本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る丁合装置10の構成を模式的に示す図である。
丁合装置1は縦方向に複数の給紙部2が並設されている。本実施形態では上方から下方に向かって10個の給紙部2A〜2Jが設けられている。給紙部2は、用紙束を積載する棚3と、棚3に積載された用紙束の最上位の用紙を1枚分離して送り出す給紙機構4を有する。棚3は、略水平の状態で鉛直方向に並設される。なお、棚は傾斜していてもよく、また棚の並設方向は鉛直方向に限られない。給紙機構4は、対応する棚から1枚ずつ用紙を送り出す給紙を実行する。本実施形態では、給紙機構4として、エアの吸引力を利用して最上位の用紙をそれより下位の用紙から分離して送り出す、いわゆるサクション式給紙機構が採用されている。このようなサクション式給紙機構は公知であるため説明を省略する。なお、給紙機構4はサクション式のものに限られず、例えば分離パッドや分離ローラなどを用いて最上位の用紙をそれより下位の用紙から分離して送り出す、いわゆるフリクション式の給紙機構が採用されてもよい。給紙機構4によって送り出された用紙は、垂直搬送機構5によって鉛直下方に搬送されながら重ね合わされる。
丁合装置1は、スタッカ6を有する。スタッカ6は、垂直搬送機構5の最下位よりも下方の図示左側に設けられる。スタッカ6には、丁合装置1の垂直搬送機構5から送られてくる用紙が送り込まれる。スタッカ6は、送り込まれた用紙を積載するための用紙受け板7と、その用紙受け板7を上下動させるように駆動する上下動機構8を備える。スタッカ6は、用紙受け板7を上昇させた状態で搬送されてくる用紙を用紙受け板7の上面に載置し、用紙を載置するごとに用紙受け板7を用紙の厚み分下降させる。こうしてスタッカ6は、用紙受け板7に順次用紙を積載していく。
丁合装置1の各給紙部2には、用紙が重なったまま送り出される重送、送り出されるべき用紙が送り出されない空送り、あるいは用紙詰まり等の給紙エラーを検出するためのエラーセンサ9が設けられている。エラーセンサ9は、給紙部2で送り出される用紙の搬送路を挟んで上下に設けられた発光素子と受光素子で構成され、受光素子が受光する光の量を計測して、その間の用紙の存否及び、存在している用紙が1枚であるのか、2枚以上重なっているのかを検知する。給紙部2が用紙の送り出し動作を行ってから所定時間が経過してもエラーセンサ9まで用紙が到来しない場合は空送りと判断する。エラーセンサ9に用紙が到来して所定時間が経過しても用紙が存在したままであった場合、用紙詰まりと判断する。エラーセンサ9を用紙が通過中の光量が所定の閾値よりも低い場合は重送と判断する。
また、各棚3に積載されている用紙の有無を検出するための用紙有無センサ10が設けられている。用紙有無センサ10は反射型センサ等で構成され、棚3の上に用紙が積載されているか否かを判断する。さらに、垂直搬送機構5には、適宜の箇所に搬送ジャムを検出するための搬送エラーセンサ11が設けられている。
図示していないが、丁合装置1の適宜の位置に操作パネル12が設けられている。操作パネル12は液晶タッチパネルで構成され、ユーザの操作入力を受付け、入力された内容を制御部100へ送る入力装置12a、制御部100から送られた丁合装置1に係る各種情報を表示する表示装置12bを含む。入力装置12aは、ユーザが情報を入力するためのキーボードやマウスを含む。
図2は、丁合装置1の制御部を中心とする電気的構成を示す概略図である。図2に示すように、丁合装置1は、内部の機構を制御するための制御部100を備える。
制御部は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、丁合装置1の内部に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。制御部100は、ユーザによって操作パネル12から入力された情報を取得し、取得した情報に応じて丁合装置1の作動を制御する。
図2に示すように、制御部100には、操作パネル12に設けられた入力装置12aの各種スイッチを介した操作入力、エラーセンサ9,用紙有無センサ10,搬送エラーセンサ11を含む各検出センサからの検出信号が入力される。エラーセンサ9としては、各給紙部2A〜2Jに対応して設けられたエラーセンサ9A〜9Jが含まれる。用紙有無センサ10としては、各給紙部2A〜2Jに対応して設けられた用紙有無センサ10A〜10Jが含まれる。
