JP2016102160A - 共重合体および眼科デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】透明度及び酸素透過率が高く、防汚性に優れ、且つ、耐加水分解性に優れた、眼に適用するのに好適な重合体の提供。【解決手段】末端に有するRSiO基2〜3個、アルキル基0〜1個で置換されたSi基と、炭素数1〜6の1価炭化水素基Rで置換されちてもよい炭素数7〜10のメチレン連鎖を介して結合するアクリル系エステルモノマー(1)及び末端にSiO構造3〜11繰り返しからなるシロキサン構造を有するアルコール残基を有するアクリル系エステルモノマー(2)を含んでなる共重合体。上記Rは炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基で置換されていてもよい共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は眼科デバイス、例えば、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜を製造するための重合体に関する。詳細には、透明度及び酸素透過率が高く、防汚性及び耐加水分解性に優れた、眼に適用するのに好適な重合体に関する。
眼用モノマーとして、下記のシリコーン化合物が知られている。
Figure 2016102160
Figure 2016102160
上記TRIS(3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のような親水性モノマーとの相溶性に劣り、これらの親水性モノマーと共重合した場合、透明ポリマーが得られないという欠点がある。一方、上記SiGMAはHEMAのような親水性モノマーとの相溶性に優れ、その共重合ポリマーは、比較的高酸素透過性で高親水性であるという特徴を有する。しかしながら、近年眼用ポリマーには、長時間の連続装用を可能にすべく、より高い酸素透過性が要求されるようになり、SiGMAから得られるポリマーでは、酸素透過性が不十分だった。
この問題を解決すべく、特許文献1には、下記式(a)で表される化合物が記載されている。
Figure 2016102160
SiGMAにおいてビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル部分をSi部分とし、全体に占めるSi部分の質量割合を求めると52%となる。一方、上記式(a)において、トリス(トリメチルシロキシ)シリル部分をSi部分とし、全体に占めるSi部分の質量割合を求めると60%となる。即ち、上記式(a)の化合物は、Si部分の質量割合が多い。その為、得られる眼科デバイスに高い酸素透過性をもたらすことができる。
しかし、酸素透過率を上げるためにSi部分の質量割合を増やすと、重合性基あたりの分子量が大きくなるため共重合ポリマーの強度が低下するという問題があった。また、特許文献2には、上記式(a)で示される化合物はエポキシ前駆体にメタクリル酸を反応させて調製されると記載しているが、該反応は、副反応が多く、得られる共重合ポリマーの物性のブレが大きいという問題もあった。
特許文献3には、下記式(e)で表される、エチレンオキサイド構造の繰り返し単位2個を有する化合物、及び該化合物を重合成分として含むポリマーを用いてなる眼用レンズが記載されている。
Figure 2016102160
しかし上記化合物をモノマー成分として得られる重合体は、機械強度が不足することや、重合反応性に劣ることがあった。また、得られる重合体は耐汚染性が十分ではない。
酸素透過性の観点からは4量体シリコーン以上が好ましく、酸素透過性と共重合ポリマーの強度とを両立させるためには4量体シリコーン及び5量体シリコーンが好ましいと考えられている。そのため、4量体以上のシリコーンを有するシリコーンモノマーを高純度で得る方法の開発が要求されている。
特許文献4には、片末端水酸基含有オルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル酸ハライドのエステル化によって、下記式(d)で表されるシリコーン化合物を調製する方法が記載されている。特許文献4は、該方法により、下記式(d)で表され、特定のm、n、R及びRを有する1種のシリコーン化合物を95重量%超で含む高純度シリコーンモノマーを製造できることを記載している。
Figure 2016102160
(ここでmは3〜10の整数のうちの一つ、nは1または2のうちの一つ、Rは炭素数1〜4のアルキル基のうちの一つ、Rは水素及びメチル基のうちの一つである。)
特許文献5には、(メタ)アクリル基とシロキサニル基のスペーサーとして、炭素数1〜5のアルキレン基構造を有するモノマーを重合成分として含むポリマーが記載されている。特許文献6には、(メタ)アクリル基とシロキサニル基のスペーサーとして、炭素数4〜11のアルキレン基構造を有するモノマーを重合成分として含むポリマーが記載されている。
特開2007−186709号公報 特開2007−1918号公報 特許第4882136号公報 特許第4646152号公報 特開平03−223321号公報 特許第4783963号公報
しかし上記特許文献4に記載の化合物は他の(メタ)アクリル系モノマーとの相溶性が十分ではない。また、得られる重合体は水溶液中にて加水分解され物性が変化することがある。また上記特許文献5及び6に記載のモノマー化合物は、他の親水性モノマーとの相溶性が悪く得られる重合体が白濁することや、ミクロ相分離を生じることがある。さらに得られる重合体は水溶液中で加水分解されて眼科デバイスの物性が変化することがある。
そこで本発明は、透明度及び酸素透過率が高く、防汚性に優れ、且つ、耐加水分解性に優れた、眼に適用するのに好適な重合体を与えることを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(1)で表される特定のアルキレン鎖長を有するシリコーン化合物と、下記式(2)で表される特定のオキシアルキレン構造を有するシリコーン化合物とを組合せてモノマー成分として含む共重合体が、酸素透過性及び防汚性に優れ、無色透明であり、且つ、耐加水分解性に優れることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち本発明は、
