JP2016074790A - 反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体蓄積性が低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして使用し、かつ、良好な撥水撥油性を有する、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体を提供する。
【解決手段】本発明に係る反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含む非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックと、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックとからなる。反応性基は、水酸基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基又はトリアルコキシシリル基である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックと含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体に関する。さらに詳しくは、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックの側鎖に反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体に関する。
CH=CHCOCHCHRfまたはCH=C(CH)COCHCHRfのような含フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、撥水撥油剤等の表面処理剤の原料モノマーとして多量に使用されている。しかしながら近年、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基(Rf)を有する上記モノマーは生体蓄積性が高いことから、その使用が困難となっている。この問題を回避するために、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを使用することが推奨されている。
例えば特許文献1には、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして使用した含フッ素ブロック共重合体が開示されている。また、特許文献2には、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するアクリル酸エステルとして、C2n+1(CHCF(CFCF(CHCHOCOCH=CHが開示されている。
特開2010−235784号公報 特許第4674604号
しかしながら、特許文献1で開示されている含フッ素ブロック共重合体は、撥水撥油性が十分でなかった。また、特許文献2に開示されている含フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、撥水撥油剤合成モノマーとして使用可能である旨が記載されているものの、当該含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを使用した含フッ素ブロック共重合体に関する報告はなかった。
そこで、上記課題を解決するために、本発明の目的は、生体蓄積性が低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして使用し、かつ、良好な撥水撥油性を有する、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含む非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックと、下記一般式(1)
Figure 2016074790

(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数であり、−C2n+1は−(CFCH−基のCHに結合しており、−(CFCF−基は−(CFCH−のCF基に結合している。)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックとからなり、前記反応性基は、水酸基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基又はトリアルコキシシリル基であることを特徴とする。
また、下記一般式(2)
Figure 2016074790

(一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、RおよびRどちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。Rは炭素数1〜18の直鎖状アルキル基である。)
で表されるトリチオ炭酸エステルの存在下、リビングラジカル重合により製造されたものであることが好ましい。
また、数平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましい。
本発明に係る反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、適切な条件下で硬化することにより基材上に撥水撥油塗膜を形成することができ、無機基材および樹脂基材の表面改質剤として用いることができる。
実施例1−1の第一工程および第二工程で得られた重合体のGPC曲線を示す図である。 実施例1−2の第一工程および第二工程で得られた重合体のGPC曲線を示す図である。 実施例1−5の第一工程および第二工程で得られた重合体のGPC曲線を示す図である。 実施例1−6の第一工程および第二工程で得られた重合体のGPC曲線を示す図である。 実施例1−7の第一工程および第二工程で得られた重合体のGPC曲線を示す図である。 比較例1−1の第一工程および第二工程で得られた重合体のGPC曲線を示す図である。
(反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体)
本発明に係る反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含む非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックと、下記一般式(1)
Figure 2016074790

で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックとからなる。式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数である。また、−C2n+1は−(CFCH−のCHに結合しており、−(CFCF−は−(CFCH−のCFに結合している。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」という語句は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を包含する概念として用いられる。また、化合物や溶媒について付される「非フッ素」なる語句は、「含フッ素」ではないこと、すなわち、分子内にフッ素原子を含まないことを明確にする意味で用いられる。
