JP2016088435A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アシストトルクおよび自動操舵トルクを発生させるモータの制御において、モータが駆動されたときに発生するステアリングの振動を抑制できるようにする。【解決手段】本発明の電動ステアリングシステム1において、アシスト制御演算部20は、操舵トルクの検出値に応じて操舵負荷を軽減するアシストトルクを発生させるためのアシスト指令を生成する。また、目標追従制御演算部30は、操舵に関わる物理量の目標値を取得し、この目標値に物理量の検出値を追従させる自動操舵トルクを発生させるための追従指令を生成する。また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、伝達特性に基づいて出力トルクにより生じる操舵トルクを抑制するための操舵補正トルクを演算し、この操舵補正トルクを発生させるための操舵補正指令を生成する。そして、モータ駆動手段は、各指令の加算値に従って、モータを駆動させる。【選択図】図2

Description

本発明は、アシストトルクおよび自動操舵トルクを発生させるモータを制御する技術に関する。
車両の前方を撮像するカメラからの画像情報に基づき、走行中の車線と時車両の位置関係を検出し、レーンに沿って走行を実現するレーンキープ制御と、ドライバによる操舵操作をアシストするためのアシストトルクを発生させるパワーステアリング制御とを、一つのアクチュエータ(モータ)で実現する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−221053号公報
ところで、このような装置では、モータ取り付け位置からステアリング側にトーションバーおよびトーションバーの捻れに基づき操舵トルクを検出するセンサを備えていることが一般的である。しかし、トーションバーはステアリングが操作されたときだけでなく、自動操舵トルクを発生させる際にモータが駆動する場合にも捻れが生じる。このため、自動操舵トルクを発生させる際には、この捻れによってステアリングに振動が発生するという問題点がある。
そこで、このような問題点を鑑み、アシストトルクおよび自動操舵トルクを発生させるモータの制御において、モータが駆動されたときに発生するステアリングの振動を抑制できるようにすることを本発明の目的とする。
本発明のモータ制御装置において、アシスト制御手段は、操舵トルクの検出値に応じて操舵負荷を軽減するアシストトルクを発生させるためのアシスト指令を生成する。また、追従制御手段は、操舵に関わる物理量の目標値を取得し、この目標値に物理量の検出値を追従させる自動操舵トルクを発生させるための追従指令を生成する。
また、トルク補正制御手段は、舵角を変位させるモータによる出力トルクが操舵トルクの少なくとも一部として伝達する際の伝達特性に基づいて、出力トルクにより生じる操舵トルクを抑制するための操舵補正トルクを演算し、この補正トルクを発生させるための操舵補正指令を生成する。そして、モータ駆動手段は、アシスト指令、追従指令、および操舵補正指令の加算値に従って、モータを駆動させる。
このようなモータ制御装置によれば、伝達特性に基づき操舵トルクを抑制するための操舵補正トルクを演算し、この操舵補正トルクを加味してモータを駆動させるので、モータからの出力トルクによるステアリングの振動の振幅そのものを抑制することができる。よって、ステアリングの振動を抑制することができる。
なお、各請求項の記載は、可能な限りにおいて任意に組み合わせることができる。この際、一部構成を除外してもよい。
第1実施形態の電動ステアリングシステムの全体構成図である。 EPS−ECUの概略構成を示すブロック図である。 振動抑制制御演算部40の構成を示すブロック図である。 共振抑制演算部41が用いるステアリングメカの構成を示す概略図である。 振動抑制の効果例を示す時間と操舵トルクTsとの関係のグラフである。 共振抑制演算部41からの補正トルクの出力例を示す周波数とゲインとの関係を示すグラフ(LPFなし、HPFなし)である。 共振抑制演算部41からの補正トルクの出力例を示す周波数とゲインとの関係を示すグラフ(LPFあり、HPFなし)である。 共振抑制演算部41からの補正トルクの出力例を示す周波数とゲインとの関係を示すグラフ(LPFなし、HPFあり)である。 共振抑制演算部41からの補正トルクの出力例を示す周波数とゲインとの関係を示すグラフ(LPFあり、HPFあり)である。 ねじれ抑制演算部43が用いるステアリングメカの構成を示す概略図である。 車速と等価負荷バネK2との関係の一例を示すグラフである。 路面反力と等価負荷バネK2との関係の一例を示すグラフである。 路面μと等価負荷バネK2との関係の一例を示すグラフである。 外気温とモータ粘性C2との関係の一例を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
