JP2015029431A - 細胞培養容器 - Google Patents

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琢磨 馬塲
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Abstract

【課題】マイクロドロップ法による細胞培養において、マイクロウェル内の受精卵等の細胞を、ピペット等の器具により容易に操作可能であり、かつ安定な培養液のドロップを形成できる細胞培養容器を提供する。
【解決手段】本発明は、底部に対し上方が開口した細胞培養容器であって、底部に、細胞および培養液を収容するための凹部を有し、凹部の底面に、細胞の位置決めをするための1つ以上のマイクロウェルが形成されており、凹部の側面が、凹部の底面から外縁に進むに従って高くなるように形成されており、凹部の底面と側面とのなす角度θが、10〜80°であり、凹部の底面の面積が0.7〜20mmである、前記細胞培養容器に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロドロップ法などの少量の培養液中での細胞培養に適した細胞培養容器に関する。
培養系で精子と卵子とを体外受精させて受精卵(接合子)を作製して、さらに受精卵を卵割、桑実胚、胚盤胞の段階を経て、透明帯から孵化した脱出胚盤胞の段階まで培養することが可能となり、この卵割から胚盤胞の段階にある受精卵を子宮に移植して産子を得る補助的生殖技術(ART)が、家畜領域のみならずヒトの不妊医療でも確立されている。
体外受精においては、容器中に培養液のドロップを作り、この中に受精卵を入れて体外培養するマイクロドロップ法が用いられることが多い。従来、このマイクロドロップ法には、細胞培養容器として、底面が単一平面であり、直径が30〜60mmのシャーレが使用され、シャーレの底面に、培養液のドロップを、間隔をあけて複数個作製する方法が使用されてきた。
通常のシャーレでドロップを作成するとドロップ形成位置が定まらず、振動等でドロップがずれてしまうといった問題があった。ドロップがずれてしまうと、その中で培養して観察していた受精卵の特定が難しくなるという問題があった。また、複数のドロップが合流してしまうと、さらに受精卵の特定が難しくなるという問題があった。したがって、ドロップの位置が制御でき、受精卵培養作業時や培養時の振動による影響を抑制できる手段が求められていた。
一方で、受精卵の培養効果をより効率的にするためにはオートクライン効果やパラクライン効果の二つを利用することが好ましいとされている。これらの効果を利用し、ドロップ位置を制御する目的で、シャーレの底面に受精卵のサイズと同程度のマイクロウェルを形成し、これを側壁で囲み、マイクロウェルに受精卵を配置するとともに、側壁内部に培養液のドロップを添加し、その中で培養を行うシステムが知られている(特許文献1)。それにより複数の受精卵の位置を制御しつつ、少量の培養液の中で培養を行うことができ、オートクライン効果やパラクライン効果を利用できると考えられた。
特許第4724854号公報
本発明者らは、特許文献1の細胞培養容器では、オートクライン効果やパラクライン効果を高めるため、培養液を最低限の量で用いる場合には、複数のマイクロウェルを完全に覆い、かつ受精卵を覆う高さを有するドロップレットを形成して維持することが難しいことを見出した。一方、側壁に囲まれた面積を小さくしたり、側壁の高さを高くしたりすればドロップレットを安定に維持することができるが、顕微鏡で観察しながらマイクロウェル内の受精卵をピペット等の器具により操作しようとすると、ピペット等の器具が顕微鏡にぶつかってしまい、操作性が非常に悪いことを見出した。
したがって本発明は、マイクロドロップ法による細胞培養において、マイクロウェル内の受精卵等の細胞を、ピペット等の器具により容易に操作可能であり、かつ安定な培養液のドロップを形成できる細胞培養容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を行った結果、細胞培養容器において、培養液と細胞を収容する凹部の一定の面積を有する底面にマイクロウェルを形成するとともに、凹部の側面を一定の角度で傾斜させることにより、培養液の安定なドロップを形成でき、かつマイクロウェルに配置された細胞をピペット等の器具により容易に操作できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)底部に対し上方が開口した細胞培養容器であって、
