JP2016082987A - 細胞培養容器 - Google Patents

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琢磨 馬塲
Takuma Baba
琢磨 馬塲
将慶 籠田
Shokei Kagota
将慶 籠田
智紀 赤井
Tomonori Akai
智紀 赤井
奥村 幸一郎
Koichiro Okumura
幸一郎 奥村
あつみ 木村
Atsumi Kimura
あつみ 木村
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Abstract

【課題】培養作業性と観察作業性を向上させることが可能な細胞培養容器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、底面と側面とを有する細胞培養容器であって、底面に、細胞を収容するためのマイクロウェルが一つ以上配置されており、マイクロウェルが、最深部から外縁に進むに従って高くなるように形成された第1傾斜面と、第1傾斜面と接続して外縁側に、さらに外縁に進むに従って高くなるように形成された第2傾斜面とを有し、細胞培養容器の底面に垂直な線と第1傾斜面とのなす角度θ1が90°未満であり、細胞培養容器の底面に垂直な線と第2傾斜面とのなす角度θ2が3°以上45°以下であり、θ1がθ2より大きく、マイクロウェルの深さが0.05mm以上0.5mm以下である、細胞培養容器に関する。
【選択図】図3

Description

本発明は、受精卵などの個別管理が必要な細胞を培養するための細胞培養容器に関する。
培養系で精子と卵子とを体外受精させて受精卵(接合子)を作製して、さらに受精卵を卵割、桑実胚、胚盤胞の段階を経て、透明帯から孵化した脱出胚盤胞の段階まで培養することが可能となり、この卵割から胚盤胞の段階にある受精卵を子宮に移植して産子を得る補助的生殖技術(ART)が、家畜領域のみならずヒトの不妊医療でも確立されている。
しかし、体外受精による妊娠成功率は必ずしも高くはなく、たとえばヒトにおいては、その妊娠成功率は、依然として25〜35%程度に留まっている。その原因の一つとして、培養において子宮への移植に適した良質な受精卵を得られる確率が高くないことが挙げられる。培養された受精卵は、専門家が顕微鏡で個別に観察することにより、子宮への移植に適した良質な受精卵であるか否か判別されている。
体外受精においては、容器中に培養液のドロップを作り、この中に受精卵を入れて体外培養するマイクロドロップ法が用いられることが多い。従来、このマイクロドロップ法には、細胞培養容器として、底面が単一平面であり、直径が30〜60mmのシャーレが使用され、シャーレの底面に、培養液のドロップを、間隔をあけて複数個作製し、その中で細胞を培養する方法が使用されてきた。
通常のシャーレでドロップを作成するとドロップ形成位置が定まらず、振動等でドロップがずれてしまうといった問題があった。ドロップがずれてしまうと、その中で培養して観察していた受精卵の特定が難しくなるという問題があった。また、複数のドロップが合流してしまうと、さらに受精卵の特定が難しくなるという問題があった。したがって、ドロップの位置が制御でき、受精卵培養作業時や培養時の振動による影響を抑制できる手段が求められていた。
一方で、受精卵の培養効果をより効率的にするためにはオートクライン効果やパラクライン効果の二つを利用することが好ましいとされている。これらの効果を利用し、ドロップ位置を制御する目的で、シャーレの底面に受精卵のサイズと同程度のマイクロウェルを形成し、これを内壁で囲み、マイクロウェルに受精卵を配置するとともに、内壁の内部に培養液のドロップを添加し、その中で培養を行うシステムが知られている(特許文献1)。それにより複数の受精卵の位置を制御して個別観察を可能としつつ、少量の培養液の中で培養を行うことができ、オートクライン効果やパラクライン効果を利用できる。
特許第4724854号公報
本発明者らは、受精卵培養を行う際に、マイクロウェルを有する細胞培養容器を利用すると、ウェルのサイズが小さいため培養液を入れる際に気泡がウェル内に残ってしまい、気泡を抜くための作業が必要で作業が煩雑であること、一方、気泡が抜けやすい構造とすると、マイクロウェル内から受精卵が外に飛び出るといったリスクがあるという課題を見出した。
