JP2007308675A - 透明導電性フィルム、およびそれを用いた低反射タッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルム、およびそれを用いた低反射タッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 レターデーションを制御する事が可能であり、安価に製造できる透明導電性フィルム、および該フィルムを用いた低反射タッチパネルを提供する。
【解決手段】 ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムの、少なくとも一方の表面に透明導電膜を成膜した透明導電性フィルムが、安価にレターデーションを制御して製造できる。この透明導電性フィルムを部材として低反射タッチパネルを安価に提供できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主に低反射タッチパネルに用いられる透明導電性フィルムに関する発明である。
ワードプロセッサ、ノート型パソコン、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)等の製品に広く用いられる液晶ディスプレイの前面にタッチパネルを配置することが従来から行われている。タッチパネルは、透明導電膜を形成した2枚の透明板を透明導電膜同士がスペーサーを介して対向するように配置させた構造となっており、スペーサーによって絶縁されていた両透明導電膜をパネル表面の一部を押圧することにより接触させて電気的に導通させ入力できるようにしたものである。しかし、上記タッチパネルは、入力作業を蛍光灯などのある部屋や屋外において行うとき、透明導電膜面で外部からの光の反射があるため、表示画面のコントラストが著しく低下し、非常に見にくいという課題があった。
そこで、このような問題を解消するため、液晶ディスプレイ側から順に第1の1/4波長板、スペーサーを介して対向する2枚の透明導電膜、第2の1/4波長板、偏光板を少なくとも配置したタッチパネルが提案され。第2の1/4波長板と偏光板とで円偏光タイプの反射防止フィルターを形成させ、外部から入射した光の透明導電膜での反射を効率よくカットしている(例えば特許文献1参照)。このような構成の低反射タッチパネルの液晶ディスプレイ側でない方の透明導電膜は、通常、光学等方性フィルムを基材として、その上にITO等の透明導電膜を成膜し作製されていたり、第2の1/4波長板に直接成膜されている。
光学等方性フィルムは、COP(シクロオレフィンポリマー;以下、COP)やPC(ポリカーボネート;以下、PC)が良く使用されている(例えば特許文献2参照)。また、液晶ディスプレイ側の透明導電膜は、通常、ガラス板の上にITO等の透明導電膜が成膜されている。また、1/4波長板はCOPやPCなどからなる光学等方性フィルムを、延伸等の方法により光学的異方性を生じさせて位相差フィルムとしたものが使用されている。
しかしながら、従来のCOPまたはPCフィルムであるJSR社製の「アートン」や積水化学社製の「エスシーナ」の一般的な製造方法は、製造コストの高い流延法によるフィルム化しか採用されていない。その理由は、製造コストが低い溶融押出法では、光学等方性発現に必須な低レターデーション化が困難であるからである。また、日本ゼオン社製の「ゼオノア」のようにCOPの溶融押出法によるフィルムもあるが、成形時に高分子結合鎖が配向または応力を受けてレターデーションが発現してしまう問題がある(例えば特許文献3参照。)。これは、最適製造条件の安定度が低いために、要求性能を満たす原反フィルムが安定生産されるまでの時間がかかり、結果、歩留まりが悪く、コスト高になるという問題があった。
このようにタッチパネルを産業上普及させるために、その構成部材の中ではコスト的な問題のある、レターデーションを制御しさらに透明導電膜が成膜されたフィルムを、安価に生産性良く供給することが望まれている。
特開平10−48625号公報 特開2004−5102号公報 特開2004−109355号公報
本発明は、レターデーションを制御する事が可能であり、安価に製造できる透明導電性フィルム、および該フィルムを用いた低反射タッチパネルを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムの安定な製造条件域に比較的幅があることを見出し、特に第1冷却ロールの温度を変化させることで低いレターデーションに制御することを見出した。さらに、該ポリエステルフィルムを原反フィルム(未延伸フィルム)とし、延伸させることで任意のレターデーションの発現が可能であることも見出した。
すなわち本発明は、ジカルボン酸単位とジオール単位とからなるポリエステル樹脂において、ジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステル原反フィルム、または、該原反フィルムを延伸させレターデーションを発現させたフィルムを基材として、該基材フィルム上に透明導電膜を成膜した透明導電性フィルム、および該透明導電性フィルムを用いた低反射タッチパネルに関するものである。
