JP2016089778A - エンジン制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、前記アクセル開度の時間変化率が正の第二所定値以上になってから所定時間以内に負の所定値以下になった場合に、前記減速条件が成立したものと判断されることが好ましい。言い換えれば、前記制御部は、前記急加速条件の成立後、所定時間以内に前記減速条件が成立した場合に、前記開度を減少させることが好ましい。
(5)前記制御部は、前記アクセルオフ条件の成立後において、加速条件が成立した場合に前記EGR弁閉じ制御を継続し、前記加速条件が不成立の場合に前記EGR弁閉じ制御を終了することが好ましい。また、前記加速条件は、前記アクセル開度の時間変化率が正の第三所定値以上であることを含むことが好ましい。
(7)前記制御部は、前記加速条件が成立してから第三所定時間が経過するまで前記EGR弁閉じ制御を継続することが好ましい。
(8)前記第一所定時間よりも前記第三所定時間が長く設定され、かつ、前記第三所定時間よりも前記第二所定時間が長く設定されることが好ましい。
本実施形態のエンジン制御装置1は、図1に示すデュアルループEGRシステムを具備したエンジン10の電子制御装置である。図1中には、エンジン10に設けられる複数のシリンダのうちの一つを例示する。このエンジン10は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、車両の走行状態に応じて拡散燃焼運転と予混合燃焼運転とを切り替えて実施する。拡散燃焼運転とは、エンジン10の筒内で拡散燃焼(拡散圧縮自着火燃焼)を実現する運転モードである。一方、予混合燃焼運転とは、エンジン10の筒内で予混合燃焼(予混合圧縮自着火燃焼)を実現する運転モードである。本実施形態のエンジン10では、これらの二種類の燃焼状態が車両の走行状態に応じて使い分けられる。
上記のエンジン10を搭載する車両には、エンジン制御装置1(Engine Electronic Control Unit,制御装置)が設けられる。エンジン制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを総合的に制御する電子制御装置であり、エンジン10の各シリンダに供給される吸入空気量や燃料噴射量,燃料噴射時期,EGR量等を制御するものである。エンジン制御装置1は、車載ネットワーク網を介して、他の電子制御装置(例えば、変速機ECU,エアコンECU,ブレーキECU,車体制御ECU,ボディECU等)や各種センサ31〜36に接続される。
マップ記憶部2は、車両の走行状態と制御内容との関係が規定された制御マップを記憶するものである。車両の走行状態は、少なくともエンジン負荷Ec,エンジン回転数Neの何れか一方に基づいて把握され、好ましくはエンジン負荷Ec及びエンジン回転数Neの双方に基づいて把握される。ここでいうエンジン負荷Ecとは、エンジン10に対する出力要求に相当するパラメータであり、例えばアクセル開度センサ34で検出されたアクセル開度APSやその時間変化率ΔAPS,エンジン10を駆動源とする補機類の作動状態,要求トルク,車速V,吸入空気量,吸気圧等に基づいて算出される。なお、車両の走行状態を把握する際には、外気温,外気圧,エンジン冷却水温等も考慮することが好ましい。
通常制御部3は、エンジン10の運転状態に応じた通常のEGR制御を実施するものである。通常のEGR制御では、エンジン10の定常状態での運転状態を想定して最適化されたEGRシステムの制御が実施される。エンジン10の運転点が領域M内に位置しているとき、通常制御部3は、運転手がエンジン10に要求するトルクTQ(要求トルク)に基づいてEGR量を設定し、低圧スロットル弁17,高圧スロットル弁19,高圧EGR弁22,低圧EGR弁26の各々の開度を制御する。トルクTQは、例えばアクセル開度APSとエンジン回転数Neとに基づいて算出される。一方、エンジン10の運転点が領域C内に位置しているときには、EGR量をゼロとし、高圧EGR弁22,低圧EGR弁26の各々を閉弁する。
閉じ制御部4(制御部)は、運転手による変速操作が予想される運転状態でEGR弁22,26の閉じ制御を実施するものである。閉じ制御では、通常のEGR制御よりもEGR弁22,26の開度が絞られ、EGR量が削減されるとともに、低圧スロットル弁17,高圧スロットル弁19の開度が開かれる。好ましくは、EGR量がほぼゼロとなるように、EGR弁22,26及びスロットル弁17,19の開度が制御される。