<全体構成>
本実施形態の電動ステアリングシステム1は、ドライバによるハンドル(ステアリング)2の操作をモータ6によってアシストするアシスト制御、および走行レーンに設定された目標コースに沿った自動操舵をモータ6によって実現する目標追従制御(ここではレーンキープ制御や自動走行時の操舵制御等)を実行するものである。
電動ステアリングシステム1は、図1に示すように、ハンドル2、ステアリングシャフト3、トルクセンサ4、インターミディエイトシャフト5、モータ6、ステアリングギアボックス7、タイロッド8、ナックルアーム9、およびタイヤ10を備えている。また、電動ステアリングシステム1は、EPS(電動パワーステアリング)−ECU15、およびLK(レーンキープ)−ECU16を備えている。
ハンドル2は、ステアリングシャフト3の一端に固定され、ステアリングシャフト3の他端にはトルクセンサ4が接続されており、このトルクセンサ4の他端には、インターミディエイトシャフト5が接続されている。なお、以下の説明では、ステアリングシャフト3からトルクセンサ4を経てインターミディエイトシャフト5に至る軸体全体を、まとめて操舵軸ともいう。
トルクセンサ4は、操舵トルクTsを検出するためのセンサである。具体的には、ステアリングシャフト3とインターミディエイトシャフト5とを連結するトーションバーを有し、このトーションバーのねじれ角に基づいてそのトーションバーに加えられているトルクを検出する。
モータ6は、アシスト制御に基づくアシストトルクや目標追従制御に基づく自動操舵トルクを発生させるためのものであり、減速機構6aを介してその回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。すなわち、減速機構6aは、モータ6の回転軸の先端に設けられたウォームギアと、このウォームギアと噛み合った状態でインターミディエイトシャフト5に同軸状に設けられたウォームホイールとにより構成されている。
この構成により、モータ6の回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。逆に、ハンドル2の操作や路面からの反力(路面反力)によってインターミディエイトシャフト5が回転すると、その回転が減速機構6aを介してモータ6に伝達され、モータ6も回転することになる。
また、モータ6は、例えばブラシレスモータからなり、内部にレゾルバ等の回転センサを備えている。回転センサは、少なくともモータ回転角θ、モータ回転角速度ω、モータ回転角加速度αを含むモータ状態を出力する。ただし、モータ状態の代わりに、これらモータ回転角θ、モータ回転角速度ω、モータ回転角加速度αに減速機構6aのギア比を乗じることで求められる操舵角、操舵角速度、操舵角加速度を用いてもよい。
インターミディエイトシャフト5における、トルクセンサ4が接続された一端とは反対側の他端は、ステアリングギアボックス7に接続されている。ステアリングギアボックス7は、ラックとピニオンギアからなるギア機構にて構成されており、インターミディエイトシャフト5の他端に設けられたピニオンギアに、ラックの歯が噛み合っている。そのため、ドライバがハンドル2を回すと、インターミディエイトシャフト5が回転(すなわちピニオンギアが回転)し、これによりラックが左右に移動する。ラックの両端にはそれぞれタイロッド8が取り付けられており、ラックとともにタイロッド8が左右の往復運動を行う。これにより、タイロッド8がその先のナックルアーム9を引っ張ったり押したりすることで、操舵輪である各タイヤ10の向きが変わる。
また、車両における所定の部位には、車速Vを検出するための車速センサ11が設けられている。以下では、ハンドル2から各タイヤ10に至る、ハンドル2の操舵力が伝達される機構全体を総称して、操舵系メカ100ともいう。
このような構成を有する操舵系メカ100では、ドライバの操舵によりハンドル2が回転すると、その回転がステアリングシャフト3、トルクセンサ4、およびインターミディエイトシャフト5を介してステアリングギアボックス7に伝達される。そして、ステアリングギアボックス7内で、インターミディエイトシャフト5の回転がタイロッド8の左右移動に変換され、タイロッド8が動くことによって、左右の両タイヤ10が操舵される。
