JP2016079539A - 紡糸延伸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱固定を行う加熱ローラの表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる紡糸延伸装置を提供すること。【解決手段】紡糸延伸装置は、予備加熱用のゴデットローラ14,15と、ゴデットローラ14,15よりも糸送り速度が速い加熱ローラである、熱固定用のゴデットローラ16〜18を備えている。これらのゴデットローラ14〜18には、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で糸が巻き掛けられている。熱固定用のゴデットローラ16〜18では、下流側のローラの糸送り速度が、上流側のローラの糸送り速度以下となっている。さらに、糸走行方向最上流のゴデットローラ16と糸走行方向最下流のゴデットローラ18の、糸送り速度の減速比が2%以上である。【選択図】図3

Description

本発明は、紡糸装置から紡出された糸を延伸する紡糸延伸装置に関する。
紡糸装置から紡出された糸を延伸し、熱固定する複数のローラを備える紡糸延伸装置が知られている。
このような紡糸延伸装置としては、特許文献1に記載のものがある。この紡糸延伸装置は、複数の予備加熱用の加熱ローラ(加熱ローラ)と、複数の熱固定用の加熱ローラ(調質ローラ)とを備えている。この紡糸延伸装置では、糸は、複数の予備加熱用の加熱ローラに巻き掛けられた後、それらの上方に配置された複数の熱固定用の加熱ローラに巻き掛けられている。予備加熱用の加熱ローラの表面は、糸が延伸可能な温度に設定されている。また、熱固定用の加熱ローラの表面は、予備加熱用の加熱ローラの表面よりも高い温度であって、延伸された糸を熱固定可能な温度に設定されている。さらに、熱固定用の加熱ローラの糸送り速度は、予備加熱用の加熱ローラよりも速い速度に設定されている。複数の予備加熱用の加熱ローラによって予備加熱された糸は、複数の予備加熱用の加熱ローラのうち、糸走行方向最下流に配置されたローラと、複数の熱固定用の加熱ローラのうち、糸走行方向最上流に配置されたローラとの間で延伸される。延伸された糸は、複数の熱固定用の加熱ローラによって熱固定される。
また、特許文献2には、糸を熱固定する熱固定用の加熱ローラの加熱温度を所定温度とすることで、所定の沸水収縮率の糸を生産可能とする紡糸延伸装置が記載されている。さらに、特許文献2には、糸と接する熱固定用の加熱ローラの表面温度が高いほど、沸水収縮率の小さい糸を生産可能であることが記載されている。
特開2011−122276号公報 特開2003−105628号公報
ところで、熱固定用の加熱ローラの表面温度が高くなるほど、ローラからの放熱量は大きくなるため、熱エネルギーの無駄が生じる。また、加熱されて大きな熱量を持った糸が、熱せられた随伴気流を伴ってローラを収容する保温箱から外部へ送り出されるため、さらに熱エネルギーの無駄が生じる。従って、省エネルギーの観点からは、沸水収縮率の小さい糸を得る際にも、熱固定用の加熱ローラの表面温度をできるだけ低く抑えることが望まれる。
しかしながら、特許文献2に記載の紡糸巻取装置では、沸水収縮率の小さい糸を得るためには、熱固定用の加熱ローラの表面温度を高く設定しなければならず、エネルギーロスが大きくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、熱固定用の加熱ローラの表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる紡糸延伸装置を提供することである。
第1の発明の紡糸延伸装置は、糸道に沿って配置され、紡糸装置から紡出された糸を延伸するための複数のローラと、前記複数のローラの糸送り速度をそれぞれ制御する速度制御部とを備え、前記複数のローラには、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で前記糸が巻き掛けられており、前記複数のローラは、少なくとも1つの第1ローラと、前記第1ローラから送られる前記糸が片掛けされ、且つ、それぞれ、前記第1ローラの糸送り速度よりも糸送り速度が速い加熱ローラである複数の第2ローラと、を含み、
前記速度制御部は、隣り合う2つの前記第2ローラのうちの、糸走行方向下流側に配置されたローラの糸送り速度を、糸走行方向上流側に配置されたローラの糸送り速度以下にし、前記複数の第2ローラのうちの、糸走行方向最上流の前記第2ローラと糸走行方向最下流の前記第2ローラの糸送り速度の減速率を、2%以上にすることを特徴とするものである
本発明では、第2ローラを含む複数のローラには、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で糸が巻き掛けられている。複数の第2ローラの間に糸が複数回巻き掛けられる構成の場合は、それら複数のローラの表面速度は同一である必要があるのに対し、本発明では、複数の第2ローラのそれぞれに対して糸が片掛けされるため、これら複数の第2ローラの表面速度をそれぞれ自由に設定することが可能となる。
