JP2016083733A5 - - Google Patents

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JP2016083733A5
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切削インサート
本発明は、被削材(金属製の丸棒や軸部材等の工作物)の旋削加工のうち、溝入れ加工や突っ切り加工に好適な切削インサート(スローアウェイ方式等の切削用切れ刃チップ)に関する。
このような加工に使用される切削インサートは、その切れ刃をすくい面側から見ると、直線状をなす前切れ刃と、この前切れ刃の両端においてそれぞれ後方に延びる横切れ刃を有しているのが普通である。そして、旋削によって被削材に溝入れや突っ切り加工をする際には、これを旋盤の主軸(チャック)に固定し、加工に応じた切削インサートがホルダの先端に固定されてなる切削工具(バイト)を刃物台に取り付け、回転する被削材に対し、刃物台を適度の送り量(mm/rev)でその径方向(回転軸に垂直方向)に切り込む(縦送りする)ことになる。
このような溝入れ加工や突っ切り加工において排出される切り屑は、通常、前切れ刃が被削材の回転軸に平行か、それに近い状態におかれるため、基本的に後方(回転軸から離れる方向)に流れる(排出される)。一方、このような加工において切り屑が長く延びて後方に流れたり、コイル状に延びるような場合には、これが横に振れて被削材に傷をつけたり、切れ刃や被削材に絡み付いてしまう。こうした問題を防ぐため、この種の切削インサートは、後方に流れる切り屑がぜんまい状に丸められるように、すくい面には後方において傾斜状に立ち上がるような壁(ブレーカ壁)が設けられるのが普通である。このようなすくい面形状により、切り屑はぜんまい状に丸められるように仕向けられているわけである。他方、溝入れ加工や突っ切り加工において排出される切り屑も、せん断抵抗や熱による変形を受けるため、切り込み量よりも厚みが増すだけでなく、前切れ刃の刃幅より広い帯状となって排出される。これにより、加工される溝の壁面(溝壁面)や、突っ切られた切断後の端面(切断端面。以下、溝壁面も含めて、切断端面ともいう)には、切り屑の両端(縁)が擦り付けられている結果、傷が付き、面精度(加工面粗度)を低下させてしまう。このように、溝入れ加工や突っ切り加工においても、他の旋削において排出される切り屑と同様に、これを被削材に接触させることなく、如何に円滑に処理するかという、いわゆる切り屑処理性が重要となる。
こうした中で、このような切り屑処理性を高めるため、すくい面のうち、前切れ刃を含む両横切れ刃に挟まれる中央に、先後に延びるような凹溝(窪み)を形成したものなど、前切れ刃やすくい面形状等を改良した各種の切削インサートが提案されている(特許文献1、2)。このような凹溝を形成したもので切り込む場合には、切り屑は横断面の幅方向の中央が凹溝に倣うように曲げられたものとなる。そして、後方に流れる過程では、その幅方向の両端寄り部位が凹溝の両側の溝縁(稜部)で持ち上げられるようになるため、幅方向において丸められるように変形し、その幅が小さくなる。これにより、切り屑が切断端面に擦り付けられたりして傷を付けることが低減される。そして、すくい面には後方に傾斜状に立ち上がる壁が設けられているから、切り屑はその壁面に沿って後方に流されてぜんまい状に丸められ、適度の巻長さで分断される、というものである。
特開2011−98427号公報 特開2010−99816号公報
ところが、特許文献1、2に記載の切削インサートによる溝入れや突っ切り加工においては、切り屑の幅自体は小さくなるようであるが、被削材がステンレス鋼や炭素鋼などのように高強度材で粘りがあるものである一方、送り量(mm/rev)が小さい加工条件となるような場合には、切り屑が薄く長くコイル状に延び、横振れして流れるために切断端面に擦り付けられたり、被削材に絡み付いたりしやすいという問題があった。具体的には、この種の切削インサートを用い、例えば、被削材がSUS304で、φ8mmの丸棒であり、切削速度が80m/min、そして送り量が、0.02〜0.03mm/revと小さいような加工条件で試験切削をした場合には、切り屑が長く延び、横振れして流れるために、ぜんまい状に丸められず、コイル状に延びてしまうという。この場合、その加工条件中の送り量のみを、0.05〜0.08mm/revと大きく変更した場合には、コイル状の延びは幾分改善されるものの、コーン状や横にずれたぜんまい状の巻となって排出されがちであり、所望とする切り屑処理性が得られない。因みに、送り量を、0.1mm/rev程度までに大きくしたような場合には、横ずれのないぜんまい状の切り屑として排出され、切断端面への傷の発生や絡み付けは相当改善される。なお、本願において、横ずれのないぜんまい状の切り屑とは、概ね、横ずれがないために、切断端面に問題となるような傷を付けない程度のぜんまい状の巻き状態にある切り屑を意味する。
