JP2016093958A - 光学フィルム - Google Patents

光学フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2016093958A
JP2016093958A JP2014231934A JP2014231934A JP2016093958A JP 2016093958 A JP2016093958 A JP 2016093958A JP 2014231934 A JP2014231934 A JP 2014231934A JP 2014231934 A JP2014231934 A JP 2014231934A JP 2016093958 A JP2016093958 A JP 2016093958A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
base film
optical film
cellulose ester
hardness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014231934A
Other languages
English (en)
Inventor
西村 浩
Hiroshi Nishimura
浩 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2014231934A priority Critical patent/JP2016093958A/ja
Publication of JP2016093958A publication Critical patent/JP2016093958A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

【課題】基材フィルムとその上に積層される活性エネルギー線硬化物層とを含み、硬度が高く、かつ基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性が良好な光学フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム53Aと、基材フィルム53A上に積層された活性エネルギー線硬化物層53Bとを含む光学フィルム53であって、基材フィルム53Aは、セルロースエステルと、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の少なくとも一方とを含み、前記アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の合計含有量が、前記セルロースエステルに対して0.1〜1.0質量%であり、基材フィルム53Aの、JIS K 7127に準じて測定される23℃における引張弾性率が3.0〜6.0GPaであり、かつJIS K 7121に準拠して測定されるガラス転移温度Tgが150〜170℃である、光学フィルム53。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルムに関する。
液晶表示装置(LCD)は、大型液晶テレビ、ノートパソコン及び携帯電話等のディスプレイとして幅広く用いられている。このような液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
一対の偏光板のうち、特に視認側の偏光板は、表面の傷付きを防止するため、高い耐擦傷性を有することが求められる。従って、視認側の偏光板に用いられる保護フィルムの硬度を高めることが検討されている。
保護フィルムの硬度を高める方法として、基材フィルム上に、ハードコート層を積層する方法が知られている(例えば特許文献1)。
これとは別に、保護フィルムとして、剥離剤を含むセルロースエステルフィルム(特許文献2)や、界面活性剤(可溶化剤)を含むセルロースエステルフィルム(特許文献3)等も知られている。
特開2010−228314号公報 特開2002−146043号公報 特開2007−326265号公報
しかしながら、特許文献1で示されるような従来のハードコートフィルムは、硬度が十分ではなかった。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
即ち、ハードコート層は、基材フィルム上にハードコート層用塗布液を塗布した後、乾燥及び硬化させて形成される。そして、ハードコート層用塗布液中の溶剤を基材フィルムの内部に浸透させて、基材フィルムとハードコート層との間に柔軟性を有する相溶層を形成することで、密着性を得ている。しかしながら、ハードコート層用塗布液中の溶剤が基材フィルムの内部に浸透しすぎると、相溶層の厚みが大きくなり、ハードコートフィルムの硬度が低下しやすい。つまり、ハードコートフィルムの硬度と、基材フィルムとハードコート層との密着性とを両立できないという問題があった。
特に、基材フィルムの厚みが薄いほど、十分な硬度が得られにくいことから、ハードコートフィルムの硬度と、基材フィルムとハードコート層との密着性との両立が一層求められる。
特許文献2及び3のフィルムは、偏光子と液晶セルとの間に配置される位相差フィルム又はその支持部材であることから、そもそもハードコート層が積層されるものではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基材フィルムとその上に積層される活性エネルギー線硬化物層とを含み、硬度が高く、かつ基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性が良好な光学フィルムを提供することを目的とする。
[1] 基材フィルムと、前記基材フィルム上に積層された活性エネルギー線硬化物層とを含む光学フィルムであって、前記基材フィルムは、セルロースエステルと、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の少なくとも一方とを含み、前記アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の合計含有量が、前記セルロースエステルに対して0.1〜1.0質量%であり、前記基材フィルムの、JIS K 7127に準じて測定される23℃における引張弾性率が3.0GPa〜6.0GPaであり、かつJIS K 7121に準拠して測定されるガラス転移温度Tgが150℃〜170℃である、光学フィルム。
[2] 前記基材フィルムは、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体及び少なくとも一種の炭素数2〜12のアルキレンジオールを重縮合させた後、分子末端のOH基を少なくとも一種のベンゼンモノカルボン酸で封止して得られる、数平均分子量300〜2000のポリエステル化合物をさらに含む、[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記基材フィルムは、前記アニオン系界面活性剤と前記カチオン系界面活性剤の両方を含む、[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記セルロースエステルは、アセチル基置換度2.5〜2.98、数平均分子量125000以上180000未満のセルロースアセテートである、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] 前記セルロースアセテートのアセチル基置換度は、2.8〜2.95である、[4]に記載の光学フィルム。
[6] 前記基材フィルムの厚みは15〜60μmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルム。
[7] 前記活性エネルギー線硬化物層は、ハードコート層又はアンチグレア層である、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム。
本発明によれば、基材フィルムとその上に積層される活性エネルギー線硬化物層とを含み、硬度が高く、かつ基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性が良好な光学フィルムを提供することができる。
本発明の液晶表示装置の基本的な構成を示す一例である。
前述の通り、従来の基材フィルムを用いたハードコートフィルムは、十分な硬度を有しないことがあった。これは、ハードコート層用塗布液中の溶剤が、基材フィルムの内部に過剰に浸透し、それによって形成される柔軟性を有する相溶層の厚みが大きいからであると考えられる。
