JP2007171914A - 位相差フィルム - Google Patents

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Nobuyuki Koike
信行 小池
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正 川畑
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Abstract

【課題】安価に製造できる位相差フィルムを提供する。
【解決手段】ジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位とジカルボン酸単位で構成されたポリエステル樹脂からなるポリエステル原反フィルムを延伸し、レターデーションを発現させたフィルム層を有する位相差フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主に液晶表示装置に用いられる位相差フィルムに関する発明である。
位相差フィルムは、光学補償により液晶表示装置等の画像表示装置におけるコントラスト向上や、視野角範囲の拡大を実現する重要な部材である。位相差フィルムを形成する樹脂としては、一般的に、ポリカーボネート(以下、PC)、トリアセチルセルロース(以下、TAC)、シクロオレフィンポリマー(以下、COP)等のエンジニアリングプラスチック樹脂が挙げられる。位相差フィルムの製造に関しては、これらの樹脂を流延法や溶融押出法によりフィルム化し、該フィルムを原反フィルムとし延伸し、所望のレターデーションを制御し位相差フィルムとしている。
原反フィルムに求められる性能としては、任意のフィルム厚みにおいて、小さい厚みムラ、低レターデーション、小さいレターデーションムラ、また、低い延伸倍率における高いレターデーション発現性が挙げられる。このような性能を満足する原反フィルムを延伸させることで、厚みを含めた光学特性のムラが少ない位相差フィルムを製造することが可能となる。
また、近年、海外競合他社の日本国内への上市や、液晶表示装置以外の方式であるSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)の登場もあり、表示装置メーカーでは生き残りを掛けた低価格競争の時代に入ってきた。よって、電機メーカーによる液晶表示装置自体のコスト見直しにより、各種部材の低コスト化が要求され始めている。従って、液晶表示装置に欠かせない位相差フィルムにおいても、さらなる低コスト化が求められている。
しかしながら、従来のPCまたはTACフィルム原反の一般的な製造方法は、製造コストの高い流延法によるフィルム化しか採用されていない。その理由は、製造コストが低い溶融押出法では、低レターデーション化が困難であるからである。また、従来のCOPは、溶融押出法によるフィルムもあるが、成形時に高分子結合鎖が配向または応力を受けてレターデーションが発現してしまう問題がある(特許文献1参照。)。これは、最適製造条件の安定度が低いために、要求性能を満たす原反フィルムが安定生産されるまでの時間がかかり、結果、歩留まりが悪く、コスト高になるという問題があった。
STN(Super Twisted Nematic)液晶セルの複屈折による表示色の着色や、コントラストの低下を防止するために、逆ツイスト(逆捩れ)のSTN液晶セルを重ねる(STN液晶セルの位相補償)ことで、該問題を解決する方法が従来技術として開示されている(非特許文献1参照)。そもそも液晶の配向は、連続的なものであるため、その複屈折を補償するためには、同様に連続的な配向をしているSTN液晶セルでの補償が必要となる。非特許文献1では逆ツイスト(逆捩れ)のSTN液晶セルの代わりに、複数枚の位相差フィルムを積層することで、これを代用している。非特許文献1では、結論として位相差フィルムをその遅相軸をずらしながら10枚積層することによって逆ツイスト(逆捩れ)の液晶セルと同様の効果があることが開示されている。また、1枚の位相差フィルムでもある程度の効果はあるものの、これを2枚積層することによって1枚の位相差フィルムよりも良好な効果があることが記載されている。しかしながら具体的な位相差フィルムの積層方法については言及されていない。
また、位相差フィルム(非特許文献2中は、光学補償フィルムと記載)は、偏光板とガラス基板の間に貼り合わされ使用されることが開示されている(非特許文献2参照。)。
さらに、偏光板を構成している延伸されたポリビニルアルコール(PVA)だけでは、強度に乏しく熱・湿度による変化が大きいことから偏光板の両側に保護層としてトリアセチルセルロース(TAC)が積層されているのが一般的である(非特許文献2参照。)。
特開2004−109355号公報 小林、平方、長江著、位相板方式白黒STN-LCDの解析、信学技報,88巻、54号、9−16頁、1988年 佐竹著、「偏光板用接着剤」、接着の技術、25巻、1号、2005年、通巻78号、25−30頁
本発明は、安価に製造できる位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、位相差フィルムに用いる樹脂がジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位とジカルボン酸単位で構成されたポリエステル樹脂を溶融Tダイ押出法によってフィルム化したポリエステルフィルムの製造条件に比較的幅があることを見出し、さらに、該ポリエステルフィルムを原反フィルムとし、延伸させることで任意のレターデーションの制御が可能であることも見出した。