したがって本発明は、細胞を収容するためのマイクロウェルを有する培養容器を用いたマイクロドロップ法による細胞培養において、マイクロウェル内に気泡が残りにくく、かつ細胞をマイクロウェル内に安定的に保持することができ、培養作業性と観察作業性を向上させることが可能な細胞培養容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、傾斜角度の異なる2種類の傾斜面を有するマイクロウェルをその底面に形成した細胞培養容器を用いることにより、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)底面と側面とを有する細胞培養容器であって、
底面に、細胞を収容するためのマイクロウェルが一つ以上配置されており、
マイクロウェルが、最深部から外縁に進むに従って高くなるように形成された第1傾斜面と、第1傾斜面と接続して外縁側に、さらに外縁に進むに従って高くなるように形成された第2傾斜面とを有し、
細胞培養容器の底面に垂直な線と第1傾斜面とのなす角度θ1が90°未満であり、
細胞培養容器の底面に垂直な線と第2傾斜面とのなす角度θ2が3°以上45°以下であり、
θ1がθ2より大きく、
マイクロウェルの深さが0.05mm以上0.5mm以下である、
細胞培養容器。
(2)第1傾斜面と第2傾斜面とがマイクロウェル内側になす角度θ3が100°以上150°以下である、(1)に記載の細胞培養容器。
(3)底面に複数のマイクロウェルが形成されており、かつ複数のマイクロウェルを囲む内壁が形成されている、(1)または(2)に記載の細胞培養容器。
(4)マイクロウェルの垂直切断面における、第1傾斜面と第2傾斜面の接続部の曲率および開口端の曲率が、それぞれ0.01mm以上0.1mm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞培養容器。
(5)マイクロウェルの第1傾斜面が円錐面または円錐台の側面を形成しており、第2傾斜面が円錐台の側面を形成している、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞培養容器。
本発明により、培養作業性と観察作業性が向上した細胞培養容器が提供される。
本発明の細胞培養容器の一実施形態の上面図を示す概略図である。 本発明の細胞培養容器の一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明の一実施形態のマイクロウェルの垂直断面図を示す概略図である。 本発明の一実施形態のマイクロウェルの垂直断面図を示す概略図である。 本発明の細胞培養容器を用いた細胞培養方法の一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。
以下、本発明について説明する。
本発明の細胞培養容器の一実施形態の概略図を図1〜3に示す。図1は上面図を、図2は垂直断面図を、図3はマイクロウェルの拡大図を示す。図1〜3に示されるように、本発明の細胞培養容器は、
側面1と底面2とを有する細胞培養容器であり、
底面2に、細胞を収容するためのマイクロウェル3が配置されており、
マイクロウェル3が、最深部4から外縁に進むに従って高くなるように形成された第1傾斜面5と、第1傾斜面と接続して外縁側に、さらに外縁に進むに従って高くなるように形成された第2傾斜面6とを有し、
細胞培養容器の底面に垂直な線と第1傾斜面5とのなす角度θ1が90°未満であり、
細胞培養容器の底面に垂直な線と第2傾斜面6とのなす角度θ2が3°以上45°以下であり、
θ1がθ2より大きく、
マイクロウェルの深さLが0.05mm以上0.5mm以下である。
本実施形態の細胞培養容器は、細胞を収容するためのマイクロウェルが、傾斜角度の異なる第1傾斜面と第2傾斜面とを有する。第1傾斜面は、最深部から外縁に進むに従って高くなるように形成されており、第2傾斜面は、第1傾斜面の外縁端に接続して形成される。第2傾斜面も、第1傾斜面との接続部からさらに外縁に進むに従って、第1傾斜面よりも急勾配で高くなるように形成される。
第1傾斜面が、細胞培養容器の底面に垂直な線となす角度θ1は、90°未満であり、好ましくは89°以下、より好ましくは87°以下、さらに好ましくは85°以下であり、好ましくは45°以上、より好ましくは60°以上、さらに好ましくは70°以上である。本発明の細胞培養容器のマイクロウェルは、このような角度θ1で傾斜した第1傾斜面を有することから、細胞をマイクロウェルの中心部(最深部)に維持することができ、すなわち多少の揺れを与えても細胞が中心位置から移動しないため、顕微鏡下において細胞を探す必要がなく観察しやすいという利点がある。すなわち、θ1を一定の角度以上とすることにより、重力を駆動源として、細胞を配置したい場所(最深部)へ移動させやすく、一定の角度以下とすることにより、顕微鏡で透過観察する際の傾斜面での反射、散乱が起こりにくくなり、鮮明な観察像を得ることができる。さらに、角度θ1を上記範囲とすることにより、細胞を中心に維持する機能を持たせつつ、培養液を添加したときに、マイクロウェル内に気泡が残るのを防止できる。
