以下、本発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
<実施例1>
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
まず、本実施例の画像形成装置の全体的な構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用した電子写真方式のフルカラーレーザープリンタ(電子写真画像形成装置)である。この画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材12(例えば、記録シート、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置100に接続された画像読み取り装置、あるいは画像形成装置100に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどのホスト機器から、装置本体100aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKは、水平方向に一列に配置されている。なお、本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色(使用するトナーの色)が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下の説明において特に区別を要しない場合には、いずれかの色用に設けられた要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。本実施例では、画像形成部Sは、後述する感光体ドラム1、帯電ローラ2、スキャナユニット3、現像ユニット4、1次転写ローラ8、クリーニング部材6などで構成される。
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光体ドラム1を有する。4個の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kは、鉛直方向と交差する方向に並設されている。感光体ドラム1は、図示矢印A方向(反時計方向)に、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータにより所定の周速度で回転駆動される。そして、感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2、露光手段としてのスキャナユニット3、現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、及びクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を所定の極性の所定の電位に均一に帯電させる。スキャナユニット3は、ホストコンピュータ(図示せず)から入力される画像情報に基づいてレーザ光を照射して、一様に帯電させられた感光体ドラム1の表面に静電潜像(静電像)を形成する。現像ユニット4は、現像剤としての非磁性一成分現像剤(トナー)を備えており、静電潜像をトナー像として現像(可視像化)する。各色用の現像ユニット4Y、4M、4C、4K内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。クリーニング部材6は、転写後の感光体ドラム1の表面に残った転写残トナーを除去する。
また、画像形成装置100は、並設された4個の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向して配置された、中間転写体としての中間転写ベルト5を有する。中間転写ベルト5は、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12上に転写するために、トナー像を担持して搬送する。中間転写ベルト5は、無端状のベルトで形成されており、従動ローラ51、2次転写対向ローラ52、駆動ローラ53に掛け渡されている。中間転写ベルト5は、その外周面において全ての感光体ドラム1に当接する。中間転写ベルト5は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータが接続された駆動ローラ53が回転駆動されることによって、図示矢印B方向(時計方向)に所定の周速度で循環移動(回転)する。中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように、4個の1次転写手段としての1次転写ローラ8が並設されている。1次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を介して感光体ドラム1に向けて押圧され、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する1次転写部N1を形成する。また、中間転写ベルト5の外周面側において、2次転写対向ローラ52に対向する位置には、2次転写手段としての2次転写ローラ9が配置されている。2次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して2次転写対向ローラ52に向けて押圧され、中間転写ベルト5と2次転写ローラ9とが当接する2次転写部N2を形成する。また、中間転写ベルト5の外周面側の2次転写対向ローラ52に対向する領域で、2次転写部N2よりも中間転写ベルト5の移動方向の下流側の位置には、中間転写ベルト5を清掃する中間転写ベルトクリーニング装置11が設けられている。
また、画像形成装置100は、記録材12の搬送方向において2次転写部N2よりも下流側に、定着ローラと加圧ローラとを備えた定着装置10を有する。
本実施例では、感光体ドラム1と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ7を形成している。プロセスカートリッジ7は、画像形成装置100の装置本体100aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100の装置本体100aに着脱可能となっている。本実施例では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有している。
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて記録材に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(レーザビームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ装置、及びワードプロセッサなどが含まれる。また、プロセスカートリッジとは、像担持体と、これに作用するプロセス手段としての少なくとも現像手段と、を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能としたものである。また、現像ユニットとは、像担持体上の静電潜像を現像するために用いられる現像手段を一体化した装置(現像装置)である。現像ユニットは、少なくとも現像剤担持体と規制部材とを有する。この現像ユニットは、プロセスカートリッジの一部を構成した状態で、又は現像ユニット単独で、画像形成装置の装置本体に搭載される。現像ユニットが、単独で画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な現像カートリッジとされていてもよい。また、画像形成装置の装置本体とは、プロセスカートリッジや現像カートリッジを除いた画像形成装置の部分である。
画像形成時には、画像形成動作開始信号に応じて、感光体ドラム1が回転駆動されると共に、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電処理される。一様に帯電処理された感光体ドラム1の表面は、スキャナユニット3から出力される画像情報に応じたレーザ光によって走査露光される。これによって、感光体ドラム1の表面に画像情報に従った静電潜像(静電像)が形成される。感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像は、現像ユニット4によりトナー像として現像される。本実施例では、イメージ部露光と反転現像とによりトナー像が形成される。すなわち、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1の表面の一様に帯電処理された後に露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させる。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部N1において、1次転写ローラ8の作用により中間転写ベルト5上に転写(1次転写)される。このとき、1次転写ローラ8には、図示しない1次転写バイアス電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性(トナーの正規帯電極性)とは逆極性の電圧が印加される。例えばフルカラー画像形成時には、以上のプロセスが各画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次行われ、中間転写ベルト5上で各色のトナー像が順次重ね合わされる。
一方、中間転写ベルト5上へのトナー像の形成と同期が取られて、記録材12が2次転写部N2へと搬送される。そして、中間転写ベルト5上のトナー像は、2次転写部N2において、2次転写ローラ9の作用により記録材12上に転写(2次転写)される。このとき、2次転写ローラ9には、図示しない2次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。
トナー像が転写された記録材12は、定着装置10に搬送される。定着装置10は、定着ローラと加圧ローラとの接触部に形成される定着ニップにおいて記録材12に熱及び圧力を加え、トナー像を記録材12上に定着(固着)させる。その後、記録材12は画像形成装置100の装置本体100aの外部に排出(出力)される。
