JP2016079302A - 重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率が高く、ガラス転移温度の低い重合体、当該重合体を含有する樹脂組成物及び当該樹脂組成物により得られる光学部品に用いる樹脂成形体の提供。【解決手段】分子屈折の高いナフタレン骨格及び、又はアントラセン骨格と、原子屈折の高い硫黄原子を有する構造単位を主鎖中に導入した重合体であり、本重合体は、屈折率が高いとともにガラス転移温度が低く、光学部品に好適に用いることができる重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
光学レンズ、光学フィルム等の光学部品は、液晶表示装置等の表示装置、デジタルカメラや携帯電話用カメラ等のカメラモジュール、イメージセンサ等の光センサなどに用いられている。近年、光学部品は、薄膜化、高付加価値化等の観点から、樹脂成分として屈折率の高い重合体を用いて製造されるようになっている。
高屈折率化の要求に対し、光学部品用の重合体として、フルオレン誘導体に由来する構造を有するポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル等の開発が行われている(特開2012−224763号公報及び特開2010−132782号公報参照)。
一方、光学部品は、例えば上記重合体のガラス転移温度以上で、この重合体を含有する樹脂組成物を用いた射出成形や押出成形等により製造される。そのため、光学部品用の重合体には、成形の容易化、成形時の重合体の劣化防止、製造コスト低減等の観点から、ガラス転移温度が低いことが求められる。
しかし、上記公報に記載の重合体は、フルオレン誘導体に由来する剛直で嵩高いカルド構造を有しているため、ガラス転移温度を十分に下げることが困難である。
特開2012−224763号公報 特開2010−132782号公報
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、その目的は、屈折率が高く、ガラス転移温度の低い重合体、当該重合体を含有する樹脂組成物及び当該樹脂組成物により得られる樹脂成形体を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1)で表される構造単位(以下、「構造単位(a)」ともいう。)を主鎖中に有する重合体である。
Figure 2016079302
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜12の1価の有機基である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルカンジイル基である。c及びdは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。cが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。dが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。e及びfは、それぞれ独立して、1又は2である。Xは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、環員数3〜20の2価の複素環基若しくはこれらの基の水素原子の一部若しくは全部を炭素数1〜10の1価のオキシ炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはこれらの組み合わせで置換した基、又は−CO−である。)
本発明はさらに、当該重合体と有機溶媒とを含有する樹脂組成物、及び当該樹脂組成物により得られる樹脂成形体を含む。
ここで、「主鎖」とは、重合体中で相対的に最も長い結合鎖をいう。「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。「環員数」とは、環状構造を構成する原子数をいい、多環の場合は、この多環を構成する原子数をいう。「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環状構造として脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。ただし、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環状構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいい、単環の芳香族炭化水素基及び多環の芳香族炭化水素基の両方を含む。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。「複素環基」とは、炭素原子と炭素原子以外の原子とから構成される環状構造を含む基をいう。ただし、複素環のみで構成されている必要はなく、複素環に炭化水素基が結合していてもよい。「オキシ炭化水素基」とは、炭化水素基の結合手側の末端に酸素原子を含む基をいう。
本発明によれば、屈折率が高く、ガラス転移温度の低い重合体、及び当該重合体を含有する樹脂組成物を提供できる。また、本発明によれば、屈折率が高い上、簡便かつコスト的に有利に製造できる樹脂成形体を提供できる。
実施例3の重合体の赤外吸収スペクトルを示す図である。 実施例4の重合体の赤外吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明の重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体を詳細に説明する。
<重合体>
