JP2016084401A - 共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈折率層と低屈折率層とを多層積層した光学ポリエステルフィルムなどで、フィルムの製膜工程で生じるエッジ屑などを回収でき、しかもゲル状物質などの劣化異物の発生が抑制された共重合ポリエステル、および、それを用いたポリエステル組成物を提供すること。
【解決手段】酸成分の45〜70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、30〜55モル%がシクロヘキサンジカルボン酸成分で、グリコール成分の30〜60モル%がエチレングリコール成分、40〜70モル%がスピログリコール成分である共重合ポリエステルであって、触媒としてのアンチモン化合物をアンチモン元素量として40〜140ミリモル%(共重合ポリエステルの全酸成分を基準)含有し、かつ平均屈折率が1.540〜1.560である共重合ポリエステル、ならびに、平均屈折率1.630以上のエチレンナフタレート系ポリエステルと前記共重合ポリエステルとを、重量比15〜38:85〜62で溶融混練した平均屈折率が1.580〜1.590の範囲にあるポリエステル組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高屈折率のポリエステルと低屈折率のポリエステルとを積層した光学フィルムにおいて、フィルムの製膜工程で生じるエッジ屑などを回収して低屈折率のポリエステルとして用いるのに適した共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物に関するものである。
屈折率の低い層と屈折率の高い層とを交互に多層積層したフィルムは、層間の構造的な光干渉によって、特定波長の光を選択的に反射または透過する光学干渉フィルムとすることができる。また、このような多層フィルムは、膜厚を徐々に変化させたり、異なる反射ピークを有するフィルムを貼り合せたりすることで金属を使用したフィルムと同等の高い反射率を得ることができ、金属光沢フィルムや反射ミラーとして使用することもできる。さらには、このような多層フィルムを1方向にのみ延伸することで、特定の偏光成分のみを反射する偏光反射フィルムとしても使用できる。これらを液晶ディスプレイなどに使用することで、液晶ディスプレイなどの輝度向上フィルムとして使用できることが知られている。
例えば特許文献1に示されているとおり、一方の層に正の応力光学係数をもったポリエステルを使用することで、1軸方向に延伸することによりかかる層の屈折率を複屈折化させて異方性を持たせ、フィルム面内の延伸方向における層間の屈折率差を大きくし、一方でフィルム面内の延伸方向と直交方向における層間の屈折率差を小さくする方法により、特定の偏光成分のみを反射することができる。
また、特許文献2には、屈折率の高い層にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと称することがある)を使用し、屈折率の低い層に熱可塑性エラストマーやテレフタル酸を30モル%共重合したPENを使用した多層積層フィルムが例示されている。これは、一方の層に正の応力光学係数を有するポリエステルを使用し、他方の層に応力光学係数が非常に小さい(延伸による複屈折の発現が極めて小さい)ポリエステルを使用することで、特定の偏光のみを反射する反射偏光フィルムを例示したものである。
また、特許文献3にはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを高屈折率層とし、低屈折率層または高屈折率層の少なくともいずれかに不活性粒子を含む多層積層フィルムが記載されている。
このように、屈折率の高い層にPENを用いることは従来知られているが、その製膜工程で生じるエッジ屑などを再利用しようとすると、屈折率の低い層と高い層とで使用するポリエステルの組成差により、均一に混ざらずに白色化して再利用ができないという問題があった。
かかる問題を解消するため、本出願人は、酸成分の50〜70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、30〜50モル%がシクロヘキサンジカルボン酸成分で、グリコール成分の30〜50モル%がエチレングリコール成分、50〜70モル%がスピログリコール成分である共重合ポリエステルであって、平均屈折率が1.540〜1.560の範囲にある共重合ポリエステルを先に提案した。確かにこの共重合ポリエステルは、高屈折率層を構成するエチレンナフタレート系ポリエステルと相溶可能なので、低屈折率層を構成するポリエステルとして用いれば、製膜工程で発生する屑を再利用可能とすることができる。しかしながら、ポリエステル製造時にゲル状物質などの劣化異物が発生しやすいといった別の問題のあることが判明した。
特開平4−268505号公報 特表平9−506837号公報 国際公開第01/47711号パンフレット
本発明の目的は、上記の劣化異物の問題を解消し、しかも従来の多層積層フィルムが有する上記の課題も解決された、製膜工程で生じるエッジ屑などを再利用できる共重合ポリエステルおよびそれを用いたポリエステル組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、上記の共重合ポリエステルでは、触媒としてチタン化合物を用いた場合にゲル状物質などの劣化異物を発生しやすく、この問題は触媒としてアンチモン化合物を用いることにより改善できることを見出し、さらに検討を重ねた結果、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、以下の1)〜5)の共重合ポリエステル、および、6)〜7)のポリエステル組成物が提供される。
