JP2017149674A - 不溶化処理フリー絹フィブロイン素材 - Google Patents

不溶化処理フリー絹フィブロイン素材 Download PDF

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Abstract

【課題】従来型フィブロイン成形体(例えば、フィルム)は、高い水溶性を示し、水との接触によって溶解もしくは強度の脆弱化を示す不都合が存在していた。【解決手段】本発明は、蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、上記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、含ハロゲン溶媒を用いて、湿潤状態にある上記フィブロインタンパク質を溶解してフィブロイン溶液を調製する工程と、上記フィブロイン溶液を乾燥させてフィブロイン成形体を形成する工程と、を含む、水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法を提供することを目的とする。【選択図】図13

Description

本発明は、不溶化処理を行なうことなく水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法に関する。
昆虫が作る繭は繊維状タンパク質を豊富に含んでおり、その特有の性質から、衣料用、医療用、化粧品用等の分野で研究が行われている。例えば、蚕の繭は、衣料用の天然繊維として一般的に利用されている。また、繭に含まれている絹タンパク質は、医療用の生体材料として研究されている。例えば、特許文献1には、再生医療用の細胞足場材料の原料として、蚕の絹タンパク質を利用したことが記載されている。
蚕から絹タンパク質である絹フィブロインを抽出する方法として、例えば、特許文献2に記載の方法が挙げられる。特許文献2は、生繭、乾繭もしくは煮繭した繭の繭層もしくは繭糸を、あるいは生糸、絹織物又はそれらの残糸を中性塩水溶液に溶解後、分別沈澱処理に付し、絹タンパク質である絹セリシンと分けることを特徴とする未分解絹フィブロインの製造法を開示している。また、特許文献3は、蚕体内の絹糸腺を水中に浸漬して水中に絹フィブロインを溶かしてから絹フィブロインを抽出し、フィルム状の絹タンパク質を形成する方法が開示されている。
WO2011/021712 特開2001-163899 特開2007-210902
しかしながら、特許文献2又は3に示す方法により得られた絹フィブロインから製造される従来型フィブロイン成形体(例えば、フィルム)は、高い水溶性を示し、水との接触によって溶解もしくは強度の脆弱化を示す不都合が存在していた。
この不都合を克服するために、不溶化を目的とした処理(例えば、アルコールによる結晶化の誘起、あるいは熱処理による結晶化の誘起)が知られている。しかしながら、こうした不溶化処理は、製造工程を煩雑にするだけでなく、フィブロイン分子にダメージを与える原因となり得た。アルコールによる結晶化の誘起では、アルコール処理後に乾燥工程が必要となる。熱処理による結晶化の誘起では、200℃前後の高温処理が必要であり、その結果、タンパクの変性による褐色化が進行する。いずれの処理もフィブロインの高次構造に影響を与え、力学物性の低下(脆さの誘因)を招く。
また、特許文献2の方法は、セリシンを除去するために繭にアルカリ処理や熱水処理が必要であるため、フィブロインタンパク質が損傷する問題が存在していた。また、特許文献2の方法は、脱塩処理が要求されるため作業時間が長期化する問題が存在していた。また、蚕の生体外に吐出した繭は、脱塩処理のための透析作業等において使用する水に起因してエンドトキシン等の有害物質が混入して汚染されている可能性があり、その除去が高コスト(例えば、エンドトキシンフリー水の費用)となる問題が存在していた。
また、特許文献3の方法では、抽出の過程で水中に溶解したフィブロインは回収が困難であり、相当量のフィブロインが損失するという問題がある。さらに、カイコ体内から絹糸腺を取り出しての液状絹の抽出は、絹タンパク質のみで構成されている繭糸からの抽出とは異なり、カイコ体内の各種細胞や腸内細菌、およびタンパク質分解酵素などが存在するため、これら夾雑物の混在や、分解酵素によるフィブロインの分解が問題になる。特許文献3には、カイコ体内の細胞や腸内細菌の混入を防ぐ技術が開示されているが、細菌を滅菌する工程はなく、また、タンパク質分解酵素を失活化する工程も含まれていない。このため、水中に抽出したままの状態ではフィブロインの腐敗や分解が進行しやすい。特許文献3では、水抽出後に速やかに乾燥させてフィルム化することで上記の課題を解決することが述べられているが、カイコ体内からの絹糸腺取出しからフィルム化までを短期間で行わなければならい当該方法は、産業利用上の困難を伴う。