以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明は、以下本明細書において詳細に説明するような多様な形態で実施され得る。また、本実施形態による紙幣処理装置(現金処理装置10)は、
A.結束紙幣の単位数、およびバラ状態の紙幣枚数を設定する設定部(制御部17)と、
B.紙幣の表裏を判定する判定部(鑑別部2)と、
C.紙幣を集積する紙幣集積部(紙幣カセット4)と、
D.紙幣を結束する紙幣結束部(施封部8)と、
E.前記紙幣結束部により結束される紙幣が集積される結束紙幣集積部(施封紙幣集積部7)と、
F.前記設定部により設定された単位数の結束紙幣を構成する紙幣の枚数である結束紙幣枚数、および前記設定部により設定されたバラ状態の紙幣枚数の合計枚数を前記紙幣集積部から前記判定部に繰り出す搬送部(搬送路6)と、
G.各紙幣について、前記判定部により表裏状態が第1の状態であると判定されたか否か、および、前記結束紙幣集積部への紙幣の搬送枚数が前記結束紙幣枚数に達したか否かに基づき、紙幣反転機能部および前記結束紙幣集積部を含む複数の搬送先候補から前記紙幣の搬送先を決定する制御部(17)と、
を有する。
このような現金処理装置10について、まずは概要を説明する。
<1.現金処理装置の概要>
[1−1.現金処理装置の外観構成]
図1は、本発明の実施形態である現金処理装置10の外観構成を示した説明図である。本実施形態による現金処理装置10は、図1に示すように、装置正面右側に紙幣投入口11aおよび紙幣異物返却口11bが設けられ、装置正面左側に硬貨投入口12a、硬貨リジェクト口12b、硬貨返却口12c、釣銭出金口12d、および硬貨出金口12eが設けられ、装置上側にカード挿入排出口13a、印字部(レシートプリンタ)14、表示部16、および小束出金口(シャッタ9)が設けられている。
紙幣投入口11aは、入金取引における紙幣の投入口および出金取引における紙幣の受取口である。紙幣異物返却口11bは、紙幣投入口11aに誤って投入された硬貨等の異物を返却する。
硬貨投入口12aは、入金取引における硬貨の投入口である。硬貨リジェクト口12bは、硬貨投入口12aから投入された硬貨のうち、計数において硬貨鑑別部(不図示)により異常と認識された硬貨が返却される返却口である。硬貨返却口12cは、計数済み硬貨の返却口である。釣銭出金口12dは、計数された釣銭の受取口である。硬貨出金口12eは、出金取引における出金硬貨の受取口である。
カード挿入排出口13aは、管理者等の操作者(オペレータ)のカードの挿入および排出を行う。
印字部(レシートプリンタ)14は、取引明細等を印字したレシートの排出を行う。
表示部16は、操作画面や取引内容を表示する。表示部16は、例えばタッチパネルにより実現され、操作部15(図2参照)としても機能する。また、図1に示すように、表示部16の隣にはテンキーが設けられている。
小束出金口(シャッタ9)は、施封部8(図3参照)により施封された小束紙幣の排出を行う。
以上説明した現金処理装置10は、例えば金融機関の営業店において接客用カウンタの後方に設置され、金銭に関する入金や出金等の各種処理を総合的に実行する。
[1−2.現金処理装置の内部構成]
次に、図2を参照して本実施形態による現金処理装置10の内部構成について説明する。図2は、本実施形態による現金処理装置10の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、現金処理装置10は、紙幣処理部11、硬貨処理部12、カードリーダ部13、印字部14、操作部15、表示部16、制御部17、および記憶部18を有する。
紙幣処理部11は、紙幣投入口11aから投入される入金紙幣を鑑別、計数して紙幣収納部に収納する入金処理、および指定された金種、金額の紙幣を紙幣収納部から繰り出して鑑別、計数した後、紙幣投入口11aから出金する出金処理を行う。また、紙幣処理部11は、施封部8(図3参照)を有し、施封部8により所定枚数の紙幣を施封して小束出金口(シャッタ9)から小束紙幣を出金する。また、紙幣処理部11は、紙幣投入口11aに誤って投入された硬貨等の異物を紙幣異物返却口11bから返却する。
硬貨処理部12は、硬貨投入口12aから投入される入金硬貨を鑑別、計数して硬貨収納部に収納する入金処理、および指定された金種、金額の硬貨を硬貨収納部から繰り出して鑑別、計数した後、硬貨出金口12eから出金する出金処理を行う。また、硬貨処理部12は、上述した硬貨リジェクト口12b、硬貨返却口12c、および釣銭出金口12dを有する。
カードリーダ部13は、カード挿入排出口13aから挿入された管理者や操作者のカードからデータを読み取り、装置へのログインやオペレータ認識等を行う。また、カードリーダ部13は、取引終了後にカード挿入排出口13aからカードを排出する。
印字部14は、上述したように、取引終了後に取引内容を印字した明細票(レシート)を排出する。
操作部15は、管理者や操作者の操作を検出する。例えば、操作部15は、タッチパネルおよびテンキーにより実現される。
表示部16は、上述したように、操作画面や取引内容を表示する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。
なお、図1においては表示部16と操作部15が一体的に構成される例(すなわちタッチパネルディスプレイ)を示しているが、表示部16および操作部15の機能は分離して構成されてもよい。
制御部17は、記憶部18に格納されている制御プログラムに基づいて現金処理装置10の各構成を制御する。また、制御部17は、記憶部18に格納されている画面を表示部16に表示して各種の取引を遂行する。また、本実施形態による制御部17は、紙幣処理部11の搬送路6a〜6n(図3参照)を制御することにより、入金、集積、出金および紙幣移動などの基本動作を制御する。また、制御部17は、入力情報に基づいて、施封紙幣の単位数(小束数)、およびバラ状態の紙幣枚数(バラ出金枚数)を算出して設定する設定部としても機能する。
