JP2016087362A - 歯間清掃具及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記清掃用軟質部は、芯基材部を被覆する芯被覆部と、該芯被覆部に一体的に形成され、芯基材部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成された多数の突起部と、前記芯被覆部の複数の突起部間に形成され、前記長手方向に交差する方向に細長い形状の複数の凹部と、を有する歯間清掃具。
(2)前記複数の凹部は、前記芯被覆部の一側面に前記長手方向に沿って形成されているとともに、これとは反対側の側面に前記長手方向に沿って形成されている前記(1)記載の歯間清掃具。
(3)前記凹部が、前記清掃用軟質部の先端から基端側へ向けて2mmの範囲内の芯被覆部の一側面とその反対側の側面に形成されているとともに、前記清掃用軟質部の基端から先端側に向けて4mmの範囲内の芯被覆部の一側面とその反対側の側面に形成されている前記(1)又は(2)に記載の歯間清掃具。
(4)前記突起部が、前記芯被覆部の一側面及びその反対側の側面に前記長手方向に沿って列状に並んでおり、各列状に並んだ突起部のうち長手方向に隣接する突起部間の総数の14〜71%に前記凹部が形成されている前記(1)〜(3)の何れかに記載の歯間清掃具。
(5)前記エラストマは、ショアA硬度が25〜50であるスチレン系エラストマであり、前記清掃用軟質部の表面に殺菌剤が放出可能に固着されている前記(1)〜(4)の何れかに記載の歯間清掃具。
(6)前記殺菌剤が、カチオン性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ヒノキチオール、ラウロイルサルコシンナトリウムから選択される少なくとも1種である前記(1)〜(5)の何れかに記載の歯間清掃具。
(7)前記殺菌剤が、カチオン性殺菌剤であり、該カチオン性殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウムから選択される少なくとも1種である前記(6)に記載の歯間清掃具。
(8)殺菌剤の固着量が、2.00μg以上である前記(1)〜(7)の何れかに記載の歯間清掃具。
(9)合成樹脂からなる基材部と、該基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、該ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部をインサート成形により被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造方法であって、
前記基材部の芯基材部の少なくとも一部を前記軟質部を成形する金型の成形空間にセットし、金型の合わせ面と略直交状に清掃用軟質部成形部内に突出するように対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンで、前記芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を清掃用軟質部成形部の略中央部にそれぞれ保持した状態で、前記清掃用軟質部成形部に対して先端側から基端部側へ向けてエラストマ材料が充填されるように、成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する工程を有し、
前記金型の清掃用軟質部成形部は、芯基材部を被覆する芯被覆部を成形する芯被覆部成形部と、前記芯被覆部に一体的に形成され、芯基材部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成された多数の突起部を成形する多数の突起部成形部とを有し、
前記保持ピンは、芯基材部の長手方向に交差する方向に細長い先端部形状を有し、前記突起部成形部の間の前記芯被覆部成形部から前記清掃用軟質部成形部内に突出するように配置され、芯基材部を保持した部分に、前記芯被覆部の複数の突起部間に形成された、前記長手方向に交差する方向に細長い形状の複数の凹部を形成する歯間清掃具の製造方法。
(10)前記保持ピンの先端部形状が、保持ピンの長手方向に直交する方向の断面が細長い四角形状である前記(9)記載の歯間清掃具の製造方法。
(11)前記芯基材部の先端側部分を保持する1組の保持ピンの芯基材部に接する部分の断面積を0.03〜0.2mm2に設定するとともに、当該1組の保持ピンを清掃用軟質部成形部の先端部から基端側へ向けて2mmの範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に配置し、前記芯基材部の基端側部分を保持する1組の保持ピンの芯基材部に接する部分の断面積を0.05〜0.5mm2に設定するとともに、当該1組の保持ピンを清掃用軟質部成形部の基端部から先端側へ向けて4mmの範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に配置した前記(9)又は(10)に記載の歯間清掃具の製造方法。
(12)前記突起部成形部が、芯基材部の長手方向に沿って複数の列状に並んでおり、列状に並んだ突起部成形部のうち長手方向に隣接する突起部成形部間の総数の14〜71%に前記保持ピンが配置されている前記(9)〜(11)の何れかに記載の歯間清掃具の製造方法。