下記式(1)で表される化合物:
Figure 2016102160
(式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、kは2または3であり、Rは下記(a)
Figure 2016102160
で示される2価の基であり、dは7〜10の整数であり、Rは水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、上記(a)において炭素原子に結合する水素原子の1以上が炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基で置換されていてもよい、Rは水素原子又はメチル基である)
から導かれる繰返し単位([−CR(COOX)−CH−]で示され、Xは上記式(1)の残基である)の2以上と、
下記式(2)で表される化合物:
Figure 2016102160
(式(2)において、mは2〜10の整数であり、nは1〜2の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、Rは互いに独立にエチレン又はプロピレンであり、Rは炭素数1〜6のアルキル基である)
から導かれる繰返し単位([−CR(COOX')−CH−]で示され、X'は上記式(2)の残基である)の2以上とを含む、共重合体を提供する。
さらに本発明は、上記式(1)及び式(2)で表される化合物と重合性の基を有する他の化合物をモノマー成分としてさらに含む共重合体を提供する。
また本発明は、前記共重合体を用いてなる眼科デバイスに関する。
本発明の共重合体は、透明度及び酸素透過率が高く、防汚性に優れ、且つ、耐加水分解性に優れる。従って、眼に適用するのに好適である。
実施例1で製造した化合物のH−NMRチャートである。
本発明は、特定構造を有する2種類の化合物を組合せてモノマー成分とすることを特徴とする共重合体である。本発明の共重合体は、上記式(1)が有する(メタ)アクリル基と式(2)が有する(メタ)アクリル基が反応し、主鎖にポリ(メタ)アクリル構造([−CR(COOX)−CH−]及び[−CR(COOX')−CH−]で示される繰返し単位を各々2個以上有する構造)を形成し、側鎖に、アルキレン鎖をスペーサーとするシロキサン鎖構造(上記式(1)の化合物由来、X)と、オキシアルキレンをスペーサーとするシロキサン鎖構造(上記式(2)の化合物由来、X')とを有する。より詳細には、Xは下記(1')で示される基であり、X'は下記(2')で示される基である。
Figure 2016102160
Figure 2016102160
各繰返し単位の数の上限は特に制限されるものでない。好ましくは、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計100質量部に対して、式(1)で表される化合物を5〜95質量部、好ましくは8〜92質量部で共重合反応して得られるものがよい。式(1)で表される化合物が前記下限値未満では共重合体の耐加水分解性が低くなる。一方、前記上限値を超えては、親水性が低くなり共重合体の透明性が損なわれる。共重合体の構造は特に制限されるものでなく、ブロック共重合体やランダム共重合体等、いずれであってもよい。上記式(1)で表される化合物と上記式(2)で表される化合物は共に液体状であるが、共重合することにより、無色透明の固体状になる。従来公知の成型法によりレンズの形状に成型して眼用デバイスとして好適に使用できる。
上記式(1)で表される化合物はスペーサー部分に特定鎖長を有するアルキレン構造を有することを特徴とする。これにより得られる重合体を含水した場合、該アルキレン基による疎水性効果により、水が、主鎖のポリ(メタ)アクリル鎖、これに近い部分に存在する親水性基、及びオキシアルキレン基の構造部分に偏在し、シロキサン部分と水が分断される。そのためシロキサンの加水分解が抑制され、耐加水分解性に優れた共重合体を与えることができる。さらに上記式(1)及び(2)で表されるシリコーン化合物は、組合せることにより他の重合性モノマーとの相溶性が向上し、無色透明である共重合体を与える。さらに、上記式(1)及び(2)で表されるシリコーン化合物は所定個数のケイ素原子を有するため、得られる共重合体は酸素透過性が高い。
以下、上記式(1)及び上記式(2)で表される化合物について、詳細に説明する。
[式(1)の化合物]
Figure 2016102160
上記式(1)において、kは2または3である。kが前記下限値未満では酸素透過率が低くなる。
上記式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が挙げられ、好ましくは、メチル基である。
上記式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が挙げられ、好ましくは、メチル基である。
上記式(1)において、Rは下記(a)
Figure 2016102160
で示される2価の基である。上記(a)においてdは7〜10の整数であり、特に好ましくは8である。式中、Rは水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基である。上記(a)において炭素原子に結合する水素原子の1以上は、炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。炭素原子に結合する基の中でも、炭素数1〜6の1価炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基が好ましい。特に好ましくは、Rは直鎖状のアルキレン基であり、置換されていないものが良い。該アルキレン基としては、例えば、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基が挙げられ、特に好ましくはオクチレン基である。本発明のシリコーン化合物におけるスペーサー部分の鎖長となるdの値が6以下であると得られる共重合体の耐加水分解性が低くなる。またdの値が11以上であると化合物の親水性が低くなる。