当該重合体は、構造単位(a)を主鎖中に有する重合体である。当該重合体は、構造単位(a)を主鎖中に有することで、屈折率を高くでき、かつガラス転移温度を低くできる。当該重合体が構造単位(a)を主鎖中に有することで、屈折率を高くでき、かつガラス転移温度を低くできる理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、分子屈折の高いナフタレン骨格又はアントラセン骨格を主鎖中に導入すると共に、原子屈折の高い硫黄原子を主鎖中に導入することにより屈折率が高くなると考えられる。また、構造単位(a)は、フルオレン誘導体に由来するカルド構造のような剛直な構造ではないことに加え、屈曲性を有する結合基の数を増やすことができるため、ガラス転移温度を低くできると考えられる。
なお、当該重合体は、構造単位(a)を主鎖中に有する限り、構造単位(a)以外の構造については特に限定されないが、通常、構造単位(a)を含む繰り返しユニットを有し、さらにその他の繰り返しユニットを任意に有することができる。
[構造単位(a)]
構造単位(a)は、下記式(1)で表される構造単位である。
Figure 2016079302
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜12の1価の有機基である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルカンジイル基である。c及びdは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。cが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。dが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。e及びfは、それぞれ独立して、1又は2である。Xは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、環員数3〜20の2価の複素環基若しくはこれらの基の水素原子の一部若しくは全部を炭素数1〜10の1価のオキシ炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはこれらの組み合わせで置換した基、又は−CO−である。
上記R及びRで表される炭素数1〜12の1価の有機基としては、例えばシアノ基、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、炭素数1〜12の1価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子及び窒素原子のうちの少なくとも一方の原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状の炭化水素基がより好ましい。
上記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましい。
上記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば上記炭素数1〜12の1価の炭化水素基として例示した基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
上記酸素原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基としては、例えば上記炭素数1〜12の1価の炭化水素基として例示した基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に、−O−、カルボニル基、エステル基等を有する基などが挙げられる。
上記−O−を有する基としては、例えば炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシアルキル基等が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメチル基等が挙げられる。
上記カルボニル基を有する基としては、例えば炭素数2〜12のアシル基等が挙げられる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
上記エステル基を有する基としては、例えば炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられる。具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
上記窒素原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基としては、例えばイミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンズトリアゾール基等の窒素含有複素環基などが挙げられる。
上記酸素原子及び窒素原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基としては、例えばオキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズオキサジアゾール基等の酸素含有複素環基などが挙げられる。
上記R及びRで表される炭素数1〜12の1価の有機基としては、ガラス転移温度をより低くする観点から、炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の1価の炭化水素基がより好ましい。
上記a及びbとしては、ガラス転移温度をより低くする観点から、0〜4が好ましく、0〜2がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記R及びRで表される炭素数1〜4のアルカンジイル基としては、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等が挙げられる。
上記R及びRで表される炭素数1〜4のアルカンジイル基としては、屈折率をより高くする観点からメタンジイル基及びエタンジイル基が好ましく、ガラス転移温度をより低くする観点からブタンジイル基が好ましい。