また、歯間清掃具に殺菌剤を保持させる場合には、被覆部に凹部を形成するとともに、突起部も従来のように欠落なく多数設けることができるため、表面積を大きくすることができる。そのため、殺菌剤を従来より多く付着させることができ、殺菌剤の効果がより期待できる。
本発明に係る歯間清掃具の製造方法によれば、このような歯間清掃具を効率よく製造することができる。
本発明の歯間清掃具は、合成樹脂からなる基材部と、該基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、該ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部をインサート成形により被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えるものである。
そして、前記清掃用軟質部は、芯基材部を被覆する芯被覆部と、該芯被覆部に一体的に形成され、芯基材部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成された多数の突起部と、前記芯被覆部の複数の突起部間に形成され、前記長手方向に交差する方向に細長い形状の複数の凹部と、を有する。
このように、特定構造の凹部を形成することができるため、前述したように突起部を欠落させる必要がない。その結果、突起部による清掃性を向上させることができる。また、この凹部は、長手方向に交差する方向に細長い形状を有する。つまり、凹部は歯間を清掃する時の歯間清掃具を動かす方向に対して交差する方向に形成され、かつ、その交差方向に幅広く形成されることになる。したがって、清掃時に、歯の表面から剥離された歯垢等を効率よく凹部に捕捉することができ、清掃性をより向上させることができる。
図1に示す実施形態の歯間清掃具1は、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としてのハンドル部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂からなる基材部10と、エラストマからなる軟質部20とを備えている。
基材部10は、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部12とを備える。
芯基材部12の構造は特に限定はないが、歯間に対する清掃部の挿入性を向上できるとともに、歯間清掃時に、各々大きさの異なる歯間鼓形空隙部の歯間乳頭部を1本の歯間清掃具を用いて無理なく優しくマッサージできるという付加的効果も得られることから、芯基材部12をその先端側へ行くにしたがって縮径するテーパ形状に形成することが好ましく、芯基材部12の長さ方向中心線に対するテーパ形状のなす角度θを0.2°〜2.5°に設定することがより好ましく、0.2°〜1.8°に設定することがさらに好ましい。
幅狭に構成されるハンドル基材部11の先端部側面のアール(湾曲部)の終点から軟質部20の被覆部20aの基端部までの芯基材部12の露出部12aの長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm〜50mm、好ましくは10mm〜25mmに設定され、清掃用軟質部21の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば12mm〜22mmに設定されるのが好ましい。
芯本体12bの先端側部分の直径は0.4mm〜0.6mmに設定され、芯本体12bの基端部の直径は0.8mm〜2.0mmに設定され、また清掃用軟質部21の芯被覆部21aの先端部分の曲面終端部における直径Dは0.5〜1.2mmに設定され、芯本体12bの先端部から少なくとも5mm以上の芯本体12bの先端側部分を確実に歯間に挿入できるように構成されている。
ただし、芯基材部12のテーパ形状のなす角度θは、芯基材部12の全長にわたって同じ角度θに設定したが、芯基材部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。また、露出部12aを全長にわたって同じ直径の軸状に形成し、芯本体12bのみを先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成することもできる。更に、露出部12aを省略し、芯本体12bをハンドル基材部11に直接的に連設することも可能である。
繊維材を使用する場合のその配合割合は、基材部10を構成する合成樹脂材料にもよるが、基本的には、12重量%未満の場合には曲り易くなって、清掃部2を歯間に挿入し難くなり、35重量%を超えると清掃部2が折れ易くなるので、12重量%以上35重量%以下に設定することが好ましく、15重量%以上35重量%以下に設定することがより好ましく、20重量%以上30重量%以下に設定することが特に好ましい。具体的には、合成樹脂材料としてポリプロピレン(PP)を用いる場合には、繊維材の配合割合を15重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましく、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる場合には、12重量%以上、35重量%以下、15重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい。