上記式(1)において、Rは水素原子又はメチル基である。
上記式(1)で示される化合物として、下記のものが特に好ましい。
Figure 2016102160
特に好ましくは、式(1)において各特定の一のk、R1、R、R及びRを有する1種が、化合物の質量全体のうち95質量%超、より好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上を成す化合物である。尚、本発明において各特定の一のk、R1、R、RおよびRを有する1種とは構造異性体を包含してよい。例えば、式(1)においてRが、1以上のヒドロキシル基を有するアルキレン基である場合、上記式(1)で示される化合物は(メタ)アクリル基の結合位置のみが異なる構造異性体を包含することがある。この場合において上記特定の構造を有する1種とは、構造異性体の混合物として化合物の質量全体のうち95質量%超、より好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上を成すことを意味する。本発明において、特定の構造を有する1種の含有量はガスクロマトグラフィー(以下「GC」とする)分析により求められる。詳細な条件は後述する。上記特定の1の構造を有する1種が化合物の質量全体のうち95質量%未満、例えば、異なるkを有する化合物が5質量%超存在するとき、他の重合性モノマーと混合したときに濁りを生じ、透明な共重合体が得られない場合がある。
式(1)において、kが3であり、Rがメチル基であり、Rがオクチレン基であり、Rがメチル基であるとき、該化合物の分子量は492であり、化合物全体の質量に対するシロキサンの質量割合は約60%である。即ち、該化合物はSi含量が高いため、得られる共重合体は高い酸素透過性を有する。
上記式(1)のモノマーを製造する方法は特に限定されないが、上記のような高純度を有する化合物は、例えば、下記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンと、
Figure 2016102160
(k、RおよびRは上述のとおりである)
下記式(4)で表される化合物とを、
Figure 2016102160
(式(4)において、d、R、及びRは上述のとおりである。Rは上記の通り置換されていてもよい)
付加反応させて製造することができる。上記式(4)で示される化合物は構造異性体を含んでいても良い。該構造異性体とは例えば、式(4)においてRの1以上がヒドロキシル基またはヒドロキシル基を有するアルキル基であり、(メタ)アクリル基の結合位置のみが異なる化合物である。
該付加反応は従来公知の方法に従えばよい。例えば、白金族化合物等の付加反応触媒の存在下で行う。その際、溶剤を使用してもよく、例えばヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等の脂肪族、芳香族系溶剤、エタノール、IPA等のアルコール系溶剤が好適に使用出来る。配合比率は従来公知の方法に従えばよく、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン1モルに対し上記式(4)で表される化合物を1.2モル以上、好ましくは1.5モル以上使用するのがよい。上限は特に制限されないが、通常5モル以下、特には3モル以下である。
上記式(4)で表される化合物としては、好ましくは、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016102160
好ましい態様としては、例えば、式(4)で表される化合物を必要に応じて溶剤で希釈し、そこへ白金系ヒドロシリル化触媒を添加する。白金系ヒドロシリル化触媒の種類は特に制限されず、従来公知のものが使用できる。さらに、室温もしくはそれ以上の温度でポリオルガノハイドロジェンシロキサンを滴下して反応させる。滴下終了後、加温下で熟成した後、原料ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの有無を、例えばGC測定においてピークが消失したことで確認する。反応終点をGC測定により確認することにより、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが生成物中に残存しないため高純度のシリコーン化合物を得ることができる。尚、上記反応は一括で行っても良い。
付加反応終了後に、反応液から過剰の式(4)で表される化合物を除去する。該方法としては、減圧下ストリップ、または、イオン交換水もしくはぼう硝水で反応物を水洗して式(4)で表される化合物を水層へ抽出し除去する方法が挙げられる。この際、良好な2層分離を得る為に、トルエン、ヘキサン等の溶剤を適当量使用するのが好ましい。特には、反応物から式(4)で表される化合物を減圧ストリップすることで、上記式(1)のシリコーン化合物を、95質量%超、更には約97質量%以上、さらには99質量%以上の高純度で得ることができる。
尚、純度は、GCのピーク面積の割合に基づく。水素炎イオン化型検出器(FID)を用いた場合、ピーク面積は炭素数に比例するので、その割合は生成物中の質量%にほぼ等しい。
上記式(1)で表される化合物の別の製造方法として、上記式(3)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサンの代わりにクロロシラン化合物を用いた付加反応、及び続く加水分解縮合反応による製造方法が挙げられる。クロロシラン化合物とは、例えば、トリクロロシラン、アルキルジクロロシラン等である。
クロロシラン化合物を用いる場合は、先ず、上記式(4)の化合物とクロロシラン化合物を付加反応させて、例えば下記に示すクロロシラン付加物を製造する。
Figure 2016102160
(上記式において、R、R、及びRは、上述の通りである)