また、1次転写部N1で中間転写ベルト5上に1次転写されずに感光体ドラム1上に残った1次転写残トナーは、クリーニング部材6により感光体ドラム1上から除去されて後述する回収トナー収容部に回収される。一方、2次転写部N2で記録材12上に2次転写されずに中間転写ベルト5上に残った2次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11により中間転写ベルト5上から除去されて回収される。
なお、画像形成装置100は、単独又はいくつかの(全てではない)所望の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
また、本実施例では、現像剤として非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、現像剤として磁性一成分現像剤(磁性トナー)を用いてもよい。
2.プロセスカートリッジの構成
次に、本実施例の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の構成及び動作について説明する。
なお、現像ユニットあるいはプロセスカートリッジの構成や動作について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合には、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。現像ユニットあるいはプロセスカートリッジの通常の使用状態とは、適正に配置された装置本体100aに対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。
図2は、本実施例のプロセスカートリッジ7の概略断面図である。図2は、感光体ドラム1の回転軸線方向に直交する断面を示す。なお、本実施例では、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
プロセスカートリッジ7は、それぞれ別枠体で構成される、感光体ドラム1などを備えた感光体ユニット13と、後述する現像ローラ17などを備えた現像ユニット4と、が一体となって構成される。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、図示しない軸受を介して感光体ドラム1が回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、アルミニウム製のドラム基体上に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体層を有している。そして、感光体ドラム1は、駆動源(図示せず)により、所定の周速度で図示矢印A方向(反時計方向)に回転駆動される。本実施例では、感光体ドラム1は、直径24mmの負帯電性の有機感光体ドラムであり、周速度100mm/secで回転駆動される。
クリーニング枠体14には、感光体ドラム1の外周面(表面)に接触するようにして、帯電ローラ2とクリーニング部材6とが配設されている。帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面に所定の圧接力で当接しており、感光体ドラム1の表面との摩擦により感光体ドラム1に対して従動回転する。そして、帯電ローラ2の回転軸には、図示しない帯電バイアス電源(高圧電源)から所定の電圧が印加される。本実施例では、帯電ローラ2の回転軸に対し−1000Vの直流電圧が印加される。このとき、感光体ドラム1の表面電位をトレック株式会社製の表面電位計Model344で測定すると、−450V程度であった。また、クリーニング部材6は、感光体ドラム1の表面に所定の圧接力で当接している。クリーニング部材6によって、回転する感光体ドラム1の表面から掻き取られて除去された1次転写残トナーは、クリーニング枠体14内に形成された回収トナー収容部14aに回収される。
一方、現像ユニット4は、現像ユニット4内の各種要素を支持する枠体である現像枠体18(現像容器)を有する。現像枠体18内には、非磁性一成分現像剤(トナー)が収容されている。現像ユニット4には、現像剤を担持する現像剤担持体としての現像ローラ17が設けられている。また、現像ユニット4には、現像剤を現像ローラ17に供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ20が設けられている。また、現像ユニット4には、現像ローラ17の外周面(表面)に担持される現像剤の層厚を規制する規制部材としての現像ブレード21が設けられている。
トナーとしては、体積平均粒径が5μm〜8μmのものが好ましい。ここで、トナーの体積平均粒径は、ベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置Multisizer3で測定した。本実施例では、懸濁重合法で製造した負帯電性を有する非磁性のトナーで、体積平均粒径が6.5μm程度のものを用いた。なお、本実施例では懸濁重合法で製造したトナーを用いたが、これに限定されるものではない。例えば、粉砕法や、乳化重合法などの他の重合法を用いて製造されたトナーなどであってもよい。また、トナーの表面性を改質するために、トナーの表面に無機物を付着させて使用することができる。無機物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが使用可能であり、これらのうち1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。また、無機物は、トナーの表面に無機物からなる表層を形成してもよいし、無機微粒子を付着させて使用してもよい。本実施例では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
現像ローラ17は、表面にトナーを担持して感光体ドラム1との対向部まで搬送し、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像する。現像ローラ17は、感光体ドラム1と所定の当接幅で接触し、感光体ドラム1の周速度よりも速い周速度で図示矢印D方向(時計方向)に回転駆動される。すなわち、本実施例では、現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの移動方向が同方向(本実施例では上から下に向かう方向)となるように回転する。本実施例では、現像ローラ17は、感光体ドラム1の周速度の約1.5倍の周速度で回転駆動される。また、現像ローラ17には、図示しない現像バイアス電源(高圧電源)から所定の直流電圧が印加される。本実施例では、現像ローラ17の芯金に−300Vの直流電圧が印加される。なお、本実施例では、現像ローラ17は感光体ドラム1に接触して現像を行うものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラ17が感光体ドラム1に対して所定の間隔を保って近接して配置された状態で現像を行う構成であってもよい。
現像ローラ17には、単層ローラ又は複数層構成のローラが使用可能である。単層ローラとしては、芯金上に弾性材料としてのシリコーンゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴムなどのゴム材料により弾性層を形成したものが使用可能である。複数層構成のローラとしては、弾性層の表面にシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などを塗工して表層を形成したものが使用可能である。感光体ドラム1に対して安定した弾性接触を行うためには、現像ローラ17の弾性層の硬度がアスカーC硬度で40°〜70°であることが好ましい。また、現像効率の低下などの画像不良を発生させないためには、現像ローラ17の体積抵抗値が104Ω〜109Ωであることが好ましい。本実施例では、直径6mmの芯金上に層厚3mmのシリコーンゴムから成る弾性層を形成し、その表面にアクリル・ウレタン系樹脂を塗工して表層とした、直径12mmの現像ローラ17を用いる。また、本実施例では、現像ローラ17の硬度はアスカーC硬度で55°、体積抵抗値は106Ωである。
なお、現像ローラ17の体積抵抗値は次のようにして測定される。直径30mmの鏡面金属製円筒部材と現像ローラとを当接荷重1.0kgf(片側0.5kgf)で現像ローラ長手方向全域にわたって当接させた状態で、鏡面金属製円筒部材を1.0rpsの周速度で回転させる。そして、現像ローラの芯金と鏡面金属製円筒部材との間に−50Vの直流電圧を印加し、接地側に接続した1kΩの抵抗の両端電圧を測定して、測定した電圧値から電流値及び現像ローラの抵抗値を算出する。
トナー供給ローラ20は、現像ローラ17との対向部及びその近傍において、現像ユニット4内のトナーを現像ローラ17の表面に供給すると共に、現像に供されずに現像ローラ17の表面に残留したトナーを、現像ローラ17の表面から剥ぎ取る作用をなす。トナー供給ローラ20は、現像ローラ17の外周面(表面)に所定の当接幅で接触した状態で配置され、現像ローラ17の周速度よりも遅い周速度で図示矢印E方向(時計方向)に回転駆動される。すなわち、本実施例では、トナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、対向部(接触部)において互いの移動方向が逆方向となるように回転する。本実施例では、トナー供給ローラ20は、現像ローラ17の周速度の約0.85倍の周速度で回転駆動される。また、トナー供給ローラ20には、図示しない供給バイアス電源(高圧電源)から所定の電圧が印加される。本実施例では、トナー供給ローラ20の芯金に−300Vの直流電圧が印加される。なお、本実施例では、トナー供給ローラ20は、現像ローラ17の周速度よりも遅い周速度で回転駆動されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラ17の周速度よりも速い周速度で回転駆動される構成などであってもよい。
トナー供給ローラ20としては、導電性の芯金の外周に発泡体を形成した弾性スポンジローラなどが使用可能である。発泡体の材料としては、例えば、発泡ウレタンゴム、発泡EPDMゴム、発泡シリコーンゴムなどの発泡骨格状スポンジ構造を持つものが使用可能である。本実施例では、直径5mmの芯金上に発泡骨格状スポンジ構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを層厚4mmで形成した、直径13mmのトナー供給ローラ20を用いる。