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、不溶化処理を行なうことなく水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を回避するフィブロイン成形体の製造方法を検討した。図1には、従来の製造方法と本発明の製造方法を概略的に示している。本発明者らは、まず、絹糸腺をアルコール水溶液で固定化して、得られたフィブロインタンパク質を湿潤状態のまま含ハロゲン溶媒に溶かした。得られたフィブロイン溶液をキャストしてフィブロインフィルムを作成したところ、驚くべきことに、このフィブロインフィルムは、水に対して不溶性であった。図1に示す通り、従来の方法で製造したフィブロインフィルムは、水に対して水溶性である。更に、従来の方法で製造したフィルムを含ハロゲン溶媒に溶かして得られたフィブロイン溶液からフィルムを作成しても、得られるフィルムは、水に対して水溶性であった。
本発明者らは、この驚くべき発見に基づいて鋭意研究し、不溶化処理を行なうことなく水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法を完成させるに至った。
本願発明によれば、
蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、
上記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、
含ハロゲン溶媒を用いて、湿潤状態にある上記フィブロインタンパク質を溶解してフィブロイン溶液を調製する工程と、
上記フィブロイン溶液を乾燥させてフィブロイン成形体を形成する工程と、を含む、
水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法が提供される。
後述する実施例において実証されている通り、上記方法は、フィブロイン成形体を形成した後に不溶化処理を行なうことなく、不溶性のフィブロイン成形体を得ることができる。
また、本発明によれば、
蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、
上記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、を含む、
フィブロインタンパク質を取得する方法が提供される。
後述する実施例において実証されている通り、上記方法によればフィブロインタンパク質を取得することができる。
また、本発明によれば、水の接触角が、その測定開始時間から5分間において、85°から100°の範囲内である、水に対して不溶性のフィブロイン成形体が提供される。
後述する実施例において実証されている通り、上記成形体は、水に対して不溶性のフィブロイン成形体である。
図1は、従来の製造方法と本発明の製造方法を概略的に示している。 図2は、蚕における開腹箇所を示す写真である。 図3は、蚕から取り出した中部絹糸腺を示す写真である。 図4は、純水中での中部絹糸腺からのフィブロインタンパク質の溶出を示す写真である。 図5は、中部絹糸腺を10、20、30、40、50、60、70、80、90及び99%エタノール水溶液に浸漬した後の凝固した中部絹糸腺を示す写真である。 図6は、中部絹糸腺における前区、中区及び後区を示す写真である。 図7は、中部絹糸腺を10、20、30、40、50、60、70、80、90及び99%エタノール水溶液に浸漬した後に、夾雑物を除いたフィブロインタンパク質を示す写真である。 図8は、夾雑物(表皮とセリシン)が部分的に除去されたフィブロインタンパク質を示す写真である。 図9は、夾雑物を除いた後の中部絹糸腺(フィブロインタンパク質)の中区と後区を示す写真である。写真中の矢印は、フィブロインタンパク質中に残留した夾雑物を示している。 図10は、フィブロイン成形体中に残留した夾雑物を示す写真である。 図11は、中部絹糸腺の中区及び後区におけるフィブロインタンパク質を核磁気共鳴分光法によって測定した際に、後区において不純物の存在を検出した結果を示すグラフである。 図12aは、未分解フィブロインフィルムを水に浸す試験の結果を示す写真である。図12bは、再生フィブロイン(i)を水に浸す試験の結果を示す写真である。図12cは、再生フィブロイン(ii)を水に浸す試験の結果を示す写真である。 図13は、未分解フィブロインフィルム、再生フィブロイン(i)、再生フィブロイン(ii)及びスライドガラスの水の接触角を経時的に測定したグラフである。 図14は、40%エタノール処理して夾雑物を除去した後のフィブロインタンパク質に対する2d-広角X線回折測定の結果を示す写真である。日数は、40%エタノールに浸漬した期間を示す。"