JP2016077411A - コラーゲンゲルの作製方法及びコラーゲンゲル - Google Patents

コラーゲンゲルの作製方法及びコラーゲンゲル Download PDF

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Abstract

【課題】大きなスケールで立体的に成形された“線維束”を非破壊的に製造することができるコラーゲンゲルの作製方法。
【解決手段】コラーゲンを0.50質量%〜3.0質量%の濃度で含むコラーゲン水溶液に対しせん断速度0.20s-1〜30s-1の範囲のせん断を付与することによってコラーゲン線維を配向させる工程を有するコラーゲンゲルの作製方法であって、その工程が、コラーゲン線維の形成によってせん断応力が1秒あたり1%〜30%の速度で増加している2秒間〜120秒間の工程を含むことにより前記コラーゲン線維を配向させる、コラーゲンゲルの作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コラーゲンゲルの作製方法及びコラーゲンゲルに関する。
従来、コラーゲン線維を配向させる技術として、せん断、液晶化、磁場、又は電場を用いた技術が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1〜4参照)。これらの技術のうち、生体が配向構造を認識するのに十分な配向性が得られ、かつ医療機器として量産するためのスケールアップや効率化が可能な方法はせん断のみである。
せん断を用いた従来のコラーゲン線維配向技術としては、例えば、特許文献2〜3及び非特許文献5〜7に記載の技術が知られている。特許文献2では、コラーゲン濃度が0.2%の高pHコラーゲン溶液をノズルから基板上に押し出し、ノズルの移動方向とは逆の方向に基板を動かす技術が開示されている。特許文献3では、”ナノ織機”を用い、内径わずか数10μmの孔からコラーゲン溶液を押し出し、孔の周囲が温められることで、線維化及び配向化が生じる技術が開示されている。
また、非特許文献5では、コラーゲン濃度が0.08%以下のコラーゲン溶液をマイクロ流路に導入し、その途中で線維化させ、基板上に配向コラーゲン線維を付着させる技術が開示されている。非特許文献6では、コラーゲン濃度が0.6%のコラーゲン溶液をノズルから凝固液へと押し出し、ファイバーを成形する湿式紡糸の技術が開示されており、凝固液には、コラーゲンの線維化を促進するためにポリエチレングリコールを添加することが記載されている。そして、非特許文献7では、コラーゲン濃度が0.3%以下のコラーゲン溶液を、ガラス平板間に設けたマイクロサイズ(100〜750μm)の径を有する流路に導入し、その途中で線維化させ、基板上に配向コラーゲン線維を付着させる技術が開示されている。
国際公開第2009/064437号 特表2012−519537号公報 国際公開第2007/038601号
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しかしながら、特許文献2〜3及び非特許文献5〜7に記載された従来のせん断を用いたコラーゲン線維の配向化技術は、以下(1)〜(3)に列挙する理由により、人工腱のようなインプラントの作製方法としては不十分である。
(1)インプラントを作製するためには、配向コラーゲン線維体をmm〜cmスケールのサイズで立体的に成形された“線維束”とする必要がある。ところが、特許文献3並びに非特許文献5、7及び8に記載されているような、基板等に付着した配向線維を作製する従来の技術では、極めて薄い平面的な配向コラーゲン線維のシートが得られるにすぎない。このため、mm〜cmスケールのサイズで立体的に成形された“線維束”を製造するためには、多数の平面的な配向コラーゲン線維シートを、その配向軸を揃えて積層・複合化しなければインプラントを成形できないという問題がある。
(2)非特許文献6に記載されたような湿式紡糸の技術は、量産性が高いものの、コラーゲン線維の配向度が不十分である。
(3)特許文献3に記載されたような”ナノ織機”の技術も量産性が高いが、得られるコラーゲンゲルは極めて細く力学的に脆弱であるため、それらを複合化して線維束を作製することが困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きなスケールで立体的に成形された“線維束”を非破壊的に製造することができるコラーゲンゲルの作製方法及びそのコラーゲンゲルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の濃度のコラーゲン水溶液にせん断を付与する工程において、コラーゲンの線維化に伴うせん断応力の増加速度が特定の範囲にある時期に、せん断速度を特定の範囲にすることで、大きなスケールで立体的に成形された配向コラーゲン線維束を非破壊的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]コラーゲンを0.50質量%〜3.0質量%の濃度で含むコラーゲン水溶液に対しせん断速度0.20s-1〜30s-1の範囲のせん断を付与することによってコラーゲン線維を配向させる工程を有するコラーゲンゲルの作製方法であって、その工程が、コラーゲン線維の形成によってせん断応力が1秒あたり1%〜30%の速度で増加している2秒間〜120秒間の工程を含むことにより前記コラーゲン線維を配向させる、コラーゲンゲルの作製方法。
[2]前記コラーゲン水溶液を25℃以下の温度から32〜42℃へ加温することによって、前記コラーゲン線維を形成する、上記のコラーゲンゲルの作製方法。
[3]前記コラーゲン水溶液は無機塩を含み、その無機塩のイオン強度が0.40〜1.0である、上記のコラーゲンゲルの作製方法。
[4]前記無機塩がリン酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムとを含有する、上記のコラーゲンゲルの作製方法。