このような試験切削の結果からしても、上記従来の切削インサートによる溝入れや、突っ切り加工においては、送り量が小さい加工条件の場合には、切り屑の横流れにより、それが切断端面等への接触する等の課題があった。しかも、被削材が細いために、そのコイル状の延びにより被削材へ絡み付きやすいといった問題もあり、その外周面に傷を付けたり、場合によっては機械停止を余儀なくされるなど、加工効率の低下を招くこともあった。また、コイル状に延びない場合には絡み付きの問題は小さいが、コーン状や横にずれたぜんまい状の巻となって排出される場合には、切断端面への接触によるその面粗度低下の課題は依然として存在する。このように、従来の切削インサートによる溝入れ等の加工においては、特に、送り量が小さいがために切り屑が薄くなるような場合には、その切り屑処理性において未だ解決すべき課題がある。
こうした中、本願発明者らは、このような問題の根本原因が、何であるのか、ということに着目するとともに、その解決に向けて鋭意、研究していたところ、削られた切り屑が前切れ刃に設けられた凹部(窪み)にて、その中央が倣う形に幅方向に曲げ変形され、そして、後方に流れる過程でその幅を小さくできるとしても、その後方へ流される際の凹溝のガイド作用が不十分なためであると考えた。そこで、種々のすくい面形状、凹溝の構造を有する切削インサートの試作品を作り、試験切削を繰り返す中で、排出される切り屑が、送り量の大小による厚みの違いにかかわらず、幅が小さくなり、しかも横ぶれなく後方に高度のガイド作用でもってガイドされ、横ずれなくぜんまい状に丸められて安定して排出されるすくい面形状等を知るに至った。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、切り屑厚さの大小にかかわらず、その幅を小さくでき、しかも横ぶれなく後方に高度のガイド作用でもってガイドして流し、横ずれなくぜんまい状に丸められて安定して排出し得る、切れ屑処理性に優れたすくい面形状を有する切削インサートを提供することをその目的とする。
請求項1に記載の発明は、前切れ刃と、前記前切れ刃の両端においてそれぞれ後方に延びる横切れ刃を有する切削インサートであって、
すくい面は、ポジ状のすくい角が得られるように、前記前切れ刃から後方に向かって低位をなすように傾斜するポジ状すくい面を有すると共に、このポジ状すくい面の後端又は該後端より後方において傾斜状に立ち上がるブレーカ壁を備え、
前記すくい面のうち、前記前切れ刃を含む各横切れ刃の先後方向に沿う部位には、各横切れ刃から、両横切れ刃に挟まれる中央部位に向かって低位をなすように傾斜する傾斜面が形成されていると共に、前記両傾斜面に挟まれる中央部位には、該両傾斜面より低位をなす凹溝が、前記前切れ刃を含めて先後方向に延び、かつブレーカ壁の上端を越えて後方に切り込む形で形成されており、
かつ、該凹溝は、前記すくい面側から見た溝幅が、前記前切れ刃と前記ブレーカ壁の上端との先後間において、
該前切れ刃の位置から後方に向けて漸増させられた後で漸減させられ、前記ブレーカ壁の上端の位置より先方であって前記ポジ状のすくい角の後端位置である前記ポジ状すくい面の後端より後方においてその漸減における最狭小部をなし、この最狭小部の位置から後方に向かうブレーカ壁の上端の位置まで漸増させられるように形成され、
前記前切れ刃の位置における溝幅寸法をW1とし、前記最狭小部の位置における溝幅寸法をW2とし、前記ブレーカ壁の上端の位置における溝幅寸法をW3としたとき、この各位置における溝幅寸法、W1、W2、W3が、
W1<W2<W3の寸法関係となるように形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記傾斜面が、それぞれ、各横切れ刃から前記中央部位に向かい、相対的に、小さい角度α1で低位をなすように傾斜する第1傾斜面と、該第1傾斜面に続き、これより大きい角度α2で低位をなすように傾斜する第2傾斜面とを有していることを特徴とする請求項1に記載の切削インサートである。
請求項3に記載の発明は、前記前切れ刃のすくい面側から見たときの長さを、Waとしたとき、上記W1とWaとが、W1≦Wa/2の寸法関係にあることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の切削インサートである。
請求項4に記載の発明は、前記すくい面側から見たときにおける前記前切れ刃と前記横切れ刃とのなす各コーナに、アールが付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサートである。
請求項5に記載の発明は、前記切削インサートが、溝入れ用又は突っ切り用の切削インサートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切削インサートである。
