JP2012214056A - 透明導電性フィルム、およびそれを用いた低反射タッチパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムの、少なくとも一方の表面に透明導電膜を成膜した透明導電性フィルムが、安価にレターデーションを制御して製造できる。この透明導電性フィルムを部材として低反射タッチパネルを安価に提供できる。
【選択図】なし
Description
このようにタッチパネルを産業上普及させるために、その構成部材の中ではコスト的な問題のある、レターデーションを制御しさらに透明導電膜が成膜されたフィルムを、安価に生産性良く供給することが望まれている。
なお、延伸して所望のレターデーションを発現させる事で作製した1/4波長板上に透明導電膜を成膜したものを用いることで、光学等方性フィルムを1枚省くことが出来るのでさらに低コストで低反射タッチパネルを製造することが可能になる。
で表される化合物に由来する単位が好ましい。一般式(1)と(2)において、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。R1およびR2は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基が例示される。R3は炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基が例示される。一般式(1)及び(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下、SPGと標記する場合がある)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
二軸延伸の場合は、縦横の延伸を同時もしくは逐次で実施するが、1/4波長板や1/2波長板を作製する場合には、どちらかの軸の延伸による配向度を大きくすることによって実現される。面内レターデーションは縦横の位相差であるので、面内の主屈折率の絶対値の差によって決まるものである。しかし、この場合は、面内レターデーションが同じであっても、面に垂直な主屈折率との関係が異なることになる。このように3次元的な屈折率の相対関係は、波長板のレターデーションの入射角依存特性を決めるものであり、波長板の視野角特性上、さまざまな設計指針がある。本実施例では、一軸延伸について述べるが、これに限定されるものではない。
このようにして作製した透明導電性フィルムは低反射タッチパネルの構成部材とできる。
低反射タッチパネルは本質的にはこれらの要素で成り立つが、実際にタッチパネルの動作を実現するために、透明導電膜を支持する部材やコート材、空隙を形成するスペーサーなどが用いられる。透明導電膜を支持する部材には制御された光学特性が必要であり、本発明に用いられるポリエステル樹脂などが好適である。
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は1H−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。具体的には得られたNMRスペクトルのベンゼン環のピーク(酸成分由来)に対するメチル基のピーク(環状アセタール骨格を有するジオール成分由来)の比を基に算出した。
(2)ガラス転移温度
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中、昇温速度20℃/minで280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)極限粘度
極限粘度(IVと略す)を測定する試料はポリエステル樹脂0.5gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)120gに加熱溶解し、濾過後、25℃まで冷却して調製した。装置は(株)柴山科学機械製作所製、毛細管粘度計自動測定装置SS−300−L1を用い、温度25℃で測定を行った。
(4)透湿度
LYSSYAG ZLLIKON社製「L80−4005L」を用いて、JIS−K−7129に記載の方法に従い、温湿度条件40℃、90%RHで各サンプルの透湿度を測定した。
(5)厚さ
ソニーマグネスケール(株)製、デジタルマイクロメーターM−30を用いて測定した。
(6)レターデーション
日本分光(株)製分光エリプソメーター、商品名:M−220の3次元屈折率測定プログラムを用いてレターデーションの入射角依存性を測定した。測定波長は550nmとした。
(7)全光線透過率、ヘイズ
JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて測定した。フィルムを48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
(8)Nz係数、厚み方向レターデーションRthの算出
