JP7142544B2 - 表面保護フィルム用基材、該基材の製造方法、該基材を用いた表面保護フィルム、および表面保護フィルム付光学フィルム - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記表面保護フィルム用基材は、全光線透過率が80%以上であり、ヘイズが1.0%以下である。
1つの実施形態においては、上記ポリエステル系樹脂は、(A)酸成分と(B)アルコール成分との重合体を含み;該(A)成分は、(A1)単環式芳香族ポリカルボン酸成分と、(A2)多環式芳香族ポリカルボン酸成分と、(A3)フルオレン系ポリカルボン酸成分と、を含み;該(B)成分は、(B1)脂肪族ポリオール成分と、(B2)フルオレン系ポリオール成分と、を含み;該(A)成分の総量に対して、該(A1)成分の含有率は5mol%以上30mol%未満であり、該(A3)成分の含有率は5mol%以上50mol%以下であり;該(B2)成分は9,9-ビス(アリール-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン成分を実質量含まない。
1つの実施形態においては、上記(B2)成分は、水酸基を有する置換基が9位に2つ導入された第1のフルオレン成分を含む。
1つの実施形態においては、上記(B1)成分は1,2-プロパンジオール成分を含み、上記(B2)成分は9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン成分を含む。
1つの実施形態においては、上記(A3)成分は、カルボキシ基および/またはエステル基を有する置換基が9位に2つ導入された第2のフルオレン成分を含む。
1つの実施形態においては、上記(A1)成分はテレフタル酸成分を含み、上記(A2)成分は2,6-ナフタレンジカルボン酸成分を含み、上記(A3)成分は9,9-ビス(カルボキシエチル)フルオレン成分を含む。
1つの実施形態においては、上記表面保護フィルム用基材は、ガラス転移温度が145℃以上である。
本発明の別の局面によれば、上記表面保護フィルム用基材の製造方法が提供される。この製造方法は、主鎖に多環式芳香族環を有するポリエステル系樹脂を含むフィルム形成材料をフィルム状に成形すること、および、該成形されたフィルムを逐次二軸延伸または同時二軸延伸することを含む。
1つの実施形態においては、上記製造方法においては、上記逐次二軸延伸または同時二軸延伸における延伸速度は10%/秒以下である。
本発明のさらに別の局面によれば、表面保護フィルムが提供される。この表面保護フィルムは、上記表面保護フィルム用基材と粘着剤層とを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、表面保護フィルム付光学フィルムが提供される。この表面保護フィルム付光学フィルムは、光学フィルムと、該光学フィルムに剥離可能に貼り合わせられた上記表面保護フィルムと、を含む。
本発明の実施形態による表面保護フィルム用基材は、主鎖に多環式芳香族環を有するポリエステル系樹脂を含むフィルムで構成される。ポリエステル系樹脂は、代表的には(A)酸成分と(B)アルコール成分との重合体を含む。(A)成分は、(A1)単環式芳香族ポリカルボン酸成分と、(A2)多環式芳香族ポリカルボン酸成分と、(A3)フルオレン系ポリカルボン酸成分と、を含む。(B)成分は、(B1)脂肪族ポリオール成分と、(B2)フルオレン系ポリオール成分と、を含む。代表的には、(A)成分の総量に対して、(A1)成分の含有率は5mol%以上30mol%未満であり、(A3)成分の含有率は5mol%以上50mol%以下である。(B2)成分は、代表的には、9,9-ビス(アリール-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン成分を実質量含まない。
本発明の実施形態による表面保護フィルム用基材の製造方法は、上記A項に記載のポリエステル系樹脂を含むフィルム形成材料(樹脂組成物)をフィルム状に成形すること、および、該成形されたフィルムを延伸することを含む。
上記A項およびB項に記載の表面保護フィルム用基材は、表面保護フィルムに好適に用いられ得る。したがって、本発明の実施形態は、表面保護フィルムも包含する。本発明の実施形態による表面保護フィルムは、上記A項およびB項に記載の表面保護フィルム用基材と粘着剤層とを含む。
上記C項に記載の表面保護フィルムは、光学フィルム(最終的には、画像表示装置)が実際に使用されるまでの間、当該光学フィルムを保護するために用いられる。したがって、本発明の実施形態は、表面保護フィルム付光学フィルムも包含する。本発明の実施形態による表面保護フィルム付光学フィルムは、光学フィルムと、当該光学フィルムに剥離可能に貼り合わせられた上記C項に記載の表面保護フィルムとを含む。
実施例および比較例で得られた表面保護フィルム用基材(二軸延伸フィルム)を長さ4cmおよび幅4cmに切り出し、測定試料とした。当該測定試料について、Axometrics社製、製品名「Axoscan」を用いて面内位相差および厚み方向位相差を測定した。測定波長は550nm、測定温度は23℃であった。
(2)ヘイズ