[5]前記コラーゲン水溶液は、架橋剤を含む、上記のコラーゲンゲルの作製方法。
[6]前記コラーゲン水溶液のpHが6.0〜9.0である、上記のコラーゲンゲルの作製方法。
[7]前記コラーゲンが、哺乳類由来のテロペプチド除去型コラーゲンを含有する、上記のコラーゲンゲルの作製方法。
[8]配向したコラーゲン線維を含み、光路長1mmあたりかつコラーゲン濃度1質量%あたりの複屈折位相差が30°〜90°であるコラーゲンゲル。
[9]厚みが0.2mm〜5mmであり、コラーゲン線維が前記コラーゲンゲルの厚み方向の全層に亘って配向している、上記コラーゲンゲル。
[10]コラーゲン濃度が0.50質量%〜3.0質量%である、上記コラーゲンゲル。
本発明によれば、大きなスケールで立体的に成形された“線維束”を非破壊的に製造することができるコラーゲンゲルの作製方法及びそのコラーゲンゲルを提供することができる。
実施例及び比較例で用いた動的粘弾性測定装置のセンサー部及びセンサー間で得られた円盤状ゲルの外観写真、並びに円盤状ゲルから各種試験片を切り出す位置と試験片の形状とを模式的に示す図である。 実施例におけるコラーゲン水溶液の加温プロファイル及びせん断条件を模式的に示す図である。 せん断応力の時間変化曲線から式(1)を用いてせん断応力増加率を算出する方法を、模式的に示す図である。 実施例において、37℃に到達した後のコラーゲン水溶液に回転せん断を付与した時間の経過に伴うコラーゲン水溶液(コラーゲンゲル)のせん断応力変化を示すチャートである。 実施例及び比較例において、コラーゲン水溶液に回転せん断を付与した期間(37℃に到達してからの時間)に対してコラーゲンゲルの複屈折位相差をプロットしたグラフである。 実施例及び比較例において、コラーゲン水溶液に回転せん断を付与した期間(37℃に到達してからの時間)が20秒である場合に、そのせん断速度に対してコラーゲンゲルの複屈折位相差をプロットしたグラフである。 実施例及びランダムコラーゲン線維ゲル(回転せん断を付与しないで作製したゲル)における、ゲル内部の走査型電子顕微鏡像である。 実施例及びランダムコラーゲン線維ゲル(回転せん断を付与しないで作製したゲル)についての、引っ張り試験から得られる代表的な応力−ひずみ曲線を示した図である。 実施例及びランダムコラーゲン線維ゲル(回転せん断を付与しないで作製したゲル)における、引っ張り試験から得られる各種物性値を比較した図である。 コラーゲン/ゲニピン水溶液の温度を23℃から37℃に上昇させたときの水溶液のゲル化を、動的粘弾性測定装置を用いた微小振動試験により追跡した結果を示す図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態のコラーゲンゲルの作製方法は、コラーゲンを0.50質量%〜3.0質量%の濃度で含むコラーゲン水溶液に対しせん断速度0.20s-1〜30s-1の範囲のせん断を付与することによってコラーゲン線維を配向させる工程を有するコラーゲンゲルの作製方法であって、その工程が、コラーゲン線維の形成によってせん断応力が1秒あたり1%〜30%の速度で増加している2秒間〜120秒間の工程を含むものである。本実施形態のコラーゲンゲルの作製方法は、コラーゲン水溶液を準備する工程を有していてもよい。
コラーゲン水溶液は、コラーゲンを0.50質量%〜3.0質量%の濃度で含むものである。コラーゲンは水溶性であるが、室温付近での線維化が進み難いテロペプチド除去型コラーゲンを含むことが好ましく、実質的にテロペプチド除去型コラーゲンからなることがより好ましい。テロペプチド除去型コラーゲンは、コラーゲン分子が両末端に有するテロペプチドを、タンパク質分解酵素により酵素的に分解除去したものであり、例えば、コラーゲン分子が両末端に有するテロペプチドをペプシン消化により分解除去されたものである。また、テロペプチド除去型コラーゲンの中でも、医療機器の原料として承認されている哺乳類由来のテロペプチド除去型コラーゲンが好ましく、既に臨床応用され、熱安定性に優れるブタ皮由来のテロペプチド除去型コラーゲンがより好ましく用いられる。
コラーゲンは、線維形成能を有するコラーゲン(線維形成コラーゲン)であれば特に限定されない。線維形成コラーゲンの中でも、骨、皮膚、腱、および靭帯を構成するコラーゲンであるタイプI、軟骨を構成するコラーゲンであるタイプII、タイプIコラーゲンで構成される生体組織に含まれるタイプIIIなどが、入手のしやすさ、研究実績の豊富さ、あるいは製造したゲルを適用する生体組織との類似性の観点から好ましく用いられる。コラーゲンは常法により生体組織から抽出・精製して得てもよく、市販品を入手してもよい。コラーゲンは各タイプが精製されたものでも、複数のタイプの混合物でもよい。
コラーゲンの変性温度は、32℃以上であると好ましく、35℃以上であるとより好ましく、37℃以上であると更に好ましい。変性温度が32℃以上であることにより、コラーゲン水溶液の室温での流動性をより長く維持することが可能になると共に、生体内でのコラーゲンの変性が起こりにくくなる。コラーゲンの変性温度の上限は特に限定されないが、50℃以下であると好ましく、45℃以下であるとより好ましく、41℃であると更に好ましい。変性温度が上記上限値以下であることにより、温度上昇によるコラーゲンの線維化が速くなり、せん断によるコラーゲン線維の配向がより生じやすくなると共に、コラーゲンの生体吸収性が一層良好に保持される。コラーゲンの変性温度は、常法、すなわちコラーゲン水溶液の温度上昇に伴う円二色性、旋光度、又は粘度の変化によって測定される。コラーゲンの変性温度は、上記数値範囲内の変性温度を有するコラーゲンを選択することにより調整してもよい。
本実施形態のコラーゲン水溶液において、コラーゲンの濃度は、コラーゲン水溶液の全量を基準として、0.50質量%〜3.0質量%であると好ましく、0.75質量%〜2.0質量%であるとより好ましい。コラーゲンの濃度が0.50質量%以上であることにより、コラーゲンゲルの作製工程においてゲルの破壊が抑制され、また、得られるゲルの機械強度を更に高めることができると共に、コラーゲン線維の配向度も高めることができる。一方、コラーゲンの濃度が3.0質量%以下であることにより、コラーゲン水溶液の室温での流動性をより良好にすることができ、せん断の付与がより容易になる。
