JP2017056565A - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィブロイン多孔質体の柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、引裂き強さ等の機械的強度及び複合体を構成する部材間の接着力に優れるフィブロイン多孔質体を含む複合体及びその製造方法を提供する。【解決手段】フィブロイン多孔質体と、熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布と、を備え、該多孔質体と該不織布とが、該熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂により接合されてなる複合体である。【選択図】図1

Description

本発明は、フィブロイン多孔質体と熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布とを備える複合体及びその製造方法に関する。
タンパク質、糖類等の生物由来物質を利用して作製可能である多孔質体は、エステティックサロン又は個人での使用による保湿等を目的とした化粧品及びエステ分野等で利用され、また、創傷被覆材、薬剤徐放担体等の医療分野、紙おむつ、生理用品等の生活日用品分野、組織工学、再生医療工学等における細胞培養支持体(足場材料)及び組織再生支持体、微生物、細菌等の住処になる支持体として活用し得る浄水分野など、産業上幅広い分野での応用も期待されている。
これらの多孔質体を構成する生体由来物質としては、セルロース、キチン等の糖類、コラーゲン、ケラチン、シルクフィブロイン等のタンパク質群などが知られている。
これらの生体由来物質のうち、タンパク質としては、コラーゲンが最も利用されてきたが、BSE問題が発生してから牛由来のコラーゲンを利用することが非常に難しくなってきた。また、ケラチンは、羊毛、羽毛等から得ることができるが、原料の安定供給及び価格に問題があり、工業的に利用することは難しい。一方、シルクフィブロインは、原料入手の観点からは、安定に供給されることが期待でき、さらに価格も安定しているので、工業的に利用することが容易である。
また、シルクフィブロインは、衣類用途以外に、手術用縫合糸として長く使用されてきた実績があり、現在では食品及び化粧品の添加物としても利用され、人体に対する安全性にも問題が無いことから、上記のような多孔質体の利用分野に十分適用可能である。
シルクフィブロイン多孔質体を作製する手法に関しては、いくつか報告がある。例えば、シルクフィブロイン水溶液を急速冷凍した後、結晶化溶媒に浸漬し、融解と結晶化を同時進行させることによってフィブロインの多孔質体を製造する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法は結晶化溶媒である有機溶媒を大量に使用する必要があり、さらに溶媒の残留の可能性も否定できず、医療分野等の上記した応用分野での使用には問題がある。
また、シルクフィブロイン水溶液のpHを6以下に保持してゲル化させるか又はその水溶液に貧溶媒を大量に添加してゲル化させ、得られたゲルを凍結乾燥するシルクフィブロイン多孔質体の製造方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、溶媒を使用するため特許文献1と同様の問題があり、さらにこの方法で得られた多孔質体は、十分な強度を有していない。
さらに、シルクフィブロイン水溶液を冷凍した後に長時間凍結状態を維持することでシルクフィブロイン多孔質体を製造する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、本発明者らが特許文献3に記載の方法を追試したところ、多孔質体が得られず、再現性に問題があると考えられる。
一方、上記したシルクフィブロイン多孔質体の製造方法と比較して、確実で簡便に強度の高いシルクフィブロイン多孔質体を得る方法が報告されている(特許文献4及び非特許文献1)。特許文献4及び非特許文献1には、シルクフィブロイン水溶液に対して少量の水溶性有機溶媒を添加した後に、一定時間凍結させて、その後融解することによって、高含水率であり、かつ力学的強度に優れたハイドロゲルが製造できることが開示されている。
また、特許文献5にはシルクフィブロイン水溶液に対して少量の脂肪族カルボン酸を添加した後に、一定時間凍結させて、その後融解する、特許文献4及び非特許文献1に記載の手法よりも、さらに高強度なシルクフィブロイン多孔質体を得るための製造方法が提案されている。
特開平8−41097号公報 特公平6−94518号公報 特開2006−249115号公報 特許第3412014号公報 国際公開第2010/116994号
Biomacromolecules,6,3100−3106(2005)
厚さが薄い状態でのハンドリング性が要求されるフェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材、指、膝等の人体の稼動部への貼付が予想される創傷被覆材、細胞培養時のハンドリング及び埋植後の強度が要求される再生医療向け足場材料等の用途においては、特許文献5に記載の製造方法で作製した多孔質体でも強度が不足している。