1)酸成分の45〜70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、30〜55モル%がシクロヘキサンジカルボン酸成分で、グリコール成分の30〜60モル%がエチレングリコール成分、40〜70モル%がスピログリコール成分である共重合ポリエステルであって、触媒としてのアンチモン化合物をアンチモン元素量として40〜150ミリモル%(共重合ポリエステルの全酸成分を基準)含有し、かつ平均屈折率が1.540〜1.560である共重合ポリエステル。
2)さらに触媒としてのチタン化合物を、チタン元素量で0〜10ミリモル%(共重合ポリエステルの全酸成分を基準)含有する上記1)記載の共重合ポリエステル。
3)ガラス転移温度(Tg)が90〜115℃である上記1)または2)に記載の共重合ポリエステル。
4)さらに酸化防止剤を、共重合ポリエステルの重量を基準として0.1〜0.5重量%含有する上記1)〜3)のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
5)平均屈折率1.630以上のエチレンナフタレート系ポリエステルと、重量比(エチレンナフタレート系ポリエステル:共重合ポリエステル)15〜38:85〜62で溶融混練するのに用いる上記1)〜4)のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
6)平均屈折率1.630以上のエチレンナフタレート系ポリエステルと、上記1)〜5)のいずれかに記載の共重合ポリエステルとを、重量比15〜38:85〜62で溶融混練した平均屈折率が1.580〜1.590であるポリエステル組成物。
7)エチレンナフタレート系ポリエステルが、酸成分の60〜95モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分で、5〜40モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である上記6)記載のポリエステル組成物。
本発明の共重合ポリエステルは、多層積層フィルムの高屈折率層に用いられるエチレンナフタレート系ポリエステルと相溶可能なので、低屈折率層を構成するポリエステル成分として用いれば、製膜工程等で発生する屑を再利用可能とすることができ、しかも、触媒としてアンチモン化合物を特定量用いているので製造時等でのゲル状物質などの劣化異物の発生を抑制することができ、その工業的価値は極めて大きい。
<共重合ポリエステル>
本発明の共重合ポリエステルは、酸成分の45〜70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分で、30〜55モル%がシクロヘキサンジカルボン酸成分であり、グリコール成分の30〜60モル%がエチレングリコール成分で、40〜70モル%がスピログリコール成分である共重合ポリエステルである。
本発明における共重合ポリエステルの酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を用いることで高い屈折率と高いガラス転移温度(Tg)を得ることができ、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を多く用いることでエチレンナフタレート系ポリエステルとの相溶性も良化して多層フィルムとしたときの再利用性(以下、単に回収性と称することがある)が向上する。2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が45モル%未満になると、エチレンナフタレート系ポリエステルとの相溶性が悪化し、さらにTgも低下する。一方、70モル%を超えると屈折率が高くなりすぎ、最終的に得られるポリエステル組成物の屈折率が高くなりすぎるため、低屈折率層用として好ましくなくなる場合がある。
本発明の共重合ポリエステルは、その酸成分の共重合成分としてシクロヘキサンジカルボン酸成分を30〜55モル%の範囲で共重合する。一般的に2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のような剛直性の高い成分を用いるとガラス転移温度も高く維持できるが同時に屈折率も高くなってしまう。そのため、シクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合量が少なすぎれば屈折率が高くなりすぎてしまい、逆に多すぎれば相溶性が悪化してしまう。よって共重合ポリエステルの屈折率を1.540〜1.560とし、エチレンナフタレート系ポリエステルと溶融混練したポリエステル組成物の屈折率を1.590以下とするために、共重合ポリエステル中の酸成分は、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を45〜70モル%、シクロヘキサンジカルボン酸成分を30〜55モル%とする。なお、本発明の共重合ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分といった従来公知の物を共重合しても構わない。