閉じ制御部4では、変速操作に関係する運転状態を精度よく把握するために、五種類の条件が判定され、各々の判定結果に応じて閉じ制御の開始,継続,終了が選択される。図3に示すように、五種類の条件は、各々の判定タイミングが変速操作の進行に沿って異なるタイミングとなるように、順を追って判定される。最初に判定されるのが急加速条件であり、その後、減速条件,アクセルオフ条件,加速条件,中加速条件の順に判定される。
・時刻Y1:アクセルオフ条件が不成立のまま、
減速条件の成立から所定時間T2が経過した時点
・時刻Y2:加速判定,中加速判定がともに不成立のまま、
アクセルオフ条件の成立から所定時間T3が経過した時点
・時刻Y3:加速判定の成立から所定時間T4(第三所定時間)が経過した時点
・時刻Y4:中加速判定の成立から所定時間T5が経過した時点
これらの所定時間T1〜T4の大小関係に関して、本実施形態では少なくともT2<T4<T3とされる。所定時間T1は、少なくとも所定時間T2よりは長く設定され、例えばT2<T1<T4となるように設定される。また、所定時間T5は、例えば所定時間T4以下の範囲内で設定される。
急加速判定部5は、変速操作に先立つ加速操作の有無を判断するために、急加速条件を判定するものである。以下に急加速条件を例示する。
条件1.アクセル開度の時間変化率ΔAPSが正の所定値A0(第二所定値)以上である
条件2.車速Vが所定車速V0以上である
条件3.アクセル開度APSが所定開度B0以上である
減速判定部6は、変速操作に先立つ減速操作の有無を判断するために、減速条件を判定するものである。以下に減速条件を例示する。
条件4.急加速条件の成立後、所定時間T1以内である(F1=1である)
条件5.アクセル開度の時間変化率ΔAPSが負の所定値A1以下である
条件6.車速Vが所定車速V0以上である
アクセルオフ判定部7は、アクセルオフ条件を判定するものである。アクセルオフ条件は、以下に例示するように、変速操作に先立つアクセルオフ操作の有無を判定するための条件であり、条件中の所定開度B1はゼロ(アクセル開放状態)に近い微小な値である。
条件7.減速条件の成立後、所定時間T2以内である(F2=1である)
条件8.アクセル開度APSが所定開度B1以下である
加速判定部8及び中加速判定部9は、ともに変速操作後の加速操作の有無を判断するものである。加速判定部8では、加速条件が判定され、中加速判定部9では、加速条件が不成立の場合に、中加速条件が判定される。加速条件を以下に例示する。
条件9.アクセルオフ条件の成立後、所定時間T3以内である(F3=1である)
条件10.アクセル開度の時間変化率ΔAPSが正の所定値A3(第三所定値)以上である
条件11.車速Vが所定車速V0以上である
条件12.アクセル開度APSが所定開度B3以上である
条件13.アクセルオフ条件の成立後、所定時間T3以内である(F3=1である)
条件14.アクセル開度の時間変化率ΔAPSが
正の所定値A4(<A3)(第四所定値)以上である
条件15.車速Vが所定車速V0以上である
条件16.アクセル開度APSが所定開度B4(<B3)以上である
図4〜図7は、通常のEGR制御及び閉じ制御の手順を例示するフローチャートである。図4のフローは、おもに通常制御部3及び急加速判定部5での制御内容に対応し、図5のフローは、おもに減速判定部6での制御内容に対応する。また、図6のフローは、おもにアクセルオフ判定部7での制御内容に対応し、図7のフローは、おもに加速判定部8及び中加速判定部9での制御内容に対応する。
図4の急加速判定フローでは、急加速条件が判定される。
ステップA1では、エンジン制御装置1に各種情報が入力される。ここでは例えば、アクセル開度APS,車速V,エンジン回転数Ne等の情報が取得される。
ステップA2では、通常制御部3において、エンジン10の運転状態が把握される。ここでは、例えばアクセル開度APS,エンジン回転数Ne,車速V等に基づいて、エンジン負荷Ec及びトルクTQが算出される。また、マップ記憶部2が記憶している運転点の制御マップが用いられて、エンジン負荷Ecとエンジン回転数Neとに基づき、エンジン10の運転点が特定されるとともに、その運転点に対応する制御内容が決定する。
ステップA4では、急加速判定部5において、車速Vが所定車速V0以上であるか否か(条件2)が判定される。ここでV≧V0が成立する場合には、ステップA5に進む。一方、V<V0である場合にはステップA11に進み、通常のEGR制御が実施されて、この演算周期での制御が終了する。
ステップA6では、急加速条件が成立するか否か(例えば、条件1,条件2)が判定される。ここで急加速条件が成立した場合にはステップA7に進み、制御フラグF1がF1=1に設定される。また、続くステップA8ではタイマーによる経時(カウント)が開始される。
ステップA12では、制御フラグF1がF1=0に設定されるとともに、タイマーによる経時が終了する。また、続くステップA13では通常のEGR制御が実施され、この演算周期での制御が終了する。