多孔質体の強度を向上させる手法として、シルクフィブロイン多孔質体自体の強度を向上させる手法もあるが、この手法によると、シルクフィブロインの構造及び質感の変化を伴うことがほとんどであり、また、本発明者らの検討によると、この方法によっても強度については劇的な向上が望めない等の課題があることが分かった。
そこで本発明では、フィブロイン多孔質体の柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、引裂き強さ等の機械的強度及び複合体を構成する部材間の接着力に優れるフィブロイン多孔質体を含む複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]フィブロイン多孔質体と、熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布と、を備え、該多孔質体と該不織布とが、該熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂により接合されてなる複合体。
[2]前記熱可塑性樹脂がポリウレタンである、上記[1]に記載の複合体。
[3]前記熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布の目付けが10〜100g/mである、上記[1]又は[2]に記載の複合体。
[4]前記熱可塑性樹脂繊維の繊維径が1〜50μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合体。
[5]前記フィブロイン多孔質体が、グリセリンを含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合体。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合体の製造方法であって、溶融紡糸法により繊維化した熱可塑性樹脂繊維をフィブロイン多孔質体上に集積し、該フィブロイン多孔質体上に該熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布を形成する、複合体の製造方法。
[7]前記溶融紡糸法が、メルトブロー法である、上記[6]に記載の複合体の製造方法。
本発明によれば、フィブロイン多孔質体の柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、引裂き強さ等の機械的強度及び複合体を構成する部材間の接着力に優れるフィブロイン多孔質体を含む複合体及びその製造方法を提供することができる。
本発明の複合体の断面構造を示す模式図である。 実施例1で使用したシルクフィブロイン多孔質体の赤外分光スペクトルである。 メルトブロー装置による複合体の製造方法を表す模式図である。 実施例1で製造された複合体の断面構造の走査型電子顕微鏡写真である。
[複合体]
本発明の複合体は、フィブロイン多孔質体と熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布とを備え、該多孔質体と該不織布とが、該熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂により接合されてなる複合体である。
なお、本明細書において、フィブロイン多孔質体を単に「多孔質体」と称する場合がある。また、熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布を「熱可塑性樹脂不織布」と称する場合がある。
図1は本発明の複合体の構造の一例を示す模式図であり、熱可塑性樹脂不織布11とフィブロイン多孔質体12とが接合されてなる複合体10が示されている。
複合体10は、熱可塑性樹脂不織布11を構成する熱可塑性樹脂繊維の一部が溶融して、フィブロイン多孔質体12と接合されている。
すなわち、本発明の複合体は、別個の接着剤を用いることなく、多孔質層と熱可塑性樹脂不織布とが、複合体を構成する層の一つである熱可塑性樹脂不織布を構成する熱可塑性樹脂により接合されてなるため、異素材の使用を低減でき、フィブロイン多孔質体の優れた柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、良好な接合力を得ることを可能としている。
さらに、本発明の複合体は、フィブロイン多孔質体の補強層として、熱可塑性樹脂不織布を適用することにより、公知のフィルム材等を補強層として用いる複合体より、優れた柔軟性を確保しつつ、さらには、通気性、通水性等の性能が求められる用途においても好適に使用することができる。
<フィブロイン多孔質体>
フィブロイン多孔質体は、フィブロインにより構成される多孔質体であれば特に制限はない。
フィブロイン多孔質体は、公知のいかなる手法で製造されたものでもよいが、機械的強度、質感、製造時の再現性等を考慮すると、フィブロイン水溶液に対して少量の水溶性有機溶媒及び脂肪族カルボン酸から選ばれる1種以上を添加した後に、一定時間凍結させて、その後融解する手法で作製することが好ましい。