一方、細胞培養容器の底面に垂直な線と第2傾斜面とのなす角度θ2は、3°以上、好ましくは5°以上、より好ましくは7°以上であり、45°以下、好ましくは40°以下、より好ましくは30°以下である。本発明の細胞培養容器のマイクロウェルは、このような角度θ2で傾斜した第2傾斜面を有することから、培養液を添加したときに、マイクロウェル内に気泡が残るのを防止できる。一方、角度θ2を45°以下とすることにより、細胞がマイクロウェルから飛び出すのを防止することができ、多少の振動や横揺れを与えても細胞をマイクロウェル内に保持することができる。なお、θ1はθ2よりも大きい。
細胞培養容器のサイズは、特に制限されないが、開口部が好ましくは円形で、開口幅(例えば、図2のr)が、好ましくは30〜60mm、特に35mmのものが用いられる。これは従来の細胞培養に用いられているシャーレと同等のサイズであり、汎用のシャーレから簡便に作製できること、および既存の培養装置等に適合しやすいことから、上記のようなサイズのものが好ましい。
図3にマイクロウェルの垂直切断面の拡大図を示す。マイクロウェルの垂直切断面は、細胞培養容器の底面に垂直でマイクロウェルの中心を通る切断面をさす。マイクロウェルは、細胞培養容器の底面に形成され、第1傾斜面5と第2傾斜面6を有し、開口部7を有する。細胞培養容器は、通常、その底面が水平となる状態で配置されて使用される。マイクロウェルの開口部の外縁の形状は特に制限されないが、好ましくは円状(円形、略円形、楕円形、略楕円形、および半円形を含む)であり、特に好ましくは円形である。
マイクロウェルの第1傾斜面5は、マイクロウェルの最深部4から外縁に進むに従って高くなるように傾斜して形成されている。外縁に進むに従って高くなるとは、図3に示すような垂直切断面(細胞培養容器の底面に垂直でマイクロウェルの中心を通る切断面)において、マイクロウェルの最深部4から、第2傾斜面6との接続部8の方へ外側に向かって所定の傾斜構造をもって高くなっていることをいう。マイクロウェルの第1傾斜面は、なだらかな傾斜面を形成し、好ましくは、円錐面または円錐台の側面を形成する。第1傾斜面が円錐面を形成する場合、マイクロウェルの最深部4は円錐の頂点に該当するように円錐が配置されるような構成となる(図3)。この場合、マイクロウェルの最深部、すなわち円錐の頂点は丸みを帯びていてもよい。第1傾斜面が円錐台の側面を形成する場合、円錐台の上面および下面のうち面積の狭いほうがマイクロウェルの最深部に該当するように円錐台が配置されるような構成となる(図4)。マイクロウェルの第1傾斜面が円錐面または円錐台の側面を形成する場合、θ1は、中心線と母線とのなす角度に相当する。
マイクロウェルの第2傾斜面6は、第1傾斜面の外縁端(第1傾斜面の開口部)に接続して形成されており、第1傾斜面との接続部8からさらに外縁に進むに従って高くなるように形成される。外縁に進むに従って高くなるとは、図3に示すような垂直切断面(細胞培養容器の底面に垂直でマイクロウェルの中心を通る切断面)において、第1傾斜面との接続部8から、マイクロウェルの開口端9の方へ外側に向かって所定の傾斜構造をもって高くなっていることをいう。マイクロウェルの第2傾斜面は、なだらかな傾斜面を形成し、好ましくは円錐台の側面を形成する。第2傾斜面が円錐台の側面を形成する場合、円錐台の上面および下面のうち面積の狭いほうがマイクロウェルの底側に該当するように円錐台が配置されるような構成となる(図3および図4)。マイクロウェルの第2傾斜面が円錐台の側面を形成する場合、θ2は、中心線と母線とのなす角度に相当する。マイクロウェルの壁面は、上記のような第2傾斜面より開口部側に、細胞培養容器の底面に垂直な壁面を有していてもよい。
第1傾斜面と第2傾斜面とがマイクロウェル内側になす角度θ3は、好ましくは100°以上、より好ましくは105°以上であり、好ましくは150°以下、より好ましくは145°以下である。θ3を上記範囲とすることにより、マイクロウェル内に気泡が残るのをより効率的に防止することが可能となり、多少の振動や横揺れを与えても細胞をマイクロウェル内により効率的に保持することができる。
図3および図4に示すような垂直切断面において、第1傾斜面と第2傾斜面の接続部8およびマイクロウェルの開口端9は、丸みを帯びていること、すなわち曲率を有することが好ましい。その場合、曲率は、それぞれ好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、好ましくは0.1mm以下、より好ましくは0.07mm以下である。第1傾斜面と第2傾斜面の接続部およびマイクロウェルの開口端に曲率を持たせることにより、気泡がより抜けやすくなることで作業性が改善すること、およびプラスチックによる射出成形加工が容易になり歩留まりが向上するなどの効果が期待できる。