本発明の共重合ポリエステルのグリコール成分としては、エチレングリコール成分だけでは相溶性と屈折率とを制御するのが困難なことから、スピログリコールを共重合させる。スピログリコールを共重合させることで、ガラス転移温度(Tg)を高く維持しつつ、屈折率を大幅に下げることができる。そのため、スピログリコール量を多くすることが好ましいが、スピログリコール成分が多いとスピログリコールが分解して架橋構造を形成するため、ポリマーがゲル化しやすくなるだけでなく、エチレンナフタレート系ポリエステルとの相溶性も低下する。よって、これらの観点から、グリコール成分は、エチレングリコール成分を30〜60モル%、スピログリコール成分を40〜70モル%とする。ここで、スピログリコールとは、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。また、本発明の共重合ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、シクロヘキサンジメタノールといった従来公知の他のジオール成分を共重合しても構わない。
本発明の共重合ポリエステルは、それ自体公知の方法で重合できるが、グリコール成分としてスピログリコール成分を用いているため、酸性下や水分含有下において加熱すると分解して官能基が増加し、架橋構造を形成してゲル状物質が発生しやすくなるのでエステル交換反応を経由する方法がより好ましい。例えば、酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルおよびシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用い、グリコール成分にエチレングリコールおよびスピログリコール用い、触媒存在下にエステル交換反応を行い、次いで安定剤としてのリン化合物を加えて反応終了した後に、エステル交換反応容器から重縮合反応容器に移行し、触媒存在下に重縮合反応をさせて得ることができる。
本発明の共重合ポリエステルにおいては、触媒としてのアンチモン化合物を、共重合ポリエステルの全酸成分を基準として、アンチモン元素量として40〜150ミリモル%、好ましくは100〜140ミリモル%含有している必要がある。この含有量が40ミリモル%未満の場合には、重合反応が進み難くなるので好ましくなく、一方、150ミリモル%を超える場合には、分解反応を促進してポリマーの劣化を引き起こしてしまうので好ましくない。なお、本発明の目的を阻害しない範囲内で、アンチモン化合物以外の他の触媒を含有していてもよいが、触媒としてのチタン化合物は、チタン元素量で0〜10ミリモル%(共重合ポリエステルの全酸成分を基準)に抑えることが好ましい。
さらに、上記の安定剤としてのリン化合物を、共重合ポリエステルの全酸成分を基準として、リン元素量で10〜40ミリモル%、特に20〜30ミリモル%含有していることが好ましい。リン化合物の含有量が上記範囲にあると、共重合ポリエステルの耐劣化性が向上する。好ましく用いられるリン化合物としては、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また本発明の共重合ポリエステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で酸化防止剤を含有していても構わなく、2種以上の酸化防止剤を併用しても構わない。なかでも、エステル交換反応および重縮合反応を経由して製造する際に添加する方法が簡便で好ましいので、共重合ポリエステルとの親和性、得られる共重合ポリエステルの特性や熱安定性および色調等を悪化させることが少ないという点から、非リン系酸化防止剤を用いることが好ましく、なかでもフェノール系酸化防止剤が良好である。酸化防止剤の含有量は共重合ポリエステル量に対して0.5重量%以下、さらに0.3重量%以下とすることが好ましい。含有量が0.5重量%を超える場合には、重合反応時添加では発泡が起こる場合があり、発泡により、液面上昇や飛散物による真空系回路の閉塞を引き起こす可能性がある。一方、添加量が0.1重量%未満であると酸化防止剤としての機能が十分に働かない可能性がある。好ましい酸化防止剤の添加量は、0.1〜0.5重量%である。
本発明の共重合ポリエステルは、後述するように、エチレンナフタレート系ポリエステルとの組成物としてフィルム層Bとし、エチレンナフタレート系ポリエステル層(フィルム層A)と多層積層されるので、そのTgが該エチレンナフタレート系ポリエステルのTgと近いことが好ましい。このTg差が大きいと特性が経時変化しやすく、また製膜安定性が損なわれやすい。また、共重合ポリエステルのTgが該エチレンナフタレート系ポリエステルのTgよりも高い場合には、後述するフィルム層Aとフィルム層Bとの屈折率差が小さくなって反射性能が低下することがある。よって、共重合ポリエステルのTgは90〜115℃とすることが好ましい。さらに、フィルム層Bは低屈折率を保つため配向しないことが好まれる。そのため、フィルム層Bのポリエステル組成物が延伸温度120〜140℃でフロー延伸状態になるよう、共重合ポリエステルのTgは90〜110℃であることが望ましい。
本発明の共重合ポリエステルは、エチレンナフタレート系ポリエステルを混合した組成物と、屈折率1.630以上、好ましくは1.630〜1.670のエチレンナフタレート系ポリエステルとを多層積層した積層フィルムに、回収再使用でき得る特性を持たせるため、平均屈折率を1.540〜1.560とすることが好ましい。この平均屈折率が下限未満であると、エチレンナフタレート系ポリエステルと溶融混練された際に、後述するフィルム層Aと屈折率を揃えたい方向にまで屈折率差ができ、反射偏光性能が低下してしまう。一方、平均屈折率が上限より大きいと後述するフィルム層Aと屈折率差を設けたい方向の屈折率差が小さくなって反射率が低下する。これらの観点から、共重合ポリエステルの平均屈折率は1.540〜1.560であり、1.545〜1.555とすることが好ましい。