wet"は、湿潤状態での測定を意味し、"dry"は、乾燥状態での測定を意味する。 図15は、40%エタノール処理して夾雑物を除去した後のフィブロインタンパク質に対する2θプロファイルである。日数は、40%エタノールに浸漬した期間を示す。"wet"は、湿潤状態での測定を意味し、"dry"は、乾燥状態での測定を意味する。 図16は、20、40、70及び99%エタノール処理(6日間の浸漬)して夾雑物を除去した後のフィブロインタンパク質に対する2d-広角X線回折測定の結果を示す写真である。全ての測定は、湿潤状態で行った。 図17は、20、40、70及び99%エタノール処理(6日間の浸漬)でして夾雑物を除去した後のフィブロインタンパク質に対する2θプロファイルである。このグラフには、純水(H2O)及び99%エタノール(EtOH)の散乱も示している。 図18は、未分解フィブロインタンパク質、再生フィブロイン(i)、再生フィブロイン(ii)を含ハロゲン溶媒に溶解して得られたフィルムに対する2d-広角X線回折測定の結果を示す写真である。 図19は、未分解フィブロインタンパク質、再生フィブロイン(i)、再生フィブロイン(ii)を含ハロゲン溶媒に溶解して得られたフィルムに対する2θプロファイルである。 図20は、40%エタノールで6日間処理したフィブロインタンパク質に対して固体13C核磁気共鳴分光法により得られたスペクトルを示すグラフである。"Wet"は、湿潤状態での測定を意味し、"Dry"は、乾燥状態での測定を意味する。 図21aは、未分解フィブロインフィルム、再生フィブロインフィルム(i)及び再生フィブロインフィルム(ii)に対してフーリエ変換型赤外分光法により得られたスペクトルを示すグラフである。図21b及びcは、図21aの部分的に拡大したグラフである。
<概要>
以下、本発明の実施の形態について、詳しく説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑をさけるために、適宜説明を省略する。
本実施形態によれば、
蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、
上記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、
含ハロゲン溶媒を用いて、湿潤状態にある上記フィブロインタンパク質を溶解してフィブロイン溶液を調製する工程と、
上記フィブロイン溶液を乾燥させてフィブロイン成形体を形成する工程と、を含む、
水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法が提供される。
上記方法は、フィブロイン成形体を形成した後に不溶化処理を行なうことなく、水に対して不溶性のフィブロイン成形体を得ることができる。
<蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程>
本工程において、蚕(学名Bombyx mori)から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬する。中部絹糸腺は、メス又はハサミを用いて蚕の腹部を開いて取り出してもよい。また、中部絹糸腺は、ローラーやヘラを用いて蚕から中部絹糸腺を押し出してもよい。絹糸線は、前部絹糸線、中部絹糸線及び後部絹糸線に分けることができる。中部絹糸腺は、絹糸腺から前部絹糸線及び後部絹糸線を除去することで取得することができる。中部絹糸腺は、上記アルコールによって固定化される。上記水溶液中のアルコール濃度は、上記中部絹糸腺が固定化される濃度であればよく、例えば、10から100%であり、10、20、30、40、50、60、70、80、90、98、99及び100%からなる群より選択される2点間の範囲内であってもよい。上記水溶液中のアルコール濃度は、後述する夾雑物の除去を容易にするために、好ましくは、10から40%である。上記アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール及びそれらの混合物から選択することができ、好ましくは、エタノールである。また、上記アルコールは、蚕中に含まれる酵素による分解を避けるために、冷アルコール(例えば、4℃)であることが好ましい。本実施形態において、上記方法は、更に、10から100%アルコール水溶液を用いて上記中部絹糸腺を洗浄する工程を含んでいてもよい。洗浄工程におけるアルコール水溶液は、固定化工程におけるアルコール水溶液と同一であってもよく、異なるものであってもよい。