制御部100は、それらのスイッチ・センサ入力に基づいて給紙制御、搬送制御等のための所定の演算処理を実行し、各給紙部2A〜2Jの給紙機構4を駆動する給紙駆動アクチュエータ40A〜40J、各搬送機構を駆動する搬送駆動アクチュエータ50、スタッカ駆動装置8を駆動するスタッカ駆動アクチュエータ60等に制御指令信号を出力する。制御部100は、丁合処理の設定画面、丁合状況、給紙状況、エラー報知等を表示装置12aに表示させる。給紙駆動アクチュエータ40が各給紙部2の給紙機構4を駆動することにより、その給紙部2から用紙が1枚分離して送り出される。
次に、本実施形態において実行される処理の流れについて説明する。
本実施形態において作成される1冊分の丁合束Bは、ページごとに異なる部分と、メモ用紙のように同じ印刷内容のページが連続する部分を有する。ここでは、上から1,2,3ページ目は互いに異なる印刷内容であり、4,5,6,7,8ページ目は同一の罫線だけが印刷されたメモ用紙部分、9ページ目に印刷された裏表紙、という丁合束Bを作成する例を説明する。
図3は本実施形態における丁合作業を行う前の用紙束Pbを示す図である。図3に示すように、作業を行う前の束は、3ページ目に使用される用紙P3,2ページ目に使用される用紙P2、1ページ目に使用される用紙P1が上から順に繰り返し積載された用紙束Pb1と,4,5,6,7,8ページ目に使用する同一の用紙P4が積載された用紙束Pb2、9ページ目の裏表紙に使用する用紙P5が多数積載された用紙束Pb3である。この用紙束Pb1,Pb2,Pb3は、例えば各々別々の印刷機で印刷され、該印刷機で印刷済み用紙の束として形成されたものである。本実施形態では、この用紙束Pb1,Pb2,Pb3から、1冊分の丁合束Bを作成する。図4は丁合束Bを模式的に示す図である。丁合束Bは、上方から用紙P1,P2,P3,P4,P4,P4,P4,P4,P5の順に重ねられた計9枚の用紙で構成される。必要に応じ、この丁合束Bを綴じて冊子とする等の後処理を行う。
図5は本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。まず丁合前の用紙束Pbの状態を設定する用紙束設定を行う(S01)。この用紙束設定は、丁合前の用紙束Pbを、各々の束の内容ごとに名称を付与して設定するものである。制御部100は付与された名称で、各々の束を区別することになる。
図6はこの用紙束設定画面20の一例を示す図である。用紙束設定画面20には、用紙束表示部21(21a〜21c)、変更ボタン22(22a〜22c)、名称入力部23、新規追加ボタン24、決定ボタン25で構成される。この用紙束設定画面20はユーザの所定の操作により操作パネル12に表示される。
ユーザが名称入力部23の枠部分をマウスでクリックすると、名称入力が可能となる。ユーザがキーボードで名称を入力し、新規追加ボタン24をクリックすると、用紙束表示部21に入力した名称の束が表示される。ここでは図3に示した用紙束Pb1,Pb2,Pb3を使用するものとして、各々「Pb1」「Pb2」「Pb3」という名称を設定した例を示す。図6では既に、この3種類の名称が入力された状態を示している。名称入力部23に入力されるたびに、上方から行が追加される。名称を変更したい場合は、各行の変更ボタン22をクリックすると、各々の名称を直接キーボード入力で変更することができる。決定ボタン25をクリックすると、次の丁合束設定画面30(後述)に移る。
図5に戻る。次に丁合作業で作成する丁合束Bを設定する丁合束設定を行う(S03)。丁合束設定は、丁合束Bを構成するそれぞれの用紙が、用紙束Pb1,Pb2,Pb3のうち、どの用紙束に含まれる用紙であるのか、を設定するものである。
図7はこの丁合束設定画面30の一例を示す図である。丁合束設定画面30には、枚数入力部31、丁合束表示部32、決定ボタン33、34を有する。
丁合束設定画面30はまず図7(a)に示す枚数入力部31が表示される。ユーザはキーボードで作成したい丁合束Bを構成する用紙の枚数を入力する。入力後、決定ボタン33をクリックすると、図7(b)に示す画面が表示される。丁合束表示部32には、枚数入力部31で入力された枚数分の行が表示される。各行をクリックするとプルダウンメニューにより、既に用紙束設定画面20で設定した用紙束から、各々の用紙がどの用紙束Pbに含まれる用紙で構成されるのかを、選択できるようになっている。ユーザは表示されたすべての用紙について、用紙束Pbを選択設定した後、決定ボタン34をクリックすることにより、次の給紙部設定画面70(後述)に移る。ここでは図4に示した丁合束Bを作成するものとして、各々の用紙を選択した例を示す。