ここで平均屈折率は、共重合ポリエステルを単独で溶融させ、溶融したポリマーをガラス棒に巻き取り吹き出すことにより疑似延伸させて風船フィルムを作成し、一軸延伸フィルムの代替としてフィルムのX方向、Y方向、Z方向それぞれの方向における屈折率について、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmで測定し、それらの平均値を平均屈折率として規定したものである。なお、光学等方性とは、これらX方向、Y方向、Z方向の屈折率の2方向間の屈折率差がいずれも0.05以下、好ましくは0.03以下であることをいう。
本発明の共重合ポリエステルは、生産する際のポリマー回収率は70%以上であることが好ましい。通常ポリエステルを製造する際には、重縮合反応缶からの吐出ポリマーの初期および後期は放流されるが、ポリマー回収率は70%以上となる。これが70%未満になる場合には、スピログリコールの分解によるポリマーのゲル状化が起こり吐出安定性やポリマーのカッティングに不具合が起きていることを示している。ここでポリマー回収率とは、吐出初期のカッター成形する前のポリマーやゲル状化のために成形することのできなかったポリマーなど廃棄するポリマーを含めた全吐出ポリマーの重量に対する、カッター処理によりチップ形状となった製品ポリマーの重量の割合を表す。
<エチレンナフタレート系ポリエステル>
本発明におけるエチレンナフタレート系ポリエステルは、平均屈折率が1.630以上を有し、主たるジカルボン酸成分がナフタレンジカルボン酸成分で、主たるグリコール成分がエチレングリコール成分であって、これらを重縮合反応させて得られるものである。なお、ここでいう主たるとは、全酸成分のモル数を基準として、60モル%以上であることを意味する。
本発明におけるエチレンナフタレート系ポリエステルは、ジカルボン酸成分として、60〜95モル%の2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、および、5〜40モル%の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を含むことが好ましい。このようなポリエステルを用いることで、後述する多層積層フィルムのフィルム層Aとしたとき、フィルム層Aの厚み方向の屈折率と、多層積層フィルムのフィルム層Bの屈折率と揃えたい方向のフィルム層Aの屈折率とをより近づけることができ、良好な反射特性を得ることができる。
本発明における2,6−ナフタレンジカルボン酸成分は、2,6−ナフタレンジカルボン酸のままで用いてもよいし、例えば炭素数1〜3の低級アルキルエステルの形で用いてもよい。
6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分としては、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸が挙げられ、これらは前述の2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のように、例えば炭素数1〜3の低級アルキルエステルの形で用いても構わない。これらの中でもアルキレンジオキシ基の酸素を繋ぐ炭素の連鎖数は偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
本発明のエチレンナフタレート系ポリエステルを構成するジオール成分は、主としてエチレングリコール成分であり、前述のとおり、全酸成分のモル数を基準として、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。エチレングリコール成分以外の共重合成分としては、トリメチレングリコール成分やテトラメチレングリコール成分などが好ましく挙げられる。
本発明におけるエチレンナフタレート系ポリエステルは、前述の共重合ポリエステルを含有する組成物と積層フィルムとして構成されるため、平均屈折率が1.630〜1.670の範囲にあることが好ましい。平均屈折率が下限に満たない場合には、低屈折率層(共重合ポリエステル組成物層)との屈折率差が小さくなるため、反射特性が著しく低下してしまう。他方、平均屈折率が上限を超えると、低屈折率層であるフィルム層Bと厚み方向などの屈折率を合わせるのが難しくなるため、偏光性能が低下する。
特に、本発明におけるエチレンナフタレート系ポリエステルとして、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させることで、低い温度膨張係数と湿度膨張係数を有する優れた寸法安定性などを付与することができ、機械的強度は変わらずに屈折率を高めることもできる。さらに一軸延伸を行うことで延伸(X軸)方向に屈折率が増加するため、多層積層フィルムとする場合の偏光性能は非常に優れたものにできる。
本発明におけるエチレンナフタレート系ポリエステルの製造方法としては、例えば、第一反応工程として、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分および6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分と、エチレングリコールとを、エステル化反応もしくはエステル交換反応させ、続いて第二反応工程として、チタン触媒等の重合触媒を添加して重縮合反応へ移行し、30Pa下で重縮合反応を経て得られる。