本実施形態のコラーゲン水溶液は、後述の好適な範囲のイオン強度及びpHを得る観点から、無機塩を含むと好ましい。無機塩としては特に限定されず、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム(リン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素ニナトリウムの総称)、及び、リン酸水素カリウム(リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムの総称)が挙げられる。無機塩は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの無機塩のうち、コラーゲン水溶液のpHを後述の好適な範囲に容易に調整でき、かつ、生体に無害である観点から、コラーゲン水溶液がリン酸水素ナトリウム及び塩化ナトリウム(食塩)を含むことが好ましい。
また、コラーゲン水溶液は、その溶媒として、細胞や生体組織への障害を最小化する、及びコラーゲンの線維化を生じさせるという2つの効果を発揮するため、中性の等張液を含んでもよい。中性の等張液としては、細胞の洗浄操作に用いられ、コラーゲンを活発に線維化させることができるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であってもよい。
コラーゲン水溶液に含まれる無機塩のイオン強度は、0.40〜1.0であると好ましく、0.60〜0.80であるとより好ましい。なお、本実施形態における無機塩のイオン強度は、コラーゲン水溶液が複数の無機塩を含む場合、それら複数の無機塩全体でのイオン強度を指す。コラーゲンの線維化の温度に対する応答性は、イオン強度が高くなると増大するが、無機塩のイオン強度が0.40以上であることにより、その応答性が更に向上する。また、無機塩のイオン強度が1.0以下であることにより、低温での線維化が抑制され、また、室温でのコラーゲン水溶液の安定性が高くなる(すなわち、線維化せずに溶液の状態をより長時間保持することができる。)。なお、本明細書において、無機塩のイオン強度は、コラーゲン水溶液に含まれる全ての無機塩由来のイオン種について、それぞれのイオンのモル濃度と電荷の二乗との積を加算し、さらにそれに1/2を乗じて算出されるものである。
本実施形態のコラーゲン水溶液のpH(23℃におけるpH。本明細書において同様。)は、6.0〜9.0であると好ましく、6.5〜8.0であるとより好ましい。コラーゲンの線維化は中性付近で活発に生じることが知られている。pHが6.0以上であることにより、コラーゲンの線維化をより促進することができる。また、pHが9.0以下であることにより、コラーゲンの線維化をより促進することができる。pHの調整は、常法により可能であり、例えば、コラーゲン水溶液に含まれる無機塩の濃度、好ましくは塩化ナトリウム及びリン酸水素ナトリウムの濃度を制御したり、塩酸や水酸化ナトリウムなどの強酸、及び/又は強アルカリを添加したりして、pHを調整することが可能である。なお、本明細書において、pHはpHメータ(例えば、HORIBA社製、商品名「NAVIh F−71」)により測定される。
コラーゲン水溶液が塩化ナトリウム(食塩)を含む場合のその塩化ナトリウムの濃度は、コラーゲン水溶液のpH及びイオン強度が所望の範囲になる濃度であれば特に限定されない。例えば、塩化ナトリウムの濃度が、コラーゲン水溶液の全量に対して、200mM〜400mMであると好ましく、250mM〜350mMであるとより好ましい。塩化ナトリウムの濃度をこのような範囲にすることにより、コラーゲン水溶液のpHを6.0〜9.0の範囲内にしつつ、無機塩のイオン強度を0.40〜1.0の範囲内にすることがより容易となる。
また、コラーゲン水溶液がリン酸水素ナトリウムを含む場合のそのリン酸水素ナトリウムの濃度も、コラーゲン水溶液のpH及びイオン強度が所望の範囲になる濃度であれば特に限定されない。例えば、リン酸水素ナトリウムの濃度が、コラーゲン水溶液の全量に対して、70mM〜180mMであると好ましく、90mM〜140mMであるとより好ましい。リン酸水素ナトリウムの濃度をこのような範囲にすることにより、コラーゲン水溶液のpHを6.0〜9.0の範囲内にしつつ、無機塩のイオン強度を0.40〜1.0の範囲内にすることがより容易となる。
コラーゲン水溶液からのコラーゲン線維の形成は、数時間以上を要して徐々に進行し、ゲルの強度を高めるため、コラーゲンゲルの回収を急ぐとそのゲルが破壊されやすくなる。そこで、コラーゲンゲルの強度を早期に高め、より短時間でコラーゲンゲルを回収する観点から、コラーゲン水溶液が架橋剤を含むと好ましい。架橋剤は特に限定されず、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、架橋剤そのものの細胞毒性が低いとされている植物由来のゲニピン、あるいは架橋剤がコラーゲン分子間に挿入されないため水洗で除去される1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(以下、「EDC」と表記する。)とその架橋助剤であるN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などが好ましく用いられる。ゲニピンはゲニポシドのアグリコンであり、例えば、ゲニポシドの酸化、還元及び加水分解により得られ、あるいは、ゲニポシドの酵素加水分解によって得られる。ゲニポシドは、アカネ科のクチナシに含まれるイリドイド配糖体であり、クチナシから抽出して得られる。ゲニピンは、C11145の分子式で表され、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。また、ゲニピンは、本発明による目的達成を阻害しない程度に、その架橋効果を確保する範囲で、誘導体化されていてもよい。EDCは水溶性カルボジイミドの一種であり、水溶性カルボジイミドであればその種類を問わず架橋剤として用いることができるが、その中でも、安価かつ安全性が高いEDCが特に好ましく用いられる。水溶性カルボジイミドは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、EDCは単独で用いてもよいし、NHSと混合して用いてもよい。EDCの架橋活性はNHSの混合によって向上することが知られている。