本発明では、速度制御部は、複数の第2ローラのうちの、糸走行方向下流側に配置されたローラの糸送り速度を、糸走行方向上流側に配置されたローラの糸送り速度以下にする。これにより、延伸された糸は、熱固定用の複数の第2ローラにおいて弛緩されることによって収縮するため、生産される糸の沸水収縮率が小さくなる。さらに、本発明では、糸走行方向最上流の前記第2ローラと糸走行方向最下流の前記第2ローラの糸送り速度の減速率は、2%以上である。このように、糸走行方向における最上流の第2ローラと、最下流の第2ローラとの間の糸送り速度の減速率(複数の第2ローラのトータルの減速率)を2%以上と大きくすることで、複数の第2ローラにおいて、糸は十分に弛緩されながら熱固定される。従って、複数の第2ローラの表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる。
第2の発明の紡糸延伸装置は、前記第1の発明において、前記速度制御部は、糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間において、糸送り速度の減速率を、5%未満にすることを特徴とするものである。
ここで、糸走行方向で隣り合う2つのローラ間において、糸送り速度の減速率が大きすぎると、糸の弛みが大きくなり、糸道が不安定となる。糸道が不安定になった場合、糸がローラに巻き付くおそれがある。
本発明では、糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間において、糸送り速度の減速率は、5%未満である。従って、糸走行方向で隣り合う2つの第2ローラにおいて、上流側の第2ローラに対して下流側の第2ローラを減速させたことによる糸の弛みによって、糸道が不安定となることが抑制される。これにより、複数の第2ローラへの糸の巻き付き、断糸などが抑制される。
第3の発明の紡糸延伸装置は、前記第1または第2の発明において、前記第2ローラが3個以上であり、前記速度制御部は、糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間において、糸送り速度の減速率を全て1%以上にすることを特徴とするものである。
第2ローラが3個以上の場合は、それらの第2ローラの間に、糸の走行区間が複数存在することになる。本発明では、複数の第2ローラ間の全ての糸走行区間において、糸送り速度の減速率をそれぞれ1%以上とすることで、一部の区間の減速率を特に大きくするのではなく、複数の糸走行区間の減速率をそれぞれ適度に大きくすることにより、トータルの減速率を大きくしている。従って、複数の第2ローラの表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる。
第4の発明の紡糸延伸装置は、前記第3の発明において、前記第2ローラが3個以上であり、前記速度制御部は、糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間の糸送り速度の減速率を、複数の区間について同一にすることを特徴とするものである。
本発明では、複数の第2ローラ間に糸の走行区間が複数存在し、それら複数の区間について、糸送り速度の減速率を同一とする。これにより、複数の区間における減速率を均一化しつつ、トータルの減速率を最大とすることができる。従って、複数の第2ローラの表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる。尚、本発明において、「糸送り速度の減速率が、複数の区間について同一」とは、減速率が完全に同一である場合だけでなく、沸水収縮率に影響を及ぼさない程度に、僅かに異なる場合も含む概念である。
第5の発明の紡糸延伸装置は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記複数の第2ローラの温度をそれぞれ制御する温度制御部をさらに備えていることを特徴とするものである。
本発明では、温度制御部により、複数の第2ローラの糸送り速度の温度を自由に設定し、制御することができるため、沸水収縮率の低い糸を容易に得ることができる。
本発明の実施形態に係る紡糸引取機の構成を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る紡糸引取機の側面図である。 紡糸延伸装置の拡大正面図である。 (a)は、熱固定用ゴデットローラの減速を行わないときの、熱固定用ゴデットローラの温度と沸水収縮率との関係を示す表、(b)は、熱固定用ゴデットローラの温度を160℃で固定したときの、熱固定用ゴデットローラの減速率と沸水収縮率との関係を示す表、(c)は沸水収縮率が11%である糸を生産する場合の、ローラ温度と減速率の条件の例を示す表である。 (a)は、図4(a)のデータから得られる、熱固定用ゴデットローラの表面温度と沸水収縮率との関係を示すグラフ、(b)は、図4(b)のデータから得られる、熱固定用ゴデットローラの減速率と沸水収縮率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る紡糸延伸装置を備えた紡糸引取機の構成を示す正面図である。図2は、紡糸引取機の側面図である。以下、図1および図2において示す各方向を、上下方向、左右方向、前後方向として説明する。図1および図2に示すように、紡糸引取機1は、紡糸延伸装置2と、糸巻取装置3とを備えている。紡糸引取機1は、上方にある紡糸装置4から紡出されて連続的に供給される複数の糸Yを紡糸延伸装置2で延伸して、糸巻取装置3に送り、糸巻取装置3で複数の糸Yを巻き取っている。糸Yは、例えば、ポリエステルやナイロンなどからなる。
紡糸延伸装置2は、紡糸装置4から紡出された糸Yを延伸するための複数のゴデットローラ14〜18(複数のローラ)などを備えている。なお、紡糸延伸装置2の具体的な構成については、後で詳述する。