本発明に係る切削インサートは、上記構成のように、すくい面に、後方に傾斜状に立ち上がるブレーカ壁を有するなどによって、溝入れや突っ切り加工をする際において発生する帯状の切り屑は、このすくい面を後方に流れてぜんまい状に巻かれる(丸められる)ように仕向けられている。また、すくい面には、上記構成のようにその両側に沿って、左右の各横切れ刃から中央部位に向けて低位をなす傾斜面が設けられている。また、その幅(左右の横切れ刃の相互の間隔)方向の中央部位には、前切れ刃も含め、後方に延びる凹溝がその先後間において上記溝幅寸法関係の変化状態で設けられている。この構成により、本発明に係る切削インサートで溝入れ、又は突っ切り加工をする場合において発生する切り屑は、前切れ刃の両傾斜面及びこれに挟まれる上記凹溝に対応した横断面形状のもの、すなわち、下向き(すくい面向き)凸形状のものとして生成される。そして、その生成後の切り屑は、すくい面に押し付けられながら、幅方向の寸法が上記したように変化する凹溝に沿って後方にガイドされて流れるため、送り量の大小による切り屑厚さの異同にかかわらず、横ずれすることなくぜんまい状に巻かれて排出される。これにより、被削材に傷をつけることが防止され、切断端面の面粗度の向上が得られる。なお、本発明によれば実際の加工において、このような効果が得られることが実証されるところ、切り屑が、前切れ刃の上記凹溝形状等にて下向き(すくい面向き)凸に変形されたものとして生成された後、このような効果が得られるに至るまでの切り屑の流れ等のメカニズムについては、発明者は次のように考えている。なお、本発明において、前記前切れ刃から後方に向かって低位をなすように傾斜するポジ状すくい面、及び、このポジ状すくい面の後端又は該後端より後方において傾斜状に立ち上がるブレーカ壁は、さらには、このポジ状すくい面とブレーカ壁とをつなぐ部位は、横切れ刃側から見て、直線でも、凹となす曲線でも、これらの組み合わせでもよく、したがって、これらの各部位は、平面或いは傾斜状の平面、若しくは曲面、又はこれらの組み合わせでもよい。
本発明に係る切削インサートを用いた上記加工において、前切れ刃で削られるときに発生する切り屑は、その前切れ刃の形状をなす上記両側の傾斜面、及びそれに挟まれる溝幅寸法W1の凹溝に対応する横断面のものとして、幅方向の中央が下向き凸となす形のものとして生成される。このように生成された切り屑が凹溝を後方に流れ始めるとき、凹溝は後方に向けてその溝幅が漸増するようになっているため、切り屑は、凹溝の溝底に向けて沈み込むように押し付けられながら後方に流れる。このとき、後方に流れる切り屑には下向き凸が先後に凸条(芯)となって連なるため、切り屑は、その沈み込みと相まって凹溝内を安定して後方に流れる。そして、切り屑は、その沈み込みにより、凹溝の溝底に押し付けられることによる変形作用を受けるから、その分、幅が狭くなる。
このように凹溝に沈み込んで後方に流される切り屑が、幅が狭くなって凹溝の溝幅が漸減する部位を流れるに至ると、今度は、切り屑の両側寄り部位又は両側が、凹溝の両縁(凹溝の両側の溝壁面と、各傾斜面とのなす角(稜部))に押し付けられることになる。これにより、切り屑は、横断面においてその両端寄り部位が上向きに押し上げられ(折り畳まれ)るような変形作用を受ける。すなわち、切り屑は、この変形作用を受けることで、幅方向の中央部位が下向きに、より大きな凸となす横断面に変形させられるようになり、幅もさらに小さくなる。そして、このような変形作用を受ける切り屑が、凹溝の溝幅が漸減する部位を流れ、最狭小部(以下、括れ部位ともいう)の溝幅寸法W2の位置に至るとき、その折り畳まれによる幅方向の変形作用が最大となる。
しかも、この溝幅寸法W2の部位である最狭小部(括れ部位)は、ポジ状のすくい角の後端位置である前記ポジ状すくい面の後端(以下、ポジ状のすくい角の後端位置ともいう)より後方、すなわち、すくい面のうちの傾斜が、ポジからネガへと切り替わる位置(ネガのすくい角(0度)となるべき先端の位置、又はブレーカ壁の立ち上がりの基点をなす位置)より後方にある。このため、この最狭小部を通過する切り屑の両側寄り部位又は両側には、凹溝の両縁(稜部)にて、極めて強い押し付け力が作用することになる。ただし、溝幅寸法W2は、前切れ刃における溝幅寸法W1より大きく設定されているから、切削開始時に生成された切り屑における下向き凸(及びこれが連なる凸条)は、最狭小部(括れ部位)においても凹溝から外れることがなく、したがって、後方への流れにおけるガイド作用が失われることもない。
そして、この溝幅寸法W2の最狭小部を通過した切り屑は、その後は、後方の溝幅がブレーカ壁の上端に向けて漸増する凹溝を後方に流れる。そして、この流れにおいては、再度、切り屑は凹溝の溝底に向けて沈み込むように押し付けられながら後方に流れるため、ブレーカ壁の上端に至るまで横ずれもなく、凹溝にガイドされて流れることができる。結果、このようにすくい面を後方に流れた切り屑は、横ずれもなくぜんまい状に巻かれ、適度の長さで分断されたものとなる。そして、このような切り屑の流れは、その厚さに影響されないから、送り量が小さく、切り屑の厚さが薄い場合でも、横ずれもなくぜんまい状に巻かれる切り屑として処理される。
かくして、本発明の切削インサートによれば、溝入れや突っ切り加工において発生し、排出される切り屑は、その幅が狭められると共に、横ずれすることなくぜんまい状に巻かれるから、切り屑が被削材の溝壁面や切断端面に傷を付けたり、被削材に絡み付いたりすることの防止が図られる。そして、本発明では、切り屑の厚みの大小にかかわらず上記効果が得られる。しかも、それが薄いほど、それが幅方向において下向き凸に変形し易く、その変形後にも凹溝内に深く沈み込みやすい。よって、ステンレス鋼や炭素鋼のように粘りのある高強度材で、送り量が小さいがために切り屑が薄くなるような加工条件での加工において、その効果には著しいものがある。