非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックは、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを重合することにより形成される。反応性基とは、水酸基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基又はトリアルコキシシリル基である。反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルとして、具体的に、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、ブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステル、トリアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、1,3−ジヒドロキシアダマンタンモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
ブロックイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。
トリアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸3−トリエトキシシリルプロピル等が挙げられる。
上記反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックは、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含んでいてもよい。このような非フッ素(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル等が挙げられる。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックは、上記一般式(1)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合することにより形成される。上記一般式(1)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的に、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルメタクリレート
が挙げられる。この中で、特に、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレートまたは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレートが好ましい。
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロック10〜99重量%と、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロック1〜90重量%とからなることが好ましい。より好ましくは、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックが20〜95重量%であり、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックが5〜80重量%である。含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックが1重量%未満では、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の撥水撥油効果が十分に発揮されない場合がある。一方、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックが90重量%を超えると、非フッ素ポリマーおよび非フッ素溶媒に対する、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の溶解性が低下する傾向にある。また、撥水撥油効果がそれ以上向上せず、不経済である。
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量は5,000〜100,000である。数平均分子量が5,000未満では、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックの鎖長が短くなり、表面改質効果又は撥水撥油性能が低下する。一方、数平均分子量が100,000を超えると、非フッ素ポリマーおよび非フッ素溶媒に対する、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の溶解性が低下する傾向にある。
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体のフッ素含量は2〜50重量%であり、好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。フッ素含量が2重量%未満では、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の表面改質効果が不十分である。一方、フッ素含量が50重量%を超えても、表面改質効果は改善されず不経済である。
(反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の製造方法)
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、制御リビングラジカル重合によって製造することができる。制御リビングラジカル重合の代表的な方法としては、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)、原子移動ラジカル重合(ATRP)およびニトロキシドを介したラジカル重合(NMP)が挙げられる。
なお、ATRPでは、銅触媒等の金属触媒を用いるため、重合工程後に金属触媒を除去する工程が必要となる場合がある。NMPでは、比較的高い重合温度が必要である。一方、RAFT重合では、製造工程上の制約がなく、また重合制御が容易なため反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の製造に好適である。
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、下記(A)法または(B)法のいずれかにより製造されるのが好ましい。
(A)法は、第一工程と第二工程とを含む。以下、第一工程を「(A)法第一工程」、第二工程を「(A)法第二工程」という。
(A)法第一工程は、トリチオ炭酸エステルおよびラジカル重合開始剤存在下、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを重合し、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を製造する工程である。
(A)法第二工程は、(A)法第一工程で得られた反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体存在下、下記一般式(1)
Figure 2016074790

で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合する工程である。式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数である。また、−C2n+1は−(CFCH−のCHに結合しており、−(CFCF−は−(CFCH−のCFに結合している。
(A)法第一工程では、上記の反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして用いることができる。また、重合に用いるモノマーとして、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステル以外に、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを用いてもよい。共重合可能な非フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、上記のものを用いることができる。