記憶部18は、取引時における入力データ等を記憶する他、現金処理装置10の動作を制御するための制御プログラムが格納されている。また、取引選択画面、各取引における処理ステップ毎の案内画面、および入力画面等も記憶部18に格納されている。
本発明の実施形態は、上述した現金処理装置10の紙幣処理部11に関し、特に金種別に小束を施封する動作(小束出金と称す)および接客部1に紙幣を払い出す動作(バラ出金と称す)に関する。以下、本実施形態による紙幣処理部11の構成を説明した後に、本発明の実施形態による出金取引について詳細に説明する。
<2.紙幣処理部11の構成>
図3は、紙幣処理部11の内部構成を示した説明図である。図3に示したように、紙幣処理部11は、接客口19を含む接客部1、鑑別部2、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクト庫5、搬送路6a〜6m、施封紙幣集積部7(結束紙幣集積部)、施封部8(紙幣結束部)、およびシャッタ9(小束出金口)を備える。なお図3に示す紙幣処理部11は側面図であって、右側が装置正面となっている。
接客部1は、入金取引時に操作者により紙幣投入口11aから接客口19に投入された(入金された)紙幣を分離したり、出金取引時に操作者に出金する紙幣を集積したりするための構成である。
鑑別部2は、操作者の入金した紙幣、または操作者に出金する紙幣の鑑別を行う。具体的には、鑑別部2は、搬送路6を通って搬送された紙幣の金種、真偽、正損および走行状態などを鑑別する。
一時保留部3は、入金取引時に接客部1で分離されて鑑別部2により正常と鑑別された紙幣を一時的に集積する。一時保留部3に集積された紙幣は、鑑別部2を経て紙幣カセット4a〜4dなどへ搬送され、入金した紙幣の口座計上などが確定し、取引が成立する。また、一時保留部3は、紙幣カセット4a〜4d間の紙幣移動の際にも用いられる。
紙幣カセット4a〜4dは、操作者の入金した紙幣、出金するための紙幣、および他の紙幣カセット4から分離された紙幣などを集積する紙幣集積部である。紙幣カセット4a〜4dは、同一金種のための複数の紙幣カセットを含んでもよい。例えば、紙幣カセット4aおよび4cが一万円札用の紙幣カセットであり、紙幣カセット4bおよび4dが千円札用の紙幣カセットであってもよい。なお、紙幣カセット4a〜4dは、紙幣処理部11に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで紙幣カセット4a〜4dに紙幣を装填することも可能である。
リジェクト庫5は、出金取引時または入金取引時に鑑別部2によって金種不明と鑑別された入金、支払不可の紙幣を集積する。
搬送路6a〜6nは、紙幣を搬送するための構成である。各搬送路6a〜6nは、制御部17による制御に従ってDCサーボモータまたはパルスモータなどが回転することにより、紙幣を目的の搬送先へ搬送することが可能である。
施封紙幣集積部7は、施封部8により施封される紙幣が集積される紙幣集積部である。施封紙幣集積部7は、施封する所定枚数(例えば100枚)の紙幣を集積後、施封部8に紙幣を搬送する。
施封部8は、施封紙幣集積部7から搬送された所定枚数の紙幣をテープで結束(施封)し、結束した小束紙幣をシャッタ9から排出する。
シャッタ9は、施封部8により施封された小束紙幣を排出する小束出金口であって、施封部8により小束紙幣が排出される際に開き、操作者が小束紙幣を受け取ると閉じる。
上述した施封紙幣集積部7、施封部8、およびシャッタ9は、図3に示すように、紙幣処理部11の上方、より具体的には、接客部1、鑑別部2、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクト庫5、および搬送路6a〜6mよりも上部に配置されている。このように、施封紙幣集積部7および施封部8を上部に設けることで、操作者は立ったまま小束を受け取ることができ、作業の利便性を向上させることができる。また、本実施形態では、図3に示すように、施封紙幣集積部7と施封部8を共に1つずつ設けることで、省スペース化を図ることができる。上記特許文献1(WO2009−118839号公報)のように2つの施封紙幣集積部が設けられている場合、例えば一方に表紙幣、他方に裏紙幣を搬送して表裏を揃えることも可能であるが、本実施形態では省スペース化を実現するために施封紙幣集積部が1つであっても施封紙幣の表裏を揃えることができる。
なお図3には図示しないが、搬送路6a〜6nが搬送する紙幣や、各分離部(具体的には、接客部1、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクト庫5)から分離される紙幣の通過、到達は、搬送路6上や各分離部に設けられている光学センサの検知結果に基づいて制御部17により判断される。また、目的の搬送先へ搬送するために搬送路の分岐にはブレードが実装され、制御部17は当該ブレードを切り替えることで紙幣を所定の搬送先へ搬送させる。
また、本実施形態による紙幣処理部11は、紙幣の表裏を反転させるためだけの従来の表裏反転機構を有さないことで、装置サイズを小さくすることができる。
(基本動作)
入金取引においては、まず、接客部1から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6aを経て鑑別部2へ搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3に集積される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は搬送路6cおよび6eを経て接客部1に集積される。その後、操作者により入金金額の確認操作が行われると、集積処理に移行する。
集積処理においては、まず、一時保留部3から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6dおよび6cを経て鑑別部2へ搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6b、6f〜6kを経て金種に対応する紙幣カセット4a〜4dに集積される。一方、汚損券、折れ紙幣、二千円札、スキュー紙幣などの走行異常紙幣のように、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6gおよび6lを経てリジェクト庫5に集積される。