上記c及びdとしては、屈折率をより高くする観点から0及び1が好ましく、0がより好ましい。また、ガラス転移温度をより低くする観点から、上記c及びdとしては2が好ましい。
上記e及びfとしては、屈折率をより高くする観点から2が好ましく、ガラス転移温度をより低くする観点から1が好ましい。なお、上記e又はfが1のとき、構造単位(a)はナフタレン環を有する。また、上記e又はfが2のとき、構造単位(a)はアントラセン環を有する。以下、ナフタレン環及びアントラセン環をまとめて「縮合環(I)」ともいう。
縮合環(I)において、式(1)中の−S−が結合する位置としては、構造単位(a)を与えるモノマーの合成の容易性の観点から1位が好ましい。また、縮合環(I)において、式(1)中の−O(RO)−基及び−O(RO)−基が結合する位置としては、同様の観点から2位が好ましい。
上記Xで表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば2価の鎖状炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記2価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基、ブタンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、プロピンジイル基、ブチンジイル基等のアルキンジイル基などが挙げられる。
上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;
シクロプロペンジイル基、シクロブテンジイル基等の単環のシクロアルケンジイル基;
ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基;
ノルボルネンジイル基、トリシクロデセンジイル基等の多環のシクロアルケンジイル基などが挙げられる。
上記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば
ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、キシレンジイル基、ナフタレンジイル基等のアレーンジイル基;
ベンゼンジイルメタンジイル基、ナフタレンジイルシクロヘキサンジイル基等のアレーンジイル(シクロ)アルカンジイル基などが挙げられる。
上記Xで表される環員数3〜20の2価の複素環基としては、例えば
ピロリジンジイル基、ピペリジンジイル基、ピペラジンジイル基、ジオキサンジイル基、モルホリンジイル基、チアゾリンジイル基等の2価の脂肪族複素環基;
ピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピリダジンジイル基、トリアジンジイル基、キノリンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基等の2価の芳香族複素環基などが挙げられる。
上記これらの基の水素原子の一部若しくは全部を置換する炭素数1〜10の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;
シクロペンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基;
フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、ナフチルメトキシ基等のアラルキルオキシ基などが挙げられる。
上記Xとしては、屈折率をより高くする観点から、−CO−、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基、及び環員数5〜20の2価の芳香族複素環基が好ましい。
[繰り返しユニット]
当該重合体は、構造単位(a)を主鎖中に有する限り、特に限定されないが、屈折率をより高くする観点、及びガラス転移温度をより低くする観点から、構造単位(a)(ただし、式(1)のXが−CO−である場合を除く。)を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(A1)」ともいう。)として有するポリエーテル、下記式(2)で表される構造を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(A2)」ともいう。)として有するポリエステル、下記式(3)で表される構造を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(A3)」ともいう。)として有するポリカーボネート、及び下記式(4)で表される構造を繰り返しユニット(以下、「繰り返しユニット(A4)」ともいう。)として有するポリウレタンが好ましく、上記ポリエーテル、上記ポリエステル及び上記ポリカーボネートがより好ましく、上記ポリエステルがさらに好ましい。
なお、上記ポリエーテルとは、例えば重合体中の全繰り返しユニットに対する繰り返しユニット(A1)の含有割合が25モル%以上である重合体をいう。上記ポリエステルとは、例えば重合体中の全繰り返しユニットに対する繰り返しユニット(A2)の含有割合が25モル%以上である重合体をいう。上記ポリカーボネートとは、例えば重合体中の全繰り返しユニットに対する繰り返しユニット(A3)の含有割合が25モル%以上である重合体をいう。上記ポリウレタンとは、例えば重合体中の全繰り返しユニットに対する繰り返しユニット(A4)の含有割合が25モル%以上である重合体をいう。
Figure 2016079302
上記式(2)〜式(4)中、R、R、R、R、a、b、c、d、e及びfは、上記式(1)と同義である。上記式(2)のY及び上記式(4)のZは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の2価の有機基である。