(A)法第一工程において、トリチオ炭酸エステルはRAFT剤として用いられる。トリチオ炭酸エステルは、特に限定されないが、重合速度および重合収率の観点から、本発明では下記一般式(2)で表わされるものを好適に用いることができる。
Figure 2016074790
式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、RおよびRどちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。好ましいRおよびRとして、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。Rは炭素数1〜18の直鎖状アルキル基である。トリチオ炭酸エステルの耐加水分解性を考慮すると、Rは炭素数6〜18の直鎖状アルキル基が好ましい。
トリチオ炭酸エステルの具体例としては、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオ炭酸エステル、4−シアノ−4−〔(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル〕ペンタン酸、シアノメチルドデシルトリチオ炭酸エステル等が挙げられる。
トリチオ炭酸エステルの使用量の目安は、下式によって求めることができる。
W(RAFT)=W(A)×M(RAFT)/MW(PA)
ここで、
W(RAFT):トリチオ炭酸エステルの使用量(g)
W(A):非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの総使用量(g)
M(RAFT):トリチオ炭酸エステルの分子量(g/mol)
MW(PA):反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の目標分子量(g/mol)
である。
トリチオ炭酸エステルの使用量は、非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの総使用量に対して0.1〜10重量%であることが好ましい。なお、非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの総使用量とは、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー全量である。
(A)法第一工程で用いられる重合溶媒は、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの溶解性、および得られる重合体の溶解性を考慮し適宜選択される。重合溶媒としては、例えば、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒、または非フッ素溶媒と含フッ素溶媒の混合物が用いられる。この中で、非フッ素溶媒がより好ましい。非フッ素溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー全量に対して0〜300重量%であることが好ましい。より好ましくは0〜200重量%である。300重量%を超えると、重合速度が遅くなるため実用的でない。
反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの重合は、0〜150℃で行われるのが好ましく、40〜100℃で行われるのがより好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を超えると、トリチオ炭酸エステルのフラグメントを重合体末端に含まない不活性な、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が生成し易くなる傾向にある。
(A)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤は、重合反応を特段の不具合なく円滑に進めることができるものであれば特に限定されないが、アゾ系ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。本発明で好適に用いられるアゾ系ラジカル重合開始剤の具体例として、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、トリチオ炭酸エステルに対して5〜35モル%用いられるのが好ましい。より好ましくは10〜30モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。また、35モル%より多いと、トリチオ炭酸エステルのフラグメントを重合体末端に含まない不活性な、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が生成し易くなる傾向にある。
(A)法第一工程で用いられる重合反応容器の材質は、トリチオ炭酸エステルの分解や重合反応の停止等、重合反応を行う上での不具合が生じない限り特に限定されないが、硼ケイ酸ガラスまたはステンレスが好ましい。本発明で用いることのできる硼ケイ酸ガラス製重合反応容器として、一般的に市販されている硼ケイ酸ガラス製容器でもよいが、重合反応途中でトリチオ炭酸エステルが分解し重合反応が停止するか、安定的に高い重合収率を達成することができない等の問題が懸念される場合には、硼ケイ酸強化ガラス製容器が推奨される。硼ケイ酸強化ガラスは硼ケイ酸ガラスを風冷強化または化学強化することによって製造される。
硼ケイ酸強化ガラス製容器の具体例として、耐圧ガラス工業株式会社製Hiper Glass(登録商標)シリンダー等が挙げられる。例えば、HPG−10、HPG−96、TEM−U1000N、TEM−V−100、TEM−V−200、TEM−V−300、TEM−V−500、TEM−4−B1−2L、TEM−4−B1−4L(何れも耐圧ガラス工業株式会社製)が挙げられる。
(A)法第二工程では、上記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルがモノマーとして用いられる。具体的な化合物は、上記のものを用いることができる。
(A)法第二工程は、具体的に、下記I法またはII法の方法により行うことができる。
I法:(A)法第一工程で得られた重合溶液に、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じて重合溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法;
II法:(A)法第一工程で得られた反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を単離した後、単離した重合体に、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル、重合溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法
(A)法第二工程で用いられる重合溶媒は、(A)法第一工程で得られた反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体および含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの溶解性を考慮し適宜選択される。重合溶媒としては、例えば、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒、または含フッ素溶媒と非フッ素溶媒の混合物が用いられる。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、(A)法第一工程で得られた反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体と(A)法第二工程で新たに加えられる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの総重量に対して、50〜200重量%であることが好ましい。50重量%未満では、重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり撹拌混合が困難となる場合がある。一方、200重量%を超えると、重合速度が遅くなり実用的でない。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合は、0〜150℃で行われるのが好ましく、40〜100℃で行われるのがより好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を超えると、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が副生し易くなる傾向にある。