本発明の透明導電性フィルムの基材フィルムとなる原反フィルムは、その生産スピードが格段に速く、そのレターデーションに代表される光学特性が著しく優れ、低倍率の延伸によって高いレターデーションが得られるので、ボーイング現象が発現しにくく使用可能面積が大きく取れ、歩留まりの高く、低コストなフィルムを提供する効果を奏する。よって、該原反フィルムまたは延伸フィルムに透明導電膜を成膜することにより、レターデーションが制御された安価な透明導電性フィルムを作製することが可能となり、さらには、安価な低反射タッチパネルを製造することができる。
なお、延伸して所望のレターデーションを発現させる事で作製した1/4波長板上に透明導電膜を成膜したものを用いることで、光学等方性フィルムを1枚省くことが出来るのでさらに低コストで低反射タッチパネルを製造することが可能になる。
本発明は、ジカルボン酸単位とジオール単位とからなるポリエステル樹脂において、ジオール単位中の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステル原反フィルム、または、該原反フィルムを延伸させレターデーションを発現させたフィルムを基材として、該基材フィルム上に透明導電膜を成膜した透明導電性フィルム、および該透明導電性フィルムを用いたタッチパネルに関するものである。
本発明に用いるポリエステル樹脂のジオール単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は1〜80モル%である。環状アセタール骨格を有するジオール単位を1モル%以上含むことにより、ポリエステル樹脂の結晶性の低下とガラス転移温度の上昇が同時に達成され、当該樹脂から得られるポリエステルフィルムは透明性、耐熱性が向上する。加えて当該ポリエステルフィルムは切断や打ち抜きなどの加工時にヒゲの発生が抑制される等加工性が向上し、更にはレターデーション値の低下、レターデーション値の斑の低減、溶融押出し時の厚み斑の低減等、光学的性能の向上がなされる。一方、ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が80モル%を超えるとポリエステル樹脂の結晶性が増加し、得られるポリエステルフィルムの透明性が低下する事がある。また、1モル%未満だとポリエステル樹脂の結晶性の低下とガラス転移温度の上昇の効果が十分に得られず好ましくない。従って、環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は、ポリエステルフィルムの耐熱性、透明性、加工性、光学的性能の面から1〜80モル%とするのが好ましく、更には1〜60モル%、より好ましくは5〜60モル%、特には15〜60モル%が好ましい。
本発明に使用するポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位は一般式(1):
Figure 2007308675

または一般式(2):
Figure 2007308675

で表される化合物に由来する単位が好ましい。一般式(1)と(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。RおよびRは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基が例示される。Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基が例示される。一般式(1)及び(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下、SPGと標記する場合がある)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
また、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位としては、特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオール単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール単位が好ましく、エチレングリコール単位が特に好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂のジカルボン酸構成単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸単位;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸に由来する単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性を考慮すると芳香族ジカルボン酸に由来する単位が好ましく、ジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する単位が特に好ましい。なお、ポリエステル樹脂のジカルボン酸構成単位は1種類から構成されても、2種類以上から構成されても良い。