Nz係数と厚み方向レターデーションRth(=[(nx+ny)/2-nz]×d、但しdはフィルム厚)については、分光エリプソメーターにより、フィルム面内遅相軸まわりのレターデーションの入射角依存性を測定し、延伸フィルムの厚みと樹脂平均屈折率を使い、延伸フィルムの屈折率楕円体の主軸の長さ、すなわち主屈折率nx、ny、nzをシャープ技法 通巻85号(2004年4月)『GRP方式広視野角LCD技術』に記載の光学フィルム中の屈折率楕円体モデルによるレターデーションの入射角依存性の解析解による特性曲線と測定値のフィッティングを行い算出した。算出した主屈折率nx、ny、nzとフィルム厚みdを用いて、上記式にてNz係数と厚み方向レターデーションRthを求めた。図4にポリエステル原反フィルムの遅相軸まわりのレターデーション入射角依存性の分光エリプソメーターによる実測値(点線)と上記モデルによる理論カーブ(実線)を示す。
(9)寸法変化率
JIS−K7133に準じて測定した。約120×120mmに切り出した3枚の原反フィルムに、それぞれ100×100mmの正方形を書き、所定温度の熱風乾燥機内に30分間入れ、押し出し方向、および押し出し方向と直角の方向の寸法変化率を次式により算出し、3つの試験片の平均値をそれぞれの方向の寸法変化率とした。なお、表中押し出し方向をMD方向、押し出し方向と直角の方向をTD方向と記載する。
寸法変化率(%)={(La−Lb)/La}×100
La:熱風乾燥機に入れる前の線の間隔(100mm)
Lb:熱風乾燥機に入れた後の線の間隔
(10)膜厚
日本分光(株)製 分光エリプソメーター、商品名:M−220の膜厚測定プログラムを用いてポリエステルフィルムの片面に成膜した透明導電膜の膜厚を測定した。
(11)比抵抗値
三菱化学(株)製 表面抵抗計LORESTA(MCP−T600)を用いて四端子四探針法によって測定した。
(12)透過率
コヒレント社製グリーンレーザCompass115M-5を用いて波長532nmのレーザービームを透明導電性フィルムに垂直で入射させ、その透過光の強度を測定し、入射強度との比をとり、波長532nmでの透過率とした。
(12)反射率(波長532nm)
コヒレント社製グリーンレーザCompass115M-5を用いて波長532nmのレーザービームを低反射タッチパネルに垂直で入射させ、その反射光の強度を測定し、入射強度との比をとり、波長532nmでの反射率とした。
(13)反射率(波長488nm)
コヒレント社製ブルーレーザSapphire 488-10を用いて波長488nmのレーザービームを低反射タッチパネルに垂直で入射させ、その反射光の強度を測定し、入射強度との比をとり、波長488nmでの反射率とした。
〔ポリエステル樹脂の製造〕
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた0.15立方メートルのポリエステル製造装置に表1、2に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対し酢酸マンガン四水和物0.03モル%の存在下、窒素雰囲気下で215℃迄昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.02モル%とリン酸トリメチル0.06モル%を加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を製造した。評価結果を表1、2に示す。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
DMT:ジメチルテレフタレート
NDCM:2,6−ジメチルナフタレート
DMI:ジメチルイソフタレート
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
製造例1〜8のポリエステル樹脂を真空ベントと幅550mmコートハンガーダイの付いたスクリュー径50mmφの単軸押出機を用い、シリンダー温度を220〜240℃、ダイ温度240℃、吐出速度30kg/hで溶融押出を行った。押出した溶融樹脂はTg−10℃に設定した1本目と60℃に設定した2本目のロールで冷却し、12m/分で引き取り、厚み100μm、幅長さ480mmの透明基材を製造した。評価結果を表1、2および図4に示す。図4は製造例1の原反フィルムの結果であるが、他の製造例2〜8についても略同様であった。以下、代表として、製造例1の樹脂フィルムを用いたタッチパネルの実施例について述べる。
〔1/4波長板(延伸フィルム)の製造〕
製造例1で製造したポリエステル原反フィルムを、延伸機にて一軸延伸した。延伸倍率を1.5倍に、延伸速度を30mm/分とそれぞれ固定にし、延伸温度は、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より高い温度で、その増加分を+28.0℃とし、1/4波長板を製造した。それぞれの延伸条件、延伸フィルムの厚さd、Nz係数、垂直入射レターデーションReを表3に示す。Nz係数、垂直入射レターデーションReについては、ポリエステル原反フィルムと同様に算出した。
〔1/2波長板(延伸フィルム)の製造〕
延伸温度を、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より+22.5℃高い温度にした以外は実施例1と同様にして1/2波長板を製造した。評価結果を表3に示す。