本発明において、凹溝の溝幅のうち、前切れ刃(先端)と、前記最狭小部との先後間に位置する部位の溝幅は、先端の前切れ刃の位置から後方に向けて漸増させられた後で漸減させられていることから、この先後間(溝幅寸法W1位置と溝幅寸法W2位置(最狭小の括れ部)の先後間)の中間部位の溝幅のうち、最大の部位の溝幅をWmとしたとき、この溝幅寸法Wmは、溝幅寸法W1、W2よりも大きくなるが、W3よりは小さくするのがよい。すなわち、これらは、W1<W2<Wm<W3の寸法関係にするのがよい。また、本発明の切削インサートの切れ刃は、これをすくい面側から見たとき、前切れ刃の中央において前切れ刃に垂直に後方引いた直線に対し左右、対称(又は、略対称)であり、かつ、この直線に垂直な断面におけるすくい面形状も、前逃げ面側から見て前切れ刃の中央において前切れ刃に垂直に引いた直線に対し、左右、対称(又は、略対称)となるように形成するのが好ましい。なお、凹溝は、横断面が円弧状(半円以下の円弧状)でも、V字形でも、さらには方形(矩形)でもよいが、横切れ刃からの溝深さ(円弧状又はV字形の場合には中心の最大深さ)は、先端の前切れ刃の位置を基点として後方に行くに従い、次第に深くなり、溝幅寸法W1の位置と溝幅寸法W2の位置の先後間の中間部位で最大(最深)となり、その後次第に浅くなって最狭小部又はその近傍において最小となり、その後、後方に向かうにしたがい、少なくともブレーカ壁の上端に対応する位置までは、次第に深くなるようにするのがよい。
上記傾斜面は、その傾斜角が大きいほど、切り屑の横断面における両端寄り部位の持ち上げ性ないし曲げ性に寄与する。しかし、この傾斜角が大きいと横切れ刃、特にその先端寄り部位の強度低下によるチッピングを招きやすい。このため、この傾斜角は、これらを考慮しつつ、各横切れ刃から、前記中央部位に向かって、適度の角度(例えば、1°〜15度)で低位をなすように設定すればよい。ただし、このような傾斜面(片側の傾斜面)は、1つの傾斜面である必要はなく、各側において複数(複数段)で形成してもよい。この場合には、請求項2に記載の発明のように、各側において第1傾斜面とこれに続く第2傾斜面との2つ(2段)の傾斜面で形成するのがよい。このようにすれば、構造の複雑化を招くことなく、前記課題の解決にも寄与できるためであるが、これらの傾斜面は曲面として形成してもよい。
また、前切れ刃の溝幅寸法W1と、前切れ刃のすくい面側から見たときの長さ(寸法)Waとの寸法関係は、請求項3に記載の発明のように、溝幅寸法W1は、このWaの1/2以下とするのがよい。そして、前切れ刃と横切れ刃とのなす各コーナには、請求項4に記載の発明のように、アールを付与しておくのが、チッピング防止の観点から好ましい。このアールの大きさは、前切れ刃の長さ等や、加工条件に応じて適宜の大きさに設定すればよい。なお、本発明にかかる切削インサートは、溝入れ用又は突っ切り用の切削インサートに広く適用できるが、切れ刃の数ないし切削インサートの本体形状、すなわち、切れ刃以外の部位の形状(構造)や、ホルダへの固定方式に関係なく具体化できる。また、前記傾斜面と前記凹溝の溝壁面とのなす稜線(稜部)は、平面視(すくい面側から見たとき)、曲線で連なるようにするのがよい。
本発明の切削インサートを具体化した実施の形態例の説明図であって、Aはその切れ刃のすくい面側から見た図、Bは横逃げ面側から見た図、Cは前逃げ面側から見た図、及びその各図における要部拡大図。 すくい面を前逃げ面側から見た斜視図、及びその要部拡大図。 すくい面を後方から見た斜視図、及びその要部拡大図。 Aは、切れ刃部分をすくい面側から見た平面拡大図、Bは、そのAにおいて前切れ刃の中央を通ってその前切れ刃に略垂直に後方に引いた直線に沿って切断したときの断面図。 Aは、前切れ刃を前逃げ面側から見た部分拡大図、及び前切れ刃における凹溝部分のさらなる拡大図、Bは図4のS1−S1断面図、Cは図4のS2−S2断面図、Dは図4のS3−S3断面図。 発生する切り屑がすくい面を流れてその横断面が変化する状態を模式的に説明する図であって、Aは図5−Aの前切れ刃にて切削された直後に発生する切り屑の図、B〜Dは、図5のB〜Dの各断面位置での切り屑の変形状態を説明する切断端面図。
以下、本発明の切削インサートを具体化した実施の形態例について、図1〜図6に基づいて詳細に説明する。本例の切削インサート100は、所定幅の溝入れ用、又は所定の小径丸棒の突っ切り(切断)等に使用されるもので、全体が略平行四辺形の板状をなし、その板部の中央に設けられたクランプネジ用の穴105を挟んで対向する2つの鋭角のコーナに切れ刃10が設けられている。この各切れ刃10は、平行四辺形(板)の一方の面が、その鋭角のコーナを含め、略三角に薄く削られる形で形成されている(図1−A等参照)。すなわち、この三角の薄板部位22が、溝入れ又は突っ切りを担う切れ刃10を構成するところである。以下、この切れ刃10の部位を中心に説明するが、本例では、2つの切れ刃10は同一の大きさ、形状であるため、以下、そのうちの一方について説明する。なお、本発明の切削インサートの材料は、「超硬合金」であり、具体的には、「被覆超硬合金」である。ただし、その材料はこれに限られることはない。他の材料としては「サーメット」や「セラミック」等の公知の材料を使用することができる。