本実施形態のコラーゲン水溶液が架橋剤を含み、その架橋剤がゲニピンである場合、ゲニピンの濃度は、コラーゲン水溶液の全量を基準として、0.5mM〜5.0mMであると好ましく、1.0mM〜4.0mMであるとより好ましく、2.0mM〜3.0mMであると更に好ましい。ゲニピンの濃度が0.5mM以上であることにより、コラーゲンゲルの強度をより早期に高めることができ、コラーゲンゲルを回収する際の破壊が生じにくくなり歩留まりが向上する。一方、ゲニピンの濃度が5.0mM以下であることにより、コラーゲン水溶液の室温での流動性をより良好に維持することが可能になると共に、ゲニピンによる細胞毒性の影響をより抑制することができる。
本実施形態のコラーゲン水溶液が架橋剤を含み、その架橋剤がEDCである場合、EDCの濃度は、コラーゲン水溶液の全量を基準として、1.0mM〜20mMであると好ましく、2.0mM〜10mMであるとより好ましく、3.0mM〜8.0mMであると更に好ましい。EDCの濃度が1.0mM〜20mMの範囲にあることによる効果は、ゲニピンと同様である。EDCにNHSを混合すると、架橋活性が高くなるので好ましい。EDCに対するNHSのモル比(EDC:NHS)は、10:1〜1:1の範囲が好ましい。この範囲にあることにより、EDCの架橋活性が高まるとともに、NHSの残存による細胞毒性の影響をより抑制することができる。
また、本実施形態のコラーゲン水溶液には、従来のコラーゲン水溶液に用いられる各種の溶媒及び添加剤が更に含まれてもよい。そのような溶媒及び添加剤としては、希塩酸、クエン酸、酢酸などの酸、HEPESやトリスなどの緩衝剤が挙げられる。
上記添加剤及び溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、コラーゲン水溶液における上記添加剤及び溶媒の含有割合は、本発明の目的達成を阻害しない範囲であれば特に限定されない。
本実施形態のコラーゲンゲルの作製方法は、コラーゲン水溶液にせん断を与えた際に発生するせん断応力を、コラーゲン線維の形成によって増加させる工程(以下、「線維形成工程」ともいう。)を有する。この線維形成工程の少なくとも一部において、コラーゲン水溶液に対して、せん断速度0.20s-1〜30s-1の範囲のせん断を与える。そして、そのようなせん断速度のせん断を与える間、コラーゲン水溶液のせん断応力を増加させる速度(割合)が1秒あたり1%〜30%の範囲となる工程を、2秒〜120秒間有する。ここで、1秒あたりのせん断応力の増加割合(以下、「せん断応力増加率」という。)は、下記式(1)によって算出される。
せん断応力増加率(%)=(τ1−τ0)/τ0/T×100 (1)
式(1)中、τ0は、せん断応力増加率を算出する期間の始点でのせん断応力を示し、τ1は、せん断応力増加率を算出する期間の終点でのせん断応力を示し、「T」はせん断応力増加率を算出する期間の長さ(単位:秒)を示し、5.0≦T≦120の任意の範囲で算出される。せん断応力の増加は、ある時期のみ瞬間的に高くなってもコラーゲンの配向化に十分でないので、5.0秒以上の期間でせん断応力増加率を算出する。一方、せん断は120秒以下の期間で付与されるため、せん断応力増加率を算出する期間も同じく120秒以下である。
本実施形態に係る線維形成工程において、コラーゲン線維の形成は、例えば、コラーゲン水溶液の加温によって行われる。無機塩を含有したコラーゲン水溶液のpHが6.0〜9.0で、イオン強度が0.40〜1.0である場合、コラーゲン分子は加温によって疎水的かつ静電的相互作用により自己組織化し、線維を形成する。コラーゲン水溶液を加温する場合、その水溶液を25℃以下の温度から32〜42℃へ加温することによって、コラーゲン線維を形成することが好ましい。コラーゲン水溶液を25℃以下の温度から加温することによって、加温を開始する前にコラーゲン線維が形成することを一層抑制することができる。一方、コラーゲン水溶液を32℃以上の温度まで加温することによって、コラーゲン線維の形成速度をより高めることができ、42℃以下の温度まで加温することによって、コラーゲンの熱変性を更に有効かつ確実に防止することができる。なお、加温によってコラーゲン線維を形成させる場合、せん断応力の増加は温度の上昇よりも遅れて始まってもよく、加温の目的温度(例えば32〜42℃)に達した後、その温度に維持している間にせん断応力が増加してもよい。
本実施形態のコラーゲンゲルの作製方法は、せん断応力増加率が1%以上30%以下の範囲にあるコラーゲン水溶液にせん断を付与して、コラーゲン線維を配向させる。せん断応力増加率が1%以上の期間でせん断を付与することにより、コラーゲン線維の一軸方向への配列とコラーゲンゲルの固定化を連続的に生じさせることができ、コラーゲンゲルの破壊を抑えながらコラーゲン線維の配向性をより高めることが可能となる。一方、せん断応力増加率が30%以下の期間でせん断を付与することにより、せん断を付与されるコラーゲン水溶液が局所的に線維化することを抑制でき、また、コラーゲン線維の一軸方向への配列が十分に生じる前にコラーゲンゲルが固定化されてしまうことを防ぐことができる。例えば、せん断下にあるコラーゲン水溶液を加温することでそのせん断応力を増加させる場合であっても、せん断応力増加率が30%以下である期間でせん断を付与することにより、加温する熱源に近い部分と遠い部分との間で線維化の程度に差異が生じ難くなる。
コラーゲン水溶液にせん断を付与する際のせん断速度は、少なくとも一部で0.20s-1〜30s-1であり、好ましくは、0.50s-1〜10s-1である。このせん断速度が0.20s-1以上であることにより、コラーゲン線維の配向を十分に高くすることができる。一方、上記せん断速度が30s-1以下であることにより、ゲル化の過程にあるコラーゲン水溶液に対して効果的にせん断応力を伝えることができ、コラーゲン水溶液の流れが乱れてコラーゲン線維の配向度が低下することを防ぎ、また、ゲルの破壊をより有効かつ確実に防止することが可能となる。
コラーゲン水溶液にせん断を付与することによりせん断応力が1秒あたり1%〜30%の速度で増加している時間は、2秒〜120秒であり、好ましくは5秒〜60秒である。この時間を2秒以上にすることにより、コラーゲン線維の配向を十分に高くすることができる。一方、せん断応力が上記の速度で増加している時間を120秒以内にすることにより、ゲル化が進んだ配向コラーゲン線維の破壊を防止することができる。
コラーゲン水溶液にせん断を付与する際のせん断の方法は、特に限定されず、例えば、回転する平行板の間でせん断を生じさせる方法、一軸方向にずれる平行板の間でせん断を生じさせる方法、及び、シリンダー内で円柱を共軸回転させ、シリンダーと円柱との間隙でせん断を生じさせる方法が挙げられる。これらの中では、コラーゲンゲルを回収しやすく、せん断付与を連続的に行える観点から、回転する平行板の間でせん断を生じさせる方法(回転せん断)が好ましい。
コラーゲン水溶液に各種のせん断を付与する際に用いる装置としては、溶液やゲルにせん断を付与する公知の装置を用いることができる。コラーゲン水溶液の温度をコラーゲンが線維化する温度まで速やかに高め、高い配向度を得るためには、コラーゲン水溶液が接触する部位を加温する熱源を有することが好ましい。そのような装置としては、例えば、ペルチェコントローラを装備した温度制御型のレオメータを用いることができる。
本実施形態のコラーゲンゲルは、上記本実施形態のコラーゲンゲルの作製方法により作製されるものである。このコラーゲンゲルは、配向したコラーゲン線維を含む。より具体的には、本実施形態のコラーゲンゲルは、光路長1mmあたりかつコラーゲン濃度1質量%あたりの複屈折位相差が30°〜90°のものである。かかる複屈折位相差を示すコラーゲンゲルは、コラーゲン線維が十分に配向したものといえ、例えばmm〜cmスケールの線維束として配向したものと認められる。完全に一軸配向したコラーゲン線維の複屈折位相差は、上記のように標準化した値として90°を超えず、その上限値は好ましくは80°、より好ましくは70°、更に好ましくは60°である。コラーゲンゲルの複屈折位相差は、下記実施例に記載の方法により測定される。
上述の本実施形態の作製方法を用いてコラーゲンゲルを作製することにより、得られたコラーゲンゲルの厚みを、その厚み方向の全層に亘ってコラーゲン線維が配向した状態で、0.2mm〜5mmの範囲にすることが可能である。コラーゲンゲルの厚みが0.2mm以上であることにより、動物もしくはヒトに利用可能なインプラントを作製することが可能になり、5mm以下であることにより、ゲル内部のコラーゲン線維配向の均一性を高めることができる。同様の観点から、コラーゲンゲルの厚みは、0.5mm〜3mmであるとより好ましい。なお、コラーゲンゲル線維が、コラーゲンゲルの「厚み方向の全層に亘って配向」していることは、コラーゲンゲルをその厚み方向の任意の位置で厚み方向に垂直に切断して現れる面において、コラーゲンゲル線維が配向していることにより確認することができる。
本実施形態のコラーゲンゲルにおいて、コラーゲンの濃度は、コラーゲンゲルの全量を基準として、0.50質量%〜3.0質量%であると好ましく、0.75質量%〜2.0質量%であるとより好ましい。コラーゲンの濃度が0.50質量%以上であることにより、コラーゲンゲルの機械強度を更に高めることができると共に、コラーゲン線維の配向度も高めることができる。一方、コラーゲンの濃度が3.0質量%以下であることにより、本実施形態のコラーゲンゲルをより均一かつ、より容易に得ることが可能となる。
本実施形態のコラーゲンゲルの用途は特に限定されないが、生体用のインプラント、特に、mm〜cmスケールの線維束として配向したコラーゲン線維を得ることができるので、そのサイズから、人工腱として有用となることが期待される。また、本実施形態によると、そのような配向したコラーゲン線維を非破壊的かつ効率的(例えば20分以内)に形成することができる点でも有用である。なお、本実施形態のコラーゲンゲルを人工腱などの生体用のインプラントとして用いる場合、複数の作製方法で得られた複数のコラーゲンゲルを必要に応じて積層・複合化してもよい。また、複数のコラーゲンゲルを縒り合わせて複合化してもよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜13、比較例1〜8)
〔コラーゲン溶液の準備〕
濃度1.0質量%のブタ皮膚製コラーゲン溶液(テロペプチド除去型コラーゲン、日本ハム株式会社製、コラーゲンの変性温度:40℃)をコラーゲン原液として準備した。エバポレーター(水溶温度:29℃)を用いてコラーゲン溶液を濃縮し、濃度1.2質量%及び2.4質量%のコラーゲン溶液を得た。濃度0.6質量%のコラーゲン溶液は、コラーゲン原液を希塩酸水溶液(pH=3)で希釈して得た。
〔ゲニピン水溶液の準備〕
リン酸水素ナトリウム及び塩化ナトリウムを含む緩衝液を溶媒として、そこに、ゲニピン(和光純薬工業株式会社製)を溶解し、ゲニピン水溶液を調製した。リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、及びゲニピンの濃度は、最終的に得られるコラーゲン水溶液中のそれらの濃度が表1に示す濃度となるように調節した。
〔EDC/NHS水溶液の準備〕
リン酸水素ナトリウム及び塩化ナトリウムを含む緩衝液を溶媒として、そこに、EDC(同仁化学研究所製)及びNHS(和光純薬工業株式会社製)を溶解し、EDC/NHS水溶液を調製した。リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、及びEDC/NHSの濃度は、最終的に得られるコラーゲン水溶液中のそれらの濃度が表1に示す濃度となるように調節した。
〔コラーゲン水溶液の調製〕
上記のようにして準備したコラーゲン溶液を、15mL遠心チューブに6gずつ入れ、庫内温度を4℃に調整した冷蔵庫内に静置した。チューブ内には撹拌を促進するためのマグネティックスターラー(10.8g、内径10mm×39mm)を収容した。次いで、室温のゲニピン水溶液又はEDC/NHS水溶液2mLをマイクロピペットで吸い上げ、コラーゲン溶液の入った遠心チューブに添加して、その遠心チューブを激しく振り混ぜて撹拌した。およそ30秒間で撹拌の後の遠心チューブを遠心分離機の所定位置にセットして、3200rpm、1.5分間の条件で遠心分離を行い、気泡を液上面に集め、架橋剤を含有するコラーゲン水溶液を得た。このコラーゲン水溶液の調製作業は室温にて4分以内に終えた。なお、コラーゲン水溶液のpHを、pHメータ(HORIBA社製、商品名「NAVIh F−71」)により測定した結果、及びコラーゲン水溶液における無機塩のイオン強度を表1に示す。
〔微小振動によるコラーゲンゲルの作製〕
上記のようにして調製したコラーゲン水溶液を、内径60mmのパラレルプレート型センサーを取り付けた動的粘弾性測定装置(Thermofisher Scientific社製、商品名「HAAKE MarsIII」)のボトムプレート上(23℃)に流し、ボトム及びアッパープレートの間(ギャップ=1mm)にコラーゲン水溶液を挟み込んだ(図1の(A)を参照)。次いで、そのコラーゲン水溶液に対し、一定のせん断ひずみ0.005を周波数1Hzで付与することで、微小振動をさせながら温度調節を行い、貯蔵弾性率(G’)の時間変化を追跡した。図2の(A)において、実線は、測定開始後180秒までのG’の時間変化を示し、破線は、測定開始後180秒までのコラーゲン水溶液の加温プロファイルを示す。また、図2の(B)は、測定開始後180秒までに微小振動及び回転せん断を付与した期間を示す。回転せん断のせん断速度は0.10s-1〜50s-1の範囲で変化させた。図2の(A)に示す結果は、図2の(B)の条件Iによるものである。加温プロファイルは、まず、23℃にて60秒経過した後、30秒間に37℃まで昇温し、その後、37℃に一定に保持した。温度が37℃に到達した直後からG’が急激に増加し、60秒以内に1000Paを超えた。図2の(B)に示すように180秒の微小振動を継続した後、さらに37℃の微小振動を14分間継続し、プレート間に作製された円盤状コラーゲンゲルを回収した。得られたコラーゲンゲルは、本発明の作製方法に基づく回転せん断を付与しないで作製したサンプルとして分析に供した。このようなコラーゲンゲルを「ランダムコラーゲン線維ゲル」と呼ぶ。
〔回転せん断によるコラーゲンゲルの作製〕
上記の微小振動によるコラーゲンゲルの作製と同様にして、コラーゲン水溶液をボトム及びアッパープレートの間(ギャップ=1mm)に挟み込み、図2の(A)に示す温度プロファイルを用いて、図2の(B)に示す条件II、III、IV、V及びVIにて回転せん断を加えた。回転せん断を終了した後、微小振動に移行した。回転せん断を行っても、微小振動の場合と同様に、プレート間に円盤状コラーゲンゲルが非破壊的に作製された(図1の(B)を参照)。加温及び回転せん断の条件を表2に示す。
このように、図2の(B)に示した回転せん断条件をII、III、IV、V及びVIと変更し、回転せん断を付与する期間を変えた。2.5mMのゲニピン及びイオン強度0.65の無機塩を含む1.8質量%コラーゲン水溶液に対し、条件III、IV、V及びVIのせん断を与えて得られる典型的なせん断応力変化を図4に示す。条件II、すなわち23℃から37℃までの昇温が完了するまで回転せん断を与えた場合、せん断応力の有意な上昇は見られず、粘度がわずかに低下する場合もあった(表2を参照。)。条件IIIの場合、37℃到達後わずか10秒の間にせん断応力の上昇が観察された。回転せん断を与える期間を更に長くするとせん断応力の上昇速度は急激に高まり、条件IVからVの間にせん断応力増加率は極大値をむかえた。ところが、更に回転せん断を与える期間を長くした条件VIの場合、条件Vの場合と比較して、せん断応力増加率の低下が観察された。
ここで、応力の時間変化曲線から式(1)を用いてせん断応力増加率を算出する際に用いる、T、τ0及びτ1を、図3に示す。また、各例におけるせん断応力増加率を算出する期間(算出期間T、5.0≦T≦120)を表2に示す。条件IIの場合は、23℃から37℃まで30秒かけて昇温した期間を算出期間Tとした。条件III、IV、V及びVIの場合は、37℃に到達してからの、せん断応力の上昇が特に著しい任意の期間を算出期間Tとした。せん断速度増加率を算出する期間の始点、始点及び終点におけるせん断応力τ0及びτ1、並びにせん断速度増加率の結果も表2に示す。
得られたコラーゲンゲル中のコラーゲン線維の配向度を比較するため、ゲルの複屈折位相差を測定した。波長633nmのヘリウム−ネオンレーザー光を偏光素子によって変調させて既知の偏光状態の光を作製し、それをコラーゲンゲル試料の厚み方向に入射し、偏光素子を介して得られた透過光強度を解析する偏光変調法によりコラーゲンゲルの複屈折位相差求めた(これを「複屈折位相差(A)」とする。)。コラーゲン濃度が高くなるほど、光路長が大きくなるほど複屈折位相差(A)は大きくなるので、複屈折位相差(A)をコラーゲン濃度及び試料の厚みで除して標準化した値を「複屈折位相差(B)」とした。それぞれの値を表3に示す。
コラーゲン線維が配向したゲルの力学特性を評価するため、実施例2のコラーゲンゲルの引っ張り試験を行った。対照には、ランダムコラーゲン線維ゲルを用いた。以下にサンプル作製法及び試験法を述べる。まず、動的粘弾性測定装置のプレート間に作製された円盤状コラーゲンゲルの辺縁部から、図1の(C)に示したようにダンベル状の試験片(平行部位が4mm×10mm、全長16mm)を切り出した。せん断の向きは円盤状ゲルにおいて同心円状になるため、位置xとyから切り出した試験片は、その長軸方向に対してコラーゲン線維の配向方向がそれぞれほぼ平行及び垂直となる。得られた試験片を10mm×10mmのろ紙の枠(枠の幅4mm)に載置し、試験片の両端部とろ紙を瞬間接着剤(商品名「アロンアルファ」、東亞合成株式会社製)で接着した。そのままプラスチック容器に収容して4℃で1時間静置し、ゲルの乾燥が起こらないような湿潤環境のもと接着を完了させた。その後、試験片の両端部をろ紙ごと強度試験機(製品名「TA.XTplus」、Stable Micro Systems製)のチャックにチャック間距離14mmで固定し、試験片の長軸に平行な(引っ張り方向の)ろ紙の枠をハサミで切断した。引っ張り試験は変形速度0.2mm/秒で行い、得られた応力−ひずみ曲線からヤング率(ひずみ0.01〜0.04の直線領域の傾き)、破断応力、及び破断ひずみを算出した。全ての物性値は、試験片の断面積が一定(4mm2)として算出した。
架橋によるゲルの力学特性の向上を評価するため、実施例2のコラーゲンゲルにEDC/NHS架橋を追加した試験片についても同様の引っ張り試験を実施した。動的粘弾性測定装置のプレート間に作製された円盤状コラーゲンゲルを、PBSを溶媒としたEDC/NHS水溶液(50mM/10mM)に室温で3時間浸漬し、架橋を追加した。ゲルをPBSで十分に洗浄し、未反応の架橋剤を洗浄・除去した後、上記と同様に試験片を作製して引っ張り試験を実施した。
各試験片のコラーゲンゲル作製条件、切り出し部位及び架橋の内容を表4に示す。各物性値は平均値±標準偏差(試験数=6)で表記した。群間の有意差を多重比較法の1つであるTukey法で決定し、p値が0.05未満の場合を有意差とした。
コラーゲン線維が配向したゲルのナノ構造を観察するため、実施例2のコラーゲンゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行った。対照として、ランダムコラーゲン線維ゲルを用いた。以下にサンプル作製法及び試験法を述べる。まず、動的粘弾性測定装置のプレート間に作製された円盤状コラーゲンゲルの辺縁部から、図1の(C)のように矩形状のサンプル(7mm×12mm)を切り出した。グルタルアルデヒド水溶液で固定化した後、20%、50%、70%、80%、90%、および99.5%エタノール水溶液に逐次浸漬し、脱水した。更に99.5%エタノール水溶液への浸漬を3回繰り返した後、t−ブチルアルコールに3回浸漬した。これをt−ブチルアルコール凍結乾燥用の真空乾燥機(型番「VFD−21S」;真空デバイス社製)で乾燥した。乾燥サンプルの一部をピンセットで剥離し、サンプル内部を露出させ、金蒸着してSEM観察用試料とした。この試料に対し、Miniscope TM3000(商品名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、加速電圧15kVでSEM観察を行った。
※条件IIでは、37℃に到達した時点で回転せん断を停止したので、23℃から37℃に昇温した30秒間を算出期間とした。
なお、ランダムコラーゲン線維ゲルの複屈折位相差(A)は2.0°±0.8°であった。
※ゲニピンを含むコラーゲン水溶液から動的粘弾性装置を用いて作製したコラーゲンゲルには、ゲニピンによる架橋が導入されている。
実施例1〜13では、コラーゲンを0.50質量%〜3.0質量%の濃度で含むコラーゲン水溶液に対し、コラーゲン線維の形成によってせん断応力が1秒あたり1%〜30%の速度で増加している2秒〜120秒の間に、せん断速度0.20s-1〜30s-1の範囲のせん断を付与した。その結果、高い配向度(複屈折位相差(B))のコラーゲン線維を有するコラーゲンゲルを非破壊的に得ることができた。一方、比較例1〜4では、せん断応力の増加が起こらないか、あるいは増加が小さいときにせん断を停止したため、コラーゲン線維の配向度は十分でなく、複屈折位相差(B)が30°を超えなかった。さらに、比較例5では、せん断速度が0.20s-1未満であったため、コラーゲン線維の配向度が高くならず、複屈折位相差(B)が30°を超えなかった。また、比較例6では、せん断速度が30s-1を超えた結果、コラーゲン水溶液のせん断応力増加率が1%未満となり、コラーゲン線維の配向度が高くならず、複屈折位相差(B)が30°を超えなかった。そして、比較例7及び8では、コラーゲン濃度が0.50質量%未満であったため、コラーゲン線維の配向度が高くならず、複屈折位相差(B)が30°を超えなかった。
得られた結果のうち、実施例(実)2、6、8及び9について、37℃に到達した後の回転せん断を付与した時間の経過に伴うコラーゲン水溶液(コラーゲンゲル)のせん断応力変化を図4に示す。また、実施例(実)2、6、8及び9並びに比較例(比)1の結果に基づいて、37℃に到達してからの回転せん断付与時間に対して複屈折位相差(A)をプロットした図を図5に示す。これらの結果から明らかなように、コラーゲン線維の配向度は、せん断応力増加時に回転せん断を付与することによって高くなっていた。23℃から37℃への温度上昇時にはせん断応力の増加はほとんど生じず、37℃に到達した時点で回転せん断を停止すると、せん断応力増加率が低いためにコラーゲン線維の配向度はあまり高くならなかった(表2の比較例1〜4も参照。)。また、せん断応力が低下し始めてからの回転せん断の付与は、コラーゲン線維の配向度に影響を与えないことが分かった。
さらに、実施例(実)1〜5及び比較例(比)5、6について、せん断速度に対して、複屈折位相差(A)をプロットした図(片対数グラフ)を図6に示す。この図から、せん断速度が0.20s-1〜30s-1であると、コラーゲン線維の配向度が特に高くなることが分かった。
