ルール(6)Tx≧3Tcの時間間隔が実現し、十分安定な零点重量値の取得による零点修正率R=1.0の零点調整が実施されることを見込むものである。
計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態が継続すれば、より安定に零点重量値を求めることができるので、2個除去の場合は、2個連続して除去させる。
(b)1.5Tc≦Tx<3Tcであれば、除去数1個を表示する。
作業者が物品を1個除去すれば、上記の零点調整ルール(6)Tx≧3Tcの時間間隔が実現し、十分安定な零点重量値の取得による零点修正率R=1.0の零点調整が実施されることを見込むものである。
(c)Tx≧3Tcであれば、除去数0個を表示する。
手を下さずとも上記の零点調整ルール(6)のTx≧3Tcの時間間隔が実現し、十分安定な零点重量値の取得による零点修正率R=1.0の零点調整が実施されることを見込むものである。
[物品重量の測定]
次に、物品重量の測定について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
図4の処理は、演算部9に内蔵のクロック生成回路の、例えば1msec毎のクロックパルスによって、1msec間隔でスタートし、後述の図5のエンドまで起動し、他の処理よりも優先して処理される。すなわち、1msec毎に最優先で実行される。
演算部9の重量値処理部13には、物品計測用タイマーカウンタTCiを含む後述の複数のタイマーカウンタや表示用レジスタが内蔵されている。
物品の重量の測定は、図6(a)に示すように、計量コンベヤ7へ搬入される直前の物品Gが物品検知センサ12で検知された時点t1から、該物品Gの計量コンベヤ7からの搬出が開始される直前の時点t2までの時間(物品計測時間Ti)内で行われるものであり、前記直前の時点t2では、後続の物品Gの計量コンベヤ7上への搬入が開始されておらず、測定対象の物品Gのみが計量コンベヤ7上に存在している。
具体的には、前記直前の時点t2を、物品重量値の測定タイミングとしており、物品が、物品検知センサ12で検知されると、その時点t1で物品計測時間カウント用フラグF1を「1」にセットして、物品計測用タイマーカウンタTCiでカウントを開始し、物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品Gの計量コンベヤ7からの搬出が開始される直前の前記時点t2に対応する物品計測時間Tiに到達すると、物品重量値の測定タイミングであるとして重量値を算出するものである。
図4に示すように、先ず、A/D変換器16の出力であるデジタル荷重信号を読込んで上記フィルタFC0〜FC3のフィルタ処理を行い(ステップn1,n2)、物品計測時間カウント用フラグF1が「0」にリセットされているか否かを判断する(ステップn3)。
ステップn3で、物品計測時間カウント用フラグF1が、「0」にリセットされているときには、物品検知センサ12によって物品が未だ検知されていないので、物品検知センサ12によって物品が検知されたか否かを判断し(ステップn4)、検知されないときには、図5のステップn12に移り、物品が検知されたときには、物品を検知した時点t1から、物品が計量コンベヤ7から搬出される直前の時点t2までの物品計測時間Tiを計測する物品計測用タイマーカウンタTCiをリセットし(ステップn5)、物品計測時間Tiを計測中であることを示す物品計測時間カウント用フラグF1を「1」にセットしてステップn7に移る(ステップn6)。
ステップn7では、物品が検知された時点t1からの経過時間を計測するために物品計測用タイマーカウンタTCiをインクリメントし、物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品検知センサ12によって物品が検知された時点t1から物品重量を測定する時点t2までの時間である物品計測時間Tiに達したか否かを判断し(ステップn8)、達していないときには、図5のステップn12に移り、達したときには、物品計測時間カウント用フラグF1を「0」にリセットし(ステップn9)、物品重量値を読取るタイミングであることを示す物品重量値読取りフラグFiを「1」にセットし(ステップn10)、物品計測用タイマーカウンタTCiをリセットして図5のステップn12に移る(ステップn11)。
上記ステップn3で、物品計測時間カウント用フラグF1が「0」でない、すなわち、「1」であるときには、既に物品を検知して物品計測時間Tiを計測中であり、ステップn7に移る。
