JP2014172952A - 含フッ素重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体蓄積性が低いといわれている炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有するポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体よりなる含フッ素重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤を提供する。
【解決手段】(A)ポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体 CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOCOCR=CH2 (R:H、メチル基、n:1〜6、a:1〜4、b:1〜3、c:1〜3)および(B)(メタ)アクリル酸エステル CH2=CRCOOR3 (R:H、メチル基、R3:アルキル基、アラルキル基)、CH2=CRCOOR4Y (R:H、メチル基、R4:アルキレン基、Y:架橋性官能基)および CH2=CRCOO(R5O)lR6 (R:H、メチル基、R5:アルキレン基、R6:H、アルキル基、芳香族基、l:1〜50)の少くとも一種の共重合体よりなる含フッ素共重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤に関する。さらに詳しくは、生体蓄積性が低いといわれている炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸誘導体の単独重合体または共重合体である含フッ素重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤に関する。
パーフルオロアルキル基含有アルコールのアクリル酸誘導体、例えばCF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2は、繊維用撥水撥油剤を形成する含フッ素共重合体の合成モノマーとして多量に使用されている。また、そのアクリレート化前駆体であるパーフルオロアルキルアルコールは、界面活性剤等として広く使用されている。(特許文献1参照)
特許文献2には、基材の表面処理剤におけるパーフルオロアルキル基〔Rf〕含有(メタ)アクリレートの撥水撥油性の発現は、処理膜におけるRf基の配向に起因し、さらにRf基が配向するためにはRf基(炭素数8以上)に由来する微結晶の融点が存在することが必要であるとされ、そのため炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートが使用されてきたと記載されている。また、炭素数8以下のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートを使用して、イソシアネート単量体非含有の場合においては、炭素数8以上でみられる撥水撥油性能への寄与は十分ではないことも示されている。
しかるに近年、自然界には存在しないパーフルオロオクタン酸(PFOA)あるいは炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有カルボン酸(PFCA)が大気中や河川等でその存在が確認されている。これらの化合物の内炭素数8前後のパーフルオロアルキル基を有する化合物は生体蓄積性が高く、環境に問題がみられるとの報告がなされており、今後はその製造や使用が困難になることが予測されている。
ここで、現在撥水撥油剤など表面改質剤の原料として用いられるテロマー化合物の内、炭素数8以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物は、環境中でPFCAとなる可能性が示唆されており、今後はそれの製造、使用が困難となることが予測されている。一方、パーフルオロアルキル基の炭素数が6以下の化合物にあっては、生体蓄積性が低いといわれているものの、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する化合物では、表面改質剤等の製品に要求される性能を得ることは困難であるとされている。
特公昭63−22237号公報 WO2004/035708 A1 WO2009/034773 A1
本発明の目的は、生体蓄積性が低いといわれている炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有するポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体よりなる含フッ素重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤を提供することにある。
かかる本発明の目的は、(A)一般式
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOCOCR=CH2 〔I〕
(ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1〜6の整数であり、aは1〜4の整数であり、bは1〜3の整数であり、cは1〜3の整数である)で表わされるポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体および(B)一般式
CH2=CRCOOR3 〔III〕
(ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R3はC1〜C30の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキル基あるいはアラルキル基である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル、一般式
CH2=CRCOOR4Y 〔IV〕
(ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R4はC1〜C30の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、Yは架橋性官能基である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルおよび一般式
CH2=CRCOO(R5O)lR6 〔V〕
(ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R5はC1〜C6の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、R6は水素原子、C1〜C30の直鎖状または分岐状のアルキル基あるいは芳香族基であり、lは1〜50の整数である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルの少くとも一種の共重合体よりなり、重量平均分子量Mwが2,000〜20,000,000である含フッ素共重合体およびこれを有効成分とする表面改質剤によって達成される。上記一般式〔I〕において、重合時の重合液安定性、溶解性、重合速度といった観点から、好ましくはnは2〜4の整数であり、aは1〜2の整数であり、bは1〜3の整数であり、cは1〜2の整数である。
本発明に係るポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体である含フッ素重合体は、パーフルオロアルキル基が生体蓄積性の低い炭素数6以下で構成されているばかりではなく、分子中のフッ化ビニリデン由来のCH2CF2基が容易に脱HFして二重結合を形成し、それがオゾン分解を受けて分解し易いため、環境を阻害することが少なく、しかも従来の含フッ素重合体と同等の性能を有する、撥水撥油剤、オイルバリアなど表面改質剤の有効成分として好適に使用することができる。
含フッ素共重合体の一方の単量体として用いられるポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体〔I〕は、一般式
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOH 〔VI〕
で表されるポリフルオロアルキルアルコールをアクリル酸またはメタクリル酸とエステル化反応させることにより製造される。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を示している。このポリフルオロアルキルアルコールは、これに対応するポリフルオロアルキルアイオダイドから製造される。
ポリフルオロアルキルアルコール合成の出発原料となるポリフルオロアルキルアイオダイド
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cI 〔VII〕
は、一般式
CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)bI 〔VIII〕
で表される末端ヨウ素化化合物にエチレンを付加反応させることにより製造される。エチレンの付加反応は、上記化合物〔VIII〕に過酸化物開始剤の存在下で加圧エチレンを付加させることにより行われ、その付加数は反応条件にもよるが、1以上、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。なお、この付加反応は、用いられる開始剤の分解温度にも関係するが、一般に約80〜120℃の反応温度で行われ、低温で分解する過酸化物開始剤を用いた場合には80℃以下での反応が可能である。過酸化物開始剤としては、第3ブチルパーオキサイド、ジ(第3ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ第2ブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられ、反応の進行性および制御性の点から、上記化合物〔VIII〕に対して約1〜5モル%の割合で用いられる。
なお、上記化合物〔VIII〕は、次のような一連の工程を経て合成される。
(i)一般式
CnF2n+1I (n:1〜6) 〔IX〕
で表されるパーフルオロアルキルアイオダイドを、上記の如き過酸化物開始剤(原料化合物に対し約0.1〜0.5モル%の使用量)の存在下でフッ化ビニリデンと反応させ、一般式
CnF2n+1(CH2CF2)aI 〔X〕
で表される化合物を得る。
(ii)次いで上記一般式〔X〕で表される化合物に、過酸化物開始剤の存在下でテトラフルオロエチレンを反応させることにより、前記一般式〔VIII〕(bは1〜3の整数である)で表される末端ヨウ素化化合物が得られる。この反応に用いられる過酸化物開始剤としては、前記の如き有機過酸化物開始剤が(i)と同様の割合で用いられる。
フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレン付加反応の反応温度は、用いられる開始剤の分解温度にも依存するが、低温で分解する過酸化物開始剤を用いることにより、低圧条件下でも80℃以下での反応が可能である。反応は、パーフルオロアルキルアイオダイドCnF2n+1Iまたは前記化合物〔X〕をオートクレーブ内に入れ、その内温を昇温させて約10〜60℃、例えば50℃としたら、そこにパーフルオロアルキルアイオダイドCnF2n+1Iまたは化合物〔X〕に溶解した過酸化物系開始剤を加え、内温が例えば55℃になったら、フッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンを約0.1〜1.0MPaの圧力を保ちながら分添し、所望量を分添した後、例えば約55〜80℃の間の温度で約1時間程度エージングすることにより行われる。その添加量によって、反応によって付加したフッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレン骨格の数aまたはbが左右される。一般には、種々のa値およびb値の混合物として形成される。