本例の切削インサート100は、平行四辺形の板の長辺に沿う面30のうち、その鋭角のコーナの寄り部位がすくい面40をなすように配置されている。すくい面40の形状、構造等の詳細は後述する。そして、平行四辺形板の短辺に沿う面32のうち、その鋭角のコーナの寄り部位が前逃げ面33をなすように、適度の前逃げ角が付与されるように平面でカットされている。本例の切削インサート100においては、このすくい面40の先端(鋭角のコーナ寄り部位)と、前逃げ面33とが交差する稜線部位が前切れ刃110を構成している。
この前切れ刃110は、後述する凹溝の形成前は直線をなしており、すくい面40側から見て(図4等参照)、この前切れ刃110の両端においてそれぞれ後方に延びる横切れ刃120を有している。ただし、横切れ刃120は、突っ切り等の加工時において、前切れ刃110の両端から後方に向かう部位が加工面を擦らないように、すくい面40側から見て、2つの横切れ刃120相互の間隔が小さくされている。すなわち、微小角度の適度のバックテーパが付くように形成されており、各側の横切れ刃120は、前切れ刃110(直線)の両端において、すくい面40側から見て、図示しない被削材の回転軸に対し、後方に向けて略垂直に引いた2つの直線(図示せず)の内側に位置するように設けられている。また、横切れ刃120は、すくい面40と横逃げ面(平行四辺形の鋭角のコーナ寄りの三角の薄肉部位の面)35とが交差する稜線からなるところ、その横逃げ面35には、加工時に適度の横逃げ角が付与されるように形成されている。そして本例では、すくい面40のうち、前切れ刃110と横切れ刃120とのなすコーナ(角)112には微小なアールが付けられ、チッピング防止対策とされている。なお、すくい面40側から見て、前切れ刃110と両側の横切れ刃120に包囲される部位(矩形部位)は、前切れ刃110の中央から後方に向けて、両側の横切れ刃120の中間部位を通るように引いた直線(図示せず)に対し、略左右対称であり、また、その直線に垂直な断面におけるすくい面40形状は、次に説明する傾斜面及び凹溝を含め、前逃げ面33側から見て、前切れ刃110の中央において前切れ刃110に垂直に引いた直線(図示せず)に対し、略左右対称である。
本例において、すくい面40は、前切れ刃110からポジ状のすくい角(例えば、平行四辺形の長辺を基準として、15度)を有するように後方に延び、その後方(先後方向)の適所(図4の位置P1)においてすくい角がネガ状(0度又は負のすくい角)となるように凹となす円弧状の曲面を介して後方に延びている。そして、すくい面40には、この曲面に連なってその後方に傾斜状に、例えば45度で立ち上がるブレーカ壁43が設けられている。すなわち、本例では、すくい面40は、ポジ状のすくい角が得られるように、前切れ刃110から後方に向かって低位をなすように傾斜するポジ状すくい面を有すると共に、このポジ状すくい面の後端(図4の位置P1)より後方において傾斜状に立ち上がるブレーカ壁43を備えている。これにより、本例では、前切れ刃110から後方に向かう、図4の位置P1までの先後範囲が、ポジ状すくい面をなしている。なお、ポジ状すくい面は、前切れ刃110から後方に向かい、その後端位置の(図4の位置P1)の近傍において、その先後方向に凹となす円弧状の曲面を有しており、その曲面の一部がブレーカ壁43の先端側、すなわち、立ち上がりの基部をなすように形成されている。また、ブレーカ壁43の上端45は、前切れ刃110の高さより微量高く設定されており、切削インサート100をなす平行四辺形の長辺より、若干低位で、その長辺に沿う面30に対し、3度程度の傾斜でもって後方に延ばされた面をなし、この面は略平坦面37とされている。
そして、このようなすくい面40のうち、前切れ刃110を含む各横切れ刃120の先後方向に沿う部位には、横切れ刃120から、両横切れ刃120に挟まれる中央部位に向かって低位をなすように傾斜する傾斜面が形成されている。各側の傾斜面は、1つの傾斜からなるものでもよいが、本例では、それぞれ、各横切れ刃120から両横切れ刃120に挟まれる中央部位に向かい、相対的に、小さい角度α1(例えば、直線状の前切れ刃110に対し、5度)で低位をなすように傾斜する第1傾斜面51と、該第1傾斜面に続き、これより大きい角度α2(例えば、直線状の前切れ刃110に対し、12度)で低位をなすように傾斜する第2傾斜面52とからなっている(図5参照)。そして、この2つの第1傾斜面51と第2傾斜面52からなる傾斜面は、前切れ刃110を含む横切れ刃120の先端からブレーカ壁43の上端45までの先後間において形成されている。なお、この傾斜面のうち、第1傾斜面51は、各横切れ刃120に沿って帯状に延びており、その幅は、横切れ刃120にバックレーキがないとした場合、先後にほぼ一定に設定されている。因みに、各横切れ刃120側の第1傾斜面51の幅は、前切れ刃110の切れ刃長(横切れ刃120の先端相互間の寸法)の1/10〜1/5に設定されている。