このように、物品が物品検知センサ12に検知されると、物品計測時間カウント用フラグF1が「1」にセットされ、物品計測用タイマーカウンタTCiがカウントを開始する。物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品計測時間Tiになると(TCi=Ti)、計量コンベヤ7上の物品の重量値を算出するタイミングであるとして、物品重量値読取りフラグFiを「1」にセットし、物品計測用タイマーカウンタTCiを「0」にリセットする。
次に物品重量値の算出処理について説明する。
物品の重量値の算出は、図4,図5よりも優先度の低い処理として実行され、具体的には、図7に示すフローチャートに従って処理される。
図7に示すように、上記の物品重量値読取りフラグFiが、「1」にセットされているか否か判断し(ステップn101)、セットされていないときには、図8のステップn106に移り、セットされているときには、物品重量値読取りフラグFiを「0」にリセットし(ステップn102)、演算部9のフィルタFC0の出力値Wadを読取り、上記(1)式に従って物品の重量値Wnを算出し(ステップn103)、ステップn104に移る。
このように、商品生産装置3からの物品が、搬送ラインを連続的に搬送され、計量コンベヤ7に搬入される直前に、物品検知センサ12によって、検知されると、物品計測用タイマーカウンタTCiによる物品計測時間Tiの計測が開始され、物品計測用タイマーカウンタTCiのカウント値が、物品計測時間Tiになると、計量コンベヤ7に搬入された物品が、搬出される直前の位置であって、後続の物品の計量コンベヤ7への搬入が開始されていない測定タイミングの位置、すなわち、図6(a)の時点t2の位置に達したとして、物品の重量値を算出する。
ステップn104では、物品重量測定回数カウンタCxに「1」を加算し、前回の零点調整の時点からの物品の測定回数を、前回の零点調整の時点からの経過時間として表示部19へ表示し、図8のステップn106に移る(ステップn105)。
[零点重量値の測定]
次に、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態における零点重量値の測定、すなわち、零点計測について、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、零点計測を行った後には、引き続いて、計測した零点重量値によって零点調整を行う。
先ず、図5のフローチャートの説明に先立って、零点計測処理の概要について説明する。
この実施形態では、図6(a)に示すように、計量コンベヤ7へ搬入される直前の物品Gが物品検知センサ12で検知された時点t1から、後続の物品が、物品検知センサ12で検知されるまでの時間Tzを、零点計測時間Tzとして計測し、後続の物品が、物品検知センサ12で検知されると、それまでに計測された零点計測時間Tzを、零点計測時間用メモリTZMに一旦格納し、後述の図8の零点調整処理フローに従って、前記メモリTZMから零点計測時間を読出し、上記零点調整ルールに従って零点調整を行うものである。
また、零点計測時間Tzが、上記設定時間Tcの3倍の時間3・Tcに達したときには、この時間3・Tcを、零点計測時間用メモリTZMに一旦格納し、後述の図8の零点調整処理フローに従って、前記メモリTZMから零点計測時間を読出し、上記零点調整ルールに従って零点調整を行うものである。
更に、この実施形態では、運転スイッチをオンして重量選別機4の運転を開始したときには、最初の物品が、物品検知センサ12で検知される迄、あるいは、後続の物品を検知することなく、零点計測時間Tzが、上記3倍の時間3・Tcに達して零点計測を行った後に、後続の物品が、物品検知センサ12で検知される迄は、例えば、数十msec〜1秒程度の短い零点計測更新時間Tdをカウントし、零点計測更新時間Tdが経過する度に、零点計測時間用メモリTZMに、上記3倍の時間3・Tcを一旦格納し、零点重量値読取りフラグFzを1にセットして後述の図8の零点調整処理フローに従って、零点計測時間用メモリTZMの値を呼び出す。