上記式(2)のY及び上記式(4)のZで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の2価の炭化水素基、環員数3〜20の2価の複素環基、これらの基の水素原子の一部又は全部を炭素数1〜10の1価のオキシ炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、ハロゲン原子若しくはこれらの組み合わせで置換した基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基、上記環員数3〜20の2価の複素環基、及び上記これらの基の水素原子の一部又は全部を炭素数1〜10の1価のオキシ炭化水素基で置換した基としては、例えば上記式(1)のXとして例示したものと同様の基が挙げられる。
上記式(2)のY及び上記式(4)のZとしては、屈折率をより高くする観点から芳香環を有する基が好ましい。
当該重合体における構造単位(a)を含む繰り返しユニットの含有割合の下限としては、当該重合体中の全繰り返しユニットに対して、25モル%が好ましく、50モル%がより好ましい。構造単位(a)を含む繰り返しユニットの含有割合の上限としては、特に限定されないが、100モル%であってもよい。
なお、当該重合体は、構造単位(a)を含む繰り返しユニット以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の繰り返しユニットを含んでいてもよい。上記他の繰り返しユニットの含有割合の上限としては、75モル%が好ましく、50モル%がより好ましい。
<重合体の合成方法>
当該重合体は、公知の方法、例えば構造単位(a)のXを除いた部分の構造を与えるジオールモノマー(以下、「ジオールモノマー(I)」ともいう。)と他の化合物とを、有機溶媒中、又は有機溶媒と水との界面において、所定の条件で反応させることで合成できる。
ジオールモノマー(I)としては、例えば1,1’−チオビス(2−ナフトール)、1,1’−チオビス(2−アントロール)、これらのモノマー中の縮合環(I)に上記式(1)の(R又は(Rが結合したもの、これらのモノマーの両末端の−OHが−O(RO)H又は−O(RO)Hに置換されたもの等が挙げられる。なお、上記R、R、R、R、a、b、c及びdは、上記式(1)と同義である。
上記他の化合物は、構造単位(a)を含む繰り返しユニットの構造に応じて適宜選択すればよい。他の化合物としては、例えばアルカリ金属化合物、末端停止剤、相間移動触媒、上記式(1)の「X(ただし、−CO−を除く。)」、上記式(2)の「−(CO)Y(CO)−」、上記式(3)の「−CO−」、上記式(4)の「−(CONH)Z(NHCO)−」を与える化合物等が挙げられる。また、上記他の繰り返しユニットを有する当該重合体を合成する場合は、上記他の繰り返しユニットの構造に応じて上記他の化合物を適宜選択すればよい。
上記アルカリ金属化合物は、当該重合体の合成の過程で、ジオールモノマー(I)等と反応してアルカリ金属塩を形成する。このようなアルカリ金属化合物としては、例えば
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中で、水酸化アルカリ金属及びアルカリ金属炭酸塩が好ましく、水酸化ナトリウム及び炭酸カリウムがより好ましい。
上記アルカリ金属化合物の使用量の下限は、当該重合体の合成に用いる全モノマーの水酸基に対するアルカリ金属化合物中の金属原子の量として、1倍当量が好ましく、1.1倍当量がより好ましく、1.2倍当量がさらに好ましく、1.5倍当量が特に好ましい。一方、上記使用量の上限としては、3倍当量が好ましく、2倍当量がより好ましい。
上記有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、塩化メチレン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
先に例示した有機溶媒に加えて、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等の水と共沸する溶媒を併用することもできる。
当該重合体の合成時の反応温度は、例えば20℃以上250℃以下である。反応時間としては、例えば15分以上100時間以下である。
<重合体のガラス転移温度>
当該重合体のガラス転移温度の上限としては、300℃が好ましく、250℃がより好ましく、200℃がさらに好ましい。ガラス転移温度が上記上限以下の場合、当該重合体を用いて樹脂成形体を製造する際、重合体の劣化を抑制できると共に、溶融押出等の成形性に優れる。また、成形温度を低くできるため、製造コスト的にも有利となる。一方、当該重合体のガラス転移温度の下限としては、100℃が好ましく、150℃がより好ましい。ガラス転移温度が上記下限以上の場合、得られる樹脂成形体の耐熱性が向上する。ここで、ガラス転移温度は、例えばDSC装置(Rigaku社の「Thermo Plus DSC8230」)を用い、昇温速度20℃/分にて測定した値である。
当該重合体のガラス転移温度は、上記式(1)のR、R、R及びRの炭素数や、ジオールモノマー(I)と縮重合させる他のモノマーの種類等により調整できる。特に、ガラス転移温度を200℃以下にするには、当該重合体の主鎖の単結合を形成するヘテロ原子のうち酸素原子及び硫黄原子の含有割合を80モル%以上100モル%以下にするとよい。
<重合体の重量平均分子量>
当該重合体の重量平均分子量の下限としては、5,000が好ましく、10,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、30,000が特に好ましい。重量平均分子量の上限としては、200,000が好ましく、150,000がより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算分子量である。
<重合体の屈折率>
当該重合体の屈折率の下限としては、1.65が好ましく、1.66がより好ましく、1.67がさらに好ましい。屈折率が上記下限以上の場合、当該重合体により得られるレンズ等の光学部品の薄膜化及び高付加価値化を実現できる。