LK−ECU16は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、図示しない車載カメラによって撮像された車両前方の画像から、走行レーンや走行レーンにおける自車両の位置を検出し、その検出結果に基づいて目標コースを設定する。さらに、車速や舵角の検出値等に基づいて、目標コースに沿って走行するためのモータ回転角(或いは操舵角)の目標値である目標角度θを設定し、この目標角度θをEPS−ECU15に出力する。なお、このような目標角度θを設定する処理は、レーンキープ制御において周知のものであるため、ここでは説明を省略する。
EPS−ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作する。そして、LK−ECU16で求められた目標角度θ、トルクセンサ4にて検出された操舵トルクTs、モータ6からのモータ回転角θ,モータ回転角速度ω、モータ回転角加速度α、および車速センサ11にて検出された車速Vに基づいて、最終指令DCを演算する。
最終指令DCは、アシストトルクを発生させるための電流指令値であるアシスト指令AC、自動操舵トルクを発生させるための電流指令値である追従指令TC、振動を抑制するための電流指令値である補正指令CCを足し合わせたものである。そして、その最終指令DCに応じた駆動電圧Vdをモータ6へ印加することにより、アシストトルク、および自動操舵トルクを発生させる。
つまり、EPS−ECU15は、駆動電圧Vdによってモータ6を制御することによって操舵特性を制御し、ひいてはモータ6により駆動される操舵系メカ100を制御することになる。
<EPS−ECU>
EPS−ECU15は、図2に示すように、アシスト制御演算部20、目標追従制御演算部30、振動抑制制御演算部40、加算器50、減算器55、モータ駆動回路60を備えている。アシスト制御演算部20は、アシスト指令ACを生成する。
目標追従制御演算部30は、追従指令TCを生成する。振動抑制制御演算部40は、補正指令CCを生成する。
減算器55は、追従指令TCから補正指令CCを減算した補正後の追従指令TCを生成する。加算器50は、アシスト指令ACと補正後の追従指令TCを加算することによりモータを駆動するための電流指令値となる駆動指令DCを生成する。
モータ駆動回路60は、駆動指令DCに基づいてモータ6へ駆動電圧Vd(図示しないが3相モータであれば3相分印加する)を印加することによりモータ6を通電駆動する。なお、アシスト制御演算部20、目標追従制御演算部30、振動抑制制御演算部40、加算器50、減算器55の機能は、EPS−ECU15が備える図示しないCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現されてもよい。
この場合、目標追従制御(レーンキープ制御)に必要な応答性を確保するために、上記制御プログラムを任意の周期で実行する。この際の周期は、例えば数百us〜数百msのいずれかで、目標追従制御を実行する上で問題なければ何でもよい。
EPS−ECU15は、この周期で駆動指令DCを更新するように構成されている。ただし、これら各部がソフトウェアにて実現されることはあくまでも一例であり、これらの少なくとも一部を、例えばロジック回路等のハードウェアによって実現してもよい。
<<モータ駆動回路>>
モータ駆動回路60は、駆動指令DCに基づき、駆動指令DCに対応したトルク(アシストトルクおよび自動操舵トルク)が操舵軸に付与されるようにモータ6へ駆動電圧Vdを印加する。具体的には、駆動指令DCを目標電流とし、モータ6に流れる通電電流Imが目標電流と一致するように駆動電圧Vdをフィードバック制御することで、操舵軸に対して所望のトルクを発生させる。なお、このようなモータ駆動回路60は公知の技術(例えば、特開2013−52793号公報参照)であるため、その詳細についての説明は省略する。
<<アシスト制御演算部>>
アシスト制御演算部20は、操舵トルクTs、モータ回転角速度ω、車速Vに基づき、アシスト指令ACを生成する。アシスト指令ACは、路面反力(路面負荷)に応じた伝達感や、操舵状態に応じたフィール等が実現されるようにハンドル2の操作をアシストするためのトルクである。
具体的には、例えば、操舵トルクTsおよび車速Vに基づき路面反力に応じた伝達感を得るための基本アシスト量を演算し、操舵トルクTsおよびモータ回転角速度ωに応じて操舵状態に応じたアシスト補償量を演算し、そのアシスト補償量に、車速Vに応じたゲインを乗じたものを基本アシスト量に加算することでアシスト指令ACを生成する。ただし、アシスト指令ACの演算方法は、これに限るものではなく、公知の任意の手法を使用することが可能である。