また、この実施形態では、物品の形状等を考慮して、物品検知センサ12による同一物品の重複した検知を防止するようにしている。すなわち、物品Gの形状等によっては、例えば、図6(b)に示すように、物品検知センサ12からの投光が通過してしまうような窪んだ凹部25を有するような場合がある。かかる場合には、物品Gの前記凹部25が、物品検知センサ12の検知領域を通過する際に、物品検知センサ12の出力が、検知、非検知、検知といったように、物品Gの検知動作を繰り返すことがあるので、この実施形態では、物品Gが物品検知センサ12で一旦検知されたときには、物品Gが物品検知センサ12の検知領域を完全に通過してしまう迄は、物品検知センサ12の出力を無視するようにしている。
具体的には、物品検知センサ12で物品が検知されたときには、重複検知防止時間カウント用フラグF3を「1」にセットし、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmでカウントを開始する。この重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmによって、物品Gが物品検知センサ12の検知領域を通過し終えるまでの時間を、重複検知防止時間Tmとして計測し、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmのカウント値が、重複検知防止時間Tmに達するまでは、物品検知センサ12の出力を無視するようにしている。
重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmのカウント値が、重複検知防止時間Tmに達したときには、物品検知センサ12で検知された物品が、該センサ12の検知領域を通過したとして、重複検知防止時間カウント用フラグF3を「0」にリセットすると共に、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmを「0」にリセットし、その後は物品検知センサ12の出力を判定しながら零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzで零点計測時間Tzをカウントする。
なお、重複検知防止時間カウント用フラグF3が「1」にセットされている間は、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmをカウントすると共に、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzをカウントし、この零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzは、零点計測時間カウント用フラグF2が「1」の間は、カウントを継続する。
次に、この零点計測について、図5のフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。この図5の零点計測のための処理は、上記図4の物品の重量の測定処理に引き続いて実行される。
ここで、理解を容易にするために、図5の処理を、複数の領域1〜7の処理に分けて説明する。
先ず、領域1では、零点計測時間カウント用フラグF2(ステップn12)、及び、重複検知防止時間カウント用フラグF3(ステップn13)が、共に「0」である初期状態(F2=F3=0)において、物品検知センサ12によって物品が検知されたか否かの判定がなされる(ステップn14)。零点計測時間カウント用フラグF2、及び、重複検知防止時間カウント用フラグF3が、共に「0」である初期状態は、物品検知センサ12で物品が検知されていないために、零点計測時間Tz及び重複検知防止時間Tmの計測が行われていない状態である。この初期状態(F2=F3=0)は、重量選別機4の運転スイッチがオンされた後、最初の物品が物品検知センサ12で検知される迄、あるいは、後続の物品が物品検知センサ12で検知されることなく、上記3倍の時間3・Tcが経過して零点計測が行われた後、後続の物品が物品検知センサ12に検知される迄の状態である。
初期状態において、計量コンベヤ7へ搬入される物品が、物品検知センサ12で検知されると(ステップn14)、領域2の処理が実行される。物品検知センサ12で物品が検知されたので、領域2では、先ず、零点計測時間Tzを計測するために、零点計測時間カウント用フラグF2を「1」にセットすると共に、物品が検知されたので、零点計測を短い時間間隔で更新する必要がなくなったとして、零点計測更新時間Tdを計測する更新時間計測用タイマーカウンタTCdを「0」にリセットする(ステップn15)。更に、物品が検知されたので、重複検知防止時間Tmを計測するために、重複検知防止時間カウント用フラグF3を「1」にセットする(ステップn16)。