すなわち本発明は、ジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位とジカルボン酸単位で構成されたポリエステル樹脂からなるポリエステル原反フィルムを延伸し、レターデーションを制御したフィルム層を有する位相差フィルムに関するものである。
本発明の位相差フィルム用の原反フィルムは、その生産スピードが格段に速く、そのレターデーションに代表される光学特性が著しく優れ、低倍率の延伸によって高いレターデーションが得られるので、ボーイング現象が発現しにくく使用可能面積が大きく取れ、歩留まりの高く、低コストな位相差フィルムを提供する効果を奏する。本発明の偏光板積層位相差フィルムは従来の片側のトリアセチルセルロース(TAC)層を省くことが可能であり、コストが低減され液晶表示装置の厚みと重量が低減され、また、液晶表示装置の組み立て工程においての作業性がアップする効果もある。
本発明は、ジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位とジカルボン酸単位で構成されたポリエステル樹脂からなるポリエステル原反フィルムを延伸し、レターデーションを制御したフィルム層を有する位相差フィルムに関するものである。
本発明に用いるポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は1〜80モル%であることが好ましい。環状アセタール骨格を有するジオール単位を1モル%以上含むことにより、ポリエステル樹脂の結晶性の低下とガラス転移温度の上昇が同時に達成され、当該樹脂から得られるポリエステルフィルムは透明性、耐熱性が向上する。加えて当該ポリエステルフィルムは切断や打ち抜きなどの加工時にヒゲの発生が抑制される等加工性が向上し、更にはレターデーション値の低下、レターデーション値の斑の低減、溶融押出し時の厚み斑の低減等、光学的性能の向上がなされる。一方、ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が80モル%を超えるとポリエステル樹脂の結晶性が増加し、得られるポリエステルフィルムの透明性が低下する事がある。従って、環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は、ポリエステルフィルムの耐熱性、透明性、加工性、光学的性能の面から1〜80モル%とするのが好ましく、更には1〜60モル%、より好ましくは5〜60モル%、特には15〜60モル%が好ましい。
本発明に使用するポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位は一般式(1):
Figure 2007171914

または一般式(2):
Figure 2007171914

で表される化合物に由来する単位が好ましい。一般式(1)と(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。RおよびRは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基が例示される。Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基が例示される。一般式(1)及び(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
また、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位としては、特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオール単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジオール単位が好ましく、エチレングリコール単位が特に好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂のジカルボン酸構成単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸単位;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸に由来する単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性を考慮すると芳香族ジカルボン酸に由来する単位が好ましく、ジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する単位が特に好ましい。なお、ポリエステル樹脂のジカルボン酸構成単位は1種類から構成されても、2種類以上から構成されても良い。
ポリエステル樹脂には、溶融粘弾性や分子量などを調整するために、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコールに由来する単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールに由来する単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸に由来する単位、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸に由来する単位、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸に由来する単位を含んでもよい。