(A)法第二工程で用いられるラジカル重合開始剤としては、(A)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤と同様のものが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、(A)法第一工程で得られた反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体に含まれるトリチオ炭酸エステルのフラグメント対して、5〜35モル%用いられる。より好ましくは10〜30モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。一方、35モル%より多いと、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が副生し易くなる傾向にある。
(A)法第二工程で用いられる重合反応容器の材質としては、(A)法第一工程で用いられる重合反応容器の材質と同様のものが挙げられる。
次に、(B)法について説明する。(B)法は、第一工程と第二工程とを含む。以下、第一工程を「(B)法第一工程」、第二工程を「(B)法第二工程」という。
(B)法第一工程は、トリチオ炭酸エステルおよびラジカル重合開始剤存在下、上記一般式(1)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合し、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を製造する工程である。式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数である。また、−C2n+1は−(CFCH−のCHに結合しており、−(CFCF−は−(CFCH−のCFに結合している。
(B)法第二工程は、(B)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の存在下、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを重合する工程である。
(B)法第一工程では、上記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルがモノマーとして用いられる。具体的な化合物は、上記のものを用いることができる。
(B)法第一工程において、トリチオ炭酸エステルはRAFT剤として用いられる。トリチオ炭酸エステルは、特に限定されないが、重合速度および重合収率の観点から、本発明では上記一般式(2)で表わされるものを好適に用いることができる。
トリチオ炭酸エステルの使用量の目安は、下式によって求めることができる。
W(RAFT)=W(FA)×M(RAFT)/MW(PFA)
ここで、
W(RAFT):トリチオ炭酸エステルの使用量(g)
W(FA):含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの使用量(g)
M(RAFT):トリチオ炭酸エステルの分子量(g/mol)
MW(PFA):含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体の目標分子量(g/mol)
である。
トリチオ炭酸エステルの使用量は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対して0.1〜10重量%であることが好ましい。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合は、無溶媒(塊状)下で、または適当な有機溶媒中で行うことができる。重合溶媒としては、例えば、含フッ素溶媒、または含フッ素溶媒と非フッ素溶媒との混合溶媒が用いられる。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対して0〜300重量%であることが好ましい。より好ましくは0〜200重量%である。300重量%を超えると、重合速度が遅くなるため実用的でない。
また、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合は、0〜150℃で行われるのが好ましく、40〜100℃で行われるのがより好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を超えると、トリチオ炭酸エステルのフラグメントを重合体末端に含まない、不活性な含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が生成し易くなる傾向にある。
(B)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤は、重合反応を特段の不具合なく円滑に進めることができるものであれば特に限定されないが、アゾ系ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。本発明で好適に用いられるアゾ系ラジカル重合開始剤の具体例として、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、トリチオ炭酸エステルに対して5〜35モル%用いられるのが好ましい。より好ましくは10〜30モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。また、35モル%より多いと、トリチオ炭酸エステルのフラグメントを重合体末端に含まない、不活性な含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体が生成し易くなる傾向にある。
(B)法第一工程で用いられる重合反応容器の材質は、トリチオ炭酸エステルの分解や重合反応の停止等、重合反応を行う上での不具合が生じない限り特に限定されないが、硼ケイ酸ガラスまたはステンレスが好ましい。本発明で用いることのできる硼ケイ酸ガラス製重合反応容器として、一般的に市販されている硼ケイ酸ガラス製容器でも良いが、重合反応途中でトリチオ炭酸エステルが分解し重合反応が停止するか、安定的に高い重合収率を達成することができない等の問題が懸念される場合には、硼ケイ酸強化ガラス製容器が推奨される。硼ケイ酸強化ガラスは硼ケイ酸ガラスを風冷強化または化学強化することによって製造される。
硼ケイ酸強化ガラス製容器の具体例として、耐圧ガラス工業株式会社製Hiper Glass(登録商標)シリンダー等が挙げられる。例えば、HPG−10、HPG−96、TEM−U1000N、TEM−V−100、TEM−V−200、TEM−V−300、TEM−V−500、TEM−4−B1−2L、TEM−4−B1−4L(何れも耐圧ガラス工業株式会社製)が挙げられる。
なお、(B)法第一工程の含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合が、硼ケイ酸強化ガラス製容器を用いることで容易かつ効率的に行うことが可能となる場合がある。要因は明らかではないが、おそらく容器表面がトリチオ炭酸エステルに対して化学的または物理的に不活性な構造を有しているためであると推測される。したがって、(B)法第一工程は、硼ケイ酸強化硝子製容器またはステンレス製容器中で行うことが好ましい。