これに対して本発明者らは、基材フィルムに「アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤」を適量添加することで、ハードコート層との良好な密着性を有しつつ、十分な硬度が得られることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、アニオン系界面活性剤やカチオン系界面活性剤は、基材フィルムの表面に配向している(偏在している)。そのような基材フィルム上にハードコート層用塗布液を塗布すると、1)該塗布液中の溶剤の過剰な浸透が、基材フィルムの表面に配向したアニオン系界面活性剤やカチオン系界面活性剤によってブロックされやすいと考えられる。さらに、2)基材フィルムの表面に偏在したアニオン系界面活性剤やカチオン系界面活性剤が、該塗布液中の溶剤によって抽出され、該抽出された部分が孔として形成される。このようして形成された多数の孔にハードコート層用塗布液中のモノマー成分が充填され;当該充填されたモノマー成分と基材フィルム上のモノマー成分とが硬化反応して強固な結合を形成しやすいと考えられる。これらの結果、ハードコート層用塗布液中の溶剤を基材フィルムの内部に過剰に浸透させることなく、基材フィルムとハードコート層とを良好に密着させることができる。つまり、柔軟性を有する相溶層を薄くすることができるので、基材フィルムの硬度を高めやすいと考えられる。
さらに、基材フィルムの組成(例えばセルロースエステルや可塑剤の種類や分子量等)を調整して、基材フィルムの引張弾性率とガラス転移温度の両方を一定以上とすることで、光学フィルムの硬度を十分に高めることができる。通常、引張弾性率とガラス転移温度は、いずれも硬度と線形性の関係を示すことが多い。一方で、可塑剤の種類によっては、引張弾性率とガラス転移温度の一方が、硬度と線形の関係を示さないことがある。そこで、引張弾性率とガラス転移温度の両方を一定以上とすることで、可塑剤の種類によらず、硬度と良好な線形の関係を示し、硬度を十分に高めることができる。それにより、基材フィルムの厚みを薄くしても、十分な硬度と密着性を有する光学フィルムを得ることができる。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
1.光学フィルム
光学フィルムは、基材フィルムと、その上に積層された活性エネルギー線硬化物層とを含む。
1−1.基材フィルム
基材フィルムは、セルロースエステルと、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の少なくとも一方とを含む。
<セルロースエステル>
セルロースエステルは、セルロースと、炭素原子数2〜22の脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸の少なくとも一方とをエステル化反応させて得られる化合物である。
セルロースエステルの例には、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが含まれる。なかでも、位相差発現性の低いものが好ましく、セルローストリアセテートが好ましい。
セルロースエステルのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0程度であり、好ましくは2.5〜2.98、より好ましくは2.6〜2.98、さらに好ましくは2.8〜2.95である。位相差発現性を低くするためには、アシル基の総置換度は高くすることが好ましい。
セルロースエステルに含まれるアシル基の炭素原子数は、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜4である。良好な耐熱性を得るためなどから、セルロースエステルに含まれるアシル基は、アセチル基を含むことが好ましい。炭素原子数3以上のアシル基の置換度は、好ましくは0.9以下、より好ましくは0である。
セルロースエステルのアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法で測定することができる。
セルロースエステルの数平均分子量Mnは、好ましくは125000〜180000であり、より好ましくは130000〜170000である。セルロースエステルの数平均分子量Mnを12.5万以上とすることで、基材フィルムに一定以上の機械的強度(例えば引張弾性率)や耐熱性(例えばTg)とを十分に付与しうる。セルロースエステルの数平均分子量Mnを18万以下とすることで、基材フィルムの脆性の低下を抑制したり、ドープ液への溶解性等を確保したりすることができる。
セルロースエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.0〜4.5であることが好ましい。
セルロースエステルの数平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されうる。測定条件は、以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×10〜5.0×10までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
セルロースエステルの含有割合は、基材フィルム全体に対して60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上でありうる。
<アニオン系界面活性剤/カチオン系界面活性剤>
基材フィルムは、前述の通り、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の少なくとも一方を含む。
アニオン系界面活性剤の例には、
脂肪族モノカルボン酸(C12〜C18)塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸型;
アルキルアリールスルホン酸塩等(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ジナフタレンジスルホン酸のナトリウム塩等)、アルカンスルホン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、αオレフィンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類等のスルホン酸型;
アルキル硫酸エステル塩類(例えばラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類等の硫酸エステル型;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸エステル塩類等の酢酸エステル型;
アルキルリン酸エステル塩類(例えばセチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類等のリン酸エステル型のものが含まれる。中でも、抽出された界面活性剤による硬化阻害を生じにくく、ラジカルを生成して硬化反応に関与しうること;それにより、光学フィルムの硬度を高め、かつ基材フィルムとの密着性が得られやすいこと等から、アルキルアリールスルホン酸塩が好ましい。
これらの塩は、例えばアルカリ金属イオン(ナトリウム、カリウム)の塩でありうる。
カチオン系界面活性剤の例には、アルキルアミン塩(例えば、株式会社ADEKA製アデカミンSF−106等)、第4級アンモニウム塩(例えば、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、株式会社ADEKA製アデカミン4MAC−30等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類等が含まれる。中でも、活性エネルギー線硬化物層と基材フィルムとの密着性を高めやすい点では、第4級アンモニウム塩が好ましく、中でもラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェートが好ましい。
基材フィルムがアニオン系界面活性剤を含むと、特に光学フィルムの硬度が高まりやすく;カチオン系界面活性剤を含むと、特に基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性が高まりやすい。この理由は明らかではないが、アニオン系界面活性剤は、カチオン系界面活性剤よりも溶剤の浸透を抑制しやすく(相溶層を薄くしやすく)、ハードコート層用塗布液中のモノマー成分の硬化阻害を生じにくいため、硬度が高まりやすいと考えられる。カチオン系界面活性剤は、アニオン系界面活性剤よりも基材フィルムを構成するセルロースエステルとの親和性が高いことから、密着性が高まりやすいと考えられる。光学フィルムの硬度と密着性を高度に両立する観点では、基材フィルムが、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の両方を含むことが好ましい。
アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の合計含有量は、セルロースエステルに対して0.1〜1質量%であることが好ましく、0.2〜0.5質量%であることがより好ましい。合計含有量が0.1質量%以上であると、界面活性剤の溶剤による抽出効果が十分に得られやすいため、基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性を損なうことなく、光学フィルムの硬度を高めやすい。合計含有量が1質量%以下であると、溶剤により過剰に抽出された界面活性剤によって、ハードコート層用塗布液中のモノマー成分の硬化阻害が生じるのを抑制しうる。
アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の含有比率は、光学フィルムの硬度と密着性を高度に両立しやすくする観点から、アニオン系界面活性剤/カチオン系界面活性剤は、好ましくは10/90〜90/10(質量比)、より好ましくは50/50〜90/10(質量比)としうる。
<可塑剤>
基材フィルムは、引張弾性率やTgを一定以上とする観点から、ポリエステル化合物を含むことが好ましい。
ポリエステル化合物は、ジカルボン酸成分としてフタル酸誘導体及びアジピン酸誘導体と、ジアルコール成分として炭素原子数2〜12のアルキレンジオールとを重縮合させて得られる構造単位を含む。
ジカルボン酸成分であるフタル酸誘導体の例には、フタル酸、無水フタル酸、フタル酸アルキルエステル等が含まれ;アジピン酸誘導体の例には、アジピン酸、アジピン酸無水物、アジピン酸アルキルエステル等が含まれる。
ジオール成分である炭素原子数2〜12のアルキレンジオールの例には、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等が含まれ、好ましくは1,2−プロパンジオールである。アルキレンジオールは、1種類であっても、2種類以上を組み合わせてもよい。
ポリエステル化合物は、セルロースエステルとの相溶性を一層高め、かつ基材フィルムに良好な機械的強度を付与しうる観点から、分子末端のOH基がベンゼンモノカルボン酸(安息香酸)でさらに封止されていることが好ましい。
ポリエステル化合物の数平均分子量は、好ましくは300〜2000、より好ましくは400〜1500である。ポリエステル化合物の数平均分子量が300以上であると、基材フィルムのTgや引張弾性率を高めやすく;ポリエステル化合物の数平均分子量が2000以下であると、セルロースエステルとの相溶性を損ないにくい。
ポリエステル化合物の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(東ソー株式会社製「HLC−8330」)を用いて、以下の条件で測定することができる。
(測定条件)
カラム:「TSK gel SuperHZM−M」×2本及び「TSK gel SuperHZ−2000」×2本
ガードカラム:「TSK SuperH−H」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35ml/分
ポリエステル化合物の酸価は、好ましくは1.5mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.5mgKOH/g以下でありうる。ポリエステル化合物の水酸基価は、好ましくは25mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下でありうる。ポリエステル化合物の酸価は、JIS K 1557−5;水酸基価は、JIS K1557-1に準拠して測定されうる。
ポリエステル化合物の含有量は、セルロースエステル100質量部に対して1〜35質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。ポリエステル化合物の含有量が1質量部以上であると、基材フィルムの引張弾性率やTg等を十分に高めやすく;ポリエステル化合物の含有量が35質量部以下であると、ブリードアウトやヘイズの上昇などを高度に抑制しうる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、オキシベンゾフェノン系化合物(例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系化合物(例えば2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等)、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物等でありうる。
紫外線吸収剤は、市販品であってもよく、その例にはBASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズ、あるいは2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては、株式会社ADEKA製のLA31)などが含まれる。
光学フィルムが、偏光子の液晶セル側の面に配置される場合(後述の保護フィルムF2またはF3として用いられる場合)は、紫外線防止剤は必須ではなく、紫外線吸収剤の含有量は、セルロースエステルに対して0〜0.5質量%程度としうる。一方、偏光子の液晶セルとは反対側の面に配置される場合(後述の保護フィルムF1またはF4として用いられる場合)、紫外線防止剤の含有量は、セルロースエステルに対して1質量ppm〜5.0質量%程度、好ましくは0.5質量%〜3.0質量%程度としうる。
<微粒子>
基材フィルムは、表面の滑り性を高める観点などから、マット剤として微粒子をさらに含みうる。微粒子は、無機微粒子または有機微粒子でありうる。
無機微粒子の例には、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウム等の微粒子が含まれる。中でも、二酸化珪素又は酸化ジルコニウムの微粒子が好ましく、フィルムのヘイズの増大を少なくする観点では、二酸化珪素の微粒子がより好ましい。
二酸化珪素の微粒子の例には、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等が含まれる。
微粒子の一次粒子径は、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下でありうる。
微粒子の含有量は、セルロースエステル100質量部に対して0.05〜1.0質量部程度とすることができ、好ましくは0.1〜0.8質量部としうる。
このような基材フィルムは、任意の方法で製造されうるが、比較的分子量の大きな樹脂でも製膜しやすい等の点から、溶液流延法で製造されることが好ましい。具体的には、基材フィルムは、1)前述の各成分を溶剤に溶解させてドープ液を調製する工程、2)ドープ液を無端の金属支持体上に流延する工程、3)流延したドープを乾燥した後、剥離して膜状物を得る工程、4)膜状物を乾燥(及び必要に応じて)延伸する工程を経て製造されうる。
上記4)の工程では、膜状物を必要に応じて延伸しながら乾燥させる。延伸は、例えば幅方向に行うことができる。延伸倍率は、例えば1.01〜1.5倍、好ましくは1.01〜1.3倍程度としうる。延伸温度は、フィルムのTg〜(Tg+50)℃、好ましくはTg〜(Tg+40)℃としうる。具体的な延伸温度は、例えば100〜200℃程度としうる。
<基材フィルムの物性>
(引張弾性率)
基材フィルムのJIS K 7127に準じて測定される、30℃での引張弾性率は、3.0〜6.0GPaであることが好ましく、4.0〜5.0GPaであることがより好ましい。
引張弾性率は、具体的には以下の方法で測定されうる。
1)基材フィルムのMD方向が長手方向となるように短片10mm×長さ200mmの短冊状の試料片を得る。この試料片を、23±2℃、50±5℃の環境下で、24時間調湿する。
2)次いで、ミニベア社製のTG−2KN型引張試験器にて、チャック間距離100±10mmとなるように試験片をセットし、23℃55%RH下で、引っ張り速度100±10mm/minの速度で引っ張る。
3)得られた引張応力−歪み曲線から、弾性率算出開始点を10N、終了点を30Nとし、その間に引いた接線を外挿し、MD方向の引張弾性率を得る。
4)同様にして、TD方向が長手方向となるように短冊状の試料片を得て、TD方向の引張弾性率を測定する。そして、MD方向の引張弾性率とTD方向に引張弾性率の平均値を「基材フィルムの引張弾性率」とする。
(ガラス転移温度Tg)
