JP2016101588A - 切削工具とその製造方法およびレーザ加工方法とレーザ加工装置 - Google Patents

切削工具とその製造方法およびレーザ加工方法とレーザ加工装置 Download PDF

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Kazuo Nakamae
一男 仲前
義則 谷川
Yoshinori Tanigawa
義則 谷川
幸輔 脇田
Kosuke Wakita
幸輔 脇田
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Abstract

【課題】切削工具の製造工程において、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができる技術を提供する。【解決手段】レーザを走査させることにより切削工具材料を所定形状に切断する切削工具の製造方法であって、レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、高速切断用レーザを走査させて切削工具材料を所定形状に切断した後、切断により生じた面である切削工具材料の切断面に平滑化用レーザを走査させて切断面を平滑化する切削工具の製造方法。高速切断用レーザの出力が20W以上であり、平滑化用レーザの出力が20W未満である切削工具の製造方法。平滑化用レーザのパルス幅が10nsec以下である切削工具の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ダイヤモンド等を切削工具材料に用いた切削工具とその製造方法およびレーザ加工方法とレーザ加工装置に関する。
精密切削加工を行う切削工具には、硬度が高く耐摩耗性に優れたダイヤモンド等が用いられている。このような切削工具は、切削工具材料にレーザを走査させて所定形状に切断加工することにより製造されている。その切断面は平滑であることが求められている。
このため、従来、2つの直線偏光レーザをその偏光方向が直交するように合波したレーザを用いて切削工具材料を切断することによりレーザ切断後の切断面を平滑にする技術(特許文献1)が提案されている。また、生産性の向上や製造コスト低減の観点からは加工速度の高速化の要求がある。切断面を平滑にすると共に速い加工速度で加工を行うために、切削工具材料の切断面に対して所定の周波数のレーザを再走査させる技術(特許文献2)などが提案されている。
特開2012−110963号公報 特開2013−220525号公報
近年、生産性の向上や製造コスト低減の観点から加工速度の更なる向上に対する要請は益々強くなっている。しかし、上記したような従来技術では、切断面の平滑化と加工速度の高速化とを両立させることに限界があり、未だ充分とは言えなかった。
そこで、本発明は、切削工具の製造工程において、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る切削工具の製造方法は、
レーザを走査させることにより切削工具材料を所定形状に切断する切削工具の製造方法であって、
前記レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、
前記高速切断用レーザを走査させて前記切削工具材料を所定形状に切断した後、
前記切断により生じた面である前記切削工具材料の切断面に前記平滑化用レーザを走査させて前記切断面を平滑化する切削工具の製造方法である。
また、本発明の一態様に係る切削工具は、
前記切削工具の製造方法を用いて製造されている切削工具である。
また、本発明の一態様に係るレーザ加工方法は、
レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断するレーザ加工方法であって、
前記レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、
前記高速切断用レーザを走査させて前記加工対象物を所定形状に切断した後、
前記切断により生じた面である前記加工対象物の切断面に前記平滑化用レーザを走査させて前記切断面を平滑化するレーザ加工方法である。
また、本発明の一態様に係るレーザ加工装置は、
レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断するレーザ加工装置であって、
少なくとも、高出力の高速切断用レーザを発振させる高速切断用レーザ発振機構と、短パルスの平滑化用レーザを発振させる平滑化用レーザ発振機構とを備えており、
さらに、発振された各レーザを前記加工対象物まで導く光路と、