<<目標追従制御演算部>>
目標追従制御演算部30は、目標角度θ、モータ回転角(以下「実角度」ともいう)θに基づき、追従指令TCを生成する。追従指令TCとは、実角度θを目標角度θに追従させるのに必要な自動操舵トルクを発生させるための電流指令値を表す。
具体的には、目標追従制御演算部30は、例えば、目標角度θに対する実角度θの偏差Δθ(=θ−θ)を求め、この偏差ΔθにPIDゲインを付与することで制御特性を決定づける。そして、制御特性に応じた追従指令TCを出力する。
なお、追従指令TCの値における、目標追従制御の応答性は、PIDゲインが大きいほど向上し、ゲインが小さいほど低下するよう設定される。
<<振動抑制制御演算部>>
振動抑制制御演算部40は、図3に示すように、共振抑制演算部41と、ねじれ抑制演算部43と、加算部45とを備えている。共振抑制演算部41は、操舵トルクTsの振動を抑制することで、制御対象100のステアメカ共振によるステアリング振動を抑制する。
詳細には、図4に示すように、各値を定義する。すると、次のようにラプラス変換後のs領域において運動方程式を立てることができる。
すなわち、操舵トルクTsは、ハンドル回転角度θ1とモータ回転角度θ2との差に比例する。操舵トルクTsを抑制できれば,ステアメカ共振によるステアリング振動も抑制できるといえる。
共振抑制演算部41では、制御対象100の伝達特性に基づいて、アシストトルクTa入力時に発生する操舵トルクTsを打ち消すように、伝達特性に応じた逆数を操舵トルクTsに対して乗じた値をアシストトルクTaとする。
つまり、アシストトルクTa入力時に発生する操舵トルクTsは、
となるので、アシストトルクTaを以下のように設定すれば、操舵トルクTsの発生量を抑制できることになる。
なお、操舵トルクTsが含まれる項において、Tsの前の部分が伝達特性に応じた逆数となる。また、LPFは一般的なローパスフィルタを表し、相対次数を0以上とし、共振抑制演算部41をプロパーにする目的で追加される。
共振抑制演算部41が、このように求めたアシストトルクTaに応じた補正トルクC1を出力する場合の操舵トルクTsの一例を図5に示す。振動抑制制御をしない場合の実線に示す波形と比較して、振動抑制制御を行う場合の破線に示す波形は、操舵トルクTsのピーク値が小さくなることが分かる。つまり、ステアリングの振動を抑制できることが分かる。
この場合のアシストトルクTaの周波数特性は、図6に示すように、操舵トルクTsの共振周波数にゲインが極小となる反共振点([A]参照)を有する。
なお、アシストトルクTaの周波数特性は、図7に示すように、操舵トルクTsの共振周波数よりも高い周波数帯域においてゲインが極大となる共振点([B]参照)を有するようにしてもよい。また、アシストトルクTaの周波数特性は、図8に示すように、操舵トルクTsの共振周波数よりも低い周波数帯域においてゲインが極大となる共振点([C]参照)を有するようにしてもよい。
さらに、アシストトルクTaの周波数特性は、図9に示すように、操舵トルクTsの共振周波数よりも高い周波数帯域および低い周波数帯域においてゲインが極大となる共振点([B][C]参照)をそれぞれ有するようにしてもよい。
このような周波数特性にするためには、例えば、以下のようにアシストトルクTaを設定するとよい。
ここで、[LPF]が共振点[B]に対応する項であり、[HPF](ハイパスフィルタ)が共振点[C]に対応する項である。[LPF]および[HPF]は、操舵トルクTsの共振周波数から離れた周波数領域でのゲインが過剰に大きくなることを抑制する。
次に、ねじれ抑制演算部43は、共振抑制演算部41と概ね同様の思想でステアリングの振動を抑制するが、特に、操舵トルクTsの値を0に近づけることで、振動を抑制する。詳細には、図10に示すように、各値を定義する。
すると、次のようにラプラス変換後のs領域において運動方程式を立てることができる。
これらの式に基づいて、操舵トルクTsを0とするためのアシストトルクTaを求めると次のようになる。
ねじれ抑制演算部43は、このようにして求められたアシストトルクTaに基づく補正トルクC2を出力する。
次に、加算部45は、共振抑制演算部41により出力された補正トルクC1と、ねじれ抑制演算部43により出力された補正トルクC2とを加算した、補正トルクCCを生成し、出力する。
[本実施形態による効果]