該付加反応は従来公知の方法に従えばよく、上述した付加反応触媒の存在下で行えばよく、必要に応じて上述した溶剤を使用してもよい。配合比率は従来公知の方法に従えばよく、クロロシラン化合物1モルに対し上記式(4)で表される化合物を1.2モル以上、好ましくは1.5モル以上使用するのがよい。上限は特に制限されないが、通常5モル以下、特には3モル以下である。
次いで該クロロシラン付加物と、アルコキシシラン化合物またはクロロシラン化合物とを加水分解縮合反応させることによって上記式(1)で表される化合物を含む反応物が得られる。特には、該反応物から副生した化合物を減圧ストリップすることで、上記式(1)のシリコーン化合物を、95質量%超、更には約97質量%以上の高純度で得ることができる。上記アルコキシシラン化合物とは、例えばトリアルキルアルコキシシランであり、クロロシラン化合物とは、例えばトリアルキルクロロシランである。
上記加水分解縮合反応は従来公知の方法に従えばよく、水の存在下、必要に応じて溶剤の存在下で行えばよい。溶剤は、例えばヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等の脂肪族、芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、IPA等のアルコール系溶剤が挙げられる。配合比率は従来公知の方法に従えばよく、クロロシラン付加物1モルに対しアルコキシシラン化合物またはクロロシラン化合物を3〜9モル、好ましくは4〜6モル使用するのがよい。
[式(2)の化合物]
Figure 2016102160
上記式(2)において、mは2〜10、好ましくは3〜7の整数であり、最も好ましくは3である。mが前記下限値未満では酸素透過率が低くなる。一方、mが前記上限値を超えては、親水性が低くなる。
上記式(2)において、nは1〜2の整数である。nが前記下限値未満では親水性が低くなる。一方、nが前記上限値を超えては、耐加水分解性が低くなる。
上記式(2)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が挙げられる。好ましくはブチル基である。
上記式(2)において、RおよびRは互いに独立に、水素原子又はメチル基である。Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基が挙げられる。好ましくはメチル基である。
上記式(2)において、Rは互いに独立にエチレン又はプロピレンである。プロピレンは−CH(CH)CH−及び−CHCH(CH)−のいずれでもよい。好ましくは−(RO)−で表される構造が、エチレンオキサイド構造、エチレンオキサイド−エチレンオキサイド構造、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド構造、またはプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド構造であるのが好ましい。これにより親水性のバランスが良好な化合物になる。特に好ましくは、nが1であるエチレンオキサイド構造を有するのがよい。尚、プロピレンオキサイド構造が多いと、共重合体の疎水性が高くなりすぎ親水性が損なわれる場合がある。
特に好ましくは、式(2)において各特定の一のm、n、R、R、R、R及びRを有する1種が、化合物の質量全体のうち95質量%超、より好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上を成す化合物である。本発明において、該特定の構造を有する1種の含有量はガスクロマトグラフィー(以下「GC」とする)分析により求められる。詳細な条件は後述する。該特定の構造を有する1種の含有量が95質量%未満、例えば、異なるmを有する化合物が5質量%超存在するとき、他の重合性モノマーと混合したときに濁りを生じ、透明な共重合体が得られない場合がある。
式(2)において、mが3であり、nが1であり、Rがブチル基であり、Rが水素原子であり、Rがメチル基であり、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であるとき、該化合物の分子量は582であり、化合物全体の質量に対するシロキサンの質量割合は約60%である。即ち、該化合物はSi含量が高いため、得られる共重合体は高い酸素透過性を有する。
上記式(2)で表される化合物を製造する方法は特に限定されないが、上記のような高純度を有する化合物は例えば、下記式(5)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
Figure 2016102160
(m、R、およびRは上述のとおりである)
下記式(6)で表される化合物とを、
Figure 2016102160
(n、R、R、及びRは上述のとおりである)
付加反応させて製造することができる。
該付加反応は従来公知の方法に従えばよい。例えば、白金族化合物等の付加反応触媒の存在下で行う。その際、溶剤を使用してもよく、例えばヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等の脂肪族、芳香族系溶剤、エタノール、IPA等のアルコール系溶剤が好適に使用出来る。配合比率は従来公知の方法に従えばよく、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン1モルに対し式(6)で表される化合物を1.2モル以上、好ましくは1.5モル以上使用するのがよい。上限は特に制限されないが、通常5モル以下、特には3モル以下である。
上記式(6)で表される化合物としては、好ましくは、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016102160
好ましい態様としては、例えば、式(6)で表される化合物を必要に応じて溶剤で希釈し、そこへ白金系ヒドロシリル化触媒を添加する。白金系ヒドロシリル化触媒の種類は特に制限されず、従来公知のものが使用できる。さらに、室温もしくはそれ以上の温度でポリオルガノハイドロジェンシロキサンを滴下して反応させる。滴下終了後、加温下で熟成した後、原料ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの有無を、例えばGC測定においてピークが消失したことで確認する。反応終点をGC測定により確認することにより、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが生成物中に残存しないため高純度のシリコーン化合物を得ることができる。尚、上記反応は一括で行っても良い。