図5の減速判定フローでは、減速条件が判定される。
ステップB1では、アクセル開度APSの時間変化率ΔAPSが算出される。この時間変化率ΔAPSは、アクセル開度APSの前回値と今回値との差(所定時間差で得られた値の差)として算出可能である。
ステップB2では、制御フラグF2がF2=0であるか否かが判定される。この制御フラグF2は、減速判定の判定有効期間T2内であるか否かを判断するためのフラグであり、F2=1が判定有効期間T2内であることを表す。ここでF2=0であれば、まだ減速条件が成立していないため、ステップB3に進む。一方、F2=1であれば、すでに減速条件が成立しているため、ステップB3〜B5をスキップしてステップB6に進む。
一方、ステップB3で減速条件が不成立の場合には、制御が図4の急加速判定フローに進む。つまり、減速判定の判定有効期間T2が経過するまでの間は、閉じ制御が継続された状態で、図4及び図5の制御が繰り返し実施される。
ステップB8では、制御フラグF1,F2がともにF1=F2=0にリセットされるとともに、タイマーによる経時が終了する。また、続くステップB9では、通常のEGR制御が実施されて、この演算周期での制御が終了する。
図6のアクセルオフ判定フローでは、アクセルオフ条件が判定される。
ステップC1では、再びアクセル開度APSの情報が取得される。
ステップC2では、制御フラグF3がF3=0であるか否かが判定される。この制御フラグF3は、アクセルオフ判定の判定有効期間T3内であるか否かを判断するためのフラグであり、F3=1が判定有効期間T3内であることを表す。ここでF3=0であれば、まだアクセルオフ条件が成立していないため、ステップC3に進む。一方、F3=1であれば、すでにアクセルオフ条件が成立しているため、ステップC3〜C5をスキップしてステップC6に進む。
一方、ステップC3でアクセルオフ条件が不成立の場合には、制御が図5の減速判定フローに進む。つまり、アクセルオフ判定の判定有効期間T3が経過するまでの間は、閉じ制御が継続された状態で、図4〜図6の制御が繰り返し実施される。
ステップC8では、制御フラグF1,F2,F3がともにF1=F2=F3=0にリセットされるとともに、タイマーによる経時が終了する。また、続くステップC9では、通常のEGR制御が実施されて、この演算周期での制御が終了する。
図7の加速判定フローでは、加速条件及び中加速条件が判定される。
ステップD1では、アクセル開度APSの情報が取得されるとともに、その時間変化率ΔAPSが算出される。
ステップD2では、制御フラグF4がF4=0であるか否かが判定される。この制御フラグF4は、加速判定の判定有効期間T4内であるか否かを判断するためのフラグであり、F4=1が判定有効期間T4内であることを表す。ここでF4=0であれば、また加速条件が成立していないため、ステップD3に進む。一方、F4=1であれば、すでに加速条件が成立しているため、ステップD3〜D6をスキップしてステップD7に進む。
ステップD4では、加速条件が成立するか否か(例えば、条件10)が判定される。ここで加速判定が成立した場合にはステップD5に進み、制御フラグF4がF4=1に設定される。また、続くステップD6ではタイマーによる経時(カウント)が開始される。
ステップD9では、全ての制御フラグF1〜F5が0に設定され、タイマーによる経時が終了する。また、続くステップD10では通常のEGR制御が実施され、この演算周期での制御が終了する。この場合、次回の演算周期では、図4に示す急加速判定フローが実施される。
ステップD9では、全ての制御フラグF1〜F5が0に設定され、タイマーによる経時が終了する。また、続くステップD10では通常のEGR制御が実施され、この演算周期での制御が終了する。この場合、次回の演算周期では、図4に示す急加速判定フローが実施される。
運転手がシフトアップ操作を行った場合におけるEGRシステムの作動状態について、図8を用いて説明する。所定車速V0以上の車速Vで走行している車両において、時刻t0にアクセルペダルが踏み込まれると、アクセル開度APSが増加して急加速条件が成立する。一方、急加速条件が成立しただけの状態では、その後に運転手が変速操作を行うとは限らない。したがって、この時点ではまだ通常のEGR制御が実施される。すなわち、通常制御部3がエンジン10の運転点の位置に基づいて制御対象となるEGR弁22,26を選択し、トルクTQに基づいてEGR弁22,26の開度を設定,制御する。