実施例2により得られたコラーゲンゲルのSEM像を図7の(A)に示す。また、回転せん断を与えないで作製したランダムコラーゲン線維ゲルのSEM像を図7の(B)に示す。そのランダムコラーゲン線維ゲルにはコラーゲンナノ線維の無定形の絡み合いが観察されたのに対し、実施例2により得られたコラーゲンゲルでは、回転せん断の方向(図7の(A)において矢印で示す方向)と平行にコラーゲンナノ線維が配向している様子が観察された。
実施例2のコラーゲンゲル、その実施例2のコラーゲンゲルに追加の架橋を施したコラーゲンゲル、及びランダムコラーゲン線維ゲルの引っ張り試験から得られた代表的な応力−ひずみ曲線を図8に示す。また、各試験片のコラーゲンゲル作製条件、切り出し部位及び架橋の内容を表4に示す。実施例2のコラーゲンゲル、及びその実施例2のコラーゲンゲルに追加の架橋を施したコラーゲンゲルは、回転せん断の方向(すなわちコラーゲン線維の配向方向)に平行な引っ張りに対し、垂直な引っ張りよりも高い応力を示した。すなわち、コラーゲン線維の配向により力学的な異方性が生じ、その異方性により、ランダムコラーゲン線維ゲルよりも高い力学特性が得られたことが分かった。また、ゲニピンによってのみ架橋されたコラーゲンゲルにEDC/NHSで追加の架橋を施すと、どちらの切り出し部位の試験片においても応力が高くなると共に、破断に至るまでのひずみが低下した。このことから、本発明のコラーゲンゲルは公知の架橋剤により力学特性を調節できることが分かった。
応力−ひずみ曲線から算出されたヤング率、破断ひずみ及び破断応力の各物性値を図9に示す。Rot−Gxのヤング率及び破断応力は、Osc−G及びRot−Gyよりも高かった。同様の結果が、Rot−ENx、Rot−ENy、及びOsc−ENの比較から得られた。このことから、図8に基づいた上記の力学的な異方性は、統計的にも有意であることが分かった。また、破断ひずみについては、図8に基づいた力学的な異方性とは異なる傾向が見られた(Rot−Gy>Rot−Gx=Osc−G)。このことから、コラーゲン線維の配向は、配向方向と垂直な方向への引っ張り変形に高い柔軟性を示すことがわかった。ただし、この柔軟性の優位性はEDC/NHS架橋によって失われた。すなわち、配向したコラーゲン線維からなるコラーゲンゲルの弾性率や強度を高めるのにEDC/NHS架橋は有効であるが、ゲルの柔軟性を低下させることが分かった。
〔ゲニピン濃度がコラーゲンゲルの硬化に及ぼす影響〕
ゲニピンの濃度を2.5mMから0mM、1.25mM、3.75mM又は5.0mMに変更した以外は実施例1と同様にして、ゲニピンを含むコラーゲン水溶液を得た。得られたコラーゲン水溶液について、動的粘弾性測定装置(商品名「HAAKE MARS III」、Thermofisher Scientific社製)を用いて、条件Iでの貯蔵弾性率G’の変化を追跡した。得られたゲル化曲線を図10に示す。図10中、「1」の曲線は0mM、「2」の曲線は1.25mM、「3」の曲線は2.5mM、「4」の曲線は3.75mM、「5」の曲線は5.0mMのゲニピン濃度のコラーゲン水溶液によるゲル化曲線である。本発明に係るコラーゲン水溶液にゲニピンを添加すると、貯蔵弾性率G’の増加速度が速くなり、短時間に高強度のコラーゲンゲルを得ることが可能であると分かった。かかる高強度のコラーゲンゲルは、そのゲルを回収する際の破壊を抑制することができるので、製造効率向上の点から好ましい。
本発明によれば、mm〜cmスケールの立体的な線維束として配向したコラーゲン線維を非破壊的に製造することができるので、人工腱などの生体用のインプラント材料として特に産業上の利用可能性がある。

Claims (10)

  1. コラーゲンを0.50質量%〜3.0質量%の濃度で含むコラーゲン水溶液に対しせん断速度0.20s-1〜30s-1の範囲のせん断を付与することによってコラーゲン線維を配向させる工程を有するコラーゲンゲルの作製方法であって、
    その工程が、コラーゲン線維の形成によってせん断応力が1秒あたり1%〜30%の速度で増加している2秒間〜120秒間の工程を含むことにより前記コラーゲン線維を配向させる、コラーゲンゲルの作製方法。
  2. 前記コラーゲン水溶液を25℃以下の温度から32〜42℃へ加温することによって、前記コラーゲン線維を形成する、請求項1記載のコラーゲンゲルの作製方法。
  3. 前記コラーゲン水溶液は無機塩を含み、その無機塩のイオン強度が0.40〜1.0である、請求項1又は2に記載のコラーゲンゲルの作製方法。
  4. 前記無機塩がリン酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムとを含有する、請求項3記載のコラーゲンゲルの作製方法。
  5. 前記コラーゲン水溶液は、架橋剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコラーゲンゲルの作製方法。
  6. 前記コラーゲン水溶液のpHが6.0〜9.0である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコラーゲンゲルの作製方法。
  7. 前記コラーゲンが、哺乳類由来のテロペプチド除去型コラーゲンを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコラーゲンゲルの作製方法。
  8. 配向したコラーゲン線維を含み、光路長1mmあたりかつコラーゲン濃度1質量%あたりの複屈折位相差が30°〜90°である、コラーゲンゲル。
  9. 厚みが0.2mm〜5mmであり、コラーゲン線維が前記コラーゲンゲルの厚み方向の全層に亘って配向している、請求項8記載のコラーゲンゲル。
  10. コラーゲン濃度が0.50質量%〜3.0質量%である、請求項8又は9に記載のコラーゲンゲル。
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