紙幣移動においては、まず、紙幣カセット4a〜4dのうちの移動元の紙幣カセットから紙幣が分離され、分離された紙幣は搬送路6f〜6k、6bを経て鑑別部2へ搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5に集積される。
その後、一時保留部3から紙幣カセット4a〜4dのうちの移動先の紙幣カセットに紙幣が搬送される。具体的には、一時保留部3から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6dおよび6cを経て鑑別部2へ搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6b、6f〜6kを経て移動先の紙幣カセットに集積される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6gおよび6lを経てリジェクト庫5に集積される。
通常の出金取引においては、まず、操作者により指定された金額に応じて紙幣カセット4a〜4dから紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6f〜6kおよび6bを経て鑑別部2へ搬送される。
そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6cおよび6eを経て接客部1に集積される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣、すなわち、操作者に支払いできない紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5に集積される。
小束紙幣の出金取引においては、まず、操作者により指定された金種および束数(または枚数)に応じて紙幣カセット4a〜4dから紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6f〜6kおよび6bを経て鑑別部2へ搬送される。
そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であり、かつ表裏が所定の状態である紙幣は、搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7に集積される。施封紙幣集積部7に所定枚数の紙幣が集積されると、施封部8へ搬送され、施封部8において紙幣の施封が行われ、シャッタ9から排出される。
整理施封取引においては、まず、接客部1から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6aを経て鑑別部2へ搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であり、指定された金種であって、かつ表裏が所定の状態である紙幣は搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7に集積される。施封紙幣集積部7に所定枚数の紙幣が集積されると、施封部8へ搬送され、施封部8において紙幣の施封が行われ、シャッタ9から排出される。
(本発明の課題)
ここで、小束を作成する際には紙幣の表裏を揃えなければならず、従来の紙幣処理装置では特殊な表裏反転機構を紙幣処理装置に実装されているが、装置サイズが大きくなるという問題があった。これに対し、例えば接客部1等の紙幣反転機能部を介して搬送することで自動的に紙幣の表裏を反転させることが考えられる。この場合、特殊な表裏反転機構を実装する必要がなく、装置の小型化を実現することができる。
しかしながら、小束出金取引とバラ出金取引を行う場合、小束出金取引が終了してからバラ出金を行うと、小束出金取引では上述したように紙幣反転機能部を介した搬送が行われるため全ての処理が終わるまで時間がかかってしまう。
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態による現金処理装置10を創作するに至った。本発明の実施形態による現金処理装置10は、装置の小型化を実現しつつ、小束出金とバラ出金を並行して行うことが可能である。以下、このような本発明の実施形態について詳細に説明する。
<3.第1の実施形態>
本実施形態では、出金取引において、装置の小型化を実現しつつ、小束出金とバラ出金を並行して行うことで出金時間を短縮することができる現金処理装置10を提案する。
図4、図5、および図7は、本実施形態による出金取引の流れを示した説明図である。図4に示したように、まず、指定された出金金種の紙幣が集積されている紙幣カセット4dから紙幣が分離され、分離された紙幣が搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2に搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常であって、また、出金金種であり、かつ表裏が裏の状態である紙幣を、図4に示すように搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。なお、本実施形態では、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるため、鑑別部2により裏と鑑別された紙幣を施封紙幣集積部7に搬送することで、表紙幣(表の面が上になった紙幣)の施封を実現することができる。
一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)を、図4に示すように搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送するよう制御する。また、制御部17は、出金金種であっても表裏が表の状態である紙幣を、図4に示すように搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送するよう制御する。