付加反応終了後に、反応液から過剰の式(6)で表される化合物を除去する。該方法としては、減圧下ストリップ、または、イオン交換水もしくはぼう硝水で反応物を水洗して式(6)で表される化合物を水層へ抽出し除去する方法が挙げられる。この際、良好な2層分離を得る為に、トルエン、ヘキサン等の溶剤を適当量使用するのが好ましい。特には、反応物から式(6)で表される化合物を減圧ストリップすることで、上記式(2)のシリコーン化合物を、95質量%超、更には約97質量%以上、さらには99質量%以上の高純度で得ることができる。
上記式(5)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、上述した式(3)で表される化合物と同じく公知の方法で製造することができる。
上記式(2)で表される化合物の別の製造方法として、下記式(7)で表されるシリコーン化合物と
Figure 2016102160
(式(7)において、m、n、R、R、R及びRは上述のとおりである)
下記式(8)で表される(メタ)アクリル酸ハライドとを
Figure 2016102160
(式(8)において、XはCl、Br、又はIであり、Rは上述のとおりである)
反応させる工程を含む製造方法が挙げられる。
該反応は、上記式(7)で表されるポリオルガノシロキサンの、トルエンまたはヘキサン等の溶液中に、上記式(8)で表される酸ハライド、好ましくは酸クロライドを、徐々に添加して、水浴等で冷却しながら0〜50℃の温度で行なうことが好ましい。
式(8)で表される酸ハライドの量は、式(7)で表されるポリオルガノシロキサン1モルに対して1〜3モル、好ましくは1.05〜2モルであるのがよい。上記下限値未満では式(7)のポリオルガノシロキサンが未反応物として残存するため、高純度の化合物が得られない。また上記上限値を超えると経済的に不利である。
上記反応は好ましくは酸捕捉剤の存在下で行うのがよい。酸捕捉剤の存在下で反応させるとより収率が高くなる。該酸捕捉剤としては、各種アミン、例えばトリエチルアミン、ピリジンが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。酸補足剤の量は、上記式(8)で表される(メタ)アクリル酸ハライド1モルに対して1モル〜2モル程度である。
(メタ)アクリル酸ハライドの純度は得られるシリコーン化合物(式(2))の純度に影響する。そのため、(メタ)アクリル酸ハライドは高純度品であることが好ましい。特に好ましくは、市販されている純度99%以上を有する(メタ)アクリル酸クロライドを使用することが好ましい。酸クロライドを使用した反応では、副反応はほぼ認められない。
本発明の方法の好ましい態様は、反応中、GC測定で残存シリコーン化合物(式(7))の有無をモニタリングし、そのピーク消失を確認した後に、反応物に水を投入して攪拌する。その後、静置させて有機層と水層に分離する。有機層を数回水洗した後、有機層中の溶剤をストリップする。該方法により、GC測定における純度95質量%超の目的物を得ることができる。
尚、純度は、GCのピーク面積の割合に基づく。水素炎イオン化型検出器(FID)を用いた場合、ピーク面積は炭素数に比例するので、その割合は生成物中の質量%にほぼ等しい。
上記式(7)で表される化合物を製造する方法は特に限定されないが、例えば、下記式(5)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
Figure 2016102160
(m、RおよびRは上述のとおりである)
下記式(9)で表される化合物(以下、アルケニルアルコール化合物という)とを、
Figure 2016102160
(n、R6及びR8は上述のとおりである)
付加反応させて製造することができる。
また、アルケニルアルコール化合物の水酸基をヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤によりシリルエステルにし、上記付加反応後にシリルエステルを加水分解して、式(7)のシリコーン化合物を得ても良い。
該付加反応は従来公知の方法に従えばよい。例えば、白金族化合物等の付加反応触媒の存在下で行う。その際、溶剤を使用してもよく、例えばヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等の脂肪族、芳香族系溶剤、エタノール、IPA等のアルコール系溶剤が好適に使用出来る。配合比率は従来公知の方法に従えばよく、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン1モルに対しアルケニルアルコール化合物を1.2モル以上、好ましくは1.5モル以上使用する。上限は特に制限されないが、通常5モル以下、特には3モル以下である。
上記式(9)で表されるアルケニルアルコール化合物としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016102160
好ましい態様としては、例えば、アルケニルアルコール化合物を必要に応じて溶剤で希釈し、そこへ白金系ヒドロシリル化触媒を添加する。白金系ヒドロシリル化触媒の種類は特に制限されず、従来公知のものが使用できる。さらに、室温もしくはそれ以上の温度でポリオルガノハイドロジェンシロキサンを滴下して反応させる。滴下終了後、加温下で熟成した後、原料ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの有無を、例えばGC測定においてピークが消失したことで確認する。反応終点をGC測定により確認することにより、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが生成物中に残存しないため高純度のシリコーン化合物を得ることができる。尚、上記反応は一括で行っても良い。