糸巻取装置3は、紡糸装置4の下方に配置されており、紡糸延伸装置2で延伸された複数の糸Yを、複数のボビンBにそれぞれ巻き取り、複数のパッケージPを形成する。糸巻取装置3は、案内ローラ5,6と、複数の支点ガイド7と、2台の巻取ユニット8とを備える。
案内ローラ5,6は、図示しない駆動モータによって駆動される駆動ローラである。案内ローラ5,6は、軸方向が左右方向と互いに平行に配置されている。案内ローラ6は、案内ローラ5よりも後方、且つ、上方に配置されている。案内ローラ5,6によって、紡糸延伸装置2から送られてくる複数の糸Yは、下方の複数の支点ガイド7に送られる。
複数の支点ガイド7は、案内ローラ6の下方であって、後述する巻取ユニット8の複数のトラバースガイド12の上方において、複数のトラバースガイド12およびボビンホルダ11に装着された複数のボビンBの真上に、前後方向に沿って複数のボビンBの間隔と同じ間隔で並んで配置されている。
巻取ユニット8は、本体フレーム9と、本体フレーム9に回転可能に設けられた円板状のターレット10と、ターレット10に片持ち支持され、巻取軸が水平に延びており、複数のボビンBが巻取軸の軸方向に沿って直列に装着される2本のボビンホルダ11と、糸Yの綾振りを行うトラバースガイド12と、ボビンホルダ11に装着されたボビンBに対して離接するコンタクトローラ13などを有している。
巻取ユニット8は、ボビンホルダ11が図示しないモータの駆動により回転することで、このボビンホルダ11に装着された複数のボビンBを回転させ、回転する複数のボビンBに複数の糸Yを巻き取る。このとき、ボビンBに巻き取られる糸Yは、複数のボビンBの上方にそれぞれ配置されたトラバースガイド12によって、支点ガイド7を支点としてボビンBの軸方向に綾振りされる。
そして、支点ガイド7を支点としてトラバースガイド12に綾振られた糸Yは、ボビンBに巻き取られてパッケージPを形成する。このとき、コンタクトローラ13は、ボビンBへの巻き取り時に、パッケージPの外周面に接触して、所定の接圧を付与しながら回転し、パッケージPの形状を整える。そして、ボビンホルダ11に装着された複数のボビンB上に巻かれた複数のパッケージPは、満巻きになるとターレット10が図示しない駆動装置により回動されて満巻パッケージPを把持する巻き取り位置のボビンホルダ11が待機位置に、待機位置のボビンホルダ11が巻き取り位置に移動する。さらに、図示しない糸切替装置が作動して満巻パッケージPに巻かれている糸Yが巻き取り位置のボビンBに切り替えられて、連続的に糸Yの巻き取りが継続する。さらに、満巻パッケージPは、図示しないプッシャーによって、前方へ押し出されてボビンホルダ11から取り外される。
次に、紡糸延伸装置2の具体的な構成について説明する。紡糸延伸装置2は、紡糸装置4の下方に配置されている。図1〜図3に示すように、紡糸延伸装置2は、複数のゴデットローラ14〜18(複数のローラ)と、保温箱19と、案内ローラ20,21と、ガイド25,26と、制御装置27とを備えている。なお、図1および図3においては、保温箱19の内部が見えるように図示している。
複数のゴデットローラ14〜18は、糸道に沿って配置され、紡糸装置4から紡出された糸Yを延伸し、熱固定するためのものである。複数のゴデットローラ14〜18は、それぞれ、図示しないフレームによって片持ち支持された図示しない駆動モータにより、回転される駆動ローラである。また、複数のゴデットローラ14〜18は、それぞれ、内部に図示しないヒータが設けられた加熱ローラである。ゴデットローラ14〜18の表面温度は、後述する制御装置27によるヒータの制御によって、所定の温度に維持される。
ゴデットローラ14,15(第1ローラ)は、延伸前の糸Yが走行する、延伸前の糸Yを加熱するための予備加熱用のゴデットローラである。ここで、ポリエステルなどガラス転移温度が常温より高い樹脂からなる糸Yを延伸するためには、ガラス転移温度以上の温度まで、糸Yと接するゴデットローラの表面を加熱する必要がある。従って、糸Yが接するゴデットローラ14,15の表面温度は、内部に設けられた図示しないヒータによって、ガラス転移温度以上の温度に保持されている。また、後述するように、ナイロンなどガラス転移温度が常温に近い樹脂からなる糸Yを延伸する場合は、必ずしも延伸前に予熱を行う必要はない。この場合、ゴデットローラ14,15は、非加熱ローラで構わない。
また、ゴデットローラ14,15は、それぞれ回転の速度(糸送り速度)が略等しい。なお、予備加熱用のゴデットローラ14,15の糸送り速度は、互いに異なっていても構わない。
ゴデットローラ16〜18(第2ローラ)は、延伸された糸Yを熱固定するための熱固定用のゴデットローラである。糸Yが接するゴデットローラ16〜18の表面温度は、内部に設けられた図示しないヒータによって、予備加熱用のゴデットローラ14,15の表面温度よりも高い温度に保持されている。なお、ガラス転移温度が常温に近い糸Yを延伸する場合は、必ずしも延伸前に予熱を行う必要はないが、ヒータを内蔵する予備加熱用ゴデットローラを使用する場合、ゴデットローラ16〜18の表面温度はガラス転移温度より高温に設定する。例えば、糸Yがポリエステルからなる場合、予備加熱用のゴデットローラ14,15の表面温度は、80度以上、糸Yがナイロンの場合の予備加熱用のゴデットローラ14,15の表面温度は50度以上に設定される。ゴデットローラ16〜18の表面温度は、略等しい。
