JP2016075011A - 粒状綿複合シート - Google Patents

粒状綿複合シート Download PDF

Info

Publication number
JP2016075011A
JP2016075011A JP2014207618A JP2014207618A JP2016075011A JP 2016075011 A JP2016075011 A JP 2016075011A JP 2014207618 A JP2014207618 A JP 2014207618A JP 2014207618 A JP2014207618 A JP 2014207618A JP 2016075011 A JP2016075011 A JP 2016075011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
granular cotton
sheet
granular
fiber
cotton
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014207618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6231967B2 (ja
Inventor
大 丸山
Masaru Maruyama
大 丸山
朗 内山田
Akira Uchiyamada
朗 内山田
河端 秀樹
Hideki Kawabata
秀樹 河端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo STC Co Ltd
Original Assignee
Toyobo STC Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo STC Co Ltd filed Critical Toyobo STC Co Ltd
Priority to JP2014207618A priority Critical patent/JP6231967B2/ja
Publication of JP2016075011A publication Critical patent/JP2016075011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6231967B2 publication Critical patent/JP6231967B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】衣料、寝具、家具、工業材料、医療用品等の分野において、シートとして取り扱うことができ、吹込み工程やカード工程を経ずに加工が可能で、良好な風合いを有し、使用時の応力や洗濯により繊維がフェルト化や偏りを起こさない素材を提供する。【解決手段】繊維シートと粒状綿層を備えた粒状綿複合シートであって、多数の粒状綿の少なくとも一部分が繊維シートに接着されて、粒状綿層が形成されていることを特徴とする粒状綿複合シートである。【選択図】図1

Description

本発明は、衣料、寝具、家具、工業材料、医療用品等に利用できる粒状綿複合シートに関し、詳しくは、良好な風合いを持ち、吹込み工程やカード工程を経ずに加工でき、洗濯しても、側地の中で、偏ったり、フェルト化したりすることのない粒状綿複合シートに関する。
一般的に、羽毛や詰め綿等を備える衣類や寝具は、カード工程で短繊維の繊維方向を揃えて重ね合わせて得られるカードウエッブを側地の中に入れる手法や、短繊維や羽毛をそのまま予め袋状にした側地の中に空気流で吹き込む手法によって生産されている。カードウエッブを詰めた後に形状を整形加工することはできず、また、カードウエッブは触感が硬く、平坦である。また、側地の中に、短繊維や羽毛等の集合体を詰める手法は、工程が複雑であり、カードウエッブと同様に、形状を整形加工することは難しい。
また、これらのカードウエッブや吹き込み充填材は、使用時や洗濯時に繰り返し圧縮や伸長を受けると、側地内で偏りを起こしたり、繊維が密に絡まってフェルト化を引き起こし、風合いが悪いものになってしまうという問題があった。
これらの問題に対して、従来から種々のアプローチが検討されている。例えば、特許文献1には、熱接着性繊維と各種太さの繊維を混合し、嵩高性、嵩高回復性を確保した詰め綿用混合原綿が記載されている。一方、特許文献2には、非弾性ポリエステル短繊維を熱接着性繊維としての熱可塑性ポリエステル系エラストマーと組み合わせて、シート状クッション材を作ることが記載されている。しかしながらこれらの方法は、繊維同士を接着しているため繊維の動きが制限され、また、繊維密度も高くなることから、熱接着後の原綿が硬くなり、風合いが悪いものになってしまい、衣料や寝具に用いるには改善の余地があった。