なお、本明細書において、前記水溶性有機溶媒及び脂肪族カルボン酸から選ばれる1種以上を「添加剤」と称する場合がある。
フィブロイン多孔質体に用いられるフィブロインとしては、例えば、家蚕、野蚕、天蚕等の天然蚕、トランスジェニック蚕等から産生されるシルクフィブロインなどが挙げられ、その製造方法は特に限定されない。これらの中でも、特に製造工程の簡便性の点から、家蚕の繭から産生されたものが好ましい。
以下、フィブロインとして好ましいシルクフィブロインを例にとって説明する。
シルクフィブロインを水に溶解させる手法については特に制限はなく、例えば、シルクフィブロインは水への溶解性が低いため、高濃度の臭化リチウム水溶液にシルクフィブロインを溶解後、透析による脱塩を行って得る方法が好適に挙げられる。また、シルクフィブロイン水溶液中のシルクフィブロインの濃度調整の方法としては、風乾による濃縮を経る手法が簡便で好ましい。
シルクフィブロイン水溶液中におけるシルクフィブロインの濃度は、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液中で0.5〜40wt/vol%であることが好ましく、1〜20wt/vol%であることがより好ましく、1〜10wt/vol%であることがさらに好ましい。シルクフィブロインの濃度が上記範囲内であると、質感に優れた多孔質体が得られる傾向にある。
添加剤として配合する水溶性有機溶媒に特に制限は無いが、人体への安全性に優れるものを使用することが好ましい。具体的にはエタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
添加剤として配合する脂肪族カルボン酸類としては、少なくとも分子中に一つのカルボキシ基を有する有機酸であれば特に制限はなく、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。
また、脂肪族カルボン酸類としては、炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸が好ましく、炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸がより好ましい。これらの脂肪族カルボン酸類は飽和脂肪族カルボン酸であってもよく、不飽和脂肪族カルボン酸であってもよい。
このような脂肪族カルボン酸類の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、アクリル酸、2−ブテン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸などが好ましく挙げられ、人体への安全性を考慮すると、酢酸、乳酸、コハク酸がより好ましい。これらの添加剤は単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
シルクフィブロイン水溶液中における前記添加剤の含有量は、0.01〜18体積%であることが好ましく、0.1〜5体積%であることがより好ましく、0.5〜3体積%であることがさらに好ましい。添加剤の含有量が上記範囲内であると、溶液がゲル化せず、また十分な強度を有するシルクフィブロイン多孔質体を製造できる傾向にある。
シルクフィブロイン水溶液の凍結は、シルクフィブロイン水溶液に添加剤を加えた溶液を型又は容器に流し込み、該容器を液冷式の低温恒温槽中に入れることで行うことが好ましい。
凍結温度としては、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液が凍結する温度であれば特に制限されないが、−1〜−40℃程度が好ましく、−5〜−40℃程度がより好ましく、−10〜−30℃がさらに好ましい。凍結時間としては、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液が十分に凍結し、かつ凍結状態を一定時間保持できるよう、2時間以上であることが好ましく、4時間以上であることがさらに好ましい。また、凍結する工程で−10〜−30℃の温度で30分〜100時間保持することが多孔質体を再現良く形成するために好ましい。
ここで、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を一気に凍結温度まで下げて凍結してもよいが、凍結の前に過冷却状態を経ることが、均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体を得る上で好ましい。例えば、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を一旦、−2〜−10℃程度で1〜5時間程度保持して、その後、前記凍結温度まで下げて凍結することで、均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。