現像ブレード21は、現像ローラ17の表面に担持されるトナーの層厚を規制すると共に、摩擦帯電によってそのトナーに電荷を付与する作用をなす。現像ブレード21は、トナー供給ローラ20と現像ローラ17との接触部よりも現像ローラ17の移動方向の下流側において、現像ローラ17の表面に接触した状態で配置されている。また、現像ブレード21には、図示しない規制バイアス電源(高圧電源)から所定の直流電圧が印加される。本実施例では、現像ブレード21に−500Vの直流電圧が印加される。すなわち、現像ブレード21には、現像ローラ17に印加される電圧よりも、トナーの正規帯電極性側に高い電圧が印加される。ただし、これに限定されるものではなく、現像ブレード21に印加される電圧は、現像ブレード21の材質やトナーの特性等に応じて、適宜調整可能である。現像ブレード21については、後述して更に詳しく説明する。
画像形成動作において、現像ユニット4内のトナーは、トナー供給ローラ20に担持されて搬送され、トナー供給ローラ20と現像ローラ17との接触部においてトナー供給ローラ20の作用により現像ローラ17に供給される。そして、現像ローラ17に供給されたトナーは、現像ローラ17に担持されて搬送され、現像ブレード21によって層厚が規制されると共に、摩擦帯電により電荷が付与される。現像ローラ17上の薄層化されたトナーは、現像ローラ17に担持されて搬送される。そして、このトナーは、現像ローラ17と感光体ドラム1との接触部において、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像し、トナー像を形成する。また、現像ローラ17上の現像に供されなかったトナーは、トナー供給ローラ20と現像ローラ17との接触部において、トナー供給ローラ20の作用により現像ローラ17上から剥ぎ取られる。この剥ぎ取られたトナーは、現像枠体18内へと戻されるが、一部のトナーはトナー供給ローラ20により担持されて搬送され、新たにトナー供給ローラ20に供給されたトナーと共に再び現像ローラ17に供給される。
3.規制部材の構成
次に、本実施例における規制部材としての現像ブレード21の構成及び作用について更に詳しく説明する。
図3(a)は本実施例の現像ブレード21と現像ローラ17とが無負荷で接触した状態を示す概略断面図、図3(b)は本実施例の現像ブレード21と現像ローラ17とが所定の圧接力をもって接触した状態を示す概略断面図である。図3は、現像ローラ17の回転軸線方向に直交する断面を示す。
現像ブレード21は、板状の弾性部材21aと、弾性部材21aを支持する支持部材21bと、を有する。弾性部材21aは、支持部21a2において、現像枠体18に固定された支持部材21bにより、片持ちで固定して支持される。弾性部材21aは、現像枠体18により支持される支持部21a2とは反対側である自由端側の先端部において、現像ローラ17に当接する。本実施例では、図3(a)に示すように弾性部材21aと現像ローラ17が無負荷で接触した状態から、図3(b)に示すように弾性部材21aに対して現像ローラ17の芯金を一定量押し込むことで、弾性部材21aを現像ローラ17に圧接させる。このとき、弾性部材21aが現像ローラ17に圧接されて変形することで生じる弾性復元力により、所定の圧接力が得られる。現像ブレード21は、現像ローラ17と現像ブレード21との当接位置Tにおいて、弾性部材21aの自由端側の先端部が、現像ローラ17の移動方向の上流側を向いた状態(カウンター方向)で現像ローラ17に当接するように設けられる。つまり、弾性部材21aは、自由端側の先端部が、現像枠体18による支持部21a2よりも現像ローラ17の移動方向の上流側に位置するようにして現像ローラ17に当接する。これにより、現像ローラ17に担持されて搬送されてきたトナーを弾性部材21aと現像ローラ17との当接位置に取り込む量を少なくすることができ、トナーの粉圧による圧接力の低下を低減することができる。
弾性部材21aには、ステンレス鋼、リン青銅、アルミニウム合金などの金属製薄板や、高硬度の導電性樹脂などで形成された薄板など、弾性(ばね性)を有する材料で形成された板状部材が使用可能である。また、支持部材21bには、弾性部材21aよりも厚い金属板などの板状部材で形成されたものが使用可能である。本実施例では、厚さ1.2mmの鉄板を断面L字形状に屈曲させた支持部材21bに、厚さ0.08mmのステンレス鋼薄板からなる弾性部材21aを固定して構成された現像ブレード21を用いる。また、本実施例では、現像ローラ17のステンレス鋼薄板で形成された弾性部材21aに対する押し込み量(無負荷で接触した状態からの押し込み量)を1.2mmとした。
弾性部材21aは、所定の角度で現像ローラ17に当接するよう設ける。具体的には、図3(a)に示すように、弾性部材21aが無負荷の状態で現像ローラ17に接触したときの角度θが10°〜45°(10°以上45°以下)となるように設ける。角度θは、現像ローラ17との当接部21a1に連続する該当接部より現像ローラ17の移動方向の下流側の弾性部材21aの表面Pを通る面Qと、弾性部材21aと現像ローラ17との当接位置Tにおける無負荷時の現像ローラ17の接平面Rとのなす角度である。なお、上記表面Pを通る面Qを「基準面」ともいう。
これにより、弾性部材21aの先端のエッジ部近傍のみが現像ローラ17と当接するようになり、弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域を狭くすることができる。そのため、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化を小さくすることができる。
角度θが10°より小さいと、現像ブレード21と現像ローラ17とが所定の圧接力をもって接触した場合に、弾性部材21aの弾性変形により弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が拡がりやすくなる。そのため、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化が大きくなり、弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が更に拡がると共に、トナーの層厚の規制に作用する圧接力が低下するようになる。一方、角度θが45°より大きいと、弾性部材21aの先端部が現像ローラ17の回転によって巻き込まれやすくなり、トナーの層厚を安定して規制するのが困難になる。また、特に金属板の型による打ち抜き(プレス加工)で製造した金属製薄板を弾性部材21aとして使用する場合などには、破断面のバリがトナーの層厚の規制に影響しやすくなり、規制後のトナーの薄層に縦筋などが発生しやすくなる。本実施例では、角度θが15°となるように設けた。
また、弾性部材21aは、現像ローラ17との当接部21a1を含む第1領域Laと、第1領域Laに連続して現像枠体18による支持部21a2側(支持部側)に設けられた、第1領域Laよりも剛性が低い第2領域Lbと、を有する。そして、第2領域Lbは、上記表面Pを通る面(基準面)Qよりも現像ローラ17の移動方向の下流側に設けられる。
第2領域Lbの方が第1領域Laよりも剛性が低いため、弾性部材21aが現像ローラ17に圧接されたときの弾性部材21aの弾性変形方向は、第2領域Lbの弾性変形方向に近くなる。そこで、第2領域Lbを、上記表面Pを通る面(基準面)Qよりも現像ローラ17の移動方向の下流側に設けることで、弾性部材21aの弾性変形方向を図示矢印F方向から図示矢印G方向にした。ここで、図示矢印G方向は、図示矢印F方向よりも弾性部材21aと現像ローラ17との当接位置Tにおける無負荷時の現像ローラ17の接平面Rの法線に近い方向である。これにより、弾性部材21aの弾性変形による接触領域の拡がりが小さくなる。一方、現像ローラ17との当接部21a1を含む第1領域Laは、例えば曲げ加工等により第2領域Lbよりも剛性が高くなるため、弾性部材21aが現像ローラ17に圧接されたときの弾性変形が比較的小さくなる。よって、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1近傍の弾性変形による接触領域の拡がりが小さくなる。
このように、本発明では、弾性部材21aが無負荷の状態で現像ローラ17に接触したときの角度θが10°〜45°(10°以上45°以下)となるように設ける。更に弾性部材21aは、現像ローラ17との当接部21a1を含む第1領域Laと、第1領域Laに連続して現像枠体18による支持部21a2側(支持部側)に設けられた、第1領域Laよりも剛性が低い第2領域Lbと、を有する。そして、第2領域Lbは、上記表面Pを通る面(基準面)Qよりも現像ローラ17の移動方向の下流側に設けられる。これにより、弾性部材21aの弾性変形による接触領域の拡がりが小さくなり、図3(b)に示すように、弾性部材21aの先端のエッジ部近傍のみが現像ローラ17と当接した状態、すなわち接触領域が狭い状態のまま圧接力を大きくすることができる。その結果、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化を小さくすることができる。よって、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合でも、弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域の拡がり及びトナーの層厚の規制に作用する圧接力の低下を小さくすることができる。
本実施例では、弾性部材21aは、無負荷時における支持部21a2(基端部)から現像ローラ17との当接部21a1(先端部)までの距離、所謂自由長さが10mmである平板状のステンレス鋼薄板を用いて形成した。そして、本実施例では、このステンレス鋼薄板を、先端から3.0mmの所で、先端側を現像ローラ17側に10°折り曲げた。このとき、弾性部材21aの先端から折り曲げ部21a3までが第1領域La、折り曲げ部21a3から支持部材21bによる支持部21a2までが第2領域Lbとなる。つまり、本実施例では、弾性部材21aは、支持部21a2から先端部までの自由長さ方向における少なくとも1箇所で折り曲げられた板状部材で形成されている。そして、自由長さ方向において支持部21a2から最も近い折り曲げ部までの弾性部材21aの領域が第2領域Lbである。また、自由長さ方向においてその折り曲げ部から先端部までの弾性部材21aの領域が第1領域Laである。このとき、自由長さ方向における第2領域Lbの長さの方が、自由長さ方向における第1領域Laの長さよりも長い。特に、本実施例では、弾性部材21aは、支持部21a2から先端部までの自由長さ方向において1箇所で折り曲げられており、その折り曲げ部21a3は現像ローラ17とは逆側に凸に折り曲げられている。