次いで、制御部17は、接客部1に搬送された紙幣を、図5に示すように接客部1から再度分離することで紙幣の表裏を反転させ、分離した紙幣を、搬送路6aを経て鑑別部2へ再搬送するよう搬送路を制御する。上述したように、接客部1には、出金金種であるが表裏が表の状態である紙幣が搬送されているため、接客部1を介して反転され裏の状態となった紙幣が、鑑別部2に搬送される。
ここで、接客部1を利用した紙幣の表裏反転について図6を参照して説明する。図6では、紙幣30において紙幣の表側を破線、裏側を実線で示している。本実施形態による小束出金取引では、まず、図6(a)に示したように鑑別部2で表側が上を向いている状態と鑑別された紙幣30は、図6(b)に示したように搬送路6cおよび6eを経て接客部1に搬送され、集積される。
次いで、図6(c)に示したように接客部1から紙幣30が分離され、搬送路6aに送り込まれる。ここで、本実施形態による接客部1は、搬送路6eから搬送された紙幣を受け入れる受入口22と、搬送路6aに紙幣が繰り出される(分離される)繰出口23とを有する。そして、受入口22から受け入れた紙幣30を繰出口23から繰り出す際に、受入口22から受け入れた紙幣30の後側から繰り出すことで、紙幣30の表裏が反転する。
したがって、図6(d)に示したように接客部1から分離され、搬送路6aを経て鑑別部2に再度搬送された紙幣30は、裏側が上を向いている状態と鑑別され、施封紙幣集積部7に搬送される。このように、本実施形態では、接客部1の繰出口23において、受入口22から受け入れられた際の紙幣30の後側から当該紙幣30が繰り出されることで、紙幣30の表裏を反転させることができる。
続いて、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常である場合、図5に示すように搬送路6cおよび6nを経て当該紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する。この際、制御部17は、施封紙幣集積部7へ搬送した紙幣が施封枚数(例えば100枚)に達した場合、当該紙幣を搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送する。また、鑑別部2による再鑑別結果が異常である紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト紙幣としてリジェクト庫5へ搬送される。
そして、制御部17は、図7に示したように、一時保留部3に集積した紙幣を、搬送路6dおよび6eを経て接客部1へ搬送してバラ出金の払い出しを行う。一時保留部3に集積されている紙幣は、小束出金取引の過程で既に鑑別部2により正常と判断された紙幣であるため、バラ出金の払い出しを迅速に行うことができる。
本実施形態による紙幣処理部11は、上述した3つの処理(紙幣カセット4から鑑別部2への搬送、鑑別部2から施封紙幣集積部7または接客部1への搬送、接客部1から施封紙幣集積部7または一時保留部3への搬送)を行うことにより、出金金種の表裏を自動的に反転させて施封紙幣集積部7に表揃えの紙幣を集積させることができる。
(本実施形態による出金取引の動作フロー)
図8は、本実施形態による出金取引の動作を示すフローチャートである。図8に示したように、まず、操作者が表示部16に表示されたメニュー画面を操作して出金取引を選択し(S100)、さらに出金金額(または出金金種および枚数)を入力する(S102)。
次いで、制御部17は、入力情報に基づいて、出金する小束数およびバラ紙幣枚数を算出する(S104)。ここでは一例として100枚単位で小束出金を行うため、制御部17は、入力された出金枚数(または入力された出金金額から算出した出金枚数)に基づいて、以下の式に示すように、小束数およびバラ出金枚数を算出する。
(式1)
小束数=出金枚数/100
バラ出金枚数=出金枚数/100の余り
次に、制御部17は、小束出金が有るか否かを判断し(S106)、有る場合(つまり小束数が1以上の場合)は100枚単位で小束出金処理を行う(S108)。小束出金処理の詳細については図9〜図10を参照して後述する。
次いで、小束出金処理により施封紙幣集積部7に施封する所定の枚数、例えば100枚の紙幣が集積されると、施封紙幣集積部7は集積された紙幣を施封部8に束搬送する(S110)。そして、施封部8により束紙幣に施封を行った後(S112)、施封部8から小束紙幣を押し出す(排出する)ことでシャッタ9を開き、小束受取位置まで小束紙幣を移動させる(S114)。制御部17は、操作者が小束紙幣を受取ると、シャッタ9を閉じる。当該S112およびS114は、次のS116、S108と並行して処理され得る。
制御部17は、施封部8へ束搬送した施封紙幣集積部7において次の紙幣の集積準備が完了した後、残りの小束出金が有るか否かを判断する(S116)。残りの小束出金が有る場合は上記S108に戻り、小束出金処理が行われる。
一方、残りの小束出金が無い場合、制御部17は、小束出金後の状態を確認する(S118)。
この時、一時保留部3にバラ紙幣の出金が終了している(バラ出金枚数に達している)状態の場合(S118において「バラ紙幣支払済」)、制御部17は、一時保留部3から接客部1へ全ての紙幣を搬送する(S120)。すなわち、上記S108の小束出金処理において、詳しくは図9および図10を参照して説明するが、接客部1を介して表裏を反転した紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する際、施封紙幣集積部7に所定枚数が集積された場合は、当該紙幣をバラ出金に用いるため一時保留部3へ搬送する。したがって、一時保留部3にはバラ出金用の紙幣が集積された状態となっている。