本発明に用いるポリエステル樹脂には、溶融粘弾性や分子量などを調整するために、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコールに由来する単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールに由来する単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸に由来する単位、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸に由来する単位、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸に由来する単位を含んでもよい。
本発明に用いるポリエステル樹脂で特に成形性、耐熱性、機械的性能などを考慮すると環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位がエチレングリコール単位であり、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位、イソフタル酸単位、および2,6−ナフタレンジカルボン酸単位から選ばれる1種類以上のジカルボン酸単位であることが好ましい。ジカルボン酸構成単位が2,6−ナフタレンジカルボン酸単位である場合、特に容易にポリエステル樹脂の耐熱性、機械的性能が向上する。
本発明に用いるポリエステル樹脂の極限粘度は成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。本発明に用いるポリエステル樹脂ではフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値で0.5〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2dl/gであり、更に好ましくは0.6〜1.0dl/gである。極限粘度がこの範囲にある場合、本発明に用いるポリエステル樹脂は成形性及び機械的性能のバランスに優れる。
本発明に用いるポリエステル樹脂のガラス転移温度は用途に応じて適宜選択することができるが、85℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは94℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲にある場合、本発明に用いるポリエステルフィルムは耐熱性に優れる。
本発明に用いるポリエステル樹脂を製造する方法は特に制限はなく、従来公知のポリエステル樹脂の製造方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。直接エステル化法においては、ジカルボン酸を環状アセタール骨格を有しないジオールでエステル化した後、低酸価化してから環状アセタール骨格を有するジオールを反応させる事が必要な場合もある。製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等の各種触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来既知のものを用いることができ、これらは反応速度やポリエステル樹脂の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。
本発明に用いるポリエステル樹脂には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。また、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリイミド樹脂、AS樹脂、環状アセタール骨格を有しないポリエステル樹脂等の樹脂、又はこれらのオリゴマーを添加することもできる。これらの添加剤や樹脂、オリゴマーは、環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂、あるいはブレンドする環状アセタール骨格を有しないポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の製造段階で添加しても良いし、製造後に添加しても良い。また、成形時に添加しても良い。
次いで、本発明に用いるポリエステル原反フィルムについて述べる。ポリエステル樹脂のフィルム化の方法は、溶融押出法、溶液流延法などが挙げられるが、経済性とフィルムの性能とのバランスから本発明では溶融押出法を用いる。