基材フィルムのJISK 7121に準拠して測定されるガラス転移温度(Tg)は、150〜170℃であることが好ましく、155〜165℃であることがより好ましい。引張弾性率に加えてガラス転移温度Tgがさらに一定以上であると、基材フィルムの硬度を十分に高めうる。ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差走査熱量計(DSC220C セイコー電子工業社製)を用いて、昇温速度30℃/分で行うことができる。
光学フィルム中の基材フィルムの物性を測定するためには、例えば光学フィルムから活性エネルギー線硬化物層を切削により除去して、基材フィルムを分離し、得られる基材フィルムの物性を測定すればよい。
基材フィルムの引張弾性率及びTgは、主にセルロースエステルと可塑剤(ポリエステル化合物)の数平均分子量によって調整されうる。基材フィルムの引張弾性率及びTgを高めるためには、例えばセルロースエステルの分子量は適度に高くし、可塑剤(ポリエステル化合物)の分子量は適度に低くすることが好ましい。
(厚み)
基材フィルムは、好ましくは15〜80μm、より好ましくは15〜70μm、さらに好ましくは15〜60μmでありうる。前述の通り、基材フィルムがアニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤を含有するので、その厚みが60μm以下と薄くても、光学フィルムの硬度を一定以上に高めうる。
1−2.活性エネルギー線硬化物層
活性エネルギー線硬化物層は、好ましくはハードコート層又はアンチグレア層でありうる。活性エネルギー線硬化物層が設けられた基材フィルムは、高い表面硬度を有しうる。
活性エネルギー線硬化物層は、硬化性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含む活性エネルギー線硬化物層用塗布液からなる塗膜の硬化物でありうる。
<硬化性化合物>
活性エネルギー線硬化層用塗布液に含まれる硬化性化合物は、活性エネルギー線の照射により硬化する化合物であり、好ましくはエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、より好ましくはアクリレート化合物でありうる。
アクリレート化合物は、好ましくは分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する多官能アクリレートである。多官能アクリレートは、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれる一以上であることが好ましい。
<光重合開始剤>
活性エネルギー線硬化層用塗布液に含まれる光重合開始剤の例には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体が含まれる。光重合開始剤の含有割合は、硬化性化合物100質量部に対して0.01〜20質量部としうる。
<溶剤>
活性エネルギー線硬化層用塗布液に含まれる溶剤の例には、
メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;
エタノール、メタノール、ブタノ―ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;
トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類等が含まれる。中でも、エステル類、グリコールエーテル類、アルコール類が好ましく、プロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテル又はプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル基)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有することがより好ましい。
活性エネルギー線硬化層用塗布液は、必要に応じて塗布性を高めるためのレベリング剤や、活性エネルギー線硬化物層の硬度や屈折率を調整するための微粒子等をさらに含んでもよい。
<レベリング剤>
レベリング剤の好ましい例には、フッ素−シロキサングラフト化合物が含まれる。フッ素−シロキサングラフト化合物は、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサン及び/又はオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体である。フッ素−シロキサングラフト化合物の市販品の例には、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等が挙げられる。
<微粒子>
活性エネルギー線硬化層用塗布液は、硬化物の硬度や屈折率を調整したり、表面に凸凹を付与して防眩機能(アンチグレア機能)を付与したりする観点から、必要に応じて微粒子をさらに含みうる。微粒子は、有機微粒子であっても無機微粒子であってもよい。
有機微粒子は、メタクリル酸メチル−ジビニルベンゼン共重合体樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂及びこれらの樹脂の複合体からなる粒子が好ましく用いられる。
無機微粒子は、前述の基材フィルムにマット剤として添加される微粒子と同様のものが挙げられ、好ましくは二酸化珪素(シリカ)の微粒子である。シリカの微粒子は、分散性を高める観点から、反応性シリカ微粒子であってもよい。
反応性シリカ粒子は、重合性不飽和基を有する有機化合物(X)を、シリカ粒子と混合し、加水分解させて結合させて得られる。
原料であるシリカ粒子は、公知のものでよく、その形状は球状でも不定形のものでもよい。動的光散乱法で求めたシリカ粒子の数平均粒子径は30nm以上、好ましくは30〜200nm、より好ましくは40〜80nmである。市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL等を挙げることができる。
原料であるシリカ粒子と反応させる有機化合物(X)は、エチレン性不飽和基を有する化合物であり、好ましくはエチレン性不飽和基と、下記式(a)で示される基と、シラノール基又は加水分解によりシラノール基を生成する基とを含む化合物でありうる。
[1]エチレン性不飽和基
有機化合物(X)に含まれるエチレン性不飽和基は、特に制限はないが、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基を好適例として挙げることができる。
[2]式(a)で示される基
Figure 2016093958
[一般式(a)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
前記式(a)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や隣接層との密着性に優れる。
上記式(a)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。また、有機化合物(X)は、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものであることが好ましい。
[3] シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
加水分解によってシラノール基を生成する基の例には、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した基が含まれ、好ましくはケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した基(アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基)が好ましい。
有機化合物(X)の好ましい例には、下記式(b)で示される化合物が含まれ、より好ましくは(b−1)又は(b−2)で表される化合物でありうる。
Figure 2016093958
Figure 2016093958
式(b−1)及び(b−2)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示し;「Me」は、メチル基を示す。
反応性シリカ粒子(Xa)の含有量は、活性エネルギー線硬化物層用塗布液中の固形分全量100質量部に対して、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜80質量%としうる。反応性シリカ粒子(Xa)の含有量を上記範囲とすることで、上記塗布液中で安定に存在させることができ、かつ硬化物の硬度も高まりやすい。
活性エネルギー線硬化層用塗布液は、硬化物の屈折率をより調整しやすくする観点等から、金属酸化物微粒子を含んでもよい。金属酸化物微粒子は、波長550nmで測定される屈折率が1.80〜2.60であるものが好ましく、1.85〜2.50であるものがより好ましい。そのような金属酸化物微粒子の例には、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛等が挙げられ、好ましくはアンチモン酸亜鉛粒子でありうる。
金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm〜200nmであり、より好ましくは10〜150nmである。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。
例えばハードコート層の23℃、波長550nmで測定される屈折率は1.4〜2.2であることが好ましい。ハードコート層の屈折率は、金属酸化物微粒子の添加量等によって調整されうる。
活性エネルギー線硬化物層の厚みは、十分な硬度を得る観点から、好ましくは3〜30μm、より好ましくは5〜15μmである。前述の基材フィルムの硬度が高いことから、活性エネルギー線硬化物層の厚みを例えば15μm以下と薄くしても、高い硬度が得られやすい。
1−3.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、1)前述の基材フィルムを準備する工程と、2)当該基材フィルム上に活性エネルギー線硬化物層用塗布液を塗布及び乾燥する工程と、3)得られた塗膜に活性エネルギー線を照射して塗膜中の硬化性化合物を硬化させる工程とを含む。
上記2)における、活性エネルギー線硬化層用塗布液の塗布は、例えばディッピング法、ダイコータ法、ワイヤーバー法、スプレー法等の任意の手段にて行うことができる。
上記3)における、活性エネルギー線硬化層用塗布液の塗膜の硬化は、活性エネルギー線を照射して行うことができる。活性エネルギー線(好ましくは紫外線)を照射する光源の例には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。照射光量は20〜10000mJ/cm程度あればよく、好ましくは50〜2000mJ/cmである。照射時間は、好ましくは0.5秒〜5分、作業効率等の観点からより好ましくは3秒〜2分としうる。
本発明の光学フィルムは、必要に応じて帯電防止層、バックコート層、易滑性層、接着層、バリアー層、反射防止層等の機能性層をさらに有してもよい。
1−4.光学フィルムの物性
(硬度)
本発明の光学フィルムは、高い硬度を有しうる。具体的には、本発明の光学フィルムの硬度は、鉛筆硬度が3H以上であり、より好ましくは4H以上である。それにより、例えば使用時に液晶表示装置の表面に傷を付きにくくしうる。
鉛筆硬度は、JIS K 5600 5−4に準拠した鉛筆高度評価法にて測定することができる。具体的には、光学フィルムを23℃55%RH下で24時間調湿する。その後、光学フィルムの活性エネルギー線硬化物層上で、750gの重りとJIS S 6006で規定される各硬度の試験用鉛筆とをセットした専用の機器を、0.75mm/秒の速度で7mmの距離を走行させる。鉛筆の走行面に対する角度は45±1°とする。この操作を5回繰り返す。そして、傷が1本以下となる硬度の最大値を求める。最大値の値が大きいほど、硬度が高いことを示す。
(レターデーション)
光学フィルムの、測定波長590nm、23℃55%RHの条件下で測定される面内方向のレターデーションRは、例えば-10nm以上10nm以下、好ましくは-5nm以上5nm以下としうる。光学フィルムの測定波長590nm、23℃55%RHの条件下で測定される厚み方向のレターデーションRthは、例えば-10nm以上10nm以下、好ましくは-5nm以上5nm以下としうる。このようなレターデーション値を有する光学フィルムは、後述する液晶表示装置における保護フィルム(F1、F4)として好適である。
レターデーションRおよびRthは、それぞれ以下の式で定義される。
式(I):R=(nx−ny)×d(nm)
式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式(I)および(II)において、
nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;
nyは、フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、フィルムの厚みを表す)
レターデーションRおよびRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
1)光学フィルムを、23℃55%RHで調湿する。調湿後の光学フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
2)調湿後の光学フィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、KOBRA21DH、王子計測(株)にて測定する。
3)KOBRA21ADHにより、光学フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、当該フィルムの表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定する。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で、10°毎に6点行うことができる。面内遅相軸とは、フィルム面内のうち屈折率が最大となる軸をいい、KOBRA21ADHにより確認することができる。
4)測定されたRおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA21ADHにより、nx、nyおよびnzを算出して、測定波長590nmでのRthを算出する。リターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行うことができる。
本発明では、基材フィルムがアニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤を適量含むので、光学フィルムは、基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との良好な密着性を有しつつ、硬度を高めうる。
さらに本発明では、基材フィルムが、前述のポリエステル化合物と、数平均分子量が一定以上のセルロースエステルとを含むので、基材フィルムのTgと引張弾性率が一定以上に高められている。それにより、光学フィルム全体の硬度を十分に高めることができる。
これらの結果、基材フィルムの厚みを薄くしても、十分な硬度と密着性とを有する光学フィルムを得ることができる。
2.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、その一方の面に配置された前述の光学フィルムとを含む。光学フィルムの基材フィルムが、偏光子と接するように配置される。
2−1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素または二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素または二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向と平行である。
偏光子の厚みは、2〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するためなどから、5〜15μmであることがより好ましい。
2−2.保護フィルム
偏光子の他方の面には、必要に応じて他の保護フィルムがさらに配置されうる。
保護フィルムは、特に制限されず、位相差フィルムであってもよい。そのような保護フィルムの例には、セルロースエステルフィルムでありうる。セルロースエステルフィルムに含まれるセルロースエステルの例には、前述と同様のものが挙げられる。
セルロースエステルフィルムは、市販品であってもよい。例えば、バーティカルアライメント(VA)用位相差フィルムとしては、コニカミノルタタック KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC4FR、KC4KR、KC4DR、KC4SR(以上、コニカミノルタ(株)製)等が挙げられる。その他、VA用位相差フィルム以外で使用できるフィルムとしては、KC4UE、KC8UE、KC8UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC4CZ、KC6UA、KC4UA、KC2UA(以上、コニカミノルタ(株)製)等を用いることができる。
保護フィルムのレターデーションは、組み合わされる液晶セルの種類に応じて設定されうる。例えば、位相差フィルムの、23℃RH55%下、波長590nmで測定される面内方向のレターデーションRo(590)は30〜150nmの範囲であることが好ましく、厚さ方向のレターデーションRth(590)は70〜300nmの範囲であることが好ましい。レターデーションが上記範囲である位相差フィルムは、例えばVA型液晶セルなどの位相差フィルムとして好ましく用いることができる。各レターデーション値は、前述と同様の方法で測定されうる。
保護フィルムの厚みは、特に限定はないが、10〜250μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましく、30〜60μmであることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、例えば偏光子の少なくとも一方の面に、本発明の光学フィルムを接着剤で貼り合わる工程を経て得ることができる。貼り合わせに用いられる接着剤は、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)であってもよいし、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて行ってもよい。
3.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図1は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、本発明の液晶表示装置10は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板50および第二の偏光板70と、バックライト90とを含む。
液晶セル30の表示モードは、例えばSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS等の種々の表示モードであってよく、高いコントラストを得るためにはVA(MVA、PVA)モードであることが好ましい。
第一の偏光板50は、第一の偏光子51と、第一の偏光子51の視認側の面に配置された保護フィルム53(F1)と、第一の偏光子51の液晶セル側の面に配置された保護フィルム55(F2)とを含む。
第二の偏光板70は、第二の偏光子71と、第二の偏光子71の液晶セル側の面に配置された保護フィルム73(F3)と、第二の偏光子71のバックライト側の面に配置された保護フィルム75(F4)とを含む。保護フィルム55(F2)と73(F3)の一方は、必要に応じて省略されうる。
そして、保護フィルム53(F1)が本発明の光学フィルムでありうる。保護フィルム53(F1)は、基材フィルム53Aと、活性エネルギー線硬化物層53Bとを有し;基材フィルム53Aが第一の偏光子51と接している。保護フィルム53(F1)として本発明の光学フィルムを備えた液晶表示装置は、表面の耐擦傷性が高いので、表示画面に傷を付きにくくしうる。
図1では、保護フィルム53(F1)が本発明の光学フィルムである例を示したが、これに限定されず、保護フィルム53(F1)と75(F4)の少なくとも一方が本発明の光学フィルムでありうる。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置の保護フィルム(F1、F4)としてだけでなく、タッチパネルを備えた画像表示装置や、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等の画像表示装置等の保護フィルムとしても好ましく用いることができる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.材料
<セルロースエステル>
下記表1のセルローストリアセテートを用いた。これらのアシル基置換度や数平均分子量は、それぞれ前述の方法で測定した。
Figure 2016093958
<可塑剤>
可塑剤1の合成:
1,2−プロパンジオール737部、無水フタル酸とアジピン酸を50:50のモル比で410部、安息香酸610部、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を、温度計、攪拌機及び緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰量の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで230℃で加熱を続けて、生成する水を連続的に除去した。次いで、200℃で4×10Pa以下の減圧下にて、未反応物を留去してポリエステル化合物(可塑剤1)を得た。
可塑剤2〜7の合成:
モノマー組成を表2に示されるように変更した以外は可塑剤1と同様にしてポリエステル化合物(可塑剤2〜4)及び比較用ポリエステル化合物(可塑剤5〜7)を得た。
得られたポリエステル化合物の酸価と数平均分子量を前述の方法で測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2016093958
<界面活性剤>
Figure 2016093958
Figure 2016093958
2.光学フィルムの製造
<実施例1−1>
(二酸化珪素分散希釈液の調製)
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均径7nm):10質量部、エタノール:90質量部を、ディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて、二酸化珪素分散液を得た。この二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながらさらに投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合した。得られた溶液を、微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して、二酸化珪素分散希釈液を得た。
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテートC2(アセチル置換度2.95、数平均分子量Mn15.4万):100質量部
可塑剤2:10質量部
アニオン系界面活性剤1:0.25質量部
カチオン系界面活性剤1:0.25質量部
チヌビン928(チバ・ジャパン(株)製):2.5質量部
二酸化珪素分散希釈液:4質量部
メチレンクロライド:432質量部
エタノール:38質量部
以上を密閉容器に投入した後、加熱下で撹拌しながら、完全に溶解させた。得られた溶液を、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を得た。
(セルロースエステルフィルムの作製)
得られたドープ液を、ベルト流延装置を用いて温度35℃、2m幅でステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶剤量が100質量%になるまで流延膜中の溶剤を蒸発させた後、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離して得られた膜状物を、50℃で乾燥しながら搬送させた後、スリットした。得られた膜状物を、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に160℃の温度で20%の延伸倍率で延伸した後、150℃で乾燥させた。テンターで延伸を始めたときの膜状物の残留溶剤量は4.5%であった。
得られた膜状物を120℃の乾燥装置内を多数のロールで搬送させながら15分間乾燥させた後、スリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、セルロースエステルフィルムを得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.05倍であった。得られたセルロースエステルフィルムの残留溶剤量は0.1%未満であり、膜厚40μm、幅2m、巻長さは4000mであった。
得られたセルロースエステルフィルム(基材フィルム)の貯蔵弾性率及びガラス転移温度を、以下の方法で測定した。
[引張弾性率]
引張弾性率は、具体的には以下の方法で測定した。
1)基材フィルムのMD方向が長手方向となるように短片10mm×長さ200mmの短冊状の試料片を得た。この試料片を、23±2℃、50±5℃の環境下で、24時間調湿した。
2)次いで、ミニベア社製のTG−2KN型引張試験器にて、チャック間距離100±10mmとなるように試験片をセットし、23℃55%RH下で、引っ張り速度100±10mm/minの速度で引っ張った。
3)得られた引張応力−歪み曲線から、弾性率算出開始点を10N、終了点を30Nとし、その間に引いた接線を外挿し、MD方向の引張弾性率を得た。