また、特許文献3には、捲縮を有し、かつ繊度の異なる複数の繊維を混綿した混綿詰め綿が開示されているが、繊維同士を均一に混合することが難しく、使用後にフェルト化を起こしやすいため、衣料や寝具に用いるには改善の余地があった。
一方、主に合成繊維製短繊維を空気流や製造装置内の構造物との摩擦等で交絡させ、粒状の集合体にした「粒状綿」も吹き込み綿として利用されている。この粒状綿はそれ自体が一つの構造材として働くため、同じ組成の短繊維によるカードウエッブや、ただの短繊維からなる吹き込み綿と比較すると、圧縮時の回復性に優れるものである。従来は、粒状綿自体をそのまま、予め縫製した側地等の中に入れ、詰め綿として使用していた。この側地の中に粒状綿を入れる方法としては、空気流での吹き込みや、手作業で入れる方法等がある。空気流で吹き込む方法では、複雑な形状の側地に均一に入れることが難しく、粒状綿の形状、繊維の摩擦、粒自体の絡みあいが強い場合は、吹き込み加工自体ができないことがあった。また、手作業による詰め込みでは、作業する人員の習熟度によって、出来上がり品質に差異が生じ、時間もかかることから、工業生産性が低かった。
粒状綿に熱接着成分を含む繊維を混合し、熱処理を行うことにより粒状綿同士を接着させ硬綿状シート状にする方法もあるが、粒状綿同士が前後左右で接着してしまい、一つのシートとなるため、粒状綿の特性であるクッション性や、粒状綿を触ったときに感じられるつぶつぶふわふわ感(以下、点触感)といった良好な風合いが損なわれてしまい、好ましくない。
特開2013−177701号公報 特開平9−143848号公報 特開2012−214951号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解消するために創案されたものであり、吹き込み工程やカード工程を使わず作製でき、風合い・触感が良好で、圧縮後の嵩回復性に優れ、洗濯時の外力による繊維の偏りやフェルト化を起こさない、衣料や寝具等に適したシート状の素材を提供することを課題として掲げた。
本発明者等は、粒状綿同士を接着せずにシート化する方法を鋭意検討した結果、合成樹脂等を繊維化し粒状に丸めて構造体化した粒状綿で繊維シートを覆い、粒状綿の少なくとも一部を繊維シートに接着させてシート化することにより、本発明の上記課題が解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであり、以下の(1)〜(4)の構成を有するものである。
(1)繊維シートと粒状綿層を備えた粒状綿複合シートであって、多数の粒状綿の少なくとも一部分が繊維シートに接着されて、粒状綿層が形成されていることを特徴とする粒状綿複合シート。
(2)繊維シートが不織布である(1)に記載の粒状綿複合シート。
(3)繊維シートが目付け10〜40g/m2の長繊維不織布である(1)または(2)に記載の粒状綿複合シート。
(4)繊維シートと粒状綿は、目付け15〜50g/m2、融点110〜180℃の接着シートで接着されている(1)〜(3)のいずれかに記載の粒状綿複合シート。
本発明の粒状綿複合シートは、粒状綿と繊維シートとが複合化され、粒状綿をシート状にして取り扱うことができるため、吹き込み工程やカード工程を使わず作製でき、風合い・触感が良好で、圧縮後の嵩回復性に優れ、洗濯時の外力による繊維の偏りやフェルト化を起こさない、衣料や寝具等に適したシート状の素材を提供することができた。
本発明の粒状綿複合シートの製造方法の一例を示す図である。 本発明の粒状綿複合シートの積層構造の一例を示す図である。 本発明の粒状綿複合シートの積層構造の他の例である。 本発明の粒状綿複合シートの積層構造の別の例である。
本発明の粒状綿複合シートは、主としてシートのクッション性や保温性に寄与し、多数の粒状綿からなる粒状綿層と、個々の粒状綿の少なくとも一部と接着し、粒状綿を保持するための繊維シートとによって構成される。粒状綿の少なくとも一部が繊維シートに接着している構成のため、粒状綿をシートのように取り扱うことができ、使用や洗濯によるフェルト化や偏りをなくすことができる。また、粒状綿の全体を繊維シートと接着させていないため、粒状綿のクッション性を損なうことなく、側地に組み込んだ後でも、吹き込んだ粒状綿と同等の柔らかい風合いを保つことができる。
本発明の粒状綿複合シートを構成する要素として、粒状綿を使用することは必須である。粒状綿は短繊維が絡まり合って粒状の集合体となっており、粒それ自体がひとつの構造体として働くため、同じ組成の短繊維によるカードウエッブや、短繊維等の吹き込み物と比較して、圧縮時の回復性に極めて優れている。また、形状が粒であるため、側地に入れた後でも、側地表面側から手で触ったときの触感が点触感(手と粒状綿とが点で接触している感覚)となり、ガードウエッブを手で触ったときのような平坦な感触とは大きく異なった触感となる。