また、このようなすくい面40のうち、両傾斜面(各側の第1傾斜面51、第2傾斜面52)に挟まれる中央部位には、これら両傾斜面より低位をなす凹溝60が、前切れ刃110を含めて先後方向に延び、かつブレーカ壁43の上端45を越えて後方に、すなわち、ブレーカ壁43の上端45の後方に設けられた平坦面37に切り込む形で形成されている。この凹溝60は、横断面において本例では溝底側が凹となす半円弧状ないし、溝底寄り部位が半円弧状をなすV溝状とされているが(図5等参照)、その溝幅は次に述べるように、先後方向において変化するように設けられている。なお、上記したように、前切れ刃110には前逃げ角が付与されているから、すくい面40に上記したような傾斜面を、前切れ刃110も含めて形成している点で、すくい面40側から見たときの前切れ刃110は、厳密には直線ではなくなっているが、凹溝60が前記したように前切れ刃110にも切り込まれるように設けられているため、さらに、前切れ刃110の中央は、これをすくい面40側から見たとき、後方に、僅かではあるが凹となすものとなっている。ただし、前切れ刃110の中央部位において両傾斜面に挟まれて切り込み形成されている凹溝の深さは、図5−Aに示されるように、ごく微量であるから、その後方への凹みも僅かである。凹溝の深さについては後述する。
さて、次に、両傾斜面(各側の第1傾斜面51、第2傾斜面52)に挟まれる中央部位において、先後に延びるように設けられた凹溝60について、その溝幅のすくい面40側から見たときの先後方向における変化の状態について説明する(図4、図5参照)。ただし、ここに溝幅(寸法)は、凹溝60の各側の溝縁の相互間の幅寸法、すなわち、各側の溝壁(溝壁面)63と、各側の傾斜面(本例では第2傾斜面52)とが交差する稜線部65における幅である。ただし、この交差する稜線部65には、微小な(0.1mm程度の)アール(糸面取り)が付与されている。すなわち、先後に延びるこの凹溝60は、前切れ刃110の中央にも連なるように切り込まれているところ、その前切れ刃110における凹溝60の溝幅寸法W1に対し、図4に示したように、それから後方に向けてその溝幅が漸増させられ、その後で漸減させられ、すくい面40の先後方向のうち、前切れ刃110とブレーカ壁43の上端45との概ね中間部位P2(図4のS2−S2線の箇所)でその漸減における最狭小部をなしている。そして、この最狭小部である溝幅寸法W2の位置P2から後方に向かうブレーカ壁43の上端45の位置P3(図4のS3−S3線の箇所)まで漸増させられるように形成されている。ただし、この漸増等の変化は、すくい面40側から見てなだらかな曲線で形成されている。なお、この最狭小部の位置P2は、すくい面40の先後方向のうち、ブレーカ壁43の上端45の位置P3より先方であって、ポジ状のすくい角の後端位置P1より後方に設定されている。このため、すくい面40上を、ポジ状のすくい角に沿って前切れ刃110から後方に流れる切り屑は、この最狭小部の位置P2においてその流れ方向が、下向きから、水平又は上向きに変更されるようになっている。
そして、凹溝60のうち、前切れ刃110の位置における溝幅寸法をW1とし、その先後方向のうちの最狭小部の位置P2における溝幅寸法をW2とし、ブレーカ壁43の上端45の位置P3における溝幅寸法をW3としたとき、この各位置における溝幅寸法、W1、W2、W3は、W1<W2<W3の寸法関係となるように形成されている。また、W1は、前切れ刃110のすくい面40側から見たときの長さを、Waとしたとき、W1≦Wa/2の寸法関係にあるが、本例では、W1は、Waの1/5程度に設定されている。また、W1とW2との寸法関係は、W1は、W2の半分程度とされている。ただし、W2は、Waの1/3程度に設定されている。そして、W3は、Waの1/2程度に設定されている。なお、後方に延びる凹溝60は、ブレーカ壁43の上端45を越えてその後方に設けられた平坦面37の後方に切り込む形で形成されているが、この平坦面37における凹溝60の溝幅は後端67に向かうに従い漸減して、終息するように形成されている。なお、溝幅のうち、前切れ刃110における凹溝60から後方に向けてその溝幅が漸増させられ、その後で漸減させられるその切り替わり箇所である、途中の最大の溝幅部位における溝幅Wmは、溝幅寸法W1、W2よりも大きくなるが、W3よりは小さくされている。なお、この溝幅Wmの部位は、 溝幅寸法W1の位置と、溝幅寸法W2の位置P2の先後間の中間部位(図4におけるS1−S1線の箇所)である。
一方、このような凹溝60の深さは、先後にわたりブレーカ壁43までは一定でもよいが 本例では、次のように変化するものとされている。すなわち、本例における凹溝60の深さは、図4、図5に示したように、その横切れ刃120からの溝深さとしてみると、先端の前切れ刃110の位置を基点として後方に行くに従い、次第に深くなり、溝幅寸法W1の位置と、溝幅寸法W2の位置P2の先後間の中間部位で最大(最深)となり、その後次第に浅くなって最狭小部(溝幅寸法W2の位置P2)の近傍において最小となり、その後、後方に向かうしたがって、ブレーカ壁43の上端45に対応する位置P3の近傍まで、次第に深くなるように設定されている。なお、凹溝60の溝底の変化の状態としてみると、最大(最深)の深さとなる位置、すなわち、溝幅寸法W1の位置と溝幅寸法W2の位置の先後間の中間部位から後方に向い、ブレーカ壁43の上端45の位置P3に対応する位置までは、図示したように(図4断面図参照)、僅かに深くなるように設定され、ブレーカ壁43の上端45の位置P3に対応する位置から後方に向かうに従い次第に浅くなるようにされている。なお、本例では、最深部、及び溝幅寸法W2の部位での溝深さは、それぞれの部位における溝幅寸法に対し、1/5〜2/3の範囲内の寸法とされている。