本発明の電動ステアリングシステム1において、アシスト制御演算部20は、操舵トルクの検出値に応じてドライバの操舵負荷を軽減するアシストトルクを発生させるためのアシスト指令を生成する。また、目標追従制御演算部30は、操舵に関わる物理量の目標値を取得し、この目標値に物理量の検出値を追従させる自動操舵トルクを発生させるための追従指令を生成する。
また、振動抑制制御演算部40(共振抑制演算部41)は、舵角を変位させるモータ6による出力トルクが操舵トルクの少なくとも一部として伝達する際の伝達特性に基づいて、出力トルクにより生じる操舵トルクの振動を抑制するための振動補正トルクを演算し、この振動補正トルクを発生させるための振動補正指令を生成する。そして、モータ駆動回路60は、アシスト指令、追従指令、および振動補正指令の加算値に従って、モータ6を駆動させる。
このような電動ステアリングシステム1によれば、伝達特性に基づき振動を抑制する振動補正トルクを演算し、この振動補正トルクを加味してモータ6を駆動させるので、モータ6からの出力トルクによるステアリングの共振を抑制することができる。よって、ステアリングの振動を抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、操舵トルクを用いて、振動補正トルクを演算する。
このような電動ステアリングシステム1によれば、操舵トルクを用いたフィードバック制御によってステアリングの共振を抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、操舵トルク(つまりハンドル回転角とモータ回転角度との差)が変動するときの周波数に応じて、伝達特性の共振周波数において反共振点を有するよう振動補正トルクを設定する。
このような電動ステアリングシステム1によれば、伝達特性の共振周波数に反共振点を有するよう設定するので、ステアリング(操舵トルク)の共振を効果的に抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、伝達特性の共振周波数よりも高周波側に1または複数の共振点を有するよう振動補正トルクを設定する。
このような電動ステアリングシステム1によれば、伝達特性の共振周波数よりも高周波側において振動補正トルクのゲインが増大し過ぎることを抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、伝達特性の共振周波数よりも低周波側に1または複数の共振点を有するよう振動補正トルクを設定する。
このような電動ステアリングシステム1によれば、伝達特性の共振周波数よりも低周波側において振動補正トルクのゲインが増大し過ぎることを抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40(ねじれ抑制演算部43)は、伝達特性に基づいて出力トルクにより生じる操舵トルクを抑制するための操舵補正トルクを演算し、この操舵補正トルクを発生させるための操舵補正指令を生成する。そして、モータ駆動回路60は、アシスト指令、追従指令、振動補正指令および操舵補正指令の加算値に従って、モータ6を駆動させる。
このような電動ステアリングシステム1によれば、出力トルクにより生じる操舵トルクそのものを抑制するので、ステアリングの振動を抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、モータの回転速度、モータの角速度、モータの角加速度の少なくとも何れかを表すモータ状態を用いて、操舵補正トルクを演算する。
このような電動ステアリングシステム1によれば、モータ状態から伝達特性によって生じる操舵トルクを推定することができるので、出力トルクにより生じる操舵トルクを良好に抑制することができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40は、モータ状態に加えて、車両の特性を示す物理パラメータを用いて、操舵補正トルクを演算する。
このような電動ステアリングシステム1によれば、操舵補正トルクを演算する際に車両の特性も用いるので、より適切な操舵補正トルクを求めることができる。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40が用いる物理パラメータには、モータの角加速度に付与(乗算等)される値であり、かつモータを含めた操舵トルクを検出する部位よりもタイヤ側の慣性モーメントを含む。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40が用いる物理パラメータには、モータの角速度に付与(乗算等)される値であり、モータを含めた操舵トルクを検出する部位よりもタイヤ側の粘性摩擦係数を含む。