本発明で用いる粒状綿は、既存の技術を利用して得ることができ、短繊維を粒状綿化すればよい。例えば、特開平1−174362号公報や特許第3523262号公報に示される方法等、公知の方法で粒状綿化することができる。好ましくは、回転装置の壁面と短繊維との機械的な接触を少なくし、空気流の中で短繊維を3次元的に回転させ、絡み合いを持たせながら、略球状に加工することが望ましい。形状は球状に近いほうが好ましく、粒径は2〜10mm程度が、クッション性、嵩回復性、手触り感がよくなるため、好ましい。粒状綿の材料となる短繊維の繊度は2〜20dTex、繊維長は10〜38mmが好ましい。上記の範囲を超えると粒状綿化することが困難になり、形状がいびつになってしまう。また、繊度が小さすぎたり、繊維長が短い原綿は、得られる粒状綿の粒径が小さくなり、粒状綿自体の嵩が小さくなるため、好ましくない。
本発明の粒状綿に使用する繊維としては、異形断面も使用できる。粒状綿化を容易にするためには、構成する短繊維自体に立体型の捲縮が付与されていることが望ましく、捲縮付与のために異形断面を用いてもよい。断面形状としては、中空断面、三角断面、扁平断面等が挙げられる。
粒状綿の素材としては、合成繊維のポリフェニレンサルファイド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン繊維等が好ましく用いられる。中でも、ポリエステル系繊維が、機械的特性、加工性、入手容易性等の面で特に好ましい。粒状綿の形態を保てるのであれば、これら合成繊維同士の混合、天然繊維との混合を行ってもよい。
ポリエステル系繊維は優れた機械的性質と耐薬品性を持つ熱可塑性樹脂である。製糸時の流動性を向上するためポリマーアロイ化してもよく、酸化防止剤、艶消剤、着色剤、染色性向上剤、難燃性向上剤、制電剤等を添加しても差支えない。
また本発明では粒状綿層の少なくとも一部が繊維シートと接着していることが重要である。少なくとも一部とは、多数の粒状綿の一部において、その粒状綿の表面で繊維シートに接している部分のうち数本〜数十本が接着されていることである。粒状綿は短繊維が物理的に絡まって粒という構造物を形成しているので、粒状綿の一部(下側近傍)が繊維シートに接着していれば、繊維シート表面で粒状綿が動くことはない上に、粒状綿の圧縮特性は保持されており、本発明に適している。粒状綿は、数十〜数百本の短繊維が丸く絡み合って略球状の粒を構成するものであり、このうち数本から数十本が繊維シートに接着されていればよく、より具体的には、多数の粒状綿の少なくとも一部において、その粒状綿の表面下側で繊維シートに接している部分の繊維のうち、数本〜数十本が繊維シートに接着されていればよい。
繊維シートとしては、織物、編物、不織布、抄紙等、シート状であれば特に限定されずに使用できるが、薄くて強度もある不織布が好ましい。不織布としては、スパンボンド法、湿式法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等の各種製法で製造されたものがいずれも使用可能である。好ましくは、取り扱い性、粒状綿を接着する際の加工性、入手の容易さから、スパンボンド法で得られる長繊維不織布が好ましい。繊維シートの素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミド;ポリフェニレンサルファイド等、最終製品の用途に合わせて選択できる。これらの中でも、粒状綿を接着する際の加工性や入手の容易性から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、繊維シートの目付けは10〜40g/m2程度が好ましい。
本発明では繊維シートに粒状綿層の少なくとも一部を接着することが必要である。接着の方法は、熱溶融型、溶剤発散型、加熱硬化型、紫外線硬化型、感圧型等の接着剤を使用する方法や、接着性のある繊維シート(接着シート)を用いる方法等があり、いずれの方法においても、繊維シートに接する粒状綿層を接着できる。本発明の粒状綿複合シートの製造方法としては、図1に示すように、例えば熱溶融型(ホットメルト型)の接着シート3を繊維シート2の上面に載せ、積層接着シート4を形成し、その上に粒状綿を散布する等して粒状綿層1を形成し、例えば熱循環式の加熱装置(図示省略)で加熱して、粒状綿層1を接着シート3を介して繊維シート2へ接着させ、粒状綿複合シート5を得る方法等が挙げられる。