溶融押出法について更に詳述する。本発明に用いるポリエステル原反フィルムは従来公知の方法を用いて製膜することができる。溶融押出法としては、Tダイ押出法、インフレーション法など挙げられるが、光学等方性のフィルムを得るという点からはTダイ押出法が望ましい。ポリエステル樹脂を溶融させる装置としては一般的に用いられる押出機を使用すればよく、単軸押出機でも多軸押出機でもよい。押出機は一つ以上のベント有していても良く、ベントを減圧にして溶融している樹脂から水分や低分子物質などを除去してもよい。また、押出機の先端あるいは下流側には必要に応じて金網フィルターや焼結フィルター、ギヤポンプを設けても良い。ダイは、Tダイ、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイ、スタックプレートダイなどを用いることができる。
押出温度は200〜300℃であることが好ましく、より好ましくは210〜280℃、特に好ましくは220〜270℃である。押出温度が上記範囲にある場合、得られるポリエステル原反フィルムの光学等方性、平滑性や透明性、色調、機械物性等のバランスに優れる。
ダイから押出された溶融樹脂の冷却方法は従来公知の方法を用いることができる。一般的には冷却ドラムにて冷却することができる。本発明に使用するポリエステル樹脂は実質的に非晶性の樹脂であるため、冷却ドラムの温度は幅広く設定することが可能である。光学等方性の光学フィルムを得るには、冷却ドラムの温度はポリエステル樹脂のガラス転移温度の上下30℃とするのが好ましく、さらに好ましくはポリエステル樹脂のガラス転移温度の上下20℃、特に好ましくはポリエステル樹脂のガラス転移温度の上下10℃である。光学等方性の光学フィルムを得るには実質的に延伸されることが無いよう、装置に応じて吐出速度と引き取り速度と冷却ドラムの温度をコントロールすることが好ましい。
本発明に用いるポリエステル原反フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションは20nm以下であることが好ましく、より好ましくは15nm以下、更に好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下である。上記範囲にある場合、本発明に用いるポリエステル原反フィルムを低反射タッチパネルに用いる透明導電性フィルムの基材に好適に用いることが出来る。また、本発明に用いるポリエステル原反フィルムを延伸させ面内レターデーションを制御した延伸フィルムを低反射タッチパネルに用いる位相差が付与された透明導電性フィルムの基材に好適に用いることが出来る。
ポリエステル原反フィルムの厚みは要求仕様により任意に設定が可能である。位相差フィルムは、液晶表示装置の軽量化の観点から薄ければ薄いほど良いとされるが、ポリエステル原反フィルムの厚みは溶融押出機の制約から20〜200μmであることが望ましい。
本発明に用いるポリエステル原反フィルムの全光線透過率は85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。また、ヘイズは3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。これらの値が上記範囲にある場合、低反射タッチパネルに用いる透明導電性フィルムの原反フィルムとして十分な性能となる。
次に、当該ポリエステル原反フィルムの延伸法について詳述する。原反フィルムの延伸は、一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれも可能であるが、低反射タッチパネル用の1/4波長板や1/2波長板を作製するには、主に一軸延伸が用いられる。図5にSPG共重合率45%のポリエステル原反フィルムの一軸延伸における、延伸温度と面内レターデーションの実験結果を示す。但し、本データーは、特に延伸後のフィルム取り出しまでの熱と時間による配向緩和に代表される延伸装置固有のものであり、別の延伸装置では得られるデーターが多少異なることがある。このようなデーターに基づいて、所望の面内レターデーションが付与された位相差フィルムを得ることが可能である。延伸温度は、樹脂ガラス転移温度から融点までの範囲とする。延伸温度が高ければ高いほど、同一延伸倍率での、面内レターデーションを低い数値に制御できる。
二軸延伸の場合は、縦横の延伸を同時もしくは逐次で実施するが、1/4波長板や1/2波長板を作製する場合には、どちらかの軸の延伸による配向度を大きくすることによって実現される。面内レターデーションは縦横の位相差であるので、面内の主屈折率の絶対値の差によって決まるものである。しかし、この場合は、面内レターデーションが同じであっても、面に垂直な主屈折率との関係が異なることになる。このように3次元的な屈折率の相対関係は、波長板のレターデーションの入射角依存特性を決めるものであり、波長板の視野角特性上、さまざまな設計指針がある。本実施例では、一軸延伸について述べるが、これに限定されるものではない。
低反射タッチパネルに用いられる1/4波長板は、可視光波長帯において、その面内レターデーションがλ/4(nm)である必要があり、波長550nmにおける1/2波長板と1/4波長板のそれぞれの遅相軸を交差させて偏光板に積層することにより広帯域な円偏光板にすることが可能である(特開平10−068816号公報参照)。