上記(1)と同様の測定試料について、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM-150型)を用いてヘイズを測定した。測定温度は23℃であった。
(3)MIT試験
MIT試験は、JIS P 8115に準拠して行った。具体的には、実施例および比較例で得られた表面保護フィルム用基材(二軸延伸フィルム)を長さ15cmおよび幅1.5cmに切り出し、測定試料とした。測定試料をMIT耐折疲労試験機BE-202型(テスター産業(株)製)に取り付け(荷重1.0kgf、クランプのR:0.38mm)、試験速度90cpmおよび折り曲げ角度90°で2000回を上限として繰り返し折り曲げを行い、測定試料が破断した時の折り曲げ回数を試験値とした。
(4)虹ムラ
実施例および比較例で得られた表面保護フィルム用基材(二軸延伸フィルム)を、クロスニコル状態の2枚の偏光板の間に配置した。その際、表面保護フィルム用基材の長さ方向と一方の偏光板の透過軸方向とが平行となるように表面保護フィルム用基材を配置した。その状態で下側偏光板の下側から蛍光灯の光を照射し、虹ムラの有無を目視により観察した。以下の基準で評価した。
○:虹ムラは認められなかった
△:虹ムラがわずかに認められた
×:虹ムラが顕著に認められた
(5)可撓性または耐折り曲げ性
表面保護フィルム用基材(二軸延伸フィルム)について180°折り曲げ試験を100回繰り返し、破断の有無を確認した。以下の基準で評価した。
○:破断は認められなかった
×:破断が認められた
1-1.ポリエステル系樹脂の重合
単環式芳香族ポリカルボン酸成分(A1)の原料としてテレフタル酸ジメチルを用い;多環式芳香族ポリカルボン酸成分(A2)の原料として、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルを用い;フルオレン系ポリカルボン酸成分(A3)の原料として、9,9-ジ(メトキシカルボニルエチル)フルオレンを用い;脂肪族ポリオール成分(B1)の原料として、1,2-プロパンジオールを用い;フルオレン系ポリオール成分(B2)の原料として、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを用いた。容量30リットルのステンレス製反応容器に、(A1)原料を15mol%、(A2)原料を50mol%、(A3)原料を55mol%、(B1)原料を10mol%、および(B2)原料を90mol%の割合で投入し、反応容器内を窒素置換した後150℃で原料を溶解させた。次に、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物および酢酸カルシウム・1水和物を投入し、240℃まで4時間かけて徐々に昇温し、さらに240℃に保持したまま1時間反応を継続した。副生物の留出が無くなり、かつ所定の副生物が留出したことを確認した。次に、トリメチルホスフェートおよび二酸化ゲルマニウムの水溶液として添加した。そして、徐々に昇温と減圧を開始し、90分後には270℃かつ0.13kPaとし、この状態で重縮合反応を行い、所定のトルクに到達するまで反応を継続した。所定のトルクに到達したら、窒素で反応容器内を加圧にし、樹脂を冷却水中にストランド状に押し出し、カッティングしてポリエステル系樹脂のペレットを得た。得られたポリエステル系樹脂のガラス転移温度は155℃であった。
得られたポリエステル系樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:270℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:270℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み120μmのポリエステル系樹脂フィルムを作製した。
上記で得られたポリエステル系樹脂フィルムを、長さ方向および幅方向にそれぞれ2倍に同時二軸延伸した。延伸温度は[Tg+20℃](すなわち、175℃)、延伸速度は長さ方向および幅方向ともに1.4%/秒であった。このようにして、表面保護フィルム用基材(厚み30μm)を得た。得られた表面保護フィルム用基材のRe(550)は2.5nmであり、Rth(550)は7.6nmであり、ヘイズは0.1%であり、MIT試験値は1155回であった。得られた表面保護フィルム用基材を上記(4)および(5)の評価に供した。結果を表1に示す。
延伸速度を長さ方向および幅方向ともに3.1%/秒としたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルム用基材を得た。得られた表面保護フィルム用基材のRe(550)は6nmであり、Rth(550)は15nmであり、ヘイズは0.2%であり、MIT試験値は1155回であった。得られた表面保護フィルム用基材を上記(4)および(5)の評価に供した。結果を表1に示す。
延伸速度を長さ方向および幅方向ともに6.5%/秒としたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルム用基材を得た。得られた表面保護フィルム用基材のRe(550)は13nmであり、Rth(550)は27nmであり、ヘイズは0.3%であり、MIT試験値は1155回であった。得られた表面保護フィルム用基材を上記(4)および(5)の評価に供した。結果を表1に示す。