4)同様にして、TD方向が長手方向となるように短冊状の試料片を得て、TD方向の引張弾性率を測定した。そして、MD方向の引張弾性率とTD方向に引張弾性率の平均値を「基材フィルムの引張弾性率」とした。
[ガラス転移温度]
基材フィルムのガラス転移温度(Tg)は、JISK 7121に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量計(DSC220C セイコー電子工業社製)を用いて、昇温速度30℃/分として測定した。
(ハードコートフィルムの作製)
下記成分を混合した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、ハードコート層用塗布液を調製した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート:20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート:50質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:30質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート:30質量部
イルガキュア184(チバ・ジャパン社製):5質量部
フッ素-シロキサングラフトポリマーI(35質量%):5質量部
シーホスターKEP-50(紛体のシリカ粒子、平均粒子径0.47〜0.61μm、日本触媒社製):24.3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル:20質量部
酢酸メチル:40質量部
メチルエチルケトン:60質量部
フッ素−シロキサングラフトポリマーIは、国際公開第2011/158626号の段落0299〜0302に記載の方法で合成したものを用いた。
得られたハードコート層用塗布液を、上記作製したセルロースエステルフィルム上に硬化後の厚みが7μmとなるようにダイコータで塗布した。得られた塗布層を70℃で乾燥させた後、酸素濃度が1体積%以下の窒素雰囲気下で、照度300mW/cm、照射量0.3J/cmの条件で紫外線を照射して、塗布層を硬化させた。硬化させた塗布層を、130℃で5分間、搬送張力300N/mで搬送しながら加熱処理して、ハードコートフィルムを得た。
得られたハードコートフィルム(光学フィルム)の鉛筆硬度及び耐擦傷性を、以下の方法で測定した。
[鉛筆硬度]
得られたハードコートフィルムのハードコート層の硬度を、JIS K 5600 5−4に準拠した鉛筆高度評価法にて測定した。具体的には、ハードコートフィルムを23℃55%RH下で24時間調湿した。その後、ハードコートフィルムのハードコート層上で、750gの重りと、JIS S 6006で規定される各硬度の試験用鉛筆とをセットした専用の機器を、0.75mm/秒の速度で7mmの距離を走行させた。鉛筆の走行面に対する角度は45±1°とした。この操作を5回繰り返した。そして、傷が1本以下となる硬度の最大値を求めた。最大値の値が大きいほど、硬度が高いことを示す。そして、以下の評価基準で硬度を評価した。
◎:硬度が3H以上
〇:硬度が2H以上3H未満
△:硬度がH以上2H未満
×:硬度がH未満
△以上が実用上問題ないレベルと判断した。
[耐擦傷性]
得られたハードコートフィルムのハードコート層表面を、500g/cmの荷重を掛けたスチールウール(日本スチールウール(株)製、#0000)で10往復させた。その後、ハードコート層表面の擦った領域10cmを目視観察し、当該領域中の傷の本数をカウントした。
◎:傷無し
○:5本未満の傷
×:5本以上の傷
鉛筆硬度は光学フィルム全体の硬度の評価指標であり、耐擦傷性は光学フィルムの表面近傍の硬度の評価指標である。基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性は、主に耐擦傷性が高いことによって確認されうる。
<実施例1−2〜1−8、比較例1−1〜1−3>
セルロースエステルと可塑剤の組み合わせを変更した以外は実施例1−1と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
<実施例1−9〜1−10、比較例1−4〜1−5>
界面活性剤を添加しないか、或いは界面活性剤の組成を表4に示されるように変更した以外は実施例1−2と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
<実施例1−11〜1−12、比較例1−6〜1−7>
界面活性剤の添加量を表4に示されるように変更した以外は実施例1−2と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
<実施例2−1〜2−4>
アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤の種類を表5に示されるように変更した以外は実施例1−2と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
<実施例3−1〜3−8>
セルロースエステルの種類(分子量)を表6に示されるように変更した以外は実施例1−2と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
<実施例4−1〜4−3>
可塑剤の種類を表7に示されるように変更した以外は実施例1−2と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
<実施例5−1〜5−5>
セルロースエステルフィルムの膜厚を表8に示されるように変更した以外は実施例1−2と同様にしてセルロースエステルフィルム及びハードコートフィルムを作製した。膜厚の調整は、ドープ液の流延量又は延伸倍率によって行った。これらのフィルムについて、実施例1−1と同様の評価を行った。
実施例1−1〜1−12及び比較例1−1〜1−7の評価結果を表4に;実施例2−1〜2−4の評価結果を表5に;実施例3−1〜3−7の評価結果を表6に;実施例4−1〜4−4の評価結果を表7に;実施例5−1〜5−5の評価結果を表8に、それぞれ示す。なお、各表中のフィルム特性1は「セルロースエステルフィルム(基材フィルム)」の評価であり;フィルム特性2は「ハードコートフィルム(光学フィルム)」の評価を示す。
Figure 2016093958
Figure 2016093958
Figure 2016093958
Figure 2016093958
Figure 2016093958
表4に示されるように、無水フタル酸及びアジピン酸由来のジカルボン酸単位を含み、適度な分子量を有する可塑剤を用いたセルロースエステルフィルムは一定以上のTgを有し、ハードコートフィルムの硬度と耐擦傷性を両立しうることがわかる。一方、ジカルボン酸単位が無水フタル酸単位のみからなる低分子量可塑剤5を用いたフィルムはTgが低く;ジカルボン酸単位がアジピン酸単位のみからなる高分子量可塑剤7を用いたフィルムはTgが高すぎて、いずれもハードコートフィルムの硬度と密着性(耐擦傷性)を両立できないことがわかる(実施例1−1〜1−8、比較例1−1〜1−3参照)。
表4に示されるように、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の両方を添加したほうが、アニオン系界面活性剤のみを添加するよりもハードコートフィルムの耐擦傷性が高く;カチオン系界面活性剤のみを添加するよりもハードコートフィルムの硬度が高く;ノニオン系界面活性剤を含むか、界面活性剤を含まないよりもハードコートフィルムの硬度と耐擦傷性の両方が高いことがわかる(実施例1−4、1−9及び1−10参照)。アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤とは異なり、フィルム表面に配向しやすいため、溶剤の浸透を効果的に抑制でき、十分な硬度が得られやすいためと考えられる。
さらに、表4に示されるように、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤の合計量が少なすぎたり、多すぎたりすると、ハードコートフィルムの硬度と耐擦傷性がいずれもやや低下することがわかる(実施例1−11〜1−12、比較例1−7〜1−8参照)。アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤の含有量が少なすぎると、溶剤が若干浸透しやすいため、(相溶層がやや厚くなって)十分な硬度が得られにくく;アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤の含有量が多すぎると、抽出された界面活性剤によるハードコート層用塗布液中のモノマーの硬化が阻害されやすく、十分な硬度が得られにくいと考えられる。