図5に戻る。次に、どの用紙束Pbをどの給紙部2に積載するのかを入力する給紙部設定を行うとともに、設定どおりに用紙束Pbを実際に各給紙部2に積載する(S05)。
図8はこの給紙部設定画面70の一例を示す図である。給紙部設定画面70は、給紙部表示部71、頁順用紙束リンク設定部72、同一用紙束リンク設定部73、決定ボタン74を有する。
給紙部表示部71には、丁合装置1が有する給紙部2の数と同数分の行が表示される。本実施形態の丁合装置1は給紙部2a〜2jの10個の給紙部2を有するので、10行分表示される。各行をクリックするとプルダウンメニューにより、既に用紙束設定画面20で設定した用紙束Pbから、各々の給紙部2にどの用紙束Pbの用紙を積載するのかを、選択できるようになっている。ユーザは表示されたすべての給紙部について、用紙束Pbを選択設定する。
頁順用紙束リンク設定部72、同一用紙束リンク設定部73には各々、最上位の給紙部2aを除く各給紙部に対応してチェックボックスが表示され、各々チェックを入れることが可能になっている。頁順用紙束リンク設定部72のチェックボックスにチェックを入れると、チェックを入れた給紙部2と、その1段上の給紙部2とが、1つの頁順用紙束グループに設定される。同一用紙束リンク設定部73のチェックボックスにチェックを入れると、チェックを入れた給紙部2と、その1段上の給紙部2とが、1つの同一用紙束グループに設定される。チェックを連続して入れると、連続範囲とその1段上の給紙部2とが、1つのグループとなる。
給紙部設定において、隣り合う複数の給紙部に同じ名称の用紙束Pbを設定(積載)し、かつ、その名称の用紙束Pbが、丁合束設定において隣り合う複数枚の用紙に設定されていた場合、その用紙束Pbが予めページ順に並んでいる束(以下、頁順用紙束という)なのか、同一の用紙が積み重なっている束(以下同一用紙束という)なのかにより、給紙部2の駆動制御が異なることになる(詳しくは後述)。したがって、丁合束Bの隣り合う複数枚にわたって設定された頁順用紙束が、隣り合う複数の給紙部2に設定されている場合は、その複数の給紙部2をまとめて1つの頁順用紙束グループに設定する。同様に、丁合束Bの隣り合う複数枚にわたって設定された同一用紙束が、隣り合う複数の給紙部2に設定されている場合は、その複数の給紙部2をまとめて1つの同一用紙束グループに設定する。本実施形態では、用紙束Pb1が頁順用紙束であり、用紙束Pb2が同一用紙束であるから、図8のように用紙束Pb1が設定されている上方から3段の給紙部(2a、2b、2c)を1つの頁順用紙束グループに、用紙束Pb2が設定されている5段の給紙部(2d、2e、2f、2g、2h)を1つの同一用紙束グループに設定するように、頁順用紙束リンク設定部72と同一用紙束リンク設定部73のチェックボックスにチェックが入れられている。なお用紙束Pb3も同一用紙束であるが、丁合束Bには1枚しか含まれていないので、チェックは不要となる。
設定後、決定ボタン74をクリックすると給紙部設定を終了する。決定ボタン74をクリックしたときに、頁順用紙束グループあるいは同一用紙束グループのいずれかに設定が必要な給紙部(丁合束設定において隣り合う複数枚の用紙に設定された同じ名称の用紙束Pbが、隣り合う複数の給紙部に設定されていた場合、その給紙部)について設定が行われていない場合、終了せず警告を表示してもよい。また、頁順用紙束グループあるいは同一用紙束グループのいずれかに設定が必要な給紙部のみ、チェックボックスを表示するようにしてもよい。
なおこれらの画面は操作パネル12に表示されると記載したが、装置本体とは別体で設けられたディスプレイ等であってもよい。また制御部100の一部または全部を汎用PCで構成し、そのPCのキーボード、ディスプレイ、マウスを使用してもよい。また、マウスでのクリックに代えて、タッチパネルをタッチしても良く、そのタッチパネルにキーボードを表示してタッチすることにより、用紙束の名称入力等を行っても良い。