<重合体のアッベ数>
当該重合体のアッベ数の上限としては、当該重合体をレンズ等の光学部品に適用する場合、21が好ましく、20がより好ましく、19がさらに好ましい。
<樹脂組成物>
当該樹脂組成物は、当該重合体及び有機溶媒を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有していてもよい。当該樹脂組成物は、後述の樹脂成形品を製造するために好適に使用できる。
上記有機溶媒としては、当該重合体を合成する際に使用される有機溶媒と同様のものが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
当該樹脂組成物における当該重合体の含有量としては、例えば当該樹脂組成物の全固形分中10質量%以上100質量%以下である。
当該樹脂組成物における有機溶媒の含有量としては、例えば当該重合体100質量部に対して50質量部以上100,000質量部以下である。
上記他の成分としては、例えば酸化防止剤、当該重合体以外の他の重合体等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、金属系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。このうち、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、分子量500以上のものが好ましい。分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス[2−メチル−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−5−tert−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、及び3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
当該樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、当該樹脂組成物における酸化防止剤の含有量としては、例えば当該重合体100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下である。
当該樹脂組成物は、上記説明した成分以外のその他の任意成分を含有していてもよい。その他の任意成分としては、例えば加工性を向上させる滑剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<樹脂組成物の調製方法>
当該樹脂組成物は、当該重合体及び有機溶媒、必要に応じて酸化防止剤、他の重合体等の他の成分を均一に混合することによって調製される。当該樹脂組成物は、固体状、液体状、ペースト状等に調製される。
樹脂組成物を固体状に調製する場合、この樹脂組成物の300℃、10kg荷重でのメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)の下限としては、0.1g/10分が好ましい。一方、MFRの上限としては、1000g/10分が好ましい。MFRが上記下限未満であると、押出成形時等の成形時に十分な流動性を確保できず、成形性が悪化するおそれがある。一方、MFRが上記上限を超えると、成形物の強度を保てず、金型から取り外す際に割れを生じるおそれがある。
<樹脂成形体>
当該樹脂成形体は、当該重合体を含有する当該樹脂組成物により得られる。よって、当該樹脂成形体は、屈折率が高い上、簡便かつコスト的に有利に製造できる。当該樹脂成形体としては、例えば樹脂ペレット、光学部品等が挙げられる。
[樹脂ペレット]
樹脂ペレットは、例えば当該樹脂組成物を二軸押出機により脱溶し、溶融混練して押し出したストランドをペレタイザーにて所定寸法に切断することにより得ることができる。
[光学部品]
光学部品としては、例えば波長板、位相差板等の光学フィルム、円錐レンズ、球面レンズ、円筒レンズ等の各種特殊レンズ、レンズアレイなどが挙げられる。
光学部品は、例えば金型成形法、押出成形法、溶剤キャスト法等により製造できる。レンズの製造には、金型成形法が好適である。光学フィルムの製造には、押出成形法及び溶剤キャスト法が好適であり、押出成形法がより好ましい。以下、押出成形法について説明する。
(押出成形法)
押出成形法としては、例えば溶融押出法、半溶融押出法等が挙げられるが、溶融押出法が好ましい。溶融押出法としては、各種形状のダイを用いる方法が挙げられるが、中でも、Tダイを用いる方法、及びコートハンガーダイを用いる方法が好ましい。
このような溶融押出では、熱溶融された当該樹脂組成物をダイから押し出した後、金属ベルト、冷却ロール等に密着させてフィルム化し、この高分子フィルムの冷却後に巻き取ることでロール状の光学フィルムが得られる。
光学フィルムは、ロール状に巻き取る前に、あるいはロール状に巻き取った後に延伸処理を施してもよく、また所定寸法に裁断してもよい。ダイから溶融押出された高分子フィルムは、金属ベルトに密着させるために、金属ベルトと同程度の温度に制御されたエアを吹き付けたり、帯電固定により密着させたりしてもよい。また、延伸処理は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。
上記方法により得られる光学フィルムの厚みの下限としては、10μmが好ましい。一方、光学フィルムの厚みの上限としては、1,000μmが好ましく、500μmがより好ましい。光学フィルムの厚みが上記下限未満であると、フィルム強度を十分に確保できなくなるおそれがある。一方、光学フィルムの厚みが上記上限を超えると、フィルムの透明性を確保できなくなるおそれがある。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