上記の手法でシルクフィブロイン水溶液を凍結させた後、凍結したシルクフィブロイン水溶液を融解することによってシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。融解の方法としては、特に制限はなく、自然融解、恒温槽での保管等が挙げられる。
上記のようにして得られたシルクフィブロイン多孔質体には添加剤が残存する。残存する添加剤は用途に応じてそのままの状態としてもよいし、除去してもよい。添加剤をシルクフィブロイン多孔質体から除去する方法としては、例えば、シルクフィブロイン多孔質体を、純水中に浸漬して除去することが簡便な方法として挙げられる。
このようにして得られたシルクフィブロイン多孔質体は吸水した状態である。本発明の製造方法において乾燥したシルクフィブロイン多孔質体の使用が求められる場合には、上記吸水状態のシルクフィブロイン多孔質体を乾燥すればよい。
シルクフィブロイン多孔質体の乾燥の手法としては特に制限はないが、収縮を抑える点から、凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥の場合、水分を完全に昇華させずに乾燥を終えると、残った氷が融解して水になり、その表面張力の影響で空孔が潰れてしまうため、水分が完全に昇華するまで乾燥することが好ましい。
上記のようにして乾燥したシルクフィブロイン多孔質体(以下、「乾燥シルクフィブロイン多孔質体」ともいう)は、水分が実質的に含まれないものである。シルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン水溶液を凍結し、融解して得られるので、通常、細孔部に水分等が存在した状態となっている。通常のシルクフィブロイン多孔質体と乾燥シルクフィブロイン多孔質体とは、細孔部に水等が存在する量の点で状態は異なるものとなる。
また、凍結乾燥の際、予めシルクフィブロイン多孔質体をグリセリン水溶液に浸漬する、又はシルクフィブロイン水溶液に混合する添加剤としてグリセリンを使用することが、乾燥時のひび割れを防止すると共に、乾燥後にも柔軟な複合体が得られるため好ましい。
この場合、シルクフィブロイン多孔質体を浸漬するグリセリン水溶液におけるグリセリンの配合量は、シルクフィブロイン多孔質体の形成時に使用した添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液中でのシルクフィブロインの質量を1とした場合、0.25〜2.5であることが好ましく、0.38〜1.9であることがより好ましく、0.38〜1.2であることがさらに好ましい。グリセリンの配合量をこの範囲に設定することで質感が良く、ひび割れの無い多孔質体が得られる。このようにして得られる乾燥シルクフィブロイン多孔質体は乾燥後にもグリセリンを含有することを特徴とする。
乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量は20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。多孔質体中のグリセリンの含有量をこの範囲とすることで乾燥シルクフィブロイン多孔質体に適度な柔軟性を付与することができる。
乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量(質量%)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
シルクフィブロイン多孔質体は、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を流し込む容器を適宜選択することにより、シート状、ブロック状、管状等、目的に応じた形状とすることができるが、熱可塑性樹脂不織布との複合化が簡便に行えることから平らな面を有する形状のものが好ましい。
また、原料として用いるシルクフィブロイン及び添加剤の種類、添加剤の添加量等を調節することで、シルクフィブロイン多孔質体の内部構造と固さを調整することができる。
このようにして、種々の固さを有するゲル状、シート状、ブロック状等のシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。
本発明で用いられるシルクフィブロイン多孔質体の平均細孔径は、1〜500μmであることが好ましく、5〜300μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。平均細孔径が上記範囲内であると、肌触りが良好となる傾向がある。また再生医療向けの細胞培養支持体(足場材料)としての用途を考慮した場合、細胞が細孔内に入りやすい傾向がある。シルクフィブロイン多孔質体の平均細孔径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明で用いられるシルクフィブロイン多孔質体の空孔率は、80〜99%であることが好ましく、90〜99%であることがより好ましく、94〜98%であることがさらに好ましい。空孔率が上記範囲内であると、肌触りが良好となる傾向があり、また多孔質層の強度に優れハンドリングが容易となる。シルクフィブロイン多孔質体の空孔率は、実施例に記載の方法で測定することができる。