これらの反応が、低温で反応を行えるということは、エネルギーの使用量を減少させることが可能となるばかりではなく、設備内でのフッ酸等による腐食を抑制し、設備の更新頻度を減らすことができる。さらに、より廉価な材料の使用が可能となることから、更新頻度の減少と併せて、設備投資費用を廉価に抑えることができる。
エチレンが付加される具体的な化合物〔VIII〕としては、次のような化合物が例示される。この化合物は、種々のa値およびb値を有するオリゴマーの混合物であり、特定のa値およびb値を有するオリゴマーは混合物を蒸留することにより単離することができる。なお、所定のa値およびb値を有しないオリゴマーは、それを単離してまたは混合物のまま、再度フッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンとのオリゴマー数増加反応に用いることができる。
C2F5(CH2CF2)(CF2CF2)I
C2F5(CH2CF2)(CF2CF2)2I
C2F5(CH2CF2)2(CF2CF2)I
C2F5(CH2CF2)2(CF2CF2)2I
C4F9(CH2CF2)(CF2CF2)I
C4F9(CH2CF2)2(CF2CF2)I
C4F9(CH2CF2)(CF2CF2)2I
C4F9(CH2CF2)2(CF2CF2)2I
ポリフルオロアルキルアルコールは、ポリフルオロアルキルアイオダイドをまずN-メチルホルムアミドHCONH(CH3)と反応させ、ポリフルオロアルキルアルコールとそのギ酸エステルとの混合物とした後、酸触媒の存在下でそれを加水分解反応することにより製造される。この反応に際しては、ポリフルオロアルキルアイオダイド中に結合されているフッ化ビニリデン由来のCH2CF2が脱HFを起こし、収率を低下させることを防止するために、好ましくは5〜10倍モル量程度のN-メチルホルムアミドを用い、また酸触媒としてp-トルエンスルホン酸の水溶液を用いることが好ましい。N-メチルホルムアミドとの反応は、約140〜160℃の温度で約4〜5時間程度行われ、次いで行われる加水分解反応は、約70〜90℃の温度で約7〜8時間程度行われる。
得られたポリフルオロアルキルアルコールは、これをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化反応させることができる。エステル化反応に際しては、まずポリフルオロアルキルアルコールにトルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、p-トルエンスルホン酸等の触媒および重合禁止剤としてのハイドロキノンを加え、約90〜100℃に加熱した後、そこに約1〜2倍モル量のアクリル酸またはメタクリル酸を加え、約110〜120℃で約2〜5時間程度加熱し、脱水反応させて、エステル化反応が行われる。
ポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体〔VIII〕としては、特許文献3に記載される如く、次のような化合物を例示することができる。
Figure 2014172952
およびこれらに対応するメタクリル酸誘導体
ポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体は、それ単独でも一方の単量体である含フッ素重合性単量体として用いることができるが、その一部、具体的には含フッ素重合性単量体合計量中約30重量%以下の範囲内で他の含フッ素重合性単量体と併用して用いることもできる。
かかる他の含フッ素重合性単量体としては、一般式
CH2=CRCOOR1(NR2SO2)mRf 〔II〕
R:水素原子またはメチル基
R1:2価の有機基、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基または
ポリフルオロアルキレン基
R2:炭素数1〜5の低級アルキル基
Rf:炭素数1〜6、好ましくは2〜4のポリフルオロアルキル基、好ましくは
パーフルオロアルキル基
m:0または1
で表されるものが用いられ、例えば次のようなポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体が示される。ただし、末端ポリフルオロアルキル基の炭素数nは1〜6でなければならず、R1基がポリフルオロアルキレン基で、m=0の場合には、末端パーフルオロアルキル基との合計炭素数が1〜6でなければならない。
CH2=CHCOOCH2CnF2nH
CH2=C(CH3)COOCH2CnF2nH
CH2=CHCOOCH2CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOCH2CnF2n+1
CH2=CHCOOC2H4CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOC2H4CnF2n+1
CH2=CHCOOC3H6CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOC3H6CnF2n+1
CH2=CHCOOC4H8CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOC4H8CnF2n+1
CH2=CHCOOC2H4N(CH3)SO2CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOC2H4N(CH3)SO2CnF2n+1
CH2=CHCOOC2H4N(C2H5)SO2CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOC2H4N(C2H5)SO2CnF2n+1
CH2=CHCOOC2H4N(C3H7)SO2CnF2n+1
CH2=C(CH3)COOC2H4N(C3H7)SO2CnF2n+1
CH2=CHCOOC2H4CnF2nCF(CF3)2