図5に戻る。給紙部設定(S05)が完了すると、給紙制御設定(S06)が行われる。給紙制御設定は、S03で設定された丁合束設定の内容と、S05で設定された給紙部設定の内容とを参照し、丁合束Bを作成するために行われる各給紙部2の駆動順序を制御部100が自動的に設定するものである。この給紙制御設定の内容を以下具体的に説明する。
丁合束Bは、駆動した給紙部2から送り出された用紙を蓄積部で重ねることにより形成される。このとき、丁合束Bを構成する用紙の蓄積部での積載順序と、給紙部2への載置順序とを照合して、丁合束Bの一部または全部が垂直搬送部5で搬送しながら重ねて形成可能である場合は、その分は垂直搬送部5で重ねる。給紙部2から送り出され、必要に応じて垂直搬送部5で重ねられた用紙は、スタッカ6の用紙受け板7上に排出される。この用紙受け板7が蓄積部として機能する。用紙受け板7は水平かつ用紙排出方向に対して直交する横方向に往復移動可能になっている。用紙受け板7上で丁合束Bが1冊分形成されるたびに、用紙受け板7は横へ一方向への移動と、他方向への移動を繰り返す。この動作によって、丁合束Bが1冊分毎に横方向に交互にずれて積載される。
本実施形態では、第1回目の給紙で給紙部2a、2d、2e、2f、2g、2h、2iの7段から用紙が送り出され、これが垂直搬送部5で重ねられて蓄積部へ送られる。第2回目の給紙で給紙部2aのみが駆動され、さらに第3回目の給紙で給紙部2aのみが駆動される。この計3回の給紙動作により、蓄積部に丁合束Bが形成される。制御部100は、必要最小限の回数の給紙動作で丁合束Bの形成が行われるように、各給紙部2の駆動順序を決定する。
Pb1は頁順用紙束であるので、Pb1が積載されている給紙部2a、2b、2cのうちの1つである給紙部2aのみから用紙が送られる。用紙束Pb1は上方から用紙P3,P2,P1の順の重なりを繰り返しているから、最初の給紙では用紙P3が送り出される。ここで給紙部2a、2b、2cから送り出しを行うと、用紙P3が3枚重なることになり、丁合束Bの構成とは異なることになる。したがって頁順用紙束グループに設定されている場合は、そのうちの1つの給紙部2から送り出すように制御される。
一方でPb2は用紙P4のみで構成された同一用紙束であるから、この用紙束Pb2が積載されている給紙部2d、2e、2f、2g、2hから送り出して、用紙P4が5枚重なった束を作る。同一用紙束グループに設定されている場合は、丁合束Bに含まれる枚数と同一用紙束グループの給紙部の数とが一致あるいは後者の方が大であれば、丁合束Bに含まれる枚数と同数の給紙部Bが駆動され、垂直搬送部5で重ねられて蓄積部へ送られる。丁合束Bに含まれる枚数が同一用紙束グループの給紙部の数よりも大きい場合は、蓄積部への送り出しを複数回行う。その場合も、可能な限り垂直搬送部5で重ねておき、送り出し回数を最小とするように制御される。
用紙束Pb3は用紙P5のみで構成されており、丁合束Bには1枚しか含まれないので、Pb3が積載されている給紙部2h、2iのうちの一つの給紙部2hのみから1枚送り出される。
上記した用紙束Pb1からの用紙P3の送り出しと、用紙束Pb2からの5枚の用紙P4の送り出しと、用紙束Pb3から用紙P5の送り出しは、その範囲においては丁合束Bの中での用紙の順序と、その用紙が送り出される給紙部2の配置順序とが一致しているため、互いに垂直搬送部5で重なるように送り出すことができる。従って、1回目の給紙動作でこれら合計7個の給紙部2から送り出し、上から用紙P3,P4,P4,P4,P4,P4,P5の順に計7枚積み重ねた束を蓄積部へ排出するようにする。
その後、給紙部2aから用紙P2を蓄積部へ送り出し、さらに給紙部2aから用紙P3を蓄積部へ送り出す。すると、既に蓄積した上記7枚の用紙の上に用紙P2と用紙P1が重ねられ、丁合束Bが完成する。このように、頁順用紙束グループに設定されている給紙部2は、そのうちの1つの給紙部2を、丁合束Bに含まれる枚数分だけ、繰り返し駆動して送り出すようにする。
上記の動作をまとめると、以下のようになる。
第1回目:給紙部2a(P3)、2d、2e、2f、2g、2h、2iから送り出し
第2回目:給紙部2a(P2)から送り出し
第3回目:給紙部2a(P1)から送り出し
以上のような順序で各給紙部2の給紙機構4が駆動されるように、給紙制御設定がなされる。この給紙制御を以下、給紙制御FC1という。