また、繊維材を使用する場合は、繊維材の長さ方向が基材部10の長さ方向に沿った方向となるように配向されていることが好ましく、このように構成することで、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度をより向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯基材部12の折れや座屈をより効果的に防止できる。また、図5に示す歯間清掃具連結体1Aにおいて、繊維材を基材部10の長さ方向に配向させた場合は、歯間清掃具連結体1Aの連結部13における切り離しが容易になる。
軟質部20は、図1に示すように、エラストマ材料を用いて基材部10にインサート成形により一体成形したもので、芯基材部12に外装した清掃用軟質部21を備えている。ただし、軟質部20として、芯本体12bの基端部に歯間への挿入を規制する環状の挿入規制部を設けたり、ハンドル基材部11に滑り止め部を設けたりすることも可能である(何れも図示せず)。挿入規制部や滑り止め部は、清掃用軟質部21とは独立に成形することも可能であるが、金型構造が複雑になるので、清掃用軟質部21の基部に連なるように形成することが好ましい。
また、凹部21cの形成箇所は、後述するインサート成形時の成形性などの観点から、清掃用軟質部21の先端から基端側へ向けて2mmの範囲内の芯被覆部21aの一側面とその反対側の側面に形成されているとともに、清掃用軟質部21の基端から先端側に向けて4mmの範囲内の芯被覆部21aの一側面とその反対側の側面に形成されているのが好ましい。さらに、凹部21cを3箇所以上設ける場合は、清掃用軟質部21の先端側に多く設けるのが好ましい。特に、芯基材部12が先端側が先細りするテーパ形状の場合は、芯基材部12の先端側が剛性が低くなるため、後述するインサート成形時の芯基材部12の変形などを防止することができる。また、先端側が歯間に入りやすいため、その部分に凹部21cが多く設けられることで清掃性が向上する。
さらに、凹部21cは、芯被覆部21aの一側面にその長手方向に沿って形成されているとともに、これとは反対側の側面に長手方向に沿って形成されているのが好ましい。このように凹部21cを設けることで、歯間を清掃する場合に、歯間清掃具の対面する両側の歯において除去される歯垢等を一度に凹部21cで容易に捕捉することができる。また、インサート成形時に芯基材部12を対向する保持ピンで確実に保持することができ、芯基材部12の変形を効果的に防止することができる。
このように、凹部21cを芯被覆部21aの一側面とそれとは反対側の側面の長手方向に沿って形成した場合における、一方の側面のある1つの凹部21cと、この凹部21cに近接する他方の側面の1つの凹部21cを1対とした場合の両者の位置関係は、突起部21bの配置にもよるが、両者は長手方向にずらして配置されているのが好ましい(例えば、図2(b)参照。)。このような配置の場合、凹部21cを芯被覆部21aにより多く形成できる傾向にあり、清掃性が向上する。また、表面積を増加させることもできる。さらに、インサート成形時に芯基材部12をより多くの保持ピンで保持し易く、より確実に芯基材部12を保持し易くなる。
凹部21cの大きさは、突起部21bの配置や形状によるが、例えば、芯被覆部21aの平面視で細長い四角形状の場合、交差方向の長さは、同平面視で芯被覆部21aの一方の側部から他方の側部に亘る直線距離L5の45%〜100%が好ましく、50%〜85%がより好ましい。また、交差方向に直交する最大幅W2は、交差方向の長さの5%〜60%が好ましく、7%〜25%がより好ましい。凹部21cの最大深さは、芯被覆部21aの厚みによるが、厚みの80%〜100%が好ましく、90%〜100%がより好ましい。
前述のように、軟質部20を構成するエラストマとして各種のものを使用可能であるが、殺菌剤を放出可能に固着する場合は、ショアA硬度が25〜50であるスチレン系エラストマが好ましい。また、スチレン系エラストマのショアA硬度としては30〜40がより好ましい。このような材質のエラストマを用いることにより、殺菌剤の固着量を増加させることができるとともに、歯間清掃時には殺菌剤を適度に徐放することができる。
前述のように、本発明では、清掃用軟質部を構成するエラストマとしてショアA硬度が25〜50であるスチレン系エラストマを採用することで、殺菌剤の固着量を確保することができるとともに、歯間清掃中に効果的に殺菌剤を放出することができる。また、上述した特定の凹部を形成することで芯被覆部21aの表面積をより向上させることができるため、固着量をより多くすることが期待できる。また、凹部に捕捉した歯垢等に含まれる口腔内細菌を効果的に殺菌することが期待できる。
ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地にテストピースを設置し、嫌気条件で、37℃、3日間、S.mutansを培養した後、テストピース(例えば、歯間清掃具の清掃部や、25mm×5mm×2mmの試験片など。)の中心点から、その長辺方向に対して直交する方向に、S.mutansの存在が認められない円(阻止円)の幅を測定する。経験上、阻止円の幅が10.5mm以上である場合に良好な放出特性があると判断できる。