領域1の初期状態で物品検知センサ12による物品の検知がないときには(ステップn14)、領域3の処理を実行する。この領域3は、運転スイッチをオンした後、或いは、後続の物品を物品検知センサ12で検知することなく、上記3倍の時間3・Tcか経過して零点計測を行った後、後続の物品を継続して検知しない場合に、零点計測更新時間Tdを計測するための処理である。運転スイッチがオンされると、運転スイッチのオンによって「1」にセットされた運転フラグFdを「0」にリセットし(ステップn25,n26)、物品検知センサ12で物品が検知されていない状態が継続しているとして、物品非検知フラグF4を「1」にセットする(ステップn28)。この物品非検知フラグF4は、運転スイッチがオフされると、「0」にリセットされる。次に、零点計測を短い一定の時間間隔で更新するために、更新時間計測用タイマーカウンタTCdによって、零点計測更新時間Tdをカウントする(ステップn29)。その後、初期状態において、物品検知センサ12が物品を検知しない状態が継続すると(ステップn12〜n14)、この領域3において、物品非検知フラグF4が「1」であることを判定し(ステップn27)、更新時間計測用タイマーカウンタTCdをカウントさせる(ステップn29)。
更新時間計測用タイマーカウンタTCdのカウント値が、零点計測更新時間Tdに達したときには(ステップn30)、更新時間計測用タイマーカウンタTCdをリセットし(ステップn31)、設定時間Tcの3倍の時間3・Tcを零点計測時間用メモリTZMに記憶させ(ステップn32)、領域2のステップn24に移行して、零点重量値読取りフラグFzを「1」にセットし、零点計測を起動する。
これによって、初期状態において、物品が物品検知センサ12で検知されない状態が継続するときには、零点計測更新時間Tdが経過する度に、零点計測時間用メモリTZMに、3・Tcの値を記憶させて零点計測を行うようにしている。
更新時間計測用タイマーカウンタTCdによる零点計測更新時間Tdの計測中であっても、領域1において、物品検知センサ12によって物品が検知されると(ステップn14)、上記のように領域2の処理へ移行し、零点計測時間カウント用フラグF2及び重複検知防止時間カウント用フラグF3を、「1」にセットすると共に、更新時間計測用タイマーカウンタTCdをリセットする(ステップn15,n16)。その後は、基本的に領域2のステップn17以降の処理、あるいは、ステップn20以降の処理が繰り返し実行される。
すなわち、この後の最優先の処理の繰り返しの実行では、領域1において、零点計測時間カウント用フラグF2=1であるか否かを判断し(ステップn12)、上記のように物品検知センサ12によって物品が既に検知されて零点計測時間カウント用フラグF2=1であるので、領域4のステップn33に移行し、重複検知防止時間カウント用フラグF3=1であるか否かを判断し、上記のように物品検知センサ12によって物品が既に検知されて重複検知防止時間カウント用フラグF3=1であるので、領域2のステップn17に移行し、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmによってカウントし、検知された物品が、物品検知センサ12の検知領域を通過するに十分な時間としての重複検知防止時間Tmを計測する。
そして、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmのカウント値が、重複検知防止時間Tmに達したか否かの判断処理(ステップn18)を経て、更に、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzによってカウントし(ステップn20)、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzのカウント値が、上記3倍の時間3・Tcに達したか否かを判断する(ステップn21)。
上記ステップn18で、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmが、重複検知防止時間Tmまでカウントすると、検知された物品が、物品検知センサ12の検知領域を通過したとして、重複検知防止時間カウント用フラグF3は、「0」にリセットされると共に、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmが「0」にリセットされる(ステップn19)。一旦、物品が物品検知センサ12に検知されて重複検知防止時間カウント用フラグF3が「1」にセットされると、領域1のステップn12、領域4のステップn33を経て領域2のステップn17に移行することによって、重複検知防止時間Tmが経過する間は、物品検知センサ12の出力を無視できるようにしている。