粒状綿を繊維シートに接着するためのより具体的な方法としては、粒状綿の集合体を空気流または物理的な方法でほぐした後、接着処理を施した繊維シートの上に粒状綿を振り落としたり、吹き付けたり、回転ドラムを用いて転写する等して粒状綿を敷き詰め、加熱処理等の接着後に余分な粒状綿を除去する方法が好ましい。余分な粒状綿を取除く方法としては、吸引、空気流による吹き飛ばし、逆さにして振り落とす等の方法がある。
また、1枚の粒状綿複合シートにおいて粒状綿層が2層以上存在していてもよく、1層のところと、2〜3層のところが混在していてもよい。この場合、1層目の粒状綿層が繊維シートと接着しており、2層目以降は、1層目の粒状綿層の表面にある毛羽を利用して、粒状綿同士の毛羽が絡み合うことで、繊維シートと接着していない2層目以降の粒状綿層を繊維シートに担持させることができる。また本発明では、効果(風合い)を阻害しない限りにおいて、粒状綿同士を接着しても構わない。粒状綿同士を接着する手段は、従来公知の方法を使用すればよく、例えば、接着剤を塗布または含浸したり、熱融着性繊維を粒状綿製造時に混用したり、熱融着性繊維と粒状綿とを一緒に混綿して粒状綿層として使用することができる。
接着シートとしては、ポリアミド系やポリエステル系やポリエチレン系等、通常110〜180℃の融点を持つ熱可塑性樹脂が一般に用いられる。これらの樹脂が細い繊維状となって蜘蛛の巣状に形成された接着剤からなる接着シートや、このような接着シートが上記繊維シートに予め積層されている積層接着シートを用いることが好ましい。このような接着シートや積層接着シートは、呉羽テック株式会社から「DYNAC(登録商標)」シリーズとして市販されている。接着シートに用いられる樹脂の融点が低すぎる場合は、使用時や洗濯後の乾燥による加温で樹脂が再溶融して、粒状綿層と繊維シートが剥離してしまうおそれがある。融点が高すぎる場合は、加工時の取り扱いが難しく、(積層)接着シートや粒状綿が熱劣化や収縮を起こしてしまい、風合いが硬くなりやすい。耐洗濯性や加工工程での取り扱い易さからは、融点110〜160℃のポリアミド系の樹脂が好ましい。接着時の加工温度は、(積層)接着シートの樹脂の融点の−5〜40℃とするのがよく、好ましくは0〜20℃である。この範囲より加工温度が低すぎると繊維シートと粒状綿の接着性が低下するおそれがあり、加工温度が高すぎると接着剤の粘性が低下して、接着剤が繊維シートや粒状綿に浸み込みすぎて接着性が低下しやすい。加熱方法は特に限定しないが、例えば赤外線加熱、電熱加熱、熱風循環加熱、熱板接触加熱、熱プレス等を好ましく用いることができる。加熱時間は加熱方法により適宜調整すればよく、10秒〜15分の範囲で行えばよい。
接着シートの目付け(積層接着シートの場合は接着剤層のみの目付け)は15〜50g/m2が好ましい。接着シートの目付けが低い場合は粒状綿と繊維シートとの接着が難しくなり、粒状綿が繊維シートに固定できないおそれがあり、接着シートの目付けが高い場合は、繊維シート側から余分な接着剤が粒状綿複合シート表面に染み出して外観が悪くなり、接着剤が固化した際に、粒状綿複合シートが樹脂板状となり風合いとして硬くなり好ましくない。粒状綿同士が、物理的に単繊維が絡んで接合している場合は問題ないが、接着剤成分等により強固に接着していると、粒状綿の特性であるクッション性や良好な圧縮特性が損なわれ、風合いが固くなり望ましくない。また、接着シートに代えて、接着剤を繊維シート表面に塗布することもできる。この場合、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、アクリル系、ウレタン系等各種公知の接着剤を用いることができる。接着剤を用いる場合、環境的には、水系のエマルジョンを用いることが好ましい。塗布方法は特に限定されず、公知の塗布方法がいずれも採用可能である。
本発明の粒状綿複合シートを使用する最終製品の形態上・意匠上の理由により、繊維シートに粒状綿層を設けていない部分(繊維シートのみからなる部分)が任意にあっても構わないし、他の素材または形状の構造物を設けてもよい。また、複数の本発明の粒状綿複合シートを図2に示すように繊維シートと粒状綿層とが重なるように積層して接合してもよく、粒状綿層同士を積層したり(図3)、繊維シート同士を積層した(図4)形態で使用してもよい。
<用途>
本発明の粒状綿複合シートは、ダウンジャケット等の各種防寒服、寝具類、インテリア、玩具、保温材等に使用できる。
<性能>
本発明の粒状綿複合シートは、シートの曲げ硬さを測定する45°カンチレバー法(JIS L 1096.8.21.1A法)で70mm以下である柔らかなシートとすることが好ましい。また洗濯でのフェルト化のし難さとして、5回洗濯後でも、外観品位に問題なく、偏りも起こらないことが好ましい。さらに、本発明の粒状綿複合シートは、後述する方法で測定される嵩保持率が85%以上であることが好ましい。