(歯間清掃具の製造方法)
本発明に係る歯間清掃具の製造方法は、合成樹脂からなる基材部と、該基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、該ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部をインサート成形により被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備える。
そして、この製造方法では、前記基材部の芯基材部の少なくとも一部を前記軟質部を成形する金型の成形空間にセットし、金型の合わせ面と略直交状に清掃用軟質部成形部内に突出するように対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンで、前記芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を清掃用軟質部成形部の略中央部にそれぞれ保持した状態で、前記清掃用軟質部成形部に対して先端側から基端部側へ向けてエラストマ材料が充填されるように、成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する工程を有する。
この工程において使用する前記金型の清掃用軟質部成形部は、芯基材部を被覆する芯被覆部を成形する芯被覆部成形部と、前記芯被覆部に一体的に形成され、芯基材部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成された多数の突起部を成形する多数の突起部成形部とを有する。
また、前記保持ピンは、芯基材部の長手方向に交差する方向に細長い先端部形状を有し、前記突起部成形部の間の前記芯被覆部成形部から前記清掃用軟質部成形部内に突出するように配置され、芯基材部を保持した部分に、前記芯被覆部の複数の突起部間に形成された、前記長手方向に交差する方向に細長い形状の複数の凹部を形成する。
また、突起部成形部を潰すことなく、保持ピンを多数設けることができる。そのため、芯基材部を安定して支持することができる。また、エラストマ材料の射出圧や射出時の熱による変形を防止することができる。これらの結果、歯間清掃具や歯間清掃具連結体を安定して生産することができる。
さらに、芯被覆部に多数の突起部と凹部を形成することもできるため、歯間清掃具の清掃性を向上させることができる。また、殺菌剤を固着させる場合、表面積を増やすことができるため、殺菌剤の固着量を増やすことができる。
本発明の歯間清掃具の製造方法では、先ず、基材部10を射出成形により成形する。そして成形した基材部10を金型40、41の成形空間42にセットした後、成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する。
清掃用軟質部成形部46の先端側において金型40、41の合わせ面40a、41aには、清掃用軟質部成形部46の先端部に開口するゲート47が形成され、ゲート47は金型40、41に形成したランナ48に連通され、ランナ48からゲート47を経て成形空間42にエラストマ材料が供給されるように構成されている。なお、ゲート47の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。
保持ピン50〜52は、芯基材部12の長手方向に沿って複数の列状に並べられた隣接する突起部成形部46bの間に設けるのが好ましい。また、突起部成形部46bが多数の場合は、列状に並べられた隣接する突起部成形部46bの間には1つの保持ピン50〜52を設けるのが好ましい。さらに、保持ピン50〜52は、列状に並べられた突起部成形部46bにおいてその隣接する突起部成形部46b間の総数の14〜71%に配置するのが好ましく、14〜42%がより好ましい。図6に示す例では、列状に並んだ突起部成形部46bの突起部成形部46b間の総数は14個(14組)であるため、保持ピン50〜52の数は、2〜10個(2〜10組)が好ましく、2〜6個(2〜6組)がより好ましい。但し、保持ピンの数が2個(2組)の場合は、先端側保持ピン50と基端側保持ピン52とで構成される。
保持ピンの先端部形状としては、具体的には、例えば、保持ピン50〜52の長手方向に直交する方向の断面(横断面)が細長い多角形状、細長い楕円形状、これらに準ずる細長い形状であるのが好ましい。また、多角形のうち、保持ピンの作製し易さ、安定した芯基材部の保持のため、四角形がより好ましい。即ち、横断面が細長い四角形状であるのがより好ましい。
芯基材部12の長手方向中心軸に交差する保持ピン50〜52の角度βとしては、突起部成形部46bの配置によるが、0°より大きく90°以下であるのが好ましく、成形時の不良防止、金型強度の観点からは、50°〜70°がより好ましい。
以上のような構成により、成形時における芯基材部12の固定を確実にするだけでなく、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