<ポリエステル組成物>
本発明のポリエステル組成物は、上記平均屈折率が1.630以上のエチレンナフタレート系ポリエステルと、上記本発明の共重合ポリエステルとを、重量比(エチレンナフタレート系ポリエステル:共重合ポリエステル)15〜38:85〜62で溶融混練したものである。
そして、該エチレンナフタレート系ポリエステルとの多層積層フィルムとしたときに、前述のような反射特性を発現できるようにするため、その平均屈折率は1.580〜1.590の範囲にあることが必要である。
本発明のポリエステル組成物の大きな特徴の一つは、前述の共重合ポリエステルとエチレンナフタレート系ポリエステルとを、特定の比率で溶融混練することにより容易に相溶化させることができ、均一なポリエステル組成物として利用可能とする点にある。このポリエステル組成物は共重合ポリエステルの重量割合を62重量%以上とすることで、組成物からなる低屈折率層の屈折率を所望の値まで低下させることができる。共重合ポリエステルの重量割合が62重量%未満となると、低屈折率層の屈折率を十分低下させることが難しくなり、反射性能が不十分になりやすくなる。一方、共重合ポリエステルの重量比が65%よりも多くなるとエチレンナフタレート系ポリエステルの効果である耐熱寸法安定性等が悪化し、再使用に耐えないポリエステル組成物となる可能性が高い。このため、最適なエチレンナフタレート系ポリエステルと共重合ポリエステルの重量比(エチレンナフタレート系ポリエステル:共重合ポリエステル)は15〜38:85〜62が好ましく、さらには20〜35:80〜65が好ましい。
本発明のポリエステル組成物を製造するにあたり、一般的な二軸押出機を使用して溶融混練されるが、溶融温度は290〜310℃とするのが望ましい。310℃を超える高温で溶融混練される場合、スピログリコール成分を多く含む共重合ポリエステルの熱による分解が促進され、押し出されるポリマーの品質が著しく低下する可能性がある。一方、溶融温度が290℃未満であるとポリマー自体の溶融が進まず、十分に混練されず均一なポリマーにならない。従って、ポリエステル組成物を得るためには、290〜310℃の温度で溶融混練されることが好ましい。
<多層積層ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステル組成物は、多層積層ポリエステルフィルム(以下、単に積層フィルムと称することがある)の原料として好適に用いることができる。具体的な多層積層ポリエステルフィルムとしては、高屈折率側のフィルム層Aと低屈折率側のフィルム層Bとが交互に積層され、275層以上を有し、少なくとも一軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。そして、積層ポリエステルフィルムを構成するフィルム層Aとフィルム層Bにおいて、フィルム層Aに前述の屈折率の高いエチレンナフタレート系ポリエステルを用い、かつフィルム層Bに前述のポリエステル組成物を用いることにある。
前述のエチレンナフタレート系ポリエステルを用いて一軸延伸を行うことで、延伸後のフィルム層AのX方向とY方向の屈折率差を大きくすることができ、かつY方向とZ方向の両方向について層間の屈折率差を小さくすることが可能である。これにより優れた偏光性能の向上と斜め方向の入射光に対する透過偏光の色相ずれ抑制の両立化が可能となる。
さらに本発明ではフィルム層Aに用いるエチレンナフタレート系ポリエステルに対し、フィルム層Bに用いる共重合ポリエステルのガラス転移温度を90℃〜115℃とすることにより、フィルム層Bを構成するポリエステル組成物のガラス転移温度を近づけることができ、優れた耐熱寸法安定性を備えると共に、高温長時間でも結晶化による白化が発現しがたい優れた耐ヘーズ特性を備えることもできる。
ここで、延伸方向(X方向)の屈折率はn、延伸方向と直交する方向(Y方向)の屈折率はn、フィルム厚み方向(Z方向)の屈折率はnと記載することがある。
エチレンナフタレート系ポリエステルを一軸延伸した場合、X方向の屈折率nは延伸により増加する方向にあり、Y方向の屈折率nとZ方向の屈折率nはともに延伸に伴い低下する方向にあり、しかも延伸倍率によらずnとnの屈折率差が非常に小さいという特徴を有している。また、一軸延伸により、X方向の屈折率nが1.80〜1.90と高屈折率特性を有する。これによりフィルム層Aとフィルム層BにおけるX方向の屈折率差が大きくなり、十分な反射偏光性能を発揮する。
一方、Y方向の一軸延伸後の屈折率nとZ方向の一軸延伸後の屈折率nの屈折率差は、具体的には0.05以下であることが好ましく、できる限り小さくすることで偏光光が斜め方向の入射角で入射しても色相ずれが生じない効果を奏する。
本発明において、積層フィルムのフィルム層Bは、ガラス転移温度が90〜115℃である前述のポリエステル組成物から構成され、平均屈折率は1.580〜1.590であ光学等方性の層であることが好ましい。フィルム層Bが光学等方性であることによって、延伸方向ではフィルム層Aとの屈折率差が大きくなり、反射偏光性能を向上することができる。一方、未延伸方向ではフィルム層Aとの屈折率差が小さいため透過性を維持することができる。