付加反応終了後に、反応液から過剰のアルケニルアルコール化合物を除去する。該方法としては、減圧下ストリップ、または、イオン交換水もしくはぼう硝水で反応物を水洗してアルケニルアルコール化合物を水層へ抽出し除去する方法が挙げられる。この際、良好な2層分離を得る為に、トルエン、ヘキサン等の溶剤を適当量使用するのが好ましい。特には、有機層から溶剤を減圧ストリップすることで、上記式(2)のシリコーン化合物を、95質量%超、更には約97質量%以上の高純度で得ることができる。より純度を高めるために、蒸留を複数回行なってもよい。
上記式(5)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、上述した式(3)で表される化合物と同じく公知の方法で製造することができる。
本発明は更に、上記式(1)及び上記式(2)の化合物と重合性の基を有する他のモノマー化合物をさらに重合成分として含む共重合体を提供する。該共重合体において、他のモノマー化合物の配合比率は特に制限されるものでないが、例えば、モノマー成分の合計100質量部に対して、上記式(1)で表される化合物と上記式(2)で表される化合物の合計質量部が、30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部であるのがよい。
他の重合性モノマー化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3―ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;その他の不飽和脂肪族もしくは芳香族化合物、例えばクロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸;及び(メタ)アクリル基などの重合性基を有するシリコーンモノマーが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明の上記式(1)で表される化合物と、上記式(2)で表される化合物と、任意的な他の重合性モノマー化合物との共重合反応は、従来公知の方法に従えばよい。例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤など既知の重合開始剤を使用して行うことができる。該重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられる。これら重合開始剤は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。重合開始剤の配合量は、重合成分の合計100質量部に対して0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部であるのがよい。
本発明の共重合体は、無色透明であり、酸素透過性、機械的強度、及び防汚性に優れ、且つ、耐加水分解性に優れる。従って、眼科デバイス、例えば、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜を製造するのに好適である。該共重合体を用いた眼科デバイスの製造方法は特に制限されるものでなく、従来公知の眼科デバイスの製造方法に従えばよい。例えば、コンタクトレンズ、眼内レンズなどレンズの形状に成形する際には、切削加工法や鋳型(モールド)法などを使用できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記実施例において、粘度はキャノンフェンスケ粘度計を用い、比重は浮秤計を用いて測定した。屈折率はデジタル屈折率計RX−5000(アタゴ社製)を用いて測定した。H−NMR分析は、JNM−ECP500(日本電子社製)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して実施した。また、ガスクロマトグラフィー(GC)測定は以下の条件により行った。
ガスクロマトグラフィー(GC)測定条件
ガスクロマトグラフ:Agilent社製
検出器:FID、温度300℃
キャピラリーカラム:J&W社 HP−5MS(0.25mm×30m×0.25μm)
昇温プログラム:50℃(5分)→10℃/分→250℃(保持)
注入口温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム(1.0ml/分)
スプリット比: 50:1
注入量:1μl
[合成例1]
シリコーン化合物1の合成
下記式(10)の化合物62.7g(0.32mol)、メチルシクロヘキサン100gを、攪拌機、ジムロート、温度計、及び滴下ロートを付けた1リットルフラスコに仕込み、70℃まで昇温した。塩化白金酸アルカリ中和物ビニルシロキサン錯体触媒トルエン溶液(白金含有量0.5%)0.15gを前記フラスコ中に添加した後、滴下ロートを用いて、トリクロロシラン27.1g(0.2mol)を1時間かけて前記フラスコ中へ滴下した。100℃で1時間熟成後に反応物をGCで分析したところ、原料のトリクロロシランのピークが消失し、反応が完結したことを示した。メチルシクロヘキサンを減圧ストリップすることにより、下記式(11)で表される、無色透明液体の生成物63.0g(0.18mol、収率90%)を得た。
Figure 2016102160
Figure 2016102160
水72g(4.0mol)、メチルシクロヘキサン50g、メタノール50gを、攪拌機、ジムロート、温度計、及び滴下ロートを付けた1リットルフラスコに仕込み、0℃に冷却した。上記式(11)の化合物33.2g(0.1mol)およびメトキシトリメチルシラン62.4g(0.6mol)の混合物を0℃に保ちながら3時間かけて滴下した。反応溶液を室温で8時間攪拌した後、水層を捨て、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、溶媒および副生成物を減圧ストリップして、無色透明液体44.3g(0.09mol、収率90%)を得た。更にこれを減圧下で蒸留することにより、無色透明液体27.1g(0.055mol、蒸留収率61.3%)を沸点136℃、15Paで得た。H−NMR分析で、下記式(12)で表されるシリコーン化合物であることが確認された(シリコーン化合物1)。該シリコーン化合物のH−NMRチャートを図1に示す。GC測定による該シリコーン化合物の純度は98.4質量%であり、粘度は8.8mm2/s(25℃)であり、比重は0.916(25℃)であり、屈折率は1.4266であった。