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例における各性能評価は以下の方法により行った。
(目付け)
JIS L1096.8.3.2 A法に準じて測定する。
(風合い)
JIS L1096 8.21.1A法(45℃カンチレバー法)に準じて測定を行う。測定により得られた数値を柔らかさの評価として以下の基準で判定した。
○:70mm以下(かなり柔らかい)
△:70mm超100mm以下(柔らかい)
×:100mm超(硬い)
(洗濯評価)
サンプルの作製:側地として、経糸に繊維度22テックス、20フィラメントのナイロンマルチフィラメント、緯糸に繊維度22テックス、20フィラメントのナイロンマルチフィラメントを用い、織組織:平織り、仕上げ密度:経方向176本/インチ、緯方向170本/インチ、目付け35g/m2で製織されたナイロンタフタを用いた。充填材がシート状の場合は、シート上下にナイロンタフタをサンドイッチ状に重ねて、充填材が噴出しないように四方をミシン掛けして20cm×20cmの座布団を作製した。また、充填材がシート状でなく粒状綿自体である場合には、吹き込み法で充填した。具体的には、予め吹き込み口を残して側地を袋状に縫製し、そのなかに吹き込みノズルで粒状綿を150g/m2になるように吹き込んで充填した後に、吹き込み口をミシン掛けにて閉じて作製した。
その後 JIS L0217 103法に準じて、5回洗濯を行った後、側地を取除き、洗濯後に繊維が絡み合って収縮し、硬くなる現象の度合いを以下の基準で評価した。側地の中で粗密斑ができることを偏りと判定し、偏っていた場合、偏った集合体の繊維同士をほぐせなければ、フェルト化が発生していると判定する。
○:繊維が偏っておらず、フェルト化を起こしていない(良好)
△:繊維が偏っているが、フェルト化は起こしていない(やや不良)
×:繊維が偏っており、かつフェルト化を起こしている(不良)
(嵩保持率測定)
粒状綿複合シートを10cm×10cmの大きさにカットし、初荷重として0.2gf/cm2を加え、1分後の厚みを測定し、L1(単位:mm)とする。L1測定後、荷重を外し、1分間放置した後、5.6gf/cm2の荷重を加え、1分間荷重後、除重し、0.2gf/cm2を加え、1分後に厚みを測定し、L2(単位:mm)とする。
以下の計算式で嵩保持率:K(%)を求める。
K(%)=(L2÷L1)×100
○:嵩保持率 K: 85%以上(良好)
×:嵩保持率 K: 85%未満(不良)
(触感)
○:粒状の触感が確認できる(側地の中を通して、点触感を感じることが出来る)
×:粒状の触感が確認できない
実施例1
粒状綿として市販されているポリエチレンテレフタレート(PET)系粒状綿(東洋紡STC株式会社製「グランゲラン(登録商標)」、使用短維繊維度:7.4dT、平均粒径:8mm)を、繊維シートとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)系スパンボンド不織布(東洋紡株式会社製、「エクーレ(登録商標)3151A」、目付け15g/m2)を、熱溶融型接着シートとして、「DYNAC(登録商標)LNS0030」(呉羽テック株式会社製、ポリアミド系接着(ホットメルト)シート、融点115℃)を用い、図1に示したように、繊維シート2に接着シート3を重ね、70cm×70cmの大きさにカットした積層シート4を作製した。積層シート4の接着シート3面側を覆うように、粒状綿1をシート4の上から落とし、その上に、金網(2.8kg/m2、編み目の大きさ12.5×12.5mm)を載せ、粒状綿と積層シート4が接触できるように押さえて、熱風循環式の乾燥機(ドライマックス)にて、140℃、処理時間20秒間、接着処理を行った。粒状綿が接着した複合シートを乾燥機から取り出した後、余分な粒状綿を払い落とし、目付け153g/m2の粒状綿複合シートを得た。複合シートの粒状綿層は粒状綿2〜3個分の厚みになっており、1個のみの部分も混在する凹凸のある積層状態であった。得られた複合シートを評価した結果を表1に記載した。また他の実施例、比較例の評価結果も同様に、表1に記載した。
実施例2
実施例1で使用した接着シートに代えて、「DYNAC(登録商標)G0020」(呉羽テック株式会社製、ポリエステル系接着シート、融点120℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、目付け144g/m2の粒状綿複合シートを得た。複合シートの粒状綿層は実施例1と同様に、凹凸のある積層状態であった。
実施例3