本発明に用いるポリエステル樹脂で特に成形性、耐熱性、機械的性能などを考慮すると環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位がエチレングリコール単位であり、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位、イソフタル酸単位、および2,6−ナフタレンジカルボン酸単位から選ばれる1種類以上のジカルボン酸単位であることが好ましい。ジカルボン酸構成単位が2,6−ナフタレンジカルボン酸単位である場合、特に容易にポリエステル樹脂の耐熱性、機械的性能が向上する。
本発明に用いるポリエステル樹脂の極限粘度は成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。本発明に用いるポリエステル樹脂ではフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値で0.5〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2dl/gであり、更に好ましくは0.6〜1.0dl/gである。極限粘度がこの範囲にある場合、本発明に用いるポリエステル樹脂は成形性及び機械的性能のバランスに優れる。
本発明に用いるポリエステル樹脂のガラス転移温度は用途に応じて適宜選択することができるが、85℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは94℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲にある場合、本発明に用いるポリエステルフィルムは耐熱性に優れる。
本発明に用いるポリエステル樹脂を製造する方法は特に制限はなく、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。直接エステル化法においては、ジカルボン酸を環状アセタール骨格を有しないジオールでエステル化した後、低酸価化してから環状アセタール骨格を有するジオールを反応させる事が必要な場合もある。製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等の各種触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来既知のものを用いることができ、これらは反応速度やポリエステル樹脂の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。
本発明に用いるポリエステル樹脂には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。また、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリイミド樹脂、AS樹脂、環状アセタール骨格を有しないポリエステル樹脂等の樹脂、又はこれらのオリゴマーを添加することもできる。これらの添加剤や樹脂、オリゴマーは、環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂、あるいはブレンドする環状アセタール骨格を有しないポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の製造段階で添加しても良いし、製造後に添加しても良い。また、成形時に添加しても良い。
次いで、本発明に用いるポリエステル原反フィルムについて述べる。ポリエステル樹脂のフィルム化の方法は、溶融押出法、溶液流延法などが挙げられるが、経済性とフィルムの性能とのバランスから溶融押出法が好ましい。
溶融押出法について更に詳述する。本発明に用いるポリエステル原反フィルムは従来公知の方法を用いて製膜することができる。溶融押出法としては、Tダイ押出法、インフレーション法など挙げられるが、光学的等方性のフィルムを得るという点からはTダイ押出法が望ましい。ポリエステル樹脂を溶融させる装置としては一般的に用いられる押出機を使用すればよく、単軸押出機でも多軸押出機でもよい。押出機は一つ以上のベント有していても良く、ベントを減圧にして溶融している樹脂から水分や低分子物質などを除去してもよい。また、押出機の先端あるいは下流側には必要に応じて金網フィルターや焼結フィルター、ギヤポンプを設けても良い。ダイは、Tダイ、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイ、スタックプレートダイなどを用いることができる。
押出温度は200〜300℃であることが好ましく、より好ましくは210〜280℃、特に好ましくは220〜270℃である。押出温度が上記範囲にある場合、得られるポリエステル原反フィルムの光学的等方性、平滑性や透明性、色調、機械物性等のバランスに優れる。
ダイから押出された溶融樹脂の冷却方法は従来公知の方法を用いることができる。一般的には冷却ドラムにて冷却することができる。本発明に使用するポリエステル樹脂は実質的に非晶性の樹脂であるため、冷却ドラムの温度は幅広く設定することが可能である。光学的等方性の光学フィルムを得るには、冷却ドラムの温度はポリエステル樹脂のガラス転移温度の上下30℃とするのが好ましく、さらに好ましくはポリエステル樹脂のガラス転移温度の上下20℃、特に好ましくはポリエステル樹脂のガラス転移温度の上下10℃である。光学的等方性の光学フィルムを得るには実質的に延伸されることが無いよう、装置に応じて吐出速度と引き取り速度と冷却ドラムの温度をコントロールすることが好ましい。