また、一時保留部3に出金しているバラ紙幣がバラ出金枚数に足りてない状態の場合(S118において「バラ紙幣不足」)、制御部17は、一時保留部3から接客部1へ全ての紙幣を搬送し(S122)、さらに不足分のバラ紙幣を紙幣カセット4から分離して鑑別部2を介して接客部1へ出金する(S124)。
また、一時保留部3にバラ紙幣が一枚も出金されていない状態の場合(S118において「バラ紙幣未出金」)、制御部17は、紙幣カセット4からバラ出金枚数分の紙幣を分離して鑑別部2を介して接客部1へ出金する(S126)。
続いて、制御部17は、印字部14により、施封した通番および施封金額等の施封に関する情報およびバラ出金に関する情報を印字した明細票を排出させ(S128)、接客部1からの紙幣の受取を確認すると(S130)、出金取引を終了する。なお、小束紙幣が不足して出金取引が終了した場合、制御部17は紙幣が不足していることを明細表に印字して排出し、操作者は施封紙幣集積部7から端数紙幣を抜取る。
以上、本実施形態による出金取引について説明した。次に、上記S108に示す小束出金処理について図9および図10を参照して具体的に説明する。
図9および図10は、小束出金処理の動作を示すフローチャートである。図9に示したように、まず、制御部17は、指定された出金金種が格納されている紙幣カセット4から1枚ずつ100枚の紙幣を分離する(S140、S142)。
次に、分離された紙幣は、紙幣カセット4から搬送路6fおよび6bを経て鑑別部2に搬送される。鑑別部2では、紙幣の金種、真偽、正損、走行状態、および表裏状態が鑑別され、制御部17は、鑑別結果に基づいて、出金金種の裏紙幣(裏の面が上になった紙幣)の場合は(S144において「Yes」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送する(S146)。なお表紙幣の施封を行う際に裏紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送するのは、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるためである。
一方、鑑別結果が出金金種の表紙幣の場合(S144において「No」、S150において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送する(S152)。図6を参照して上述したように、紙幣の表裏を反転させるためである。
ここで、バラ出金がある場合(算出したバラ出金枚数が1以上の場合)(S154において「Yes」)、制御部17は、接客部1へ搬送した紙幣がバラ出金枚数の出金枚数に到達したか否かを確認する(S156)。
バラ出金枚数に到達していない場合(S156において「No」)、制御部17は、紙幣カセット4からの分離枚数を1枚加算する(S158)。すなわち、接客部1へ搬送した表紙幣はバラ出金用の紙幣としても使用できるため、制御部17は、紙幣カセット4から次の紙幣を分離し、できるだけ反転する必要のない裏紙幣を優先的に施封紙幣集積部7へ搬送し、接客部1を介して施封紙幣集積部7へ搬送する紙幣を減らすことができる。
一方、制御部17は、鑑別結果が出金金種以外の紙幣(例えば偽券、損券、走行異常等のリジェクト紙幣)の場合(S150において「No」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送する(S160)。この際、リジェクト庫5へ紙幣を搬送した分、施封紙幣が不足してしまうため、制御部17は、紙幣カセット4からの分離枚数を1枚増やす(S162)。
続いて、紙幣カセット4からの分離が終了すると(S148において「Yes」)、制御部17は、接客部1に紙幣が有るか否かを確認し(S164)、無い場合は小束出金処理を終了する。
一方、接客部1に紙幣が有る場合(S164において「Yes」)、制御部17は、接客部1から全ての紙幣を1枚ずつ分離する(図10のS166)。接客部1には、紙幣カセット4から分離され鑑別部2で出金金種の表紙幣と鑑別された紙幣が集積されているため、接客部1から分離することで、図6を参照して上述したように、紙幣の表裏が反転される。
次に、分離された紙幣は、接客部1から搬送路6aを経て鑑別部2に搬送される。ここで、接客部1から分離された紙幣は、上述したように既に紙幣カセット4からの分離において出金金種の表紙幣と鑑別された紙幣であるため、紙幣を鑑別しないモードまたは簡易鑑別で走行状態および正損だけをチェックするモードといった、鑑別部2でリジェクトされた場合に発生する処理時間を削減するモードを採用することも可能である。いずれのモードを採用するかは操作者により予め選択されてもよいし、管理者により予め設定されていてもよい。
簡易鑑別モードの場合(S170において「No」、S172において「Yes」)、鑑別部2により、紙幣の走行状態および正損が鑑別される(S174)。走行状態が異常または損券である紙幣の場合(S174において「No」)、当該紙幣は搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送される(S178)。
また、通常の鑑別モードの場合(S170において「No」、S172において「No」)、鑑別部2により、紙幣の金種、真偽、正損、走行状態、および表裏状態が鑑別される(S176)。鑑別結果が出金金種の裏紙幣ではない場合(S176において「No」)、当該紙幣は搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送される(S178)。
一方、鑑別結果が出金金種の裏紙幣の場合(S176において「Yes」)、簡易鑑別モードにおいて走行状態が正常かつ正券である紙幣と鑑別された場合(S174において「Yes」)、若しくは紙幣を鑑別しないモードの場合(S170において「Yes」)、制御部17は、施封紙幣集積部7の集積紙幣が100枚に達していなければ(S180において「No」)、搬送路6cおよび6nを経て当該紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する(S182)。