本発明の透明導電性フィルムは、ポリエステル原反フィルムの少なくとも片面に、透明導電膜を成膜し作製することができる。また、ポリエステル原反フィルムを所定の温度、倍率で一軸延伸することにより面内レターデーションを可視光波長域である350〜750nmの中心波長である550nmの波長において100〜175nmの範囲に(好ましくは132.5〜142.5nmの範囲に)制御したポリエステル延伸フィルム(1/4波長板)の少なくとも一方の表面に透明導電膜を成膜し作製することも可能である。また、さらに可視光波長域にわたって位相差がλ/4(nm)になるようにするために、一軸延伸により面内レターデーションを200〜350nmの範囲に(好ましくは270〜280nmの範囲に)制御したポリエステル延伸フィルム(1/2波長板)を前記ポリエステル延伸フィルム(1/4波長板)をそれぞれの遅相軸を約60°交差させて積層させた延伸積層フィルムの1/4波長板側の表面に透明導電膜を成膜し作製することも可能である。以上のように、光学等方性を持ち合わせた透明導電性フィルムや、1/4波長板の機能を持ち合わせた透明導電性フィルムを安価に作製することが可能となる。
前記透明導電膜は、具体的には、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)を従来良く知られたスパッタリング方式にて成膜することが出来る。特に、ガラス転移温度の低い樹脂フィルムへの成膜には、低温成膜可能なIZOターゲットを用いるのが好ましい。また、導電性ポリマーを塗布して成膜しても良い。該導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン系やポリアニリン系のものが挙げられる。
このようにして作製した透明導電性フィルムは低反射タッチパネルの構成部材とできる。
タッチパネルの本質は、空隙を保って対向する2枚の透明導電膜を電極として、押圧によりそれらが接触する機構であり、液晶ディスプレーの前面に配置される。透明導電膜の外面側に偏光板と1/4波長板を配置すると、これらを通過して入ってくる外部の光は透明導電膜で反射して1/4波長板を逆に通過して偏光板に遮られるため、低反射タッチパネルとなる。なお、液晶表示面から発せられる光を通過させるために、液晶表示面と透明導電膜の間に1/4波長板を配置させる。
低反射タッチパネルは本質的にはこれらの要素で成り立つが、実際にタッチパネルの動作を実現するために、透明導電膜を支持する部材やコート材、空隙を形成するスペーサーなどが用いられる。透明導電膜を支持する部材には制御された光学特性が必要であり、本発明に用いられるポリエステル樹脂などが好適である。
図1に光学等方性を持ち合わせた透明導電性フィルムを用いた低反射タッチパネルの構成を示す。低反射タッチパネルは、液晶パネル側から、第1の1/4波長板3とガラス板4とガラス板4上に成膜された第1の透明導電膜5と第1の透明導電膜5に対向配置している第2の透明導電膜8と第2の透明導電膜8が成膜された光学等方性フィルム9と第2の1/4波長板10と偏光板11からなり、第2の透明導電膜8が成膜された光学等方性フィルム9は、本発明の光学等方性を持ち合わせた透明導電性フィルムである。
次に別の構成の低反射タッチパネルを図2に示す。本低反射タッチパネルは、液晶パネル側から、第1の1/4波長板3とガラス板4とガラス板4上に成膜された第1の透明導電膜5と第1の透明導電膜5に対向配置している第2の透明導電膜8と第2の透明導電膜8が成膜された第2の1/4波長板10と偏光板11からなり、第2の透明導電膜8が成膜された第2の1/4波長板10は、本発明の1/4波長板の機能を持ち合わせた透明導電性フィルムである。
図1及び図2における、第1および第2の1/4波長板の遅相軸と偏光板11の透過軸の関係を図3(b)に示す。また、第1および第2の1/4波長板が、可視光波長域にわたって位相差がλ/4になるように、一軸延伸で作製した1/2波長板と1/4波長板を積層する場合のそれぞれの遅相軸と偏光板11の透過軸の関係を図3(a)に示す。このように配置することで、偏光板11上方より入射した光が、第1および第2の1/4波長板の間の複数の界面での反射によって戻ってきた光は偏光板11によって吸収されてしまうので、低反射となる。また、液晶ディスプレイからの直線偏光を、図3(a)または図3(b)の液晶ディスプレイ側に記載してある直線偏光の向きと同じにすることで、偏光板11に吸収されることなく透過することが出来る。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
<ポリエステル樹脂の評価方法>
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合はH−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。具体的には得られたNMRスペクトルのベンゼン環のピーク(酸成分由来)に対するメチル基のピーク(環状アセタール骨格を有するジオール成分由来)の比を基に算出した。