以上、フィブロインの中でも好ましいシルクフィブロインを例にとって説明してきたが、他のフィブロインを用いても同様の方法によってフィブロイン多孔質体が得られ、該多孔質体は本発明において使用することができるものである。
本発明の複合体のフィブロイン多孔質体の大きさ、厚さに特に制限はなく、用途に応じて適切な大きさ、厚さのものを使用すればよい。例えば、フェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材の場合、厚さが0.2〜1mm程度のものを使用することが好ましい。
<熱可塑性樹脂不織布>
本発明で用いられる熱可塑性樹脂不織布は、熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布であれば、特に制限なく用いることができる。
熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂不織布とフィブロイン多孔質体とを接合し得るものであれば特に制限はないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール(ブチラール樹脂);ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、用途のことを考慮すると水溶性を有しないものが好ましく、また形態安定性をも考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂等が好ましく、また生体親和性を考慮するとポリ乳酸も好ましい。
熱可塑性樹脂不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の繊維径は、特に制限はないが、補強層の質感が重要視される用途等においては、平均繊維径が1〜50μmの不織布であることが好ましく、1〜30μmの不織布であることがより好ましく、1〜20μmの不織布であることがさらに好ましい。この範囲の平均繊維径を有する熱可塑性樹脂不織布は質感に優れる傾向にある。
熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、電子顕微鏡(300倍)を用いて、熱可塑性樹脂不織布の任意の箇所に存在する熱可塑性樹脂繊維30本の繊維の幅(直径)を測定し、得られた各測定結果の値を平均することで測定することができる。
上記の平均繊維径を有する熱可塑性樹脂繊維は、例えば、メルトブロー法で不織布を形成することで簡便に得ることができる。
熱可塑性樹脂不織布の大きさ、厚さに特に制限はなく、用途に応じて適切な大きさ、厚さのものを使用すればよいが、得られる複合体の強度、質量、屈曲性等を考慮して、適切な厚さのものを使用することが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂不織布の厚さは、1〜1000μmが好ましく、10〜700μmがより好ましく、50〜500μmがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂不織布の目付けは、同様の観点から、10〜100g/mであることが好ましく、20〜70g/mであることがより好ましく、20〜50g/mであることがさらに好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂不織布は少なくともフィブロイン多孔質体の片面に接合して設けられていればよく、フィブロイン多孔質体の両面に接合して設けられていてもよい。フィブロイン多孔質体の両面に熱可塑性樹脂不織布が設けられる場合、熱可塑性樹脂不織布を形成する熱可塑性樹脂繊維の種類及び形状は同一であってもよいし、異なっていてもよく、複合体の用途に応じて適宜選択すればよい。
また、フィブロイン多孔質体の両面に熱可塑性樹脂不織布を形成した後に、得られた複合体を、フィブロイン多孔質体の部分でスライスすることで、フィブロイン多孔質体の片面に熱可塑性樹脂不織布を有する複合体を得ることができる。
本発明の複合体において、フィブロイン多孔質体と熱可塑性樹脂不織布とを接合する熱可塑性樹脂は、前記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂である。フィブロイン多孔質体と熱可塑性樹脂不織布との接合形態は、特に限定されないが、フィブロイン多孔質体と接する熱可塑性樹脂不織布の一部が溶融してフィブロイン多孔質体と接合されていることが好ましい。
本発明の複合体の引裂き強さは、用途に応じたハンドリング性及び耐久性を有していれば特に制限はないが、250〜5000N/mであることが好ましく、300〜2500N/mであることがより好ましく、400〜2000N/mであることがさらに好ましい。引裂き強さが上記範囲内であると、肌触りが良好であり、曲げにくさに起因する使用感の悪化がなく、また様々な用途において好適に用いることができる。
ここで、引裂き強さは、複合体の引裂き力の中央値を該複合体の厚さ(m)で割って得られた値である。より具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[複合体の製造方法]