マイクロウェルの傾斜面の表面粗さは、大きい値であると、顕微鏡で透過観察を行った画像を輪郭抽出処理に付す際に、傾斜面上の凹凸に起因して明瞭な輪郭が得られない恐れがあるため、可能な限り小さい値であることが好ましい。具体的には、最大高さRy(粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分における山頂線と谷底線との間隔をいう)が1μm未満、特に0.5μm未満であることが好ましい。なお、傾斜面の表面粗さは、培養容器の鋳型を作製する際に磨き処理を施す等して、鋳型の加工精度を高めることにより小さくすることができる。
マイクロウェルの深さは、マイクロウェルの開口部から最深部までを垂直に測った深さ(図3および図4のL)をいい、0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下である。マイクロウェルの深さは、浅過ぎると、培養容器の輸送時や細胞の分裂時などに細胞が動き、細胞がマイクロウェルの範囲外に出てしまう恐れがあるため、確実に細胞をマイクロウェル内に保持できるように設定される。例えば、細胞をマイクロウェル内に保持するには、深さが細胞の最大径の1/3以上であることが好ましく、1/2以上であることがさらに好ましい。一方、深過ぎると、マイクロウェル内に培養液や細胞を導入することが難しくなるため、細胞をマイクロウェル内に保持しつつ、深過ぎない値になるよう適宜設定される。例えば、深さの上限をマイクロウェルの開口部の開口幅に対して3倍以下とすることができる。さらに、培養液の導入を容易にするためには、深さはマイクロウェルの開口幅の1倍以下であることが好ましく、1/2以下であることが特に好ましい。
マイクロウェルの開口部は、細胞を収容可能な開口幅を有する。ここで、マイクロウェルの開口部の開口幅は、マイクロウェルの開口部の外縁が形成する図形の最短径の長さをさす。従って、マイクロウェルの開口部の外縁が円形である場合、開口幅は円の直径に等しく、その直径は、培養する細胞の最大寸法より大きいものとなる。本発明の細胞培養容器により受精卵を培養する場合、胚盤胞の段階まで培養することが望ましいため、円形の開口部の直径は、胚盤胞の段階の細胞の最大寸法より大きいものであることが望ましい。また、マイクロウェルの開口部の外縁が円形である場合、開口幅は、マイクロウェル間のピッチより小さい。したがって、マイクロウェルの開口部の開口幅(例えば図3および図4のR、マイクロウェルの開口部の外縁が円形である場合はその直径)は、好ましくは0.1mm以上1mm以下である。好ましくは0.25mm以上、より好ましくは0.26mm以上、さらに好ましくは0.27mm以上であり、好ましくは0.7mm未満、さらに好ましくは0.45mm未満である。また、上記マイクロウェルの開口部の開口幅は、X+m(ここでXは細胞の最大径を表す)と規定することもできる。ここで、mは、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.02mm以上である。
マイクロウェルの第1傾斜面の外縁の開口幅(例えば、図3および図4の接続部8が形成する開口部の開口幅R’、円形である場合は直径)は、θ1とθ2とLにより、自動的に決定される場合もあるが、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、好ましくは0.65mm未満、より好ましくは0.55mm未満である。
マイクロウェルは、細胞培養容器の底面に、少なくとも1個形成され、好ましくは4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは8個以上が、近接して形成されている。マイクロウェルは、少なくとも4個が近接して形成されていればよく、さらに近接していないマイクロウェルが別途形成されていてもよい。また、4個以上近接して形成されたマイクロウェルの群が、複数群配置されていてもよく、それらの群は互いに近接していなくてもよい。近接するマイクロウェル間のピッチは1mm以下である。ただし、上記ピッチは収容する細胞の種類に依存して異なる。上記のようなピッチでマイクロウェルを密に配置することにより、細胞を個別に管理しつつ多くの細胞を同時に培養でき、さらに顕微鏡の一視野に多くの細胞が入るため、一度に多くの細胞の画像を取得することができる。