本工程において、中部絹糸腺に対するアルコール水溶液の体積比(浴比)は、上記中部絹糸腺が固定化される体積比であればよく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10以上である。アルコール水溶液への中部絹糸腺の浸漬時間は、中部絹糸腺が固定化される時間であれば特に限定しないが、例えば、1時間以上であればよく、アルコール水溶液中のアルコール濃度、中部絹糸腺に対するアルコール水溶液の体積比及び/又は下流の工程を開始するタイミングによって変更してもよい。本工程によって、中部絹糸腺中の酵素を失活させることができ、また、中部絹糸腺を殺菌することができるため、中部絹糸腺中のフィブロインタンパク質の低分子化を防ぐことができる。従って、多数の蚕から中部絹糸腺を取り出す場合は、全ての中部絹糸腺を上記アルコール水溶液中に浸漬できるまで、浸漬処理を続けていてもよい。
<上記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程>
本工程において、固定化した中部絹糸腺中に含まれる夾雑物を取り除く。夾雑物には、中部絹糸腺の表皮細胞、分解酵素、セリシンが含まれる。中部絹視線から夾雑物を取り除くことによって、フィブロインタンパク質が取得できる。夾雑物は、手を用いて及び/又はピンセットによって中部絹糸腺から除去してもよい。中部絹視線は、前部絹糸腺側の前区、後部絹糸腺側の後区と、前区と後区との間の中区に分けることができる。より純度が高いフィブロインタンパク質を取得するために、固定化した中部絹糸腺の後区を切り出して、中部絹視線の後区から夾雑物を除去してもよい。また、夾雑物の除去を容易にするために、中部絹糸腺の後区を用いてもよい。高いフィブロインタンパク質の純度よりもその量を重視する場合は、中部絹視線の全区を用いてもよい。取得されたフィブロインタンパク質は、湿潤状態を維持させるのが好ましい。乾燥を防ぐために、フィブロインタンパク質を4℃の上記アルコール水溶液で保管してもよい。
<含ハロゲン溶媒を用いて、湿潤状態にある上記フィブロインタンパク質を溶解してフィブロイン溶液を調製する工程>
この工程において、湿潤状態にあるフィブロインタンパク質を含ハロゲン溶媒に溶かす。含ハロゲン溶媒に溶かすフィブロインタンパク質は、湿潤状態にある必要がある。理由は、乾燥状態にあるフィブロインタンパク質は、含ハロゲン溶媒に溶かすことができないためである。含ハロゲン溶媒は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールである。含ハロゲン溶媒へのフィブロインタンパク質の溶解は、室温で行なうことができる。多数の蚕から中部絹糸腺を取り出す場合は、全てのフィブロインタンパク質を上記含ハロゲン溶媒中に浸漬できるまで、浸漬処理を続けていてもよい。この工程において製造されたフィブロイン溶液は、長期期間の保存(例えば、1日、3日、6日及び30日並びにそれ以上の日数)が可能である。
<上記フィブロイン溶液を乾燥させてフィブロイン成形体を形成する工程>
この工程において、フィブロイン溶液を乾燥させる。フィブロイン溶液は、目的の形状の型の中で乾燥させることで、目的の形状(例えば、ブロック)のフィブロイン成形体を形成させることができる。また、フィブロイン溶液を薄く乾燥させることでフィルム状のフィブロイン成形体を形成させることができる。
得られたフィブロイン成形体は、水に対して不溶性である。フィブロイン成形体が水に対して不溶性であるか否かを調べる方法には、約1cm(縦) x 1cm(横) x10μm(厚さ)のサイズのフィルムフィブロイン成形体が水で溶けるか否かを観察する方法が挙げられる。例えば、フィルムフィブロイン成形体を10分間水に浸しても溶解しない場合は、このフィブロイン成形体は、水に対して不溶性であると判断してもよい。また、フィルムフィブロイン成形体の水の接触角を経時的に測定して、水に対して不溶性であるか否かを判断することもできる。例えば、測定直後の水の接触角と5分後の水の接触角との差が20°、19°、18°、17°、16°又は15°以下の場合、フィブロイン成形体は、水に対して不溶性であると判断してもよい。なお、測定条件は、室温25℃、湿度30%、滴下液適量3.5μlとする。従って、フィブロイン成形体の水の接触角は、その測定開始時間から5分間において、85°から100°の範囲内であってもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、水の接触角が、その測定開始時間から5分間において、85°から100°の範囲内である、水に対して不溶性のフィブロイン成形体も本発明の範囲内である。
以下、本発明を実施例及び図面によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。機器の操作及びキットの使用は、各メーカーの製造元プロトコールに従った。
<実施例1>
中部絹糸腺の取り出し
家蚕(品種)5齢熟蚕カイコの腹部を生きた状態で開いた(図2)。カイコの体内から、余分な力を与えないよう静かに絹糸腺を取り出した。絹糸腺の前後に存在する前部絹糸腺及び後部絹糸腺は、中部絹糸腺を無傷で全量取り出すために、適切な箇所で切断して体内に残した。カイコの腹部を開く際、カイコの中腸からの内容物の流出による絹糸腺へのコンタミを避けるため、カイコの中腸を一切傷つけることなく絹糸腺のみを取り出した(図3)。
<実施例2>
絹糸腺のエタノール処理並びに表皮細胞及びセリシンタンパク質の除去
取り出した絹糸腺は冷エタノール水溶液(Nacalai Tesque, Japan)に素早く浸漬した。約10分間浸漬(洗浄)後、同濃度のフレッシュな冷エタノール水溶液に移し、冷蔵庫内(4℃)で密閉浸漬保存を行った。エタノール水溶液の濃度は、0(純水)から99%の間で様々な濃度について検討し、処理濃度の違いによる作業効率や素材の構造・物性への影響を調べた。浸漬中のエタノール濃度の変化を抑えるため、絹糸腺に対するエタノール水溶液の体積比(浴比)は10以上(エタノール水溶液50mlに対して絹糸腺10本以下)と十分大きくした。
0~99%エタノール水溶液(0、10、20、30、40、50、60、70、80、90及び99%の計11種類)に一定期間浸漬後の中部絹糸腺について、絹糸腺表皮細胞及び絹糸腺の内側に存在するセリシンタンパク質の除去(すなわち、フィブロインタンパク質からの分離)を試みた。
0%エタノール水溶液(即ち、純水)では、フィブロインが絹糸腺より純水中に溶け出したが、フィブロインの凝固は生じなかった(図4)。10%エタノール水溶液では、絹糸腺からのフィブロインの溶け出しが若干認められた(不図示)。10%を含む全てのエタノール濃度で、1時間以内に絹糸腺内部のフィブロインが凝固した(図5)。凝固が認められた10~99%の絹糸腺について、3日後、6日後、30日後にエタノール水溶液から取り出した。これらの絹糸腺について、絹糸腺の表皮及びセリシン除去の容易さ(作業効率)、除去後のフィブロインの状態、含ハロゲン溶媒である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)への溶解性、そしてフィルムの水溶性を比較した。その結果を表1に示している。なお、いずれの日数(3日後、6日後及び30日後)であっても、結果に差異が見られなかったため、表1には、3日後のデータを代表して示している。
10~99%エタノール水溶液の全てにおいて、中部絹糸腺の後区(図6)を除去すると、手作業により絹糸腺の表皮とセリシンをフィブロインから分離することが可能であった(表1、図7)。その分離作業性は、エタノール濃度に依存するものであった。エタノール濃度が増加するにつれ、絹糸腺(フィブロイン、セリシン、表皮の全て)の硬度が増加し、分離作業性の低下が認められた(表1)。10-40%エタノールでは、中部絹糸腺を覆うセリシンと表皮を一続きに、途中破れることなくスムーズに剥がすことが出来(図8)、一連の作業に要する時間は30秒程度であった。一方、50%濃度以上ではスムーズ性は減少し、70%以上では、絹糸腺の硬度化が著しく、表皮とフィブロインとの接着性が高くなり、一続きに剥がすことが困難となった。その結果、上記分離作業には10分程度を要し、分離作業の効率が著しく低下した。
絹糸腺の表皮が破れることなく一体として容易に剥がすことのできる低濃度のエタノール条件では、表皮とセリシンが取り除けたことを確認できるのに対し、高濃度のエタノール条件(とくに70%以上)では、表皮が破れるケースが多く、完全に除去できたかどうかの確認が困難となった。一方、全ての処理濃度において、中部絹糸腺の後区(図6)に関しては、表皮が薄く、一体として剥がすことが困難であった。絹糸腺の表皮とセリシンをフィブロインから分離する作業後、光学顕微鏡(NIKON OPTIPHOT2-POL (NIKON, Japan))を用いて無偏光下でフィブロインを観察すると、極僅かではあるが表皮とセリシンの取り残しが見つかるケースがあった(図9)。そのような取り残しは、引き続くHFIPへの溶解過程で溶け残り、最終プロダクトまで残存することが確認された(図10)。中部絹糸腺の後区におけるフィブロイン以外の不純物の残存は、核磁気共鳴(NMR)分光法測定によっても確認された(図11:矢印で示されるスペクトルが不純物に帰属する)。このような理由により、極僅かな不純物の混入を嫌う目的においては、引き続くHFIP溶解に先立ち中部絹糸腺の後区のみを予め除外することが望ましい。以上、絹糸腺からフィブロインのみを分離回収する目的において、作業性の観点からは40%以下のエタノール処理が好ましいことが示された。一方、エタノール処理には、絹糸腺表面の滅菌効果を行う重要な役割も兼ねており、作業性と滅菌性の双方を考慮すると濃度が40%のエタノール水溶液が最適な濃度と判断した。
<実施例3>
表皮及びセリシン除去後の絹糸腺フィブロインの保管
10~99%エタノール水溶液により凝固した中部絹糸腺から表皮とセリシンを取り除いて得られる絹糸腺フィブロインは、その後、再び同濃度のエタノール水溶液に浸漬、密閉し、4℃環境下で保管した。いずれの濃度においても、少なくとも30日間の保管期間において、目視や触手において目立った変化は認められなかった(不図示)。フィブロインの回収方法として最適であると提案した40%エタノール処理試料については240日間浸漬後も目視、触手による目立った変化がないことを確認した(不図示)。さらに、40%エタノール処理試料について、浸漬期間6日と240日の試料について広角X線回折(WAXD)測定を行い、構造的にも目立った変化が認められないことを確認した(実施例6参照)。
<実施例4>
含ハロゲン溶媒による絹糸腺フィブロインの溶解
エタノール水溶液により凝固した中部絹糸腺から表皮とセリシンを取り除いて得られる絹糸腺フィブロインを含ハロゲン溶媒であるHFIP(Tokyo Chemical Industry Co. Ltd., Japan)へ溶解させた。10-99%エタノール水溶液で処理し、その後、中部絹糸腺の表皮とセリシンを除去して得られた絹糸腺フィブロインをHFIPに室温で浸漬し、振とうした。溶解条件は、表皮とセリシンを除去直後のフィブロインについて25mg/mlとした。フィブロインはHFIPに浸漬する段階で水およびエタノールで濡れた状態であるため、上記重量には水およびエタノールの重量も含まれている。10-99%エタノール水溶液で処理したいずれのフィブロインも2時間程度で溶解し、各試料間での溶解性に目立った差異は認められなかった。
<実施例4>
絹糸腺フィブロイン-HFIP溶液から得られたキャストフィルムの水溶性試験
上述した通り、10-99%エタノールで処理した絹糸腺フィブロインを含むHFIP溶液(フィブロイン-HFIP溶液)を調製した。フィブロイン-HFIP溶液からキャストフィルムを作製して、このフィルムを縦横約1cm x 1cmのサイズにカットした。フィルムの厚みは、エタノールの濃度に関係なく、約10μmとした。カットしたフィルムを水面上に浮かべ、水溶性の有無を調べた。
フィルムの水溶性に対するフィルムの厚さ依存性を調べるため、40%エタノール処理試料を使い、2~200μmの範囲で異なる膜厚のフィルムについての水溶性を調べた。10~99%エタノールで固化させた試料を含むHFIPキャストフィルムは、全て、水に対し不溶性を示した(表1)。また、とくに40%エタノール処理フィルムは、約10μmの厚みで水に不溶性であることが確認された(図12a)。2~200μmの様々な厚さのフィルムであっても、同様に、水に対して不溶性であった(不図示)。比較のため、再生フィブロインより作製した2種類のフィルムの溶解試験を実施した。ここで用いた2種類の再生フィブロインフィルムは、絹糸を9M濃度のLiBr濃厚水溶液を用いて溶解し、純水で透析後、(i)水溶液をポリスチレンシャーレ上にキャストし得られたフィルム(再生フィルム(i))、および(ii)水溶液を凍結乾燥し、スポンジ状乾燥物を得た後、これをHFIPに溶解させキャストしたフィルム(再生フィルム(ii))の2種類を指す。従来報告されてきたとおり、いずれの再生フィブロインも容易に水に溶けることが確認された(図12b及びc)。
<実施例5>
絹糸腺フィブロイン-HFIP溶液から得られたキャストフィルム表面の濡れ性試験
40%エタノール処理絹糸腺フィブロインを用いて作製したHFIPキャストフィルム(未分解絹糸腺フィブロインフィルム)表面の濡れ性及びにその時間経過(5分間)による変化を、接触角(contact angle)測定により評価した。接触角は、動的接触角測定装置 FTA188 (JASCO INTERNATIONAL Co. Ltd., Japan)を使用して、スライドガラス上にキャストした各フィルム上に、約3.5μlの水滴を滴下し、接触角の時間変化を5分間追跡することで決定した。比較として、上述した再生フィブロインフィルム(i)及び(ii)並びにスライドガラス表面の濡れ性と比較した。結果を図13に示している。再生フィブロインフィルム(i)及び(ii)は、約60°の接触角を示した。これに対し、未分解絹糸腺フィブロインフィルムでは約100°の接触角を示し、高い撥水性を示した。さらに、液滴滴下後の接触角の経時変化を見ると、再生フィブロインフィルム(i)及び(ii)と共に、滴下の30秒後に接触角は約50°まで低下し、水の浸透が急激に生じていることが示された。このことから、濡れ直後より表面の溶解が生じていると考えられる。再生フィブロインフィルム(i)及び(ii)の接触角は、その後も大きく低下を続けた。一方、絹糸腺フィブロインフィルムでは、このような急激な接触角の変化は認められず、スライドガラス上に滴下した液滴の接触角の変化との比較から判断すると、ほぼ、蒸発に伴う接触角の変化のみが生じていると考えられる。このことは、水溶性試験の結果とも矛盾がない。従って、この方法により作製したフィルムは、高い撥水性を有していることが裏付けられた。
<実施例6>
エタノール処理絹糸腺フィブロイン及びそのHFIPキャストフィルムの構造評価
(1)広角X線回折(WAXD)測定による構造評価
上述の通り、本フィブロインフィルムは、不溶化処理なしで強い撥水性を示し、水に対して不溶性を示した。不溶性を与える構造的要因を調べるため、エタノール水溶液処理により凝固した中部絹糸腺フィブロインの構造と処理に用いたエタノール濃度依存性をWAXD測定により調べた。WAXD測定には、湾曲型イメージングプレート搭載X線回折装置 R-Axis Rapid II (Rigaku Co., Japan)を使用し、測定条件は、50kV、100mA (MoKα線)とした。
40%エタノールに6日間及び240日間浸漬した2種類の絹糸腺試料について、絹糸腺の表皮とセリシンを除去した。図14及び図15は、除去直後(即ち、乾燥前)に測定したフィブロインの2d-WAXDパターンとその2θプロファイルの比較をそれぞれ示している。これらを比較する限り、いずれのフィブロインもβ-シート構造からなるsilk-II型結晶を形成しており、結晶性(結晶化度)も含めて浸漬時間による目立った差異は認められなかった。少なくとも240日までの浸漬期間において、フィブロインの状態は一定であり、安定的に保たれていることが明らかとなった。
6日間浸漬試料の表皮とセリシンを除去した後に風乾させた試料についても2d-WAXDパターンとその2θプロファイルを調べた。その結果、明瞭な結晶化度の増加が認められ(図14及び図15)、乾燥試料はHFIPに不溶であった。
次に、20、40、70及び99%エタノールに6日間浸漬した各絹糸腺試料について、絹糸腺の表皮とセリシンを除去した。除去直後(即ち、乾燥前)に測定したフィブロインの2d-WAXDパターンとその2θプロファイルの結果を比較し、フィブロインの構造に対するエタノール濃度依存性について検討した。図16は、得られたフィブロインの2d-WAXDパターンを示している。図17は、純水(H2O)および99%エタノール(EtOH)の散乱と共に、得られたフィブロインの2θプロファイルを示している。いずれの濃度のエタノールについても、得られたフィブロインは、40%エタノールと同様、β-シート構造からなるsilk-II型の結晶を形成していることが確認された。
次に、HFIPにフィブロインを溶解させ、キャストして得られる(水に対し不溶性の)フィルムについて2d-WAXDパターン(図18)とその2θプロファイル(図19)を調べた。その結果、やはりsilk-II型の結晶が形成されており、エタノール処理絹糸腺の乾燥試料と同レベルの結晶性であることが示された。
(2)固体13C核磁気共鳴(NMR)分光法による構造評価
WAXDによる構造評価より、HFIPに対し溶解性を示す濡れた試料は、HFIPに対し不溶性を示す乾燥試料に比べ結晶性が低いことが示された。ここで、固体NMR分光法により、40%エタノールで6日間処理した試料について、濡れた状態の試料(Wet)と乾燥状態の試料(Dry)についての分子鎖の運動性について評価・比較をおこなった(図20)。固体NMR測定は、固体NMR装置Avance 600 WB(Bruker)を用いて行った。測定条件は、以下の通りである。試料管として4mmφのジルコニア製ローターを用い、10.0kHzでマジック角回転して測定した。1H 90°パルス幅は3.5 μsで、1H-13C交差分極は70kHzで行った。FID観測時にはSPINAL-64法による1Hでカップリングを行った。その結果、いずれの状態においても、得られたフィブロインからは、WAXD測定で示されたとおり、β-シート構造(silk-II型結晶)の形成を示すスペクトルが得られた。濡れた状態(すなわちHFIPに可溶な状態)では、乾燥状態の試料に対し、全体に観測ピークがシャープであり、β-シートの形成に寄与する分子由来のピークについても同様にシャープであった。従って、濡れた状態の試料におけるβ-シートドメインは、乾燥状態の試料のものに比べて、分子の運動性が大きく、分子鎖間のパッキングが弱い不完全なβ-シート構造で止まっていることが示唆された。このことから、濡れた状態の試料においては、凝集状態の弱いβ-シート構造が形成され、それが架橋点として振る舞うことで、凝固するに充分なネットワークが形成される一方で、HFIP分子が内部に侵入できる程度のスペースが、β-シート領域にも存在していることが推測された。これによって、濡れた状態の試料のHFIPへの溶解を可能にしているものと考えられる。