フィルム面内におけるフィルム層Aとフィルム層BのX方向の屈折率差は0.10〜0.45であることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.40、さらに好ましくは0.25〜0.30である。X方向の屈折率差がかかる範囲にあることにより、X方向の偏光成分の反射特性を効率よく高めることができ、より少ない積層数で高い反射率を得ることができる。
また、フィルム層Aとフィルム層BのY方向の屈折率差およびZ方向の屈折率差は、それぞれ0.05以下であることが好ましい。Y方向およびZ方向それぞれの層間の屈折率差がともに上述の範囲にあることにより、偏光が斜め方向の入射角で入射した際に色相ずれを抑制することができる。
本発明における積層フィルムは、上述のフィルム層Aおよびフィルム層Bを交互に合計275層以上積層したものであることが好ましい。かかる積層数を備えることにより、延伸方向を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmにわたり一定の高い平均反射率を得ることができる。
積層フィルムの積層数は特に限定されないが、積層数が増えるに従い、反射軸方向に平行な偏光についてより高い反射率が得られ、好ましくは601層以上、より好ましくは701層以上、さらに好ましくは801層以上である。
また、801層以上の積層数の積層フィルムを得るためには、300層以下の範囲で交互積層状態の溶融物を得、かかる層構成を保持したまま、積層方向と垂直方向に複数個に分割し、積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法(これを複数回行ってもよい)で積層数を増やすことができる。
フィルム層Aおよびフィルム層Bは、層間の光干渉によって選択的に光を反射するために、各層の厚みは0.01〜0.5μmであることが好ましい。層厚みが0.5μmを超えると反射帯域が赤外線領域になり、反射偏光フィルムとして有用性が得られないことがある。一方、層厚みが0.01μm未満であると、ポリエステル成分が光を吸収し反射性能が得られなくなることがある。
本発明における積層フィルムは、フィルム層Aおよびフィルム層Bにおけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比率がいずれも2.0〜5.0であることが好ましい。積層フィルムは、層間の屈折率差、層数、層の厚みによって反射する波長が決まるが、積層された層のそれぞれが一定の厚みであると、反射する波長が限定され均一な反射特性が得られない場合がある。また、最大層厚みと最小層厚みの比率が上限値を超える場合は、反射帯域が広がりすぎ、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の反射率が低下することがある。ここでフィルム層Aおよびフィルム層Bの厚み比率を変化させることで広範囲の波長域の光を反射することができる。
本発明における積層フィルムの積層方法は特に限定されないが、例えば、フィルム層Aのエチレンナフタレート系ポリエステルを138層、フィルム層Bのポリエステル組成物を137層に分岐させ、これらA、B層が交互に積層され、次いでその流路幅が連続的に2.0〜5.0倍までに増加される多層フィードブロック装置を使用する方法が挙げられる。
本発明における積層フィルムは、フィルム層Aの平均層厚みに対するフィルム層Bの平均層厚みの比が1.5〜5.0倍の範囲であることが好ましい。
本発明における積層フィルムは、各層厚みを均一にするため、フィルム層A、フィルム層B以外に、層厚みが2μm以上で反射特性に寄与しない程度の厚み調整層をフィルム層Aとフィルム層Bの交互積層構成の一部に有していてもよい。
本発明における積層フィルムは、目的とする反射偏光フィルムとしての光学特性を満足させるために、少なくとも一軸方向に延伸されている。本発明における一軸延伸には、一軸方向にのみ延伸したフィルムの他、二軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向に、より延伸されたフィルムも含まれる。一軸延伸方向(X方向)は、フィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよい。また、二軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸されたフィルムの場合は、より延伸される方向(X方向)はフィルム長手方向、幅方向のいずれの方向であってもよく、延伸倍率の低い方向は、1.05〜1.20倍程度の延伸倍率にとどめることが偏光性能を高める点で好ましい。
延伸方法としては、特に限定しないが棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いてもよい。
本発明における積層フィルムは、高い偏光度を得るためにヘーズ値が1.0%以下であることが好ましい。さらに0.5%以下であることが好ましい。この特性は、フィルム層Bを構成する共重合ポリエステルとエチレンナフタレート系ポリエステルとを十分に相溶させ、結晶特性を低下、特に非晶性とすることにより容易に達成できる。
積層フィルムの延伸温度は、フィルム層Aのエチレンナフタレート系ポリエステルのTg〜Tg+50℃の範囲が好ましい。このときの延伸倍率は2〜10倍であることが好ましく、さらに好ましくは5〜7倍である。延伸倍率が大きい程、各層が均一となりやすく、またフィルム層Aとフィルム層Bの屈折率差が大きくなり偏光性能が高まる。
本発明において、例えば801層以上の多層積層一軸延伸フィルムを得るためのより好ましい方法として、300層以下の範囲で交互積層状態の溶融物を得、かかる層構成を保持したまま、積層方向と垂直方向に複数個(2〜4)に分割し、積層数(ダブリング数)が2〜4倍になるように再度積層する方法で積層数を増やすことができる(この方法をさらに繰返してもよい)。かかるダブリング処理を行う場合、公知の方法で行うことができ、得られた積層状態の溶融体をキャストドラム上にキャストして積層未延伸フィルムを得た後は、上述の延伸工程を経て積層フィルムを得ることができる。
本発明で回収再利用される積層フィルムは、延伸工程で発生するクリップなどで把持されるフィルム端部や、製膜フィルムが巻き取られた際にカッティングされるフィルム屑等を挙げることができ、これらを裁断機で裁断し、一般的な二軸押出機で溶融混練しペレタイジング化され、これに前述の本発明の共重合ポリエステルと必要に応じてエチレンナフタレート系ポリエステルとを溶融混練し、再度本発明のポリエステル組成物として利用される。
実施例をもって、本発明をさらに説明する。なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定または評価した。
(1)固有粘度(IV)
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ポリエステルおよびフィルムのガラス転移点(Tg)
ポリエステル試料またはフィルムサンプルを10mgサンプリングし、DSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC2920)を用い、20℃/minの昇温速度で、融点およびガラス転移点を測定した。
(3)各方向の屈折率および平均屈折率
各層を構成する個々のポリマーについて、それぞれ溶融させてガラス棒より吹き出し、風船フィルムを作成し延伸フィルムの代替として用意した。得られた風船フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)のそれぞれの屈折率(それぞれn、n、nとする)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmにおける屈折率を測定して求め、平均屈折率については、n、n、nの平均値を求めた。
(4)相溶性
エチレンナフタレート系ポリエステルと共重合ポリエステルとを所定のブレンド比(重量比)で70g採取し、窒素下、310℃で溶融させる。溶融後、窒素下20rpmの撹拌速度で撹拌翼を回転させ、撹拌開始からポリエステルが透明化するまでの時間を計測し、下記の基準で評価した。
◎: 撹拌開始から5分未満
○: 撹拌開始から5分以上、8分未満
△: 撹拌開始から8分以上、12分未満
×: 撹拌開始から12分以上
(5)ポリマー回収率
吐出初期のポリマー屑や吐出後半に生じたゴム化したポリマー屑等を含めた全吐出ポリエステルの質量に対し、カッター処理を行いチップ形状に成形したポリエステルの質量の割合を算出した。
[参考例1]
反応釜に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを79モル%、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を21モル%、およびエチレングリコールを全酸成分に対して180モル%仕込み、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行ってエチレンナフタレート系ポリエステルを得た。得られたエチレンナフタレート系ポリエステルは、固有粘度が0.52dl/gで、平均屈折率が1.650、ガラス転移温度が118℃であった。
[実施例1]
エステル交換反応釜に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを仕込み撹拌し、溶融後150℃に達した時点でエステル交換反応触媒として酢酸マンガン(酸成分のモル数を基準として20ミリモル%)を添加した。その後、ゆっくりと昇温させながら生成するメタノールを段階的に反応容器外に流出させ、反応釜内温が230℃に達した時点で内温を一定に保ち還流開始から60分後メタノールの流出が終了したらリン化合物としてホスホノ酢酸トリエチル(酸成分のモル数を基準として20ミリモル%)を添加し、エステル交換反応(以下、EI反応と略す)を終了させた。続いて、重縮合触媒として三酸化二アンチモン(酸成分のモル数を基準としてアンチモン元素量で120ミリモル%)および酸化防止剤として非リン系のペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・ジャパン(株)製、IRGANOX1010)を得られるポリマーの重量を基準として0.4重量%添加し、再度昇温を行い一部のエチレングリコールを留出させ、245℃に達した時点で反応物を内部に撹拌翼を有する重縮合釜に移行した。続いて、徐々に真空度を高めながら40分間を要して、反応温度を285℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を100Paに保ち重縮合反応を行った。その後、目的の撹拌トルクに達したところで反応を終了し、0.35MPaの圧力をかけて吐出しカッターにかけてチップ状に成形した。得られた重合体の固有粘度は0.67dl/gであった。
得られた共重合ポリエステルおよび参考例1で作成したエチレンナフタレート系ポリエステルを65:35の重量比で溶融混練を行い、ポリエステル組成物を得た。ポリエステル組成物の透明化までの時間は7分であった。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[実施例2]