ユーザが操作パネル12においてスタート操作を行うと(S07)、給紙動作が行われる(S09)。給紙動作は給紙制御FC1に従った順序で各給紙部2が駆動されて行われる。給紙が進行して残りの用紙が無くなった給紙部2があれば、その給紙部2の用紙有無センサ10で棚3の上の用紙が無くなった「用紙無し」が検知される(S13のY)。用紙無しが検知されず(S13のY)、用紙無し復帰操作(後述)もなければ(S14のN)、S09に戻って給紙動作を繰り返し、そのたびに丁合束Bが作成され、順次用紙受け板7の上に蓄積される。丁合束Bが完成するたびに、用紙受け板7は横方向に動いて、丁合束Bごとに交互にずらして積載される。
「用紙無し」が検知された場合は(S13のY)、制御部100は、検知された給紙部2が同一用紙束グループであるか否か判断する(S15)。同一用紙束であれば(S15のY)、用紙無しとなった給紙部2が所属する同一用紙束グループ内に、用紙が積載されている給紙部2が他に存在するか否かを判断する(S17)。用紙が存在するか否かは用紙有無センサ10からの信号で判断する。用紙が積載されている給紙部2が他に存在しなければ(S17のN)、装置は停止し(S31)、用紙無しとなった給紙部2に用紙を積載して(S32)から、スタート操作(S09)により動作が再開する。
用紙が積載されている給紙部2が他に存在すれば(S17のY)、「用紙無し」となった給紙部2を停止させ、作成中の丁合束Bの作成完了までに用紙無しが発生した給紙部2からの送り出しが再度必要か否かを判断する(S18)。必要であれば、同一グループ内の別の給紙部にその送り出しを代行させ(S18−1)る。その後「用紙無し」となった給紙部2を除いて給紙制御が再設定され(S19)、S09に戻って給紙動作が継続する。
本実施形態の具体例で説明する。給紙制御FC1に従って丁合が進行中に、第1回目の給紙動作で給紙部2fに積載されていた用紙がなくなった場合、給紙部2fの用紙有無センサ10fがこれを検知して制御部100へ送る。給紙部2fは同一用紙束グループに所属しているので(S15のY)、S17に進み、同じ同一用紙束グループ内に給紙部2f以外に用紙が積載されている給紙部が有るか否か判断する。給紙部2d、2e、2g、2hに用紙が残っていれば「あり」と判断され(S17のY)、S18に進む。作成中の丁合束Bの作成完了までにさらに、第2回目、第3回目の給紙動作が必要であるが、いずれも給紙部2fからの送り出しは必要ないため、S18の「代行」は必要とせず(S18のN)、S19に進み、給紙部2fを除いて再度給紙制御設定が行われる(S19)。用紙無し後は用紙束Pb2が積載されている給紙部は給紙部2d、2e、2g、2hの4個となる。制御部100はこれに応じ、給紙制御の内容を以下のように変更する。
第1回目:給紙部2d、2e、2g、2h、2iから送り出し
第2回目:給紙部2a、2dから送り出し
第3回目:給紙部2aから送り出し
第4回目:給紙部2aから送り出し
この給紙制御を以下、給紙制御FC2という。
すなわち、給紙部2fが停止した分、給紙部2dから2回送り出されることになるので、用紙P4は5枚となり、丁合束Bを作成することができる。
その後、給紙制御FC1で送り出した用紙がスタッカ42に蓄積されて丁合束Bが形成され(S38)、S09に戻って次回の給紙動作が行われる。次回の給紙動作からは変更後の給紙制御FC2に従った順序で各給紙部2が駆動されるので、丁合束Bの作成が継続される。
一方でユーザは用紙無しとなった給紙部2fに用紙を積載し、所定の復帰操作を行うと(S14)、ユーザが積載した給紙部2fを含めて給紙制御設定が再度行われる結果、給紙制御FC1に戻り、以後は給紙制御FC1に従った順序で給紙部2が駆動される。このように、同一用紙束グループに含まれる給紙部2が用紙無しとなった場合には、給紙制御が自動的に変更設定され、用紙無しとなった給紙部2以外の給紙部を使用して丁合束Bの作成が継続され、その間に用紙無しとなった給紙部2にユーザが新たな用紙を積載すると、その給紙部2を含めた給紙制御とするように変更することができる。
S14における「所定の復帰操作」とは、例えばユーザがいったんストップ操作をして装置を停止させ、該当する給紙部2に対応したボタンにタッチするなどの操作を行った後再スタートすることにより行っても良いし、装置の停止後に再スタートするだけで自動的に給紙制御設定の再変更を行っても良い。また、装置を停止させることなく、給紙動作中に所定のボタン操作等を行うことによって、給紙制御設定を再変更させるようにしてもよい。