CH2=C(CH3)COOC2H4CnF2nCF(CF3)2
ポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体〔I〕またはこれと他の含フッ素重合性単量体〔II〕と共重合されるフッ素原子非含有重合性単量体としては、下記一般式〔III〕、〔IV〕および〔V〕で表わされる(メタ)アクリル酸エステルの少くとも一種が好んで用いられる。
CH2=CRCOOR3 〔III〕
CH2=CRCOOR4Y 〔IV〕
CH2=CRCOO(R5O)lR6 〔V〕
R:H、メチル基
R3:C1〜C30の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキル基、アラルキル基
R4:C1〜C30の直鎖状または分岐状のアルキレン基
R5:C1〜C6の直鎖状または分岐状のアルキレン基
R6:H、C1〜C30の直鎖状または分岐状のアルキル基、芳香族基
Y:架橋性官能基
l:1〜50の整数
また、上記化合物〔III〕、〔IV〕または〔V〕を含むフッ素原子非含有重合性単量体としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、ラウリル、ステアリル等のアルキル基、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ベンジル等のアラルキル基、メトキシメチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、3-エトキシプロピル等のアルコキシアルキル基でエステル化されたアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート等のω-ヒドロキシアルキル基でエステル化されたアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールのモノアクリル酸エステルまたはモノメタクリル酸エステル、フマル酸またはマレイン酸のモノメチル、ジメチル、モノエチル、ジエチル、モノプロピル、ジプロピル、モノブチル、ジブチル、モノ2-エチルヘキシル、ジ2-エチルヘキシル、モノオクチル、ジオクチル等のモノアルキルエステルまたはジアルキルエステル、酢酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステルが挙げられ、好ましくは炭素数8以上の長鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、具体的には2-エチルヘキシル、n-オクチル、ラウリル、ステアリル等のアルキル基、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ベンジル等のアラルキル基等でエステル化されたアクリル酸エステル、さらに好ましくは2-エチルヘキシル、ステアリル等のアルキル基でエステル化されたアクリル酸エステル、ベンジル等のアラルキル基等でエステル化された(メタ)アクリル酸エステルが、撥水性、撥油性のバランス上好んで用いられる。
また、必要に応じて、多官能性単量体またはオリゴマーを共重合体中10重量%以下の割合で共重合させることもできる。かかる多官能性単量体またはオリゴマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、3-アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレート等が挙げられる。
コスト的にみればフッ素原子非含有重合性共単量体の共重合割合を増した共重合体が有利であり、フッ素原子非含有重合性単量体を、含フッ素重合性単量体との共重合体中約99〜1重量%、好ましくは約50〜5重量%共重合させると、撥水撥油性およびコストの両面からみて好ましい。
さらに、架橋性基含有単量体、例えば(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等を加え、共重合体中約10重量%以下、好ましくは約0.5〜7重量%を占めるような割合で共重合させることができる。これらの架橋性基含有単量体をさらに共重合させると、繊維表面の水酸基と架橋したりあるいは自己架橋して、撥水撥油剤の耐久性を高めることができる。
重合反応に際しては、取扱いの簡便性といった観点から、好ましくは1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-3,3-ジクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロ-1,3-ジクロロプロパン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン等の含フッ素有機溶媒の少なくとも一種よりなる有機溶媒中で、重合反応が行われる。
共単量体総量に対して約0.1〜4重量%、好ましくは約1〜2重量%の割合で用いられる開始剤としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル等が用いられ、具体的にはイソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ビス(ヘプタフルオロブチリル)パーオキサイド、ペンタフルオロブチロイルパーオキサイド、ビス(4-第3ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の有機過酸化物が用いられ、重合方法によってはアゾ化合物や無機過酸化物またはそれのレドックス系も用いられる。反応条件や組成比によっては重合反応が進行し難い場合もあるが、その場合には重合反応の途中で再度重合開始剤を追加して用いることもできる。
また、分子量の調整を行うため、必要に応じて連鎖移動剤を用いることもでき、連鎖移動剤としては、例えばジメチルエーテル、メチル第3ブチルエーテル、C1〜C6のアルカン類、メタノール、エタノール、2-プロパノール、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、メタン、酢酸エチル、マロン酸エチル、アセトン等が挙げられる。