本発明の複合体の製造方法は、溶融紡糸法により繊維化した熱可塑性樹脂繊維をフィブロイン多孔質体上に集積し、該フィブロイン多孔質体上に該熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布を形成する方法である。
本発明の製造方法に用いられるフィブロイン多孔質体及び熱可塑性樹脂繊維の種類、形態、製造方法等は、本発明の複合体におけるものと同様であり、好ましい態様も同様である。
このような不織布の形成方法としては、従来公知の方法を適用することができるが、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法等が挙げられ、得られる複合体の機械的強度及び生産性の観点から、メルトブロー法が好ましい。
メルトブロー法とは、多数の微細な紡糸ノズル及び空気ノズルを有するダイから、高温高速の空気流により、溶融した熱可塑性樹脂を繊維状で吹き出し、該繊維状に延伸された熱可塑性樹脂をコンベア上で集積し、その間に繊維同士の絡み合い及び融着が生じることで、不織布を製造する方法である。
次に、メルトブロー法による本発明の複合体の製造方法について説明する。
図3は、本発明の製造方法に用いることができるメルトブロー装置30を表す模式図である。
まず、フィブロイン多孔質体36は、メッシュコンベア33上に配置される。該メッシュコンベア33上のフィブロイン多孔質体36は、進行方向39に送られ、吸引チャック37によりメッシュコンベア33に固定される。
一方、溶融した熱可塑性樹脂31は多数の紡糸ノズル及び空気ノズルを備えるメルトブロー用ダイ38に供給され、ホットエアー32により紡糸ノズルから紡出される。このとき、溶融した熱可塑性樹脂31は、ホットエアー32により急激に細めて繊維化されており、その高速気流によりフィブロイン多孔質体36上に吹き飛ばされ、フィブロイン多孔質体36上で熱可塑性樹脂不織布34が形成される。このようにして形成された複合体35は、複合体を巻き取るための巻き取りローラーによって順次巻き取られる。
メルトブロー法の諸条件は、熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂繊維の繊維径、熱可塑性樹脂不織布の目付け等を考慮して、適宜調整すればよいが、例えば、以下の条件で実施することができる。
熱可塑性樹脂の溶融温度は、例えば、100〜250℃であり、150〜250℃が好ましい。
熱可塑性樹脂の吐出速度は、例えば、10〜500(g/分)であり、30〜300(g/分)が好ましい。
メッシュコンベアの移動速度は、例えば、0.1〜60(m/分)であり、0.1〜10(m/分)が好ましい。
ホットエアーの風速は、例えば、0.5〜20(m/秒)であり、1〜15(m/秒)が好ましい。
紡糸ノズルとコンペア間との距離は、例えば、30〜200(cm)であり、80〜150(cm)が好ましい。
[複合体の用途]
本発明の複合体及び本発明の製造方法により得られる複合体のフィブロイン多孔質体部分は、安全性、吸水性等に優れるため人体に適用する分野への応用が可能である。本発明の複合体は肌触りが良く、強度が高いことから、化粧品及びエステ部材に広く適用することができる。中でもその特長からフェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材として極めて有用である。
また、本発明の複合体のフィブロイン多孔質体部分は、安全性、細胞増殖性等に優れ、複合体全体として強度も高いことから再生医療向け足場材料として好適に使用することができる。
また、本発明の複合体のフィブロイン多孔質体部分は、安全性、吸水性等に優れ、複合体全体として強度も高いことから創傷被覆材として好適に使用することができる。
その他、薬剤徐放担体、癒着防止材等の医療分野、紙おむつ、生理用品等の生活日用品分野、微生物、細菌等の住処になる支持体など種々の産業に適用が可能である。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)接着力の評価
実施例及び比較例で得られた複合体について、熱可塑性樹脂不織布の端部のシルクフィブロイン多孔質体が無い部分を指でつまんで30秒間持ち上げて、熱可塑性樹脂不織布とシルクフィブロイン多孔質体とが剥離しないか目視で確認し、下記の基準で評価した。
○:全く剥離することがなかった。
△:ほとんど剥離することがなかった。
×:剥離が生じた。
(2)引裂き強さの測定
実施例及び比較例で得られた複合体を100mm×15mmの大きさに切削し、かつ長さ40mmの切込みを入れた、トラウザ形に打ち抜いた複合体の試験片について、万能試験機(「EZ−(N)S(型番)」,株式会社島津製作所製)を用い、ロードセルは5N、つかみ具は引張試験用の冶具を用い、引裂き速度200mm/min、初期つかみ具間距離40mm、室温22℃の条件下で、引裂き力の中央値を測定し、以下の式により算出した値である。
引裂き強さ=引裂き力の中央値(N)/試験片の厚さ(m)
(3)複合体の断面の観察