(3)フーリエ変換型赤外(FTIR)分光法による構造評価
本HFIPキャストフィルム(未分解フィブロインフィルム)と、上記2種類の再生フィブロインフィルム(i)及び(ii)についてFTIR測定を行い、構造の評価・比較を行った(図21a、b及びc)。FTIR測定は、フーリエ変換赤外分光光度計JASCO FTIR-620 (JASCO Co., Japan)を用いて行い、測定条件は、全て透過測定、分解能2cm-1、そして積算回数32回とした。再生フィブロインフィルム(i)(水溶性)は、典型的な非晶性スペクトルを示した。また、再生フィブロインフィルム(ii)(水溶性)は、α-ヘリックス特有のスペクトルを示した。HFIPを代表とする含ハロゲン溶媒は、フィブロインタンパク質に対し、強力なヘリックス誘起溶媒として働くことは良く知られている。また、HFIPキャストフィルムもまた、α-ヘリックスリッチな構造をとることが知られている。しかしながら、本方法により得られた未分解フィブロインフィルムのHFIPキャストフィルムでは、WAXD及びNMR測定でも示されたとおり、β-シート結晶由来のスペクトルが得られ、FTIR測定においても水に対し不溶性を示すβ-シート型結晶の形成が確認された。
以上を纏めると、絹糸腺を10-99%濃度のエタノール水溶液に浸漬することで、HFIP分子の侵入が可能な程度の不完全さを持ったβ-シート様の凝集体があちこちで形成され、その結果、この凝集体がネットワークの架橋点として振る舞うことで、水に不溶な凝固物となる。この凝固物を含ハロゲン溶媒であるHFIPに浸漬すると、HFIP分子は不完全なβ-シート内にも侵入し、ネットワークがある程度解かれ、見かけ上、HFIPに溶解する。これにより、フィルム、繊維、スポンジ、ロッド、微粒子等、様々な形状に加工が可能となる。しかしながら、実際には、ある程度β-シート様の構造は残存しており、その結果、HFIP溶液中でもヘリックスを形成することなく、HFIPの乾燥過程で再び、かつより完全性の高いβ-シート構造が形成され、水に対し不溶性を示す成形品への加工が可能となると推察される。
本実施例の結果から、水に対して不溶性のフィブロイン成形体を得ることができる。この成形体は、絹素材由来であり、生体適合性が高い。従って、この成形体は、再生医療用細胞培養足場材料を含む医療用生体材料として利用することができる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、上記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、を含む、フィブロインタンパク質を取得する方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、
    前記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、
    含ハロゲン溶媒を用いて、湿潤状態にある前記フィブロインタンパク質を溶解してフィブロイン溶液を調製する工程と、
    前記フィブロイン溶液を乾燥させてフィブロイン成形体を形成する工程と、を含む、
    水に対して不溶性のフィブロイン成形体を形成する方法。
  2. 前記浸漬する工程において、前記アルコールは、メタノール、エタノール、プロノール及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルコールは、エタノールである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記含ハロゲン溶媒は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノールである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記フィブロイン成形体の水の接触角は、その測定開始時間から5分間において、85°から100°の範囲内である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 蚕から取り出された中部絹糸腺を10から100%アルコール水溶液に浸漬して固定化する工程と、
    前記固定化した中部絹糸腺から夾雑物を取り除きフィブロインタンパク質を取得する工程と、を含む、
    フィブロインタンパク質を取得する方法。
  7. 水の接触角が、測定条件を室温25℃、湿度30%、滴下液適量3.5μlとした場合、水の接触角の測定開始時間から5分間において、85°から100°の範囲内である、水に対して不溶性のフィブロイン成形体。
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