JP2005053847A - 魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、魚類真皮コラーゲン含有組成物及びその組成物を用いた成形体 - Google Patents
魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、魚類真皮コラーゲン含有組成物及びその組成物を用いた成形体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 無臭乃至低臭気の安定性に優れた魚類由来コラーゲンを主成分としたシート材料を製造するためのコラーゲン含有組成物の製造方法及びその方法によるコラーゲン含有組成物の提供。
【解決手段】 魚皮を酸水溶液で膨潤させた後、表皮を除去し、撹拌して均質化するし実質的に真皮コラーゲン成分含有水性液からなるシートに成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、その方法により得られる魚類真皮コラーゲン含有組成物、その組成物から成形したシート状コラーゲン成形体、およびその成形体の用途。
【選択図】 なし
【解決手段】 魚皮を酸水溶液で膨潤させた後、表皮を除去し、撹拌して均質化するし実質的に真皮コラーゲン成分含有水性液からなるシートに成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、その方法により得られる魚類真皮コラーゲン含有組成物、その組成物から成形したシート状コラーゲン成形体、およびその成形体の用途。
【選択図】 なし
Description
本発明は、医療材料、化粧品材料及び食品材料として有用なシート状に成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、その方法で得られるコラーゲン含有組成物、及びこの魚類真皮コラーゲン含有組成物を原料とした成形体に関する。
コラーゲンは、少なくとも部分的に螺旋構造(コラーゲン螺旋)を有するタンパク質または糖タンパク質として定義される。これは、3本のポリペプチド鎖から形成される3重螺旋で、分子量10万程度の各ポリペプチド鎖にはグリシン残基が3個目ごとに、またその他のアミノ酸残基としてプロリン残基、ヒドロキシプロリン残基が高頻度に現れる。コラーゲンは無脊椎動物あるいは脊椎動物の組織、特に皮膚から多く抽出することができる。コラーゲンには構造の違いによって19種類の型の存在が報告されており、さらに同じ型に分類されるコラーゲンにも数種類の異なる分子種が存在する場合がある。
中でも、I、II及びIV型コラーゲンが主にバイオマテリアルの原料として用いられている。I型はほとんどすべての結合組織に存在し、生体内に最も多量に存在するコラーゲン型である。特に腱、真皮及び骨に多く、工業的にはコラーゲンはこれらの部位から抽出される場合が多い。II型は軟骨を形成するコラーゲンであり、IV型は基底膜を形成するコラーゲンである。I及びII型はコラーゲン線維を形成する能力を有し、試験管内でコラーゲン線維構造を回復させることができる。IV型は線維形成能力を有しないが、基底膜における細胞分化に関与しているとされる。
コラーゲンに熱を加えるとコラーゲンの三重螺旋構造がほぐれ、それぞれのポリペプチド鎖がランダムコイル状の熱変性物を与える。そのような構造変化を起こす温度は変性温度と呼ばれ、熱変性物はゼラチンと呼ばれる。ゼラチンはコラーゲンに比べ水溶性が高い他に、生体内プロテアーゼに対する感受性が高いことが知られている。
コラーゲンの変性温度は溶液状態の時に最も低くなる。また、コラーゲンは一般に生物原料から得られるが、生物から得たコラーゲンの変性温度はその生物の生活環境温度と密接に関係していると言われる。水溶液でのコラーゲンの変性温度は、哺乳類では38℃前後であるが、魚類はおおむね哺乳類よりも低く、特に鮭等の寒流系の魚類では20℃を下回る場合もある。
一方、コラーゲンには可溶性コラーゲンと不溶性コラーゲン線維がある。
可溶性コラーゲンは、コラーゲン分子が数分子以下の集合体にまで微細化されていて、溶媒(通常は弱酸性水溶液を用いる。)に溶解して均一な透明溶液を形成する。一方、不溶性コラーゲン線維は棒状のコラーゲン分子が直列及び並列に集合した特異的なフィブリル構造を有していて、溶媒には完全には溶解せず、不透明で白色の懸濁液状を呈する。一般に、可溶性コラーゲンから得られるコラーゲン成形体よりも、不溶性コラーゲン線維から得られるコラーゲン成形体の方が機械的強度や生体内安定性に優れている。
可溶性コラーゲンは、コラーゲン分子が数分子以下の集合体にまで微細化されていて、溶媒(通常は弱酸性水溶液を用いる。)に溶解して均一な透明溶液を形成する。一方、不溶性コラーゲン線維は棒状のコラーゲン分子が直列及び並列に集合した特異的なフィブリル構造を有していて、溶媒には完全には溶解せず、不透明で白色の懸濁液状を呈する。一般に、可溶性コラーゲンから得られるコラーゲン成形体よりも、不溶性コラーゲン線維から得られるコラーゲン成形体の方が機械的強度や生体内安定性に優れている。
従来、コラーゲン材料の原料となるコラーゲンは、そのほとんどが牛皮など家畜の組織から採取されてきた。しかし、近年、BSE(牛海綿状脳症)問題が顕在化し、牛皮由来の原料を用いたコラーゲン製品により、人間に対して病原体が感染する危険性を潜在的に指摘されるに至り、安全性と資源量等の観点から、魚類由来コラーゲンが化粧品材料及び食品材料として俄に脚光を浴びている。しかし、魚類由来コラーゲンは、危険性が低い反面、変性温度が低いため家畜由来コラーゲンに比べ化粧品原料あるいは医療材料の原料として不利であると考えられ、また、魚特有の臭気の問題があった。
本発明者らは、細かく分割した魚皮を原料とし、塩類と混合して低温保存する工程を含む魚類コラーゲンの製造方法を提案した(特許文献1 特許2931814号公報)。この方法は、魚類コラーゲンの製造方法として優れたものであるが、塩蔵工程と脱塩工程が不可欠であり、プロセス全体として時間を要するという問題がある。
上記特許と同様に細かく分割した魚皮全体を原料とするが、オゾン処理して用いる海原性コラーゲン製品及びその製造方法が開示されている(特許文献2 特許3327540号公報)。しかし、オゾン処理に特別な装置が必要であり、使用後の残存オゾンの処理などプロセス全体が煩雑になる。また、オゾン処理した製品の発色が避けられない等の問題がある。
さらに本発明者らは、細かく分割した魚皮全体を酸水溶液中に浸漬して膨潤させ、鮭皮をガーゼで除き、ろ液をペプシン消化し、透析、凍結乾燥等を経て最終的に紫外線等で架橋処理を行なうことで医療材料としての使用に耐え得る安定性を魚類由来コラーゲン材料に付与できることを提案した(特許文献3 PCT/JP02/04665)。さらに、架橋処理ではなく熱変性したコラーゲン成形体を提案している(特許文献4 特願2003−182279)。
しかし、これらの方法によっても化粧品分野あるいは医療分野におけるコラーゲン材料すべてに対して十分な安定性を付与できるわけではなく、例えば医療用途で臓器や組織を再生するための人工細胞外マトリックスとしては十分な性能を発揮するが、化粧品分野におけるフェースマスク剤、パック剤等、また、医療分野における止血材シート等に使用する場合、長時間にわたるシート形状の維持特性が不十分であった。さらに、これらの方法で魚皮から得られるコラーゲン量は比較的少量であるという問題もある。
従って、本発明は、化粧品分野においてはフェースマスク剤、パック剤等、医療分野においては止血材や人工真皮等として使用し得る、無臭乃至低臭気の安定性に優れた魚類由来コラーゲンを主成分としたシート材料を製造するためのコラーゲン材料及びその製造方法の提供を目的とする。
一般に、魚皮は、哺乳類の皮膚に比べ組織が柔らかく、表皮が極めて薄いため表皮と真皮の分離が困難で表皮と真皮とを一体として処理している。このため、成形体原料とすると着色や臭気の問題があり、特にシート状にした場合には強度的に良好なコラーゲン材料を得ることが困難である。
本発明者らは、前記問題点を改善すべく鋭意研究を重ねた結果、魚皮を酸性水溶液で膨潤させて、表皮のみを除去して真皮コラーゲンを主成分として含むように得た不溶性魚類真皮コラーゲン組成物が、低臭気、低発色かつ優れた安定性を有する不溶性コラーゲン線維からなり、化粧品材料、医療材料、及び食品材料となるシート状成形体を与えることを見出した。また、この際に酸性水溶液中に抽出される可溶性コラーゲンを添加混合することで、安定性と溶解性を所望の範囲に調整できる極めて有用なコラーゲン材料が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、原料組成物、原料組成物を材料とした成形体を提供する。
1.魚皮を酸水溶液で膨潤させた後、表皮を除去し、撹拌混合して均質化することを特徴とする実質的に真皮コラーゲン成分含有水性液からなるシートに成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
2.表皮の除去を機械的に行なう前記1に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
3.pH2〜5.5の酸性水溶液を用いる前記1または2に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
4.酸性水溶液が、塩酸、酢酸、クエン酸及びフマル酸の水溶液から選択される前記3に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
2.表皮の除去を機械的に行なう前記1に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
3.pH2〜5.5の酸性水溶液を用いる前記1または2に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
4.酸性水溶液が、塩酸、酢酸、クエン酸及びフマル酸の水溶液から選択される前記3に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
5.膨潤処理を0℃以上、魚類真皮コラーゲンの熱変性温度以下で行なう前記1乃至4のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
6.膨潤時間が6〜24時間である前記1乃至5のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
7.さらに可溶性コラーゲンを添加混合する前記1乃至6のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
8.可溶性コラーゲンが、魚皮を膨潤させるのに用いた酸性水溶液を精製することにより得られたものである前記7記載の製造方法。
6.膨潤時間が6〜24時間である前記1乃至5のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
7.さらに可溶性コラーゲンを添加混合する前記1乃至6のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
8.可溶性コラーゲンが、魚皮を膨潤させるのに用いた酸性水溶液を精製することにより得られたものである前記7記載の製造方法。
9.魚皮を酸性水溶液で膨潤させて表皮を除去して回収した実質的にコラーゲン成分含有水性液からなることを特徴とするシートに成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物。
10.魚皮を酸性水溶液で膨潤させて表皮を除去して回収した真皮と、酸性溶液中に抽出された可溶性コラーゲンの精製物とを含む前記9に記載の溶解性の調整可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物。
11.前記9または10に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物から成形したことを特徴とするコラーゲン成形体。
12.前記11に記載のフィルム状、シート状またはスポンジ状のコラーゲン成形体。
13.前記12に記載の成形体を用いた医療材料。
14.前記12に記載の成形体を用いた化粧材料。
15.前記12に記載の成形体を用いた食品材料。
10.魚皮を酸性水溶液で膨潤させて表皮を除去して回収した真皮と、酸性溶液中に抽出された可溶性コラーゲンの精製物とを含む前記9に記載の溶解性の調整可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物。
11.前記9または10に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物から成形したことを特徴とするコラーゲン成形体。
12.前記11に記載のフィルム状、シート状またはスポンジ状のコラーゲン成形体。
13.前記12に記載の成形体を用いた医療材料。
14.前記12に記載の成形体を用いた化粧材料。
15.前記12に記載の成形体を用いた食品材料。
本発明の魚類真皮コラーゲン含有組成物から得られる上記成形体は、従来の魚皮由来コラーゲン材料に比較して、シートに成形した際の強度に優れ、臭気や着色の程度がより著しく改善されている。また、魚類由来であることからコラーゲンの変性温度が低いために構造が柔らかく、家畜由来コラーゲン成形体より、しなやかで触感がよく、細胞接着性や増殖性などの生体親和性も高いという特長を有する。このため、化粧品分野におけるフェースマスク剤、パック剤等に、医療分野における止血材や人工真皮等に、あるいは食品素材等に好適に利用することができる。
本発明の方法では、魚皮を酸性水溶液で膨潤させた後、表皮を除去し、真皮コラーゲンを回収する。
本発明に用いられる魚皮の供給源となる魚類は、その種類について特に限定されるものではない。真皮が厚い魚類が好ましいが、希少な種ではコラーゲンの安定供給が困難であり、水産加工工程で発生する大量の魚皮が水産廃棄物として処理されている現状に鑑み、商業ベースで漁獲される魚類、特に水産廃棄物として処理されている魚皮を用いることが現実的である。こうした魚類の例としては、サケ、マス、ホッケ、タラ、スケトウタラ、マグロ、カツオ、サンマ、ヒラメ、カレイ、オヒョウ、アジ、サバ、カレイ、エイ、サメ等が挙げられる。
本発明に用いられる魚皮の供給源となる魚類は、その種類について特に限定されるものではない。真皮が厚い魚類が好ましいが、希少な種ではコラーゲンの安定供給が困難であり、水産加工工程で発生する大量の魚皮が水産廃棄物として処理されている現状に鑑み、商業ベースで漁獲される魚類、特に水産廃棄物として処理されている魚皮を用いることが現実的である。こうした魚類の例としては、サケ、マス、ホッケ、タラ、スケトウタラ、マグロ、カツオ、サンマ、ヒラメ、カレイ、オヒョウ、アジ、サバ、カレイ、エイ、サメ等が挙げられる。
剥離した魚皮は、そのまま未処理の状態で酸性水溶液に浸してもよい。本発明によれば、予想外なことに特別な処理を経ずに無臭乃至低臭気の製品が得られる。もっとも、特に僅かな臭気や着色が問題となる場合においては、公知の方法で前処理してから処理してもよい。前処理としては、鱗の除去、有機溶剤(アルコール、アセトン、クロロホルム等)による脱脂、酵素による脱脂、塩蔵による脱脂(特許第2931814号公報)等が挙げられる。
魚皮を酸性水溶液に浸漬すると、酸可溶性のコラーゲンが溶け出し膨潤する。用いられる酸性水溶液の種類は特に限定されるものではないが、最終用途から見て安全で、工業用として広く使用されている塩酸、酢酸、クエン酸、フマル酸等の水溶液が望ましく、特に酢酸水溶液が好ましい。
魚皮の膨潤に用いられる酸性水溶液のpHは、2.0〜5.5の間であることが好ましい。pHが2.0よりも低い場合、コラーゲン分子が加水分解を受ける場合があり好ましくない。pHが5.5よりも高い場合、魚皮の膨潤が十分に起こらない場合があり好ましくない。より好ましくは、pH3.5 〜5.0 の範囲である。
本発明の魚類真皮組成物の製造における温度条件は、その由来する生物のコラーゲン水溶液の変性温度以下から零度以上が望ましく、酸化や菌汚染などの品質劣化を考えると、零度以上+10℃以下が好ましい。
魚皮を酸性水溶液で膨潤させるための浸漬時間は、膨潤真皮を除去できるのに十分な膨潤が起こっていれば特に限定されるものではなく、魚皮の由来、pH、温度などの条件により異なる。浸漬時間が長すぎて魚皮が過度に膨潤すると表皮の除去が困難になる場合もある。「十分な膨潤」の目安としては、真皮層の水分含有量が90%以上であること、望ましくは、94〜97%の間になることである。本発明の魚類真皮組成物の製造における浸漬時間は、上記pH、温度範囲では、6〜24時間程度が好ましい。
かくして酸性水溶液で膨潤した魚皮から表皮を除去する。表皮の除去は任意の方法で行なうことができるが、機械的方法が好ましい。すなわち、表皮と真皮の分離は、真皮のみを可溶化する化学的方法により行なうことも可能であるが、好ましくは、機械的に表皮を除去し、真皮コラーゲンを回収する。機械的な除去により真皮に含まれる臭気成分等はそのまま表皮とともに効果的に分離され、残った真皮からは無臭または低臭気でかつ強度に優れたシートへの成形が可能なコラーゲン材料が得られる。なお、本発明において「機械的」とは、「化学的」に対する手法全般を指し、特に何らかの器具を用いて表皮と真皮とを分離することを言う。例えば、ヘラやナイフ等の物理的な分離手段を用いて真皮−表皮間を切り分けて分離すればよい。
これらの操作は手作業でもよいし、機械操作でもよい。好ましくは、真皮−表皮間を切り分けて両者を分離した後、比較的粗いメッシュの篩別手段や遠心分離等を用いて表皮を除去する。これにより、白色懸濁液状の不透明な線維化した魚類コラーゲンを豊富に含有する魚類真皮コラーゲン含有組成物が得られる。
本発明の魚類真皮コラーゲン含有組成物は、コラーゲンシート成形体の材料としてそのまま用いることもできるが、流動性に乏しくて取り扱いが困難な場合があるので、上述のようにして分離した魚類真皮コラーゲン組成物に、酸性水溶液を加えた後、線維が破壊されず、かつ気泡が入らないように穏やかに撹拌して均質化し静置することによって流動性を改善することができる。
加える酸性水溶液の量は、魚類真皮組成物に対し質量比で1〜3倍の間が好ましい。1倍以下では流動性の改善が見られない場合があり、3倍以上では魚類真皮組成物中のコラーゲン濃度が低くすぎて、成形体の物性に悪影響を与える場合があり好ましくない。加える酸性水溶液は、魚皮の膨潤に用いた酸性水溶液と同じものでよいが、pH、濃度あるいは酸の種類は異なっていてもよい。
本発明の魚類真皮コラーゲン含有組成物には、最終的な成形体における強度、柔軟性、臭気あるいは着色などの物性を制御する目的で可溶性コラーゲン水溶液を加えることができる。ここで、可溶性コラーゲンは、魚皮から酸抽出、酵素抽出あるいは酸抽出と酵素処理の組み合わせなど慣用の方法で可溶化された透明な均一なコラーゲンをいう。可溶性コラーゲンは、コラーゲン分子両端に存在する非螺旋領域を除去してアテロコラーゲンとしたものでもよい。本発明では特に、魚皮を膨潤させる際に用いた酸性水溶液から適当な方法、例えば、表皮片や鱗等の夾雑物をろ過で除去した後、塩析等の方法により沈殿させ、再可溶化−透析等を経て精製したものを用いることができる。このような方法を用いることにより、魚皮中に含まれるコラーゲンを最大限に回収することができる。
添加する可溶化コラーゲン水溶液のpH等は、上記魚皮の膨潤に用いられた酸性水溶液に準ずる。可溶化コラーゲン水溶液の可溶性コラーゲン濃度は、添加後の可溶性コラーゲンの終濃度で、0.01〜1.0(w/v)%の間が好ましい。0.01(w/v)%以下では可溶化コラーゲン水溶液を加えることによる上記物性制御が不十分であり、1.0(w/v)%以上では可溶性コラーゲンの流動性が著しく低下して、取り扱いが困難になる場合があり好ましくない。
不溶性コラーゲンに対する可溶化コラーゲン水溶液の量比は、用途、特に目的とする溶解性や可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲン濃度に依存する。一般に安定なコラーゲンシートとするためには、組成物中の全コラーゲンを不溶性コラーゲンとすることが好ましいが、このようなコラーゲンは表面がしなやかさに欠けるため、通常は全コラーゲン10%以上を可溶化コラーゲンとすることが好ましい。
さらに、本発明の魚類真皮コラーゲン含有組成物あるいはその成形体には、その機械的強度や安定性を制御する目的で、公知の架橋処理を行なうことができる。
架橋方法は化学的架橋法と物理的架橋法に大別される。化学的架橋法としては、アルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネート系架橋剤などを使用できる。物理的架橋法としては、紫外線架橋、γ線架橋、脱水熱架橋などの方法を用いることができる。これらの架橋剤や架橋方法は当業者にはよく知られたものである。
架橋方法は化学的架橋法と物理的架橋法に大別される。化学的架橋法としては、アルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテル、イソシアネート系架橋剤などを使用できる。物理的架橋法としては、紫外線架橋、γ線架橋、脱水熱架橋などの方法を用いることができる。これらの架橋剤や架橋方法は当業者にはよく知られたものである。
本発明の魚類真皮コラーゲン含有組成物は、特にシート成形及び発泡体シート成形に適している。その理由の詳細は定かではないが、コラーゲンの構造、及び後述の実施例に示すように夾雑物が少ないことによるものと考えられる。
シートは、厚さ0.1mm未満の薄膜(フィルム)および0.1mm以上のシートを含む(本発明では特に断らない限りこれらを併せて「シート」と呼ぶ)。成形方法としては、熱変性等によりコラーゲン成形体としてのしなやかさ、弾力、触感、吸水性が失われない方法であれば特に限定されないが、操作性及び得られる成形体の物性の観点から、上記組成物をそのまま、またはさらに揮発性溶媒に溶解または懸濁させて型に流し込むか、平面に塗付し凍結乾燥、空気乾燥等する方法が好ましく用いられる。シート成形時の懸濁液を撹拌するか空気を吹き込むことによりスポンジ状多孔体シートとしてもよい。また、本発明の組成物はシート成形性とともに紡糸性にも優れており、湿式紡糸等によって糸状あるいは綿状物とすることもできる。
以上の特性の改善により、本発明のコラーゲン成形体は医療材料、化粧材料、食品材料等に幅広く用いることができる。
シートは、厚さ0.1mm未満の薄膜(フィルム)および0.1mm以上のシートを含む(本発明では特に断らない限りこれらを併せて「シート」と呼ぶ)。成形方法としては、熱変性等によりコラーゲン成形体としてのしなやかさ、弾力、触感、吸水性が失われない方法であれば特に限定されないが、操作性及び得られる成形体の物性の観点から、上記組成物をそのまま、またはさらに揮発性溶媒に溶解または懸濁させて型に流し込むか、平面に塗付し凍結乾燥、空気乾燥等する方法が好ましく用いられる。シート成形時の懸濁液を撹拌するか空気を吹き込むことによりスポンジ状多孔体シートとしてもよい。また、本発明の組成物はシート成形性とともに紡糸性にも優れており、湿式紡糸等によって糸状あるいは綿状物とすることもできる。
以上の特性の改善により、本発明のコラーゲン成形体は医療材料、化粧材料、食品材料等に幅広く用いることができる。
以下、本発明を実施例と比較例によってより具体的に説明する。
はじめに各種測定方法を示す。
1.溶解性の測定
以下の操作により、コラーゲン凍結乾燥標品(コラーゲンシート)の溶解性(%)を求めた。
コラーゲン凍結乾燥標品を、五酸化リン入りデシケーター中にて室温で24時間真空乾燥後、精秤して試料重量とした。コラーゲン凍結乾燥標品を約10倍量のPBS(リン酸緩衝食塩水)に浸漬し、37℃で3日間静置し、上清をポアサイズ0.45μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液の230nmの吸光度を測定し、検量線により、ろ液中のゼラチン濃度を定量した。試料重量とゼラチン濃度から溶解性(%)を算出した。
はじめに各種測定方法を示す。
1.溶解性の測定
以下の操作により、コラーゲン凍結乾燥標品(コラーゲンシート)の溶解性(%)を求めた。
コラーゲン凍結乾燥標品を、五酸化リン入りデシケーター中にて室温で24時間真空乾燥後、精秤して試料重量とした。コラーゲン凍結乾燥標品を約10倍量のPBS(リン酸緩衝食塩水)に浸漬し、37℃で3日間静置し、上清をポアサイズ0.45μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液の230nmの吸光度を測定し、検量線により、ろ液中のゼラチン濃度を定量した。試料重量とゼラチン濃度から溶解性(%)を算出した。
3.一般分析
本発明の魚類真コラーゲン含有皮抽出物の性状を定量的に把握する目的で、以下の方法で、魚類真皮コラーゲン含有抽出物の各種一般的性質の分析を行なった。
本発明の魚類真コラーゲン含有皮抽出物の性状を定量的に把握する目的で、以下の方法で、魚類真皮コラーゲン含有抽出物の各種一般的性質の分析を行なった。
2.官能検査
以下の方法で、成形体シート(コラーゲン凍結乾燥標品)の材料適性を確認する目的で、臭い、色、触感について、官能検査を行なった。
パネラー10人により以下の表による5段階評価を行なった。各項目についてパネラー10人の平均値をとり、評点とした。臭い、触感については試料を約10倍量の蒸留水に浸した吸水時の評価も併せて行なった。
以下の方法で、成形体シート(コラーゲン凍結乾燥標品)の材料適性を確認する目的で、臭い、色、触感について、官能検査を行なった。
パネラー10人により以下の表による5段階評価を行なった。各項目についてパネラー10人の平均値をとり、評点とした。臭い、触感については試料を約10倍量の蒸留水に浸した吸水時の評価も併せて行なった。
3.一般分析
本発明の魚類真皮コラーゲン含有抽出物(組成物)の性状を定量的に把握する目的で、以下の方法で、魚類真皮コラーゲン含有抽出物(組成物)の各種一般的性質の分析を行なった。
本発明の魚類真皮コラーゲン含有抽出物(組成物)の性状を定量的に把握する目的で、以下の方法で、魚類真皮コラーゲン含有抽出物(組成物)の各種一般的性質の分析を行なった。
(1) 粘度測定法
試料粘度は、温度5℃の条件下で酢酸によりpHを3.5に調整し、粘度測定装置(Malcom viscometer PM-2A(株式会社マルコム製))により測定した。
試料粘度は、温度5℃の条件下で酢酸によりpHを3.5に調整し、粘度測定装置(Malcom viscometer PM-2A(株式会社マルコム製))により測定した。
(2) コラーゲン濃度測定方法
試料中のコラーゲン濃度は、ケルダール法に測定した窒素量から推定した。
すなわち、試料を一晩、105℃で通風乾燥し、加熱分解後に生成したアンモニアをホウ酸溶液に捕集した後、硫酸で滴定し、滴定量より算出した窒素量に、コラーゲンのアミノ酸組成の窒素割合から算出した係数5.6(化粧品種別配合成分規格「水溶性コラーゲン試験法」による。)を乗じてコラーゲン定量値とした。
試料中のコラーゲン濃度は、ケルダール法に測定した窒素量から推定した。
すなわち、試料を一晩、105℃で通風乾燥し、加熱分解後に生成したアンモニアをホウ酸溶液に捕集した後、硫酸で滴定し、滴定量より算出した窒素量に、コラーゲンのアミノ酸組成の窒素割合から算出した係数5.6(化粧品種別配合成分規格「水溶性コラーゲン試験法」による。)を乗じてコラーゲン定量値とした。
(3) 強熱残分
試料中の強熱残分は、直接灰化法により、磁器るつぼ(オーブンで恒量にしたもの。W0gとする)に試料2〜3g(Sgとする)を入れてガスバーナーで均等に炭化し、蓋を少しずらしてマッフル炉に入れて、550〜600℃で一晩加熱、デシケーター中で放冷して測定する(Wgとする)。
恒量になるまで灰化→放冷→測定を繰り返し、以下の計算により強熱残分をもとめた。
強熱残分(%)=((W−W0)/S)×100
試料中の強熱残分は、直接灰化法により、磁器るつぼ(オーブンで恒量にしたもの。W0gとする)に試料2〜3g(Sgとする)を入れてガスバーナーで均等に炭化し、蓋を少しずらしてマッフル炉に入れて、550〜600℃で一晩加熱、デシケーター中で放冷して測定する(Wgとする)。
恒量になるまで灰化→放冷→測定を繰り返し、以下の計算により強熱残分をもとめた。
強熱残分(%)=((W−W0)/S)×100
(4) 水分
カールフィッシャー法(衛生試験法・注解 1990 金原出版(株))による。
カールフィッシャー法(衛生試験法・注解 1990 金原出版(株))による。
(5) 脂質
ソックスレー法による。
フラスコを105℃のオーブンで乾燥し、デシケーター中で放冷、重量を測定(恒量)する。試料約5gを円筒ろ紙に入れ、脱脂綿を上にのせてふたをし、ソックスレー抽出管に入れる。
フラスコにエーテルを容量の2/3程度入れ、60℃で一晩、ソックスレー抽出装置で脂質を抽出する。フラスコのエーテルをエバポレーターで除去し、105℃のオーブンで乾燥、デシケーターで放冷、秤量。恒量になるまで繰り返し、秤量して脂質重量を算出する。
ソックスレー法による。
フラスコを105℃のオーブンで乾燥し、デシケーター中で放冷、重量を測定(恒量)する。試料約5gを円筒ろ紙に入れ、脱脂綿を上にのせてふたをし、ソックスレー抽出管に入れる。
フラスコにエーテルを容量の2/3程度入れ、60℃で一晩、ソックスレー抽出装置で脂質を抽出する。フラスコのエーテルをエバポレーターで除去し、105℃のオーブンで乾燥、デシケーターで放冷、秤量。恒量になるまで繰り返し、秤量して脂質重量を算出する。
(6) 元素含有量
重金属(Pb、Hg、Cd)は硫化ナトリウム比色法(分光光度計 UVmini1240 島津製作所)により、As他は原子吸光光度法による(原子吸光分光光度計AA-6650 島津製作所)による。
重金属(Pb、Hg、Cd)は硫化ナトリウム比色法(分光光度計 UVmini1240 島津製作所)により、As他は原子吸光光度法による(原子吸光分光光度計AA-6650 島津製作所)による。
(7) pHは特に断らない限り25℃で測定し、pH7及び4のpH標準液で校正した。
実施例1:本発明魚類真皮コラーゲン含有抽出物(組成物)の製造
1−1:魚皮からの不溶性コラーゲン含有抽出物の製造
(1) 鮭皮の脱脂
鮭皮100gをおよそ5cm四方に細断した。これを2倍量のエタノールで30分間撹拌して処理をした。この工程を3回行なった。その後水道水で1時間流水洗浄行ない、30分水切りを行なった。これ以降の工程は、全て10℃以下で行なった。
1−1:魚皮からの不溶性コラーゲン含有抽出物の製造
(1) 鮭皮の脱脂
鮭皮100gをおよそ5cm四方に細断した。これを2倍量のエタノールで30分間撹拌して処理をした。この工程を3回行なった。その後水道水で1時間流水洗浄行ない、30分水切りを行なった。これ以降の工程は、全て10℃以下で行なった。
(2) 真皮の膨潤
真皮の膨潤は、鱗を取り除かない鮭皮で行なうと形崩れがなく、表皮除去がしやすいため鱗を付けた状態で行なった。細断した鮭皮を、網目の粗いザルに真皮部分が膨潤しやすいように、真皮部分を上にして各片が重ならないように置き、5℃の0.5M酢酸2Lに浸漬、静置した。
12時間後、真皮が十分に膨潤しているのを確認し、ザルを酢酸溶液から取出し水切りをした。
真皮の膨潤は、鱗を取り除かない鮭皮で行なうと形崩れがなく、表皮除去がしやすいため鱗を付けた状態で行なった。細断した鮭皮を、網目の粗いザルに真皮部分が膨潤しやすいように、真皮部分を上にして各片が重ならないように置き、5℃の0.5M酢酸2Lに浸漬、静置した。
12時間後、真皮が十分に膨潤しているのを確認し、ザルを酢酸溶液から取出し水切りをした。
(3) 表皮除去
まな板に表皮部分が下になるように細断鮭皮を一枚づつ置き、表皮と真皮の境目にヘラをいれ、巻き取るように真皮膨潤部分を取出し、真皮コラーゲン含有組成物を得た。
この時、目視で確認できる異物(表皮)は、完全に取り除いた。
まな板に表皮部分が下になるように細断鮭皮を一枚づつ置き、表皮と真皮の境目にヘラをいれ、巻き取るように真皮膨潤部分を取出し、真皮コラーゲン含有組成物を得た。
この時、目視で確認できる異物(表皮)は、完全に取り除いた。
(4) 真皮コラーゲン含有組成物の均質化
この真皮組成物に、5℃の0.5M酢酸溶液を容積比で1:1に加え、5分間撹拌後、5℃以下で、24時間静置した。真皮コラーゲン含有組成物が懸濁して均質化したのを確認後、ろ過布でゆっくりろ過を行い、ろ液を再度撹拌した。溶液と真皮懸濁液が分離していると、シート成形が難しいため、均質になるまで注意深く撹拌し、魚類真皮コラーゲン含有組成物約300gを得た。
この真皮組成物に、5℃の0.5M酢酸溶液を容積比で1:1に加え、5分間撹拌後、5℃以下で、24時間静置した。真皮コラーゲン含有組成物が懸濁して均質化したのを確認後、ろ過布でゆっくりろ過を行い、ろ液を再度撹拌した。溶液と真皮懸濁液が分離していると、シート成形が難しいため、均質になるまで注意深く撹拌し、魚類真皮コラーゲン含有組成物約300gを得た。
1−2:魚皮からの可溶性コラーゲン含有組成物の製造
およそ5cm四方に細断した鮭皮100gを2倍量のエタノールで30分間撹拌して処理をした。この工程を3回行なった。その後水道水で1時間流水洗浄を行ない、30分水切りを行なった。
5℃の0.5M酢酸2Lに2日間浸漬し、鮭皮を取り除いた後の溶液を5℃、8000rpmで15分間遠心分離し、残渣を取り除き、上清に終濃度1Mとなるように濃NaCl水溶液を加え、塩析操作を行なった。
沈殿物を回収して0.5M酢酸水溶液にコラーゲン含有量が2.5%になるように溶解し、セルロースチューブによりpHが中性になるまで蒸留水に対して透析し、可溶性コラーゲン溶液約100mlを得た。
およそ5cm四方に細断した鮭皮100gを2倍量のエタノールで30分間撹拌して処理をした。この工程を3回行なった。その後水道水で1時間流水洗浄を行ない、30分水切りを行なった。
5℃の0.5M酢酸2Lに2日間浸漬し、鮭皮を取り除いた後の溶液を5℃、8000rpmで15分間遠心分離し、残渣を取り除き、上清に終濃度1Mとなるように濃NaCl水溶液を加え、塩析操作を行なった。
沈殿物を回収して0.5M酢酸水溶液にコラーゲン含有量が2.5%になるように溶解し、セルロースチューブによりpHが中性になるまで蒸留水に対して透析し、可溶性コラーゲン溶液約100mlを得た。
比較例1:全皮からの魚類真皮コラーゲン含有抽出物の製造
鮭皮100gをおよそ5cm四方に細断した。これを2倍量のエタノールで30分間撹拌して処理をした。この工程を3回行なった。その後水道水で1時間流水洗浄行ない、30分水切りを行なった。
5℃の0.5M酢酸2Lに浸漬し、浸漬12時間後より撹拌を開始し、約2日間溶液が均質になるまで撹拌した。ろ過布でろ過し、ろ液中に全鮭皮から回収した魚類真皮コラーゲン含有抽出物約1.6Lを得た。
鮭皮100gをおよそ5cm四方に細断した。これを2倍量のエタノールで30分間撹拌して処理をした。この工程を3回行なった。その後水道水で1時間流水洗浄行ない、30分水切りを行なった。
5℃の0.5M酢酸2Lに浸漬し、浸漬12時間後より撹拌を開始し、約2日間溶液が均質になるまで撹拌した。ろ過布でろ過し、ろ液中に全鮭皮から回収した魚類真皮コラーゲン含有抽出物約1.6Lを得た。
実施例2
以下の手順により、魚類真皮コラーゲン含有抽出物成形体シート1および2を作成した。成形体シート調製にあたり、ステンレス容器へのキャスティング厚は約10mm(乾燥時に約1mmとなる。)とした。
2−1:成形体シート1の調製
実施例1で調製した不溶性コラーゲン(コラーゲン濃度は2.5%に調整)60mlを、ホモジェナイザーにより5000rpmで15分撹拌し、撹拌後液を静置し、ステンレス容器に空気が入らないよう静かにまんべんなく流し込み、−60℃で急速冷却し、1時間後にステンレス容器から取出し、−20℃で一晩置いた後、4日間、凍結乾燥を行なった。凍結乾燥後、50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去し、実施例3及び4に供した。
以下の手順により、魚類真皮コラーゲン含有抽出物成形体シート1および2を作成した。成形体シート調製にあたり、ステンレス容器へのキャスティング厚は約10mm(乾燥時に約1mmとなる。)とした。
2−1:成形体シート1の調製
実施例1で調製した不溶性コラーゲン(コラーゲン濃度は2.5%に調整)60mlを、ホモジェナイザーにより5000rpmで15分撹拌し、撹拌後液を静置し、ステンレス容器に空気が入らないよう静かにまんべんなく流し込み、−60℃で急速冷却し、1時間後にステンレス容器から取出し、−20℃で一晩置いた後、4日間、凍結乾燥を行なった。凍結乾燥後、50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去し、実施例3及び4に供した。
2−2:成形体シート2の調製
実施例1で調製した不溶性コラーゲン(コラーゲン濃度は2.5%に調整)と可溶性コラーゲン水溶液(コラーゲン濃度は2.5%に調整)を等容積混合し、前記と同じ方法で凍結乾燥試料を作成した。凍結乾燥後、50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去した後、実施例3に供した。
実施例1で調製した不溶性コラーゲン(コラーゲン濃度は2.5%に調整)と可溶性コラーゲン水溶液(コラーゲン濃度は2.5%に調整)を等容積混合し、前記と同じ方法で凍結乾燥試料を作成した。凍結乾燥後、50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去した後、実施例3に供した。
比較例2
実施例2−2(成形体シート2の調製)において、可溶性コラーゲンの代わりに30mM食塩含有70mMリン酸緩衝液(pH6.1)を用いた他は同様にして可溶性コラーゲン溶液による凍結乾燥試料を作成した。凍結乾燥後、50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去した後、実施例3に供した。
実施例2−2(成形体シート2の調製)において、可溶性コラーゲンの代わりに30mM食塩含有70mMリン酸緩衝液(pH6.1)を用いた他は同様にして可溶性コラーゲン溶液による凍結乾燥試料を作成した。凍結乾燥後、50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去した後、実施例3に供した。
比較例3
比較例1で調製した全皮から調製した魚類真皮コラーゲン含有抽出物を用いた他は、実施例2−1(成形体シート1の調製)と同様にして凍結乾燥試料を作成した。50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去した後、実施例4に供した。
比較例1で調製した全皮から調製した魚類真皮コラーゲン含有抽出物を用いた他は、実施例2−1(成形体シート1の調製)と同様にして凍結乾燥試料を作成した。50℃で3日間減圧乾燥して残存酢酸臭を除去した後、実施例4に供した。
実施例3:成形体シートの溶解性試験
上述の測定方法1(溶解性の測定)に記載した方法により、本発明による不溶性コラーゲン含有組成物、本発明による不溶性コラーゲン含有組成物+可溶性コラーゲン含有組成物の混合物、および可溶性コラーゲン含有組成物からそれぞれ調製した成形体の溶解性を比較した。結果を表2に示す。