(2)ガラス転移温度
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中、昇温速度20℃/minで280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)極限粘度
極限粘度(IVと略す)を測定する試料はポリエステル樹脂0.5gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)120gに加熱溶解し、濾過後、25℃まで冷却して調製した。装置は(株)柴山科学機械製作所製、毛細管粘度計自動測定装置SS−300−L1を用い、温度25℃で測定を行った。
<フィルム(フィルム層)の評価方法>
(4)透湿度
LYSSY AG ZLLIKON社製「L80−4005L」を用いて、JIS−K−7129に記載の方法に従い、温湿度条件40℃、90%RHで各サンプルの透湿度を測定した。
(5)厚さ
ソニーマグネスケール(株)製、デジタルマイクロメーターM−30を用いて測定した。
(6)レターデーション
日本分光(株)製分光エリプソメーター、商品名:M−220の3次元屈折率測定プログラムを用いてレターデーションの入射角依存性を測定した。測定波長は550nmとした。
(7)全光線透過率、ヘイズ
JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて測定した。フィルムを48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
(8)Nz係数、厚み方向レターデーションRthの算出
Nz係数と厚み方向レターデーションRth(=[(nx+ny)/2-nz]×d、但しdはフィルム厚)については、分光エリプソメーターにより、フィルム面内遅相軸まわりのレターデーションの入射角依存性を測定し、延伸フィルムの厚みと樹脂平均屈折率を使い、延伸フィルムの屈折率楕円体の主軸の長さ、すなわち主屈折率nx、ny、nzをシャープ技法 通巻85号(2004年4月)『GRP方式広視野角LCD技術』に記載の光学フィルム中の屈折率楕円体モデルによるレターデーションの入射角依存性の解析解による特性曲線と測定値のフィッティングを行い算出した。算出した主屈折率nx、ny、nzとフィルム厚みdを用いて、上記式にてNz係数と厚み方向レターデーションRthを求めた。図4にポリエステル原反フィルムの遅相軸まわりのレターデーション入射角依存性の分光エリプソメーターによる実測値(点線)と上記モデルによる理論カーブ(実線)を示す。
(9)寸法変化率
JIS−K7133に準じて測定した。約120×120mmに切り出した3枚の原反フィルムに、それぞれ100×100mmの正方形を書き、所定温度の熱風乾燥機内に30分間入れ、押し出し方向、および押し出し方向と直角の方向の寸法変化率を次式により算出し、3つの試験片の平均値をそれぞれの方向の寸法変化率とした。なお、表中押し出し方向をMD方向、押し出し方向と直角の方向をTD方向と記載する。
寸法変化率(%)={(La−Lb)/La}×100
La:熱風乾燥機に入れる前の線の間隔(100mm)
Lb:熱風乾燥機に入れた後の線の間隔
<透明導電膜の評価方法>
(10)膜厚
日本分光(株)製 分光エリプソメーター、商品名:M−220の膜厚測定プログラムを用いてポリエステルフィルムの片面に成膜した透明導電膜の膜厚を測定した。
(11)比抵抗値
三菱化学(株)製 表面抵抗計LORESTA(MCP−T600)を用いて四端子四探針法によって測定した。
(12)透過率
コヒレント社製グリーンレーザCompass115M-5を用いて波長532nmのレーザービームを透明導電性フィルムに垂直で入射させ、その透過光の強度を測定し、入射強度との比をとり、波長532nmでの透過率とした。
<低反射タッチパネルの評価方法>
(12)反射率(波長532nm)
コヒレント社製グリーンレーザCompass115M-5を用いて波長532nmのレーザービームを低反射タッチパネルに垂直で入射させ、その反射光の強度を測定し、入射強度との比をとり、波長532nmでの反射率とした。
(13)反射率(波長488nm)
コヒレント社製ブルーレーザSapphire 488-10を用いて波長488nmのレーザービームを低反射タッチパネルに垂直で入射させ、その反射光の強度を測定し、入射強度との比をとり、波長488nmでの反射率とした。
製造例1〜8
〔ポリエステル樹脂の製造〕