(B)法第二工程では、上記の反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして用いることができる。また、重合に用いるモノマーとして、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステル以外に、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを用いてもよい。共重合可能な非フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、上記のものを用いることができる。
(B)法第二工程は、具体的に、下記I法またはII法の方法により行うことができる。
I法:(B)法第一工程で得られた重合溶液に、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーと、必要に応じて重合溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法
II法:(B)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体を単離した後、単離した重合体に、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー、重合溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法
(B)法第二工程で用いられる重合溶媒は、(B)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体および反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルの溶解性を考慮し適宜選択される。重合溶媒としては、例えば、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒、または含フッ素溶媒と非フッ素溶媒の混合物が用いられる。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
溶媒の使用量は、(B)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体と(B)法第二工程で新たに加えられるモノマーの総重量に対して、50〜200重量%であることが好ましい。50重量%未満では、重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり撹拌混合が困難となる場合がある。一方、200重量%を超えると、重合速度が遅くなり実用的でない。
反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの重合は、0〜150℃で行われるのが好ましく、40〜100℃で行われるのがより好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を超えると、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エスエルの単独重合体が副生し易くなる傾向にある。
(B)法第二工程で用いられるラジカル重合開始剤としては、(B)法第一工程で用いられるラジカル重合開始剤と同様のものが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、(B)法第一工程で得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体に含まれるトリチオ炭酸エステルのフラグメント対して、5〜35モル%用いられる。より好ましくは10〜30モル%である。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。一方、35モル%より多いと、反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エスエルの単独重合体が副生し易くなる傾向にある。
(B)法第二工程で用いられる重合反応容器の材質としては、(B)法第一工程で用いられる重合反応容器と同様のものが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)原料
使用した原料の略称を以下に示す。
AIBN:2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)〔和光純薬社製〕
V−65:2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔和光純薬社製〕
MEK:メチルエチルケトン
CPDTC:2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオ炭酸エステル〔Aldrich社製〕
FAAC6:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート
FAAC10(2H):3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート
MMA:メタクリル酸メチル〔和光純薬社製〕
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル〔和光純薬社製〕
GMA:グリシジルメタクリレート〔和光純薬社製〕
MOI−BM:2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(Karenz(R) MOI−BM〔昭和電工社製〕)
TMSPAC:3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート〔Aldrich社製〕
AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート〔和光純薬社製〕
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール〔和光純薬社製〕
DBTDL:ジラウリン酸ジブチルスズ〔和光純薬社製〕
MQ:4−メトキシフェノール〔和光純薬社製〕
HMDI:ヘキサメチレンジイソシアネート〔東京化成工業社製〕
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン〔東京化成工業社製〕
(2)測定方法および評価方法
測定方法および評価方法を以下に示す。
〔組成〕
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の組成は、H―NMRにより算出した。
装置:JEOL:JNM−LA300(日本電子社製)
溶媒:クロロホルム−dまたはアセトン−d6
ケミカルシフト:TMS基準
〔分子量〕
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、GPCを用い、ポリスチレン換算で算出した。
カラム:Shodex(登録商標)KF−807(昭和電工社製) 4本
測定温度:40℃
サンプル注入量:100μl
流出速度:1ml/min
溶離液:テトラヒドロフラン
〔分子量分布〕
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の分子量分布が単峰性であるか多峰性であるかを、GPC曲線で判定した。
〔重合率〕
反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体の最終的な重合率は、下記式により算出した。
重合率=重合溶液の固形分濃度(実測値)/重合率100%と仮定したときの重合溶液の固形分濃度(計算値)
〔変性率〕
水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体中の水酸基が、重合性不飽和基に変換された割合(変性率)は、H―NMRにより算出した。具体的な算出方法は後述する。