このとき、保持ピン50〜52の断面積を清掃用軟質部成形部46の基部側へ行くにしたがって大きく設定していると、清掃用軟質部成形部46の先端部からの基端側へのエラストマ材料の充填が保持ピン50〜52により極力阻害されないようにしつつ、保持ピン50〜52と芯基材部12との接触面積を増やして、芯基材部12を安定性良く保持できることになり、射出圧に多少バラツキが生じたとしても、芯基材部12の湾曲を防止して、精度良くエラストマ材料からなる清掃用軟質部21を成形することができる。特に、保持ピン50〜52が、芯基材部の長手方向に交差する方向に細長い先端部形状を有し、途中部保持ピン51を多数配置することができるため、芯基材部12をより一層安定性良く保持でき、芯基材部12の射出圧等による変形をより一層効果的に防止できる。
本発明では、必要に応じて清掃用軟質部21の表面に殺菌剤を放出可能に固着するため、殺菌剤を塗布することができる。殺菌剤を塗布する方法としては、上述した殺菌剤を含む溶液を調製し、この殺菌剤溶液に先述の歯間清掃具1の清掃用軟質部21を浸漬する浸漬方法、殺菌剤溶液を清掃用軟質部21に噴霧する噴霧方法、殺菌剤溶液を回転ローラーから浸み出させながら清掃用軟質部21に塗る方法、殺菌剤溶液を刷毛により塗る方法などが挙げられる。このうち、殺菌剤の固着量を確保する観点からは、浸漬方法、噴霧方法が好ましく、浸漬方法がより好ましい。
殺菌剤溶液の殺菌剤の濃度は、0.001〜10重量%が好ましい。
歯間清掃具の軟質部を構成する材質の殺菌剤の固着量を確認するため、以下の試験を行った。
長さ25mm、幅5mm、厚み2mmの直方体の下記の各種エラストマ材料からなるテストピースを用意した。また、塩化セチルピリジニウム配合液体製剤(サンスター株式会社製、バトラークリーンマウスウォッシュ)を蒸留水で10倍希釈し、塩化セチルピリジニウム(CPC)溶液を調製した。
調製した殺菌剤溶液にテストピースを5秒間浸漬した後、室温、一晩乾燥し、殺菌剤が放出可能に固着されている試験片1〜7を得た。
尚、各種エラストマ材料は以下の通りである。
・スチレン系エラストマ(ショア30A):KRAIBURG社製、商品名「TF3BNA」
・スチレン系エラストマ(ショア40A):KRAIBURG社製、商品名「TF4BNA」
・スチレン系エラストマ(ショア50A):KRAIBURG社製、商品名「TF5BNA」
・スチレン系エラストマ(ショア60A):KRAIBURG社製、商品名「TF6BNA」
・ポリエステル系エラストマ:東洋紡株式会社製、商品名「ペルプレン」
・オレフィン系エラストマ(ショア65A):三菱化学株式会社製、商品名「サーモラン3655N」
・オレフィン系エラストマ(ショア75A):三菱化学株式会社製、商品名「サーモラン3755N」
試験片を抽出液(10mMラウリル硫酸ナトリウム、40mMクエン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル=25/75)1mLに入れて、超音波処理10分、ボルテックスミキサーで撹拌処理10分行い、サンプルを得た。このサンプルを高速液体クロマトグラフィ(島津製作所社製、製品名LC−10A)により測定した。
高速液体クロマトグラフィの条件は下記の通りである。
検出器:紫外吸光光度計
測定波長:258nm
カラム:ODSカラム(メルク社製、LiChroCART250-4 LiChrospher 60 RP-SelectB(5μm))、内径4mm、長さ25cm
カラム温度:40℃
移動相:10mMラウリル硫酸ナトリウム、40mMクエン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル=25/75
流速:CPCの保持時間を約9分に設定
歯間清掃具の軟質部を構成する材質の殺菌剤の放出特性への影響を確認するため、以下の試験を行った。
殺菌剤溶液として、塩化セチルピリジニウム配合液体製剤(サンスター株式会社製、バトラークリーンマウスウォッシュ)を原液のまま用い、テストピースを7時間浸漬した以外は、試験片1、2、4〜7と同様にして試験片8〜13を調製した。
ブレインハートインヒュージョン(BHI)培地(日本ベクトン・ディッキンソン社製、商品名「Difco Brain Haert Infusion Agar)に前述のようにして得られたテストピースを、厚み方向が培地面に交差するように設置し、嫌気条件で、37℃、3日間、S.mutansを培養した。テストピースの長さ方向及び幅方向の中間点(中心点)から、長さ方向に直交し幅方向に平行な方向において、S.mutansの存在が認められない円(阻止円)の幅を測定した。
2 清掃部
3 ハンドル部
10 基材部
11 ハンドル基材部
12 芯基材部
12a 露出部
12b 芯本体
13 連結部
20 軟質部
21 清掃用軟質部
21a 被覆部
21b 突起部
21c 凹部
40、41 金型
40a、41a 合わせ面
42 成形空間
46 清掃用軟質部成形部
46a 先端部
46b 突起部成形部
46c 芯被覆部成形部
47 ゲート
48 ランナ
50 先端側保持ピン
51 途中部保持ピン
52 基端側保持ピン
55 ランナ部
56 ゲート部
Claims (12)
- 合成樹脂からなる基材部と、該基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、該ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部をインサート成形により被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具であって、