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた0.15立方メートルのポリエステル製造装置に表1、2に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対し酢酸マンガン四水和物0.03モル%の存在下、窒素雰囲気下で215℃迄昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.02モル%とリン酸トリメチル0.06モル%を加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を製造した。評価結果を表1、2に示す。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
DMT:ジメチルテレフタレート
NDCM:2,6−ジメチルナフタレート
DMI:ジメチルイソフタレート
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
〔ポリエステル原反フィルムの製造〕
製造例1〜8のポリエステル樹脂を真空ベントと幅550mmコートハンガーダイの付いたスクリュー径50mmφの単軸押出機を用い、シリンダー温度を220〜240℃、ダイ温度240℃、吐出速度30kg/hで溶融押出を行った。押出した溶融樹脂はTg−10℃に設定した1本目と60℃に設定した2本目のロールで冷却し、12m/分で引き取り、厚み100μm、幅長さ480mmの透明基材を製造した。評価結果を表1、2および図4に示す。図4は製造例1の原反フィルムの結果であるが、他の製造例2〜8についても略同様であった。以下、代表として、製造例1の樹脂フィルムを用いたタッチパネルの実施例について述べる。
製造例9
〔1/4波長板(延伸フィルム)の製造〕
製造例1で製造したポリエステル原反フィルムを、延伸機にて一軸延伸した。延伸倍率を1.5倍に、延伸速度を30mm/分とそれぞれ固定にし、延伸温度は、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より高い温度で、その増加分を+28.0℃とし、1/4波長板を製造した。それぞれの延伸条件、延伸フィルムの厚さd、Nz係数、垂直入射レターデーションReを表3に示す。Nz係数、垂直入射レターデーションReについては、ポリエステル原反フィルムと同様に算出した。
製造例10
〔1/2波長板(延伸フィルム)の製造〕
延伸温度を、製造例1のポリエステル樹脂のガラス転移温度より+22.5℃高い温度にした以外は実施例1と同様にして1/2波長板を製造した。評価結果を表3に示す。
製造例11
〔積層フィルムの製造〕
製造例9で製造した1/4波長板と製造例10で製造した1/2波長板を積層するために、アクリル系接着剤[住友スリーエム(株)、DP−8005クリア]を介して、それぞれの遅相軸を60°交差させ、ローラーを用いて積層した。
実施例1
〔透明導電膜の成膜1〕
スパッタリング装置にて、ターゲット材料としてIZOを用いて、製造例1で製造したポリエステル原反フィルムの片面に透明導電膜を成膜した。成膜した透明導電性フィルムの評価結果を表4に示す。
実施例2
〔透明導電膜の成膜2〕
スパッタリング装置にて、ターゲット材料としてIZOを用いて、製造例9で製造した1/4波長板の片面に透明導電膜を成膜した。成膜した透明導電性フィルムの評価結果を表5に示す。
実施例3
〔透明導電膜の成膜3〕
スパッタリング装置にて、ターゲット材料としてIZOを用いて、製造例11で製造した積層フィルムの1/4波長板側の面に透明導電膜を成膜した。成膜した透明導電性フィルムの評価結果を表6に示す。
以上、ターゲット材料としてIZOを用いたものを説明したが、これに限定されるものではなく、良く知られたITOを用いることも可能である。
実施例4
〔低反射タッチパネルの製造1〕
実施例1で得た透明導電性フィルムを、図1中の光学等方性フィルム9と第2の透明導電膜8の部分とし、図1に示した低反射タッチパネルを構成した。第1および第2の1/4波長板は、製造例9で製造した1/4波長板を使用した。偏光板の透過軸と各波長板の遅相軸の関係は図3(b)の通りにした。作製した低反射タッチパネルの波長532nmでの垂直入射時の反射率を測定したところ7.5%以下であり良好であった。
実施例5
〔低反射タッチパネルの製造2〕
実施例3で得た透明導電性フィルムを、図2中の第2の1/4波長板10と第2の透明導電膜8の部分とし、図2に示した低反射タッチパネルを構成した。第1の1/4波長板は、製造例11で製造した積層フィルムを使用した。偏光板の透過軸と各波長板の遅相軸の関係は図3(a)の通りにした。作製した低反射タッチパネルの波長532nmおよび波長488nmでの垂直入射時の反射率を測定したところ共に7.3%以下であり良好であった。
Figure 2007308675
Figure 2007308675
表3
製造例番号 製造例9 製造例10
原反フィルム 製造例1 製造例1
延伸フィルムの評価結果
延伸温度ΔT(℃)※ +28.0 +22.5
延伸倍率(倍) 1.5 1.5
延伸速度(mm/分) 30 30
厚さ(μm) 50 50
Nz係数 1.09 1.08
垂直入射レターデーションRe(nm) 137.0 276.6
※表中の延伸温度は樹脂ガラス転移温度を基準とした温度差