〔接触角〕
水およびn−ヘキサデカンに対する接触角をDropMaster DM500(協和界面科学株式会社製)により測定した。
(実施例1−1)
(第一工程:MMAとHEAの共重合)
内容量96mlのHiper Glass(登録商標)シリンダー(HPG−96:耐圧ガラス工業株式会社製)にマグネット撹拌子、MMA 1.2g、HEA 0.30g、CPDTC 42mg、AIBN 4.0mgおよびMEK 1.0gを仕込んだ。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、85℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬し、重合反応を行い、MMAとHEAの共重合体を含む溶液を得た。実施例1−1の第一工程で得られた重合体のGPC曲線を図1の破線で示す。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
第一工程終了後、上記シリンダー内に、FAAC10(2H) 3.5g、V−65 3.0mg、MEK 3.0gを加えた。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬し、重合反応を行い、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。内容物の固形分濃度より、第一工程を含めた最終的な重合率は94%であることが分かった。
得られた重合溶液の一部をn−ヘキサンに滴下し、再沈殿操作を行った。その後、減圧下60℃で乾燥させることにより、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を得た。得られた共重合体の組成、分子量、多分散度PDI(Mw/Mn)および分子量分布を表1に示す。実施例1−1の第二工程で得られた重合体のGPC曲線を図1の実線で示す。
(実施例1−2)
(第一工程:MMAとHEAの共重合)
MMAを2.8g、HEAを0.70g、MEKを2.5gに変更した以外は、実施例1−1の第一工程と同様の方法で、MMAとHEAの共重合体を含む溶液を得た。実施例1−2の第一工程で得られた重合体のGPC曲線を図2の破線で示す。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H)を1.5g、MEKを2.0gに変更した以外は、実施例1−1の第二工程と同様の方法で、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は98%であった。実施例1−2の第二工程で得られた重合体のGPC曲線を図2の実線で示す。
(実施例1−3)
(第一工程:MMAとHEAの共重合)
MMAを3.4g、HEAを0.85g、MEKを3.5gに変更した以外は、実施例1−1の第一工程と同様の方法で、MMAとHEAの共重合体を含む溶液を得た。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H)を0.75g、MEKを1.5gに変更した以外は、実施例1−1の第二工程と同様の方法で、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は99%であった。
(実施例1−4)
(第一工程:MMAとHEAの共重合)
MMAを3.7g、HEAを0.90g、MEKを3.8gに変更した以外は、実施例1−1の第一工程と同様の方法で、MMAとHEAの共重合体を含む溶液を得た。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H)を0.40g、MEKを1.2gに変更した以外は、実施例1−1の第二工程と同様の方法で、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は99%であった。
(実施例1−5)
(第一工程:MMAとGMAの共重合)
MMAを3.0g、HEAの代わりにGMAを0.5g、MEKを2.5gに変更した以外は、実施例1−1の第一工程と同様の方法で、MMAとGMAの共重合体を含む溶液を得た。実施例1−5の第一工程で得られた重合体のGPC曲線を図3の破線で示す。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
MEKを2.5gに変更した以外は、実施例1−2の第二工程と同様の方法で、エポキシ基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は97%であった。実施例1−5の第二工程で得られた重合体のGPC曲線を図3の実線で示す。
(実施例1−6)
(第一工程:MMAとMOI−BMの共重合)
MMAを3.0g、HEAの代わりにMOI−BMを0.5g、MEKを2.5gに変更した以外は、実施例1−1の第一工程と同様の方法で、MMAとMOI−BMの共重合体を含む溶液を得た。実施例1−6の第一工程で得られた重合体のGPC曲線を図4の破線で示す。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
実施例1−2の第二工程と同様の方法で、ブロックイソシアネート基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は93%であった。実施例1−6の第二工程で得られた重合体のGPC曲線を図4の実線で示す。
(実施例1−7)
(第一工程:MMAとTMSPACの共重合)
MMAを3.0g、HEAの代わりにTMSPACを0.5g、MEKを2.5gに変更した以外は、実施例1−1の第一工程と同様の方法で、MMAとTMSPACの共重合体を含む溶液を得た。実施例1−7の第一工程で得られた重合体のGPC曲線を図5の破線で示す。
(第二工程:FAAC10(2H)の重合)
MEKを2.5gに変更した以外は、実施例1−2の第二工程と同様の方法で、トリアルコキシシリル基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は92%であった。実施例1−7の第二工程で得られた重合体のGPC曲線を図5の実線で示す。
(比較例1−1)
(第一工程:MMAとHEAの共重合)
実施例1−2の第一工程と同様の方法で、MMAとHEAの共重合体を含む溶液を得た。比較例1−1の第一工程で得られた重合体のGPC曲線を図6の破線で示す。
(第二工程:FAAC6の重合)
FAAC10(2H)の代わりにFAAC6を用いた以外は、実施例1−2の第二工程と同様の方法で、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を含む溶液を得た。第一工程を含めた最終的な重合率は99%であった。比較例1−1の第二工程で得られた重合体のGPC曲線を図6の実線で示す。
(比較例1−2)
(工程:MMA、HEAおよびFAAC10(2H)のランダム共重合)
内容量96mlのHiper Glass(登録商標)シリンダー(HPG−96:耐圧ガラス工業株式会社製)にマグネット撹拌子、MMA 3.4g、HEA 0.85g、FAAC10(2H) 0.75g、CPDTC 42mg、AIBN 4.0mgおよびMEK 3.5gを仕込んだ。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、85℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬した。その後、シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放し、MMA、HEAおよびFAAC10(2H)のランダム共重合体を含む溶液を得た。重合率は96%であった。
得られた重合溶液の一部をn−ヘキサンに滴下し、再沈殿操作を行った。その後、減圧下60℃で乾燥させることにより、水酸基を有する含フッ素ランダム共重合体を得た。得られた共重合体の組成、分子量、多分散度PDI(Mw/Mn)および分子量分布を表2に示す。