延伸速度を長さ方向および幅方向ともに10%/秒としたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルム用基材を得た。得られた表面保護フィルム用基材のRe(550)は26nmであり、Rth(550)は31nmであり、ヘイズは0.2%であり、MIT試験値は925回であった。得られた表面保護フィルム用基材を上記(4)および(5)の評価に供した。結果を表1に示す。
ポリエステル系樹脂フィルムの代わりに市販のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア」、Tg:150℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルム用基材を得た。得られた表面保護フィルム用基材のRe(550)は2nmであり、Rth(550)は8nmであり、ヘイズは0.1%であり、MIT試験値は150回であった。得られた表面保護フィルム用基材を上記(4)および(5)の評価に供した。結果を表1に示す。
ポリエステル系樹脂フィルムの代わりに超高位相差ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、商品名「ダイアホイル」、Tg:81℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルム用基材を得た。得られた表面保護フィルム用基材のRe(550)は4500nmであり、Rth(550)は6000nmであり、ヘイズは1.3%であり、MIT試験値は上限の2000回を超えるものであった。得られた表面保護フィルム用基材を上記(4)および(5)の評価に供した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の実施例の表面保護フィルム用基材は、虹ムラが防止され、かつ、優れた耐折り曲げ性(または可撓性)を有することがわかる。これは、特定のポリエステル系樹脂を含むフィルムを所定値以下の延伸速度で延伸することにより実現され得ると推察される。さらに、実施例1~4を比較すると明らかなように、延伸速度を小さくするほど優れた特性(小さい面内位相差および優れたMIT試験値、特に小さい面内位相差)が得られることがわかる。なお、光漏れおよび着色についても虹ムラと同様の結果が得られることを確認した。
Claims (7)
- 主鎖に多環式芳香族環を有するポリエステル系樹脂を含むフィルムで構成され、面内位相差Re(550)が30nm以下であり、MIT試験における破断までの折り曲げ回数が500回以上である、表面保護フィルム用基材の製造方法であって、
主鎖に多環式芳香族環を有するポリエステル系樹脂を含むフィルム形成材料をフィルム状に成形すること、および、該成形されたフィルムを逐次二軸延伸または同時二軸延伸することを含み、
該逐次二軸延伸または同時二軸延伸における延伸速度が2.5%/秒以下であり、延伸温度がフィルムのガラス転移温度(Tg)に対しTg+5℃~Tg+20℃である、
製造方法。 - 前記フィルムのガラス転移温度が145℃以上である、請求項1に記載の表面保護フィルム用基材の製造方法。
- 前記ポリエステル系樹脂が、(A)酸成分と(B)アルコール成分との重合体を含み、
該(A)成分が、(A1)単環式芳香族ポリカルボン酸成分と、(A2)多環式芳香族ポリカルボン酸成分と、(A3)フルオレン系ポリカルボン酸成分と、を含み、
該(B)成分が、(B1)脂肪族ポリオール成分と、(B2)フルオレン系ポリオール成分と、を含み、
該(A)成分の総量に対して、該(A1)成分の含有率が5mol%以上30mol%未満であり、該(A3)成分の含有率が5mol%以上50mol%以下であり、
該(B2)成分が9,9-ビス(アリール-ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン成分を実質量含まない、
請求項1または2に記載の表面保護フィルム用基材の製造方法。 - 前記(B2)成分が、水酸基を有する置換基が9位に2つ導入された第1のフルオレン成分を含む、請求項3に記載の表面保護フィルム用基材の製造方法。
- 前記(B1)成分が1,2-プロパンジオール成分を含み、前記(B2)成分が9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン成分を含む、請求項3または4に記載の表面保護フィルム用基材の製造方法。
- 前記(A3)成分が、カルボキシ基および/またはエステル基を有する置換基が9位に2つ導入された第2のフルオレン成分を含む、請求項3から5のいずれかに記載の表面保護フィルム用基材の製造方法。
- 前記(A1)成分がテレフタル酸成分を含み、前記(A2)成分が2,6-ナフタレンジカルボン酸成分を含み、前記(A3)成分が9,9-ビス(カルボキシエチル)フルオレン成分を含む、請求項3から6のいずれかに記載の表面保護フィルム用基材の製造方法。
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