前記光路上に設けられており、前記高速切断用レーザと前記平滑化用レーザとを切り換える切換機構とを備えたレーザ加工装置である。
上記発明によれば、切削工具の製造工程において、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができる技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る切削工具の製造に使用されるレーザ加工装置を模式的に示す斜視図である。 実施例においてYAGレーザ照射による切断後の切断面の表面粗さを測定した結果を示す図である。 実施例においてYVOレーザ照射による平滑化後の切断面の表面粗さを測定した結果を示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
以下、本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る切削工具の製造方法は、
レーザを走査させることにより切削工具材料を所定形状に切断する切削工具の製造方法であって、
前記レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、
前記高速切断用レーザを走査させて前記切削工具材料を所定形状に切断した後、
前記切断により生じた面である前記切削工具材料の切断面に前記平滑化用レーザを走査させて前記切断面を平滑化する切削工具の製造方法である。
本発明者は、加工速度の高速化と切断面の平滑化とを両立させるために、種々の検討と実験を行った結果、以下に示す理由により、上記した特許文献1および特許文献2のような従来技術では加工速度の高速化と切断面の平滑化との両立に限界があることが分かった。
即ち、加工速度の高速化の観点からは、高出力のレーザを用いることが考えられるが、このような高出力のレーザはパルス幅が長いため、切削工具材料に照射した場合に余分な熱が入って、切断面に熱変質層が多く形成されて粗くなる恐れがある。
一方、切断面に熱変質層が形成されることを抑制できる短パルスのレーザを用いると、余分な熱が入らず、切断面を平滑化することができるが、加工速度の高速化を図ろうとすると、高出力化する必要がある。しかし、短パルスのレーザの高出力化には急激なエネルギーが必要であり、このエネルギーによりレーザ結晶が壊れる恐れがあるため、加工速度を高速化することが難しい。
以上のように、高出力の高速切断用レーザには切断面の平滑化の点、短パルスの平滑化用レーザには加工速度の高速化の点においてそれぞれ限界があるため、従来技術のように一種類のレーザを用いる方法では、加工速度の高速化と切断面の平滑化とを両立させることに限界があることが分かった。
そこで、本発明者は、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとを適切に組み合わせれば、上記の問題が解消できると考え、検討を行った結果、高速切断用レーザにより高速で切削工具材料を切断した後、平滑化用レーザにより切断面を平滑化する上記態様の切削工具の製造方法を完成させるに至った。
このような本発明の一態様に係る切削工具の製造方法によれば、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができるため、切削工具の製造において、高品質の切削工具を低コストで生産性高く製造することができる。
なお、上記において、「高出力の高速切断用レーザ」とは、10kHz以下の時、平均出力20W以上でパルス幅10nsec以上のレーザを指し、「短パルスの平滑化用レーザ」とは20kHz以下の時、平均出力20W未満でパルス幅10nsec未満のレーザを指している。
(2)また、前記高速切断用レーザはYAGレーザであり、前記平滑化用レーザはYVOレーザであることが好ましい。
YAGレーザは、容易に高出力を得ることができるため、高速に切削工具材料を切断する高速切断用レーザとして好ましい。一方、YVOレーザは、短パルスのレーザの中でも熱変質層の形成をより適切に抑制して平滑な切断面を容易に形成することができるため、平滑化用レーザとして好ましい。
なお、YVOレーザとしては、波長がより短く、熱変質層の形成を適切に抑制できるだけでなくレーザ発振装置が安価なSHG YVOレーザ(Second Harmonic Generation YVO Laser)や、波長がさらに短く熱変質層の形成をより適切に抑制できるTHG YVOレーザ(Third Harmonic Generation YVO Laser)などを用いることがより好ましい。
(3)前記高速切断用レーザの出力は20W以上であり、かつ、前記平滑化用レーザの出力は20W未満であることが好ましい。