4個以上近接して形成されたマイクロウェルは、それらを囲む内壁により、培養容器内のその他の部分と隔てられていてもよい。当該実施形態では、近接したマイクロウェル(細胞収容部)の群ごとに内壁で囲まれており、複数のマイクロウェルの群が細胞培養容器の底面に存在する場合は、各群ごとに内壁で囲まれることになる。通常、受精卵等の培養においては、培養容器に受精卵を含む培養液の液滴を形成し、液滴をオイルで覆うことにより培養液の乾燥が防止されている。4個以上近接して形成されたマイクロウェルの群をさらに内壁で囲むことにより、その内部に培養液を収容して安定なドロップを形成し、培養液の分散を防ぐことができる。培養液をミネラルオイル等のオイルで覆う場合も同様である。
本実施形態の細胞培養容器の材質は、特に制限されない。具体的には、金属、ガラス、およびシリコン等の無機材料、プラスチック(例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。本実施形態の細胞培養容器は、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、プラスチック材料からなる培養容器を製造する場合には、慣用の成形法、例えば射出成形により製造することができる。
本実施形態の細胞培養容器は、培養細胞の非特異的接着を防止し、また培養液のドロップが表面張力によって偏ることを防止する観点から、プラズマ処理などの表面親水化処理することが好ましい。製造後の容器に付着している菌数(バイオバーデン数)が100cfu/容器以下であることが好ましい。また、さらにγ線滅菌などの滅菌処理を施されていることがより好ましい。
本実施形態の細胞培養容器は、受精卵の発育を促進するような表面処理または表面コートがなされていてもよい。特に、受精卵の発育を促進するために、他の器官の細胞(例えば、子宮内膜細胞や卵管上皮細胞)と共培養をする場合、これらの細胞をあらかじめ培養容器に接着させる必要がある。このような場合に、培養容器の表面に細胞接着性の材料をコートすると有利である。
培養対象となる細胞は、特に制限されないが、例えば、受精卵、卵細胞、ES細胞(胚性幹細胞)およびiPS細胞(人工多能性幹細胞)が挙げられる。卵細胞は、未受精の卵細胞をさし、未成熟卵母細胞および成熟卵母細胞が含まれる。受精卵は、受精後、卵割により2細胞期、4細胞期、8細胞期と細胞数が増えていき、桑実胚を経て、胚盤胞へと発生する。受精卵には、2細胞胚、4細胞胚および8細胞胚などの初期胚、桑実胚、胚盤胞(初期胚盤胞、拡張胚盤胞および脱出胚盤胞を含む)が含まれる。胚盤胞は、胎盤を形成する潜在能力がある外部細胞と胚を形成する潜在能力がある内部細胞塊からなる胚を意味する。ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から得られる未分化な多能性または全能性細胞をさす。iPS細胞は、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞に似た分化万能性を持たせた細胞をさす。すなわち、本実施形態において細胞には、受精卵や胚盤胞のように複数の細胞の集合体も包含される。
本実施形態の細胞培養容器は、好ましくは哺乳動物および鳥類の細胞、特に哺乳動物の細胞の培養に好適である。哺乳動物は、温血脊椎動物をさし、例えば、ヒトおよびサルなどの霊長類、マウス、ラットおよびウサギなどの齧歯類、イヌおよびネコなどの愛玩動物、ならびにウシ、ウマおよびブタなどの家畜が挙げられる。本実施形態の細胞培養容器は、ヒトの受精卵の培養に特に好適である。
通常、マイクロウェルを覆うように培養液Aを添加した後、培養液を覆うようにオイルCを添加し、さらに培養液中に細胞Bを添加する。これらの作業は、通常ピペットやガラスキャピラリー等の器具を用いて実施される。本実施形態の細胞培養容器は、開口が大きいので、これらの操作を比較的容易に実施できる(図5)。
培養は、通常、細胞培養容器を培養細胞の発育および維持に必要なガスを含む環境雰囲気および一定の環境温度をもたらすインキュベータに入れることにより実施される。必要なガスには、水蒸気、遊離酸素(O)および二酸化炭素(CO)が含まれる。環境温度とCO含有量を調節することにより、培養液のpHを一定時間内に安定させることができる。安定なCO含有量と安定な温度により安定なpHが得られる。画像比較プログラムにより、培養中の細胞の画像を予め保存された画像と比較することにより、培養の際の温度、ガスおよび培養液などの培養条件を調節することもできる。