なお、弾性部材21aの形状や寸法は、本実施例のものに限定されるものではない。例えば、折り曲げ部21a3の位置や折り曲げ角度が異なるものなどであってもよい。
また、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1は、曲率半径が小さい方が好ましい。これは、曲率半径が大きくなると、現像ローラ17に担持されて搬送されてきたトナーを弾性部材21aと現像ローラ17との当接位置に取り込む量が多くなり、トナーの粉圧による圧接力の低下が大きくなるためである。本実施例では、プレス加工で製造したステンレス鋼薄板の抜きダレ部(現像ローラ17側に凸形状の湾曲面)を、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1として用いる。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、研磨などで適宜の曲率半径に仕上げた領域などを、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1として用いてもよい。
以上のように、本実施例によれば、現像ブレード21と現像ローラ17とが高い圧接力をもって接触した場合でも、弾性部材21aの弾性変形による現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域の拡がりを小さくすることができる。そのため、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合でも、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化、すなわち当接状態の変化を小さくすることができる。よって、トナーの層厚の規制に作用する圧接力の低下が小さく、安定したトナーの層厚の規制が可能となる。また、このように弾性部材21aの形状を変更することで、現像ブレード21の配置の自由度も増すことができる。
<実施例2>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、現像ローラ17の弾性部材21aに対する押し込み量(無負荷で接触した状態からの押し込み量)を1.6mmとした。すなわち、実施例1に比べて弾性部材21aの現像ローラ17に対する圧接力が大きい構成とした。
<実施例3>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例2のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例2のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、弾性部材21aとしてのステンレス鋼薄板を、先端から3.0mmの所で、先端側を現像ローラ17側に5°折り曲げた。このとき、弾性部材21aが無負荷の状態で現像ローラ17に接触したときの角度θは10°となる。すなわち、実施例2に比べて弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が少し広い構成とした。
<比較例1>
本比較例の構成は、以下に特に説明する点を除いて実施例1のものと実質的に同じである。本比較例において実施例1のものに対応する機能あるいは構成を有する要素には同一符号を付す。
図4(a)は本比較例の現像ブレード21と現像ローラ17とが無負荷で接触した状態を示す概略断面図、図4(b)は本比較例の現像ブレード21と現像ローラ17とが所定の圧接力をもって接触した状態を示す概略断面図である。図4は、現像ローラ17の回転軸線方向に直交する断面を示す。
本比較例では、自由長さが10mmである平板状のステンレス鋼薄板を弾性部材21aとして用いる。そして、本比較例では、角度θは5°とした。また、図4(a)に示すように、弾性部材21aの支持部21a2から現像ローラ17との当接部21a1までの領域は、表面Pを通る面(基準面)Qの延長線上に位置する。そのため、図4(b)に示すように、現像ブレード21と現像ローラ17とが所定の圧接力をもって接触した場合には、弾性部材21aの弾性変形による弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域の拡がりが大きい。すなわち、実施例1に比べて弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が広くなる。
<比較例2>
本比較例の構成は、以下に特に説明する点を除いて比較例1のものと実質的に同じである。本比較例において比較例1のものに対応する機能あるいは構成を有する要素には同一符号を付す。
本比較例では、現像ローラ17の弾性部材21aに対する押し込み量(無負荷で接触した状態からの押し込み量)を1.6mmとした。すなわち、比較例1に比べて弾性部材21aの現像ローラ17に対する圧接力が大きい構成とした。
4.実施例と比較例との対比
次に、本実施例の効果を比較例と対比して更に説明する。本実施例及び比較例の構成について、現像ユニット4を長期間にわたり使用した際の、現像ブレード21により層厚が規制された後の現像ローラ17上のトナー量の変動を評価した。
本評価では、まず、現像ユニット4にトナーを充填する。そして、A4サイズの全面白画像を20枚連続的に印刷した後に、現像ブレード21により層厚が規制された後の現像ローラ17上のトナー量M0を測定する。次に、A4サイズの記録紙で画像比率1%の横線画像を13000枚間欠的に印刷する。ここで、間欠印刷とは、所定枚数印刷後に現像ユニット4の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行う印刷方法を意味する。つまり、印刷動作の開始直後及び終了直前に、非印字状態のまま現像ユニット4が駆動する時間が生じる。本評価では、2枚連続印刷後に現像ユニット4の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行うように設定した。その後、現像ブレード21により層厚が規制された後の現像ローラ17上のトナー量M1を測定する。ここで、現像ローラ17上のトナー量は、現像ローラ17上のトナーを内部にフィルタを有する吸引式ファラデーゲージで吸引捕集して、そのときのフィルタの質量増加をトナーの捕集面積で除して求めた。つまり、M0、M1は、現像ローラ17上の単位面積当たりのトナー量(mg/cm2)を示す。そして、以下の式よりトナー量の変化量(mg/cm2)を算出して評価した。
トナー量の変化量(mg/cm2)=M1−M0
すなわち、トナー量の変化量とは、現像ブレード21により層厚が規制された後の現像ローラ17上のトナー量が、現像ユニット4の使用開始時から変化した量を示す。
なお、本評価は全て同一の単色で印刷して行った。また、本評価は全て23℃、50%RH環境下で行った。
表1に、本評価の結果を示す。また、評価基準は以下の通りである。
○:トナー量の変化量が0.10mg/cm2以下
△:トナー量の変化量が0.10mg/cm2より大きく0.14mg/cm2未満
×:トナー量の変化量が0.14mg/cm2以上
表1に示すように、比較例1及び比較例2において、現像ブレード21により層厚が規制された後の現像ローラ17上のトナー量の変化量は、0.14mg/cm2以上であった。また、比較例2は、弾性部材21aの現像ローラ17に対する圧接力が比較例1に比べて大きいにもかかわらず、比較例1よりも安定したトナーの層厚の規制が困難であった。この理由は、次のように考えられる。比較例1及び比較例2では、現像ブレード21と現像ローラ17とが所定の圧接力をもって接触した場合、弾性部材21aの弾性変形による弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域の拡がりが大きい。すなわち、実施例1〜3に比べて比較例1及び比較例2は、弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が広くなる。更に比較例2は、弾性部材21aの現像ローラ17に対する圧接力が比較例1に比べて大きいため、比較例1よりも弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が広くなる。そのため、比較例1及び比較例2は、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化が大きくなる。よって、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域が更に拡がると共に、トナーの層厚の規制に作用する圧接力が低下する。その結果、現像ローラ17に担持されるトナーの層厚を安定して規制するのが困難になる。
これに対して、実施例1〜3において、現像ブレード21により層厚が規制された後の現像ローラ17上のトナー量の変化量は、0.14mg/cm2未満であった。また、実施例2は、弾性部材21aの現像ローラ17に対する圧接力が実施例1に比べて大きく、実施例1よりも安定したトナーの層厚の規制が可能であった。また、実施例3は、弾性部材21aが無負荷の状態で現像ローラ17に接触したときの角度θが実施例2に比べて少し小さく、弾性部材21aと現像ローラ17との接触領域が少し広くなるが、安定したトナーの層厚の規制が可能であった。これらは、本発明によれば、現像ブレード21と現像ローラ17とが高い圧接力をもって接触した場合でも、弾性部材21aの弾性変形による現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域の拡がりを小さくすることができるためである。よって、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合でも、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化、すなわち当接状態の変化を小さくすることができる。その結果、トナーの層厚の規制に作用する圧接力の低下が小さく、安定したトナーの層厚の規制が可能となる。