加工速度を適切に高速化するという観点から、高速切断用レーザの出力は、20W以上に設定することが好ましい。一方、平滑化用レーザの出力は、平滑化用レーザのレーザ結晶が壊れることを防止するという観点から、20W未満に設定することが好ましい。このときレーザの出力は、所定のパルス周波数に設定した時の平均出力を示し、所定のパルス周波数は、高速切断用レーザの場合、10kHz以下が望ましく、平滑用レーザの場合、20kHz以下が望ましい。
(4)前記平滑化用レーザのパルス幅は10nsec以下であることが好ましい。ここでパルス幅とは時間軸上での半値全幅を指す。
切断面の平滑化に際して、余分な熱を加えずに熱変質層の形成を適切に抑制するという観点から、平滑化用レーザのパルス幅は10nsec以下にすることが好ましい。
(5)前記切削工具材料は単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドであることが好ましい。
一般に、単結晶ダイヤモンドや多結晶ダイヤモンドのような硬度が高い脆性材料を用いて切削工具を製造する場合、従来の切削工具の製造方法では加工に時間がかかる。しかし、本実施態様の切削工具の製造方法を適用した場合には、単結晶ダイヤモンドや多結晶ダイヤモンドであっても、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができるため、効率的なタクトを構成させて上記の切削工具の製造方法の効果をより顕著に発揮させることができる。
(6)また、本発明の一態様に係る切削工具は、
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の切削工具の製造方法を用いて製造されている切削工具である。
前記した通り、高出力の高速切断用レーザを用いて切削工具材料を高速で切断した後、平滑化用レーザを用いて切削工具材料の切断面を平滑化することにより、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができるため、高品質の切削工具を低コストで生産性高く提供することができる。なお、このような切削工具としては、例えば、チップブレーカ、エンドミル工具、ダイス工具などが挙げられる。
(7)また、本発明の一態様に係るレーザ加工方法は、
レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断するレーザ加工方法であって、
前記レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、
前記高速切断用レーザを走査させて前記加工対象物を所定形状に切断した後、
前記切断により生じた面である前記加工対象物の切断面に前記平滑化用レーザを走査させて前記切断面を平滑化するレーザ加工方法である。
前記した通り、高出力の高速切断用レーザを用いて加工対象物を高速で切断した後、平滑化用レーザを用いて加工対象物の切断面を平滑化することにより、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができる。
(8)また、本発明の一態様に係るレーザ加工装置は、
レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断するレーザ加工装置であって、
少なくとも、高出力の高速切断用レーザを発振させる高速切断用レーザ発振機構と、短パルスの平滑化用レーザを発振させる平滑化用レーザ発振機構とを備えており、
さらに、発振された各レーザを前記加工対象物まで導く光路と、
前記光路上に設けられており、前記高速切断用レーザと前記平滑化用レーザとを切り換える切換機構とを備えたレーザ加工装置である。
このように、高速切断用レーザと平滑化用レーザとを発振させることができ、これらのレーザを切り換えるように構成されたレーザ加工装置を用いることにより、容易に高速切断用レーザと平滑化用レーザとを切り換えてレーザ加工を行うことができるため、前記の製造方法を採用することにより、加工速度の高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る切削工具の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(1)レーザ加工装置
図1は、本実施形態に係る切削工具の製造に使用されるレーザ加工装置を模式的に示す斜視図である。図1において、1はレーザ加工装置、11aは高速切断用レーザ発振機構としてのYAGレーザ発振装置、11bは平滑化用レーザ発振機構としてのYVOレーザ発振装置11b、12a〜12cはミラー、20は可動ミラー、13は集光レンズ、14は精密5軸ステージ、15は光路、Wはワーク(切削工具材料)である。