前記清掃用軟質部は、芯基材部を被覆する芯被覆部と、該芯被覆部に一体的に形成され、芯基材部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成された多数の突起部と、前記芯被覆部の複数の突起部間に形成され、前記長手方向に交差する方向に細長い形状の複数の凹部と、を有する歯間清掃具。 - 前記複数の凹部は、前記芯被覆部の一側面に前記長手方向に沿って形成されているとともに、これとは反対側の側面に前記長手方向に沿って形成されている請求項1記載の歯間清掃具。
- 前記凹部が、前記清掃用軟質部の先端から基端側へ向けて2mmの範囲内の芯被覆部の一側面とその反対側の側面に形成されているとともに、前記清掃用軟質部の基端から先端側に向けて4mmの範囲内の芯被覆部の一側面とその反対側の側面に形成されている請求項1又は2に記載の歯間清掃具。
- 前記突起部が、前記芯被覆部の一側面及びその反対側の側面に前記長手方向に沿って列状に並んでおり、各列状に並んだ突起部のうち長手方向に隣接する突起部間の総数の14〜71%に前記凹部が形成されている請求項1〜3の何れかに記載の歯間清掃具。
- 前記エラストマは、ショアA硬度が25〜50であるスチレン系エラストマであり、
前記清掃用軟質部の表面に殺菌剤が放出可能に固着されている請求項1〜4の何れかに記載の歯間清掃具。 - 前記殺菌剤が、カチオン性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ヒノキチオール、ラウロイルサルコシンナトリウムから選択される少なくとも1種である請求項1〜5の何れかに記載の歯間清掃具。
- 前記殺菌剤が、カチオン性殺菌剤であり、
該カチオン性殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウムから選択される少なくとも1種である請求項6に記載の歯間清掃具。 - 殺菌剤の固着量が、2.00μg以上である請求項1〜7の何れかに記載の歯間清掃具。
- 合成樹脂からなる基材部と、該基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、該ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部をインサート成形により被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造方法であって、
前記基材部の芯基材部の少なくとも一部を前記軟質部を成形する金型の成形空間にセットし、金型の合わせ面と略直交状に清掃用軟質部成形部内に突出するように対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンで、前記芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を清掃用軟質部成形部の略中央部にそれぞれ保持した状態で、前記清掃用軟質部成形部に対して先端側から基端部側へ向けてエラストマ材料が充填されるように、成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する工程を有し、
前記金型の清掃用軟質部成形部は、芯基材部を被覆する芯被覆部を成形する芯被覆部成形部と、前記芯被覆部に一体的に形成され、芯基材部の長手方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成された多数の突起部を成形する多数の突起部成形部とを有し、
前記保持ピンは、芯基材部の長手方向に交差する方向に細長い先端部形状を有し、前記突起部成形部の間の前記芯被覆部成形部から前記清掃用軟質部成形部内に突出するように配置され、芯基材部を保持した部分に、前記芯被覆部の複数の突起部間に形成された、前記長手方向に交差する方向に細長い形状の複数の凹部を形成する歯間清掃具の製造方法。 - 前記保持ピンの先端部形状は、保持ピンの長手方向に直交する方向の断面が細長い四角形状である請求項9記載の歯間清掃具の製造方法。
- 前記芯基材部の先端側部分を保持する1組の保持ピンの芯基材部に接する部分の断面積を0.03〜0.2mm2に設定するとともに、当該1組の保持ピンを清掃用軟質部成形部の先端部から基端側へ向けて2mmの範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に配置し、前記芯基材部の基端側部分を保持する1組の保持ピンの芯基材部に接する部分の断面積を0.05〜0.5mm2に設定するとともに、当該1組の保持ピンを清掃用軟質部成形部の基端部から先端側へ向けて4mmの範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に配置した請求項9又は10に記載の歯間清掃具の製造方法。
- 前記突起部成形部が、芯基材部の長手方向に沿って複数の列状に並んでおり、列状に並んだ突起部成形部のうち長手方向に隣接する突起部成形部間の総数の14〜71%に前記保持ピンが配置されている請求項9〜11の何れかに記載の歯間清掃具の製造方法。
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