以上のように、本発明によれば、現像ローラ17に担持されるトナーを長期間にわたって安定して規制することができる。
<実施例4>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。図5は、本実施例の現像ブレード21の概略断面図である。また、図6(a)、(b)は、本実施例の変形例の現像ブレード21の概略断面図である。図5及び図6は、現像ローラ17の回転軸線方向に直交する断面を示す。
本実施例の現像ブレード21は、弾性部材21aの第1領域Laに折り曲げ部21a4を有し、現像ローラ17とは逆側に凸形状を形成したものである。このように、弾性部材21aは、支持部21a2から先端部までの自由長さ方向において少なくとも2箇所で折り曲げられていてもよい。この場合、自由長さ方向において支持部21a2から最も近い折り曲げ部は現像ローラ17側(現像剤担持体側)に凸に折り曲げられており、自由長さ方向において先端部から最も近い折り曲げ部は現像ローラ17とは逆側に凸に折り曲げられている。
本実施例では、弾性部材21aとしてのステンレス鋼薄板を、プレス加工により先端から3.0mmの所で先端側を現像ローラ17とは逆側に10°、先端から1.5mmの所で先端側を現像ローラ17側に20°折り曲げた。このように、本実施例においても、弾性部材21aが無負荷の状態で現像ローラ17に接触したときの角度θが15°となるように設けた。
ただし、第1領域Laの形状は、これに限定されるものではない。例えば、図6(a)に示すように、折り曲げ部21a4の位置や折り曲げ角度が異なるものなどであってもよい。また、例えば、図6(b)に示すように、第1領域Laが現像ローラ17とは逆側に凸形状を形成するように湾曲されたものなどであってもよい。
なお、折り曲げ部21a3は、現像ローラ17と接触しないように設ける。これは、折り曲げ部21a3が現像ローラ17と接触すると、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1にかかる圧接力が低下し、現像ローラ17に担持されるトナーの層厚を安定して規制するのが困難になるためである。
以上のように、本実施例によれば、弾性部材21aの第1領域Laの剛性が高くなり、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1近傍の弾性変形による接触領域の拡がりが更に小さくなる。よって、長期間にわたってより安定したトナーの層厚の規制が可能となる。また、弾性部材21aの第1領域Laに折り曲げ部や湾曲部を設けると、塑性変形領域が広くなって弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1の長手方向における真直度が高くなる。よって、当接状態のバラツキが小さくなり、長手方向により均一なトナーの層厚の規制が可能となる。
<実施例5>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
弾性部材21aが現像枠体18に固定して支持されている場合には、現像ローラ17の弾性部材21aに対する押し込み量を大きくして圧接力を大きくする必要がある。そのため、押し込み量によっては当接状態が大きく変化することがある。そこで、本実施例では、弾性部材21aが現像枠体18に回動可能(揺動可能)に支持されるようにして、付勢手段により現像ブレード21を回動(揺動)させることで現像ローラ17に向けて付勢する構成とする。
図7は、本実施例の現像ユニット4の概略断面図である。また、図8は、本実施例の現像ブレード21の概略断面図である。図7及び図8は、それぞれ現像ローラ17の回転軸線方向に直交する断面を示す。
支持部材21bは、長手方向(現像ローラ17の軸線方向)の両端部に揺動支点軸23を有している。揺動支点軸23は、支持部材21bを回動可能にする軸部であって、現像枠体18に回動可能に支持されている。これにより、弾性部材21aを含む現像ブレード21全体が、揺動支点軸23の軸線Zを回動中心として回動可能(揺動可能)となる。
なお、本実施例では支持部材21bに揺動支点軸23を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、揺動支点軸23を有した揺動枠体を別途設け、支持部材21bの任意の場所に取り付けるなどしてもよい。
現像枠体18と支持部材21bとの間には、長手方向(現像ローラ17の軸線方向)にわたってシール部材25が設けられている。シール部材25は、現像枠体18と支持部材21bにより一定量圧縮されることで、現像枠体18と支持部材21bの間からトナーが漏れるのを防止する。本実施例では、シール部材25としてEPDM混合物の発泡体を用いる。
また、現像枠体18と支持部材21bとの間には、支持部材21bを押圧することで、揺動支点軸23の軸線Zを回動中心として現像ブレード21に対してモーメントを付加する加圧バネ24(付勢手段)が設けられている。本実施例では、加圧バネ24として圧縮バネを用いる。そして、加圧バネ24により、断面L字形状に屈曲した支持部材21bのうち、弾性部材21aが固定支持された面と直交する面を図示矢印I方向に押圧する。そして、揺動支点軸23の軸線Zを回動中心として現像ブレード21に反時計回りのモーメントを付加する。これにより、弾性部材21aが現像ローラ17に圧接する。すなわち、弾性部材21aの現像ローラ17に対する圧接力は、揺動支点軸23の軸線Zを回動中心とした力のモーメントのつり合いで決まり、加圧バネ24による押圧力を大きくすると圧接力を大きくすることができる。そのため、現像ローラ17の弾性部材21aに対する押し込み量は一定のままで、圧接力を大きくすることが可能となる。つまり、圧接力を大きくしても当接状態の変化が小さい。
なお、本実施例では加圧バネ24として圧縮バネを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、引張コイルバネや板バネなどを用いてもよい。また、加圧バネ24は、弾性部材21aを直接押圧するように設けてもよいが、剛性の高い支持部材21bを押圧するように設ける方が好ましい。これは、加圧バネ24が弾性部材21aを直接押圧した場合には、弾性部材21aに歪みなどの予期せぬ変形が生じやすくなるためである。本実施例では、加圧バネ24は支持部材21bを押圧するように設ける。
以上のように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、更に現像ローラ17の弾性部材21aに対する押し込み量の影響(圧接力を大きくしたときの当接状態の変化)が低減できる。よって、長期間にわたってより安定したトナーの層厚の規制が可能となる。
<実施例6>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
実施例1では、ステンレス鋼薄板で形成された弾性部材21aを用いている。実施例1で使用されているような一般的なステンレス鋼(SUS304)の硬度は、トナー表面に外添剤として付着させている酸化ケイ素粒子等の無機微粒子の硬度よりも低い。本実施例の弾性部材21aに用いるステンレス鋼薄板のナノインデンター硬さを測定したところ、およそ7GPaであった。また、本実施例の外添剤に用いられる酸化ケイ素粒子の代替品として、溶融石英ガラスを用いてナノインデンター硬さを測定したところ、およそ10GPaであった。そのため、実施例1の構成においても、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域におけるトナーを介した摺擦により、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1は摩耗し、形状変化が少しは発生する。なお、ナノインデンター硬さは次のようにして測定される。測定には、株式会社エリオニクス製のナノインデンターENT1100aを用いた。硬度測定用の圧子としてはBerkovich圧子を使用し、所定の測定荷重をかけて得られた荷重−変位曲線からナノインデンター硬さを算出した。ここで、測定荷重は、測定対象となる材料の下地の影響が出ないように、圧子の押し込み深さが測定対象となる材料の厚みの1/10程度になるように決めている。なお、ナノ粒子そのものの硬度測定は困難であるので、外添剤に用いられる粒子の硬度は全て膜状又は板状の同じ材料を代替品にして測定した。本実施例では、測定材料の厚みに合わせて、測定荷重を0.1mN〜5.0mNの間で選びながら測定を行った。また、測定は全て26℃、50%RH環境下で行った。
よって、本実施例では、少なくとも現像ローラ17との当接部21a1を含む現像ブレード21の表面の硬度(ナノインデンター硬さ)が、摩耗要因であるトナー表面の無機微粒子の硬度よりも高い構成とする。
図9は、本実施例の現像ブレード21の概略断面図である。図9は、現像ローラ17の回転軸線方向に直交する断面を示す。
弾性部材21aの表面には、少なくとも現像ローラ17との当接部21a1を含む領域に、トナー表面の無機微粒子の硬度よりも高い硬度を有する表層22が設けられている。ここで、表層22は、第1領域Laのみに設ける方が好ましい。これは、第2領域Lbを含む領域に表層22を設けると、現像ブレード21と現像ローラ17とが所定の圧接力をもって接触した場合に、弾性部材21aの弾性変形が妨げられ、現像ブレード21と現像ローラ17との安定した弾性接触が得られないためである。本実施例では、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1を含む第1領域Laの全ての表面に表層22を設けた。ただし、これに限定されるものではない。例えば、第1領域Laにおいて、弾性部材21aの現像ローラ17との当接部21a1から現像ローラ17と対向する表面にかけての領域にのみ表層22を設ける構成などであってもよい。