本発明に用いるポリエステル原反フィルムの波長550nmにおけるレターデーションは20nm以下であることが好ましく、より好ましくは15nm以下、更に好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下である。上記範囲にある場合、本発明に用いるポリエステル原反フィルムを位相差フィルムの原反フィルムに用い延伸をかけることで、レターデーションを任意の数値範囲に制御した位相差フィルムを製造することが可能となる。
ポリエステル原反フィルムの厚みは要求仕様により任意に設定が可能である。位相差フィルムは、液晶表示装置の軽量化の観点から薄ければ薄いほど良いとされるが、ポリエステル原反フィルムの厚みは溶融押出機の制約から20〜200μmであることが望ましい。
本発明に用いるポリエステル原反フィルムの全光線透過率は85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。また、ヘイズは3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。これらの値が上記範囲にある場合、液晶表示装置に用いる位相差フィルムの原反フィルムとして十分な性能となる。
次に、当該ポリエステル原反フィルムの延伸法について詳述する。原反フィルムの延伸は、一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれも可能である。
一軸延伸の場合は、Nz係数(=(nx-nz)/(nx-ny)、但しnxとnyはフィルム面内の主屈折率を表し、nx>nyとする。nzはフィルム面の法線方向の主屈折率を表す)の大きさが略1であるフィルム層を得て位相差フィルムとして用いられる。逐次および同時二軸延伸の場合は、Nz係数の大きさが1〜∞の範囲で調整可能なフィルム層を得て位相差フィルムとして用いられる。例えば、STNモード液晶に好適に用いられる位相差フィルムの場合は、一軸延伸によってNz係数が略1で、かつ面内レターデーションが100〜500nmのフィルム層を得て位相差フィルムとして用いられる。また、VA(Vertical Alignment)モード液晶に好適に用いられる位相差フィルムの場合は、逐次または同時二軸延伸によってNz係数が、1〜∞の範囲で、かつ面内レターデーションが0〜200nmのフィルム層を得て位相差フィルムとして用いられる。反射・半透過形液晶に使用される円偏光板や、タッチパネルの内部ITOガラス基板での反射光を遮るための円偏光板の場合は、広帯域なλ/4板である必要があり、波長550nmにおけるλ/2板とλ/4板のそれぞれの光軸を傾けて偏光板に積層することにより広帯域な円偏光板にすることが可能である(特開平10−068816号公報参照。)。この場合のλ/2板とλ/4板は、一軸延伸によって製造することが可能である。
延伸倍率は、ボーイング現象を発現させないよう、2倍以下が望ましく、より好ましくは1.5倍以下が望ましい、さらに好ましくは1.2倍以下が望ましい。
延伸温度は、樹脂ガラス転移温度から融点までの範囲とする。延伸温度が高かければ高いほど、同一延伸倍率での、レターデーションを低い数値に制御できる。よって、ボーイング現象が発現しない程度の低い延伸倍率にて、延伸温度を変えて所望のレターデーションの数値に制御することが望ましい方法である。同時二軸延伸の場合は、延伸方向によって温度を変えることが出来ないので、延伸方向により延伸倍率を変えることで所望のレターデーションを得ることが可能である。
本発明の位相差フィルムは、ポリエステル原反フィルムを延伸して得たフィルム層を有する位相差フィルムであり、フィルム層のみからなる位相差フィルムの他に、前記フィルム層を2枚以上積層した多層構造を有する位相差フィルム、前記フィルム層の少なくとも片面に光学的等方性保護層が積層された位相差フィルム、前記フィルム層に偏光板を積層一体化してなる位相差フィルム、前記フィルム層の少なくとも片面に接着層又は粘着層を介して剥離性シートが積層された位相差フィルムの形態を取ることができる。
前記フィルム層を積層した多層構造を有する位相差フィルムについて詳述する。本発明の位相差フィルムは、前述した通り、ポリエステル原反フィルムを延伸することで、任意のレターデーションに制御することが可能であり、透明性の高い接着剤又は粘着剤を使用して本発明のポリエステル原反フィルムを延伸して得た前記フィルム層を2枚以上積層することで、STN液晶セルの位相補償として好適に使用することが可能である。
接着剤又は粘着剤としては、ポリビニルアルコール系ポリマー;アクリル系ポリマー;シリコーン系ポリマー;ポリイソシアネート;ポリオレフィン;ポリエステル;ポリエーテル;塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー;合成ゴム;またはこれらのポリマーに極性基を導入した変性物などの適当なポリマーをベースポリマーとする接着剤又は粘着剤が用いられる。接着剤又は粘着剤には、耐久性や接着性等を向上するため、本発明の効果を損なわない範囲内でその他のポリマー、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、架橋剤、フィラー等の公知の添加剤を含有することができる。接着剤又は粘着剤を前記フィルム層上に塗布する方法としては、コーターヘッド等の従来公知の方法を用いることができ、均一な接着剤層又は粘着剤層が形成される方法であれば特に限定されるものではない。また、上記成分から成り、市販されている基材なしの高透明接着剤転写テープ(フィルム状の接着剤層又は粘着剤層の両側に剥離フィルムが貼られたもの(例えば、ポラテクノ社製Pressure Senstive Adhesive AD-20または、住友スリーエム(株)、基材なし高透明接着剤転写テープ8141)の一方の剥離フィルムを剥がして、前記フィルム層にローラーを使って転写し、さらに片側の剥離フィルムを剥がすことで接着剤層又は粘着剤層を構成することも可能である。