(比較例1−3)
(工程:MMA、HEAおよびFAAC10(2H)のランダム共重合)
MMAを2.8g、HEAを0.7g、FAAC10(2H)を1.5g、MEKを4.0gに変更した以外は、比較例1−2の工程と同様の方法で、MMA、HEAおよびFAAC10(2H)のランダム共重合体を含む溶液を得た。重合率は87%であった。
Figure 2016074790

Figure 2016074790
(実施例2−1)
(重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体の作製)
実施例1−1の第二工程終了後、シリンダー内にAOI 0.36g、DBTDL 10mg、BHT 5mg、MEK 6.5gを加えた。シリンダー内部を脱気した後、60℃のオイルバスに4時間浸漬しAOI変性を行い、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック重合体a1溶液を得た。AOIによる水酸基の変性率は94%であった。
水酸基の変性率=(a×y)/(b×x)
a=変性後アクリロイル基(CH=CHC(=O)−)の3位cisプロトン(6.44ppm)ピーク積分値
b=変性後MMAのα位CH基プロトン(0.7〜1.1ppm)ピーク積分値/3
x=変性前HEAの側鎖1位CHプロトン(4.10ppm)ピーク積分値/2
y=変性前MMAのα位CH基プロトン(0.7〜1.1ppm)ピーク積分値/3
(紫外線硬化型樹脂組成物溶液の作製)
ポリプロピレングリコールジアクリレート(ファンクリル(登録商標)FA−P240A(日立化成(株)製))100重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(Aldrich社製)10重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Aldrich社製)2重量部およびMEK56重量部を混合し、固形分66重量%の紫外線硬化型樹脂組成物溶液Aを作製した。
作製した紫外線硬化型樹脂組成物溶液A(固形分66重量%)100重量部に、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a1(固形分約36重量%)溶液を1.83重量部加えて、紫外線硬化型樹脂組成物溶液を得た。紫外線硬化型樹脂組成物溶液を76mm×26mm×1.0mmのスライドガラスに均一に塗布し、オーブン中60℃で5分間放置し溶媒を除去した。その後、窒素雰囲気下、紫外線照射装置により紫外線(200mJ/cm)を照射し、樹脂組成物を硬化させた(樹脂皮膜の厚さ約100μm)。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
(実施例2−2)
(重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体の作製)
実施例1−2の第二工程終了後、シリンダー内にAOI 0.85g、DBTDL 10mg、BHT 15mg、MQ 20mg、MEK 6.0gを加えた。シリンダー内部を脱気した後、20℃のオイルバスに2時間浸漬しAOI変性を行い、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a2溶液を得た。AOIによる水酸基の変性率は97%であった。
紫外線硬化型樹脂組成物溶液A(固形分66重量%)100重量部に、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a1溶液の代わりに、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a2(固形分約36重量%)溶液を加えた以外は、実施例2−1と同様の方法で樹脂組成物を硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
(実施例2−3)
実施例1−3の第二工程終了後、シリンダー内にAOI 1.03g、DBTDL 10mg、BHT 15mg、MQ 20mg、MEK 5.5gを加えた以外は、実施例2−2と同様の方法で、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a3溶液を得た。AOIによる水酸基の変性率は96%であった。
紫外線硬化型樹脂組成物溶液A(固形分66重量%)100重量部に、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a1溶液の代わりに、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a3(固形分約36重量%)溶液を加えた以外は、実施例2−1と同様の方法で樹脂組成物を硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
(実施例2−4)
実施例1−4の第二工程終了後、シリンダー内にAOI 1.10g、DBTDL 10mg、BHT 15mg、MQ 20mg、MEK 5.5gを加えた以外は、実施例2−2と同様の方法で、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a4溶液を得た。AOIによる水酸基の変性率は97%であった。
紫外線硬化型樹脂組成物溶液A(固形分66重量%)100重量部に、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a1溶液の代わりに、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a4(固形分約36重量%)溶液を加えた以外は、実施例2−1と同様の方法で樹脂組成物を硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
(比較例2−1)
比較例1−1の工程終了後、実施例2−2と同様の方法で重合性不飽和基を有する含フッ素ブロック共重合体b1溶液を得た。AOIによる水酸基の変性率は97%であった。
紫外線硬化型樹脂組成物溶液A(固形分66重量%)100重量部に、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a1溶液の代わりに、重合性不飽和基を有する含フッ素ブロック共重合体b1(固形分約36重量%)溶液を加えた以外は、実施例2−1と同様の方法で樹脂組成物を硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
(比較例2−2)
比較例1−2の工程終了後、シリンダー内にAOI 1.03g、DBTDL 10mg、BHT 15mg、MQ 20mg、MEK 7.0gを加えた以外は、実施例2−3と同様の方法で、重合性不飽和基を有する含フッ素ランダム共重合体b2溶液を得た。AOIによる水酸基の変性率は96%であった。
紫外線硬化型樹脂組成物溶液A(固形分66重量%)100重量部に、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体a1の代わりに、重合性不飽和基を有する含フッ素ランダム共重合体b2(固形分約36重量%)溶液を加えた以外は、実施例2−1と同様の方法で樹脂組成物を硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
(比較例2−3)
重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体溶液を加えずに、紫外線硬化型樹脂組成物溶液Aのみを、実施例2−1と同様の方法で硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表3に示す。
Figure 2016074790
(実施例3−1)