重複検知防止時間Tmが経過して重複検知防止時間カウント用フラグF3が「0」にリセットされた(ステップn19)後は、領域4のステップn33では、重複検知防止時間カウント用フラグF3が、「1」でないので、領域5の処理へ移行し、物品検知センサ12の出力に応じた処理を行う。
すなわち、領域5では、領域1における零点計測時間カウント用フラグF2=1の判定(ステップn12)と、領域4における重複検知防止時間カウント用フラグF3=0の判定(ステップ33)とを前提に、物品検知センサ12が物品を検知したか否かを判断し(ステップn34)、物品を検知していないときには、後続の物品が検知されていないとして、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzによる零点計測時間Tzの計測を継続するために、領域2のステップn20に移行する。
領域5のステップn34で、物品を検知したときには、後続の物品を検知したとして、領域7へ移行し、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzの値を零点計測時間用メモリTZMに移行させると共に(ステップn35)、零点重量値読取りフラグFzを「1」にセットし、零点計測を起動し(ステップn36)領域6へ移行する。
領域6では、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzを「0」にリセットすると共に(ステップn37)、零点計測時間カウント用フラグF2を「0」にリセットし、初期状態へ戻す(ステップn38)。
領域2の上記ステップn21で、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzが、上記3倍の時間3・Tcになったか否かを判断し、3倍の時間3・Tcになると(TCz=3・Tc)、物品が物品検知センサ12で検知されてから、後続の物品が物品検知センサ12で検知されることなく、3倍の時間3・Tcが経過したとして、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzの値を零点計測時間用メモリTZMに移行させ(ステップn22)、零点計測時間カウント用フラグF2を「0」にリセットすると共に、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzをリセットし(ステップn23)、零点重量値読取りフラグFzを「1」にセットする(ステップn24)。
更にその後も後続の物品が到来しない場合は、上記のように、領域3において零点計測更新時間Td毎に零点計測時間用メモリTZMに3・Tcを格納し(ステップn32)、零点重量値読取りフラグFzを1にセットする(ステップn24)。
重複検知防止時間Tmは、3倍の時間3・Tcよりも短いので、零点計測時間計測用タイマーカウンタTCzが3倍の時間3・Tcになった時点では、重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmは、既にタイムアップ(TCm=Tm)しており(ステップn18)、重複検知防止時間カウント用フラグF3及び重複検知防止時間計測用タイマーカウンタTCmは、既にリセットされているので(ステップn19)、領域1の初期状態(F2=F3=TCz=TCm=0)に戻る。
次に、零点調整処理について説明する。
零点重量値の算出は、図4,図5よりも優先度の低い処理において実行される。具体的には、図8に示すフローチャートに従って処理される。この図8は、上記図7に引き続く処理である。
この実施形態では、零点重量値読取りフラグFzのセットに応じて、零点計測時間用メモリTZMから時間値を呼び出し、上記零点調整ルールに従って零点調整処理を実行する。
すなわち、零点計測時間用メモリTZMの時間値によって定めたフィルタ出力のデジタル荷重信号Wadを使って零点重量値Wnを求める。
零点計測時間用メモリTZMの時間値に応じた零点修正率Rの値を選択し、零点調整量R・Wnを算出する。
零点調整の演算操作は、
R・Wn+Wz→Wz
と演算する。