さらにテレフタル酸ジメチルを併用し、表1記載の共重合ポリエステルが得られるように仕込みを変更するとともに、重縮合反応の反応温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様にして、チップ状ポリマーおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[実施例3〜6]
共重合ポリエステルの組成、触媒および重縮合反応の反応温度を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[実施例7〜12]
エステル交換反応触媒、重縮合反応触媒、リン化合物の添加量および重縮合反応の反応温度を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[実施例13]
エステル交換反応触媒として酢酸マンガンとチタンテトラブトキシドを併用し、触媒の添加量および重縮合反応の反応温度を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[実施例14]
表1に示すとおり、ポリエステル組成物でのブレンド比を変更したほかは、実施例1と同様にして、ポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[比較例1〜4]
表1に示すとおり、共重合ポリエステルの組成を変更する以外は実施例3と同様にして、共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[比較例5]
重縮合触媒として三酸化二アンチモンの代わりにチタンテトラブトキシドを使用し、触媒の添加量および重縮合反応の反応温度を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[比較例6]
表1に示すとおり、ポリエステル組成物でのブレンド比を変更したほかは、実施例1と同様にして、ポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表1に示す。
[比較例7]
共重合ポリエステルの触媒量を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物を得た。得られた共重合ポリエステルおよびポリエステル組成物の特性を表1に示す。
Figure 2016084401
表1中の、NDCは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、CHDCはシクロヘキサンジカルボン酸成分、TAはテレフタル酸成分、EGはエチレングリコール成分、SPGはスピログリコール成分、屈折率は平均屈折率、ブレンド比はポリエステル組成物中の共重合ポリエステルの割合(重量比)である。
本発明の共重合ポリエステルは、製造時等でのゲル状物質などの劣化異物の発生が少なく、エチレンナフタレート系ポリエステルとの相溶性も良好であり、得られるポリエステル組成物とエチレンナフタレート系ポリエステルからなる多層積層フィルムは、フィルム屑を回収して積層フィルムを構成するポリマーとして再使用することができる。

Claims (7)

  1. 酸成分の45〜70モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、30〜55モル%がシクロヘキサンジカルボン酸成分で、グリコール成分の30〜60モル%がエチレングリコール成分、40〜70モル%がスピログリコール成分である共重合ポリエステルであって、触媒としてのアンチモン化合物をアンチモン元素量として40〜140ミリモル%(共重合ポリエステルの全酸成分を基準)含有し、かつ平均屈折率が1.540〜1.560である共重合ポリエステル。
  2. さらに触媒としてのチタン化合物を、チタン元素量で0〜10ミリモル%(共重合ポリエステルの全酸成分を基準)含有する請求項1記載の共重合ポリエステル。
  3. ガラス転移温度(Tg)が90〜115℃である請求項1または2に記載の共重合ポリエステル。
  4. さらに酸化防止剤を、共重合ポリエステルの重量を基準として0.1〜0.5重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
  5. 平均屈折率1.630以上のエチレンナフタレート系ポリエステルと、重量比(エチレンナフタレート系ポリエステル:共重合ポリエステル)15〜38:85〜62で溶融混練するのに用いる請求項1〜4のいずれかに記載の共重合ポリエステル。
  6. 平均屈折率1.630以上のエチレンナフタレート系ポリエステルと、請求項1〜5のいずれかに記載の共重合ポリエステルとを、重量比15〜38:85〜62で溶融混練した平均屈折率が1.580〜1.590であるポリエステル組成物。
  7. エチレンナフタレート系ポリエステルが、酸成分の60〜95モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分で、5〜40モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である請求項6記載のポリエステル組成物。
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