〔積層フィルムの製造〕
製造例9で製造した1/4波長板と製造例10で製造した1/2波長板を積層するために、アクリル系接着剤[住友スリーエム(株)、DP−8005クリア]を介して、それぞれの遅相軸を60°交差させ、ローラーを用いて積層した。
〔透明導電膜の成膜1〕
スパッタリング装置にて、ターゲット材料としてIZOを用いて、製造例1で製造したポリエステル原反フィルムの片面に透明導電膜を成膜した。成膜した透明導電性フィルムの評価結果を表4に示す。
〔透明導電膜の成膜2〕
スパッタリング装置にて、ターゲット材料としてIZOを用いて、製造例9で製造した1/4波長板の片面に透明導電膜を成膜した。成膜した透明導電性フィルムの評価結果を表5に示す。
〔透明導電膜の成膜3〕
スパッタリング装置にて、ターゲット材料としてIZOを用いて、製造例11で製造した積層フィルムの1/4波長板側の面に透明導電膜を成膜した。成膜した透明導電性フィルムの評価結果を表6に示す。
以上、ターゲット材料としてIZOを用いたものを説明したが、これに限定されるものではなく、良く知られたITOを用いることも可能である。
〔低反射タッチパネルの製造1〕
実施例1で得た透明導電性フィルムを、図1中の光学等方性フィルム9と第2の透明導電膜8の部分とし、図1に示した低反射タッチパネルを構成した。第1および第2の1/4波長板は、製造例9で製造した1/4波長板を使用した。偏光板の透過軸と各波長板の遅相軸の関係は図3(b)の通りにした。作製した低反射タッチパネルの波長532nmでの垂直入射時の反射率を測定したところ7.5%以下であり良好であった。
〔低反射タッチパネルの製造2〕
実施例3で得た透明導電性フィルムを、図2中の第2の1/4波長板10と第2の透明導電膜8の部分とし、図2に示した低反射タッチパネルを構成した。第1の1/4波長板は、製造例11で製造した積層フィルムを使用した。偏光板の透過軸と各波長板の遅相軸の関係は図3(a)の通りにした。作製した低反射タッチパネルの波長532nmおよび波長488nmでの垂直入射時の反射率を測定したところ共に7.3%以下であり良好であった。
Claims (7)
- ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムを延伸することにより波長550nmにおける面内レターデーションを100〜175nmの範囲に制御したポリエステル延伸フィルムの少なくとも一方の表面に透明導電膜が成膜された透明導電性フィルム。
- ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムを延伸することにより波長550nmにおける面内レターデーションを100〜175nmの範囲に制御した第1のポリエステル延伸フィルムと200〜350nmの範囲に制御した第2のポリエステル延伸フィルムのそれぞれの遅相軸を交差させ積層した積層フィルムの少なくとも一方の表面に透明導電膜が成膜された透明導電性フィルム。
- 前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、一般式(1):
〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜1
0の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
または一般式(2):
が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群か
ら選ばれる炭化水素基を表す。)
で表されるジオールに由来することを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。 - 前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンまたは5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来することを特徴とする請求項3記載の透明導電性フィルム。
- 前記環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1種以上のジオールに由来する請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 前記ジカルボン酸単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来する請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 少なくとも、第1の1/4波長板、第1の透明導電膜、第1の透明導電膜とスペーサーを介して対向する第2の透明導電膜が成膜された第2の1/4波長板および偏光板をこの順で積層した円偏光タイプの低反射タッチパネルであって、第2の透明導電膜が成膜された第2の1/4波長板が請求項1または2に記載の透明導電性フィルムからなる低反射タッチパネル。
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