図8に示すように、零点重量値読取りフラグFzが、「1」にセットされているか否かを判断し(ステップn106)、セットされているときには、零点重量値読取りフラグFzを「0」にリセットし(ステップn107)、計量コンベヤ7上が無負荷状態であった時間値を、零点計測時間用メモリTZMから呼び出し、上記零点調整ルール(1)〜(6)に従って零点調整処理を実行する。
具体的には、零点計測時間用メモリTZMの値が、設定時間Tcより小さいか否かを判断し(ステップn108)、小さいときには、零点調整を行わないので、ステップn115に移る。ステップn115では、零点計測時間用メモリTMZの値に基づいて、上記の除去個数表示ルールによって、物品の除去個数を定め、除去個数表示用レジスタに出力し、物品重量測定回数カウンタCxの測定個数を、物品測定回数表示用表示用レジスタに出力して終了する(ステップn116)。
ステップn108で、零点計測時間用メモリTZMの値が、設定時間Tcより小さくないときには、その値に基づいて、上記零点調整ルールの(2)〜(6)に従って、フィルタFC1,FC2,FC3のいずれかの出力を選択して読取る。また、除去個数表示ルールに従って、除去個数が定まり、その除去個数を、除去個数表示用シフトレジスタに出力する(ステップn109)。
次に、零点重量値Wnを算出し、また、零点修正率Rが定まるので、零点調整量R・Wnを算出する(ステップn110)。算出した零点調整量R・Wnによって零点調整を実施する。すなわち、R・Wn+Wz→Wzとして零点調整を行う(ステップn111)。
次に、零点調整量、零点修正率Rを、それぞれ零点調整量表示用シフトレジスタと、零点修正率表示用シフトレジスタに出力する(ステップn112)。
次に、物品重量測定回数カウンタCxの測定個数を、零点調整実施間隔表示用シフトレジスタに出力すると共に、物品重量測定回数カウンタCxのカウント値を「0」にリセットして終了する(ステップn113,n114)。
図9は、制御装置11の表示部19における零点調整情報である物品の除去個数の表示例を示すものである。
この除去個数は、除去すべき物品の個数を示す数値情報であって、物品検知センサ12によって新たな物品が検知される度に、上記の除去個数表示ルールによって、精度の高い完全な零点調整を実施するために必要な物品の除去個数として更新表示される。この例では、今回の物品の検知、及び、今回から4回前の物品の検知までの合計5回の物品検知にそれぞれ対応した除去個数を、最新である今回の除去個数を左端に、最も古い4回前の除去個数を右端にそれぞれ表示し、物品が検知される度に、順次、左から右へシフトさせて表示する。
図9(a)の表示例は、除去個数が「0」〜「2」とバラバラであり、物品が搬送ライン上をバラバラの間隔をもって搬送されている状態を示している。生産能力の高い生産装置の後段の搬送ラインでは、通常、物品の搬送間隔は狭くなるので、除去個数としては、「1」、または、「2」といった個数が連続する状態が多くなる。
図9(b)の表示例は、除去個数が全て「0」であり、物品の搬送間隔が大きく、物品毎に十分安定な零点調整ができる間隔で搬送されている状態を示している。零点調整は、自動的に毎回行われていて、物品を除去する必要はない。
図9(c)の表示例は、除去個数が全て「2」であり、精度の高い完全な零点調整を実施するためには、物品を2個連続して除去する必要があることを示している。零点調整が実施されているか否かは、この表示から判断することはできない。図9(c)の表示がされていても、既に精度の高い完全な零点調整が行われていて、その零点調整が行われた時点からの経過時間が短いような場合には、直ちに零点調整を行う必要はない。
図10は、制御装置11の表示部19における零点調整の実施状況を示す零点調整情報の表示例である。
この表示例は、最新の5回分の零点調整の実施状況を示すものであり、零点調整実施順において、「1」が最も古い零点調整を示し、「5」が最新の零点調整を示している。
零点調整実施間隔は、対応する零点調整実施順の零点調整の時点からの時間間隔を示し、例えば、零点調整実施順が「1」の零点調整実施間隔は、零点調整実施順が「1」の最も古い1回目の零点調整の時点から零点調整実施順が「2」の2回目の零点調整の時点までの時間間隔で、1550個の物品の重量の測定が行われたことを示している。すなわち、零点調整実施順が「1」の零点調整の時点から零点調整実施順が「2」の零点調整の時点までの時間間隔で、1550個の物品の重量の測定が行われたことを示し、同様に、例えば、零点調整実施順が「2」の零点調整実施間隔は、零点調整実施順が「2」の2回目の零点調整の時点から零点調整実施順が「3」の3回目の零点調整の時点までの時間間隔で、2332個の物品の重量の測定が行われたことを示している。したがって、零点調整実施順が「5」の零点調整実施間隔は、最新の5回目の零点調整の時点から現在の時点までの経過時間内に、物品の測定回数が3383個であることを示しており、この最新の零点調整の時点からの物品の測定回数は、次の零点調整が行われる迄は、物品の重量を測定する度に更新表示される。