なお、図1では、上記したように、高速切断用レーザ発振機構として、YAGレーザ発振装置11a(波長1064nm)が用いられているが、高速切断用レーザとしてはファイバーレーザなどを用いることもできる。
また、YAGレーザ発振装置11aは、出力が20W以上であることが好ましい一方、10,000Wを超えると熱変質層が大きくなりすぎ、ワーク全体が熱変質することから、20〜10,000Wに設定されていることが好ましく、30〜100Wに設定されているとより好ましい。
また、YAGレーザのパルス幅は、10nsec以上、例えば、10nsec以上10,000nsec以下であると好ましく、より好ましくは10〜100nsecに設定される。
また、上記のように、平滑化用レーザ発振機構としては、YVOレーザ発振装置11aが用いられており、YVOレーザの中でも波長532nmのSHG YVOレーザや波長355nmのTHG YVOレーザを用いることが好ましい。平滑化用レーザとしては、ピコ秒パルスレーザなどを用いることもできる。
このYVOレーザ発振装置11bは、出力が20W未満、例えば、4W以上20W未満に設定できるように構成されていることが好ましい。
また、YVOレーザのパルス幅は10nsec以下であることが好ましい一方、10psecを下回ると加工時間が長くなりすぎて効率が悪くなるため、0.01〜10nsecに設定されていることが好ましく、1〜10nsecに設定されているとより好ましい。
また、本実施形態に係るレーザ加工装置は、YAGレーザとYVOレーザとを切り換える切換機構として可動ミラー20を備えている。可動ミラー20は、YVOレーザ発振装置11bから発振されたYVOレーザが光路15に導入される位置(YVOレーザの導入位置15a)に配置されている。
可動ミラー20は、図中の矢印イに示すように、YVOレーザの導入位置15aに進入および退避できるように構成されている。YAGレーザ発振装置11aからYAGレーザを発振させる際にはYVOレーザの導入位置15aから可動ミラー20を退避させ、YVOレーザ発振装置11bからYVOレーザを発振させる際にはYVOレーザの導入位置15aに可動ミラー20を進入させる。このようにワークに照射される2つのレーザ光の光路を共通に構成、すなわち、同一の光路を通って2種類のレーザ光がワークに照射されるように構成することが可能である。これにより、装置の組み替えやワークの再固定等を行うこと無く、YAGレーザとYVOレーザとを容易に切り換えて効率的にワークWに照射することができる。
また、集光レンズ13は、Z軸ステージ(図示せず)上に配置されている。Z軸ステージは、図中の矢印ロに示すように、集光レンズ13をZ軸方向に移動させることによりワークWに照射されるレーザの焦点を調整する。
このように、ワークWを保持するステージ(図中の精密5軸ステージ14)にZ軸調整用のステージを設けずに、集光レンズ13を移動させるZ軸ステージを設けることにより、ワークWを保持するステージを軽量化することができ、自重によるステージのたわみを抑制してワークWの位置調整のずれを適切に防止できる。
また、本実施形態においては、加工速度をさらに高速化するという観点から、集光レンズ13に色収差のない色収差補正レンズが用いられている。レーザの種類が異なると焦点が変化するため、レーザを切り換える毎に、レーザの焦点がワーク上に位置するように集光レンズの位置を調整したり、集光レンズを交換したりする必要がある。しかし、本実施形態のように、色収差のない色収差補正レンズを集光レンズ13として用いた場合には、2種類以上のレーザを切り換えても、集光レンズの位置の再調整や交換などを行う必要がないため、加工速度をさらに高速化することができる。
また、切削工具材料であるワークWは、精密5軸ステージ14に保持されている。この精密5軸ステージ14は、A軸回転ステージ14a、C軸回転ステージ14b、ゴニオステージ14c、X軸ステージ14dおよびY軸ステージ14eとから構成されている。
A軸回転ステージ14aに固定されたワークWは、X軸ステージ14dおよびY軸ステージ14eによりX軸、Y軸方向に平行移動させることができると共に、A軸回転ステージ14aおよびC軸回転ステージ14bによって回転させることができる。また、ゴニオステージ14cにより、照射されるレーザに対して傾斜させることができる。
(2)切削工具の製造方法
上記したレーザ加工装置1を用いたレーザ加工方法の一例として切削工具の製造方法について説明する。