施封紙幣集積部7の集積紙幣が100枚に達していれば(S180において「Yes」)、搬送路6cおよび6dを経て当該紙幣を一時保留部3へ搬送する(S184)。
接客部1が空になった場合は分離動作を終了する(S186において「Yes」)。一方、接客部1が空になるまで分離動作は繰り返され(S186において「No」)、接客部1からの分離で紙幣をリジェクトした場合は(S187において「Yes」)、出金紙幣が不足するため、不足枚数を紙幣カセット4から分離し(S188)、図9に示すS142以降の処理が繰り返される。なお不足枚数は下記式により求められる。
(式2)
不足枚数=100−施封紙幣集積部7への搬送枚数
不足枚数の算出後、制御部17は、接客部1からの分離の際、装置の異常で計数動作を繰り返す可能性もあるため、一定の動作時間(S190)、または接客部1から繰り出し回数が一定の回数(S192)に達したか否かを判断し、達した場合(S190において「Yes」、またはS192において「Yes」)、エラーとして計数を停止するよう制御する。これにより、計数動作を繰り返さない様にすることができる。つまり、不足枚数の算出後、紙幣カセット4から不足枚数分の紙幣が鑑別部2に搬送される(図9のS142からS144)。その際に表紙幣であると鑑別された紙幣は接客部1に搬送される(図9のS150)。接客部1から施封紙幣集積部7に紙幣を搬送する際に、接客部1から搬送された紙幣がリジェクト庫5に搬送された場合(図10のS178)、再度不足枚数の算出を行う(図10のS188)。そして、再度不足枚数分の紙幣を紙幣カセット4から搬送する。このような動作が何回も繰り返されないように、上述の一定の動作時間(S190)、または一定の回数(S192)に達したか否かを判断して、達している場合はエラーにする。また、接客部1からの紙幣の分離が終了してからエラー判断を行うことで、接客部1には残留紙幣が無いため、エラー発生時に操作者は施封紙幣集積部7から残留紙幣を取り除くだけでよい。また、図10には図示しないが、誤って101枚以上の紙幣を搬送路6nに搬送してしまった場合にもエラーとして計数を停止する。
以上説明したように、本実施形態によれば、出金取引において、紙幣カセット4から分離された紙幣が表紙幣であると鑑別された場合に接客部1を介して施封紙幣集積部7へ搬送することで、表裏を反転させることができる。また、紙幣カセット4からは施封紙幣集積部7へ搬送する枚数に加えて、接客部1へ払い出すバラ出金枚数分も分離され、反転処理を行う必要のない裏紙幣を優先的に施封紙幣集積部7へ搬送することで、接客部1を介して反転させた紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する処理時間を削減することができる。
(第2の小束出金処理)
上記図10を参照して説明した小束出金処理では、接客部1から分離した紙幣のうち、施封紙幣集積部7へ搬送しない紙幣(バラ出金用の紙幣;バラ紙幣)を一時保留部3へ搬送した後、接客部1へ再度搬送してバラ紙幣の出金を行っている。ここで、本実施形態では、小束出金処理において接客部1へ搬送していたバラ紙幣を一時保留部3へ搬送してもよく、これにより接客部1から一時保留部3へ搬送する処理時間を削減することができる。以下、このような小束出金処理について図11〜図13を参照して説明する。
図11は、第2の小束出金処理の動作の流れを説明する図である。図11に示すように、まず、指定された出金金種の紙幣が集積されている紙幣カセット4dから紙幣が分離され、分離された紙幣が搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2へ搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常であって、また、出金金種であり、かつ表裏が裏の状態である紙幣を、搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。なお、本実施形態では、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるため、鑑別部2により裏と鑑別された紙幣を施封紙幣集積部7に搬送することで、表紙幣の施封を実現することができる。
一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)を、図11に示すように搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送するよう制御する。
また、制御部17は、出金金種であっても表裏が表の状態である紙幣は、バラ出金用の紙幣として用いることができるため、搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送するよう制御する。なお一時保留部3へ搬送した紙幣の枚数がバラ出金枚数に達した場合、制御部17は、反転して施封紙幣として用いるため搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送するよう制御する。
バラ出金の際は紙幣の表裏を揃える必要がないため、表紙幣と鑑別された紙幣を優先的にバラ紙幣に利用するよう一時保留部3へ搬送することで、反転処理時間を削減することができる。このような第2の小束出金処理の動作について以下説明する。
図12および図13は、第2の小束出金処理の動作を示すフローチャートである。図12のS340〜S350、S360〜S364は、上述した図9に示す第1の小束出金処理の動作におけるS140〜S150、S160〜S164と同様であるため、ここでの詳細は省略する。
次いで、紙幣カセット4から分離して鑑別部2へ搬送した紙幣の鑑別結果が出金金種の表紙幣の場合(S350において「Yes」)、制御部17は、バラ紙幣の出金の有無を確認する(S352)。バラ紙幣が有る場合(すなわちバラ出金枚数が1以上の場合)(S352において「Yes」)、バラ紙幣の出金枚数に到達していなければ(S354において「No」)、制御部17は、当該紙幣を一時保留部3へ搬送する(S356)。この際、バラ紙幣を搬送した分、施封紙幣が不足してしまうため、制御部17は、紙幣カセット4からの分離枚数を1枚増やす(S358)。