零点重量測定値は、各回の零点調整が実施されたときに測定された零点重量値である。零点修正率Rは、上記のように零点調整ルールに従って定まるものであって、そのときの零点調整によって得られた零点重量値の信頼性、したがって、零点調整の精確さの度合いを示している。零点調整量は、実際に零点調整する値であって、測定した零点重量値に、零点修正率Rを掛けて四捨五入した値である。
零点修正率Rは、上記のように、計量コンベヤ7上に物品が存在しない無負荷状態の継続時間が長いほど値が大きい。すなわち、計量コンベヤ7上に物品が存在しない時間が長いほど得られた零点重量値の信頼性が高いので、大きい割合で零点調整量に換算して使用する。
このように、最新の複数回の零点調整について、零点調整時点からの実施間隔、零点重量測定値、零点修正率R、すなわち、実施された零点調整の精確さの度合、及び、零点調整量が、セットで数値情報として表示される。零点調整実施間隔と零点重量測定値との関係から、計量装置である重量選別機4の零点重量の変化する速さが推定できる。
零点調整が実施できない状態であれば、図10に示される零点調整の実施の状況を示す零点調整情報は表示されない、あるいは、更新表示されない。したがって、図10に示す零点調整情報が表示されていないときには、零点調整が行われていないことが判る。なお、零点調整が行われたか否かを、例えば、零点調整の実施回数で表示してもよく、零点調整が行われていないときには、「0」を表示するようにしてもよい。
また、複数回の零点調整の実施の状況を表示するのではなく、最新の1回の零点調整の実施の状況のセットを表示するようにしてもよい。
作業者は、図10に示される零点重量測定値及び零点調整量の大きさ、それまでの零点調整の実施の時間間隔を示す物品の測定回数に基づいて、運転時間の経過に対する零点変動量の程度の関係を推定することができ、零点調整を実施する必要があるか否かを判断することができる。なお、別途に1個当りの時間間隔を測定し、これに上記の物品の測定回数を掛けて零点調整の実施の時間間隔を表示させてもよい。
また、零点調整を実施する必要があると判断したときには、例えば、図9(c)に示される物品の除去個数の表示に基づいて、必要な個数の物品を、重量選別機4よりも物品の搬送方向の上流側で除去する。これによって、計量コンベヤ7上の物品が存在しない無負荷状態が、高い精度で完全な零点調整を実施するのに必要な時間、すなわち、設定時間Tcの3倍の時間3・Tc以上に亘って継続し、精確な零点調整が実施されることになる。
なお、物品の除去個数が変動している図9(a)の表示の場合には、精確な零点調整を確実に実施するために、物品を、2個連続して除去するのが好ましい。
このように作業者によって、必要な個数の物品が除去されて、零点調整が実施されると、例えば、図9(c)に示される物品の除去個数の表示が、少なくとも1回は「0」となり、また、図10の零点調整の実施の状況を示す表示が、新たに行われた零点調整によって、1回分更新されて表示される。
作業者による物品の除去によらず、物品の搬送に途切れが生じて零点調整が行われ、そのとき物品の途切れの間隔が短かったために、行われた零点精度の信頼性が低い、すなわち、図10の零点修正率Rの値が小さいときには、その零点調整の時点からの経過時間が短いような場合であっても、より精度の高い零点調整を行うべきであると判断して、必要な個数の物品を除去して零点調整を行うのが好ましい。
また、作業者が必要な個数の物品を除去することによって、精度の高い零点調整が行われ、図10の零点修正率Rの値が大きい場合であっても、その零点調整を行った時点からの経過時間が長い、すなわち、図10の最新である零点調整実施順「5」における零点調整実施間隔を示す物品重量の測定回数が多いときには、必要な個数の物品を除去して零点調整を行う必要がある。
零点調整を行った時点からの経過時間に基づいて、零点調整を実施すべき時期であるか否かの判断は、図10の零点調整実施間隔及び零点調整量等を考慮して行う。