共重合反応は、これらの反応溶媒、反応開始剤等を用いて約0〜100℃、好ましくは約5〜60℃、特に好ましくは約40〜50℃の反応温度で行われる。反応終了後、固形分濃度が約5〜30重量%の共重合体溶液が得られ、この反応混合物から溶媒を除去することにより、含フッ素共重合体が得られる。
共重合反応に用いられたポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体共重合体〔I〕は、未反応の残留共単量体をガスクロマトグラフィーで分析した結果殆ど完全に共重合されていることが確認された。
ポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体の製造方法はかかる溶液重合法に限定されず、例えば水を分散媒とし、ノニオン界面活性剤および/またはカチオン界面活性剤を含むけん濁重合法、乳化重合法なども用いられる。
このようにして得られるポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体は、蒸発乾固する方法、無機塩等の凝集剤を添加して凝集させる方法などにより分離され、溶媒等で洗浄する方法により精製される。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは、高速液体クロマトグラフィー法によって示され、その値は約2,000〜20,000,000となる。
溶液重合法により得られた重合体溶液は、さらに1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素有機溶媒、好ましくは重合反応に用いられたものと同じ有機溶媒によってその固形分濃度が約0.01〜30重量%、好ましくは約0.05〜5重量%に希釈され、表面改質剤として用いられる。水系の乳化重合法、けん濁重合法などによって得られる重合物については、そのままあるいは水で固形分濃度を約0.1〜10重量%に希釈した上で水性分散液として、または重合反応液に凝集剤を添加して重合物を凝集させ、水または有機溶媒で洗浄して分離された共重合体を水に分散または含フッ素有機溶媒に溶解させることにより、その水性分散液または有機溶媒溶液として、調製することもできる。水性分散液としては、好ましくは界面活性剤および水溶性有機溶媒を20%以下含有させたものが用いられる。かかる水性分散液または有機溶媒溶液は、例えば撥水撥油剤、オイルバリヤなどの表面改質剤として用いることができる。
この共重合体の水性分散液またはこれらの含フッ素有機溶媒溶液よりなる重合体溶液中には、さらに他の添加剤としてメラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックドイソシアネート等の架橋剤、重合体エクステンダー、シリコーン樹脂またはオイル、ワックス等の他の撥水剤、防虫剤、帯電防止剤、染料安定剤、防皺剤、ステインブロッカー等の表面改質剤用途に必要な添加剤を添加することができる。
このようにして得られる表面改質剤は、金属、紙、フィルム、繊維、布、織布、カーペットあるいはフィラメント、繊維、糸等で作られた布帛製品等に撥水撥油剤あるいは時計、モータ、一眼レフカメラのレンズ等の精密機械の摺動部品またはその摺動部品に近接する部品に対して摺動面から周辺部への潤滑オイルの滲み出しを防止するオイルバリアなど表面改質剤として有効に適用される。適用方法としては、塗布、浸漬、吹付け、パッディング、ロール被覆あるいはこれらの組合せ方法等が一般に用いられ、例えば浴の固形分濃度を約0.1〜10重量%とすることにより、パッド浴として使用される。このパッド浴に被処理材料をパッドし、次いで絞りロールで過剰の液を取り除いて乾燥し、被処理材料に対する重合体量が約0.01〜10重量%になるように付着せしめる。その後、被処理材料の種類にもよるが、一般には約100〜200℃の温度で約1分間乃至約2時間程度の乾燥が行われ、撥水撥油処理が終了する。
次に、実施例について本発明を説明する。
合成例1
(1) 攪拌機および温度計を備えた容量1200mlのオートクレーブに、
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)I (99.8GC%)
603g(1.17モル)およびジ第3ブチルパーオキサイド7gを仕込み、真空ポンプでオートクレーブを脱気した。内温を80℃迄加熱したところで、エチレンを逐次的に導入し、内圧を0.5MPaとした。内圧が0.2MPa迄下がったら、再びエチレンを導入して0.5MPaとし、これをくり返した。内温を80〜115℃に保ちながら、約3時間かけてエチレン49g(1.7モル)を導入した。内温50℃以下で内容物を回収し、
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)I (98.3GC%)
635g(収率98.8%)を得た。
(2) コンデンサおよび温度計を備えた容量200mlの三口フラスコに、上記(1)で得られた
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)I (98.3GC%)
100g(0.18モル)とN-メチルホルムアミド100g(1.68モル)を仕込み、150℃で4時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水30mlで洗浄し、その下層(82.8g)を15重量%p-トルエンスルホン酸水溶液83gと混合し、80℃で8時間攪拌した。反応混合物を静置後、下層として常温で無色透明の液体である反応生成物(78.4GC%)を60g(収率62.6%)得た。