Figure 2016102160
[合成例2]
シリコーン化合物2の合成
エチレングリコールモノアリルエーテル76.5g(0.75mol)、トルエン100gを、ジムロート、温度計、及び滴下ロートを付けた1リットルフラスコに仕込み、70℃まで昇温した。塩化白金酸アルカリ中和物ビニルシロキサン錯体触媒トルエン溶液(白金含有量0.5%)0.38gを前記フラスコ中に添加した後、滴下ロートを用いて、1−ブチル−9−ヒドロ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン206g(0.5mol)を1時間かけて前記フラスコ中へ滴下した。内温は85℃まで上昇した。100℃で1時間熟成後に反応物をGCで分析したところ、原料モノブチルデカメチルヒドロペンタシロキサンのピークが消失し、反応が完結したことを示した。反応物に200gのイオン交換水を加え、攪拌しながら水洗し、静置して相分離させ、過剰のエチレングリコールモノアリルエーテルを含む水層を除去した。同様にして、200gイオン交換水で2回水洗し、有機層のトルエンを減圧ストリップして、下記式(13)のシリコーン化合物を242g(収率94%)得た。下記条件のGCによる該シリコーン化合物の純度は99.4質量%だった。
Figure 2016102160
得られた上記式(13)のシリコーン化合物205.6g(0.4mol)、脱塩酸剤トリエチルアミン50.6g(0.5mol)、ヘキサン500gを、ジムロート、温度計、滴下ロートを付けた、2リットルフラスコに仕込み、フラスコを水浴中で冷却しながら、メタクリル酸クロライド48.1g(0.46mol)とヘキサン50gの混合物を1時間かけて滴下した。内温は20℃から30℃まで上昇した。水浴をはずし、式(13)のシリコーン化合物のピークをGCでモニターしながら室温で熟成した。10時間後に、式(13)のシリコーン化合物のピークが、GCでの検出限界以下になったので、反応液にイオン交換水500g加え水洗した。静置分離して水層をカットした後、さらに2回水洗した。有機層から溶媒のヘキサン等を減圧ストリップすることにより、下記式(14)で表される化合物を得た(シリコーン化合物2)。得られた化合物は無色透明液体であり、該シリコーン化合物のGCによる純度は98.3質量%であった。
Figure 2016102160
[合成例3]
シリコーン化合物3の合成
特許第4783963号(特許文献6)の[実施例1](段落0057〜段落0059)に記載の製造方法に従い、下記式(15)で表される化合物(5−メタクリロキシペンチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)を得た(シリコーン化合物3)。得られた化合物は微黄色透明液体であり、該シリコーン化合物のGCによる純度は98.1質量%であった。
Figure 2016102160
[合成例4]
シリコーン化合物4の合成
特許第4783963号(特許文献6)の[実施例4](段落0057〜段落0059及び段落0062)に記載の製造方法に従い、下記式(16)の化合物(11−メタクリロキシウンデシルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)を得た(シリコーン化合物4)。得られた化合物は微黄色透明液体であり、該シリコーン化合物のGCによる純度は97.8質量%であった。
Figure 2016102160
モノマー混合物の調製
[実施例1−3、比較例1−5]
上記シリコーン化合物1〜4及び下記式(17)で表されるシリコーン化合物5(TRIS、Gelest社製)を下記表1及び2に示す組成及び配合量で混合した混合物60質量部、N,N−ジメチルアクリルアミド35質量部、トリエチレングリコールジメタクリレート1質量部、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート5質量部、及びダロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)0.5質量部を混合し撹拌して、モノマー混合物1〜8を調製した。
Figure 2016102160
Figure 2016102160
Figure 2016102160
(1)他の重合性モノマーとの相溶性
上記で得たモノマー混合物1〜8の外観を目視により観察した。シリコーン化合物と他の(メタ)アクリル化合物との相溶性が良好である混合物は無色透明になるが、相溶性が悪い混合物は濁りを生じる。結果を下記表3及び4に示す。
(2)フィルム(共重合体)の外観
上記で得たモノマー混合物1〜8各々をアルゴン雰囲気下で脱気した。該混合液を、石英ガラス板2枚をはさんだ鋳型に流し込み、超高圧水銀ランプで1時間照射して厚さ約0.3mmのフィルムを得た。該フィルムの外観を目視観察した。結果を下記表3及び4に示す。
(3)フィルム(共重合体)の水濡れ性(表面親水性)
上記(2)で製造したフィルムに対して、接触角計CA−D型(協和界面科学株式会社製)を用い、液適法にて水接触角(°)の測定を行った。結果を下記表3及び4に示す。
(4)フィルム(共重合体)の耐汚染性
上記(2)で製造したフィルムを37℃リン酸緩衝液(PBS(−))に24時間浸漬した。PBS(一)浸漬前および24時間浸漬した後の各フィルムを、公知の人工脂質液中にて、37℃±2℃にて8時間インキュベートした。その後、PBS(−)にて濯ぎ洗いをし、0.1%スダンブラック−胡麻油溶液に浸漬した。浸漬前後で染色状態に差異が確認されない場合を○、確認された場合を×とした。結果を下記表3及び4に示す。
