JP2016082637A - モータ制御装置、圧縮機、空気調和機およびプログラム - Google Patents

モータ制御装置、圧縮機、空気調和機およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】空気調和機等に適用されるモータ制御装置において、モータ制御装置の応答周波数の制約を補償しつつ電動機の騒音や振動を低減できるようにする。【解決手段】直流電圧を交流電圧に変換し、負荷装置に接続された電動機を該交流電圧によって駆動する電力変換回路と、電力変換回路を駆動するドライブ信号を出力する制御部とを備え、該制御部は、電動機の回転角度位置(軸誤差Δθc)を推定し、ドライブ信号のデューティ比を、推定あるいは予め設定した負荷変動パターン(差トルク推定値Δτm^)に加え、回転角度位置(軸誤差Δθc)に応じて変化させる。【選択図】図14

Description

本発明は、モータ制御装置、圧縮機、空気調和機およびプログラムに関する。
空気調和機等に適用されるモータ制御装置の背景技術として、例えば、特許文献1の請求項1には、「前記モータの回転位置に応じて前記モータの出力トルクを変動させるための補償トルクパターンを生成し、前記モータに供給する電流値を補正するトルク制御部と、を備える」と記載されている。
特開2008−245506号公報
しかし、特許文献1の圧縮機に接続されたモータの制御装置は、正規化トルクパターンを前提にしない場合ついては特に記載されていない。また、モータ制御装置の応答周波数の制約によって電動機固定子の推定位置と電圧印加位相との間にタイミング差が生じる点についても特に記載されていない。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、モータ制御装置の応答周波数の制約を補償しつつ電動機等の騒音や振動を低減できるモータ制御装置、圧縮機、空気調和機およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明にあっては、電動機の回転角度位置を推定し、ドライブ信号のデューティ比を、推定あるいは予め設定した負荷変動パターンに加え、回転角度位置に応じて変化させることを特徴とする。
本発明によれば、モータ制御装置の応答周波数の制約を補償しつつ電動機等の騒音や振動を低減できる。
比較例1による圧縮機の全体ブロック図である。 比較例1における電力変換回路および電流検出部の構成を示すブロック図である。 比較例1における負荷装置である回転ロータリー型圧縮機構部の構成例を示す図である。 比較例1における電気角、機械角、座標系を説明する図である。 比較例1におけるPWM信号作成器の波形図である。 比較例1における制御部のブロック図である。 比較例1における電圧指令値演算部のブロック図である。 比較例1におけるPLL制御器のブロック図である。 比較例1におけるトルク電流指令値作成器のブロック図である。 比較例1における各部の波形図である。 本発明の第1実施形態による圧縮機の全体ブロック図である。 第1実施形態における制御部のブロック図である。 第1実施形態における脈動トルク推定器の原理を示すブロック図である。 第1実施形態における脈動トルク電流指令値作成器の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の動作説明図である。 第1実施形態における負荷トルク波形とモータ発生トルクの関係を示す図である。 本発明の第2実施形態による圧縮機の断面図である。 本発明の第3実施形態による空気調和機の冷却系統図である。 第3実施形態における脈動トルク電流指令値作成器のブロック図である。 本発明の第4実施形態による検証システムのブロック図である。 脈動トルク電流指令値作成器の一変形例のブロック図である。 回転速度指令値とインバータ周波数指令値との関係を示す図である。 脈動トルク電流指令値作成器の他の変形例のブロック図である。 定常軸誤差演算器のブロック図である。
[比較例1]
<比較例1の構成>
(比較例1の全体構成)
本発明の実施形態を説明する前に、実施形態と比較するための比較例1の構成について説明する。図1は比較例1による圧縮機の全体構成を示す図である。この圧縮機は、圧縮機構である負荷装置9と、該負荷装置9を駆動する電動機6と、電動機6を制御するモータ制御装置1aとから構成されている。
図1において、モータ制御装置1aは、電力変換回路5にドライブ信号を出力する制御部2aを有している。電力変換回路5は直流電圧源とインバータとを内蔵し、インバータは上記ドライブ信号に基づいて交流電圧を出力する。電動機6はこの交流電圧によって回転し、電動機6に結合された負荷装置9を回転駆動する。これにより、ドライブ信号に基づいた電圧または電流により、電動機(モータ)6の速度やトルクが所期の状態になるように制御される。
本比較例において、電動機6は、回転子に永久磁石を有する永久磁石同期モータである。また、電動機6により駆動される負荷装置9は、本比較例においては、回転ロータリー型圧縮機構である。電流検出部7は、電動機6あるいは電力変換回路5に流れる電流を検出する。これら制御部2aと、電力変換回路5と、電流検出部7とによってモータ制御装置1aが構成されている。
次に、電力変換回路5と電流検出部7の構成を図2に示す。電力変換回路5は、図2に示すように、インバータ21と、直流電圧源20と、ゲートドライバ回路23とを有している。インバータ21は、スイッチング素子22a〜22f(例えば、IGBTやMOS−FET等の半導体スイッチング素子)と、これらに並列に接続された還流用ダイオードとを有している。なお、スイッチング素子22a〜22fを総称して「スイッチング素子22」と呼ぶ。
これらのスイッチング素子22は、2組のスイッチング素子22が直列に接続されることにより、各相の上下アームを構成している。図2の例においては、スイッチング素子22a,22bによりU相、スイッチング素子22c,22dによりV相、スイッチング素子22e,22fによりW相の上下アームが構成されている。各相の上下アームの接続点は、電動機6へ接続されている。ゲートドライバ回路23は、供給されたパルス状のドライブ信号を増幅して出力する。スイッチング素子22は、ゲートドライバ回路23が出力するドライブ信号24a〜24fに応じて、直流電圧源20の出力電圧をスイッチングする。
本比較例においては、直流電圧源20には、シャント抵抗器25が直列接続されている。これは、過大な電流が流れないようにスイッチング素子22を保護するものである。このように、直流電圧源20の出力電圧をスイッチングして3相交流電圧を出力することにより、任意の周波数の3相交流電圧を電動機6に印加することができ、これによって電動機6を可変速駆動することができる。電流検出部7は、電力変換回路5から電動機6に流れる3相の交流電流のうち、U相とW相に流れる電流Iu,Iwを検出する。勿論、全相の交流電流を検出しても差支えないが、キルヒホッフの第1法則から、3相のうち2相が検出できれば、他の1相は検出した2相から算出できる。
本比較例は、電動機6や負荷装置9等の機械部分において生じる振動や騒音の問題を解消しようとするものである。そのために、まず負荷装置9すなわち回転ロータリー型の圧縮機構における具体的な課題について述べる。図3(a),(b)は、本比較例において負荷装置9として採用される回転ロータリー型圧縮機構部500を示す。図3(a)は圧縮機構部500および電動機6の側断面図を示し、図3(b)は図3(a)におけるA−A’断面図である。図3(a)において圧縮機構部500は、密閉容器511に収容された電動機6と、該電動機6によって駆動される負荷装置9としての圧縮機構部500とを有している。圧縮機構部500は、円筒状のシリンダ504と、偏心しつつ該シリンダ504内を回動自在に構成されたロータリーピストン501とを有している。
電動機6は回転子6aと固定子6bとを有しており、回転子6aはシャフト502を上方向に突出させている。このシャフト502はクランクシャフト503に結合され、クランクシャフト503はロータリーピストン501に結合されている。これにより、圧縮機構部500は電動機6のシャフト502により回転駆動される。また、図3(b)に示すように、シリンダ504には、吸込み口505と吐出口507とが形成されるとともに、ベーン506が設けられている。ベーン506は、シリンダ504の中心に向かって付勢されており、ロータリーピストン501に摺動しつつ半径方向に移動自在になっている。
上記構成により圧縮機構部500では、電動機6を動力源としてロータリーピストン501が偏心駆動され、圧縮機としての吸込み、圧縮、吐出の一連の工程が実行される。次に、図3(b)を参照しつつ具体的な圧縮工程を説明する。まずシリンダ504に設けられた吸込み口505から気化した冷媒が吸い込まれる。その後、電動機6の回転によりロータリーピストン501が回転し、ベーン506の図中の左側の容積が小さくなることで冷媒が圧縮される。さらにロータリーピストン501が回転し、上部に戻るあたりで吐出口507から、圧縮された(液化された)冷媒が吐出される。以上のような吸込み、圧縮、吐出の一連の工程においては、ロータリーピストン501に印加される圧力が変化する。この圧力変化を、ロータリーピストン501を駆動する電動機6から見ると、周期的に負荷トルクが変化していることを意味する。
図4(a)は、ロータリーピストン501の機械角1回転における、回転子6aの回転角度位置θdに対する負荷トルクτLの変化の例を示す図である。図4(a)の横軸はロータリーピストン501の1周期(0度から360度)を示し、縦軸は負荷トルクτLの大きさを示している。本比較例では、電動機6として4極電動機(回転子6aの極数が「4」)の例を示しているため、電気角2周期が機械角1周期に相当する。したがって、仮に、電動機6が6極であった場合は、電気角3周期が機械角1周期に相当することになる。また、回転子6aの位置とロータリーピストン501との位置関係は組み付けによって決まるが、図4(a)ではロータリーピストン501が、図3(a)においてベーン506を最大限外側に押し出す位置を0°としている。
図4(a)によれば、圧縮工程が進むにつれ負荷トルクτLが急激に大きくなり、吐出工程では、負荷トルクτLが減少しており、1回転中において負荷トルクτLが変動している事が分かる。また、回転する度に回転角度位置に応じて負荷トルクτLが変動するため、電動機6から見ると周期的に負荷トルクτLが変動していることになる。従って、電動機6の回転の都度、図4(a)のパターンのトルク変化が生じていることになる。但し、たとえ同一の圧縮機構部500を用いたとしても、電動機6の回転速度、吸込み口505や吐出口507の圧力、吸込み口505と吐出口507の圧力差等によって、負荷トルクτLのピーク値や、ピーク値となる回転角度位置θdや、負荷トルクの増減変化波形は変化する。
圧縮機構部500における負荷トルクτLの変動と、電動機6が発生するモータトルクτmとに差が生じると、振動や騒音が生じる。特に、前述のように負荷トルクτLの変動が大きい場合は、制御部2aの構成によっては、電動機6に流れる電流に跳ね上りが生じ、あるいは電動機6の回転速度変動が生じるため、振動や騒音が生じやすい。そのため、負荷トルクτLの変動を考慮して制御部2aを構成することが望ましい。本比較例においては、周期的な負荷変動に対応し電動機6の騒音や振動を低減しようとしているため、その目的を達成するために望まれることは、負荷トルクτLとモータトルクτmとをなるべく一致させることである。
(座標軸の説明)
モータ制御装置1aの各部の説明の前に、座標軸の定義を明確にしておく。図4(b)は、モータ制御装置1aにて検出、推定、あるいは仮定する制御軸の回転角度位置(推定回転角度位置θdc)と、実際の回転子6aの回転角度位置θdとの関係を示す図である。回転子6aに設けられた永久磁石の主磁束方向の位置をd軸とし、d軸から回転方向に電気的に90度(電気角90度)進んだq軸とからなるd−q軸を定義する。このd−q軸は回転座標系である。
図4(b)において、回転子6aの回転角度位置θdはd軸の位相を示す。このd−q軸に対し、制御上の仮想回転子位置をdc軸とし、そこから回転方向に電気的に90度進んだ軸をqc軸とし、dc軸,qc軸からなるdc−qc軸を定義する。dc−qc軸も回転座標系である。これらの座標軸の関係が図4(b)に示されている。なお、これ以降の説明において、d−q軸を実軸、dc−qc軸を制御軸と呼ぶ。また、実軸と制御軸のズレである誤差角を軸誤差Δθdと呼ぶ。但し、本比較例においては、位置センサ等によって実際の軸誤差Δθdが直接的に得られるわけではなく、推測によって求めるため、軸誤差Δθdの推定値をΔθcと呼ぶ。
図4(c)は、固定座標系である3相軸と回転座標系である制御軸との関係を示した図である。図4(c)ではU相を基準にdc軸の回転角度位置(磁極位置)を推定し、その結果を上述の推定回転角度位置θdcとする。dc軸は図中の円弧状矢印の方向(反時計方向)に回転している。そのため、回転周波数(後に示す、インバータ周波数指令値ω1)を積分することで、推定回転角度位置θdcが得られる。本比較例では、電動機6として永久磁石同期モータを用いているため、モータ制御装置1aにて検出、推定、あるいは仮定する制御軸の推定回転角度位置θdcと、実際の回転子6aの回転角度位置θdとは、基本的には同期している場合が多い。
但し、実際には加減速時や負荷変動時等の過渡状態において、制御軸の位置と回転子6aの実軸の位置にズレ(軸誤差Δθd)が生じる場合がある。軸誤差Δθdが生じた場合、電動機6が実際に発生するトルクが減少したり、電動機6に流れる電流に歪みや跳ね上がりが生じたりすることもある。これらも振動や騒音の原因となる。特に、加減速中の過渡状態や低速駆動状態においては、軸誤差Δθdの影響により、適切な制御が困難になる場合がある。そこで、本比較例では、加減速中の過渡状態や低速駆動状態において軸誤差Δθdが発生した場合においても、電動機6のモータトルクτmを適切に制御することにより、電動機6の騒音や振動を低減しようとするものである。
(制御部2a)
図1に戻り、制御部2aについて説明する。制御部2aの内部において、トルク電流指令値作成器10は、負荷トルクτLの平均値および周期的に変動する値に応じたトルク電流指令値Itq *を作成する。本比較例においては、出力されたトルク電流指令値Itq *が、そのままq軸電流指令値Iq *として、電圧指令値作成器3に供給される。
電圧指令値作成器3においては、q軸電流指令値Iq *と、電流検出部7から供給された交流電流検出値Iu,Iwとに基づいて電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *が生成される。PWM信号作成器33においては、これら電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *に応じたドライブ信号が生成される。制御部2aは、マイクロコンピュータやDSP(digital signal processor)等の半導体集積回路(演算制御部)と、演算制御部に供給されるプログラム等のソフトウェアを有しており、これらによって各機能を実現している。
(PWM信号作成器33)
制御部2aの内部においてPWM信号作成器33は、電圧指令値作成器3から出力された3相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *と、キャリア信号である三角波との比較により、電力変換回路5に与えるドライブ信号を生成する。電気角一周期における1相分の電圧指令値と三角波信号とドライブ信号との関係を図5に示す。図5は比較例1におけるPWM信号作成器の波形図であり、図中の「電圧指令値」とは、上述のVu *,Vv *,Vw *の何れかである。生成されるドライブ信号Gp,Gnは、対応する相における上アーム,下アーム(図2参照)のドライブ信号である。例えば、U相の電圧指令値Vu *に対して、生成されるドライブ信号Gp,Gnは、図2におけるドライブ信号24a,24bに対応する。
図5において、電圧指令値が三角波キャリア信号のレベル以上になると、上アームのドライブ信号GpはHレベルになり、上アームのスイッチング素子はオン状態になる。また、下アームのドライブ信号GnはLレベルになり、下アームのスイッチング素子はオフ状態になる。また、電圧指令値が三角波キャリア信号のレベル未満になると、上アームのドライブ信号GpはLレベルになり、上アームのスイッチング素子はオフ状態になる。また、下アームのドライブ信号GnはHレベルになり、下アームのスイッチング素子はオン状態になる。従って、図5に示すように、電圧指令値のレベルに応じて、ドライブ信号のデューティ比が設定される。
なお、ゲートドライバ回路23やスイッチング素子22自体の遅れに起因して、上下アームのスイッチング素子22が短絡する恐れがあるため、実際には上下アームの両方がオフ状態となるデッドタイム(数マイクロ秒〜十数マイクロ秒程度)を付加して最終的なドライブ信号とすることが望ましい。但し、以下の説明においては、説明の簡略化のため、デッドタイムを有しない理想的なドライブ信号を用いることを前提として説明する。
(3φ/dq変換器8,dq/3φ変換器4)
次に、図6を参照して、PWM信号作成器33以外の制御部2aの各構成要素について説明する。図6は比較例1における制御部2aのブロック図であり、図中の3φ/dq変換器8は、推定回転角度位置θdcを用いて、3相軸上の交流電流検出値Iu,Iwを制御軸上(すなわちdc軸上およびqc軸上)の電流検出値Idc,Iqcに座標変換する。また、dq/3φ変換器4は、推定回転角度位置θdcを用いて、dc−qc軸上の電圧指令値Vd *,Vq *を3相軸上の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *に座標変換する。
これらにより、制御部2aの内部では、主として回転座標系であるdc−qc軸が使用される。その理由は、回転座標系では電圧や電流の定常的な値は直流量として扱えるという利点があるためである。座標変換のためには、電動機6の回転子6aの回転角度位置の情報が必要になる。本比較例では、位置センサ等によって回転角度位置を検出するのではなく、上述したように、電動機6に流れる電流および電動機6への印加電圧に基づいて、推定回転角度位置θdcを計算することとしている。これにより、回転子6aに位置センサ等を設けることが不要になり、コストダウンを図ることができる。
(電圧指令値演算部34)
次に、図7を参照し、電圧指令値演算部34の構成を説明する。電圧指令値演算部34には、d軸,q軸の電流指令値Id *,Iq *が供給される。本比較例において、q軸電流指令値Iq *は、上述したように、トルク電流指令値作成器10が出力するトルク電流指令値Itq *に等しい。また、d軸電流指令値Id *は本比較例においてはゼロを設定しているので、この理由について述べておく。本比較例においては、電動機6は、非突極型の永久磁石同期モータであるため、d軸,q軸のインダクタンスLd,Lqが同一になる。
これにより、本比較例においては、d軸,q軸のインダクタンスLd,Lqの差によって発生するリラクタンストルクは考慮する必要がなくなる。したがって、電動機6が発生するモータトルクτmはq軸を流れる電流に比例するものと考え、d軸電流指令値Id *はゼロを設定している。また、電圧指令値演算部34には、後述するPLL制御器13からインバータ周波数指令値ω1(電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *が有すべき周波数の指令値)が供給されるとともに、3φ/dq変換器8から電流検出値Idc,Iqcが供給される。
図7のd軸電流制御器14aにおいて、減算器91cは、d軸電流指令値Id *からdc軸電流検出値Idcを減算する。比例器92c,92dは、この減算結果に対して、各々所定のゲインKp_acrd,Ki_acrdを乗算する。積分器94cは、比例器92dの出力結果、すなわち「Ki_acrd×(Id *−Idc)」を積分する。加算器90cは、比例器92cの乗算結果と、積分器94cの積分結果とを加算し、その加算結果をd軸電流指令値Id **として出力する。
同様に、q軸電流制御器14bにおいて、減算器91dはq軸電流指令値Iq *からqc軸電流検出値Iqcを減算する。比例器92e,92fは、この減算結果に対して、各々ゲインKp_acrq,Ki_acrqを乗算する。積分器94dは、比例器92fの出力結果、すなわち「Ki_acrq×(Iq *−Iqc)」を積分する。加算器90dは、比例器92eの乗算結果と、積分器94dの積分結果とを加算し、その加算結果をq軸電流指令値Iq **として出力する。このように、d軸電流制御器14aおよびq軸電流制御器14bは、各々比例積分演算器を構成している。
ここで、電流制御器14a,14bにおいて比例積分演算を行っている理由について説明しておく。後述する乗算器92g,92i等の構成要素では、電動機6の1相あたりの巻線抵抗値Rを用いて演算を行っている。しかし、実際の巻線抵抗値Rは一定値ではない。例えば、固定子6bに対して大きな電流を供給すると、固定子6bの温度上昇によって実際の巻線抵抗値Rは大きくなる。
このような場合、d軸,q軸の電流指令値Id *,Iq *と、想定した巻線抵抗値Rとに基づいてd軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *を出力すると、実際のd軸,q軸の電流値がd軸,q軸の電流指令値Id *,Iq *に一致しなくなり、トルク制御の精度が悪化する。そこで、d軸,q軸電流指令値Id *,Iq *と、対応する電流検出値Idc,Iqcとを比較し、その差分に基づいて求めたd軸,q軸電流指令値Id **,Iq **を用いることにより、巻線抵抗値Rの変動による影響を吸収しつつ制御を続行することが可能になる。
d軸,q軸電流指令値Id **,Iq **には、乗算器92g,92iにて、それぞれ電動機6の1相あたりの巻線抵抗値Rが乗算され、電圧値R×Id **,R×Iq **が出力される。また、d軸電流指令値Id **は、低域通過フィルタ98bに供給され、一次遅れフィルタの伝達関数「1/(1+Tds)」にてフィルタリングされ、d軸電流指令値Idf **として出力される。同様に、q軸電流指令値Iq **は、低域通過フィルタ98aに供給され、一次遅れフィルタの伝達関数「1/(1+Tqs)」にてフィルタリングされ、q軸電流指令値Iqf **として出力される。ここで、時定数Td,Tqは、電動機6の固定子6bの電気時定数であり、Td=Ld/R,Tq=Lq/Rになる。
乗算器92hにおいては、q軸電流指令値Iqf **に対して、インバータ周波数指令値ω1と、q軸のインダクタンスLqとが乗算される。減算器91eにおいては、電圧値R×Id **から乗算器92hの出力信号ω1×Lq×Iqf **から減算され、下式(1)に示すd軸電圧指令値Vd *が出力される。

d *=R×Id **−ω1×Lq×Iqf ** …(1)
また、乗算器92jにおいては、d軸電流指令値Idf **に対して、インバータ周波数指令値ω1と、d軸のインダクタンスLdとが乗算される。乗算器92kにおいては、インバータ周波数指令値ω1に対して、誘起電圧定数Keが乗算される。電動機6は同期電動機であると同時に同期発電機でもある。すなわち、回転子6aが回転すると、回転速度に比例する起電力が固定子6bに生ずる。その際の比例定数が上記誘起電圧定数Keである。そして、加算器90eにおいては、乗算器92i,92j,92kの各出力信号が加算され、その結果として下式(2)に示すq軸電圧指令値Vq *が出力される。

q *=R×Iq **+ω1×Ld×Idf **+ω1×Ke …(2)
上述の乗算器92h,92jは、d軸,q軸間の相互干渉をシミュレートしようとするものである。q軸電流によって生じた起電力は、ほぼ90°遅れてd軸に現れる。この現象をシミュレートするため、減算器91eにおいては、電圧値Id **Rからω1×Lq×Iqf **を減算している。また、d軸電流によって生じた起電力は、ほぼ90°遅れてq軸のマイナス方向に現れる。この現象をシミュレートするため、加算器90eでは、電圧値Iq **Rに対してω1×Ld×Idf **を加算している。
図7の回路構成では、電圧指令値演算部34の中に、電流制御器14a,14bを設けた点と、電動機6の電気時定数相当の遮断周波数を有する一次遅れフィルタである低域通過フィルタ98a,98bを設けた点とが特徴である。これらによって電動機6の逆モデルを成立させているため、制御部2aの演算周期に制約がある場合においても電動機6に対するベクトル制御を実現できる。
(位置推定部40)
次に、位置推定部40について説明する。前述のように、本比較例では回転子6aの回転角度位置として推定回転角度位置θdcを用いるが、これを演算するものが位置推定部40である。図6において、位置推定部40内の軸誤差演算器12は、制御軸上の電流検出値Idc,Iqcおよびd軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *等に基づいて、下式(3)により実軸と制御軸との軸誤差(推定値)Δθcを演算する。
次に、図8を参照し、PLL制御器13の構成を説明する。PLL制御器13は、軸誤差Δθcが軸誤差指令値Δθ*(本比較例ではゼロ)に一致させる方向にインバータ周波数指令値ω1を調整するものである。減算器91bは、軸誤差指令値Δθ*と軸誤差Δθcとの差分を出力する。比例器92aは、この差分に比例ゲインKp_pllを乗算し、比例器92bは該差分に比例ゲインKi_pllを乗算する。積分器94bは、比例器92bの出力を積分する。これにより、比例器92bと積分器94bとは、積分演算部93aを構成する。この積分演算部93aにおける演算結果と比例器92aにおける乗算結果とは、加算器90cにて加算され、この加算結果がインバータ周波数指令値ω1になる。これにより、PLL制御器13は、いわゆる比例積分演算器を構成している。
仮に、図4(b)に示したように、dc−qc軸がd−q軸よりも進むと、軸誤差Δθcが正値になる。すると、減算器91bから負値である「−Δθc」がPLL制御器13に供給されるから、比例器92aの出力も負値になり、積分演算部93aにおける積分結果は低下する。これにより、インバータ周波数指令値ω1が低下するから、dc−qc軸がd−q軸に近づいてゆく。すなわち、軸誤差Δθcがゼロに近づいてゆく。逆に、dc−qc軸がd−q軸よりも遅れると、軸誤差Δθcが負値になる。すると、減算器91bから正値である「−Δθc」がPLL制御器13に供給されるから、比例器92aの出力も正値になり、積分演算部93aにおける積分結果は上昇する。これにより、インバータ周波数指令値ω1が上昇するから、dc−qc軸がd−q軸に近づいてゆく。すなわち、軸誤差Δθcがゼロに近づいてゆく。
図6に戻り、PLL制御器13の後段に設けられた積分器94aにより、インバータ周波数指令値ω1が積分される。速度を積分すると位置になるから、積分器94aは、インバータ周波数指令値ω1を積分することによって、推定回転角度位置θdcを出力する。このように、本比較例の位置推定部40は、実軸と制御軸のズレである誤差角(軸誤差Δθc)を推定し、軸誤差Δθcがゼロに近づくよう制御することにより、推定回転角度位置θdcを間接的に推定するものである。出力された推定回転角度位置θdcは、上述したように、dq/3φ変換器4、3φ/dq変換器8等に供給される。
(トルク電流指令値作成器10)
次に、トルク電流指令値作成器10の構成を図9を参照し説明する。
トルク電流指令値作成器10には、インバータ周波数指令値ω1と、回転速度指令値ω*とが供給され、減算器91bにおいて両者の差分が出力される。なお、回転速度指令値ω*は、図示せぬ上位制御系等から与えられる。この差分に対して、比例器92p,92qでは、各々比例ゲインKp_asr,Ki_asrが乗算され、比例器92qの出力は積分器94eによって積分される。比例器92pおよび積分器94eの出力は、加算器90fにおいて加算され、その結果がトルク電流指令値Itq *として出力される。すなわち、トルク電流指令値作成器10は、いわゆる比例積分演算器を構成している。
仮に、インバータ周波数指令値ω1が回転速度指令値ω*よりも低くなると、減算器91bから出力される両者の差分は正値になるから、比例器92p,92q、積分器94e、加算器90fを介してトルク電流指令値Itq *が増加してゆくことになる。トルク電流指令値Itq *が増加すると、実際の回転子6aの回転速度が増加するため、インバータ周波数指令値ω1も増加し、インバータ周波数指令値ω1が回転速度指令値ω*に近づいてゆくことになる。
逆に、インバータ周波数指令値ω1が回転速度指令値ω*よりも高くなると、減算器91bから出力される両者の差分は負値になるから、比例器92p,92q、積分器94e、加算器90fを介してトルク電流指令値Itq *が減少してゆくことになる。トルク電流指令値Itq *が減少すると、実際の回転子6aの回転速度が減少するため、インバータ周波数指令値ω1も減少し、インバータ周波数指令値ω1が回転速度指令値ω*に近づいてゆくことになる。
通常、上位制御系等から与えられる回転速度指令値ω*は、インバータ周波数指令値ω1と比較すると、変化の周期は非常に長く、電動機6の一回転中においては一定値であるとみなして良い。そのため、トルク電流指令値作成器10によって、電動機6はほぼ一定周波数で回転する。この時、インバータ周波数指令値ω1を積分することで得られる推定回転角度位置θdcは、ほぼ一様に増加する。
但し、トルク電流指令値作成器10によって実現されるフィードバックループは、PLL制御器13や電流制御器14a,14bよりも外側の制御ループとなる。そのため他の制御器よりも設定可能な応答周波数を低く設定する必要がある。これにより、トルク電流指令値Itq *は、負荷トルクτLの平均値にほぼ比例しながら、若干脈動する値になる。
<比較例1の問題点>
比較例1に対して、圧縮機構部500を駆動した際に生じる各部の波形の数値解析結果を図10(a)〜(d)に示す。図10(a)は、モータトルクτmと負荷トルクτL(単位はP.U.)の変化を示す。モータトルクτmとは、電動機6の発生トルクであり、負荷トルクτLは瞬時負荷トルクである。また、図10(b)は、回転速度指令値ω*とインバータ周波数指令値ω1との変化(単位はHz)を示す。また、図10(c)はq軸電流指令値Iq *(本比較例ではトルク電流指令値Itq *に等しい)の変化を示し、図10(d)はU相モータ電流の変化(単位はP.U.)を示す。ここで横軸の時間目盛の単位は何れも0.02秒であり、図10の例にあっては、図4(a)で示した機械角の1周期が0.04秒であることが解る。
図10(a)によれば、モータトルクτmと負荷トルクτLは、機械角1周期内でのピーク値の位相が一致していない。モータトルクτmがこの周期内でほぼ正弦波状に変動して繰り返すのに対し、負荷トルクτLは前半周期での急増後、後半周期ではやや緩やかな減少を繰り返しており、1周期内でのトルクの位相の不一致が際立っている。但し、図示の例は回転ロータリー型圧縮機構部500の動作例であるため、負荷トルクτLは負になることはない。また、図10(b)によれば、回転速度指令値ω*が一定であるのに対して、インバータ周波数指令値ω1は正弦波状の変動を繰り返している。また、図10(c)に示すq軸電流指令値Iq *および図10(d)に示すU相モータ電流値も脈動している。
図10の結果から、1回転中における負荷トルクτLが変動することによって、モータトルクτm、電動機6の実周波数(電動機6の回転速度)、電動機に流れる電流等が脈動することが分かる。q軸電流指令値Iq *および実際に電動機に流れる電流が脈動すること自体は問題ではないが、問題は、q軸電流指令値Iq *および実際に電動機に流れる電流のピークと、負荷トルクτLのピークとの間にタイミングのずれが生じていることである。これは、図8のPLL制御器13、図7の電流制御器14a,14b、図9のトルク電流指令値作成器10等のフィードバック制御器に設定可能な応答周波数に制約があるためである。
そこで、設定可能な応答周波数の制約について述べておく。まず、図8のPLL制御器13は、電動機の電気定数(例えば、電動機6の1相あたりの巻線抵抗値Rやq軸のインダクタンスLq等)によって設定可能な応答周波数が決まり、その値はインバータ周波数指令値ω1が低いほど、低い応答周波数を設定する必要がある。これは、応答周波数を高くしてしまうと、インバータ周波数指令値ω1の変化に対して電動機6の動作が追従できず、インバータ周波数指令値ω1が発散してしまう可能性があるためである。
一方、図7の電流制御器14a,14bは、制御部2の演算時間の制約によって、設定可能な応答周波数が決まる。従って、電動機6が高速で回転するほど電流制御器14a,14bの応答周波数を低く設定する必要がある。制御部2の演算は、実際は所定周期でマイクロコンピュータに対して割込みを発生させることによって実現されている。すると、電動機6が高速で回転するほど、1回転あたりの割込み回数が減少することになり、様々なデータのサンプリング回数も減少することになる。仮に、少ないサンプルに基づいて強い制御をかけようとすると、やはりq軸電流指令値Iq *などが発散してしまう可能性がある。
他に、フィードバック制御を行う要素としては、トルク電流指令値作成器10がある。しかし、上述したように、トルク電流指令値作成器10は、PLL制御器13や電流制御器14a,14bよりも外側の制御ループに設けられるため、他の制御器よりも応答周波数を低く設定する必要がある。このように、比較例1の構成のみでは、広い運転範囲において周期的な負荷変動に対応することは難しい場合がある。
[第1実施形態]
<第1実施形態の構成>
(全体構成)
次に、本発明の第1実施形態の構成を図11を参照し説明する。
本実施形態においては、図11に示すように、比較例1(図1参照)におけるモータ制御装置1aに代えて、モータ制御装置1bが適用される。モータ制御装置1a,1bの相違点は、制御部2aに代えて、制御部2bが適用されていることである。この制御部2bには、脈動トルク推定器16と、脈動トルク電流指令値作成器11fと、加算器90aとが追加されている。ここで、本実施形態における制御部2bの詳細を図12に示す。
(脈動トルク推定器16)
次に、脈動トルク推定器16について説明するが、最初に脈動トルク推定器16の原理を図13(a),(b)を参照し説明する。図13(a)は、モータトルクτmと負荷トルクτLの差によって軸誤差Δθdが発生する過程を説明するための図である。上述した比較例1においては、図9に示したトルク電流指令値作成器10により、インバータ周波数指令値ω1の平均速度は、上位制御系等から与えられる回転速度指令値ω*に一致する。しかし、瞬時速度においては、下式(4)のように速度変動Δωが生じる。
上述したように、モータトルクτmは電動機6の発生トルクであり、負荷トルクτLは瞬時負荷トルクである。また、Jは電動機6の慣性モーメントである。従って、モータトルクτmと負荷トルクτLとの差によって速度変動Δωが生じ、速度変動Δωによって軸誤差Δθdも生じる。
図13(a)は、モータトルクτmと負荷トルクτLとの差が軸誤差Δθdに至るまでの現象をブロック線図として示したものである。モータトルクτmと負荷トルクτLとの差トルクΔτm(減算器91h)に慣性モーメントJの逆数を掛けて積分(積分器94f)することで、電動機の回転子6aの機械速度ωrが得られる。次いで機械速度ωrに電動機6の極対数(=極数P/2)を乗算する(乗算器92r)ことにより、電動機6の電気速度ωeが得られる。さらに電気速度ωeを積分(積分器94g)することにより、回転子6aの回転角度位置θdが得られる。そして、回転角度位置の指令値である回転角度指令値θd *から回転子6aの回転角度位置θdを減算(減算器91i)することにより、その角度誤差(軸誤差Δθd)が得られる。
図13(a)の模式図のような過程を経て、トルク差が軸誤差Δθdに至ると考えることができる。このことは逆に考えると、軸誤差Δθdに対応する検知可能な値からトルク差を推定可能であることを意味している。前述の通り、本比較例では、位置センサ等が設けられていないため、軸誤差Δθdは直接的には得られない。そこで、本比較例で検出あるいは推定が可能な値を用いることとする。
図13(b)は、本実施形態において取得可能な軸誤差Δθcからトルク差を推定する機能ブロック図である。ブロック線図の特徴として、矢印の方向(すなわち、演算方向)を逆にする場合、乗算は除算に、積分は微分に、それぞれ置き換えることで、等価な関係を維持したまま入出力関係を変えることができる。図13(b)に示したブロック図は、軸誤差から差トルクを得られるように、図13(a)の矢印の方向を逆にし、かつ、本実施形態で検出あるいは推定が可能な値を用いるように等価変換した結果である。
図13(b)についてより詳細に説明すると、上述のように、軸誤差Δθcは、軸誤差演算器12によって得られる。この軸誤差の負値(−Δθc)を微分することにより(微分器95a)、電気速度ωeの推定値である推定電気速度ωe *が得られ、さらに「2/極数P」を乗ずることによって(乗算器92s)、推定機械速度ωr *が得られる。そして、微分器95bにて推定機械速度ωr *を微分し、慣性モーメントJを乗ずることにより、差トルク推定値Δτm ^が得られる。
図13(c)は、図13(b)の等価変換手順をまとめて示した図であるとともに、脈動トルク推定器16の構成を示す図である。本実施形態では、機械角の1周期あるいは複数周期で変化する脈動負荷トルクに注目しているため、図13(b)のブロック図の複素数sをjωrに置き換えて整理し、脈動トルク推定器16を構成する演算回路93bを得たものである。jは複素数の虚部を示す虚数単位であり、2乗すると(−1)となる。そのため、図13(b)にてΔθcに付されていた負号が無くなる。このように、図13(c)の脈動トルク推定器16は、図6および式(3)で示した軸誤差演算器12によって得られる軸誤差Δθcが入力されると、差トルク推定値Δτm ^を出力する。
(脈動トルク電流指令値作成器11f)
次に、脈動トルク電流指令値作成器11fの具体的な構成を図14を参照し説明する。
図14において、積分器94jはインバータ周波数指令値ω1を積分することにより、推定回転角度位置θdcを出力する。乗算器92oでは、推定回転角度位置θdcに「2/P」(Pは極数)が乗算され、その結果が推定機械角度位置θrとして出力される。余弦演算器96および正弦演算器97は、それぞれ推定機械角度位置θrの余弦成分cosθrおよび正弦成分sinθrを出力する。
図13(c)の脈動トルク推定器16により推定された差トルク推定値Δτm ^は、図10(a)に示したモータトルクτmと負荷トルクτLの差分に相当する値である。単相座標変換器32においては、差トルク推定値Δτm ^に推定機械角度位置θrの余弦成分cosθrおよび正弦成分sinθrが乗算され、下式(5),(6)に示すように、機械速度ωr(機械角1次成分)における余弦成分Δτmcと正弦成分Δτmsとが出力される。すなわち、差トルク推定値Δτm ^が、機械速度ωrで回転する座標系に座標変換される。

Δτmc=cos θr×Δτm ^ …(5)
Δτms=sin θr×Δτm ^ …(6)
低域通過フィルタ98c,98dでは、差トルク推定値余弦成分Δτmcおよび差トルク推定値正弦成分Δτmsのうち、機械速度ωr以上の成分が減衰される。次に、減算器91j,91kにおいては、差トルク推定値余弦成分Δτmc,差トルク推定値正弦成分Δτmsと、それぞれの指令値(Δτmc *=0,Δτms *=0)との差が求められる。そして、求められた差に対して比例器92t,92mでは積分ゲインKi_atrが乗じられ、積分演算部94h,94iでは、各乗算結果が積分される。これらの積分結果は、脈動トルク電流指令値の余弦成分Iqsin * cおよび正弦成分Iqsin * sになる。
乗算器92uでは、軸誤差Δθcに「2/P」(Pは極数)が乗算され、その結果が機械角における軸誤差である機械角軸誤差Δθrに変換される。減算器91rからは、推定機械角度位置θrから機械角軸誤差Δθrを減算した結果である修正推定機械角度位置θr1が出力される。余弦演算器96aおよび正弦演算器97aは、それぞれ修正推定機械角度位置θr1の余弦成分cosθr1および正弦成分sinθr1を出力する。
次に、単相座標逆変換器37においては、下式(7),(8)に基づいて、座標変換が再度実行される。

Δτmm ^=cosθr1×Iqsin * c+sinθr1×Iqsin * s …(7)

θr1=θr−Δθr …(8)
この座標変換により、差トルク推定値Δτm ^の機械速度ωrの成分Δτmm ^が得られる。差トルク推定値の機械速度成分Δτmm ^には、比例器92nにてゲインKtrqが乗算され、その乗算結果が脈動トルク電流指令値Iqsin *として出力される。なお、実施形態では、ゲインKtrqは「1」である。図12に戻り、加算器90aにおいては、脈動トルク電流指令値Iqsin *とトルク電流指令値Itq *とが加算され、加算結果がq軸電流指令値Iq *として出力される。
ここで、再び図14を参照し、脈動トルク電流指令値作成器11fの全体動作について説明しておく。仮に、モータトルクτmが負荷トルクτLよりも大きくなると、差トルク推定値Δτm ^が正値になるから、減算器91j,91kの出力値が負値になる。すると、積分器94h,94iにおける積分結果が減少してゆくから、脈動トルク電流指令値Iqsin *も減少してゆく。これにより、モータトルクτmが下がってゆくから、差トルク推定値Δτm ^がゼロに近づいてゆく。
逆に、差トルク推定値Δτm ^が負値であったとすると、減算器91j,91kの出力値が正値になり、積分器94h,94iの積分結果は増加してゆくから、脈動トルク電流指令値Iqsin *が増加してゆく。これにより、モータトルクτmが上昇してゆくから、差トルク推定値Δτm ^がゼロに近づいてゆく。このように、図14の脈動トルク電流指令値作成器11fにおいては、差トルク推定値Δτm ^がゼロに近づくように脈動トルク電流指令値Iqsin *が制御されるから、機械速度ωr(機械角1次成分)の各成分のトルク変動を抑制できる。
<第1実施形態の動作>
次に、単相座標変換器32と単相座標逆変換器37とにおいては、座標変換で使用する位相が異なっているが、その理由と効果について以下説明する。
前述のように、現実の制御部2bにおいては、設定可能な応答周波数に上限がある。そのため、一回転中の負荷変動に同期して周期的に軸誤差Δθdが発生してしまう。軸誤差Δθdが発生している場合、実軸と制御軸にずれが生じる。これは、電動機6に印加される電圧の位相が最適な位相からずれることを意味する。すなわち、負荷トルクτLとモータトルクτmの差が生じ、その結果、速度変動が発生し、振動騒音の原因となる。この現象は、モータの速度が低いほど顕著になる。その理由は、電動機の速度が低下すると、慣性力が小さくなるためである。
従って、周期的に負荷トルクτLが変化する負荷装置9(図11参照)に接続された電動機6を低速で駆動する場合には、電動機6に印加する電圧をより厳密に制御することが望ましい。これを実現する手段が、単相座標逆変換器37で瞬時的な軸誤差を考慮する減算器91rである。軸誤差発生時の実軸と制御軸との関係をあらためて図15に示す。図15(a)は軸誤差が正、すなわち制御軸が実軸よりも先行している場合である。この状態では、実際に電動機6に印加される電圧の位相は、最適な位相よりも進む。
反対に、図15(b)は軸誤差が負、すなわち制御時が実軸より遅れている場合である。この場合は、実際に電動機に印加される電圧(VdおよびVq)の位相は、最適な位相よりも遅れる。このように、電圧Vd,Vqの位相にずれがあると、q軸に流れる電流とqc軸電流指令値とにずれが生じる。その結果、電動機6が発生すべきトルクとq軸電流指令値Iq *との間にずれが生じる。
ここで、モータトルクτmと負荷トルクτLとの関係を図16に示す。図16において実線はモータトルクτmであり、破線は負荷トルクτLである。モータトルクτmは、制御部2bにおける各部の応答周波数の制約により、負荷トルクτLと比較して高調波成分が抜けたような波形になる。図16の例においては、特に回転角度位置が90°付近において両者の差が大きくなる。すると、機械角の1周期毎に、90°付近にて、式(4)に示した速度変動Δωが大きくなる。このため、軸誤差Δθdも周期変動的に90°付近にて大きくなる。
本実施形態においては、この応答周波数の制約によって生じる軸誤差Δθdを補償するために、上述の減算器91rが設けられている。減算器91rにおいて推定機械角度位置θrから機械角軸誤差Δθrが減算されるから、電動機6が発生すべきトルクに対応したq軸電流指令値Iq *を出力することができる。図6において、電圧指令値演算部34では、このq軸電流指令値Iq *に基づいてd軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *が生成され、dq/3φ変換器4では、これらに基づいて電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *が生成される。そして、PWM信号作成器33(図5参照)においては、これら電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *に基づいてドライブ信号Gp,Gnのデューティ比が決定される。
このように、本実施形態によれば、軸誤差Δθdによって生じる電圧Vd,Vqの位相ずれを低減するようにドライブ信号Gp,Gnのデューティ比が決定されるから、負荷トルクτLとモータトルクτmとの差である差トルクΔτmを減少させることができる。換言すれば、負荷トルクτLが増加する期間に応じて、モータトルクτmも増加させることができるから、速度変動を減少でき、振動や騒音を低減することができる。
換言すれば、本実施形態において得られる差トルク推定値Δτm ^は、推定あるいは予め設定した負荷変動パターンであり、ドライブ信号Gp,Gnのデューティ比は、この推定あるいは予め設定した負荷変動パターン(差トルク推定値Δτm ^)に加えて、回転角度位置θd(より具体的には、軸誤差Δθc)に応じて変化することが解る。
また、差トルク推定値Δτm ^は、負荷トルクτL(瞬時負荷トルク)とモータトルクτmとの差(差トルクΔτm)の推定値であるから、瞬時負荷トルクに対応して増減する値であると考えることができる。しかし、図14に示した単相座標変換器32および低域通過フィルタ98c,98dを経由することにより、瞬時的な変動成分は除去されてしまう。これに対して、軸誤差Δθcは、瞬時負荷トルクに対応して増減する値そのものであるから、軸誤差Δθcに応じてドライブ信号Gp,Gnのデューティ比を変化させるということは、「瞬時負荷トルクに対応して増減するパラメータ(Δθc)に応じてドライブ信号Gp,Gnのデューティ比を変化させる」、あるいは「瞬時負荷トルクを推定し、推定した瞬時負荷トルクに応じてドライブ信号Gp,Gnのデューティ比を変化させる」という事に他ならない。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態による圧縮機302の構成を図17を参照し説明する。なお、既に説明した比較例1および第1実施形態に示されたものに対応するものには同一の符号を付し、その説明を説明を省略する。
圧縮機302においては、動力源である電動機6と圧縮機構部500とが、密閉容器511の内部に装着されている。そして、電動機6は、配線ケーブル310を介してモータ制御装置301に接続されている。また、電動機6の回転子6aに結合されているシャフト502とロータリーピストン501とは、クランクシャフト503を介して接続されている。これにより、電動機6の回転に応じてロータリーピストン501が偏心して回転し、吸込み、圧縮、吐出、という一連の工程が実行される。吸込みパイプ508は吸込み口に、吐出パイプ509は吐出口に、それぞれ接続されており、圧縮機302に接続される外部のシステムとの間で冷媒を循環する。
シャフト502の一端は、軸受け510によって支持されている。密閉容器511の底部には潤滑油が貯溜されており、軸受け510および圧縮機構部500を潤滑する。シャフト502の他端には、バランスウェイト512が付加されており、ロータリーピストン501の偏心による重量のアンバランスを緩和している。バランスウェイト512の重量を重くすると、慣性モーメントが大きくなり、電動機6の発生トルクと負荷トルクの差による速度変動も小さくできる。その反面、電動機の加減速に要する時間もエネルギーも増加する。
本実施形態におけるモータ制御装置301は、第1実施形態のモータ制御装置1bと同様に構成されている。従って、軸誤差Δθdを補償することができ、振動や騒音を抑制することができる。これにより、バランスウェイト512の重量を削減することができ、慣性モーメントも削減できるため、起動特性を改善することができ、短時間で吸込パイプと吐出パイプに圧力差を生じさせることができる。
[第3実施形態]
<第3実施形態の全体構成>
次に、本発明の第3実施形態の空気調和機について、図18を参照し説明する。図18において、空気調和機300は、室内機303と、室外機304と、両者を接続する配管305とを有している。室内機303には室内熱交換器306と、室内熱交換器306に送風する送風機307とが設けられている。また、室外機304には、圧縮機302と、該圧縮機302を制御するモータ制御装置311とが設けられ、両者は配線ケーブル310を介して接続されている。さらに、室外機304には、室外熱交換器308と、該室外熱交換器308に送風する送風機309とが設けられている。室内を冷房する場合においては、図上で上側の配管305を介して室外機304の室外熱交換器308から室内機303の室内熱交換器306に冷媒が供給される。室内を冷房した後に気化した冷媒は、下側の配管305を介して圧縮機302に還流される。圧縮機302の構成は、第2実施形態のもの(図17参照)と同様である。
このような構成において、圧縮機302には、機械角1回転毎、または負荷である圧縮機構部500の特性によって、脈動トルクが生じる。空気調和機300においては、地球温暖化や電気代削減のために、省エネ化が強く望まれている。そのため、圧縮機302をインバータで駆動して可変速にすることにより、冷暖房サイクルの起動/停止に伴うロスを削減することが一般的となっている。さらに、住宅の断熱性能の向上により、一旦室内の温度が設定値になった後は、空気調和機300の能力を最小化して動作し続けることが望まれている。このように、モータ制御装置311および圧縮機302に対しては、「より低速で駆動する」ことが望まれている。しかし、低速で駆動する際には、振動抑制が大きな課題となる。振動が大きいと騒音の原因になるだけでなく、配管305に応力が生じ、寿命を低下させる可能性もある。
圧縮機302を構成する電動機6の回転子6aが高速で駆動している場合は、慣性モーメントの効果により、電動機6のモータトルクτmと負荷トルクτLとの差である差トルクΔτmが大きかったとしても、振動や騒音への影響は比較的小さい。しかし、電動機6を低速で駆動する場合には、差トルクΔτmが振動や騒音に与える影響は大きい。圧縮機302が搭載される空気調和機の室外機は、その名称通り室外に設置されるが、居住空間に近いところに設置されることも多いため、振動や騒音は極力削減することが望ましい。そこで、周期的な負荷変動を抑制し電動機の騒音や振動を低減可能なモータ制御装置が望まれている。
<脈動トルク電流指令値作成器11gの構成>
本実施形態におけるモータ制御装置311は、第1,第2実施形態におけるモータ制御装置1b(301)と比較して、脈動トルク電流指令値作成器の構成が異なる。すなわち、図14の脈動トルク電流指令値作成器11fに代えて、図19に示す脈動トルク電流指令値作成器11gが適用されため、その構成を説明する。
図19に示す脈動トルク電流指令値作成器11gにあっては、減算器91rが余弦演算器96および正弦演算器97の前段に挿入され、両演算器96,97には、推定機械角度位置θrから機械角軸誤差Δθrを減算した修正推定機械角度位置θr1が供給される。これにより、演算器96,97からは、修正推定機械角度位置θr1の余弦成分cosθr1および正弦成分sinθr1が各々出力され、これらの信号は、単相座標変換器32および単相座標逆変換器37の双方に対して共通に供給される。上述した以外の構成は、図14の脈動トルク電流指令値作成器11fと同様である。
この構成によれば、単相座標変換器32から出力される差トルク推定値余弦成分Δτmcおよび差トルク推定値正弦成分Δτmsについても、軸誤差Δθcの影響を補償できる。一般的に、空気調和機は、運転直後は冷却サイクルが安定しないために負荷変動が大きくなり、冷却サイクルが安定すると負荷変動も一様の変動に落ち着く傾向がある。そのため、運転直後は脈動トルク制御により十分な振動抑制が望まれるが、冷凍サイクルが安定した後は、周期脈動トルク制御の効き具合を調整し、振動を許容範囲内にしつつ消費電力を抑制することが望まれる。上述のモータ制御装置311が適用されることにより、この要望が充足される。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
上述の第1〜第3実施形態に適用されたモータ制御装置1b(301),311は、マイクロコンピュータやDSPなどの半導体集積回路(演算制御部)によって構成され、ソフトウェアなどで実現していることが多い。そのため、これらモータ制御装置が正しく構成されているか、検証することが難しいという課題がある。そこで、本実施形態においては、第1〜第3実施形態の構成が正しく動作しているかを検証する検証システムを提供するものである。
本実施形態による検証システムの構成を図20を参照し説明する。
図20において、電動機6には、回転子6aの磁極の位置、すなわち回転角度位置θdを直接的に検出する磁極位置センサ194が装着されている。磁極位置センサ194は、電動機6のシャフト502(図3,図17参照)に、エンコーダ等を用いた角度センサを装着することによって実現できる。
また、電力変換回路5の内部においては、シャント抵抗25の両端の電圧を測定する電圧検出器192が設けられている。また、第1,第3実施形態に適用されていた直流電圧源20に代えて、本実施形態においては、電圧を増減できる可変直流電圧源20aが適用される。また、インバータ21と電動機6との間の各相の結線には、計器用変流器191a,191b,191cと、電圧計193a,193b,193cとが挿入されている。これらの電圧計は、各相の電位と、可変直流電圧源20aのN(マイナス)側との電位との差を各相の電圧として検出する。なお、計器用変流器191a,191b,191cは、電流検出部7よりも高精度のものである。
さらに、本実施形態においては、検証装置190が設けられている。その内部に設けられた3φ/dq変換器195は、上記計器用変流器191a,191b,191cを介して電動機6の各相に供給される交流電流IU,IV,IWを検出するとともに、電圧検出器192の測定結果をシャント抵抗25の抵抗値で除算し、電流値を求める。また、電圧判定部197は、電圧計193a,193b,193cを介して、電動機6の各相の交流電圧VU,VV,VWを取得する。また、速度変換部198は、回転角度位置θdに基づいて、回転速度を求める。
さらに、電圧判定部197は、各相のドライブ信号(ゲート信号)を、制御部2bまたはゲートドライバ回路23の基準電位からの電位差によって検出する。3φ/dq変換器195は、交流電流IU,IV,IWまたはシャント抵抗25に流れる電流値と、回転角度位置θd(磁極位置)とが供給されると、下式(9)に基づいて、3相軸上の電流をd−q軸上の電流Id,Iqを算出する。電流判定部196は、q軸電流Iqが適切であるか否かを判定する。
電圧判定部197においては、各相の交流電圧VU,VV,VWのうち少なくとも2相以上の電圧から、回転数1次成分の振幅と位相とが求められる。そして、各電圧の位相と、電動機6の回転角度位置θdとが比較され、両者の差が検出される。仮に、制御部2bが所期の動作を行っている場合は、負荷の変化が大きい期間においても、電圧の位相と回転角度位置θdとの差は小さいはずである。このように、回転角度位置θd、各相の交流電流IU,IV,IW、交流電圧VU,VV,VW、シャント抵抗25に流れる電流およびドライブ信号等を測定することにより、第1〜第3実施形態の制御部2bが所期の動作を行っているか否かを検証することができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
<脈動トルク電流指令値作成器の変形例>
(1)第1,第2実施形態においては、脈動トルク電流指令値作成器11f(図14参照)に代えて、図21に示す脈動トルク電流指令値作成器11hを適用してもよい。
脈動トルク電流指令値作成器11hは、乗算器92uと減算器91rとの間にスイッチ82dが挿入されている。スイッチ82dは、インバータ周波数指令値ω1が所定の切替周波数未満であれば機械角軸誤差Δθrを選択し、該指令値ω1が該切替周波数以上であればゼロ信号を選択し、選択した信号を減算器91rに供給する。ここで、上述の切替周波数は、電動機6の誘起電圧が、直流電圧源20の出力電圧(直流電圧)の半分以下となる低速領域の周波数である。
スイッチ82dにて機械角軸誤差Δθrが選択された場合の動作は、第1,第2実施形態の脈動トルク電流指令値作成器11fの動作と同様である。すなわち、推定機械角度位置θrから機械角軸誤差Δθrを減算してなる修正推定機械角度位置θr1に基づいて、余弦演算器96aおよび正弦演算器97aから、それぞれ修正推定機械角度位置θr1の余弦成分cosθr1および正弦成分sinθr1が出力される。これにより、差トルクΔτmを減少させることができ、振動や騒音を低減することができる。一方、スイッチ82aにおいてゼロ信号が選択されると、推定機械角度位置θrに等しい修正推定機械角度位置θr1が減算器91rから出力されるから、演算器96a,97aの演算結果は、演算器96,97の演算結果に等しくなる。
本変形例は、軸誤差Δθdに起因する振動や騒音は、電動機6の回転速度が低速になるほど顕著になることに着目したものであり、回転速度が低速(切替周波数未満)である場合には第1実施形態と同様に軸誤差Δθcに基づく補償動作を実行し、回転速度が高速になると、補償動作を省略することにしたものである。補償動作を省略するという事は、実際に脈動トルク電流指令値作成器11hの動作をプログラムで実現する際には、乗算器92u、減算器91r、演算器96a,97aの演算を省略し、演算器96,97の演算結果をそのまま単相座標逆変換器37に供給できるということである。これにより、演算時間や所要メモリ量等のリソースを削減することができる。
(2)脈動トルク電流指令値作成器の他の変形例について説明する前に、特に電動機6の加減速中に生じる問題について図22を参照し説明する。
図22(a)に示すように、上位制御系等から与えられる回転速度指令値ω*(破線)がステップ状に低下すると、インバータ周波数指令値ω1(実線)、は回転速度指令値ω*に追従するように、徐々に低下する。これは、図8,図9に示したPLL制御器13およびトルク電流指令値作成器10において、比例積分制御が行われるためである。
しかし、上述したように、各制御器に設定可能な応答周波数には制約がある。そのため、特に回転速度指令値ω*の変化が大きい場合、加減速中には定常的な軸誤差が発生する。すなわち、図22(b)に示すように、軸誤差Δθdは、定常的な成分と、これに重畳する脈動成分とから成るような波形になる。このような場合は、特に定常的な成分に着目してモータトルクτmを発生することが望ましい。しかし、推定によって得られた軸誤差Δθcにも脈動成分が重畳するため、電動機6に印加される電圧には電圧指令値に対する位相差が生じてしまい、トルク電流指令値Itq *の通りにモータトルクτmを発生させることが難しくなる。
この問題に対応するため、第1,第2実施形態においては、脈動トルク電流指令値作成器11f(図14参照)に代えて、図23に示す脈動トルク電流指令値作成器11iを適用してもよい。この脈動トルク電流指令値作成器11iは、図21に示した脈動トルク電流指令値作成器11hにおいて、乗算器92uとスイッチ82dとの間に、定常軸誤差演算器19と加算器90gとを挿入した構成に等しい。
ここで、定常軸誤差演算器19の構成を図24に示す。定常軸誤差演算器19は一次遅れフィルタであり、その時定数Trは、機械角軸誤差Δθrの脈動成分(すなわち、機械速度ωr以上の周波数成分)を減衰させるように設定されている。これにより、定常軸誤差演算器19からは、機械角軸誤差Δθrの定常成分Δθr_stdyが出力される。
図23に戻り、加算器90gにおいては、機械角軸誤差Δθrと、機械角軸誤差定常成分Δθr_stdyとが加算され、インバータ周波数指令値ω1が切替周波数未満である場合には、この加算結果が減算器91rに供給される。これにより、機械角軸誤差Δθrに含まれる定常成分が強調されて脈動トルク電流指令値Iqsin *に反映されるため、電動機6に印加される電圧の位相誤差を低減することができる。
(3)図23に示した脈動トルク電流指令値作成器11iにおいては、加算器90gにおいて機械角軸誤差Δθrと機械角軸誤差定常成分Δθr_stdyとの加算結果を求め、この加算結果をスイッチ82dを介して出力したが、加算器90gを省略し、機械角軸誤差定常成分Δθr_stdyのみをスイッチ82dを介して出力するようにしてもよい。
このような構成は、バランスウェイト512(図17参照)の慣性モーメントが充分大きい場合に特に有用である。慣性モーメントが充分大きい場合には、電動機6の低速運転時においても、軸誤差Δθdの脈動成分が無視できる程度に小さくできる。その場合は、軸誤差Δθdの脈動成分に対する制御を省略し、加減速時に生じる定常成分に対してのみ補償することも考えられるためである。
本変形例においては、電動機6の機械角軸誤差Δθrの中から、機械速度ωr以上の成分を除去したものが機械角軸誤差定常成分Δθr_stdyとして、スイッチ82dを介して減算器91rに供給される。すると、機械角軸誤差Δθrの中に機械速度ωr未満の成分が含まれない場合には、乗算器92uからゼロ信号(またはきわめてレベルの低い信号)が出力され続けることになるから、機械角軸誤差Δθrに基づく制御は実質的に行われない(機械角軸誤差Δθrが、ドライブ信号Gp,Gn(図5参照)に対して実質的に影響を与えない)ことになる。
従って、本変形例は、電動機(6)の回転速度が、該回転速度未満の成分を有する変化特性を伴って変化していることを条件として、制御部(2)は、負荷装置(9)の瞬時トルク(τ_L)に対応して増減するパラメータに応じてドライブ信号のデューティ比を調整するものである。
(4)上記各実施形態、変形例における脈動トルク電流指令値作成器11f,11g,11h,11iには、インバータ周波数指令値ω1を供給したが、該指令値ω1に代えて、回転速度指令値ω*を供給してもよい。
(5)上記各実施形態、変形例の脈動トルク電流指令値作成器11f,11g,11h,11iにおいて、3φ/dq変換器8(図12参照)から出力される電流検出値Idc,Iqcを微分する微分器を追加し、これら脈動トルク電流指令値作成器11f,11g,11h,11iにて使用されている軸誤差Δθcに加えて、あるいは軸誤差Δθcに代えて、当該微分器の出力する電流微分値を減算器91rに供給するようにしてもよい。これにより、ドライブ信号Gp,Gnを、推定あるいは予め設定した負荷変動パターンに加え、電流微分値に応じて変化させることができる。電流微分値は、電流検出値Idc,Iqcが得られた後、比較的早いタイミングで得られるため、電流微分値を用いることにより、応答周波数の制約による遅延を一層効果的に補償することができる。
<電動機、負荷装置等の変形例>
(1)上記各実施形態においては、電動機6は回転子6aに永久磁石を有する永久磁石同期モータを用いた例を説明したが、電動機6として、その他の電動機(例えば、誘導機、同期機、スイッチトリラクタンスモータ、シンクロナスリラクタンスモータ等)を用いることができる。また、電動機6は三相電動機でなくてもよく、例えば二相電動機、その他の多相電動機であってもよい。電動機の種類によっては、電圧指令値演算部34での演算方法が変わるが、それ以外については各実施形態の構成と同様のものを適用でき、各実施形態と同様の効果を奏することができる。
(2)上記各実施形態においては、電動機6として非突極型のものを採用したため、d軸とq軸のインダクタンス値は同一であると仮定し、d軸電流指令値Id *としてゼロを設定した。しかし、電動機6として突極型の電動機を採用してもよい。すなわち、突極型の電動機においては、d軸とq軸のインダクタンスに差が生じるから、q軸電流によるトルクの他に、d軸とq軸のインダクタンスの差に起因するリラクタンストルクが生じる。その場合、リラクタンストルクを考慮してd軸電流指令値Id *を設定することにより、同一のトルクを小さいq軸電流で発生できる。これにより、消費エネルギーを削減できるという効果を奏する。
(3)上記各実施形態においては、負荷装置9として回転ロータリー型の圧縮機構を用いた例を説明したが、負荷装置9として、ピストンが直線的に動くレシプロ型、あるいは渦巻状の旋回翼からなるスクロール型等の圧縮機構を適用してもよい。それぞれの圧縮方式によって周期的な負荷変動の特性は異なるものの、何れの圧縮方式においても圧縮工程に起因する負荷変動がある。これらの負荷トルク変動特性はそれぞれ異なるが、前述の手段を備えるモータ制御装置は圧縮機構が異なる場合にも同様に適用でき、何れにおいても上記各実施形態と同様の効果を奏する。
(4)上記各実施形態においては、負荷装置9として圧縮機を適用した例を説明したが、負荷装置9として、周期的に変動する負荷トルク特性を有する他の流体機械(例えばポンプ)を採用でき、その場合も上記実施形態と同様の効果を奏する。
(5)上記各実施形態において、電動機6のシャフト502は、クランクシャフト503を介して圧縮機構部500のロータリーピストン501に接続されていた。そのため、圧縮機302としての一連の工程は電動機6の機械角1周期となり、その結果、負荷トルクの変動も機械角1周期であった。しかし、例えば電動機6のシャフトとクランクシャフト503の間に、ギア等の変速機構を追加してもよい。この場合、負荷トルクの変動は、機械角1周期の所定値倍(この所定値は、整数であると整数ではない場合がある)で変動するが、負荷トルクの変動周期が予め分かっているため、上記各実施形態と同様の内容を適用可能であり、同様の効果を奏する。
(6)上記各実施形態においては、電動機6と負荷装置9との間の動力伝達は、図3(a),(b)に示したように機械的な接続により実現されていた。しかし、潤滑油の給油の構成や、圧縮あるいは搬送対象(例えば有害ガス)によっては、磁気的に接続された機構を含めることで、電動機6と負荷装置9とを隔離し、安全性やメンテナンス性を高めてもよい。
<検証システムの変形例>
(1)第4実施形態の検証システムにおいては、電動機6のシャフト502にエンコーダ等を用いた角度センサを装着した。しかし、エンコーダ等の取り付けが難しい場合は、シャフト502の一部を削り、円周方向に1つ以上の凹部を形成するとよい。これにより、シャフト502を簡易的な歯車と見なすことができる。凹みのある位置近傍に、例えば、磁気式速度検出器、光ピックアップ、ホール素子等を設置することで、シャフト502に設けた凹みを検出できる。凹みの位置から機械角すなわち回転角度位置θdを検出できる。特に負荷の変化が大きい位置(例えば図4の負荷トルクの波形の微分値が大きい位置)に細かい凹みを多く設けると、正確な検証が可能になる。
(2)第4実施形態において、電圧計193a,193b,193cは、各相の電位と、可変直流電圧源20aのN(マイナス)側との電位との差を各相の電圧として検出した。しかし、これに代えて、各相間の線間電圧を測定し、その結果から交流電圧VU,VV,VWを算出してもよい。
(3)また、電圧計193a,193b,193cに代えて、ドライブ信号に基づいて交流電圧VU,VV,VWを求めることもできる。この場合は、ドライブ信号の周波数(すなわち、電力変換回路5のスイッチング周波数)以上の周波数成分を遮断する低域通過フィルタを用いて、ドライブ信号から電動機に印加される各相印加電圧の回転数1次成分を抽出するとよい。
(4)電流判定部196は、ハードウェアで実現することも可能である。例えば、1次遅れフィルタを抵抗とコンデンサによるアナログ回路で実現できる。また、オシロスコープのような測定器には、フィルタ演算機能を有する測定器がある。このような測定器を用いれば、3相電流値のみを検出することによって、第1〜第3実施形態に係る装置が所期の動作を行っているか否かを簡単に検証することができる。
<その他各部の変形例>
(1)上記各実施形態においては、図9に示すトルク電流指令値作成器10によってトルク電流指令値Itq *を生成したが、トルク電流指令値Itq *は図示せぬ上位制御系等から得てもよい。
(2)上記各実施形態においては、制御軸上で電圧や電流を制御したが、実際に電動機6に印加される電圧の振幅と位相を調整して電動機6を制御してもよい。また、上記各実施形態においては、制御軸上のd軸,q軸電流指令値Id *,Iq *に基づいてd軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *を求め(図7参照)、d軸,q軸電圧指令値Vd *,Vq *に基づいて三相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *を求めていた。しかし、d軸,q軸電流指令値Id *,Iq *に基づいて、三相の電流指令値を求め、この三相の電流指令値に基づいて三相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *を求めてもよい。
(3)上記各実施形態においては、直流電圧源20に対してシャント抵抗器25を直列に接続したが、他にスイッチング素子22を保護する手段を講じた場合等は、シャント抵抗器25を省略することもできる。
(4)上記各実施形態においては、電力変換回路5から電動機6に供給される電流を電流検出部7によって直接的に検出したが、この電流検出部7に代えてシングルシャント電流検出方式の電流検出部を採用してもよい。シングルシャント電流検出方式とは、例えばシャント抵抗器25の電圧降下を測定することによって直流電圧源20の出力電流を測定し、交流側の電流を求めるものである。これは、電力変換回路5の各相の交流電流と同等の電流がシャント抵抗器25に流れることを利用している。シャント抵抗器25に流れる電流は時間的に変化するため、ドライブ信号24a〜24fが変化するタイミングを基準に適切なタイミングで電流検出するとよい。
(5)上記各実施形態において、制御部2はマイクロコンピュータやDSP等の半導体集積回路(演算制御部)によって構成したが、各実施形態の構成、機能、処理部、処理手続き等は、それらの一部または全部を、例えばASIC(特定用途向けIC)等のハードウェアによって実現しても良い。また、マイクロコンピュータやDSP(digital signal processor)等の半導体集積回路を用いる場合には、これらに適用されるプログラムを記憶媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布してもよい。
1,1a,1b モータ制御装置
2,2a,2b 制御部
3 電圧指令値作成器
4 dq/3φ変換器
5 電力変換回路
6 電動機
6a 回転子
6b 固定子
7 電流検出部
8 3φ/dq変換器(座標変換部)
9 負荷装置
10 トルク電流指令値作成器
11f,11g,11h,11i 脈動トルク電流指令値作成器
12 軸誤差演算器
13 PLL制御器
16 脈動トルク推定器
19 定常軸誤差演算器
20 直流電圧源
21 インバータ
32 単相座標変換器
33 PWM信号作成器
34 電圧指令値演算部
37 単相座標逆変換器
40 位置推定部
300 空気調和機
301 モータ制御装置
302 圧縮機
303 室内機
304 室外機
305 配管
306 室内熱交換器
307 送風機
308 室外熱交換器
309 送風機
310 配線ケーブル
311 モータ制御装置
500 回転ロータリー型圧縮機構部(圧縮機構部)
511 密閉容器(収納容器)

Claims (12)

  1. 直流電圧を交流電圧に変換し、負荷装置に接続された電動機を前記交流電圧によって駆動する電力変換回路と、
    前記電力変換回路を駆動するドライブ信号を出力する制御部と
    を備え、前記制御部は、
    前記電動機の回転角度位置を推定し、前記ドライブ信号のデューティ比を、推定あるいは予め設定した負荷変動パターンに加え、推定した前記回転角度位置に応じて変化させる
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 直流電圧を交流電圧に変換し、負荷装置に接続された電動機を前記交流電圧によって駆動する電力変換回路と、
    前記電力変換回路を駆動するドライブ信号を出力する制御部と
    を備え、前記制御部は、
    前記負荷装置の瞬時トルクに対応して増減するパラメータに応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記制御部は、
    前記電動機に供給される電流値を検出する電流検出部と、
    前記電流検出部によって検出された電流値を回転座標における電流値に変換する座標変換部と、
    前記回転座標における電流値を微分し電流微分値を出力する微分器と
    をさらに有し、
    前記電流微分値に応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 前記制御部は、
    前記電動機に供給される電流値を検出する電流検出部と、
    前記電流検出部によって検出された電流値を回転座標における電流値に変換する座標変換部と、
    前記回転座標における電流値を微分し電流微分値を出力する微分器と
    をさらに有し、
    前記電流微分値に応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
  5. 前記電動機の回転速度が、前記電動機の誘起電圧が前記直流電圧の半分以下となる速度領域に属する所定の切替速度未満であることを条件として、
    前記制御部は前記負荷装置の瞬時トルクに対応して増減するパラメータに応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 前記電動機の回転速度が、前記電動機の誘起電圧が前記直流電圧の半分以下となる速度領域に属する所定の切替速度未満であることを条件として、
    前記制御部は前記負荷装置の瞬時トルクに対応して増減するパラメータに応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  7. 前記電動機の回転速度が、前記回転速度未満の成分を有する変化特性を伴って変化していることを条件として、
    前記制御部は、前記負荷装置の瞬時トルクに対応して増減するパラメータに応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
  8. 前記電動機の回転速度が、前記回転速度未満の成分を有する変化特性を伴って変化していることを条件として、
    前記制御部は、前記負荷装置の瞬時トルクに対応して増減するパラメータに応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する
    ことを特徴とする請求項6に記載のモータ制御装置。
  9. 請求項1または2に記載のモータ制御装置と、
    前記モータ制御装置に駆動された電動機と、
    前記電動機に接続された圧縮機構部と、
    前記電動機と前記負荷装置とを収納する収納容器と
    を有することを特徴とする圧縮機。
  10. 請求項9に記載の圧縮機と、
    前記圧縮機に接続された室内熱交換器と、
    前記圧縮機および前記室内熱交換器に接続された室外熱交換器と、
    を有することを特徴とする空気調和機。
  11. 直流電圧を交流電圧に変換し、負荷装置に接続された電動機を前記交流電圧によって駆動する電力変換回路と、コンピュータを有し前記電力変換回路を駆動するドライブ信号を出力する制御部とを備えるモータ制御装置に適用されるプログラムであって、前記コンピュータを
    前記電動機の回転角度位置を推定し、前記ドライブ信号のデューティ比を、推定あるいは予め設定した負荷変動パターンに加え、前記回転角度位置に応じて変化させる手段
    として機能させるためのプログラム。
  12. 直流電圧を交流電圧に変換し、負荷装置に接続された電動機を前記交流電圧によって駆動する電力変換回路と、コンピュータを有し前記電力変換回路を駆動するドライブ信号を出力する制御部とを備えるモータ制御装置に適用されるプログラムであって、前記コンピュータを
    前記負荷装置の瞬時トルクに対応して増減するパラメータに応じて前記ドライブ信号のデューティ比を調整する手段
    として機能させるためのプログラム。
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