また、後述する制御装置により、ゴデットローラ16〜18において、糸走行方向下流側に配置されたローラの糸送り速度は、糸走行方向上流側に配置されたローラの糸送り速度以下に設定される。つまり、ゴデットローラ16〜18は、ゴデットローラ16,17,18の順に、糸送り速度が同一または遅くなるようになっている。より具体的には、糸走行方向最上流のゴデットローラ16と糸走行方向最下流のゴデットローラ18において、糸送り速度はゴデットローラ16,17,18中でそれぞれ最大および最小になっている。また、ゴデットローラ16,18間の糸送り速度のトータルの減速率は2%以上である。尚、熱固定用のゴデットローラ16〜18のトータルの糸送り速度の減速率(%)とは、最も上流側に配置されたゴデットローラ16の糸送り速度をVa、最も下流側に配置されたゴデットローラ18の糸送り速度をVbとしたとき、100×(Va−Vb)/Vaで表される値である。
また、隣り合う2つのゴデットローラ16,17において、上流側に配置されたゴデットローラ16と下流側に配置されたゴデットローラ17との間の糸送り速度の減速率は、1%以上、且つ、5%未満である。また、2つのゴデットローラ17,18において、上流側に配置されたゴデットローラ17と下流側に配置されたゴデットローラ18との間の糸送り速度の減速率は、同様に1%以上、且つ、5%未満である。また、2つのゴデットローラ間における糸送り速度の減速率は、ゴデットローラ16,17と、ゴデットローラ17,18との間で同一である。尚、隣り合う2つのゴデットローラ間の減速率(%)とは、上流側に配置されたゴデットローラの糸送り速度をV1、下流側に配置されたゴデットローラの糸送り速度をV2としたとき、100×(V1−V2)/V1で表される値である。また、ゴデットローラ16,17間の減速率と、ゴデットローラ17,18間の減速率が「同一」とは、両者の減速率が完全に同一である場合だけでなく、糸の物性に影響を及ぼさない程度に僅かに異なっている場合も含む。
ゴデットローラ16,17間の減速率と、ゴデットローラ17,18間の減速率が僅かに異なっているが、実質的に「同一」とみなしてよい例を以下に示す。一般に、制御装置27によるゴデットローラ14〜18の速度制御においては、ローラ14〜18のそれぞれに対して目標の糸送り速度値が設定される。つまり、熱固定用ゴデットローラ16〜18においては、減速率の形で設定されるのではなく、各ローラ16〜18の目標速度値が設定された結果、ゴデットローラ16,17間の減速率と、ゴデットローラ17,18間の減速率が自動的に定まることになる。
例えば、ゴデットローラ16,17間で2%減速し、さらに、ゴデットローラ16,17間で同じく2%減速し、ゴデットローラ16〜18間ではトータルで4%減速させる場合を考える。具体的には、ゴデットローラ16の糸送り速度を5000m/min、ゴデットローラ17の糸送り速度を4900m/min、ゴデットローラ18の糸送り速度を4800m/minとする。このとき、ゴデットローラ16〜18のトータルの区間では、5000m/min→4800m/minとなり、トータルの減速率は4%となる。しかし、2つの区間をそれぞれ見てみると、ゴデットローラ16,17間では、5000m/min→4900m/minで減速率が2%となるが、ゴデットローラ17,18間では、4900m/min→4800m/minで減速率が2.04%となる。本実施形態において、ゴデットローラ16,17間の減速率と、ゴデットローラ17,18間の減速率が「同一」とは、上記のような要因によって僅かな差が生じる場合も含まれるものとする。
複数のゴデットローラ14〜18は、それぞれの軸芯が互いに平行であって、回転軸は、図1および図3の紙面奥行方向に向かって延びている。複数のゴデットローラ14〜18は、それぞれ略同じ直径となっている。複数のゴデットローラ14〜18の直径は、220〜300mmの範囲内である。複数のゴデットローラ14〜18は、熱固定用のゴデットローラ16〜18が、予備加熱用のゴデットローラ14,15よりも上方に位置するよう配置されている。複数のゴデットローラ14〜18は、ゴデットローラ14,15,16,17,18の順に、下方から上方に千鳥状に配置されている。
ゴデットローラ14,16,18は、図1および図3の矢印で示すように、時計回り方向に回転している。また、ゴデットローラ15,17は、図1および図3の矢印で示すように、反時計回り方向に回転している。つまり、糸Yの走行方向において隣り合う2つのゴデットローラ14,15、ゴデットローラ15,16、ゴデットローラ16,17、ゴデットローラ17,18は、それぞれ、回転方向が逆向きとなっている。
複数のゴデットローラ14〜18には、それぞれ270度未満の巻き掛け角度(図3の角度θ)で、下方から上方へ、ゴデットローラ14,15,16,17,18の順に、それぞれの回転方向に沿って糸Yが片掛けされている。言い換えれば、糸Yの走行方向において隣り合う2つのゴデットローラ14,15、ゴデットローラ15,16、ゴデットローラ16,17、ゴデットローラ17,18には、それぞれS字状に糸Yが片掛けされている。このため、糸Yの走行方向において隣り合う2つのゴデットローラ14,15、ゴデットローラ15,16、ゴデットローラ16,17、ゴデットローラ17,18間において、糸Yは、隣り合うゴデットローラの共通内接線方向に走行する。