(5)フィルム(共重合体)の耐久性
上記(2)に従いフィルムを2枚作製し、その内の1枚の表面水分を拭き取った後に37℃リン酸緩衝液(PBS(一))に24時間浸漬した。PBS(一)に浸漬していないフィルムおよび24時間浸漬後のフィルム各々を幅2.0mmのダンベル形状にカットし、試験サンプルの上下端を冶具で挟み、一定速度で引張続けた際の破断強度および破断伸度を、破断試験機AGS−50NJ(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。PBS(一)に浸漬していないフィルムと浸漬したフィルムにおいて、破断強度と破断伸度の変化が夫々10%以内の場合は○とし、いずれか一方に10%を超える減少が認められる場合は×とした。結果を下記表3及び4に示す。
Figure 2016102160
Figure 2016102160
表4に示すように、本発明の上記式(1)で示される化合物を含まない比較例1の重合体および本発明の上記式(2)で示される化合物を含まない比較例2の重合体は、リン酸緩衝液(水溶液)に対する機械的強度の耐久性に劣る。すなわち、上記式(1)で示される化合物及び式(2)で示される化合物をそれぞれ単独で、モノマー成分として含む重合体は耐加水分解性に劣る。また、これらの化合物は他の(メタ)アクリル系モノマーとの相溶性が悪く、透明な重合物を得られず、さらには水濡れ性にも劣る。
これに対し表3に示す通り、本発明の上記式(1)で示される化合物と上記式(2)で示される化合物とを組合せてモノマー成分として含む共重合体(実施例1〜3)は、機械的強度の耐久性(即ち、耐加水分解性)に優れる。即ち、上記2つの化合物を組合せることにより共重合体の耐加水分解性が向上する。さらに、得られる共重合体は無色透明であり、上記2つの化合物を組合せることにより他の(メタ)アクリル系モノマーとの相溶性が向上する。また、フッ素置換基含有(メタ)アクリル系モノマーとも良好に相溶し、水濡れ性及び耐汚染性に優れる共重合体となる。
尚、比較例4に示す通り、上記式(1)においてスペーサー部分のアルキル鎖の炭素数が5(即ち、7未満)である化合物は、上記式(2)の化合物と組合せても、得られる共重合体は機械的強度の耐久性に劣る。従って、耐加水分解性に優れる共重合体は得られない。
さらに比較例5に示す通り、上記式(1)においてスペーサー部分のアルキル鎖の炭素数が11(即ち、10超)である化合物は、上記式(2)の化合物と組合せても無色透明の共重合体を得られない。モノマー混合物の外観は無色透明であったが、シリコーン化合物4は親水性が低いため、他のモノマーとの共重合が上手く進まなかったためである。
本発明の上記式(1)で示される化合物に替えて従来の眼用モノマーであるTRISを使用した比較例3の共重合体も、機械的強度の耐久性(即ち、耐加水分解性)に劣る。
本発明の共重合体は耐加水分解性に優れ、リン酸緩衝液中での機械的強度の耐久性に優れる。さらに本発明の共重合体は、無色透明であり、酸素透過性、水濡れ性、及び耐汚染性に優れる。従って、本発明の共重合体は、コンタクトレンズ材料、眼内レンズ材料、及び人工角膜材料など、眼科デバイスの製造のために有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される化合物:
    Figure 2016102160
    (式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、kは2または3であり、Rは下記(a)
    Figure 2016102160
    で示される2価の基であり、dは7〜10の整数であり、Rは水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、上記(a)において炭素原子に結合する水素原子の1以上が炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基で置換されていてもよい、Rは水素原子又はメチル基である)
    から導かれる繰返し単位([−CR(COOX)−CH−]で示され、Xは上記式(1)の残基である)の2以上と、
    下記式(2)で表される化合物:
    Figure 2016102160
    (式(2)において、mは2〜10の整数であり、nは1〜2の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、RおよびRは互いに独立に、水素原子又はメチル基であり、Rは互いに独立にエチレン又はプロピレンであり、Rは炭素数1〜6のアルキル基である)
    から導かれる繰返し単位([−CR(COOX')−CH−]で示され、X'は上記式(2)の残基である)の2以上とを含む、共重合体。
  2. 式(1)において各特定の一のk、R1、R、RおよびRを有する1種が、化合物の質量全体のうち95質量%超を成す、請求項1記載の共重合体。
  3. 式(2)において各特定の一のm、n、R、R、R、R及びRを有する1種が、化合物の質量全体のうち95質量%超を成す、請求項1または2記載の共重合体。
  4. 式(2)においてRがエチレンである、請求項1〜3のいずれか1項記載の共重合体。
  5. 式(1)においてkが2または3であり、Rがオクチレン基であり、且つ、式(2)においてmが3である、請求項1〜4のいずれか1項記載の共重合体。
  6. 上記式(1)で表される化合物と上記式(2)で表される化合物の合計100質量部に対し上記式(1)で表される化合物の量が5〜95質量部で共重合された、請求項1〜5のいずれか1項記載の共重合体。
  7. 上記式(1)及び式(2)で表される化合物と重合性の基を有する他の化合物をモノマー成分としてさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の共重合体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の共重合体からなる眼科デバイス。
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