また、電動ステアリングシステム1において振動抑制制御演算部40が用いる物理パラメータには、モータの回転速度に付与(乗算等)される値であり、モータを含めた操舵トルクを検出する部位よりもタイヤ側の慣性体と路面との間の負荷バネ定数を含む。
これらのような電動ステアリングシステム1によれば、物理パラメータとして、慣性モーメント、粘性摩擦係数、負荷バネ定数を用いるので、車両特性を加味した操舵補正トルクを求めることができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態によって何ら限定して解釈されない。また、上記の実施形態の説明で用いる符号を特許請求の範囲にも適宜使用しているが、各請求項に係る発明の理解を容易にする目的で使用しており、各請求項に係る発明の技術的範囲を限定する意図ではない。上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
上述した電動ステアリングシステム1の他、当該電動ステアリングシステム1の構成要素の一部となる装置、当該電動ステアリングシステム1を構成する機能をコンピュータに実行させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、電動ステアリング制御方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
例えば、上記実施形態において、振動抑制制御演算部40が用いる物理パラメータには、車両の走行状態に応じて変化する値を含んでいてもよい。例えば、共振抑制演算部41およびねじれ抑制演算部43が演算に用いる物理パラメータとしては、車速、路面反力、路面抵抗、外気温の少なくとも何れかに応じて変化する値を含ませることができる。
例えば、図11に示すように、車速に応じて等価負荷バネK2の値を変更できる。等価負荷バネK2の値は、車速が0に近いときから車速が早くなるにつれて一旦小さくなり、極小値を取る速度から車速が大きくなるにつれて大きくなる。つまり、図11に示すグラフでは、操舵の際に、停車時にはハンドルが重く、低速で走行しているときにはハンドルが軽く、また、高速で走行しているときにはハンドルが重くなる現象を再現している。
また、図12および図13に示すように、路面反力や路面ミュー(μ:摩擦係数)に応じて等価負荷バネK2の値を変更できる。これらの例では、路面反力や路面ミューが増加するに従って、等価負荷バネK2の値を大きく設定する。
また、図14に示すように、外気温に応じてモータ粘性C2の値を変更できる。この例では、外気温が高くなるにつれてモータ粘性C2を小さくする。例えば潤滑油の粘性等が温度上昇とともに小さくなるからである。
ただし、潤滑油の粘性の変化は直線的に変化し続けるものではないため、モータ粘性C2の値には、上限値および下限値が設けられる。
このような電動ステアリングシステム1によれば、車両の走行状態に応じて値を変化させるので、車両の走行状態に対応した適切な操舵補正トルクを求めることができる。また、車速、路面反力、路面抵抗、外気温の何れかの変化に応じて適切な操舵補正トルクを求めることができる。
[実施形態の構成と本発明の手段との対応関係]
上記実施形態におけるアシスト制御演算部20は本発明でいうアシスト制御手段に相当し、上記実施形態における目標追従制御演算部30は本発明でいう追従制御手段に相当する。また、上記実施形態における振動抑制制御演算部40(共振抑制演算部41)は本発明でいう振動補正制御手段に相当し、上記実施形態における振動抑制制御演算部40(ねじれ抑制演算部43)は本発明でいうトルク補正制御手段に相当する。
さらに、上記実施形態におけるモータ駆動回路60は本発明でいうモータ駆動手段に相当する。
1…電動ステアリングシステム、2…ハンドル、3…ステアリングシャフト、4…トルクセンサ、5…インターミディエイトシャフト、6…モータ、10…タイヤ、11…車速センサ、15…EPS−ECU、16…LKE−ECU、20…アシスト制御演算部、30…目標追従制御演算部、40…振動抑制制御演算部、41…共振抑制演算部、43…抑制演算部、45…加算部、50…加算器、55…減算器、60…モータ駆動回路、100…制御対象。

Claims (13)

  1. 操舵トルクの検出値に応じて操舵負荷を軽減するアシストトルクを発生させるためのアシスト指令を生成するアシスト制御手段(20)と、