実施例で得られた複合体の断面を、走査型電子顕微鏡(「Neo Scope JCM−5000」、日本電子株式会社製)を使用して、高真空Pt蒸着モード、加速電圧10kVで観察した。
(4)熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径の測定
熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(「Neo Scope JCM−5000」、日本電子株式会社製)(300倍)を用いて、熱可塑性樹脂不織布の任意の箇所に存在する熱可塑性樹脂繊維30本の繊維の幅(直径)を測定し、得られた各測定結果の値を平均することで測定した。
製造例1:シルクフィブロイン多孔質体の製造
(シルクフィブロイン水溶液の調製)
シルクフィブロイン水溶液は、高圧精練済み切繭(ながすな繭株式会社製)40gを9M臭化リチウム水溶液400mLに溶解し、常温で24時間撹拌して溶解した。次いで、遠心分離(回転速度:12,000min−1、5分間)して、デカンテーションで沈殿物を除去した後、透析チューブ(Spectra/Por1 Dialysis Membrane、MWCO6,000−8,000、Spectrum Laboratories, Inc.製)に注入し、超純水製造装置(「PRO−0500(型番)」及び「FPC−0500(型番)」、オルガノ株式会社製)から採水した超純水5Lに対して12時間の透析を5回繰り返し、シルクフィブロイン水溶液を得た。
得られたシルクフィブロイン水溶液2mLをポリスチレン製容器に分取し、秤量した後、庫内温度を予め−20℃程度に調整しておいたノンフロン冷蔵冷凍庫(「R−Y370(型番)」、株式会社日立製作所製)の冷凍室で12時間かけて凍結し、凍結乾燥機(「FDU−1200(型番)」、東京理化器械株式会社製)中で7時間凍結乾燥した。得られた乾燥物を凍結乾燥機から取り出して30秒以内に秤量し、重量減少からシルクフィブロイン水溶液中のシルクフィブロイン濃度(wt/vol%)を定量した。
(シルクフィブロイン多孔質体の製造)
濃度を測定したシルクフィブロイン水溶液に、酢酸及び超純水を加え、シルクフィブロイン濃度4wt/vol%、酢酸濃度2体積%のシルクフィブロイン水溶液を調製した。このシルクフィブロイン水溶液を内面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを貼り付けたアルミ製容器(内側サイズ:60mm×80mm×0.4mm、60mm×80mm×0.8mm、60mm×80mm×3mmの三種類)に流し込んで封入し、−5℃の低温恒温槽(「NCB−3300(型番)、東京理化器械株式会社製)に入れて2時間保持し、その後、低温恒温槽の温度を5時間かけて−20℃まで下げて、−20℃で5時間保持した。凍結した試料を室温で自然解凍してから、容器から取り出し、シルクフィブロイン多孔質体を得た。
容器から取り出したシルクフィブロイン多孔質体を10Lの超純水中で12hごとに水を換えて5日間静置し、酢酸を除去した。酢酸除去後のシルクフィブロイン多孔質体を3体積%のグリセリン水溶液10Lに3日間浸漬した後、−25℃に維持した冷凍庫中で6時間かけて凍結した。得られた凍結物を凍結乾燥機(「FD−550P(型番)」、東京理化器械株式会社製)に入れて3日間かけて凍結乾燥した。得られた乾燥物を以下の実施例中で乾燥シルクフィブロイン多孔質体として使用した。このようにして得られた乾燥シルクフィブロイン多孔質体は、柔軟で肌触りがよく、質感に優れるものであった。
得られた乾燥シルクフィブロイン多孔質体について平均細孔径を求めたところ、68.3μmであることが分かった。ここで、平均細孔径は、多孔質体の走査型電子顕微鏡写真を5枚撮影し、さらに異なる日に作製した多孔質体の走査型電子顕微鏡写真を5枚撮影し、それら10枚の走査型電子顕微鏡写真を画像解析ソフト(「ImageJ(商品名)」、アメリカ国立衛生研究所製)を用いて画像処理し、算出した細孔径の平均値である。
得られた乾燥シルクフィブロイン多孔質体について空孔率を求めたところ、96.2%であることが分かった。ここで、空孔率は、得られた多孔質体を純水中に1日静置し完全に吸水させ、秤量した後(湿重量)、凍結乾燥して多孔質体中の水分を完全に除去し、再度秤量し(乾燥重量)、水の密度を1g/cm、シルクフィブロインの密度を1.2g/cm、含水状態のシルクフィブロイン多孔質体の密度を1g/cmと仮定し、次式に従ってシルクフィブロイン多孔質体の空孔率の測定を行って得られた値である。
空孔率=(湿重量−乾燥重量/1.2)/湿重量×100
また、得られた乾燥シルクフィブロイン多孔質体にグリセリンが含まれているか否かを、全反射の赤外分光法で評価した。赤外分光装置として、「FTS 6000 SPECTROMETER」(Bio−Rad社製)を用いた。この結果、図2に示されるように、得られた多孔質体は、精練済み絹糸より、C−O、O−Hの吸収が増大していることから、乾燥シルクフィブロイン多孔質体内にはグリセリンが含まれていることが分かった。