反応生成物について、内圧0.2kPa、内温100〜144℃、塔頂温度58〜59℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(95.4GC%)43.7g(蒸留収率88.2%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)OH
(3) 上記(2)で得られた反応生成物(95.4GC%)40.0g(0.09モル)、トルエン21g、p-トルエンスルホン酸1.7gおよびハイドロキノン0.05gを、コンデンサおよび温度計を備えた容量100mlの三口フラスコに仕込み、内温を100℃迄加熱した後アクリル酸10.2g(0.14モル)を加え、内温115℃で2時間攪拌した。反応終了後、冷却して72gの反応液を回収し、エバポレータでトルエンを除去した残渣44.5gを水道水で洗浄し、下層として常温で無色透明の液体である反応生成物(86.3GC%)を40.9g(収率82.6%)得た。
この反応生成物について、内圧0.2kPa、内温103〜143℃、塔頂温度60〜61℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(99.2GC%)15.7g(蒸留収率44.1%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)(CH2CH2)OCOCH=CH2 〔含フッ素モノマーA〕
合成例2
(1) CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)2I (99.9GC%) 529g(0.86モル)およびジ第3ブチルパーオキサイド5gを用い、エチレン34g(1.2モル)を導入する反応を、合成例1の(1)と同様に行った。その結果、
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)I (99.1GC%)
550g(収率99.4%)を得た。
(2) コンデンサおよび温度計を備えた容量200mlの三口フラスコに、上記(4)で得られた
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)I (99.1GC%)
150g(0.24モル)とN-メチルホルムアミド105g(1.78モル)を仕込み、150℃で5時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水40mlで洗浄し、その下層(132.3g)を15重量%p-トルエンスルホン酸水溶液135gと混合し、80℃で7時間攪拌した。反応混合物を静置後、下層として白色の固体である反応生成物(65.5GC%)を103g(収率53.5%)得た。
反応生成物について、内圧0.2kPa、内温121〜163℃、塔頂温度76〜77℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(95.3GC%)66.9g(蒸留収率94.2%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)OH
(3) 上記(2)で得られた反応生成物(95.4GC%)60.0g(0.11モル)、トルエン29g、p-トルエンスルホン酸1.6gおよびハイドロキノン0.07gを、コンデンサおよび温度計を備えた容量100mlの三口フラスコに仕込み、内温を100℃迄加熱した後アクリル酸10g(0.14モル)を加え、内温118℃で3時間攪拌した。反応終了後、冷却して82gの反応液を回収し、エバポレータでトルエンを除去した残渣63.9gを水道水で洗浄し、下層として常温で無色透明の液体である反応生成物(89.3GC%)を60.8g(収率86.4%)得た。
この反応生成物について、内圧0.2kPa、内温125〜155℃、塔頂温度84〜86℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(99.4GC%)42.2g(蒸留収率77.2%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)OCOCH=CH2 〔含フッ素モノマーB〕
合成例3
合成例2(2)で得られた反応生成物(95.4GC%)60.0g(0.11モル)、トルエン29g、p-トルエンスルホン酸1.6gおよびハイドロキノン0.07gを、コンデンサおよび温度計を備えた容量100mlの三口フラスコに仕込み、内温を100℃迄加熱した後メタクリル酸12g(0.14モル)を加え、内温118℃で3時間攪拌した。反応終了後、冷却して82gの反応液を回収し、エバポレータでトルエンを除去した残渣64gを水道水で洗浄し、下層として常温で無色透明の液体である反応生成物(89GC%)を60.8g(収率86%)得た。
この反応生成物について、内圧0.2kPa、内温125〜155℃、塔頂温度84〜86℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(99.4GC%)42.2g(蒸留収率77.2%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)3(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)OCOC(CH3)=CH2 〔含フッ素モノマーC〕
合成例4
(1) 攪拌機および温度計を備えた容量1200mlのオートクレーブに、
CF3(CF2)(CH2CF2)(CF2CF2)2I (97GC%)
603g(1.17モル)およびジ第3ブチルパーオキサイド7gを仕込み、真空ポンプでオートクレーブを脱気した。内温を80℃迄加熱したところで、エチレンを逐次的に導入し、内圧を0.5MPaとした。内圧が0.2MPa迄下がったら、再びエチレンを導入して0.5MPaとし、これをくり返した。内温を80〜115℃に保ちながら、約3時間かけてエチレン49g(1.7モル)を導入した。内温50℃以下で内容物を回収し、
CF3(CF2)(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)I (98GC%)