今日、液晶は様々なモードがあり、本発明のポリエステル原反フィルムを延伸して得た位相差フィルムは延伸により任意にレターデーションを付与させることが出来、任意な角度をもって積層させることが可能であるので、任意の液晶セルに応用することが可能である。さらに本発明の前記フィルム層を積層した多層構造を有する位相差フィルムの応用は、STN液晶セルに限られない。
次いで、前記フィルム層の少なくとも片面に光学的等方性保護層が積層された位相差フィルムについて詳述する。本発明の位相差フィルムは、前記フィルム層を構成するポリエステル高分子が配向して全体の位相差を発現しているため、輸送中やディスプレイ組み立て工程において、外部からの物理的力によってキズ等の損傷を受けるとその部分のレターデーションが変化してしまうおそれがある。これを防止するために、前記フィルム層の少なくとも片面に光学的当方性保護層を積層することが可能である。光学的等方性保護層としては、本発明で用いているポリエステル原反フィルムや、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられるが、本発明の前記フィルム層の少なくとも片面に光学的等方性保護層が積層された位相差フィルムにおいて、光学的等方性保護層の組成をこれに限定するものではない。前記フィルム層と光学的等方性保護層との貼り合わせは、前記フィルム層上に接着剤又は粘着剤を塗布し、さらにその上に光学的等方性保護層をローラーを用いて積層することによって実施できる。接着剤層又は粘着剤層は、上記接着剤層又は粘着剤層と同様に構成することが出来る。
次いで、前記フィルム層に偏光板を積層一体化してなる位相差フィルムについて詳述する。
ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素とヨウ化カリウム水溶液に浸漬し、次いでホウ酸とヨウ化カリウムを含む水溶液に浸漬し、一軸延伸して偏光膜を作製可能である。次いで接着剤又は粘着剤を介して、トリアセチルセルロース(TAC)シートを積層し、さらに片側に接着剤又は粘着剤を用いて前記フィルム層を偏光板の光吸収軸と前記フィルム層の遅相軸をずらして積層し、偏光板の保護層として前記フィルム層を偏光板と一体化することが出来る。接着剤層又は粘着剤層は、上記接着剤層又は粘着剤層と同様に構成することが出来る。
前記フィルム層を偏光板の保護層として用いる場合、前記フィルム層の40℃、90%RHでの透湿度は5〜500g/m/24hrであることが好ましく、より好ましくは8〜400g/m/24hr、更に好ましくは10〜300g/m/24hrである。40℃、90%RHでの透湿度が500g/m/24hrを超えると、高温多湿の条件下において、偏光板保護フィルムを通過した外部の水分が偏光板に浸透し偏光板としての性能が低下したり、偏光板に反りが発生する恐れがある。また一方で、ヨウ素とヨウ化カリウム水溶液に浸漬した際にポリビニルアルコールフィルム中に取り込まれた水分を偏光板保護層を通して適度に蒸発させる必要があり、偏光板保護層には適度な透湿度が要求される。
次いで、前記フィルム層の少なくとも片面に接着層又は粘着層を介して剥離性シートが積層された位相差フィルムについて詳述する。前記フィルム層に、接着剤又は粘着剤を介して剥離性シートを積層することにより、前記フィルム層を偏光板やガラス基板に貼り合わせる際に、剥離性シートを剥がすことで、容易に貼着することが出来る。接着剤層又は粘着剤層は、上記接着剤層又は粘着剤層と同様に構成することが出来る。
そうすることによって、前記フィルム層/接着剤層又は粘着剤層/剥離シートの順に積層された位相差フィルム、偏光板/接着剤層又は粘着剤層/前記フィルム層/接着剤層又は粘着剤層/剥離シートの順に積層された位相差フィルムを製造することが出来る。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
<ポリエステル樹脂の評価方法>
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合
ポリエステル中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合はH−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
(2)ガラス転移温度
ポリエステルのガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、ポリエステル約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中、昇温速度20℃/minで280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)極限粘度
極限粘度(IVと略す)を測定する試料はポリエステル0.5gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)120gに加熱溶解し、濾過後、25℃まで冷却して調製した。装置は(株)柴山科学機械製作所製、毛細管粘度計自動測定装置SS−300−L1を用い、温度25℃で測定を行った。