実施例1で使用した繊維シートに代えて、ポリエステル長繊維不織布(東洋紡株式会社製、「エクーレ(登録商標)3301A」、目付け30g/m2)を用いた以外は実施例1と同様にして、目付け163g/m2の粒状綿複合シートを得た。複合シートの粒状綿層は実施例1と同様に、凹凸のある積層状態であった。
実施例4
実施例1で使用した接着シートに代えて、DIC株式会社製のアクリルエマルジョン「ボンコート(登録商標)H−5」を繊維シート表面にスプレー塗布した後、繊維シートの上に粒状綿を載せて、ベルトコンベア式乾燥機で150℃×3分間の加熱乾燥を行い、粒状綿と繊維シートとを接着させた。できあがった粒状綿複合シートの目付けは154g/m2、接着樹脂の付着量は粒状綿複合シート全体の10質量%であった。なお、複合シートの粒状綿層は実施例1と同様に、凹凸のある積層状態であった。
比較例1
粒状綿に加工する前のポリエステル原綿に、融点110℃のポリエチレン繊維を30質量%混ぜて、粒状綿を作製した。この粒状綿を枠に入れて熱処理を行い、153g/m2の粒状綿を固めた集合体を得た。このシートは粒状綿のみからなるものであり、粒状綿層の表面は実施例1に比べて凹凸が少なめで、粒状綿層は粒状綿が2〜3個積層された状態とはなったが、シート全体として硬く、曲げにくい上、表面の感触も硬いものになった。
比較例2
芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンの接着性繊維(東洋紡株式会社製、商品名3.3X51−PMK)を用い、ローラーカードに掛けてクロスレイヤー方式で重ね、カードウエッブとした後、実施例1で用いた繊維シートと接着シートの積層シートの上に載せ、実施例1と同様にして熱処理を行い、目付け152g/m2のシートを得た。得られたシートは厚みがあるものにはなったが、曲げ硬く、表面の感触も平坦で、凹凸感のない硬い風合いとなった。
比較例3
実施例1の複合シートの材料である粒状綿をそのまま吹き込み用充填材として用いた。
表1に実施例1〜4、比較例1〜3の評価結果を示す。いずれの実施例においても、良好な風合いを持ち、洗濯しても繊維の偏りやフェルト化を起こすことなく、縫製による成形加工が可能なことが確認できた。
本発明の粒状綿複合シートは、粒状綿と繊維シートとが複合化され、粒状綿をシート状にして取り扱うことができるため、吹き込み工程やカード工程を使わず作製できる。また、風合い・触感が良好で、圧縮後の嵩回復性に優れ、洗濯時の外力による繊維の偏りやフェルト化を起こさない衣料や寝具等を提供できた。また、本発明の粒状綿複合シートは、家具、工業材料、医療用品等の分野においても適用が可能である。
1 粒状綿層
2 繊維シート
3 接着シート
4 積層接着シート
5 粒状綿複合シート

Claims (4)

  1. 繊維シートと粒状綿層を備えた粒状綿複合シートであって、多数の粒状綿の少なくとも一部分が繊維シートに接着されて、粒状綿層が形成されていることを特徴とする粒状綿複合シート。
  2. 繊維シートが不織布である請求項1に記載の粒状綿複合シート。
  3. 繊維シートが目付け10〜40g/m2の長繊維不織布である請求項1または2に記載の粒状綿複合シート。
  4. 繊維シートと粒状綿は、目付け15〜50g/m2、融点110〜180℃の接着シートで接着されている請求項1〜3のいずれかに記載の粒状綿複合シート。
JP2014207618A 2014-10-08 2014-10-08 粒状綿複合シート Expired - Fee Related JP6231967B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014207618A JP6231967B2 (ja) 2014-10-08 2014-10-08 粒状綿複合シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014207618A JP6231967B2 (ja) 2014-10-08 2014-10-08 粒状綿複合シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016075011A true JP2016075011A (ja) 2016-05-12
JP6231967B2 JP6231967B2 (ja) 2017-11-15

Family

ID=55950918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014207618A Expired - Fee Related JP6231967B2 (ja) 2014-10-08 2014-10-08 粒状綿複合シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6231967B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016203396A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 東洋紡Stc株式会社 粒状綿シート