630g(収率98.8%)を得た。
(2) コンデンサおよび温度計を備えた容量200mlの三口フラスコに、上記(1)で得られた
CF3(CF2)(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)I (98GC%)
100g(0.18モル)とN-メチルホルムアミド100g(1.68モル)を仕込み、150℃で4時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水30mlで洗浄し、その下層(82.8g)を15重量%p-トルエンスルホン酸水溶液83gと混合し、80℃で8時間攪拌した。反応混合物を静置後、下層として常温で無色透明の液体である反応生成物(78GC%)を60g(収率62%)得た。
反応生成物について、内圧0.2kPa、内温100〜144℃、塔頂温度58〜59℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(95GC%)43g(蒸留収率88%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)OH
(3) 上記(2)で得られた反応生成物(95GC%)40.0g(0.09モル)、トルエン21g、p-トルエンスルホン酸1.7gおよびハイドロキノン0.05gを、コンデンサおよび温度計を備えた容量100mlの三口フラスコに仕込み、内温を100℃迄加熱した後アクリル酸10.2g(0.14モル)を加え、内温115℃で2時間攪拌した。反応終了後、冷却して72gの反応液を回収し、エバポレータでトルエンを除去した残渣44.5gを水道水で洗浄し、下層として常温で無色透明の液体である反応生成物(86GC%)を41g(収率82%)得た。
この反応生成物について、内圧0.2kPa、内温103〜143℃、塔頂温度60〜61℃の条件下で減圧蒸留を行い、精製反応生成物(99GC%)16g(蒸留収率44%)を得た。
得られた精製反応生成物は、1H-NMRおよび19F-NMRの結果から、次式で示される化合物であることが確認された。
CF3(CF2)(CH2CF2)(CF2CF2)2(CH2CH2)OCOCH=CH2 〔含フッ素モノマーD〕
実施例1
合成例1で得られた含フッ素モノマーA 70g
2-エチルヘキシルメタクリレート〔EHMA〕 30g
1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン 350g
以上の各成分を、コンデンサを備えた容量500mlの反応器に仕込み、窒素ガスで30分間置換した。反応器に、さらに
ビス(4-第3ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート 1.0g
を添加した後(合計451.0g)、反応器内温度を徐々に50℃まで上げ、攪拌しながらこの温度で16時間重合反応を行った。
反応終了後冷却し、固形分濃度21.5重量%の重合体溶液を得た。未反応の残留共単量体についてガスクロマトグラフィーで分析した結果、共重合反応に用いられた含フッ素モノマーAの99%が共重合反応されていることが確認された。
なお、得られた共重合体溶液を120℃のオーブン中に入れ、溶媒を除去して単離した含フッ素モノマーA・2-エチルヘキシルメタクリレート共重合体の重量平均分子量Mwは、85000であった。ここで、Mwの測定は、Shodex GPC KD 806M + KD-802 + KD-Gを用い、温度40℃、溶出液である10mMテトラヒドロフラン溶液の溶出速度を1ml/分としてGPC測定法により行われ、検出器としては視差屈折計が、また解析にはSIC製Labchart 180(ポリスチレン換算)がそれぞれ用いられた。
この共重合体溶液に、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを加えて、その固形分濃度を2重量%に希釈し、その希釈液1mlをいずれも2×5cmのステンレス鋼板(SUS板)、ポリプロピレン板(PP板)、ポリエーテルエーテルケトン板(PEEK板)およびウレタン板に塗り、120℃で30分間乾燥させて、試験片を作製した。
作製された試験片について、撥水・撥油性能の一つの指標である静的接触角の測定(セシルドロップ法による)を、ヘキサデカンC16H34および水について実施した。測定は、初期および温度60℃、湿度80%RH、時間3ヶ月の条件下に保持したものについて、それぞれ行われた。
実施例2〜6、参考例1〜2
実施例1において、共重合モノマーが種々変更されて用いられた。また、実施例4および同6では、反応溶媒および希釈溶媒として、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの代りに、同量(350g)の1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンが用いられた。
共重合モノマー(単位:g)、重合体溶液の固形分濃度(単位:重量%)、共重合体Mwおよび静的接触角(単位:度)の測定結果は、次の表に示される。この表には、実施例1の結果が併記されている。

実施例 参考例

〔共重合モノマー〕
含フッ素モノマー
A 70 70 50
B 70
C 50
D 80
FAAC-8 70
FAMAC-6 20 70
アクリレートモノマー
StMA 20 40 30
BzMA 20 30
EHMA 30 10 30
PE-200 5
2HEA 10 5 5
NMAM 10 5
〔共重合体溶液〕
固形分濃度 21.5 21.7 21.4 21.2 21.7 21.1 25.6 24.8
〔共重合体〕
Mw(×103) 85 93 95 85 70 56 35 36

〔測定結果〕
初期〔C16H34
SUS板 75 76 75 71 73 75 75 71
PP板 76 76 76 72 72 75 75 72
PEEK板 75 76 76 72 70 75 75 72
ウレタン板 76 76 75 71 70 75 75 71
3ヶ月後〔C16H34
SUS板 75 76 74 70 72 74 74 70
PP板 76 76 75 71 72 75 75 71
PEEK板 75 76 74 71 70 74 74 71
ウレタン板 75 76 74 71 70 74 74 71
初期〔水〕
SUS板 118 120 118 115 116 118 120 115
PP板 118 119 118 115 116 118 120 115
PEEK板 119 120 119 114 118 119 121 114
ウレタン板 117 120 117 114 118 117 120 114
3ヶ月後〔水〕
SUS板 118 119 117 114 120 117 119 114
PP板 118 119 116 113 118 116 119 113
PEEK板 118 119 116 112 118 116 119 112
ウレタン板 117 119 115 110 117 115 118 110

注1)略号の説明
FAAC-8:2(n-パーフルオロオクチル)エチルアクリレート
FAMAC-6:2(n-パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
StMA:ステアリルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート
PE-200:ポリエチレングリコール(n:4)モノメタクリレート
2HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
NMAM:N-メチロールアクリルアミド

注2)未処理板の静的接触角
C 16 H 34
初期
SUS板 9° 97°
PP板 17° 99°
PEEK板 28° 102°
ウレタン板 37° 97°
3ヶ月後
SUS板 8° 97°
PP板 16° 97°
PEEK板 25° 97°
ウレタン板 30° 90°

Claims (8)

  1. (A)一般式
    CnF2n+1(CH2CF2)a(CF2CF2)b(CH2CH2)cOCOCR=CH2 〔I〕
    (ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、nは1〜6の整数であり、aは1〜4の整数であり、bは1〜3の整数であり、cは1〜3の整数である)で表わされるポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体および(B)一般式
    CH2=CRCOOR3 〔III〕
    (ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R3はC1〜C30の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキル基あるいはアラルキル基である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル、一般式
    CH2=CRCOOR4Y 〔IV〕
    (ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R4はC1〜C30の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、Yは架橋性官能基である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルおよび一般式
    CH2=CRCOO(R5O)lR6 〔V〕
    (ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R5はC1〜C6の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、R6は水素原子、C1〜C30の直鎖状または分岐状のアルキル基あるいは芳香族基であり、lは1〜50の整数である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルの少くとも一種の共重合体よりなり、重量平均分子量Mwが2,000〜20,000,000である含フッ素共重合体。
  2. 一般式
    CH2=CRCOOR1(NR2SO2)mRf 〔II〕
    (ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、R1は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキレン基であり、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基であり、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、mは0または1である)で表わされる含フッ素重合性単量体を、さらに共重合させた請求項1記載の含フッ素共重合体。
  3. ポリフルオロアルキルアルコール(メタ)アクリル酸誘導体〔I〕またはこれと他の含フッ素重合性単量体〔II〕と(メタ)アクリル酸エステル〔III〕、〔IV〕または〔V〕とが、重量比で1〜99:99〜1の割合で共重合された請求項1記載の含フッ素共重合体。
  4. 含フッ素重合性単量体〔II〕を、含フッ素重合性単量体合計量中30重量%以下の割合で共重合させた請求項2記載の含フッ素共重合体。
  5. 請求項1または2記載の含フッ素重合体を有効成分とする表面改質剤。
  6. 有機溶媒溶液として調製された請求項5記載の表面改質剤。
  7. 含フッ素有機溶媒溶液として調製された請求項6記載の表面改質剤。
  8. 撥水撥油剤として用いられる請求項5、6または7記載の表面改質剤。
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