表4
実施例番号 実施例1
透明導電膜の評価結果
成膜温度(℃) 80
膜厚(Å) 1200
比抵抗値(Ω・cm) 3×10−4
透過率@λ532nm(%) 86
表5
実施例番号 実施例2
透明導電膜の評価結果
成膜温度(℃) 80
膜厚(Å) 1200
比抵抗値(Ω・cm) 3×10−4
透過率@λ532nm(%) 86
表6
実施例番号 実施例3
透明導電膜の評価結果
成膜温度(℃) 80
膜厚(Å) 1200
比抵抗値(Ω・cm) 3×10−4
透過率@λ532nm(%) 86
本発明の低反射タッチパネルの構成例 本発明の低反射タッチパネルの構成例 (a)本発明の低反射タッチパネルを構成する偏光板の透過軸および各波長板の遅相軸の配置関係 (b)本発明の低反射タッチパネルを構成する偏光板の透過軸および各波長板の遅相軸の配置関係 分光エリプソメーターの実測値(点線)と屈折率楕円体モデルによる理論カーブ(実線) 本発明に用いるポリエステルフィルムの一軸延伸によるレターデーション制御

Claims (10)

  1. ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムの、少なくとも一方の表面に透明導電膜が成膜された透明導電性フィルム。
  2. 該ポリエステルフィルムの波長550nmにおける面内レターデーションが20nm以下である請求項1記載の透明導電性フィルム。
  3. ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムを延伸することにより波長550nmにおける面内レターデーションを100〜175nmの範囲に制御したポリエステル延伸フィルムの少なくとも一方の表面に透明導電膜が成膜された透明導電性フィルム。
  4. ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、該ジオール単位の1〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂を溶融押出法によって製膜したポリエステルフィルムを延伸することにより波長550nmにおける面内レターデーションを100〜175nmの範囲に制御した第1のポリエステル延伸フィルムと200〜350nmの範囲に制御した第2のポリエステル延伸フィルムのそれぞれの遅相軸を交差させ積層した積層フィルムの少なくとも一方の表面に透明導電膜が成膜された透明導電性フィルム。
  5. 前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、一般式(1):
    Figure 2007308675

    (式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    または一般式(2):
    Figure 2007308675

    (式中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    で表されるジオールに由来することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  6. 前記環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンまたは5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来することを特徴とする請求項5記載の透明導電性フィルム。
  7. 前記環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1種以上のジオールに由来する請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  8. 前記ジカルボン酸単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来する請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  9. 少なくとも、第1の1/4波長板、第1の透明導電膜、第1の透明導電膜とスペーサーを介して対向する第2の透明導電膜が成膜された光学等方性フィルム、第2の1/4波長板および偏光板をこの順で積層した円偏光タイプの低反射タッチパネルであって、第2の透明導電膜が成膜された光学等方性フィルムが請求項2に記載の透明導電性フィルムからなる低反射タッチパネル。
  10. 少なくとも、第1の1/4波長板、第1の透明導電膜、第1の透明導電膜とスペーサーを介して対向する第2の透明導電膜が成膜された第2の1/4波長板および偏光板をこの順で積層した円偏光タイプの低反射タッチパネルであって、第2の透明導電膜が成膜された第2の1/4波長板が請求項3または4に記載の透明導電性フィルムからなる低反射タッチパネル。
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