表5に示されるように、アニオン系界面活性剤は、特にハードコートフィルムの硬度を効果的に高めることができ;カチオン系界面活性剤は、特にハードコートフィルムの耐擦傷性を効果的に高めることがわかる(実施例2−1〜2−4参照)。アニオン系界面活性剤の中でも、アニオン系界面活性剤1は、アルキルベンゼン構造を有し、ラジカルを生成しやすく、硬化反応に関与しやすいことから、特に耐擦傷性(密着性)を高めうることが示される。
表6に示されるように、セルロースエステルの数平均分子量を適度に高くすることで、セルロースエステルフィルムのTgと引張弾性率が高まり、ハードコートフィルムの硬度と耐擦傷性を高度に両立しうることがわかる(実施例3−1〜3−7参照)。
表7に示されるように、可塑剤の分子量を適度に低くすることで、Tgを適度な範囲に調整でき、ハードコートフィルムの硬度をより高めうることがわかる(実施例4−1〜4−3及び1−2参照)。
表8に示されるように、セルロースエステルフィルムの膜厚が15μm程度と薄くても、ハードコートフィルムの硬度と耐擦傷性を両立できることがわかる(実施例5−1〜5−5参照)。
本発明によれば、基材フィルムとその上に積層される活性エネルギー線硬化物層とを含み、硬度が高く、かつ基材フィルムと活性エネルギー線硬化物層との密着性が良好な光学フィルムを提供することができる。
10 液晶表示装置
30 液晶セル
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 保護フィルム(F1)
53A 基材フィルム
53B 活性エネルギー線硬化物層
55 保護フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 保護フィルム(F3)
75 保護フィルム(F4)
90 バックライト

Claims (7)

  1. 基材フィルムと、前記基材フィルム上に積層された活性エネルギー線硬化物層とを含む光学フィルムであって、
    前記基材フィルムは、セルロースエステルと、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の少なくとも一方とを含み、
    前記アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の合計含有量が、前記セルロースエステルに対して0.1〜1.0質量%であり、
    前記基材フィルムの、JIS K 7127に準じて測定される23℃における引張弾性率が3.0GPa〜6.0GPaであり、かつJIS K 7121に準拠して測定されるガラス転移温度Tgが150℃〜170℃である、光学フィルム。
  2. 前記基材フィルムは、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体及び少なくとも一種の炭素数2〜12のアルキレンジオールを重縮合させた後、分子末端のOH基を少なくとも一種のベンゼンモノカルボン酸で封止して得られる、数平均分子量300〜2000のポリエステル化合物をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記基材フィルムは、前記アニオン系界面活性剤と前記カチオン系界面活性剤の両方を含む、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記セルロースエステルは、アセチル基置換度2.5〜2.98、数平均分子量125000以上180000未満のセルロースアセテートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記セルロースアセテートのアセチル基置換度は、2.8〜2.95である、請求項4に記載の光学フィルム。
  6. 前記基材フィルムの厚みは15〜60μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 前記活性エネルギー線硬化物層は、ハードコート層又はアンチグレア層である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
JP2014231934A 2014-11-14 2014-11-14 光学フィルム Pending JP2016093958A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014231934A JP2016093958A (ja) 2014-11-14 2014-11-14 光学フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014231934A JP2016093958A (ja) 2014-11-14 2014-11-14 光学フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016093958A true JP2016093958A (ja) 2016-05-26

Family

ID=56070064

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014231934A Pending JP2016093958A (ja) 2014-11-14 2014-11-14 光学フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016093958A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101286869B1 (ko) 액정 표시 장치
JP5056978B2 (ja) 偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置
JP5871615B2 (ja) 立体表示装置
WO2016111316A1 (ja) 偏光板保護フィルムとその製造方法、偏光板及び液晶表示装置
WO2007026592A1 (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板及び表示装置
KR20100053596A (ko) 광학 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
WO2011114884A1 (ja) ハードコートフィルム、その製造方法、偏光板、及び液晶表示装置
WO2015076250A1 (ja) 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2008255340A (ja) セルロースアシレートフィルム、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
WO2014203637A1 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
WO2015133356A1 (ja) 偏光板、偏光板の製造方法、および液晶表示装置
JP2011046931A (ja) セルロースアシレートフィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
WO2015166941A1 (ja) 液晶表示装置
JP2016212146A (ja) 光学フィルム及びその製造方法
WO2011055624A1 (ja) 偏光板、及び液晶表示装置
WO2012026192A1 (ja) ハードコートフィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP5446526B2 (ja) アクリル系樹脂フィルムの製造方法
JP2016136171A (ja) 光学フィルム、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置
WO2015146890A1 (ja) 光学フィルムとその製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2008077070A (ja) ポリマーフィルム、その製造方法、それを用いた偏光板並びに液晶表示装置
WO2014068802A1 (ja) 光学フィルムおよび光学フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP6020563B2 (ja) 偏光板
JP6136226B2 (ja) 光学フィルムのロール体とその製造方法、包装体、偏光板および液晶表示装置
JP2012128064A (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
WO2014178178A1 (ja) 偏光板および液晶表示装置