底部に、細胞および培養液を収容するための凹部を有し、
凹部の底面に、細胞の位置決めをするための1つ以上のマイクロウェルが形成されており、
凹部の側面が、凹部の底面から外縁に進むに従って高くなるように形成されており、
凹部の底面と側面とのなす角度θが、10〜80°であり、
凹部の底面の面積が0.7〜20mmである、
前記細胞培養容器。
(2)凹部の底面と側面とのなす角度θが、45〜60°である、(1)記載の細胞培養容器。
(3)凹部の容量が10〜200μlである、(1)または(2)記載の細胞培養容器。
(4)凹部の深さが、1〜15mmである、(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞培養容器。
(5)凹部の底面に複数のマイクロウェルが形成されており、凹部の底面の最外周部とマイクロウェルとの距離がいずれも1mm以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞培養容器。
本発明により、マイクロドロップ法による細胞培養において、培養液の安定なドロップを形成でき、かつマイクロウェルに配置された細胞をピペット等の器具により容易に操作できる細胞培養容器が提供される。
本発明の細胞培養容器の一実施形態の上面図を示す概略図である。 本発明の細胞培養容器の一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明の一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明の一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 本発明の細胞培養容器の一実施形態の垂直断面図を示す概略図である。 発明の細胞培養方法の一実施形態を示す概略図である。
以下、本発明について説明する。
本発明の細胞培養容器の一実施形態の概略図を図1〜3に示す。図1は上面図を、図2は垂直断面図を、図3は凹部の拡大図を示す。図1〜3に示されるように、本発明の細胞培養容器は、上方が開口した細胞培養容器1であって、底部に、細胞および培養液を収容するための凹部2を有し、凹部の底面に、細胞の位置決めをするためのマイクロウェル3が形成されており、凹部の側面4が、凹部の底面5から外縁に進むに従って高くなるように形成されており、凹部の底面5と側面4とのなす角度θが、10〜80°であり、凹部の底面の面積が0.7〜20mmであることを特徴とする。
本発明の細胞培養容器は、細胞および培養液を収容するための側面が傾斜した凹部を有する。凹部の側面が傾斜していることにより、培養液のドロップを凹部の中心に安定して形成することが可能であり、特に凹部の底面と側面とのなす角度(凹部側面の傾斜角度と称する場合もある)θを10°以上、好ましくは20°以上、さらに好ましくは45°以上とすることにより、振動等があってもドロップが移動したり崩れたりするのを防止することができる。なお、ドロップは、その形状は特に制限されず、5ml以下の液体の塊をさす。
また、本発明の細胞培養容器においては、凹部側面の傾斜角度θを80°以下、好ましくは70°以下、さらに好ましくは60°以下とすることにより、凹部の底面の面積が0.7〜20mmと小さい場合であっても、凹部底面のマイクロウェル内の細胞を、顕微鏡観察をしながら、ピペット等の器具で操作することができる。すなわち、本発明の細胞培養容器を用いることにより、オートクライン効果やパラクライン効果が期待される小さな培養液ドロップ内での受精卵等の細胞培養において、培養液ドロップの安定性と操作性を両立させることが可能になる。
細胞培養容器のサイズは、特に制限されないが、開口部が好ましくは円形で、開口幅(例えば、図2のA)が、好ましくは30〜60mm、特に35mmのものが用いられる。これは従来の細胞培養に用いられているシャーレと同等のサイズであり、汎用のシャーレから簡便に作製できること、および既存の培養装置等に適合しやすいことから、上記のようなサイズのものが好ましい。
図3に凹部の垂直断面図の拡大図を示す。凹部は、細胞培養容器の底部に形成され、底面5と側面4からなり、開口部6を有する。細胞培養容器は、通常、その底部が水平となる状態で配置されて使用される。凹部の底面も、通常、水平となる状態で使用される。凹部の底面および開口部の外縁の形状は特に制限されないが、好ましくは互いに相似であり、好ましくは円状(円形、略円形、楕円形、略楕円形、および半円形を含む)である。
凹部の側面4は、凹部の底面5から外縁に進むに従って高くなるように傾斜して形成されている。外縁に進むに従って高くなるとは、図3に示すような垂直切断面において、凹部の底面5と側面4との接点31から、凹部の開口端32の方へ外側に向かって所定の傾斜構造をもって高くなっていることをいう。凹部の側面が、なだらかな傾斜面を形成し、例えば円錐台の側面を形成している場合、円錐台の上面および下面のうち面積の狭いほうが凹部の底面5に該当するように円錐台が配置されるような構成となる。
底面5と側面4とのなす角度θは、図3に示すような垂直切断面における底面5と側面4とのなす角度をさす。例えば、図4に示すように、凹部の垂直切断面において、凹部の側面と底面との交じわる部分41が接点ではなく、丸みを帯びていてもよい。丸みを帯びている方が、気泡が抜けやすく有利な場合もある。また、図4に示すように、凹部の垂直切断面において、凹部の開口端42に、凹部底面となす角度が80°より大きく、例えば90°となるような部分があってもよい。このような態様も、凹部側面における培養液収容部分のθが80°以下である限り、本発明の細胞培養容器に包含される。凹部の開口端42も丸みを帯びた構造であってもよい。
θは、80°以下であり、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下である。θを80°以下とすることで凹部底面のマイクロウェル内の細胞をピペットで操作でき、θを70°以下とすることで、マイクロウェル内の細胞をピペットで容易に操作でき、θを60°以下とすることで、凹部底面の全面にわたり細胞をピペットで容易に操作できる。凹部に収容された細胞は、通常、顕微鏡等により観察されるが、凹部の側面が垂直ではなく、ある程度傾斜していることによって、顕微鏡観察下でも、斜めからピペット等の器具を凹部内部に挿入することが容易になる。一方、θは、10°以上、好ましくは45°以上である。θを10°以上とすることで培養液のドロップを凹部内に保持でき、θを45°以上とすることで培養液のドロップを凹部内に安定に保持でき、ドロップが移動したり崩れたりするのを防止できる。
凹部底面の面積は、通常用いられる小容量の培養液、例えば10μl〜200μlの培養液のドロップを収容でき、かつ10μl〜200μlの培養液のドロップによって凹部底面の全面を覆うことが可能であり、ドロップの高さが0.35mm以上、より好ましくは0.5mm以上となるようにすることが好ましい。したがって、凹部の底面の面積は、0.7mm以上、好ましくは3.5mm以上、より好ましくは5mm以上であり、20mm以下、好ましくは13mm以下、より好ましくは10mm以下である。
凹部の底面の面積を0.7mm以上とすることにより、凹部の底面に複数のマイクロウェルを形成することができ、複数の細胞、好ましくはヒト受精卵を、互いが重ならないように、凹部の底面に配置して培養することができる。複数の細胞、特に受精卵を、同じ系で培養することにより、培養液内部に蓄積したタンパク質、ホルモン、酵素等の細胞分泌物が互いの細胞に作用するパラクライン効果を期待できる。また、細胞同士が平面上で重なっていると、顕微鏡等による細胞や受精卵の評価が困難であることから、凹部の底面は一定の面積を有することが好ましい。また、凹部の底面の面積を、20mm以下とすることにより、小容量の培養液(例えば10μl)のドロップでも、凹部の底面の全面を覆うことが可能になり、すなわち、ドロップが凹部の底面上で大きく移動することを防止できる。
凹部の容量は、凹部の開口端32を超えない範囲で収容可能な液体の容量であり、通常用いられる小容量の培養液、例えば10μl〜200μl、特に30μl〜100μlの培養液を収容できる容量である。凹部の容量を一定以下とすることにより、使用する培養液量を減少させつつ安定に培養させることで低コスト化が期待できる。さらに、培養液のドロップの大きさが小さいことで、細胞分泌物によるオートクライン効果や複数の細胞の相互作用によるパラクライン効果を期待できる。
凹部の深さ7は、凹部の底面の面積および凹部の容量に基づいて、自動的に決定される場合もあるが、通常1〜15mm、好ましくは2〜10mmである。凹部の深さが一定以下となるように設計することで、凹部内に収容された細胞や培養液をピペット等で容易に取り扱うことができ、操作性の点で有利である。また、顕微鏡によって凹部に収容された細胞を観察することも容易となる。例えば、凹部で100μl程度の培養液を収容する場合に、操作性を確保するため45°程度のピペット挿入角度を維持するには、θを75°以下にすることが好ましい。凹部開口幅Bは、通常、凹部底面の幅と凹部深さとθによって自動的に決定される場合もあるが、通常3〜15mm程度である。
本発明の細胞培養容器は、凹部を有するが、それらの外周は、例えば、図2に示すように凹部の底面と同じ高さで、凹部の底面に平行な面8を形成していてもよい。このような面8と外壁9により形成される空洞部分は、中心部分のみを培養液とオイルで覆った部分として培養することで空洞部を洗浄用スペースなどに使用できる。あるいは、図5に示すように、培養液収容部の開口端32と同じ高さで、凹部の底面に平行な面を形成していてもよい。このような構造とすることで、ピペットの先端の洗浄や気泡抜きを行う別のドロップを製造するスペースにすることができる。
本発明の細胞培養容器は、凹部を有するが、それらの外周に、細胞培養容器全体を囲うように構成された外壁9を有することが好ましい。外壁を設けることにより、培養液を被覆するためのミネラルオイルを収容することができる。培養液をミネラルオイルで被覆することにより、培養液の蒸発を避け、pHと浸透圧を安定させることが可能であり、顕微操作が容易となる他、マイクロドロップによる乏精子症患者の媒精、培養液の節約などの利点がある。また、細胞培養容器に蓋をかぶせる場合に、外周を囲う外壁により蓋を支持することができる。
凹部の底面には、細胞Cを位置決めするためのマイクロウェル3が形成されている。マイクロウェルに細胞を配置することにより、細胞の移動を抑制することができ、細胞をそれぞれ特定した上で評価や判定を行うことができる。このマイクロウェルの形状は特に制限されないが、四角柱を含む多角柱状や円柱状の窪みが挙げられる。あるいは、開口部の外縁が円形であり、壁面が、最も低い位置から外縁に進むに従って高くなるように傾斜した曲面を有する構造が挙げられる。後者の場合、マイクロウェルの壁面は、好ましくは円錐状または円錐台状の部分を含む。円錐状または円錐台状の部分は、培養容器の底部側に、円錐の頂点または円錐台の上面および下面のうち面積の狭い方がくるように形成される。円錐状には、円錐および楕円錐、これらに類似の形状、例えば、円錐または楕円錐の頂点が丸みを帯びている形状、円錐面が外側に膨らんでいる形状、円錐面が内側に凹んでいる形状などが含まれる。円錐台状には、円錐台および楕円錐台、これらに類似の形状、例えば、円錐台または楕円錐台の上面または下面と円錐面との接合部が丸みを帯びている形状、円錐面が外側に膨らんでいる形状、円錐面が内側に凹んでいる形状などが含まれる。なお、マイクロウェル3は、上記に限らず、多角錐状、多角錐台状などの形態であってもよい。本発明の細胞培養容器は、その底部に、マイクロウェルが形成された凹部を1つだけ有していてもよく、複数有していてもよい。
マイクロウェルの寸法は、少なくとも1つの細胞を収容可能な寸法であれば特に制限されない。ここで、マイクロウェルの寸法は、マイクロウェルの開口部の外縁が形成する図形の最長径の長さをさす。従って、マイクロウェルの開口部の外縁が円形である場合、その直径は、培養する細胞の最大寸法と同じかそれより大きいものとなる。本発明の細胞培養容器により受精卵を培養する場合、胚盤胞の段階まで培養することが望ましいため、マイクロウェルの円形の開口部の直径は、胚盤胞の段階の細胞の最大寸法より大きいものであることが望ましい。胚盤胞の段階の細胞の最大寸法は通常100μm〜280μmであることから、円形の開口部の直径は、通常100μm以上である。
例えば、ヒト受精卵の場合、マイクロウェルの開口部の直径は、通常100μm以上、好ましくは200μm以上、さらに好ましくは250μm以上であり、通常1000μm以下、好ましくは900μm以下、さらに好ましくは800μm以下である。また、上記マイクロウェルの開口部の直径は、X+α(ここでXは細胞の最大寸法を表す)と規定することもできる。ここで、αは、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.02mm以上である。
1つの凹部の底面には、好ましくは、複数のマイクロウェルが形成されており、凹部の底面の最外周部とマイクロウェルとの距離はいずれも、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。凹部の底面の最外周部とマイクロウェルとの距離は、例えば、図3に示すような凹部の垂直断面図における凹部の底面と側面の接点31とマイクロウェルとの距離33をさす。この距離33を、いずれのマイクロウェルについても、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上とする。マイクロウェルが、凹部の側面から一定距離以上離れていることにより、マイクロウェルに収容された細胞をピペット等で処理する際の操作性がよくなる。なお、凹部底面のマイクロウェルが形成されていない部分は、多少凹凸や歪みがあってもよいが、好ましくは平面状である。
本発明の細胞培養容器の材質は、特に制限されない。具体的には、金属、ガラス、およびシリコン等の無機材料、プラスチック(例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。本発明の培養容器は、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、プラスチック材料からなる培養容器を製造する場合には、慣用の成形法、例えば射出成形により製造することができる。
本発明の細胞培養容器は、培養細胞の非特異的接着を防止し、また培養液のドロップが表面張力によって偏ることを防止する観点から、プラズマ処理などの表面親水化処理することが好ましい。製造後の容器に付着している菌数(バイオバーデン数)が100cfu/容器以下であることが好ましい。また、さらにγ線滅菌などの滅菌処理を施されていることがより好ましい。
本発明の細胞培養容器は、受精卵の発育を促進するような表面処理または表面コートがなされていてもよい。特に、受精卵の発育を促進するために、他の器官の細胞(例えば、子宮内膜細胞や卵管上皮細胞)と共培養をする場合、これらの細胞をあらかじめ培養容器に接着させる必要がある。このような場合に、培養容器の表面に細胞接着性の材料をコートすると有利である。
培養対象となる細胞は、特に制限されないが、例えば、受精卵、卵細胞、ES細胞(胚性幹細胞)およびiPS細胞(人工多能性幹細胞)が挙げられる。卵細胞は、未受精の卵細胞をさし、未成熟卵母細胞および成熟卵母細胞が含まれる。受精卵は、受精後、卵割により2細胞期、4細胞期、8細胞期と細胞数が増えていき、桑実胚を経て、胚盤胞へと発生する。受精卵には、2細胞胚、4細胞胚および8細胞胚などの初期胚、桑実胚、胚盤胞(初期胚盤胞、拡張胚盤胞および脱出胚盤胞を含む)が含まれる。胚盤胞は、胎盤を形成する潜在能力がある外部細胞と胚を形成する潜在能力がある内部細胞塊からなる胚を意味する。ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から得られる未分化な多能性または全能性細胞をさす。iPS細胞は、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞に似た分化万能性を持たせた細胞をさす。すなわち、本発明において細胞には、受精卵や胚盤胞のように複数の細胞の集合体も包含される。
本発明の細胞培養容器は、好ましくは哺乳動物および鳥類の細胞、特に哺乳動物の細胞の培養に好適である。哺乳動物は、温血脊椎動物をさし、例えば、ヒトおよびサルなどの霊長類、マウス、ラットおよびウサギなどの齧歯類、イヌおよびネコなどの愛玩動物、ならびにウシ、ウマおよびブタなどの家畜が挙げられる。本発明の細胞培養容器は、ヒトの受精卵の培養に特に好適である。
通常、凹部に培養液Dを添加した後、培養液を覆うようにオイル60を添加し、さらに培養液中に細胞Cを添加する。これらの作業は、通常ピペットやガラスキャピラリー等の器具を用いて実施される。本発明の細胞培養容器は、開口が大きいので、これらの操作を比較的容易に実施できる(図6)。
培養は、通常、細胞培養容器を培養細胞の発育および維持に必要なガスを含む環境雰囲気および一定の環境温度をもたらすインキュベーターに入れることにより実施される。必要なガスには、水蒸気、遊離酸素(O)および二酸化炭素(CO)が含まれる。環境温度とCO含有量を調節することにより、培養液のpHを一定時間内に安定させることができる。安定なCO含有量と安定な温度により安定なpHが得られる。画像比較プログラムにより、培養中の細胞の画像を予め保存された画像と比較することにより、培養の際の温度、ガスおよび培地などの培養条件を調節することもできる。
例えば受精卵を培養する場合には、通常、培養後に、子宮への移植に適した良質な受精卵であるか否かが判別される。判別は自動で行ってもよいし、顕微鏡等により手動で行ってもよい。培養細胞の自動判別においては、顕微鏡により取得された培養容器内の細胞の画像をCCDカメラ等の検出装置によって撮像し、得られた像を輪郭抽出処理に付し、画像中の細胞に該当する部分を抽出し、抽出された細胞の画像を画像解析装置で解析することによりその質を判別することができる。画像の輪郭抽出処理については、例えば、特開2006−337110に記載された処理を利用できる。
以下、本発明の一実施形態を示す実施例を記載するが、本発明の範囲は実施例の範囲に限定されない。
図1〜3に示す細胞培養容器において、細胞培養容器の開口部の開口幅Aが35mmであり、凹部底面5が形成する円の直径が5mmであり、凹部深さとθを変数として、200μlの凹部容積となるように設計した8種類の細胞培養容器を作製した。
上記のような細胞培養容器の凹部に、10、50、100または200μlの培養液をピペットにより注入してから、震度4相当のゆれを振動試験機で加え、培養液のドロップが安定的に保持されるか評価した。結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりとした。
○:ドロップのずれがなかった。
△:ドロップが多少不安定であったがずれがなかった。
×:ドロップがずれてしまった。
上記のような細胞培養容器の凹部に、10、50、100または200μlの培養液をピペットにより注入してから、凹部の中心部に直径200μmのガラスビーズを複数個加えた。これらのビーズを顕微鏡で観察しながら、ピペットで回収したり移動したりする作業を行い、操作性を評価した。結果を表1に示す。評価基準は以下のとおりとした。
◎:凹部底面の全面にわたり容易に操作可能であった。
○:凹部底面に形成されたマイクロウェル内のビーズについては容易に操作可能であった。
△:凹部底面に形成されたマイクロウェル内のビーズについては操作可能であった。マイクロウェルから側面側にこぼれたビーズについては操作がやや困難であった。
×:ピペットが顕微鏡にあたってしまい操作が困難であった
Figure 2015029431
以上から、θを10°以上とすることで培養液のドロップを凹部内に保持でき、θを45°以上とすることで培養液のドロップを凹部内に安定に保持できることがわかった。また、θを80°以下とすることで凹部底面のマイクロウェル内の細胞をピペットで操作でき、θを70°以下とすることで、マイクロウェル内の細胞をピペットで容易に操作でき、θを60°以下とすることで、凹部底面の全面にわたり細胞をピペットで容易に操作できることがわかった。
1:細胞培養容器
2:凹部
3:マイクロウェル
31:凹部の底面と側面の接点
32:凹部開口端
33:凹部側面とマイクロウェルの距離
4:凹部側面
5:凹部底面
6:凹部開口部
7:凹部深さ
9:外壁
60:オイル
A:細胞培養容器の開口幅
B:凹部開口幅
C:細胞
D:培養液

Claims (5)

  1. 底部に対し上方が開口した細胞培養容器であって、
    底部に、細胞および培養液を収容するための凹部を有し、
    凹部の底面に、細胞の位置決めをするための1つ以上のマイクロウェルが形成されており、
    凹部の側面が、凹部の底面から外縁に進むに従って高くなるように形成されており、
    凹部の底面と側面とのなす角度θが、10〜80°であり、
    凹部の底面の面積が0.7〜20mmである、
    前記細胞培養容器。
  2. 凹部の底面と側面とのなす角度θが、45〜60°である、請求項1記載の細胞培養容器。
  3. 凹部の容量が10〜200μlである、請求項1または2記載の細胞培養容器。
  4. 凹部の深さが、1〜15mmである、請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養容器。
  5. 凹部の底面に複数のマイクロウェルが形成されており、凹部の底面の最外周部とマイクロウェルとの距離がいずれも1mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞培養容器。
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