このような本例切削インサート100を用い、旋削により溝入れ又は突っ切り加工をする場合において発生する切り屑は、すくい面40及び凹溝60の溝底側に向けて押し付けられ、溝幅寸法が上記したように変化する凹溝60に沿って後方にガイドされて流れるため、送り量の大小による切り屑厚さの異同にかかわらず、横ずれすることなくぜんまい状に巻かれて排出される。これにより、被削材に傷をつけることが防止され、切断端面の面粗度の向上が得られる。ここで、図6を参照しながら切り屑の流れについて、本願発明者において実際の切削過程及び切削後に排出された切り屑等を観察した結果に基づいて、推論等を含め説明する。なお、この実際の切削における加工条件は、被削材がSUS304で、φ8mmの丸棒であり、切削速度が80m/min、そして送り量が、0.02〜0.08mm/revの範囲である。
本例切削インサート100を被削材に所定の送り量で切り込むと、図6−Aに示したように、前切れ刃110の形状に沿う横断面の切り屑K1として生成され、それがすくい面40上に押し付けられながら後方に流れる。この切削開始時に生成される切り屑K1は、前切れ刃110の形状に基づき、その幅方向の中間(中央)部位が、下向き凸形状のものとして生成され、凹溝60に沿って後方に向けてガイドされて流れる。なお、この切り屑発生時のその幅は前切れ刃110の幅Waと略同じと考えられる。
そして、このように生成された切り屑が凹溝60を後方に流れ始めるとき、凹溝60は後方に向けてその溝幅が漸増するようになっているため、切り屑は、凹溝60の溝底に向けて沈み込むように押し付けられながら後方に流れる。そして、溝幅寸法がWmの部位も含め、このような切り屑には下向き凸が先後に凸条(芯)となって連なるため、図6−Bに示したように、切り屑K2は、凹溝60内に沈み込み、凹溝の中央において安定して後方に流れる。そして、この流れ過程において切り屑は、その沈み込みにより、凹溝60の溝底に向けて、その両縁(凹溝60の両側の溝壁面と、各傾斜面とのなす角)の稜線部65に押し付けられ、かつ、傾斜面による傾斜とも相まって、両側が押し上げられるような変形作用を受ける。これらの作用により、切り屑K2生成開始時の切り屑K1より幅が狭くなる。
このようにして後方に流れる切り屑は、凹溝60の溝幅が漸減する部位を流れるに至ると、今度は、切り屑の両側寄り部位又は両側が、凹溝60の両縁の稜線部65等にさらに強く押し付けられる。これにより、切り屑は、横断面においてその両端寄り部位がさらに上向きに押し上げられ(折り畳まれ)るような変形作用を受ける。すなわち、この変形作用を受けることで、切り屑は、幅方向の中央部位が下向きに、より大きな凸となす横断面に変形させられるようになり、幅もさらに小さくなる。
そして、このような変形作用を受ける切り屑が、最狭小部P2の溝幅寸法W2の位置に至ると、図6−Cに示したように、切り屑K3は、その折り畳まれによる幅方向の変形作用がさらに増大する。というのは、この溝幅寸法W2の部位である最狭小部(括れ部位)P2は、ポジ状のすくい角の後端位置P1より後方にあるため、この最狭小部を通過する切り屑K3の両側寄り部位又は両側には、凹溝60の両縁(稜部)にて、極めて強い押し付け力が作用するためである。一方で、溝幅寸法W2は、前切れ刃110における溝幅寸法W1より大きく設定されているから、切削開始時に生成された切り屑における下向き凸から連なる凸条は、最狭小部(括れ部位)においても凹溝60から外れることがなく、したがって、後方への流れにおけるガイド作用も保持される。
そして、最狭小部を通過した切り屑は、後方のブレーカ壁43の上端45に向けて溝幅が漸増する凹溝60を後方に流れることになる。この流れにおいては、再度、切り屑K4は凹溝60の溝底に向けて沈み込み可能な状態において凹溝60の両縁の稜線部65に押し付けられながら後方に流れるため、ブレーカ壁43の上端45に至るまで横ずれもなく、凹溝60にガイドされて流れる(図6−D参照)。結果、このようにすくい面40を後方に流れた切り屑K4は、横ずれもなくぜんまい状に巻かれ、適度の長さで分断されたものとなる。そして、このような切り屑の流れは、実際の切削結果からして、その厚さに影響されないことが判明している。そして、実際の切削結果からしても、送り量が小さく、切り屑の厚さが薄い場合でも、横ずれもなくぜんまい状に巻かれる切り屑として処理されると共に、排出される切り屑による加工面、すなわち、溝壁面や切断端面に傷がついたりすることもなく、また、絡み付きも生じない。このように、上記構成の切削インサート100によれば、溝入れや突っ切り加工において極めて好ましい切り屑処理が得られる。