先ず、上記したレーザ加工装置1の精密5軸ステージ14にワークWを保持させて位置を調整させた後、YAGレーザ発振装置11aから高出力のYAGレーザを発振させる。このときのYAGレーザの出力を30W、周波数を7kHz、レーザの移動速度を7mm/sに設定する。
このとき、可動ミラー20が光路15上から退避しており、ミラー12a〜12cにより反射されたYAGレーザが集光レンズ13により集光されてワークWに照射される。このように、高出力のYAGレーザをワークWに照射することにより、ワークWが所定の形状に高速で切断される。
次に、YAGレーザ発振装置11aを停止させて可動ミラー20をYVOレーザの導入位置15aに移動させた後、YVOレーザ発振装置11bから、短パルス(10nsec)のSHG YVOレーザを発振させる。このときのYVOレーザの出力を4W、周波数を10kHz、レーザの移動速度を10mm/sに設定する。
そして、上記したYAGレーザにより形成された切断面に短パルスのYVOレーザを照射させて平滑化を行うことにより、目標寸法の切削工具を製造する。
このように、高出力のYAGレーザにより形成された切断面にYVOレーザを照射させて平滑化を行うことにより、YAGレーザにより形成された熱変質層を削り取ることができる。そして、この切断面の平滑化に低出力で短パルスのYVOレーザを用いるため、レーザの照射により新たに熱変質層が形成されることがなく、切断面を適切に平滑化することができる。
以上のように、本実施形態によれば、高出力のYAGレーザを用いて切削工具材料を切断した後、短パルスのYVOレーザを用いて切断面を平滑化しているため、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができ、高品質の切削工具を低コストで生産性高く製造することができる。
例えば、本実施形態に係る切削工具の製造方法を用いて、エンドミル工具先端のみを加工する場合、従来では30分掛かっていた切削工具の製造工程を10分程度で行うことができ、さらに加工表面の粗さ(JIS B0601に規定する算術平均粗さ)Raが0.1μmという平滑な切断面を得ることができている。このように、本願による装置で実現可能な切断面は、代表的にはRa1.0μm以下であり、0.2μm以下(およそ0.1μm程度)、さらにレーザ光の調整により0.1μm以下の平滑な面である。
なお、YAGレーザにより切削工具材料を切断する際、切断後の切削工具材料の寸法が、目標寸法に対して5〜10μm大きくなるように切断を行うことが好ましい。これを削り代として、YVOレーザによる平滑化を行うことにより目標寸法の切削工具を容易に製造することができる。
[実験例]
以下、実験例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
1.実験条件
図1に示すようなレーザ加工装置を用い、先ず、YAGレーザで切削工具材料を所定形状に切断し、その後、形成された切断面をYVOレーザで平滑化した。なお、切削工具材料としてはダイヤモンドを用い、YAGレーザの出力は32W、パルス幅は80nsecに設定した。また、YVOレーザの出力は5W、パルス幅は9nsecに設定した。
2.評価方法
YAGレーザ照射による切断の後の切断面と、YVOレーザ照射による平滑化の後の切断面をJIS B0601に基づいて測定し、測定結果に基づいて切断面の算術平均粗さ(Ra)を求めた。
YAGレーザによる切断後の切断面の測定結果を図2に示し、YVOレーザによる平滑化後の切断面の測定結果を図3に示す。なお、図2および図3の横軸は距離(Distance)、縦軸は高さ(Height)を示している。
3.評価結果
図2および図3に示す切断面の測定結果に基づいて切断面のRaを求めた結果、図2のYAGレーザによる切断後のRaが1.085μmであり、YVOレーザによる平滑化後のRaが0.110μmであった。このことから、YVOレーザの照射によりRaが充分に低下して平滑な切断面が得られることが確認できた。
そして、トータルの加工時間を測定したところ、2mm幅、1mm厚さのダイヤモンドで2分程度と短時間であった。このことから、図1に示すレーザ加工装置のようにYAGレーザとYVOレーザとを適切に組み合わせることにより、加工速度の高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成できることが確認できた。
<付記>
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
(付記1)
レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断して加工するレーザ加工方法に用いられるレーザ加工装置であって、