表層22は、単層又は複数層で構成される。単層構成としては、弾性部材21aの表面に、例えばDLC、CrN、TiN、TiAlN、SiCなどトナー表面の無機微粒子の硬度よりも高い硬度を有する材料により硬質層を形成したものが使用可能である。複数層構成としては、硬質層と弾性部材21aの表面との間に中間層や傾斜構造を有する層を設け、硬質層と弾性部材21aの表面との密着性を向上させたものが使用可能である。また、表層22の層厚は0.1〜20μmが好ましい。これは、層厚が0.1μm未満であると、弾性部材21aの長手方向全域にわたって均一な膜を形成することが困難になるためである。一方、層厚が20μmを超えると、弾性部材21aの弾性変形により硬質層にクラックが発生し、剥離しやすくなる場合があるためである。
本実施例では、弾性部材21aの表面にSiCの中間層を設け、その表面にアークイオンプレーティング法によりta−C(水素フリーDLC)層を形成した、層厚1.0μmの表層22を用いる。アークイオンプレーティング法は、真空アーク放電を利用してターゲット(成膜材料)を蒸発、イオン化させ、基板上にイオンを堆積させて成膜を行う方法である。本実施例では、成膜材料として固体カーボン(グラファイト)を使用し、処理温度150℃以下で成膜を行った。
本実施例のDLCのナノインデンター硬さを測定したところ、およそ55GPaであり、摩耗要因であるトナー表面の無機微粒子の硬度よりも高かった。よって、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合でも、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗を低減することができる。
本実施例ではアークイオンプレーティング法により形成したta−C膜を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、DLCの種類としては、a−C、水素化ta−C、水素化a−C、GLCなど他の種類のものであってもよい。また、成膜方法としては、スパッタリング法、イオン化蒸着法、低温プラズマイオン注入法、プラズマCVD法などを採用してもよい。
なお、本実施例では、弾性部材21aの表面の少なくとも現像ローラ17との当接部21a1を含む領域に、トナー表面の無機微粒子の硬度よりも高い硬度を有する表層22を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、表面硬化処理や他の皮膜処理等により、弾性部材21aの少なくとも現像ローラ17との当接部21a1を含む領域の硬度を高くしたものなどであってもよい。また、例えば、弾性部材21aに、トナー表面の無機微粒子の硬度よりも高い硬度を有する材料で形成された薄板を使用する構成などであってもよい。
以上のように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、更に現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗を低減することができ、長期間にわたってより安定したトナーの層厚の規制が可能となる。ただし、一般的に、現像ブレード21に印加される電圧は、正規帯電極性に帯電したトナー及びトナーの正規帯電極性と同極性に帯電した外添剤を現像ブレード21の表面から引き剥がすように作用する。現像ブレード21の表面抵抗が高いと、この現像ブレード21に印加される電圧の作用が弱くなり、現像ブレード21の表面にトナーや外添剤が付着したまま残って融着しやすくなる。しかしながら、本実施例では、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域が狭い状態のまま維持されるため、接触領域近傍は圧接力が集中して摺擦が強くなっており、現像ブレード21の表面にトナーや外添剤が付着しても剥がされやすい。
<実施例7>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例6のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例6のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、弾性部材21aの表面にSiCの中間層を設け、その表面にスパッタリング法によりa−C(水素フリーDLC)層を形成した、層厚1.0μmの表層22を用いる。スパッタリング法は、ターゲット(成膜材料)にイオンをぶつけて成膜材料を叩き出し、基板上に堆積させて成膜を行う方法である。本実施例では、成膜材料として固体カーボン(グラファイト)を使用し、処理温度200℃程度で成膜を行った。
本実施例のDLCのナノインデンター硬さを測定したところ、およそ23GPaであり、摩耗要因であるトナー表面の無機微粒子の硬度よりも高かった。そのため、実施例6と同様の効果が得られる。
<実施例8>
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例8−1〜8−7の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、トナーの表面に付着させる無機微粒子の種類及び量をそれぞれ変更している。
実施例8−1では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、体積平均粒径が10nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の0.9%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
実施例8−2では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.8%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
実施例8−3では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、体積平均粒径が50nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の0.7%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
実施例8−4では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、体積平均粒径が60nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の0.8%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
実施例8−5では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、体積平均粒径が100nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.0%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
実施例8−6では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、体積平均粒径が150nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の2.0%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
実施例8−7では、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、体積平均粒径が100nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の2.0%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
<実施例9>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、荷電制御粒子をトナーの表面に付着させて用いる。以下に、本実施例で用いた荷電制御粒子の製造方法及びトナーの表面への付着方法について述べる。
5.荷電制御粒子の製造方法
冷却管、撹拌機、温度計、及び窒素導入管を取り付けた反応器に、
・スチレン 100.0部
・5−ビニルサリチル酸 21.0部
・tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 7.2部
(パーブチルI−75、日油社製)
・プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200.0部
を仕込み、30分間窒素バブリングを行った。反応混合物を窒素雰囲気下、120℃で6時間加熱し、重合反応を完結させた。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をアセトン−メタノールで2回再沈殿し、50℃、0.1kPa以下で減圧乾燥させることにより荷電制御粒子を得た。
1H NMR分析、中和滴定から得られた荷電制御粒子は、5−ビニルサリチル酸ユニットを全単量体単位中に10mol%含有していることを確認した。また、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析より重量平均分子量(Mw)は14500であった。
上記で得られた荷電制御粒子5部をテトラヒドロフラン(THF)8部に溶解し、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール0.4部を加えた後、室温で激しく撹拌しながら純水 28部をゆっくりと滴下した。得られた分散液から減圧下、50℃でTHFを留去し、荷電制御粒子の水分散体を得た。
分散体の固形分濃度は20質量%であり、動的光散乱法(日機装社製ナノトラックによる測定)による個数平均粒径は30nmであった。
6.荷電制御粒子のトナーへの付着工程
トナーをアニオン系界面活性剤水溶液の中に移し、トナーを分散させ、固形分濃度5.0質量%の分散液を得る。作成した分散液の固形分100.0部に対し荷電制御粒子Aの水分散体(0.95部)を添加し撹拌する。更に撹拌しながら希塩酸を添加し、pH0.95に調整することでトナーの表面に荷電制御粒子を凝集、固着させた。
その後、上記分散液をろ過器で水分をろ別し、これをイオン交換水1200部中に投入して撹拌し、再び分散液とした後、ろ過器で固液分離した。この操作を3回行なった後、最終的に固液分離した粒子を、30℃の乾燥機で十分に乾燥してトナーに荷電制御粒子が付着した粒子を得た。