本発明は、上記した実施形態のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜に変更して具体化できる。上記例では、溝幅の変化(漸増、漸減)について、すくい面側から見て、なだらかな曲線で変化するものとして具体化したが、複数の直線を繋いで、その溝幅の漸増、漸減をさせてもよい。また、溝幅寸法、W1、W2、W3は、W1<W2<W3の寸法関係となるかぎり、すくい面の先後長、前切れ刃の長さ等に応じ、適宜の大きさにて設定できる。そして、漸増後の最狭小部(溝幅寸法、W2)の位置P2は、すくい面におけるすくい角の大きさ、ブレーカ壁の立ち上がり状態や、前切れ刃からブレーカ壁の上端までの先後長、さらには、送り量の大小等の加工条件に応じて適宜に設定すればよい。また、凹溝の深さは、傾斜面の傾斜角とともに、切り屑の幅方向における変形に影響するものであるが、これは、前切れ刃の長さ、すなわち、切り屑の幅や旋削における送り量(切り屑の厚さ)、さらには、被削材の被削性等により、適度の変形が得られるように、凹溝の先後方向における位置、さらには、溝幅との関係で適宜に設定すればよい。なお、上記例では、切削インサートが平行四辺形であり、その対向する鋭角のコーナに、それぞれ切れ刃を有するものにおいて具体化したが、説明するまでもなく、本発明は、切削インサートが三角形で3つのコーナに切れ刃を有するものや、矩形(長方形)板状で、その両端にそれぞれ切れ刃を有するいわゆるドッグボーン型など、切削インサート(本体)自体の形状に関係なく各種の形状の切削インサートに具体化できる。
40 すくい面
43 ブレーカ壁
45 ブレーカ壁の上端
51,52 傾斜面(第1傾斜面、第2傾斜面)
60 凹溝
100 切削インサート
112 前切れ刃と横切れ刃とのなすコーナ
110 前切れ刃
120 横切れ刃
P1 ポジ状のすくい角の後端位置(ポジ状のすくい面の後端)
P2 ポジ状のすくい角の後端位置より後方位置の漸減における最狭小部の位置
W1 凹溝のすくい面側から見た溝幅であって、前切れ刃の位置における溝幅寸法
W2 凹溝のすくい面側から見た溝幅であって、最狭小部の位置における溝幅寸法
W3 凹溝のすくい面側から見た溝幅であって、ブレーカ壁の上端の位置における溝幅寸法
Wa 前切れ刃のすくい面側から見たときの長さ

Claims (5)

  1. 前切れ刃と、前記前切れ刃の両端においてそれぞれ後方に延びる横切れ刃を有する切削インサートであって、
    すくい面は、ポジ状のすくい角が得られるように、前記前切れ刃から後方に向かって低位をなすように傾斜するポジ状すくい面を有すると共に、このポジ状すくい面の後端又は該後端より後方において傾斜状に立ち上がるブレーカ壁を備え、
    前記すくい面のうち、前記前切れ刃を含む各横切れ刃の先後方向に沿う部位には、各横切れ刃から、両横切れ刃に挟まれる中央部位に向かって低位をなすように傾斜する傾斜面が形成されていると共に、前記両傾斜面に挟まれる中央部位には、該両傾斜面より低位をなす凹溝が、前記前切れ刃を含めて先後方向に延び、かつブレーカ壁の上端を越えて後方に切り込む形で形成されており、
    かつ、該凹溝は、前記すくい面側から見た溝幅が、前記前切れ刃と前記ブレーカ壁の上端との先後間において、
    該前切れ刃の位置から後方に向けて漸増させられた後で漸減させられ、前記ブレーカ壁の上端の位置より先方であって前記ポジ状のすくい角の後端位置である前記ポジ状すくい面の後端より後方においてその漸減における最狭小部をなし、この最狭小部の位置から後方に向かうブレーカ壁の上端の位置まで漸増させられるように形成され、
    前記前切れ刃の位置における溝幅寸法をW1とし、前記最狭小部の位置における溝幅寸法をW2とし、前記ブレーカ壁の上端の位置における溝幅寸法をW3としたとき、この各位置における溝幅寸法、W1、W2、W3が、
    W1<W2<W3の寸法関係となるように形成されていることを特徴とする切削インサート。
  2. 前記傾斜面が、それぞれ、各横切れ刃から前記中央部位に向かい、相対的に、小さい角度α1で低位をなすように傾斜する第1傾斜面と、該第1傾斜面に続き、これより大きい角度α2で低位をなすように傾斜する第2傾斜面とを有していることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
  3. 前記前切れ刃のすくい面側から見たときの長さを、Waとしたとき、上記W1とWaとが、W1≦Wa/2の寸法関係にあることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の切削インサート。
  4. 前記すくい面側から見たときにおける前記前切れ刃と前記横切れ刃とのなす各コーナに、アールが付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサート。
  5. 前記切削インサートが、溝入れ用又は突っ切り用の切削インサートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切削インサート。
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