保温箱19は、複数のゴデットローラ14〜18を収容するためのものである。保温箱19は、略直方体形状の箱である。保温箱19は、断熱材からなる。これにより、ゴデットローラ14〜18から発せられる熱が保温箱19内から外部に逃げず、内部が保温される。保温箱19の内部は、表面温度の高い熱固定用のゴデットローラ16〜18が上方に配置されていることや熱の対流により、下方に比べて上方の温度が高くなっている。保温箱19の内部には、複数のゴデットローラ14〜18の表面温度が、互いの表面温度に影響を及ぼすことを防止するために、複数の隔壁24が設けられている。具体的には、複数の隔壁24は、上下方向に並ぶゴデットローラをそれぞれ仕切るように、2つのゴデットローラ間などに設けられている。
また、保温箱19には、同一側面(図中右側面)の上方および下方に、2つのスリット22,23が設けられている。紡糸装置4から紡出され、後述するガイド25,26を介して、案内ローラ20によって案内された糸Yは、下方のスリット22から保温箱19の内部へ導かれる。その後、上述したように、ゴデットローラ14〜18にそれぞれ巻き掛けられ、上方のスリット23から保温箱19の外部へ導かれる。
案内ローラ20,21は、それぞれに設けられた図示しない駆動モータによって回転される駆動ローラである。また、案内ローラ20,21は、非加熱ローラである。
案内ローラ20は、保温箱19の外側であって、保温箱19のスリット22から左右方向にずれた位置(図中右側)に配置されている。案内ローラ20は、後述するガイド25,26を介して、紡糸装置4から下方に紡出された糸Yの糸道を変更し、保温箱19に設けられたスリット22へ糸Yを導く。
案内ローラ21は、保温箱19の外側であって、保温箱19のスリット23から左右方向にずれた位置(図中右側)に保温箱19の外部に配置されている。案内ローラ21には、複数のゴデットローラ14〜18のうち、糸走行方向最下流に配置されたゴデットローラ18から送られた糸Yが巻き掛けられる。案内ローラ21は、保温箱19のスリット23を通って、保温箱19の外部へ案内された糸Yの糸道を変更し、糸Yを案内ローラ5へ導く。
ガイド25は、紡糸装置4の下方に配置されている。ガイド25は、紡糸装置4から下方に紡出された糸Yを後方から前方へ向けて屈曲させるためのものである。屈曲した糸Yは、ガイド26に導かれる。
ガイド26は、案内ローラ20の近傍に配置されている。ガイド26は、糸Yを上方から下方に向けて屈曲させるためのものである。屈曲した糸Yは、案内ローラ20に導かれる。
制御装置27(本発明の速度制御部、及び、温度制御部に相当)は、ゴデットローラ14〜18をそれぞれ駆動する図示しない駆動モータ、糸Yが接するゴデットローラ14〜18の表面をそれぞれ加熱する図示しないヒータ、案内ローラ20、21をそれぞれ駆動する図示しない駆動モータなど、紡糸延伸装置2の様々な駆動部と接続されている。
制御装置27は、ゴデットローラ14〜18をそれぞれ駆動する図示しない駆動モータを個別に制御し、各ゴデットローラの糸送り速度を所定の速度に調整する。また、制御装置27は、糸Yが接するゴデットローラ14〜18の表面をそれぞれ加熱する図示しないヒータを個別に制御し、各ゴデットローラの表面温度を所定の温度に調整する。また、制御装置27は、案内ローラ20,21をそれぞれ駆動する駆動モータを個別に制御し、各ゴデットローラの糸送り速度を所定の速度に調整する。
次に、複数のゴデットローラ14〜18によって糸Yを延伸する過程について説明する。
まず、スリット22から保温箱19内に案内された糸Yが、例えばポリエステルからなる場合は、予備加熱用のゴデットローラ14,15の表面に接触することにより、ガラス転移温度以上の温度に予備加熱される。予備加熱された糸Yは、予備加熱用のゴデットローラ14、15の回転駆動により、糸走行方向下流の熱固定用のゴデットローラ16〜18に送られる。ここで、上述したように、糸走行方向下流の熱固定用のゴデットローラ16〜18は、予備加熱用のゴデットローラ14,15よりも糸送り速度が速い。従って、予備加熱用のゴデットローラ15と熱固定用のゴデットローラ16との間で糸Yが加速される。これにより、糸Yが延伸される。なお、糸Yが、例えばナイロンのようにガラス転移温度が常温に近い糸の場合は、予備加熱用のゴデットローラ14,15は非加熱ローラであっても構わない。
延伸された糸Yは、熱固定用のゴデットローラ16〜18に接触することにより、熱固定される。ここで、ゴデットローラ16〜18には、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で、下方から上方へ、ゴデットローラ16,17,18の順に、それぞれの回転方向に沿って糸Yが片掛けされている。ここで、従来からよく知られている、複数のゴデットローラの間に糸が複数回巻き掛けられる構成の場合は、それら複数のローラの表面速度は同一である必要がある。本実施形態では、ゴデットローラ16〜18のそれぞれに対して糸が片掛けされるため、これらゴデットローラ16〜17の糸送り速度をそれぞれ自由に設定することが可能となる。
その上で、制御装置27は、糸走行方向において隣接する熱固定用のゴデットローラ16〜18のうちの、糸走行方向下流側に配置されたローラの糸送り速度を、糸走行方向上流側に配置されたローラの糸送り速度以下にする。これにより、ゴデットローラ15,16間で延伸された糸Yは、熱固定用の3つのゴデットローラ16〜18において弛緩されることによって収縮するため、沸水収縮率が小さい糸Yを得ることができる。