また、乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量(質量%)を求めたところ、43.0質量%であった。
乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量C(質量%)は、グリセリンを導入した乾燥シルクフィブロイン多孔質体の質量(Wa1)と、グリセリンの未導入の乾燥シルクフィブロイン多孔質体の質量(Wa0)とから、乾燥シルクフィブロイン多孔質体に導入されたグリセリンの質量(Wa1−Wa0)を算出した後、グリセリンを導入した乾燥シルクフィブロイン多孔質体の質量(Wa1)で割ったものとし、以下の式で算出した。
(質量%)=〔(Wa1−Wa0)/Wa1〕×100
実施例1
図3に示した構造のメルトブロー装置30を用い、メッシュコンベア33上に置いたシルクフィブロイン多孔質体36を吸引チャック37で固定しながら、吸引チャック37の上部に設置された紡糸ノズルから表1に示す熱可塑性樹脂からなる繊維31を吐出し、シルクフィブロイン多孔質体36上で不織布を形成して複合体35を得た。得られた複合体35について、前述の方法により接着性の評価を行った。メルトブローの条件及び接着性の評価結果を表1に示す。
実施例2〜4
実施例1において、熱可塑性樹脂の種類、溶融温度、ホットエアーの風速、紡糸ノズルとメッシュコンベア間の距離を表1に記載のとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4の複合体を作製した。メルトブローの条件及び接着性の評価結果を表1に示す。
表1に記載の熱可塑性樹脂の種類は下記のとおりである。
a:ポリウレタン(「ET385−10MSクリヤー」、BASFジャパン株式会社製)
b:ポリ乳酸(「Ingeo Grade 6201D」、ネイチャーワークスジャパン株式会社製)
表1から、実施例1〜4で得られた本発明の複合体は、シルクフィブロイン多孔質体と熱可塑性樹脂繊維とが、優れた接着性を有していることが分かる。
さらに、実施例2で作製した複合体を手術用メスで熱可塑性樹脂不織布側から多孔質層側へ刃が通るよう切断して得られた断面の構造を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。走査型電子顕微鏡は、日本電子株式会社製の「Neo Scope JCM−5000」を使用して、高真空Pt蒸着モード、加速電圧10kVで測定を行った。観察した複合体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。図4より、シルクフィブロイン多孔質体上で熱可塑性樹脂不織布が形成されていることが分かった。
次に、複合体の機械的強度を評価するため、実施例1で得られた複合体の引裂き強さを、前述の方法により測定した。
比較例1として、製造例1で作製したシルクフィブロイン多孔質体についても、同様の条件で引裂き強さ測定した。結果を表2に示す。
表2から、実施例1で得られた本発明の複合体は、熱可塑性樹脂不織布を有していない比較例1の多孔質体より、優れた引裂き強さを有していることが分かる。
10 複合体
11 熱可塑性樹脂不織布
12 フィブロイン多孔質体
30 メッシュブロー装置
31 溶融した熱可塑性樹脂
32 ホットエアー
33 メッシュコンベア
34 熱可塑性樹脂不織布
35 本発明の複合体
36 フィブロイン多孔質体
37 吸引チャック
38 メッシュブロー用ダイ
39 メッシュコンベアの進行方向
41 熱可塑性樹脂不織布
42 シルクフィブロイン多孔質体

Claims (7)

  1. フィブロイン多孔質体と、熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布と、を備え、該多孔質体と該不織布とが、該熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂により接合されてなる複合体。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリウレタンである、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布の目付けが10〜100g/mである、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記熱可塑性樹脂繊維の繊維径が1〜50μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体。
  5. 前記フィブロイン多孔質体が、グリセリンを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体の製造方法であって、溶融紡糸法により繊維化した熱可塑性樹脂繊維をフィブロイン多孔質体上に集積し、該フィブロイン多孔質体上に該熱可塑性樹脂繊維により構成される不織布を形成する、複合体の製造方法。
  7. 前記溶融紡糸法が、メルトブロー法である、請求項6に記載の複合体の製造方法。
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