JP2016079743A - 回転圧入鋼管杭 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献3に記載された回転圧入鋼管杭は、鋼管の先端を螺旋状に形成し、鋼管の先端部の内外に1枚の羽根を張り出して、外側に突き出た部分と鋼管本体とのなす角度を略直角にしている。しかも、この羽根には切欠が形成され回転貫入時の土砂の移動をスムーズにしている。
そのため、鋼管杭を貫入させるのに過大な押圧力や回転力が必要であるという欠点があった。或いは、抵抗に抗して鋼管杭を貫入させるためには、正転と逆転を繰り返して行わなければならず、非常に時間がかかってしまい短時間で所定の根入れ長を確保できないという問題があった。
本発明によれば、鋼管に第一羽根と第二羽根が取り付けられ、それぞれ略螺旋状の周方向に略テーパ状の第一切欠と第二切欠を重ならないようにずらせて配設したから、下から見上げたときの第一切欠と第二切欠の面積を小さくでき、大きな支持力を実現できる。また、回転貫入時に第一羽根と第二羽根によって掘削された土砂が第一切欠と第二切欠を通してスムーズに移動し施工性が高い。しかも第一切欠と第二切欠は周方向にずれているために貫入時に回転圧入鋼管杭の傾きを押さえてバランス良く施工できる。
また、鋼管の基端側に位置する第二羽根の切欠き角または面積を第一羽根の切欠き角または面積より小さく設定したため、優れた施工性を確保したまま大きな支持力を実現できる。しかし、第二羽根に第二切欠がないと回転貫入時の抵抗が大きく施工性が悪くなる。
第一羽根の第一切欠と第二羽根の第二切欠を鋼管の周方向に等間隔に配置させたことで初期の貫入時の直進性がよく短時間でスムーズに貫入できる。
第二羽根の外径を第一羽根の外径より大きくしたことでクサビ効果が得られ、貫入しやすく支持力が増大する。
鋼管の先端開口より小径で第一切欠に連通する第一羽根の開口が形成されており、回転貫入時に鋼管内に大量の土砂が侵入することを防ぎつつ一部の土砂が開口を通して鋼管内に侵入するため、抵抗が小さく推進速度が向上する。
鋼管の内部に設けた閉塞部材によって第一羽根の開口から鋼管の内部に土砂が侵入しても大部分は閉塞部材で留めるため、支持力を増大させることができる。一方で、地下水等は完全に閉塞する前に先端開口から管内に浸入するため、回転圧入鋼管杭に作用する浮力を低減できる。
(第一実施形態)
まず、図1乃至図7を参照して、本発明の第一実施形態による回転圧入鋼管杭1について説明する。
本第一実施形態における回転圧入鋼管杭1は、図1から図3に示すように、筒状の鋼管2の先端開口を有する先端面が螺旋状に形成されている。この先端面には螺旋状に形成された下羽根3が固定され、鋼管2の長手方向基端側には下羽根3から所定間隔を開けて上羽根4が固定されている。鋼管2の長手方向に設ける羽根は下羽根3と上羽根4の2枚を設置することで、両方の羽根3,4から推進力を得ることができる。
なお、羽根は鋼管2の長手方向に3枚以上設置してもよく、また下羽根3は鋼管2の先端近傍に固定してもよい。
ここで、本明細書において、回転圧入鋼管杭1及び鋼管2の地盤貫入方向前方を先端、先端側といい、その反対側を基端側、後端側というものとする。
一方で、図4(b)に示す従来技術のように切欠に周方向に広がる切欠角がないと、掘削時に地盤の土砂の反力が終端部の羽根に作用し、土砂の移動と推進がスムーズに働かない。
しかも、第一切欠角α(またはその面積)>第二切欠角β(またはその面積)に設定されている。第二切欠9の第二切欠角βを第一切欠6の第一切欠角αより小さくすることで、回転圧入鋼管杭1の支持力を大きくすることができる。また、下羽根3と上羽根4とで第一切欠6と第二切欠9を例えば約180度対向する位置に設置することで、回転貫入時における掘削反力のバランスが良く貫入がスムーズで短時間に施工できる。しかも初期の貫入時に回転圧入鋼管杭1が傾くことを抑制して鉛直方向に品質のよい施工を行える。
従来技術のように鋼管2の先端が閉塞されていると回転圧入鋼管杭1が回転貫入する際の抵抗が大きく、しかも地下水による浮力が鋼管2に作用して貫入時の抵抗を増大させるため施工性に劣る欠点がある。一方、鋼管2の開口全体が全開状態であると土砂が鋼管2内に流入するため支持力が小さくなる欠点を有していた。これに対し、本実施形態による回転圧入鋼管杭1では、掘削する土砂の一部が鋼管2内に侵入するが、閉塞板12によって大部分の土砂のそれ以上の侵入が阻止され、しかも閉塞板12は螺旋状で中央に小孔12aがあるため回転貫入する際の抵抗が小さく、しかも地下水による浮力を低減できる。