さらに、本実施形態では、制御装置27は、3つの熱固定用のゴデットローラ16〜18のうち、糸走行方向最上流のゴデットローラ16と糸走行方向最下流の前記第2ローラ18の糸送り速度の減速率を、2%以上にする。このように、糸走行方向における最上流のゴデットローラ16と、最下流のゴデットローラ18との間の糸送り速度の減速率(3つのゴデットローラ16〜18のトータルの減速率)を、2%以上と大きくすることで、3つのゴデットローラ16〜18において、糸Yは十分に弛緩されながら熱固定される。従って、ゴデットローラ16〜18の表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸Yを得ることができる。
また、本実施形態の紡糸延伸装置2は、ゴデットローラ16〜18の間の減速率を所望の沸水収縮率に応じて適宜変更可能である。例えば、沸水収縮率の小さい糸Yを生産する場合は、図示しない設定部からの入力設定によって、熱固定用のゴデットローラ16〜18間の糸送り速度のトータルの減速率を大きくする。一方、沸水収縮率の大きい糸Yを生産する場合は、設定部からの入力設定によって、熱固定用のゴデットローラ16〜18間の糸送り速度のトータルの減速率を小さくする。詳細には、設定部から入力された情報に従って、制御装置27が、ゴデットローラ16〜18に設けられた図示しない駆動モータを制御し、各ゴデットローラ16〜18の糸送り速度を個別に調節することで、ゴデットローラ16〜18間の糸送り速度の減速率を適宜変更する。
また、ゴデットローラ16〜18のローラ表面温度についても、制御装置27が、図示しないヒータを制御することによって、各ゴデットローラ16〜18の温度を個別に調節することが可能である。つまり、制御装置27が、3つのゴデットローラ16〜18のそれぞれについての糸送り速度とローラ表面温度を制御することにより、所望の沸水収縮率の糸Yを容易に得ることができる。
その一方で、糸走行方向で隣り合う2つのゴデットローラ間において、糸送り速度の減速率が大きすぎると、糸Yの弛みが大きくなり糸道が不安定となる。糸道が不安定になった場合、糸がローラに巻き付くおそれがある。この点、本実施形態では、糸走行方向で隣り合う2つの熱固定用のゴデットローラ16,17、及び、ゴデットローラ17,18間において、糸送り速度の減速率は、5%未満である。従って、上流側のゴデットローラに対して下流側のゴデットローラを減速させたことによる糸Yの弛みによって、糸道が不安定となることが抑制される。これにより、熱固定用のゴデットローラ16〜18への糸Yの巻き付き、断糸などが抑制される。
また、本実施形態では、熱固定用のゴデットローラの個数が3個であり、これら3つのゴデットローラ16〜18の間には、糸Yの走行区間が2つ存在する。そして、本実施形態では、上記の2つの走行区間において、糸送り速度の減速率をそれぞれ1%以上とする。つまり、一部の区間の減速率を特に大きくするのではなく、2つの区間の減速率をそれぞれ適度に大きくすることにより、トータルの減速率を大きくしている。これにより、熱固定用のゴデットローラ16〜18の表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる。
また、隣り合う2つの熱固定用のゴデットローラ間の減速率を、1%以上と大きくすることによって、必要なトータル減速率を実現するための、熱固定用のゴデットローラの個数を少なく(例えば、3つ)することができる。これにより、設備コストを削減することができる。
さらに、3つのゴデットローラ16〜18の間の、2つの糸走行区間において、糸走行方向で隣り合う2つのゴデットローラ間の糸送り速度の減速率を同一にしている。これにより、複数の区間における減速率を均一化しつつ、トータルの減速率を最大とすることができる。従って、複数の第2ローラの表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸を得ることができる。
(具体例の詳細)
次に、熱固定用のゴデットローラの減速率と、生産される糸の沸水収縮率について、具体的な例をいくつか挙げて説明する。以下の例では、生産する糸は、ナイロン(PA6:78dtex/24f)である。また、熱固定用ゴデットローラの数は3つであり、これら3つの熱固定用ゴデットローラのそれぞれの糸送り速度を個別に変更可能である。尚、以下の例では、3つの熱固定用ゴデットローラの間で、ローラの表面温度については同じにしている。この前提で、3つの熱固定用ゴデットローラの糸送り速度、ローラ表面温度を変化させて、どのような収縮率の糸が得られるかを検討した。
図4において、(a)は、熱固定用ゴデットローラの減速を行わないときの、熱固定用ゴデットローラの温度と沸水収縮率との関係を示す表である。(b)は、熱固定用ゴデットローラの温度を160℃で固定したときの、熱固定用ゴデットローラの減速率と沸水収縮率との関係を示す表である。(c)は、沸水収縮率が11%である糸を生産する場合の、ローラ温度と減速率の条件の例を示す表である。尚、図4において、「隣接ローラ間の減速率」の欄に「A/B」という記載があるが、ここでの“A”は、3つの熱固定用ゴデットローラの間の2つの糸走行区間のうちの、前半区間での減速率を示し、“B”は、後半区間での減速率を示す。また、図5(a)は、図4(a)の表データをプロットして得られる、熱固定用ゴデットローラの表面温度と沸水収縮率との関係を示すグラフである。図5(b)は、図4(b)の表データをプロットして得られる、熱固定用ゴデットローラの減速率と沸水収縮率との関係を示すグラフである。