(1)上記のエンジン制御装置1では、車両走行中におけるアクセル開度APSの時間変化率ΔAPSが負の所定値A1以下である場合に、減速条件が成立したものと判断されて「閉じ制御」が開始され、高圧EGR弁22,低圧EGR弁26の開度が絞られるとともに、低圧スロットル弁17,高圧スロットル弁19の開度が開放される。そのため、アクセルペダルの踏み戻し操作がなされた時点で、シリンダに導入されるEGR量を制限することができる。これにより、吸気の輸送遅れに伴う変速操作時のレスポンス低下を抑制することができ、加速性を向上させることができる。また、アクセル開度APSの時間変化率ΔAPSが負の所定値A1を超える場合(すなわち、アクセルペダルの踏み戻し速度が遅い場合や、アクセルペダルが踏み増しされている場合)には、このようなEGR量の制限が課されないため、排ガス性能を向上させることができる。
減速判定後の所定時間T2を短く設定することで、例えばアクセルオフに至らない通常のアクセル踏み戻し操作とアクセルオフ操作とを峻別しやすくなり、誤判定を回避することができる。なお、減速条件の成立時に開始される閉じ制御では、エンジン出力の応答性が改善される代わりに排気性能が低下しうる。一方、減速判定後のアクセルオフ判定が許容される時間を短くすることで、排気性能が低下しうる時間を短縮することができ、排気浄化性を向上させることができる。
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
2 マップ記憶部
3 通常制御部
4 閉じ制御部(制御部)
5 急加速判定部
6 減速判定部
7 アクセルオフ判定部
8 加速判定部
9 中加速判定部
10 エンジン
22 高圧EGR弁
26 低圧EGR弁
Claims (9)
- 車両に搭載されたエンジンの吸気系と排気系とを接続するEGR通路に介装されたEGR弁と、
車速が所定車速以上の状態で減速条件が成立した場合に、前記減速条件が不成立の場合よりも前記EGR弁の開度を減少させる制御部と、を備え、
前記減速条件は、アクセル開度の時間変化率が負の所定値以下であることを含む
ことを特徴とする、エンジン制御装置。 - 前記制御部は、急加速条件の成立後に前記減速条件が成立した場合に、前記開度を減少させるとともに、
前記急加速条件は、前記アクセル開度の時間変化率が正の第二所定値以上であることを含む
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジン制御装置。 - 前記制御部は、前記減速条件の成立後において、アクセルオフ条件が成立した場合に、前記EGR弁の開度を減少させるEGR弁閉じ制御を継続し、前記アクセルオフ条件が不成立の場合に、前記EGR弁閉じ制御を終了するとともに、
前記アクセルオフ条件は、前記アクセル開度が所定開度以下であることを含む
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン制御装置。 - 前記アクセルオフ条件は、前記減速条件が成立してから第一所定時間以内に前記アクセル開度が前記所定開度以下になることを含む
ことを特徴とする、請求項3記載のエンジン制御装置。 - 前記制御部は、前記アクセルオフ条件の成立後において、加速条件が成立した場合に前記EGR弁閉じ制御を継続し、前記加速条件が不成立の場合に前記EGR弁閉じ制御を終了するとともに、
前記加速条件は、前記アクセル開度の時間変化率が正の第三所定値以上であることを含む
ことを特徴とする、請求項3又は4記載のエンジン制御装置。 - 前記加速条件は、前記アクセルオフ条件が成立してから第二所定時間以内に前記アクセル開度の時間変化率が前記正の第三所定値以上になることを含む
ことを特徴とする、請求項5記載のエンジン制御装置。 - 前記制御部は、前記加速条件が成立してから第三所定時間が経過するまで前記EGR弁閉じ制御を継続する
ことを特徴とする、請求項5又は6記載のエンジン制御装置。 - 前記第一所定時間よりも前記第三所定時間が長く設定され、かつ、前記第三所定時間よりも前記第二所定時間が長く設定される
ことを特徴とする、請求項4及び6に従属する請求項7記載のエンジン制御装置。 - 前記EGR弁が、高圧EGR通路に介装される高圧EGR弁と、低圧EGR通路に介装される低圧EGR弁とを有し、
前記制御部は、前記アクセルオフ条件の成立後において、中加速条件が成立した場合における前記高圧EGR弁の開度を前記減速条件が成立した場合よりも大きくかつ前記減速条件が不成立の場合よりも小さく制御するとともに、前記低圧EGR弁の開度を前記減速条件が不成立の場合と同じ開度に制御し、
前記中加速条件は、前記アクセル開度の時間変化率が前記第三所定値未満かつ正の第四所定値以上であることを含む
ことを特徴とする、請求項5〜8の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
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