除去した物品は、後に再計量して重量選別する必要があり、除去する物品の個数は、出来るだけ少ない方がよい。また作業者の負担を減らすために、除去作業の実施回数も出来るだけ少ない方がよい。
以上のように本実施形態によれば、零点調整の実施に関にする零点調整情報として、精度の高い完全な零点調整を実施するために物品を除去すべき個数、零点調整実施間隔、零点重量測定値、零点修正率、零点調整量が表示されるので、作業者は、現在の物品の搬送状態において、零点調整が行われているか否か、零点調整が行われている場合には、その零点調整の精度はどの程度であるか、前回の零点調整の時点からどの程度の時間が経過したか、零点調整を行うべき時期であるか、零点調整を行うべき時期であるときには、何個の物品を除去すればよいか、物品を除去して零点調整が行われた場合に、その零点調整が効果的に行われたか否かといったことを判断するのが容易となる。
これによって、物品の搬送間隔が短く、無負荷状態が生じないために、零点調整が行われていないような場合にも、作業者が、そのことに気づいて適切な時期に物品を除去することによって、精度の高い零点調整を行うことが可能となる。
また、零点調整が自動的に行われていても、精度の低い零点調整が行われている場合には、作業者が、適切な時期に必要な個数の物品を除去することによって、精度の高い完全な零点調整を行うことが可能となる。
このように、零点調整情報は、零点調整を行わせるために、作業者が行う物品の除去作業を支援する有効な情報となる。
上記実施形態では、零点調整情報を、表示部19に表示して作業者に報知したけれども、表示に限らず、音声などによって報知してもよい。
上記実施形態では、前回の零点調整からの経過時間を、物品重量の測定回数として報知したけれども、直接経過時間を計測して報知してもよい。
本発明の他の実施形態として、適切な零点調整を確実に実施することができるように、次のようにしてもよい。
例えば、前回の零点調整の実施時点からの経過時間を示す図10の零点調整実施間隔を表示するための上記の物品重量の測定回数カウンタによる測定回数に対して、零点調整を行わせるべき境界値を操作によって設定する。
計量運転中に、作業者が計量コンベヤ7の前段の搬送ラインの物品を除去しないでいたことによって、零点調整が実施されず、物品重量の測定回数カウンタのカウント値が増加し、その間1度も物品の流れの自然途切れによる零点調整機能が作動せず、物品重量の測定回数のカウント値が前記境界値に到達すると、零点調整を実施すべきタイミングであるとして商品生産装置3に対して、制御装置11の生産休止指令部としての重量値処理部13が、前記物品の生産を一時休止させる一時休止指令信号を送信出力し、物品重量の測定回数カウンタのカウント値をリセットする。
前記境界値に到達する前に作業者が搬送ラインの物品を除去し、零点調整が実施されると、測定回数カウンタのカウント値はリセットされ、一時休止指令信号は出力されない。
また、物品重量の測定回数カウンタの測定回数の境界値について、例えば、前回の零点調整機能が物品の自然途切れ間隔によって作動し、そのときの図10に示す零点修正率Rが、0.5未満のときは、境界値Q1を設定し、0.5以上のときは、境界値Q2(>Q1)を設定し、前回の零点調整量が十分でなかった可能性が高い場合は、境界値Q1までの短い時間間隔にて、商品生産装置3に対して一次休止指令信号を送信出力させ、前回の零点調整量が十分であった可能性が高い場合は、境界値Q2までの長い時間間隔にて、商品生産装置3に対して一時休止指令信号を送信出力させるようにしてもよい。
要するに、零点調整情報に基づいて、次回の適正なタイミングで重量選別機4に対して零点調整機能を作動させるようにする。
上流の商品生産装置3、例えば所定の時間間隔で所定体積の原料を包装容器に充填する充填装置1では、下流の計量装置である重量選別機4から一時休止指令信号を受けると、1個分或いは2個分、或いは連続2個以上の個数分だけ物品の原料の包装容器への充填動作を休止する。
複数個の場合、連続に休止するのは、それだけ長い時間、計量コンベヤ7上を無負荷にすることによってより安定な零点重量値の測定を可能にするためである。
生産の一時休止によって商品生産装置3から計量装置である重量選別機4までの物品の搬送ラインに物品の1個分の途切れ、或いは2個以上分の連続途切れ間隔が形成されるので、計量装置である重量選別機4は、計量コンベヤ7の無負荷を検知し、自動的に零点調整機能が作動し、零点調整が実施される。