一方、バラ紙幣が無い場合(すなわちバラ出金枚数が0の場合)(S352において「No」)、またはバラ紙幣の出金枚数に到達している場合(S354において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を接客部1へ搬送する(S353)。
次に、紙幣カセット4からの分離が終了し、接客部1に紙幣が有る場合(S364において「Yes」)、制御部17は、接客部1から全ての紙幣を1枚ずつ分離する(図13のS366、S368)。接客部1には、紙幣カセット4から分離され鑑別部2で出金金種の表紙幣と鑑別された紙幣が集積されているため、接客部1から分離することで、図6を参照して上述したように、紙幣の表裏が反転される。
次いで、制御部17は、分離した紙幣を、搬送路6aを経て鑑別部2へ搬送し、図10のS170〜S176に示す場合と同様に、紙幣鑑別無しモード(S370)、簡易鑑別モード(S372)、または通常の鑑別モード(S376)を実施する。
そして、鑑別結果が出金金種の裏紙幣の場合(S376において「Yes」)、簡易鑑別モードにおいて走行状態が正常かつ正券である紙幣と鑑別された場合(S374において「Yes」)、若しくは紙幣を鑑別しないモードの場合(S370において「Yes」)、制御部17は、搬送路6cおよび6nを経て当該紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する(S382)。図9、図10を参照して説明した第1の小束出金処理と異なり、第2の小束出金処理では、表紙幣と鑑別された紙幣はバラ出金に用いるため既に一時保留部3へ搬送されており、接客部1には表裏を反転させて施封紙幣集積部7へ搬送するための紙幣が集積されているので、制御部17は、接客部1から分離した紙幣は施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。
続くS386〜S392は、図10に示すS186〜S192と同様であるため、ここでの説明は省略する。
このように、本実施形態による第2の小束出金処理では、鑑別結果が表紙幣の場合はバラ紙幣として用いることができるため優先的に一時保留部3へ搬送することで、上記第1の小束出金処理では接客部1へ搬送してから一時保留部3へ搬送していた処理時間を削減することができる。
(変形例)
なお、上述した第1の小束出金処理において、接客部1から紙幣を分離して施封紙幣集積部7へ搬送する際に、施封紙幣集積部7に所定枚数が集積された時点で接客部1からの紙幣の分離を停止し、接客部1にバラ出金用の紙幣を残すよう処理することで、搬送時間の削減を行うことも可能である。
<4.第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、図3に示す構造を有する紙幣処理部11において、図6を参照して説明したように接客部1を介して紙幣を搬送することで紙幣の表裏を反転させているが、本発明はこれに限定されず、例えば三叉路セレクタを用いて紙幣の表裏を反転することが可能である。
図14は、第2の実施形態による紙幣処理部21の内部構成および出金取引の流れを示した説明図である。図14に示す紙幣処理部21の構成は、図3に示す紙幣処理部11の構成と比較して、搬送路6dおよび6nの分岐に三叉路セレクタ20が追加されている点が異なり、他の構成は同様である。
三叉路セレクタ20が追加されることで、紙幣処理部21は、搬送路6cから搬送路6n(施封紙幣集積部7へ向かう第1の搬送路)に紙幣を送り込む他、搬送路6cから搬送路6d(一時保留部3(紙幣折返部)に向かう第2の搬送路)に送り込んで一時保留部3(紙幣折返部)で進路を折り返した紙幣を搬送路6d(第2の搬送路)から搬送路6n(第1の搬送路)へ送り込むことが可能となる。
以上説明した構成を有する紙幣処理部21において、まず、図14に示したように、指定された出金金種の紙幣が集積されている紙幣カセット4dから分離され、分離された紙幣が搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2へ搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が出金金種であって、表裏が裏の状態である紙幣を、図14に示したように、搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。なお、本実施形態では、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるため、鑑別部2により裏と鑑別された紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送することで、表紙幣の施封を実現することができる。
一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)を、図14に示したように、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送するよう制御する。
また、制御部17は、出金金種であっても表裏が表の状態である紙幣は、バラ出金用の紙幣として用いるために、図14に示したように、搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送するよう制御する。なお接客部1へ搬送した紙幣の枚数がバラ出金枚数に達した場合、制御部17は、反転して施封紙幣として用いるため搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送するよう制御する。
そして、制御部17は、一時保留部3へ搬送された紙幣を、一時保留部3から分離して搬送路6nへ送り込むことで紙幣の表裏を反転させ、分離した紙幣を、施封紙幣集積部7へ搬送するよう搬送路を制御する。上述したように、一時保留部3には、施封金種であるが表裏が表の状態である紙幣が搬送されているため、折返部として機能する一時保留部3で進路を折り返した紙幣を一時保留部3から搬送路6nへ送り込むことで、紙幣の表側が上を向いた状態で施封紙幣集積部7へ集積することができる。
このように、第2の実施形態による紙幣処理部21は、上述した3つの処理(接客部1から鑑別部2への搬送、鑑別部2から施封紙幣集積部7、接客部1、または一時保留部3への搬送、一時保留部3から施封紙幣集積部7への搬送)を行うことで、分離した紙幣のうち表と鑑別された紙幣はバラ出金用の紙幣とすることで、反転処理を削減することができる。
以上説明した構成を有する紙幣処理部21における出金取引の流れについて図15〜図17を参照して説明する。
(本実施形態による出金取引の動作フロー)
図15は、第2の実施形態による出金取引の動作を示すフローチャートである。図15のS500〜S518は、上述した図8に示す第1の実施形態による出金取引の動作におけるS100〜S118と同様に行われる。すなわち、制御部17は、小束出金が有る場合は小束出金処理(S508)を行い、残りの小束出金が無い場合、小束出金後の状態を確認する(S518)。
上記S508の小束出金処理において、詳しくは図9および図10を参照して説明するが、小束出金用にまず100枚の紙幣を分離した際に、表紙幣と鑑別された紙幣は、バラ出金用の紙幣として用いるため接客部1へ搬送される。したがって、接客部1にはバラ出金用の紙幣が集積された状態となっている。
接客部1にバラ紙幣の出金が終了している(バラ出金枚数に達している)状態の場合(S518において「バラ紙幣支払済」)、制御部17は、新たな紙幣の搬送は行わない。
一方、接客部1にバラ紙幣が一枚も出金されていない状態の場合(S518において「バラ紙幣未出金」)または出金しているバラ紙幣がバラ出金枚数に足りてない状態の場合(S518において「バラ紙幣不足」)、制御部17は、不足分のバラ紙幣を紙幣カセット4から分離して鑑別部2を介して接客部1へ出金する(S526)。
そして、制御部17は、印字部14により、施封した通番および施封金額等の施封に関する情報およびバラ出金に関する情報を印字した明細票を排出させ(S528)、接客部1から紙幣が操作者に受け取られると(S530)、出金取引を終了する。なお、小束紙幣が不足して出金取引が終了した場合、制御部17は紙幣が不足していることを明細表に印字して排出し、操作者は施封紙幣集積部7から端数紙幣を抜取る。
以上、本実施形態による出金取引について説明した。次に、上記S508に示す小束出金処理について図16および図17を参照して具体的に説明する。
図16および図17は、第2の実施形態による小束出金処理の動作を示すフローチャートである。図16のS540〜S550、S560〜S564は、上述した図9に示す第1の小束出金処理の動作におけるS140〜S150、S160〜S164と同様であるため、ここでの詳細は省略する。
次いで、紙幣カセット4から分離して鑑別部2へ搬送した紙幣の鑑別結果が出金金種の表紙幣の場合(S550において「Yes」)、制御部17は、バラ紙幣の出金の有無を確認する(S552)。バラ紙幣が有る場合(すなわちバラ出金枚数が1以上の場合)(S552において「Yes」)、バラ紙幣の出金枚数に到達していなければ(S554において「No」)、制御部17は、当該紙幣を接客部1へ搬送する(S556)。この際、バラ紙幣を搬送した分、施封紙幣が不足してしまうため、制御部17は、紙幣カセット4からの分離枚数を1枚増やす(S558)。
一方、バラ紙幣が無い場合(すなわちバラ出金枚数が0の場合)(S552において「No」)、またはバラ紙幣の出金枚数に到達している場合(S554において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣の表裏を反転するため一時保留部3へ搬送する(S553)。
次に、紙幣カセット4からの分離が終了し、一時保留部3に紙幣が有る場合(S564において「Yes」)、制御部17は、一時保留部3から全ての紙幣を1枚ずつ分離し(図17のS566、S568)、施封紙幣集積部7へ搬送する(S570)。より具体的には、制御部17は、三叉路セレクタ20を搬送路6d方向から搬送路6n方向に切り替え、一時保留部3から分離した紙幣を搬送路6nに送り込む。一時保留部3には、紙幣カセット4dから分離され鑑別部2で出金金種の表紙幣と鑑別された紙幣が集積されているため、一時保留部3から分離して搬送路6nへ送り込むことで、上述したように紙幣の表裏が反転される。上記S568、S570は、一時保留部3から全ての紙幣を分離するまで繰り返される(S572)。
<5.むすび>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、特殊な表裏反転機構を備えなくとも、接客部1や三叉路セレクタ20を用いることで表裏を反転させることができる。
また、出金取引において、小束出金とバラ出金を並行して行うことで、出金金種のうち裏紙幣と鑑別された紙幣を優先的に施封紙幣集積部7へ集積し、表紙幣と鑑別された紙幣をバラ出金用の紙幣とすることで、出金時間を短縮することができる。
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本明細書の現金処理装置10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、現金処理装置10の処理における各ステップは、説明した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
また、現金処理装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した現金処理装置10の制御部17と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、紙幣処理部11、硬貨処理部12に内蔵されるCPU、ROMおよびRAM等を実装している場合には、制御部17と同様な機能を発揮させる事もできる。