回転圧入鋼管杭1を杭打機等によって地上に垂直に起立させ、回転圧入鋼管杭1の頭部を把持して地盤中に回転させながらねじ込む。すると回転する下羽根3、上羽根4の刃先部7、10によって順次地盤を掘削させながら地中に侵入し、下羽根3、上羽根4の第一切欠6、第二切欠9を通って土砂がスムーズに鋼管2の外周側に移動し、抵抗が小さい。そして、地盤から反力を得て回転圧入鋼管杭1が地中に推進させられる。
以上により、鋼管2の先端に1枚の羽根を設置した回転圧入鋼管杭よりも、第一切欠6及び第二切欠き9を設けた2枚の下羽根3及び上羽根4を鋼管2の先端側に設置した回転圧入鋼管杭1は大きな推進力が得られるため、空回りすることなく確実に軟弱層から強固な支持層に貫入できると共に、支持層にもスムーズに施工することができる。
回転圧入鋼管杭1が空回りすることなく確実に軟弱層から層境を介して強固な支持層に貫入できると共に、回転圧入鋼管杭1は支持層に鉛直方向に貫入されて推進される。しかも上羽根4の第二切欠9の切欠角βは下羽根3の第一切欠6の切欠角αより小さく地盤を押さえつける面積が大きいため、回転圧入鋼管杭1の地盤に対する支持力を大きくすることができる。
(試験例1)
試験例1において、実施例1と比較例1の試験で用いる回転圧入鋼管杭1は鋼管2の直径をφ190mm、施工長さを30.2mとした。そして、上記第一実施形態の構成を実施例1とし、実施例1において上羽根4に第二切欠9を設けないものを比較例1とした。そして、回転圧入鋼管杭1を表1に示すように、深さに応じて下杭、中1杭、中2杭、中3杭、上杭に分割して先端の下杭に下羽根3及び上羽根4を設けて順次所要の深度まで回転貫入を行い、施工トルクと施工時間と支持力を測定した。その結果を表1と図6のグラフに示した。
試験例2でも、実施例2と比較例2で用いる回転圧入鋼管杭1は鋼管2の直径をφ190mm、施工長さを12.5mとした。そして、上記実施形態の構成を実施例2とし、上羽根4の第二切欠9を下羽根3の第一切欠6に重ねて設けたものを比較例2とした。
そして、表2に示すように、回転圧入鋼管杭1を深さに応じて下杭、中杭、上杭に分割して下杭に下羽根3及び上羽根4を設けて順次所要の深度まで貫入試験を行い、施工トルク及び施工時間と支持力を測定した。その結果を表2と図7のグラフに示した。
試験例2により、図7(b)において、施工トルクは、深度が低く地盤強度が低い領域では比較例2の方が高く、深度が高く地盤強度が高い領域では同程度であった。
また、図7(c)に示す施工時間は全体に実施例2の方が比較例2よりかなり短かった。
また、表2に示す試験結果では、施工時間は実施例2の方が0.76倍と短かった。支持力についても実施例2の方が支持力は高かった。
(1)下羽根3の第一切欠6と上羽根4の第二切欠9は鋼管2の周方向に対向する位置にあるため、地盤に回転圧入鋼管杭1を回転貫入する際、第一切欠6の刃先部7による掘削抵抗と第二切欠9の刃先部10による掘削抵抗がバランスし、しかも第一切欠6及び第二切欠9によって掘削土砂がスムーズに移動して大きな推進力が得られることにより施工性を向上させることができる。
(2)また、第一切欠6の切欠角αより第二切欠9の切欠角βの方が小さく設定されているために、上羽根4による押圧力と支持力が比較的大きい。
(4)更に、下羽根3に鋼管2の内径より小さい小径の開口3aを形成し、更に鋼管2の内部にリング状の閉塞板12を設けて中央に小孔12aを形成したから、土砂を鋼管2の内部に取り入れることができるため、貫入時の抵抗が小さい。しかも、地下水等による浮力を低減するため施工性を低下させることがない。
例えば、上述した第一実施形態による回転圧入鋼管杭1の鋼管2において、内部の奥側に閉塞板12をリング状に形成したものを固定したが、必ずしもリング状である必要はなく、螺旋状の板や円盤等、任意の閉塞部材を取り付けてもよい。このような構成を備えた場合でも、回転貫入時に鋼管2内に土砂等が侵入するため、高い支持力を得ることができる。また、鋼管2の内部に地下水等が侵入した場合には浮力を低減して施工性を向上できる。
また、図8に示す第一変形例による回転圧入鋼管杭1Aでは、鋼管2内に閉塞板12等を設置しなくてもよく、開口状態でも推進性が向上する。また、鋼管2の先端開口を下羽根3で閉鎖してもよい。
また、図9及び図10は本発明の第二実施形態による回転圧入鋼管杭1Bを示すものである。本第二実施形態による回転圧入鋼管杭1Bでは、上述した第一実施形態による回転圧入鋼管杭1と同様に鋼管2の先端面に固定した下羽根15とその基端側に固定した上羽根16とで構成されている。しかも、上羽根16の外径は下羽根15の外径より大きく設定されている。