例えば受精卵を培養する場合には、通常、培養後に、子宮への移植に適した良質な受精卵であるか否かが判別される。判別は自動で行ってもよいし、顕微鏡等により手動で行ってもよい。培養細胞の自動判別においては、顕微鏡により取得された培養容器内の細胞の画像をCCDカメラ等の検出装置によって撮像し、得られた像を輪郭抽出処理に付し、画像中の細胞に該当する部分を抽出し、抽出された細胞の画像を画像解析装置で解析することによりその質を判別することができる。画像の輪郭抽出処理については、例えば、特開2006−337110に記載された処理を利用できる。
マイクロウェルが細胞培養容器の底面に平行な底面とそれに垂直な側面とからなる場合は、細胞がマイクロウェル内で移動して側面に接触する場合があり、その状態で細胞の撮像を行うと、撮影された画像において輪郭抽出処理により細胞の画像を抽出することが困難であるという問題があるが、マイクロウェルの壁面が、傾斜面を有する場合、好ましくは円錐状又は円錐台状の部分を含む場合は、培養される細胞は自動的にマイクロウェルの底の部分に存在することとなり、マイクロウェルが細胞培養容器の底面に垂直な側面を傾斜面より開口部側に有していたとしても、これに接触したままとなることはなく、撮像された細胞の画像の輪郭抽出処理を問題なく実施することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
図3において、θ1が90°または83°であり、θ2が0〜80°であり、第1傾斜面の開口幅R’が0.285mmであり、深さLが0.165mmであるマイクロウェルを作製した。そして、培養液をマイクロウェルに分注した際に、マイクロウェル内に気泡が残りやすいかどうかを評価した(N=20回)。結果を表1の「気泡」の列に示す。培養液をマイクロウェルに滴下した際にマイクロウェル内に気泡が残らなかったものを「◎」、第1傾斜面と第2傾斜面の接続部に残ることがあったものを「○」とした。
次に受精卵と同様のサイズである樹脂ビーズをモデルとして、内容物を安定的に保持できるかを確認した。震度4〜6の横揺れに相当する加速度をJIS60068−3−3に従って加えた後に、樹脂ビーズが保持されているか確認した。結果を表1の「保持」の列に示す。ビーズがまったく外にでなかったものを「◎」、僅かに外にでてしまったものを「○」、すべて外に出たものを「×」とした。
また、樹脂ビーズがマイクロウェルの中心から移動して観察ポイントが変化しないかどうかについても確認した。結果を表1の「中心位置」の列に示す。
Figure 2016082987
1:側面
2:底面
3:マイクロウェル
4:マイクロウェルの最深部
5:第1傾斜面
6:第2傾斜面
7:マイクロウェルの開口部
8:第1傾斜面と第2傾斜面の接続部
9:マイクロウェルの開口端
10:内壁
r:細胞培養容器の開口幅
R:マイクロウェルの開口幅
R’:第1傾斜面と第2傾斜面の接続部の開口幅
L:マイクロウェルの深さ
θ1:第1傾斜面の傾斜角度
θ2:第2傾斜面の傾斜角度
θ3:第1傾斜面と第2傾斜面のなす角度
A:培養液
B:細胞
C:オイル

Claims (5)

  1. 底面と側面とを有する細胞培養容器であって、
    底面に、細胞を収容するためのマイクロウェルが一つ以上配置されており、
    マイクロウェルが、最深部から外縁に進むに従って高くなるように形成された第1傾斜面と、第1傾斜面と接続して外縁側に、さらに外縁に進むに従って高くなるように形成された第2傾斜面とを有し、
    細胞培養容器の底面に垂直な線と第1傾斜面とのなす角度θ1が90°未満であり、
    細胞培養容器の底面に垂直な線と第2傾斜面とのなす角度θ2が3°以上45°以下であり、
    θ1がθ2より大きく、
    マイクロウェルの深さが0.05mm以上0.5mm以下である、
    細胞培養容器。
  2. 第1傾斜面と第2傾斜面とがマイクロウェル内側になす角度θ3が100°以上150°以下である、請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 底面に複数のマイクロウェルが形成されており、かつ複数のマイクロウェルを囲む内壁が形成されている、請求項1または2に記載の細胞培養容器。
  4. マイクロウェルの垂直切断面における、第1傾斜面と第2傾斜面の接続部の曲率および開口端の曲率が、それぞれ0.01mm以上0.1mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
  5. マイクロウェルの第1傾斜面が円錐面または円錐台の側面を形成しており、第2傾斜面が円錐台の側面を形成している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
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