攪拌装置を備えた反応容器に、ジオールモノマーとして1,1’−チオビス(2−ナフトール)(以下、「TBN」ともいう。)11.14g(35.0mmol)及びビスフェノールA7.99g(35.0mmol)を量り入れ、さらに末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール0.25g(1.68mmol)、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウム5.95g(148.76mmol)、及び相間移動触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(以下、「TBBAC」ともいう。)0.15g(0.49mmol)を量り入れた。次いで、反応容器にイオン交換水340mlを加え、上記化合物を溶解させてジオールモノマー水溶液を調製した。これとは別に、ジハライドモノマーとしてテレフタル酸クロライド7.19g(35.42mmol)及びイソフタル酸クロライド7.19g(35.42mmol)を塩化メチレン190mlに溶解させ、ジハライドモノマー有機溶液を調製した。このジハライドモノマー有機溶液を上記ジオールモノマー水溶液に強攪拌下で投入し、室温下、5時間かけて界面重縮合反応を行った。反応終了後、酢酸0.425g(7.08mmol)を投入し、残存するアルカリ金属化合物を中和した。静置して水相と有機相を分離させた後、デカンテーションで水相を抜き取った。残った有機相に対し、等量のイオン交換水で水洗する作業を3回繰り返した。洗浄後の有機相を過剰量のメタノールに強攪拌下で投入し、粉末状ポリエステルを得た。この粉末状ポリエステルをろ別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、実施例1の重合体の粉体を得た。この重合体の収量は23.60gであり、収率は92%であった。
[実施例2]
ジオールモノマーとしてTBN15.92g(50.0mmol)、末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール0.18g(1.20mmol)、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウム4.25g(106.26mmol)、相間移動触媒としてTBBAC0.11g(0.35mmol)、イオン交換水270ml、ジハライドモノマーとしてテレフタル酸クロライド5.14g(25.30mmol)及びイソフタル酸クロライド5.14g(25.30mmol)、並びに塩化メチレン140mlを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の重合体の粉体を得た。この重合体の収量は20.52gであり、収率は91%であった。
[比較例1]
ジオールモノマーとしてビスフェノールA11.41g(50.0mmol)、末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール0.18g(1.20mmol)、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウム4.25g(106.26mmol)、相間移動触媒としてTBBAC0.11g(0.35mmol)、イオン交換水270ml、ジハライドモノマーとしてテレフタル酸クロライド5.14g(25.30mmol)及びイソフタル酸クロライド5.14g(25.30mmol)、並びに塩化メチレン140mlを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の重合体の粉体を得た。この重合体の収量は20.38gであり、収率は92%であった。
[比較例2]
ジオールモノマーとしてビスフェノールA7.99g(35.0mmol)及び4,4’−チオジフェノール7.64g(35.0mmol)、末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール0.25g(1.68mmol)、アルカリ金属化合物として水酸化ナトリウム5.95g(148.76mmol)、相間移動触媒としてTBBAC0.15g(0.49mmol)、イオン交換水340ml、ジハライドモノマーとしてテレフタル酸クロライド7.19g(35.42mmol)及びイソフタル酸クロライド7.19g(35.42mmol)、並びに塩化メチレン190mlを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2の重合体の粉体を得た。この重合体の収量は23.09gであり、収率は92%であった。
<評価>
実施例1、2及び比較例1、2の重合体について、下記方法に従い重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)及びアッベ数(νD)を評価した。これらの結果を表1に示す。
[重量平均分子量(Mw)]
各重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC装置(東ソー社の「HLC−8320型」)を使用し、下記条件で測定した。
カラム:カラム(「TSKgel α―M」)と、ガードカラム(「TSKgel guardcоlumn α」)とを連結
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドン
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/分
試料濃度:0.75質量%
試料注入量:50μl
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[ガラス転移温度(Tg)]
各重合体のガラス転移温度(Tg)は、DSC装置(Rigaku社の「Thermo Plus DSC8230」)を用いて、下記測定条件で得られたサーモグラムから下記算出方法で算出した。
測定条件:窒素雰囲気下、昇温速度を20℃/分として行った。