なお、上記給紙制御FC2に変更した後給紙部2fに用紙を積載せず丁合束Bの作成を継続し、給紙制御FC2の第1回目〜第4回目の送り出しのうち、第1回目の送り出しにおいて給紙部2dで用紙無しが発生した場合は、給紙部2dは同一用紙束グループに所属するため、S13のY→S15のY→S17に進み、給紙部2dと同一のグループに所属する給紙部2d以外の給紙部のうち、用紙が積載されている給紙部が存在するか否か判断する(S17)。給紙部2d以外に用紙が積載されている同一グループの給紙部は、給紙部2e、2g、2hである。従ってS17のY→S18と進み、作成中の丁合束Bの作成完了までに用紙無しが発生した給紙部2dからの送り出しが再度必要か否かを判断する(S18)。作成中の丁合束Bの作成完了までには、まだ第2〜第4回目の給紙動作が必要で、用紙無しが発生した給紙部2dからの送り出しがそのうち第2回目で必要である(S18のY)。従って第2回目の給紙部2dからの送り出しを、同一グループ内の別の用紙有りの給紙部、すなわち給紙部2e、2g、2hのうちの一つ(ここでは給紙部2e)で代行させる(S18−1)。すなわち作成中の用紙束Bに限り、給紙制御を以下のように変更する(給紙制御FC2a)。
第1回目:給紙部2d、2e、2g、2h、2iから送り出し(給紙部2dで用紙無し発生)
第2回目:給紙部2a、2eから送り出し(給紙部2dを2eで代行)
第3回目:給紙部2aから送り出し
第4回目:給紙部2aから送り出し
第1回目の送り出しで用紙無しが発生した給紙部については、第2回目以降の送り出しができなくなるので、他の給紙部は代わって送り出しを行うように制御するということである。以上の処理によって、丁合束Bの作成を停止させずに継続させることができる。
次にS19に進み、用紙無しとなった給紙部2dを除いて給紙制御の再設定を行う。それ以前に既に給紙部2fも用紙無しとなっているので、残りの給紙部2e、2g、2hから用紙P4を送り出すように給紙制御設定を行う。その結果、以下のようになる(給紙制御FC3)。
第1回目:給紙部2e、2g、2h、2iから送り出し
第2回目:給紙部2a、2e、2gから送り出し
第3回目:給紙部2aから送り出し
第4回目:給紙部2aから送り出し
その後、給紙制御FC2aで送り出した用紙がスタッカ42に蓄積されて丁合束Bが形成され(S38)、S09に戻って次回の給紙動作が行われる。次回の給紙動作からは変更後の給紙制御FC3に従った順序で各給紙部2が駆動されるので、丁合束Bの作成が継続される。この後給紙部2d、2fに用紙を積載し、復帰操作を行えば(S14)、給紙制御FC1に再設定されて処理が続けられる。
なお給紙制御FC2で処理が進行中、さらに給紙部2dにおいて用紙無しとなった際に、既に給紙部2fにユーザにより用紙が積載されていた場合には、S18−1において、第2回目の給紙部2dから送り出しを給紙部2fで代行させてもよい。さらにS19においては給紙部2fを含めて給紙制御を再設定してもよい。その結果、以下のようになる(給紙制御FC4)。
第1回目:給紙部2e、2f、2g、2h、2iから送り出し
第2回目:給紙部2a、2eから送り出し
第3回目:給紙部2aから送り出し
第4回目:給紙部2aから送り出し
S15において、用紙無しが検知された給紙部2が同一用紙束グループでは無かった場合は(S15のN)、頁順用紙束グループか否かを判断する(S20)。頁順用紙束であれば(S20のY)、用紙無しとなった給紙部2が所属する頁順用紙束グループの最下位の給紙部であるか否かを判断する(S21)。最下位でなければ(S21のN)、用紙無しとなった給紙部2の下位に隣接する給紙部2に用紙が積載されているか否か判断する(S22)。積載されていれば(S22のY)、その下位に隣接する給紙部2を、「移行先」として指定する(S23)。S21においてグループ内の最下位であれば(S21のY)、同一グループ内の最上位の給紙部に用紙が積載されているか否かを判断する(S24)、積載されていれば(S24のY)、グループ内の最上位の給紙部を「移行先」に指定する(S25)。S22またはS24でNの場合は、装置は停止し(S33)、用紙無しとなった給紙部2に用紙を積載して(S34)から、スタート操作(S09)により動作が再開する。
S23,S25の次はともS26に進み、作成中の丁合束Bの作成完了までに用紙無しが発生した給紙部2からの送り出しが再度必要か否かを判断する(S26)。必要であれば、S23またはS25で「移行先」に指定した給紙部にその送り出しを代行させ(S27)る。その後「用紙無し」となった給紙部2に代えて、「移行先」の給紙部から送り出すように給紙制御が再設定され(S28)、S09に戻って給紙動作が継続する。
本実施形態の具体例で説明する。給紙制御FC1に従って丁合が進行中に、第1回目の給紙動作で給紙部2aに積載されていた用紙がなくなった場合、給紙部2aの用紙有無センサ10aがこれを検知して制御部100へ送る。給紙部2aは頁順用紙束グループに所属しており(S15のN→S20のY)、その頁順用紙束グループの中での最下位の給紙部ではないので(S21のN)、S22に進む。下位に隣接する給紙部2bに用紙が積載されていれば(S22のY)、給紙部2bを「移行先」に指定する(S23)。
次にS26に進む。作成中の丁合束Bの作成完了までにさらに、第2回目、第3回目の給紙動作が必要で、用紙無しが発生した給紙部2aからの送り出しがその第2回目、第3回目で必要である(S26のY)。従って第2、第3回目の給紙部2aからの送り出しを、「移行先」の給紙部2bで代行させる(S27)。すなわち作成中の用紙束Bに限り、給紙制御を以下のように変更して(給紙制御FC1a)S28に進む。
第1回目:給紙部2a(P3)、2d、2e、2f、2g、2h、2i
第2回目:給紙部2b(P2)
第3回目:給紙部2b(P1)
第1回目の送り出しで用紙無しが発生した給紙部については、第2回目以降の送り出しができなくなるので、他の給紙部は代わって送り出しを行うように制御するということである。以上の処理によって、丁合束Bの作成を停止させずに継続させることができる。
なお給紙部2aの用紙無しが第3回目の送り出しで検出された場合は、その第3回目の送り出しで丁合束Bの作成は完了するので、その用紙束Bの作成完了までにさらに給紙部2aから用紙を送り出す必要はない(S26のN)ので、S27はスキップしてS28に進む。
S28では、用紙無しとなった給紙部2aに代えて、「移行先」である給紙部2bから送り出すように給紙制御の再設定が行われる(給紙制御FC5)。
第1回目:給紙部2b、2d、2e、2f、2g、2h、2iから送り出し
第2回目:給紙部2bから送り出し
第3回目:給紙部2bから送り出し
すなわち、給紙部2aが停止した代わりに、給紙部2bから送り出すようになるので、丁合束Bの作成を継続することができる。
なお給紙部2cが用紙無しとなった場合は、その給紙部2cは頁順用紙束グループの最下位であるから(S21のY)、グループの最上位の給紙部2aに用紙が積載されているか否かを判断し(S24)、積載されていれば(S24のY)、給紙部2aが「移行先」となる。
頁順用紙束グループである場合は上記のごとく制御されるので、給紙動作はグループの最上位の給紙部から始まり、用紙が無くなるたびに1段下位の給紙部に移り、グループの最下位の給紙部の用紙が無くなると、グループの最上位の給紙部に戻る。この移行は、丁合束Bの作成中か否かに関わらず行われる。
ユーザは、もともと上からP3,P2,P1・・・の繰り返しで構成された大量の用紙束から、上方から束の一部を順次取り出して、給紙動作が行われる順、すなわち給紙部2a、2b、2cの順に積載する。給紙部2aの用紙が無くなって給紙部2bに送り出しが移行したら、さらに束の一部を上方から取り出して給紙部2aに積載する。従って頁順用紙束においては、印刷機等から取り出されて大量に積載された用紙束から、その一部をユーザが上方から順次取り出して、送り出しが移行する順序と同一の順序で給紙部に積載することにより、頁の順序が狂うことなく、丁合束Bの作成を継続させることができる。
S20において、用紙無しが検知された給紙部2がいずれの用紙束グループにも属していなかった場合は(S20のN)、用紙がなくなった給紙部2に設定されている用紙束名と同一の用紙束名に設定されていて、用紙が積載されている給紙部2が存在するか否かを判断し(S29)、存在しなければ(S29のN)装置は停止し(S35)、用紙無しとなった給紙部2に用紙を積載して(S36)から、スタート操作(S09)により動作が再開する。存在すれば(S29のY)、「用紙無し」となった給紙部2を停止させ、同じ用紙束が設定されている別の給紙部2を駆動させるように給紙制御が再設定され(S30)、S09に戻って給紙動作が継続する。
本実施形態の具体例で説明する。給紙制御FC1に従って丁合が進行中に、給紙部2iに積載されていた用紙がなくなった場合、給紙部2iの用紙有無センサ10iがこれを検知して制御部100へ送る。給紙部2iに設定されている用紙束名は「Pb3」であり、同一の「Pb3」に設定された給紙部2jが存在するから、この給紙部2jに用紙が積載されていればS29において「あり」(Y)と判断され、給紙部2iを停止して給紙部2jを駆動するように給紙制御の再設定が行われる(S30)。制御部100はこれに応じ、給紙制御の内容を以下のように変更する(給紙制御FC6)。
第1回目:給紙部2a、2d、2e、2f、2g、2h、2jから送り出し
第2回目:給紙部2aから送り出し
第3回目:給紙部2aから送り出し
すなわち、給紙部2iが停止した代わりに、給紙部2jから送り出すようになるので、丁合束Bの作成を継続することができる。その後給紙部2jの用紙が無くなる前に、ユーザが給紙部2iに用紙を補充しておけば、給紙部2jの用紙が無くなった時に、自動的に給紙部2iに戻る。
上記実施形態では、スタッカ6の用紙受け板7上に蓄積部を形成したが、このような形態に限られず、例えば蓄積した用紙を針綴じして冊子を作成する製本部が付属していてもよい。図9は図1のシステムのスタッカ6に代えて、綴じ部200を設けたシステムである。垂直搬送機構5を下降してきた用紙は載置トレイ201上に導かれ、ストッパ202に当接して停止する。後続の用紙もストッパ202に当接して停止するので、この載置トレイ201上に用紙が蓄積される蓄積部として機能する。載置トレイ201上で丁合束Bの形成が完了すると、ステープラ202で綴じて冊子とし、冊子受け部203に排出する。
また、ステープラに代えて糊付け綴じ機構を設けても良いし、束の中間部を針綴じしてその部分を2つ折りした中綴じ折り冊子を作成する装置を設けても良い。
上記実施形態によれば、丁合束Bの中に、ページごとに印刷内容が異なる部分と、同じ印刷内容のページが混在していても、頁順用紙束と同一用紙束とで各々異なる給紙制御を行うことによって、丁合装置が有する複数の給紙部を効率的に活用できるので、小型の装置で迅速な丁合作業が可能となる。
上記実施形態では、給紙部設定画面(図8)において、頁順用紙束リンク設定と同一用紙束リンク設定を分けて行うようになっているが、この形態に限られず、頁順用紙束モードと同一用紙束モードをユーザが選択可能とし、頁順用紙束モードではグループを形成すると頁順用紙束グループとなり、同一用紙束モードではグループを形成すると同一用紙束グループとなるようにしてもよい。この例によれば、同じ用紙束Bを作成する処理の中で両グループを併存させることはできないが、その分、ユーザが操作しやすい装置が得られるというメリットがある。さらに、給紙部設定する前の、用紙束設定画面(図6)において、用紙束の名称とともに、その用紙束が頁順用紙束であるのか、同一用紙束であるのかを入力するようにして、その後グループを設定したときは、設定対象の用紙束が頁順用紙束であるのか同一用紙束であるのかによって、それに応じた制御を行うようにしてもよい。この形態によれば、リンク設定時に頁順用紙束リンク設定と同一用紙束リンク設定を分けて行う必要が無いというメリットがある。
上記実施形態では、用紙無しとなった場合について記載したが、用紙束が残っているにもかかわらず用紙が送り出されない「空送り」や、1枚のみが送り出されるべきところを誤って2枚以上重なって送り出されてしまう「重送」が発生した場合も、上記用紙無しとなった場合と同様の処理を行っても良い。その場合に、「重送」「空送り」を含む束は丁合束Bとは異なる構成となっている不良束であることから、垂直搬送路5の下流側に分岐を設け、不良束を正常束とは異なる送り先に送り出すようにして確実に区別できるようにしても良い。またこの場合には、「重送」「空送り」が発生した給紙部2が「頁順用紙束グループ」であった場合は、その時点で送り出し順序が狂うことになるので、グループ内に用紙が積載された給紙部2が存在するか否かに関わらず、給紙制御の設定を行わずに装置を停止させるのが良い。また、重送や空送りは複数回連続して発生した場合のみ、給紙制御の再設定を行うようにしても良い。さらに、重送や空送りの発生に応じて、ユーザが以後の重送、空送りを防ぐべく給紙部2の調整を行って復帰操作を可能としてもよい。
また、上記実施形態では、用紙束設定画面20、丁合束設定画面30、給紙部設定画面70は個別の画面に表示されているが、これらの一部または全部を1つの画面に同時に表示させ、操作可能としてもよい。