まず、熱固定用ゴデットローラの糸送り速度を変化させずに(トータル減速率が0の)、沸水収縮率の低い糸を生産するには、図4(a)、図5(a)に示すように、熱固定用ゴデットローラの温度をかなり高くする必要がある。例えば、比較例5のように、沸水収縮率が12%の糸であればローラ温度は150℃でよいが、これよりも沸水収縮率が1%小さい、沸水収縮率が11%の糸Yを生産する場合は、比較例2のように、ローラ温度を30℃高く上げて、180℃に維持する必要がある。
これに対して、本発明を適用し、熱固定用ゴデットローラの糸送り速度を減速させることで、ローラ温度を高くしなくても沸水収縮率の低い糸を生産できる。図4(b)、及び、図5(b)に示すように、ローラの表面温度が160℃でも、実施例1〜3のように熱固定用ゴデットローラにおけるトータル減速率を2%以上とすることで、沸水収縮率が11%程度の糸を生産することができる。
逆に、沸水収縮率が11%の糸を生産するためには、ローラ温度や減速率の条件をどのようにすればよいかについても検討した。先にも触れたが、図4(c)に示すように、熱固定用ゴデットローラの糸送り速度を減速させない場合(トータル減速率が0)、沸水収縮率が11%の糸を生産するためには、比較例2のように、ローラ温度を180℃まで上げる必要がある。これに対して、糸送り速度を減速させる実施例4〜9では、比較例2よりもローラ温度が低い条件で、沸水収縮率が11%の糸を生産できる。また、図4(c)から明らかに理解されるように、熱固定用ゴデットローラのトータル減速率が大きいほど、同じ沸水収縮率の糸を生産する場合でもローラ温度を低く抑えることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
本実施形態では、熱固定用ゴデットローラの糸送り速度の減速率は、ゴデットローラ16,17と、ゴデットローラ17,18との間で同一であると記載したが、最大の糸送り速度の減速率が5%未満であれば、糸送り速度の減速率は、例えば、図4(c)に示されている一部の実施例のように、ゴデットローラ16,17と、ゴデットローラ17,18との間で異なっていても構わない。
また、トータルの減速率が等しければ、隣り合う2つの熱固定用ゴデットローラ間の減速率は、どのように配分されていても構わない。
また、本実施形態では、熱固定用のゴデットローラ16〜18の表面温度は、略等しいと記載したが、ゴデットローラ16〜18の表面温度は、それぞれ異なっていても構わない。具体的には、例えば、ゴデットローラ18,17,16の順に表面温度が高くなるよう、すなわち、熱固定用のゴデットローラのうち、最上流に配置されたゴデットローラ16の表面温度が最も高くなるように設定しても構わない。
また、本実施形態では、熱固定用のゴデットローラ16〜18は、計3つであると記載したが、糸Yが熱固定されるために必要最低限な個数を有していれば、熱固定用のゴデットローラの個数は、2個以上あれば幾つであっても構わない。
また、本実施形態では、予備加熱用のゴデットローラ14,15は、計2つであると記載したが、糸Yが予備加熱されるために必要最低限な個数を有していれば、予備加熱用のゴデットローラの個数は、幾つであっても構わない。
また、本実施形態では、延伸前の複数の糸Yが走行する予備加熱用のゴデットローラ14、15は、加熱ローラであると記載したが、糸Yがナイロン等、ガラス転移温度が常温に近い樹脂の場合、必ずしも予備加熱は必要でないため、予備加熱用のゴデットローラ14,15の全て又は一部を、ヒータを備えない非加熱ローラとしても構わない。また、予備加熱用のゴデットローラ14,15がヒータを備える場合は、ヒータの電源を切断し、その全て又は一部を非加熱状態で使用しても構わない。
また、本実施形態では、複数のゴデットローラ14〜18の直径は、220〜300mmの範囲内であって、ゴデットローラ14,15,16,17,18の順に、下方から上方に千鳥状に配置されていると記載したが、ゴデットローラ14〜18の直径、配置、糸の巻き掛け角度などは、生産する糸Yの種類、糸Yの加熱温度等に応じて、適宜変更可能しても構わない。
1 紡糸引取機
2 紡糸延伸装置
3 糸巻取装置
4 紡糸装置
14,15 予備加熱用のゴデットローラ
16〜18 熱固定用のゴデットローラ
27 制御装置
第1の発明の紡糸延伸装置は、糸道に沿って配置され、紡糸装置から紡出された糸を延伸するための複数のローラと、前記複数のローラの糸送り速度をそれぞれ制御する速度制御部とを備え、前記複数のローラには、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で前記糸が巻き掛けられており、前記複数のローラは、少なくとも1つの第1ローラと、前記第1ローラから送られる前記糸が片掛けされ、且つ、それぞれ、前記第1ローラの糸送り速度よりも糸送り速度が速い加熱ローラである複数の第2ローラと、を含み、
前記速度制御部は、隣り合う2つの前記第2ローラのうちの、糸走行方向下流側に配置されたローラの糸送り速度を、糸走行方向上流側に配置されたローラの糸送り速度以下にし、前記複数の第2ローラのうちの、糸走行方向最上流の前記第2ローラと糸走行方向最下流の前記第2ローラの糸送り速度の減速率を、2%以上にすることを特徴とするものである