算出方法:サーモグラムでのDSCの昇温曲線において、ベースラインと変曲点での接線との交点に対応する温度をTgとした。上記変曲点は、DSCの昇温曲線の微分曲線であるDDSC曲線におけるピークに対応する温度とした。また、DSCのベースラインの確認には、適宜DDSC曲線を参照した。
[屈折率(nD)及びアッベ数(νD)]
適量の各重合体を塩化メチレンに溶解させた重合体溶液をガラス板上にキャスト成膜し、常温常圧下にて一晩乾燥させた。次いで真空乾燥機にて残存塩化メチレンを除去し、各重合体のフィルムを得た。これらのフィルムの屈折率を、Metricon社の「プリズムカプラ モデル2010」にて測定した。測定波長は、408nm、633nm及び828nmの3波長とし、Cauchyの式を用いてD線(589nm)での屈折率(nD)を求めた。また、F線(486nm)及びC線(656nm)の屈折率についても同様にして求め、アッベ数(νD)を算出した。
Figure 2016079302
表1から明らかなように、実施例1及び2によれば、200℃以下の低いガラス転移温度(Tg)の重合体が得られた。また、実施例1及び2によれば、比較例1及び2に比べて屈折率(nD)の高い重合体が得られた。
[実施例3]
窒素雰囲気下、4つ口ナスフラスコに、ジオールモノマーとしてTBN1.59g(5mmol)、ジハライドモノマーとして4,6−ジクロロピリミジン0.75g(5mmol)、アルカリ金属化合物として炭酸カリウム1.38g(10mmol)、及び溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド2.8mlを仕込み、140℃にて10時間反応させた。反応終了後、蒸留水及びメタノールを用いて再沈殿させることにより単離精製を行った。その後、析出物であるポリエーテルを回収し、120℃にて減圧乾燥することにより、実施例3の重合体の粉体を得た。この重合体の収量は1.93gであり、収率は90%であった。また、上記実施例1、2及び比較例1、2の重合体と同様の方法で測定したMwは、5,600であった。また、得られた粉体(重合体)の赤外吸収スペクトルを以下に示す方法で測定した結果、1580−1及び1460cm−1に−C=Nの伸縮振動、並びに3050cm−1にナフタレン由来のピークが観測された(図1)。
[重合体の赤外吸収スペクトル]
重合体の赤外吸収スペクトルは、赤外分光分析装置(NEXUS社の「FT−IR モデル470」)を用い、測定波長:680〜4000cm−1、積算回数:64回の条件でATR法により測定した。
[実施例4]
ジオールモノマーとしてTBN3.24g(10.2mmol)及びビスフェノールA2.28g(10.0mmol)、ジハライドモノマーとして2,6−ジフルオロベンゾニトリル2.78g(20.0mmol)、アルカリ金属化合物として炭酸カリウム5.60g(40.5mmol)、並びに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド11.2ml及びトルエン3.5mlを用い、20時間反応させた以外は、実施例3と同様にして実施例4の重合体の粉体を得た。この重合体の収量は5.96gであり、収率は79.9%であった。また、上記実施例1〜3及び比較例1、2の重合体と同様の方法で測定したMwは3,700であった。また、得られた粉体(重合体)の赤外吸収スペクトルを上記に示す方法で測定した結果、1600cm−1にシアノ基の伸縮振動、2980cm−1にメチル基の伸縮振動、及び3050cm−1にナフタレン由来のピークが観測された(図2)。
本発明によれば、屈折率が高く、ガラス転移温度の低い重合体、及び当該重合体を含有する樹脂組成物を提供できる。また、本発明によれば、屈折率が高い上、簡便かつコスト的に有利に製造できる樹脂成形体を提供できる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される構造単位を主鎖中に有する重合体。
    Figure 2016079302
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜12の1価の有機基である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられ、これらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルカンジイル基である。c及びdは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。cが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。dが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。e及びfは、それぞれ独立して、1又は2である。Xは、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、環員数3〜20の2価の複素環基若しくはこれらの基の水素原子の一部若しくは全部を炭素数1〜10の1価のオキシ炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはこれらの組み合わせで置換した基、又は−CO−である。)
  2. ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート又はポリウレタンである請求項1に記載の重合体。
  3. ガラス転移温度が100℃以上300℃以下である請求項1又は請求項2に記載の重合体。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の重合体と有機溶媒とを含有する樹脂組成物。
  5. 請求項4の樹脂組成物により得られる樹脂成形体。
  6. 光学部品である請求項5に記載の樹脂成形体。
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