    操舵に関わる物理量の目標値を取得し、該目標値に前記物理量の検出値を追従させる自動操舵トルクを発生させるための追従指令を生成する追従制御手段(30)と、
    舵角を変位させるモータ(6)による出力トルクが前記操舵トルクの少なくとも一部として伝達する際の伝達特性に基づいて、前記出力トルクにより生じる前記操舵トルクを抑制するための操舵補正トルクを演算し、該補正トルクを発生させるための操舵補正指令を生成するトルク補正制御手段(40:43)、
    前記アシスト指令、前記追従指令、および前記操舵補正指令の加算値に従って、前記モータを駆動させるモータ駆動手段(60)と、
    を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記トルク補正制御手段は、前記モータの回転速度、前記モータの角速度、前記モータの角加速度の少なくとも何れかを表すモータ状態を用いて、前記操舵補正トルクを演算すること
    を特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記トルク補正制御手段は、前記モータ状態に加えて、車両の特性を示す物理パラメータを用いて、前記操舵補正トルクを演算すること
    を特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項3に記載のモータ制御装置において、
    前記物理パラメータには、前記モータの角加速度に付与される値であり、モータを含めた操舵トルクを検出する部位よりもタイヤ側の慣性モーメントを含むこと
    を特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載のモータ制御装置において、
    前記物理パラメータには、前記モータの角速度に付与される値であり、モータを含めた操舵トルクを検出する部位よりもタイヤ側の粘性摩擦係数を含むこと
    を特徴とするモータ制御装置。
  6. 請求項3〜請求項5の何れか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記物理パラメータには、前記モータの回転速度に付与される値であり、モータを含めた操舵トルクを検出する部位よりもタイヤ側の慣性体と路面との間の負荷バネ定数を含むこと
    を特徴とするモータ制御装置。
  7. 請求項3〜請求項6の何れか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記物理パラメータには、車両の走行状態に応じて変化する値を含むこと
    を特徴とするモータ制御装置。
  8. 請求項7に記載のモータ制御装置において、
    前記物理パラメータには、車速、路面反力、路面抵抗、外気温の少なくとも何れかを含むこと
    を特徴とするモータ制御装置。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記伝達特性に基づいて、前記出力トルクにより生じる前記操舵トルクの振動を抑制するための振動補正トルクを演算し、該振動補正トルクを発生させるための振動補正指令を生成する振動補正制御手段(40:41)、
    を備え、
    前記モータ駆動手段は、前記アシスト指令、前記追従指令、前記操舵補正指令、および前記振動補正指令の加算値に従って、前記モータを駆動させること
    を特徴とするモータ制御装置。
  10. 請求項9に記載のモータ制御装置において、
    前記振動補正制御手段は、前記操舵トルクを用いて、前記振動補正トルクを演算すること
    を特徴とするモータ制御装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載のモータ制御装置において、
    前記振動補正制御手段は、前記伝達特性の共振周波数において反共振点を有するよう前記振動補正トルクを設定すること
    を特徴とするモータ制御装置。
  12. 請求項11に記載のモータ制御装置において、
    前記振動補正制御手段は、前記伝達特性の共振周波数よりも高周波側に1または複数の共振点を有するよう前記振動補正トルクを設定すること
    を特徴とするモータ制御装置。
  13. 請求項11または請求項12に記載のモータ制御装置において、
    前記振動補正制御手段は、前記伝達特性の共振周波数よりも低周波側に1または複数の共振点を有するよう前記振動補正トルクを設定すること
    を特徴とするモータ制御装置。
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