本発明では、第2ローラを含む複数のローラには、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で糸が巻き掛けられている。複数の第2ローラの間に糸が複数回巻き掛けられる構成の場合は、それら複数のローラの表面速度は同一である必要があるのに対し、本発明では、複数の第2ローラのそれぞれに対して糸が片掛けされるため、これら複数の第2ローラの糸送り速度をそれぞれ自由に設定することが可能となる。
本発明では、温度制御部により、複数の第2ローラの温度を自由に設定し、制御することができるため、沸水収縮率の低い糸を容易に得ることができる。
例えば、ゴデットローラ16,17間で2%減速し、さらに、ゴデットローラ1,1間で同じく2%減速し、ゴデットローラ16〜18間ではトータルで4%減速させる場合を考える。具体的には、ゴデットローラ16の糸送り速度を5000m/min、ゴデットローラ17の糸送り速度を4900m/min、ゴデットローラ18の糸送り速度を4800m/minとする。このとき、ゴデットローラ16〜18のトータルの区間では、5000m/min→4800m/minとなり、トータルの減速率は4%となる。しかし、2つの区間をそれぞれ見てみると、ゴデットローラ16,17間では、5000m/min→4900m/minで減速率が2%となるが、ゴデットローラ17,18間では、4900m/min→4800m/minで減速率が2.04%となる。本実施形態において、ゴデットローラ16,17間の減速率と、ゴデットローラ17,18間の減速率が「同一」とは、上記のような要因によって僅かな差が生じる場合も含まれるものとする。
案内ローラ21は、保温箱19の外側であって、保温箱19のスリット23から左右方向にずれた位置(図中右側)に配置されている。案内ローラ21には、複数のゴデットローラ14〜18のうち、糸走行方向最下流に配置されたゴデットローラ18から送られた糸Yが巻き掛けられる。案内ローラ21は、保温箱19のスリット23を通って、保温箱19の外部へ案内された糸Yの糸道を変更し、糸Yを案内ローラ5へ導く。
延伸された糸Yは、熱固定用のゴデットローラ16〜18に接触することにより、熱固定される。ここで、ゴデットローラ16〜18には、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で、下方から上方へ、ゴデットローラ16,17,18の順に、それぞれの回転方向に沿って糸Yが片掛けされている。ここで、従来からよく知られている、複数のゴデットローラの間に糸が複数回巻き掛けられる構成の場合は、それら複数のローラの表面速度は同一である必要がある。本実施形態では、ゴデットローラ16〜18のそれぞれに対して糸が片掛けされるため、これらゴデットローラ16〜1の糸送り速度をそれぞれ自由に設定することが可能となる。
さらに、本実施形態では、制御装置27は、3つの熱固定用のゴデットローラ16〜18のうち、糸走行方向最上流のゴデットローラ16と糸走行方向最下流のゴデットローラ18の糸送り速度の減速率を、2%以上にする。このように、糸走行方向における最上流のゴデットローラ16と、最下流のゴデットローラ18との間の糸送り速度の減速率(3つのゴデットローラ16〜18のトータルの減速率)を、2%以上と大きくすることで、3つのゴデットローラ16〜18において、糸Yは十分に弛緩されながら熱固定される。従って、ゴデットローラ16〜18の表面温度を低く抑えつつ、沸水収縮率の低い糸Yを得ることができる。

Claims (5)

  1. 糸道に沿って配置され、紡糸装置から紡出された糸を延伸するための複数のローラと、前記複数のローラの糸送り速度をそれぞれ制御する速度制御部とを備え、
    前記複数のローラには、それぞれ270度未満の巻き掛け角度で前記糸が巻き掛けられており、
    前記複数のローラは、少なくとも1つの第1ローラと、前記第1ローラから送られる前記糸が片掛けされ、且つ、それぞれ、前記第1ローラの糸送り速度よりも糸送り速度が速い加熱ローラである複数の第2ローラと、を含み、
    前記速度制御部は、
    隣り合う2つの前記第2ローラのうちの、糸走行方向下流側に配置されたローラの糸送り速度を、糸走行方向上流側に配置されたローラの糸送り速度以下にし、
    前記複数の第2ローラのうちの、糸走行方向最上流の前記第2ローラと糸走行方向最下流の前記第2ローラの糸送り速度の減速率を、2%以上にすることを特徴とする紡糸延伸装置。
  2. 前記速度制御部は、
    糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間において、糸送り速度の減速率を、5%未満にすることを特徴とする請求項1に記載の紡糸延伸装置。
  3. 前記第2ローラが3個以上であり、
    前記速度制御部は、糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間において、糸送り速度の減速率を全て1%以上にすることを特徴とする請求項1または2に記載の紡糸延伸装置。
  4. 前記第2ローラが3個以上であり、
    前記速度制御部は、糸走行方向で隣り合う2つの前記第2ローラ間の糸送り速度の減速率を、複数の区間について同一にすることを特徴とする請求項3に記載の紡糸延伸装置。
  5. 前記複数の第2ローラの温度をそれぞれ制御する温度制御部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の紡糸延伸装置。
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