<フィルム(フィルム層)の評価方法>
(4)透湿度
LYSSY AG ZLLIKON社製「L80−4005L」を用いて、JIS−K−7129に記載の方法に従い、温湿度条件40℃、90%RHで各サンプルの透湿度を測定した。
(5)厚さ
ソニーマグネスケール(株)製、デジタルマイクロメーターM−30を用いて測定した。
(6)レターデーション
日本分光(株)製分光エリプソメーター、商品名:M−220の3次元屈折率測定プログラムを用いてレターデーションの入射角依存性を測定した。測定波長は550nmとした。
(7)全光線透過率、ヘイズ
JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて測定した。フィルムを48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
(8)Nz係数、厚み方向レターデーションRthの算出
Nz係数(=(nx-nz)/(nx-ny))とレターデーションRth(=[(nx+ny)/2-nz]×d、但しdはフィルム厚)については、分光エリプソメーターにより、フィルム面内遅相軸まわりのレターデーションの入射角依存性を測定し、フィルムの厚みと樹脂平均屈折率を使い、延伸フィルムの屈折率楕円体の主軸の長さ、すなわち主屈折率nx、ny、nzをシャープ技法 通巻85号(2004年4月)『GRP方式広視野角LCD技術』に記載の光学フィルム中の屈折率楕円体モデルによるレターデーションの入射角依存性の解析解による特性曲線と測定値のフィッティングを行い算出した。算出した主屈折率nx、ny、nzとフィルム厚みdを用いて、上記式にてNz係数と厚み方向レターデーションRthを求めた。図1にポリエステル原反フィルムの遅相軸まわりのレターデーション入射角依存性の分光エリプソメーターによる実測値(点線)と上記モデルによる理論カーブ(実線)を示す。
(9)寸法変化率
JIS−K7133に準じて測定した。約120×120mmに切り出した3枚の原反フィルムに、それぞれ100×100mmの正方形を書き、所定温度の熱風乾燥機内に30分間入れ、押し出し方向、および押し出し方向と直角の方向の寸法変化率を次式により算出し、3つの試験片の平均値をそれぞれの方向の寸法変化率とした。なお、表中押し出し方向をMD方向、押し出し方向と直角の方向をTD方向と記載する。
寸法変化率(%)={(La−Lb)/La}×100
La:熱風乾燥機に入れる前の線の間隔(100mm)
Lb:熱風乾燥機に入れた後の線の間隔
製造例1〜8
〔ポリエステルの製造〕
〔ポリエステル樹脂の製造、評価〕
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた0.15立方メートルのポリエステル製造装置に表1、2に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対し酢酸マンガン四水和物0.03モル%の存在下、窒素雰囲気下で215℃迄昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.02モル%とリン酸トリメチル0.06モル%を加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を製造した。評価結果を表1、2に示す。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
DMT:ジメチルテレフタレート
NDCM:2,6−ジメチルナフタレート
DMI:ジメチルイソフタレート
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
〔ポリエステル原反フィルムの製造〕
製造例1〜8のポリエステル樹脂を真空ベントと幅550mmコートハンガーダイの付いたスクリュー径50mmφの単軸押出機を用い、シリンダー温度を220〜240℃、ダイ温度240℃、吐出速度30kg/hで溶融押出を行った。押出した溶融樹脂はTg−10℃に設定した1本目と60℃に設定した2本目のロールで冷却し、12m/分で引き取り、厚み100μm、幅長さ480mmの透明基材を製造した。評価結果を表1、2および図1に示す。図1は製造例1の原反フィルムの結果であるが、他の製造例2〜8についても略同様であった。
実施例1
〔位相差フィルム(延伸フィルム)の製造〕
製造例1のポリエステル原反フィルムを、延伸機にて一軸延伸した。延伸倍率を1.5倍に、延伸速度を30mm/分とそれぞれ固定にし、延伸温度は、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より高い温度で、その増加分を+8℃とし、位相差フィルム1を製造した。それぞれの延伸条件、延伸フィルムの厚さd、Nz係数、垂直入射レターデーションReと厚み方向レターデーションRthを表3に示す。Nz係数、垂直入射レターデーションReと厚み方向レターデーションRthについては、ポリエステル原反フィルムと同様に算出した。
実施例2
〔位相差フィルム(延伸フィルム)の製造〕
延伸温度を、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より+18℃高い温度にした以外は実施例1と同様にして、位相差フィルム2を製造した。評価結果を表3に示す。
実施例3
〔位相差フィルム(延伸フィルム)の製造〕
延伸温度を、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より+28℃高い温度にした以外は実施例1と同様にして、位相差フィルム3を製造した。