その後、実施例1と同様の工程で、体積平均粒径が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度と、酸化チタン粒子をトナー重量の0.1%程度、トナーの表面に均一に付着させた。
なお、荷電制御粒子は本実施例の荷電制御粒子に限定されるものではなく、既知のもののうち1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて、帯電特性の調節に用いることが可能である。荷電制御粒子の種類としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
負帯電性の荷電制御粒子としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基、又はスルホン酸エステル基を有する高分子化合物、サリチル酸誘導体、及びその金属錯体、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸や、その金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールなどのフェノール誘導体類、尿素誘導体、ホウ素化合物、カリックスアレーンなどが挙げられる。
また、正帯電性の荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩などのオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類などが挙げられる。
<実施例10>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例の現像ローラ17には、以下に説明するような構成のものを用いる。図10は、本実施例の現像ローラ17の概略構成を示す図である。また、図11は、本実施例の現像ローラ17の抵抗率測定の概略構成を示す図である。
本実施例の現像ローラ17は、弾性層と、弾性層の周りに形成される表面層とを有する。そして、表面層はアルミナを含有し、表面層の体積抵抗率が弾性層の体積抵抗率よりも高くなるように設けた。
本実施例におけるアルミナとは、αアルミナやγアルミナ等の酸化アルミニウム、ベーマイトや擬ベーマイト等の酸化アルミニウム水和物、水酸アルミニウム、後述するアルミニウムアルコキシドの加水分解、縮合反応により得られるアルミニウム化合物を示す。コロイダルアルミナ溶液の安定性からベーマイト、擬ベーマイトであることが好ましく、また表面層形成の安定性からは後述するアルミニウムアルコキシドの加水分解、縮合反応により得られる酸化アルミニウム化合物であることが好ましい。しかし、これに限定されるものではなく、既知のアルミナを用いても構わない。
以下では、本実施例の現像ローラ17の作製方法について説明する。
本実施例では外径φ6mmの導電性支持体となる芯金電極17aの周囲に、導電剤が配合された導電性ゴム層等で構成される基体17b1と、アルミナを含有するアルミナ表面層17b2と、からなる弾性層17bを設け、外径φ12mmの現像ローラ17とした。ここで、ゴム層の材質は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレン・プロピレン共重合体)ゴム、ヒドリンゴム、又はこれらが混合されたゴムなど、一般的なゴム材料が使用可能である。本実施例では、厚み3mmのシリコーンゴム層と厚み10umのウレタン層を形成して基体17b1とした。また、導電剤としては、カーボン粒子、金属粒子、イオン導電粒子等を分散させることで、所望の抵抗値を得ることができる。本実施例では、カーボン粒子を用いた。また、シリコーンゴム量と充填剤であるシリカ量とを調整することで現像ローラ17全体の硬度調整を行い、所望の硬度を有する現像ローラ17を作製した。次に、コロイダルアルミナ溶液を調整し、上述の基体17b1をコロイダルアルミナ溶液へディッピング処理することで、厚み1.5umのアルミナ表面層17b2を形成した。ここで、コロイダルアルミナ溶液は、日産化学製アルミナゾル液520(平均粒径20nm、ベーマイト)とエタノールを体積比率1:4となるように攪拌、混合して調整したものを用いた。また、本実施例では、ディッピング処理前に基体17b1表面にUV照射を行い、コロイダルアルミナ溶液の塗工性及び密着性を向上させている。そして、アルミナ表面層17b2を形成後、140℃、15分の乾燥を行った。
本実施例の現像ローラ17は、抵抗値が5×105Ωのものを用いた。また、本実施例では、アルミナ表面層17b2の抵抗率が5×1011Ωcm、基体17b1の抵抗率が1×108Ωcmで、アルミナ表面層17b2の抵抗率が基体17b1の抵抗率よりも高くなっている。
現像ローラ17の抵抗率測定は以下のように行った。図11に示すように、現像ローラ17表面に幅5mmの導電テープを1mm間隔で3本巻き、3本の導電テープのうち中央に位置する導電テープD2と現像ローラ17の芯金間に、後述する電圧を電源S0から印加する。そして、中央の導電テープD2以外の2つの導電テープD1及びD3は接地し、中央の導電テープD2と現像ローラ17の芯金間に流れる電流を電流計S1により検知することで、現像ローラ17の動径方向の体積抵抗率を測定する。ここで、印加電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる。本実施例では、直流電圧20Vに、Vpp1Vで周波数を1Hz〜1MHzまで変化させた交流電圧を重畳し、Cole−Coleプロットにより各層の体積抵抗値を算出した。更に、現像ローラ17の断面を切り出し、SEM観察により各層の厚みを10点測定して各層の平均厚みを算出し、各層の体積抵抗値から各層の体積抵抗率を導出した。なお、抵抗率測定は全て30℃、80%RH環境下にて行った。
発明者らが鋭意検討を重ねた結果、アルミナ表面層17b2の抵抗率を基体17b1の抵抗率よりも高くすることで、良好な画像が得られることが分かった。
まず、画像濃度及び階調性変動に対する効果について説明する。一般的に、安定した画像濃度及び階調性を得るためには、画像形成時の感光体ドラムと現像ローラとの間の電位差が適切な値になるように、基体17b1の抵抗率を調整する。しかしながら、本実施例では、アルミナ表面層17b2の抵抗率が基体17b1の抵抗率よりも高く設けられているため、画像濃度及び階調性変動を抑えることができると考えられる。
図を用いて、更に詳細に説明する。図12(a)、(b)、(c)は、画像形成時の感光体ドラム1と現像ローラ17との間の電流経路を示す図である。図12は、現像ローラ17の回転軸線方向に直交する断面を示す。
図12(a)に示すように、現像ローラ17上のトナーは電荷を有している。現像作用により現像ローラ17上から感光体ドラム1上へトナーが移動する際、現像ローラ17表面から現像ローラ17の芯金方向へ、トナーは電荷と逆極性の電荷が移動するトナーの総電荷量と等しい電荷量だけ移動する。アルミナ表面層17b2の抵抗率が基体17b1の抵抗率よりも低く設けられている場合、この電流は、図12(c)に示すように、アルミナ表面層17b2内の表面方向を流れやすくなる。その結果、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部前後における電圧降下が大きくなって電界強度が変動し、画像濃度や階調性が変化する。更に、アルミナ表面層17b2の厚みが増加すると、表面方向を流れる電流がより増加し、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部における電界強度の変動がより大きくなる。一方、本実施例では、アルミナ表面層17b2の抵抗率が基体17b1の抵抗率よりも高く設けられているため、図12(b)に示すように、表面方向への回り込み電流を抑制できる。よって、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部における電界強度の変動を抑制でき、安定した画像濃度及び階調性を得ることができる。また、アルミナ表面層17b2の表面方向への回り込み電流を抑制し、且つ現像ローラ17全体の抵抗値が著しく増加するのを抑制するためには、アルミナ表面層17b2の平均厚みが5.0um以下であることが好ましい。アルミナ表面層17b2の平均厚みが5.0umより大きいと、回り込み電流は抑制できるものの、アルミナ表面層17b2の電圧降下が大きくなる。よって、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部でトナー層にかかる電界強度が低下し、現像ローラ17上から感光体ドラム1上へ移動するトナー量が減少して画像濃度が低下する。
次に、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部で生じる、トナー電荷の減衰に対する効果について説明する。
図13は、全白画像形成時の現像ローラ17上のトナーの電荷量分布を示すグラフ図である。図13上側に本実施例の現像ローラ17上のトナーの電荷量分布を、図13下側に実施例1の現像ローラ17上のトナーの電荷量分布を示している。また、横軸はトナー電荷量(Qはトナー一個の電荷量、dはトナーの粒径)を、縦軸は粒子カウント数を示す。
本実施例及び実施例1について、全白画像形成中に本体電源を切り、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部前後における現像ローラ17上のトナーの電荷量分布をそれぞれ測定し、該当接部通過によるトナーの電荷量分布の変化を評価した。なお、トナーの電荷量分布測定には、ホソカワミクロン株式会社製のE−SPARTアナライザを用いた。
図13に示すように、本実施例では、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部前後における現像ローラ17上のトナーの電荷量が、実施例1よりも高かった。また、本実施例では、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部通過による現像ローラ17上のトナーの電荷量減衰が見られなかった。これは、以下の理由によると考えられる。