上述の測定方法1(溶解性の測定)に記載した方法により、本発明による不溶性コラーゲン含有組成物、本発明による不溶性コラーゲン含有組成物+可溶性コラーゲン含有組成物の混合物、および可溶性コラーゲン含有組成物からそれぞれ調製した成形体の溶解性を比較した。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明魚類真皮コラーゲン含有抽出物及び本発明魚類真皮コラーゲン含有組成物+可溶性コラーゲン含有組成物の混合物の溶解性は39〜69%の間で調整可能である。また、従来の可溶性コラーゲンから得られる成形体に比べ優れた安定性を示し、由来材料の溶解性をコントロールすることで、化粧品材料、医療材料、及び食品材料の幅広い分野で使用可能なさまざまな溶解性を有するシート状成形体を提供することができる。
実施例4:コラーゲンシート成形体の官能検査
上述の測定方法2(官能検査)に記載した方法により、実施例2−1で調製した成形体シート1と比較例3で調製した全皮コラーゲン含有成形体シートの性能を比較した。結果を表3に示す。
なお、残存酢酸を50℃減圧乾燥で除去した後、酢酸臭を取り除くためさらに3日間常温に放置したものを試料として官能検査に供した。
上述の測定方法2(官能検査)に記載した方法により、実施例2−1で調製した成形体シート1と比較例3で調製した全皮コラーゲン含有成形体シートの性能を比較した。結果を表3に示す。
なお、残存酢酸を50℃減圧乾燥で除去した後、酢酸臭を取り除くためさらに3日間常温に放置したものを試料として官能検査に供した。
表3から明らかなように、本発明魚類真皮コラーゲン含有抽出物で作成した成形体シートは、従来の全皮由来コラーゲン含有組成物で作成した成形体シートに比べ臭気、着色などの不純物の影響が格段に少なく、コラーゲン成形体シートの重要な特長である吸水時の触感がきわめてよいことがわかる。
上述の測定方法3(一般分析)に記載した方法で、本発明の魚類真皮コラーゲン含有抽出物の性状を定量的に把握する目的で、実施例1−1に記載した方法で取得した魚類真皮コラーゲン含有抽出物(不溶性コラーゲン)の一般分析を行なった。結果を表4に示す。
本発明の魚類真皮コラーゲン含有抽出物は、表4に示す物性や一般分析結果を有するが、本発明は表4に示す分析結果の範囲に限定されるものではない。
Claims (15)
- 魚皮を酸水溶液で膨潤させた後、表皮を除去し、撹拌混合して均質化することを特徴とする実質的に真皮コラーゲン成分含有水性液からなるシートに成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- 表皮の除去を機械的に行なう請求項1に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- pH2〜5.5の酸性水溶液を用いる請求項1または2に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- 酸性水溶液が、塩酸、酢酸、クエン酸及びフマル酸の水溶液から選択される請求項3に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- 膨潤処理を0℃以上、魚類真皮コラーゲンの熱変性温度以下で行なう請求項1乃至4のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- 膨潤時間が6〜24時間である請求項1乃至5のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- さらに可溶性コラーゲンを添加混合する請求項1乃至6のいずれかに記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法。
- 可溶性コラーゲンが、魚皮を膨潤させるのに用いた酸性水溶液を精製することにより得られたものである請求項7記載の製造方法。
- 魚皮を酸性水溶液で膨潤させて表皮を除去して回収した実質的にコラーゲン成分含有水性液からなることを特徴とするシートに成形可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物。
- 魚皮を酸性水溶液で膨潤させて表皮を除去して回収した真皮と、酸性溶液中に抽出された可溶性コラーゲンの精製物とを含む請求項9に記載の溶解性の調整可能な魚類真皮コラーゲン含有組成物。
- 請求項9または10に記載の魚類真皮コラーゲン含有組成物から成形したことを特徴とするコラーゲン成形体。
- 請求項11に記載のフィルム状、シート状またはスポンジ状のコラーゲン成形体。
- 請求項12に記載の成形体を用いた医療材料。
- 請求項12に記載の成形体を用いた化粧材料。
- 請求項12に記載の成形体を用いた食品材料。
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JP2003287012A JP2005053847A (ja) | 2003-08-05 | 2003-08-05 | 魚類真皮コラーゲン含有組成物の製造方法、魚類真皮コラーゲン含有組成物及びその組成物を用いた成形体 |
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---|---|---|---|---|
JP2007061013A (ja) * | 2005-08-31 | 2007-03-15 | Fuji Oil Co Ltd | 再水和用たん白素材 |
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-
2003
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