とした。評価結果を表3に示す。
図2にポリエステル原反フィルム、および実施例1〜3の延伸フィルムのRe×NzとReで張られる空間上で表現される楕円体の位置を示す。図2から分かるように、一軸延伸の場合の延伸フィルムは、Nz係数が略1であり、延伸温度が低いほど面内レターデーションが増大することが分かる。
以上は、製造例1のポリエステル樹脂フィルムでの延伸結果であるが、他の製造例2〜8についても、略同様の結果が得られている。
実施例4
〔位相差フィルムの積層方法〕
位相差フィルム2を2枚積層するために、位相差フィルム2にアクリル系接着剤[住友スリーエム(株)、DP−8005クリア]を介して、位相差フィルム2を遅相軸を120°ずらしてローラーを用いて積層して多層構造を有する位相差フィルムを製造した。
実施例5
〔位相差フィルムへの保護層の積層方法〕
実施例4の多層構造を有する位相差フィルムの片面に、保護層として、製造例1と同様の方法で得た厚み80μmのポリエステル原反フィルムを、アクリル系接着剤[住友スリーエム(株)、DP−8005クリア]を介して、積層して光学的等方性保護層が積層された位相差フィルムを製造した。
実施例6
〔位相差フィルムへの偏光板の積層方法〕
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ、クラレビニロン#7500]をチャックに装着し、ヨウ素0.2g/Lとヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液に240秒浸漬し、次いでホウ酸70g/Lとヨウ化カリウム30g/Lを含む30℃の水溶液に浸漬し、6.0倍に一軸延伸しつつ5分間に渡ってホウ酸処理を行った。最後に、室温で24時間乾燥して偏光膜を作製した。次いでアクリル系接着剤[住友スリーエム(株)、DP−8005クリア]を介して、厚み40μmのトリアセチルセルロース(TAC)シートをローラーを用いて積層し、さらに片側(TACシートを積層していない側)に同アクリル系接着剤を用いて位相差フィルム1を偏光板の光吸収軸と位相差フィルムの遅相軸をずらしてローラーを用いて積層一体化して偏光板と積層一体化してなる位相差フィルムを製造した。
実施例7
厚み40μmのトリアセチルセルロース(TAC)シートの代わりに製造例1のポリエステル原反フィルムを積層した以外は実施例6と同様にして、偏光板と積層一体化してなる位相差フィルムを製造した。このように偏光板の両側の保護層と位相差フィルムを同一組成である製造例1のポリエステル樹脂とすることで、吸湿による反りを抑える効果がある。
実施例8
〔位相差フィルムへの接着層又は粘着層および剥離性シートの積層方法〕
実施例5の位相差フィルムの保護層と反対側に、剥離シートによってサンドイッチされた厚み25μmのシート状のアクリル系高透明接着剤転写テープ(住友スリーエム(株)、基材なし高透明接着剤転写テープ8141)の片側の剥離シートを剥がし、ローラーを用いて積層することにより、接着層又は粘着層および剥離性シートが積層された位相差フィルムを製造した。
Figure 2007171914
Figure 2007171914
Figure 2007171914
分光エリプソメーターの実測値(点線)と屈折率楕円体モデルによる理論カーブ(実線) 一軸延伸によるレターデーション発現性

Claims (9)

  1. ジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位とジカルボン酸単位で構成されたポリエステル樹脂からなるポリエステル原反フィルムを延伸し、レターデーションを制御したフィルム層を有する位相差フィルム。
  2. 環状アセタール骨格を有するジオール単位が一般式(1):
    Figure 2007171914
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    または一般式(2):
    Figure 2007171914
    (式中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    で表されるジオールに由来するジオール単位である請求項1記載の位相差フィルム。
  3. 環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である請求項2記載の位相差フィルム。
  4. 環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1種以上のジオールに由来する請求項1〜3のいずれかに記載の位相差フィルム。
  5. ジカルボン酸単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来する請求項1〜4のいずれかに記載の位相差フィルム。
  6. 前記フィルム層を2枚以上積層した多層構造を有する請求項1〜5のいずれかに記載の位相差フィルム。
  7. 前記フィルム層の少なくとも片面に光学等方性保護層が積層されている請求項1〜6のいずれかに記載の位相差フィルム。
  8. 前記フィルム層に偏光板を積層一体化されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の位相差フィルム。
  9. 前記フィルム層の少なくとも片面に接着剤層又は粘着剤層を介して剥離性シートが積層されている請求項1〜8のいずれかに記載の位相差フィルム。
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