MMA/HEAランダム共重合体(共重合体中のHEA含量=20重量%、Mw:200,000)100重量部、実施例1−2で得られた水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体1.0重量部、MEK1230重量部、HMDI13重量部、DBU0.7重量部およびプロピオン酸0.6重量部を混合し、硬化型樹脂組成物溶液を得た。この硬化型樹脂組成物溶液を76mm×26mm×1.0mmのスライドガラスに均一に塗布し、オーブン中60℃で5分間放置し溶媒を除去した。その後、150℃のオーブン中で2分間加熱し、樹脂組成物を硬化させた(樹脂皮膜の厚さ約100μm)。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
(実施例3−2)
実施例1−2で得られた水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体の代わりに、実施例1−5で得られたエポキシ基を有する含フッ素2ブロック共重合体を混合した以外は、実施例3−1と同様の方法で硬化型樹脂組成物溶液を得た。この硬化型樹脂組成物溶液を実施例3−1と同様の方法で硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
(実施例3−3)
実施例1−2で得られた水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体の代わりに、実施例1−6で得られたブロックイソシアネート基を有する含フッ素2ブロック共重合体を混合した以外は、実施例3−1と同様の方法で硬化型樹脂組成物溶液を得た。この硬化型樹脂組成物溶液を実施例3−1と同様の方法で硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
(実施例3−4)
MMA/TMSPACランダム共重合体(共重合体中のTMSPAC含量=10重量%、Mw:250,000)100重量部、実施例1−7で得られたトリアルコキシシリル基を有する含フッ素2ブロック共重合体1.0重量部およびMEK960重量部を混合し、硬化型樹脂組成物溶液を得た。この硬化型樹脂組成物溶液を76mm×26mm×1.0mmのスライドガラスに均一に塗布し、オーブン中60℃で5分間放置し溶媒を除去した。その後120℃のオーブン中で10分間加熱し、樹脂組成物を硬化させた。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
(比較例3−1)
実施例1−2で得られた水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体の代わりに、比較例1−3で得られた水酸基を有する含フッ素ランダム共重合体を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で行った。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
(比較例3−2)
実施例1−2で得られた水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体溶液を加えずに、実施例3−1と同様の方法で行った。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
(比較例3−3)
実施例1−7で得られたトリアルコキシシリル基を有する含フッ素2ブロック共重合体溶液を加えずに、実施例3−4と同様の方法で行った。樹脂皮膜表面の静的接触角および動的接触角を表4に示す。
Figure 2016074790
実施例3−1〜3−4および比較例3−2、3−3より、本発明に係る反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体を、該反応性基と反応しうる官能基を有する硬化型樹脂に少量添加することで、硬化型樹脂表面に撥水撥油性を付与することができることが分かった。
また、実施例3−1に示すように、水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体を、硬化型樹脂に少量添加することで、良好な撥水撥油性を付与することができるが、比較例3−1に示すように、水酸基を有する含フッ素ランダム共重合体を添加した場合には、撥水撥油性が不十分であることが分かった。
さらに、本発明に係る水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体は、水酸基をAOI変性することで、重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体に容易に変換することができる。重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック重合体は、例えば、紫外線等により容易に重合反応が進行するため、種々の紫外線硬化型樹脂の表面改質剤として好適に用いることができる。
実施例2−1〜2−4では、紫外線硬化型樹脂組成物溶液Aに、本発明に係る水酸基を有する含フッ素2ブロック共重合体をAOI変性して得られる重合性不飽和基を有する含フッ素2ブロック共重合体を加えることで、当該共重合体を加えていない比較例2−3と比較して、樹脂表面に良好な撥水撥油性を付与することができることが分かった。一方、比較例2−1では、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックを構成するモノマーとしてFAAC6を使用したため、撥水撥油性が不十分であることが分かった。また、比較例2−2では、紫外線硬化型樹脂組成物溶液Aに、水酸基を有する含フッ素ランダム共重合体をAOI変性して得られる重合性反応性基を有する含フッ素ランダム共重合体を加えたため、フッ素含量が実施例2−3と同程度であるのにもかかわらず、撥油性が不十分であることが分かった。

Claims (3)

  1. 反応性基を有する非フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとして含む非フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックと、下記一般式(1)
    Figure 2016074790

    (一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、nは1〜6の整数であり、−C2n+1は−(CFCH−基のCHに結合しており、−(CFCF−基は−(CFCH−のCF基に結合している。)
    で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロックとからなり、
    前記反応性基は、水酸基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基又はトリアルコキシシリル基であることを特徴とする、反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体。
  2. 下記一般式(2)
    Figure 2016074790

    (一般式(2)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、RおよびRどちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。Rは炭素数1〜18の直鎖状アルキル基である。)
    で表されるトリチオ炭酸エステルの存在下、リビングラジカル重合により製造されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体。
  3. 数平均分子量が5,000〜100,000であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応性基を有する含フッ素2ブロック共重合体。
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