トナーの電荷量減衰は、現像ローラ17と感光体ドラム1の間に形成される電界強度が大きいほど大きい。また、現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部、すなわち現像ローラ17と感光体ドラム1の間に形成される電界強度が大きい領域を、現像ローラ17上のトナーが通過する時間が長いほど、トナーの電荷量減衰は大きくなる。本実施例では、アルミナ表面層17b2の抵抗が高いため、現像ローラ17と感光体ドラム1の間に形成される電界強度が過剰に大きくなるのを抑制することができる。よって、トナーの電荷量減衰を抑制できる。また、トナーの電荷量減衰の抑制効果を得るためには、アルミナ表面層17b2の平均厚みが0.01um以上であることが好ましい。これは、アルミナ表面層17b2の平均厚みが0.01um未満では、基体17b1を十分に覆うことができず、被覆が十分でない領域においてトナーの電荷量減衰を抑制できなくなるためである。
さらに、トナーの電荷量減衰の抑制効果及び画像濃度変動の抑制効果を安定して得るためには、アルミナ表面層17b2の平均厚みが0.1um以上2.5um以下であることがより好ましい。これは、平均厚みが0.1um未満では、アルミナ表面層17b2の厚みムラにより、わずかにトナーの電荷量減衰の影響が出るためである。現像ローラ17と感光体ドラム1の当接部でトナーの電荷が失われると、電界によりトナーを制御できなくなり、非画像部にトナーが転移する、所謂カブリが発生しやすくなる。この現象は、トナーの電荷量減衰の影響を受けやすく、特に電荷量減衰が顕著な高湿環境下においては、アルミナ表面層17b2の厚みムラも無視できなくなる。一方、平均厚みが2.5umより大きいと、局所的に厚みのある部分が存在し、画像濃度の均一性がわずかに低下することがある。
また、アルミナ表面層17b2の抵抗率は、1×1010Ωcm以上1×1014Ωcm以下であることが好ましい。これは、抵抗率が1×1010Ωcm未満では、アルミナ表面層17b2の厚みムラにより、トナーの電荷量減衰の影響が出やすくなるためである。一方、抵抗率が1×1014Ωcmより大きいと、アルミナ表面層17b2の局所的に厚みのある部分の影響が大きくなり、画像濃度の均一性が低下しやすくなる。
<実施例11>
本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例において、実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、現像ブレード21に−300Vの直流電圧が印加される。すなわち、現像ブレード21と現像ローラ17の芯金とが等電位になるように設ける。
7.実施例と比較例との対比2
次に、実施例1及び実施例8〜11の効果を比較例1と対比して更に説明する。本実施例及び比較例の構成について、現像ユニット4を長期間にわたり使用した際の縦スジ評価を行った。
本評価では、まず、現像ユニット4にトナーを充填する。そして、A4サイズの全面白画像を1000枚間欠的に印刷した後に、A4サイズの25%濃度ハーフトーン画像を1枚印刷する。以後、A4サイズの全面白画像を500枚間欠的に印刷する毎にA4サイズの25%濃度ハーフトーン画像を1枚印刷する工程を、A4サイズの全面白画像の累積印刷枚数が15000枚になるまで繰り返した。その後、目視により画像評価を行い、ハーフトーン画像上に3本以上の縦スジが認識され始める全面白画像の累積印刷枚数を評価した。
なお、本評価は全て同一の単色で印刷して行った。また、本評価は全て15℃、10%RH環境下で行った。表2に本評価の結果を示す。
表2に示すように、実施例1は、比較例1よりもハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングが遅かった。これは、以下の理由によるものと考えられる。
発明者らが鋭意検討を重ねた結果、現像ブレード21と現像ローラ17の当接部近傍に融着したトナーの樹脂等が、該当接部におけるトナーの搬送を妨げることで、現像ローラ17上の長手方向のトナーの層厚にスジ状のムラを発生させていることがわかった。
比較例1では、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化が大きくなる。よって、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域が更に拡がると共に、トナーの層厚の規制に作用する圧接力が低下する。このとき、圧接力の低い領域では、弾性部材21a表面付近のトナーが滞留しやすくなり、弾性部材21a表面に付着して融着しやすくなる。
これに対して、実施例1では、現像ユニット4が長期間にわたって使用された場合でも、現像ブレード21の現像ローラ17との当接部21a1の摩耗による形状変化、すなわち当接状態の変化を小さくすることができる。そのため、トナーの層厚の規制に作用する圧接力の低下が小さく、弾性部材21a表面付近のトナーが滞留しにくい。よって、弾性部材21a表面にトナーが付着して融着しにくくすることができ、縦スジが発生するタイミングを遅らせることができたものと考えられる。
また、実施例8−1〜8−3は、実施例1よりもハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングを遅らせることができた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
実施例8−1〜8−3は、実施例1と比較してトナー表面に付着している無機微粒子の量が多い(無機微粒子による表面被覆率が高い)。そのため、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域におけるトナーを介した摺擦時に、現像ブレード21における現像ローラ17との当接部21a1を研磨する力が強くなる。よって、弾性部材21a表面に付着したトナー等の清掃効果を高めることができ、トナーの融着による縦スジの発生タイミングをより遅らせることができたものと考えられる。
また、実施例8−4〜8−7は、実施例8−1〜8−3よりもハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングを遅らせることができた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
実施例8−4〜8−7は、実施例8−1〜8−3と比較して、トナー表面に付着している無機微粒子の体積平均粒径が60nm以上と大きい。そのため、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域におけるトナーを介した摺擦時に、現像ブレード21における現像ローラ17との当接部21a1を研磨する力がさらに強くなる。よって、弾性部材21a表面に付着したトナー等の清掃効果がより高くなり、トナーの融着による縦スジの発生タイミングをより遅くらせることができたものと考えられる。また、トナー表面に付着している無機微粒子の体積平均粒径が大きいほど、その効果が大きい。なお、トナー表面に付着している無機微粒子の体積平均粒径が60nm以上と大きい場合について、実施例8−5と実施例8−7を比較し、検討を行った。この場合であっても、トナー表面に付着している無機微粒子の量が多い(無機微粒子による表面被覆率が高い)方が、ハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングを遅くらせることができた。
また、実施例9も、実施例1よりもハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングを遅らせることができた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
実施例9は、トナー表面に荷電制御粒子を付着させており、トナーの摩擦帯電量が高い。そのため、鏡像力による現像ローラ17上へのトナーの保持が強くなり、現像ローラ17表面の移動によるトナーの搬送力が強くなる。つまり、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域において、弾性部材21a表面付近のトナーが滞留しにくくなる。よって、弾性部材21a表面にトナーが付着し、融着しにくくすることができ、縦スジが発生するタイミングを遅らせることができたものと考えられる。
また、実施例10も、実施例1よりもハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングを遅らせることができた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
実施例10は、現像ローラ17にアルミナ表面層17b2を設けているため、トナーの帯電量が高くなる。よって、実施例9と同様に、弾性部材21a表面にトナーが付着して融着しにくくすることができ、縦スジが発生するタイミングを遅らせることができたものと考えられる。
また、実施例11も、実施例1よりもハーフトーン画像上に縦スジが発生するタイミングを遅らせることができた。これは、以下の理由によるものと考えられる。
実施例11は、現像ブレード21に−300Vの直流電圧を印加して、現像ブレード21と現像ローラ17の芯金とが等電位になるように設けている。そのため、現像ブレード21と現像ローラ17との接触領域において、現像ブレード21と現像ローラ17との間の電位差により、弾性部材21a表面に帯電量の低いトナーや逆極性に帯電したトナーが引き寄せられて付着するのが低減される。よって、弾性部材21a表面にトナーが付着して融着しにくくなり、縦スジが発生するタイミングを遅らせることができたものと考えられる。
以上のように、実施例8〜11によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、更に弾性部材21a表面にトナーが付着して融着するのを抑制することができる。よって、長期間にわたってより高品質な画像が出力可能となる。
<その他>
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、正規帯電極性が負極性である感光体ドラムやトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、正規帯電極性が正極性である感光体ドラムやトナーを用いてもよい。その場合には、必要に応じて帯電ローラや現像ローラを始めとする各部材に印加する電圧の極性を変える必要がある。当業者は斯かる変更を容易に行うことができる。