高出力の高速切断用レーザを発振させる高速切断用レーザ発振機構と、
短パルスの平滑化用レーザを発振させる平滑化用レーザ発振機構と、
発振された各レーザを前記加工対象物まで導く光路と、
前記光路上に設けられており、前記高速切断用レーザと前記平滑化用レーザとを切り換える切換機構と
前記高速切断用レーザおよび前記平滑化用レーザを集光する集光レンズと
を備えており、
前記集光レンズが、前記レーザの色収差を補正する色収差補正レンズであるレーザ加工装置。
一般に、集光レンズの位置の再調整や交換などを行わずに2種類以上のレーザを適切に集光させる方法として、レーザ毎に光路を設けるという方法が採られているが、このように複数の光路を設けるとレーザ加工装置の設備コストが高くなる。
これに対して、上記のように、集光レンズとして色収差補正レンズを用いた場合、1本の光路に2種類以上のレーザを導入する場合であっても、集光レンズの位置の再調整や交換などを行わずに、それぞれのレーザを適切に集光させることができる。この結果、設備コストの低減に貢献することができる。
本発明によれば、切削工具の製造工程において、加工速度の更なる高速化を図ることができ、かつ、平滑な切断面を形成することができるため、高品質の切削工具を低コストで生産性高く製造することができる。
1 レーザ加工装置
11a YAGレーザ発振装置
11b YVOレーザ発振装置
12a〜12c ミラー
13 集光レンズ
14 精密5軸ステージ
14a A軸回転ステージ
14b C軸回転ステージ
14c ゴニオステージ
14d X軸ステージ
14e Y軸ステージ
15 光路
15a YVOレーザの導入位置
20 可動ミラー
W ワーク

Claims (8)

  1. レーザを走査させることにより切削工具材料を所定形状に切断する切削工具の製造方法であって、
    前記レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、
    前記高速切断用レーザを走査させて前記切削工具材料を所定形状に切断した後、
    前記切断により生じた面である前記切削工具材料の切断面に前記平滑化用レーザを走査させて前記切断面を平滑化する切削工具の製造方法。
  2. 前記高速切断用レーザがYAGレーザであり、前記平滑化用レーザがYVOレーザである請求項1に記載の切削工具の製造方法。
  3. 前記高速切断用レーザの出力が20W以上であり、かつ、前記平滑化用レーザの出力が20W未満である請求項1または請求項2に記載の切削工具の製造方法。
  4. 前記平滑化用レーザのパルス幅が10nsec以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の切削工具の製造方法。
  5. 前記切削工具材料が単結晶ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンドである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の切削工具の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の切削工具の製造方法を用いて製造されている切削工具。
  7. レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断するレーザ加工方法であって、
    前記レーザとして、少なくとも、高出力の高速切断用レーザと短パルスの平滑化用レーザとの2種類のレーザを用いて、
    前記高速切断用レーザを走査させて前記加工対象物を所定形状に切断した後、
    前記切断により生じた面である前記加工対象物の切断面に前記平滑化用レーザを走査させて前記切断面を平滑化するレーザ加工方法。
  8. レーザを走査させることにより加工対象物を所定形状に切断するレーザ加工装置であって、
    少なくとも、高出力の高速切断用レーザを発振させる高速切断用レーザ発振機構と、短パルスの平滑化用レーザを発振させる平滑化用レーザ発振機構とを備えており、
    さらに、発振された各レーザを前記加工対象物まで導く光路と、
    前記光路上に設けられており、前記高速切断用レーザと前記平滑化用レーザとを切り換える切換機構とを備えたレーザ加工装置。
JP2014239748A 2014-11-27 2014-11-27 切削工具とその製造方法およびレーザ加工方法とレーザ加工装置 Pending JP2016101588A (ja)

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