JP2017226944A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 ダイワボウホールディングス株式会社 粒状綿成形体及びその製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3523262B2 (ja) * 1994-04-19 2004-04-26 イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー ファイバーボールの製造に関する改良
JP2013136858A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Mizuno Corp 防寒衣料用中綿及びこれを含む防寒衣料

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3523262B2 (ja) * 1994-04-19 2004-04-26 イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー ファイバーボールの製造に関する改良
JP2013136858A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Mizuno Corp 防寒衣料用中綿及びこれを含む防寒衣料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016203396A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 東洋紡Stc株式会社 粒状綿シート
JP2017226944A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 ダイワボウホールディングス株式会社 粒状綿成形体及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6231967B2 (ja) 2017-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101871913B1 (ko) 볼륨 부직포
DK3164535T3 (en) Nonwoven fabric for volume formation
JP5145239B2 (ja) 固着可能な芯地材料
JP6112989B2 (ja) 印刷が施されてなる積層不織布
JP2010001576A (ja) 羽毛袋用不織布およびこれを用いた衣料
JP6231967B2 (ja) 粒状綿複合シート
JP6310414B2 (ja) 粒状綿シート
JP5731654B2 (ja) 人工皮革及びその製造方法
WO2017130170A1 (pt) Fio de cortiça, método de obtenção e seus usos
JP6698405B2 (ja) 中綿
JP5894729B2 (ja) ニット生地用接着芯地の製造方法
JP5112220B2 (ja) 羽毛袋用不織布及びこれを用いたダウンプルーフ構造体
JPH0144822B2 (ja)
JP5968604B2 (ja) インサイドベルト用接着不織布及び複合インサイドベルト
TWI827160B (zh) 具有核區域和殼區域的纖維球、其後續產品以及它們的製備方法和用途
JP7089319B1 (ja) シルク繊維積層中綿シート及びその製造方法
JPH03137281A (ja) 立毛繊維シートおよびその製造方法
ES2854727T3 (es) Hilo de corcho, método de producción y usos
JP2023162639A (ja) シルク繊維含有生地及びその製造方法
JPH0314695A (ja) 均一性に優れた接着芯地及びその製造方法
KR20050045572A (ko) 의류 부자재용 경량 기능성 부직포의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171020

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6231967

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees