JP2016083794A - 樹脂被覆アルミニウム板及びその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆アルミニウム板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工性に優れ、且つ耐キズ、耐薬品性、耐プレッシャーマークなどの表面特性に優れる樹脂被覆アルミニウム板を提供する。
【解決手段】純アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に陽極酸化皮膜が形成されているとともに、この陽極酸化皮膜上に膜厚20μm以下の樹脂膜が形成されてなる樹脂被覆アルミニウム板であって、樹脂膜は、エポキシ系樹脂を主成分とし、潤滑剤としてポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ポリテトラフルオロエチレン、ラノリンワックスのいずれかを0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含み、塗装面の算術平均粗さRaが0.05μm以上0.5μm以下で、ナノインデンターで測定した表面の硬度が0.05GPa以上0.5GPa以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンデンサケース、各種センサーキャップ材などに用いて好適な樹脂被覆アルミニウム板及びその製造方法に関する。
コンデンサケース、各種センサーキャップ材などの外装材には、加工性に優れるアルミニウム板が用いられる。このようなアルミニウム板の表面には、絶縁性、耐食性、印字性等の性能確保を目的に、エポキシなどの樹脂被覆が施される。樹脂被覆は、アルミニウム板の加工後に塗装またはラミネートにより形成される場合もあるが、生産性向上のため、加工前に塗装(プレコート)により形成されるのが主流になりつつある。このような樹脂被覆アルミニウム板として、例えば特許文献1〜特許文献4に記載のものがある。
特許文献1は、本出願人の提案によるものであり、純アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成し、その上層に数平均分子量が2000〜100000であるエポキシ系樹脂をシランカップリング剤を介して被覆することにより、エポキシ系樹脂の密着力を高めている。この場合、無孔質陽極酸化皮膜の膜厚が30〜200nm、シランカップリング剤の無孔質陽極酸化皮膜上への塗布量が0.5〜10mg/m2、エポキシ系樹脂の数平均分子量が5000〜80000でその被覆の厚さが2〜20μmであるのが好ましいとされている。
特許文献2では、0.1〜10質量%のポリエーテル変性ポリシロキサンオイル系もしくはフルオロシリコーンオイル系を主成分とする表面張力調整剤が添加された塗料を用いて塗膜を形成し、その表面粗さや凹凸状態を反対面の表面に対して特定の関係とすることにより、耐ブロッキング性及び耐プレッシャーマーク性に優れた塗装金属板とすることが記載されている。
特許文献3では、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂の1種以上と潤滑粒子とを含有する樹脂被覆層を形成することが記載されており、さらに潤滑剤として、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、ラノリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミドの1種以上を含有し、潤滑剤の量と潤滑粒子の量との合計が樹脂被覆層中35質量%以下であるものが記載されている。
特許文献4では、表面に鱗状の凹凸形状を有するアルミニウム合金板に樹脂層を形成し、その樹脂層の粗度を十点平均粗さ(Rz)で2〜15μmとすることにより、プレス後の加工品の貼りつきや材料のブロッキングを防止し、かつ高い成形性を有するアルミニウム合金板材とすることが記載されている。
特開2010−125722号公報 特開2003−200528号公報 特許第4348107号公報 特開2000−117895号公報
コンデンサケースなど、高加工の用途に対応しようとすると、塗膜加工性を高める必要があり、硬化樹脂の柔軟性を高める対策をとるのが常道だが、反面、ハンドリング時、洗浄時の当たりキズや洗浄溶剤に対する耐浸食性の問題が生ずる恐れが高い。また加工時の潤滑性が不足すると、加工不良や加工に起因する欠陥を生じやすい。
また、製品の表面状態によってはブロッキング(くっつき)やプレッシャーマーク(巻き取り圧力による裏面の転写)が問題となることもあった。
上記各特許文献記載の方法では、これらの諸問題を同時に解決するには不十分であった。
本発明は、加工性に優れ、且つ耐キズ、耐薬品性、耐プレッシャーマークなどの表面特性に優れる樹脂被覆アルミニウム板を提供することを目的とする。
本発明は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に陽極酸化皮膜が形成されているとともに、この陽極酸化皮膜上に膜厚20μm以下の樹脂膜が形成されてなる樹脂被覆アルミニウム板であって、前記樹脂膜は、エポキシ系樹脂を主成分とし、潤滑剤としてポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ポリテトラフルオロエチレン、ラノリンワックスのいずれかを0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含み、塗装面の算術平均粗さRaが0.05μm以上0.5μm以下で、ナノインデンターで測定した表面の硬度が0.05GPa以上0.5GPa以下である。
本発明は、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ラノリンワックスのいずれかを添加したことにより、これらワックス粒子の表面張力によって塗膜の表面に凹凸形状が形成され、その凹凸形状によって接触面積が減少することや、ワックス粒子自体の潤滑で金型との接触摩擦が緩和され、塗膜潤滑性が確保されるとともに製品のブロッキングやプレッシャーマークの防止にも効果が有る。この表面の凹凸の程度としては、塗装面の算術平均粗さRaが0.05μm以上0.5μm以下の範囲内であり、0.05μm未満では耐ブロッキング性、耐プレッシャーマーク性に劣り、0.5μmを超えると表面の光沢が失われるため、意匠性を損なう。
また、表面の硬度も重要であり、表面の硬度が不十分となると、当たりキズが生じたり、耐薬品性が劣化して洗浄ブロッキング(「くっつき」によるハンドリング性悪化)が生じたりする。これに対して、本発明では、ナノインデンターで測定した表面の硬度が0.05GPa以上0.5GPa以下であることにより、キズ発生を防止し、耐薬品性を向上させることができる。硬度が0.05GPa未満では耐ブロッキング性、耐プレッシャーマーク性に劣り、0.5GPaを超えると塗膜の延性不足により加工性が低下する。
この樹脂被覆アルミニウム板において、前記エポキシ系樹脂が5%以上30%以下の変性部分を含み、その変性種がポリエステルまたはウレタンであることが好ましい。
また、この樹脂被覆アルミニウム板において、前記陽極酸化皮膜が、20nm以上150nm以下の膜厚の有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜であり、前記樹脂膜は、前記無孔質陽極酸化皮膜上に0.5mg/m2以上10mg/m2以下の塗布量のシランカップリング剤を介して設けられていることが好ましい。
本発明の樹脂被覆アルミニウム板の構成について、先に述べたワックス粒子、表面粗さ、硬度以外の限定理由について説明する。
[純アルミニウムまたはアルミニウム合金」
本発明では、基材として純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。純アルミニウム基材としては純度99.0%以上の純アルミニウムを用いることができる。また、アルミニウム合金基材としては、種々のアルミニウム合金を用いることができ、本発明としては特にその組成が限定されるものではない。好適には、1000系、3000系(Al−Mn系)合金、5000系(Al−Mg系)合金などを挙げることができる。以下では、純アルミニウムまたはアルミニウム合金を単にアルミニウムと表記する。
[陽極酸化皮膜]
アルミニウム板の表面には、下地として陽極酸化皮膜が設けられる。この場合、陽極酸化皮膜は、20nm以上150nm以下の膜厚の有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜であるのがよい。無孔質陽極酸化皮膜とは、皮膜が均一に形成された部位の断面観察において、皮膜表面からアルミニウム素地に向けて、規則的に形成される孔(通常開口部は1nm以上10nm以下で皮膜厚さに対して60%以上の深さを有する)が5%(表面から見た孔の総面積の比率)以下(孔が存在しないものも含まれる)の無孔質な皮膜である。有孔率がゼロ%の無孔質な皮膜は、有孔率が数%の皮膜に対して、格段に耐食性に優れるのでより好ましい。
無孔質陽極酸化皮膜が薄いと、均一な皮膜形成が難しく、樹脂との密着性が低下する。そのため、膜厚は20nm以上が好ましい。一方、膜厚が厚いと、加工時に陽極酸化皮膜のクラックが発生し、樹脂との密着性が低下する。そのため、膜厚は150nm以下が好ましい。
[樹脂膜]
樹脂膜は、高温高湿下での耐久性・耐熱性向上、電子部品表面の絶縁性確保等のために設けられる。この樹脂膜の厚さは、性能を確保するため適切な厚さが望ましい。厚さが薄いと、ケースなどの加工時に樹脂に割れが生じやすく、性能が劣る。一方、樹脂膜が厚過ぎると経済的に不合理である。このため20μm以下が好ましい。
変性エポキシ樹脂は、この樹脂膜自体の伸びを改善し、可塑性をさらに向上させて、密着性、耐肌荒れ性を良くする。その変性種はポリエステル変性またはウレタン変性とすることが好ましい。この場合、変性率が高くなり過ぎると、耐熱性や耐溶剤性が劣化するおそれがあるので、5%以上30%以下の変性率とするのが好ましい。
[シランカップリング剤]
無孔質陽極酸化皮膜にシランカップリング剤を塗布した上に樹脂膜が設けられていることで、無孔質陽極酸化皮膜に対してエポキシ樹脂の高い密着性が得られ、絞り比の高いケース成形が可能となる。
シランカップリング剤にはアミノ系、エポキシ系、アクリル系等を用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。シランカップリング剤の塗布量は、その機能を良好にするため適量が望ましい。少ないと密着性向上の効果は認められないため、0.5mg/m2以上が好ましく、1mg/m2以上がより好ましい。一方、シランカップリング剤をあまりに多く塗布すると、シランカップリング剤自体の凝集力が低下する場合があり、塗膜が剥離しやすくなる。このため、10mg/m2以下が好ましく、5mg/m2以下がより好ましい。
本発明によれば、ワックスを含有し、かつ表面の硬度が高いので、耐キズ、耐薬品性、耐プレッシャーマークなどの表面特性に優れ、コンデンサケースなどの高加工用途にも適用可能な樹脂被覆アルミニウム板を提供できる。
以下、本発明に係る樹脂被覆アルミニウム板の一実施形態を説明する。この樹脂被覆アルミニウム板は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金の板材の表面に有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成されているとともに、この無孔質陽極酸化皮膜の上に膜厚tが20μm以下である樹脂膜が形成されてなる。樹脂膜はエポキシ系樹脂を主成分とし、潤滑剤としてポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ラノリンワックスのいずれかを0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有し、塗装面の表面粗さRaで0.05μm以上0.5μm以下であり、ナノインデンターで測定した表面の硬度が0.05GPa以上0.5GPa以下である。
この樹脂被覆アルミニウム板では、アルミニウムとして、1000系、3000系(Al−Mn系)合金、5000系(Al−Mg系)合金などが用いられ、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜が形成されている。
[陽極酸化]
陽極酸化処理に先立って前処理を行う。前処理は特に限定されるものではない。例えば、アルカリ性の脱脂液で洗浄し、水酸化ナトリウム水溶液でアルカリエッチング、硝酸水溶液でデスマット処理を行う。
陽極酸化処理は、酸化皮膜の溶解力が低い電解液を用いて行われ、電圧を調整して好適には厚さ20nm以上150nm以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成する。
陽極酸化の電解液は、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アンモニウムといったリン酸塩、もしくは珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムといった珪酸塩の水溶液であれば、酸化皮膜の溶解力が低く、有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成される。
陽極酸化皮膜の膜厚は、好ましくは、20nm以上100nm以下とする。
[シランカップリング剤]
陽極酸化皮膜表面に、アミノ系、エポキシ系、アクリル系等のシランカップリング剤を塗布し、陽極酸化皮膜12と樹脂膜13との密着性を向上させる。シランカップリング剤の塗布量は、好ましくは0.5mg/m2以上10mg/m2以下とする。塗布量が下限未満の場合は樹脂膜との密着性を向上させる効果が十分に得られず、上限を超過した場合は脆弱層が形成されやすく、密着性が低下するおそれがある。
[樹脂膜]
シランカップリング剤を塗布した板材の表面に、エポキシ系樹脂を主成分とする樹脂膜を形成する。この樹脂膜は、塗料を塗布して加熱乾燥により焼き付けるか、フィルムを加熱溶解して貼り合わせてもよい。塗布方法は、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、などを用いることができる。
この樹脂膜は、板材の保護層として耐食性、絶縁性、耐キズ性等を発揮するが、厚過ぎると経済的に不利であるとともに塗装不具合が発生しやすいので、好ましい厚さは3μm以上20μm以下とする。
形成された樹脂膜において、エポキシ系樹脂が5%以上30%以下の変性部分を含み、その変性種がポリエステル変性またはウレタン変性である。変性エポキシ樹脂を用いることにより、樹脂膜自体の伸びを改善し、可塑性をさらに向上させて、密着性、耐肌荒れ性を良くする。しかしながら、変性率が高くなり過ぎると耐熱性や耐溶剤性が劣化するおそれがある。一方、変性率が低すぎると、密着性、加工性の向上が見込めない。したがって、樹脂膜におけるエポキシ樹脂の変性率は、5%以上30%以下とするのが好ましい。
[樹脂膜の焼き付け方法]
樹脂膜は、前述した塗料をロールコート法等により塗布して、加熱乾燥により焼き付けることにより形成される。焼き付け温度は、材料温度で200℃以上280℃以下とするのが好ましく、200℃未満では耐水性が十分でなく、加水分解により密着性が低下するおそれがあり、280℃を超えると、塗膜の変色、劣化が生じるおそれがあるので好ましくない。脱水反応を促進させるために通常よりも高温とするとよく、240℃以上260℃以下の焼き付け温度とするのがより好ましい。焼き付け処理の時間は10秒以上40秒以下である。
このようにして得られる樹脂被覆アルミニウム板は、絞り加工などの成形加工を経て電解コンデンサケースなどに好適に利用される。但し、本発明の樹脂被覆アルミニウム板としては、利用分野がこれに限定されるものではなく、電化製品、容器、機械部品などの用途にも利用することができる。
諸条件を変更しながら、樹脂被覆アルミニウム板を製造する実験を行った。得られた実施例1〜17及び比較例1〜3のサンプルについて、表1及び表2を参照しながら説明する。
[前処理]
厚さ0.3mmのJIS 1100アルミニウム板を、5%水酸化ナトリウム水溶液で50℃、10秒間エッチングして脱脂処理した後、10秒間水洗した。さらに、10%硝酸溶液に室温で10秒間浸漬して中和した後、10秒間水洗して乾燥した。
[陽極酸化]
次に、各サンプルに対して、ケイ酸塩水溶液を電解液として、所定の電解電圧で陽極酸化処理を行い、表1に示す厚さの陽極酸化皮膜を形成した。
[下地処理]
陽極酸化処理後、10秒間水洗して乾燥し、さらにアミノ系、エポキシ系、アクリル系のシランカップリング剤を、浸漬式コーティング法により塗布した。シランカップリング剤の塗布量は、表1に示すように、ポリプロピレンワックス(PP)、ポリエチレンワックス(PE)、カルナバワックス(カルナバ)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ラノリンワックス(ラノリン)を用いた(表1には括弧内の略表記を示した)。
[樹脂膜]
エポキシ系樹脂を主成分とし、ワックスとして表1に記載のものを樹脂膜の総重量に対して表1に示す添加量(質量%)で添加した塗料をバーコータで塗布した後、焼付けて樹脂膜を形成した。樹脂の変性種はウレタン変性とし、表1に示す変性率とした。各サンプルに塗布した各塗料におけるワックスの種類、添加量は、塗料の総重量における質量割合で、表1に示す通りである。
以上のように製造した各樹脂被覆アルミニウム板について、以下のような評価を行った。[加工密着度]
表2に示す加工密着度は、樹脂被覆アルミニウム板を圧延率70%で圧延し、碁盤目テープ剥離法により、樹脂膜の残マス数をカウントし、100分率で表示した。この結果が50%以上であったサンプルが合格、50%未満であったサンプルは不合格である。
[硬度]
樹脂被覆アルミニウム板の表面硬度をナノインデンターによって測定した。
[表面粗度]
樹脂被覆アルミニウム板の表面を接触式表面粗さ測定によって測定し、算術平均粗さRaを求めた。
[耐プレッシャーマーク性]
二枚の樹脂被覆アルミニウム板の小片サンプル(約5cm角)を2枚1組として塗膜面と裏面とを重ね合わせた板の上に10kgの重りを載せ、40℃の恒温槽で24時間保持し、その後、重りを外してプレッシャーマークの程度を外観で目視評価した。許容範囲を超えるプレッシャーマークが認められた場合を×、軽度のプレッシャーマークが認められるものを△、認められなかったものを〇とした。
[耐ブロッキング性]
二枚の樹脂被覆アルミニウム板の小片サンプル(約5cm角)を2枚1組として重ね合わせた板の上に10kgの重りを載せ、1時間保持し、その後重りを外して板どうしのくっつきの程度を確認した。3回実施して1度でもくっつきを生じたものを×、1回以上軽度のくっつきが発生したものを△、全くくっつきが生じなかったものを〇とした。
[耐溶剤性]
樹脂被覆アルミニウム板の小片サンプル(約5cm角)を2枚1組として、向かい合わせた樹脂膜間に洗浄溶剤を3〜5μリットル/cm2程度滴下し、2枚を重ね合わせて固定した状態で、50〜100℃で30分間乾燥させた。乾燥後、2枚の樹脂被覆アルミニウム板を手で剥離し、剥離抵抗を5段階で評価した。評価は、剥離抵抗が低い順に、
◎:全く抵抗なく剥離
〇:少し抵抗がある(剥離音なし)
△:抵抗ある(剥離音有り)
×:抵抗大きい(板がやや曲がる)又は剥離困難
とした。洗浄溶剤としてはエタノール系を用いたが、イソパラフィン炭化水素系などを用いてもよい。
これらの評価結果を表2に示す。
Figure 2016083794
Figure 2016083794
樹脂膜の主成分であるエポキシ系樹脂の変性率が異なる実施例1〜3から、変性率が5%〜30%の範囲では良品を製造できることが確認できた。全く変性していない実施例15では耐プレッシャーマーク及び耐溶剤性が若干劣り、変性率が大きい実施例17では耐ブロッキング性及び耐溶剤性がやや劣っている。
樹脂膜の厚さについて、22μmと厚い比較例3の場合、耐プレッシャーマーク、耐ブロッキング性、耐溶剤性のいずれも劣ることがわかる。
ワックスの添加量について、実施例1,4,5を比較すると、実施例4では0.1質量%と添加量が少なく、実施例5では4質量%と添加量が多いが、この範囲の添加量であれば良品を製造できることが確認できた。一方、ワックスを全く添加しなかった比較例1では硬度が低く、表面粗度も不足し、耐プレッシャーマーク、耐ブロッキング性、耐溶剤性のいずれも劣っている。また、添加量が多すぎる比較例2では硬度が高く、粗い表面となり、耐プレッシャーマーク、耐ブロッキング性が劣る結果となった。
陽極酸化被膜の皮膜厚さについて、20nmと薄い実施例10と、150nmとやや厚い実施例11とでは、製造された樹脂被覆アルミニウム板の品質に問題がなかった。一方、皮膜厚さが200nmである実施例16では耐プレッシャーマークがやや劣っていることがわかる。
シランカップリング剤の塗布量について、0.8mg/m2〜9mg/m2では、製造された樹脂被覆アルミニウム板の品質に問題がなかった。0.5mg/m2〜10mg/m2の範囲であれば品質に問題は生じないと想定される。一方、0mg/m2である実施例14では耐ブロッキング性、耐溶剤性がやや劣っていた。
以上説明したように、本発明の樹脂被覆アルミニウム板により、耐キズ、耐薬品性、耐プレッシャーマークなどの表面特性に優れ、コンデンサケースなどの高加工用途にも適用可能な樹脂被覆アルミニウム板を提供できる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

Claims (3)

  1. 純アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に陽極酸化皮膜が形成されているとともに、この陽極酸化皮膜上に膜厚20μm以下の樹脂膜が形成されてなる樹脂被覆アルミニウム板であって、
    前記樹脂膜は、エポキシ系樹脂を主成分とし、潤滑剤としてポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、ポリテトラフルオロエチレン、ラノリンワックスのいずれかを0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含み、塗装面の算術平均粗さRaが0.05μm以上0.5μm以下で、ナノインデンターで測定した表面の硬度が0.05GPa以上0.5GPa以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム板。
  2. 前記エポキシ系樹脂が5%以上30%以下の変性部分を含み、その変性種がポリエステルまたはウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆アルミニウム板。
  3. 前記陽極酸化皮膜が、20nm以上150nm以下の膜厚の有孔率5%以下の無孔質陽極酸化皮膜であり、前記樹脂膜は、前記無孔質陽極酸化皮膜上に0.5mg/m2以上10mg/m2以下の塗布量のシランカップリング剤を介して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂被覆アルミニウム板。
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