図9に示すように、下羽根15は複数枚、例えば略円弧状で平板状の2枚の羽根部で構成されており、一方の羽根部を下側羽根部17aといい、他方の羽根部を上側羽根部17bという。両羽根部17a,17bは例えば鋼管2との当接部Pで溶接などによって互いに上下方向に交差して固定されており、この固定部分を連結固定部19という。鋼管2の先端面に設けた下羽根15は鋼管2の先端開口の内側と外側に突出している。そして、両羽根部17a、17bの内周縁によって鋼管2の内径より小さい開口15aが形成されている。
なお、テーパ状の第一切欠18は上側羽根部17bを切除して形成してもよいし、下側羽根部17aと上側羽根部17bの両方を切除して形成してもよい。
なお、テーパ状の第二切欠23は上側羽根部21bを切除して形成してもよいし、下側羽根部21aと上側羽根部21bの両方を切除して形成してもよい。
しかも、下羽根15の第一切欠18と上羽根16の第二切欠23は鋼管2の周方向に対向する位置にあるため、第一切欠18の刃先部による掘削抵抗と第二切欠23の刃先部による掘削抵抗が対向し、バランスよく施工できる。
しかも、下羽根15の外径より上羽根16の外径の方が大径であるため、地盤貫入時に回転圧入鋼管杭1Bの貫入の効率がよく、鉛直方向の支持力が増大する。更に、鋼管2の先端開口内に下羽根15の開口15aを形成したから、推進抵抗が小さい上に、地下水等による浮力の作用が低減されるため施工性を低下させることがない。
例えば、第二実施形態における下羽根15、上羽根16は2枚の下側及び上側羽根部による構成に代えて、3枚以上の羽根部を組み合わせて形成してもよい。また、2枚または3枚以上の各羽根において、第一切欠と第二切欠は1つに限定されることなく任意の大きさの切欠角α、βで各羽根部の間に2つ以上形成してもよい(例えば図9において二点鎖線で示す第一切欠18参照)。この場合、各第一及び第二切欠6,18,9,23は互いに重ならない配置であることが最も好ましいが、少なくとも下羽根15の最も切欠角αの大きい第一切欠18と上羽根16の最も切欠角βの小さい第二切欠23とを互いに重ならないように配設することが施工性と支持力のバランスをとる上で好ましい。
複数の羽根を鋼管2の上下方向に設置した場合、平面視で鋼管2の周囲に配設した複数の羽根の投影面積が変わらなければ各羽根の切欠の配列が等間隔でなくても回転圧入鋼管杭1の支持力は変わらない。その場合でも支持力は一定であるが、圧力貫入の施工性能は若干低下する可能性がある。
なお、本発明において、下羽根3、15は第一羽根を構成し、上羽根4、16は第二羽根を構成する。
2 鋼管
3、15 下羽根
3a 開口
4、16 上羽根
6、18 第一切欠
7、10 刃先部
9、23 第二切欠
12 閉塞板
17a、21a 下側羽根部
17b、21b 上側羽根部
本発明によれば、鋼管に第一羽根と第二羽根が取り付けられ、それぞれ略螺旋状の周方向に略テーパ状の第一切欠と第二切欠を重ならないようにずらせて配設したから、下から見上げたときの第一切欠と第二切欠の面積を小さくでき、大きな支持力を実現できる。また、回転貫入時に第一羽根と第二羽根によって掘削された土砂が第一切欠と第二切欠を通してスムーズに移動し施工性が高い。しかも第一切欠と第二切欠は周方向にずれているために貫入時に回転圧入鋼管杭の傾きを押さえてバランス良く施工できる。
Claims (6)
- 鋼管と、
前記鋼管の先端側に略螺旋状に形成されていてその周方向に切欠き角を有する第一切欠を形成した第一羽根と、
前記鋼管における前記第一羽根の後端側に略螺旋状に形成されていてその周方向に切欠き角を有する第二切欠を形成した第二羽根とを備え、
前記第一羽根の第一切欠と前記第二羽根の第二切欠とは周方向に重ならない位置に配設したことを特徴とする回転圧入鋼管杭。 - 前記第二切欠の切欠き角度は前記第一切欠の切欠き角度より小さく設定されている請求項1の記載された回転圧入鋼管杭。
- 前記第一切欠と第二切欠は前記鋼管を挟んで周方向に等間隔の位置に形成されている請求項1または2に記載された回転圧入鋼管杭。
- 前記第二羽根の外径は前記第一羽根の外径より大きく形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載された回転圧入鋼管杭。
- 前記第一羽根には前記鋼管の先端開口より小径の開口が形成されていると共に、該開口は前記第一切欠に連通して形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載された回転圧入鋼管杭。
- 前記鋼管の内部には土砂の流入を制限するリング状または円盤状の閉塞部材が取り付けられている請求項1から5のいずれか1項に記載された回転圧入鋼管杭。
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