次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、画像形成装置の一例としてのカラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、用紙Pを供給する給紙部2と、供給された用紙Pに画像を形成する画像形成部3と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部4とを主に備えている。
給紙部2は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部3に供給する用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Pは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部3に供給される。
画像形成部3は、露光ユニット30と、画像形成ユニット40と、ベルトユニット50と、ベルトクリーナ60と、定着ユニット70とから主に構成されている。
露光ユニット30は、装置本体10内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。
画像形成ユニット40は、給紙部2と露光ユニット30との間に配置され、4つのプロセスユニット41と、4つのプロセスユニット41を前後に並んだ状態で保持するホルダ42とを主に備えている。
プロセスユニット41は、ホルダ42に対して着脱可能であり、感光体の一例としての感光体ドラム43と、帯電器44と、現像ローラ46と、符号を省略して示す供給ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー収容部とを主に備えている。
ベルトユニット50は、給紙部2と画像形成ユニット40との間に設けられ、装置本体10に対して着脱可能に構成されている。ベルトユニット50は、駆動ローラ51と、従動ローラ52と、駆動ローラ51および従動ローラ52によって前後方向に張架されたベルトの一例としての無端状の搬送ベルト53と、4つの転写ローラ54とを主に備えている。
ここで、各ローラ51,52により搬送ベルト53が張架された方向である前後方向は、第1方向の一例である。なお、第1方向は、別の表現で特定することができ、例えば、搬送ベルト53に接触する複数の感光体ドラム43の配列方向を第1方向として特定することができる。
搬送ベルト53は、前後方向に延びる上面53Aが各感光体ドラム43に接しており、内側には、各転写ローラ54が各感光体ドラム43との間で搬送ベルト53を挟持するように配置されている。また、駆動ローラ51には、モータ等の駆動源Mから発生した駆動力が伝達されるようになっており、これにより、搬送ベルト53が図示反時計回りに回転する。
ベルトユニット50の下方には、ベルトクリーナ60が配置されている。ベルトクリーナ60は、クリーニングローラ61および回収ボックス62を有する。クリーニングローラ61は、搬送ベルト53の下面53Bと接触しており、搬送ベルト53上のトナーを回収して回収ボックス62に収容する。搬送ベルト53の内側には、バックアップローラ56が、クリーニングローラ61との間で搬送ベルト53を挟持するように配置されている。
定着ユニット70は、画像形成ユニット40およびベルトユニット50の後方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。
画像形成部3では、感光体ドラム43の表面が、帯電器44により一様に帯電された後、露光ユニット30からのレーザ光(図示一点鎖線)の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム43上に静電潜像が形成される。また、トナー収容部内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラ46に供給され、現像ローラ46上に担持される。
現像ローラ46上に担持されたトナーは、現像ローラ46から感光体ドラム43上の静電潜像に供給され、感光体ドラム43上にトナー像が形成される。その後、搬送ベルト53上に供給された用紙Pが、感光体ドラム43と転写ローラ54との間を搬送されることで、各感光体ドラム43上に形成されたトナー像が用紙P上に順次重ね合わせて転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ71と加圧ローラ72の間を搬送されることで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
排紙部4は、定着ユニット70の出口から上方に向かって延び、前方に方向転換するように形成された排紙経路81と、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ82とを主に備えている。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ82によって排紙経路81を搬送され、装置本体10の上部に設けられた排紙トレイ12上に排出される。
装置本体10の前側の側壁は開閉可能なフロントカバー11であり、フロントカバー11を開けることでホルダ42を装置本体10の外部に引き出し、プロセスユニット41を取り外すことが可能となっている。詳しくは、ホルダ42は、図1に示す、各感光体ドラム43が搬送ベルト53に接触する第1位置と、図2に示す、各感光体ドラム43が搬送ベルト53から離れた第2位置との間を、第2方向および第3方向の一例としての上下方向に移動可能となっている。また、ホルダ42は、第2位置と、図3に示す、その上部の略全体(各プロセスユニット41に対応した部分)が装置本体10の外に露出する第5位置との間を、前後方向に移動可能となっている。
ここで、ホルダ42の第1位置から第5位置への移動は、装置本体10の左右のフレームに設けられる図示せぬガイドによって案内されている。なお、本実施形態では、ホルダ42の第1位置と第2位置との間の移動方向を、上下方向とするが、本発明はこれに限定されず、上下方向に対して多少傾斜した方向、つまり鉛直方向成分と前後方向成分を含む方向としてもよい。
また、第5位置に位置するホルダ42は、装置本体10から取り外すことが可能となっている。そして、第5位置に位置するホルダ42を装置本体10から取り外すことで、ベルトユニット50を装置本体10の外部へ取り出すことが可能となっている。
次に、ベルトユニット50周辺の詳細構造について説明する。
図4に示すように、ベルトユニット50は、前述した駆動ローラ51および従動ローラ52を回転可能に支持するフレーム55を備えている。
フレーム55は、駆動ローラ51および従動ローラ52の左右方向外側に配置される左側壁部55Aおよび右側壁部55Bと、左側壁部55Aと右側壁部55Bの前端部同士を繋ぐ前壁部55Cとを有している。前壁部55Cの上部には、前方に突出するように形成された把持部C1が設けられており、これにより、ユーザが把持部C1を掴んでベルトユニット50の着脱動作を行うことが可能となっている。
右側壁部55Bは、前後方向に延びる長尺状の本体部B1と、本体部B1の右側の側面から右側に突出する軸受部B2、係合部B3および被支持部B4とを有している。また、左側壁部55Aは、前後方向に延びる長尺状の本体部A1と、本体部A1の右側の側面から右側に突出する軸受部A2と、本体部A1の左側の側面から左側に突出する係合部A3および被支持部A4とを有している。
軸受部A2,B2は、駆動ローラ51の軸51S(図5参照)の各端部を回転可能に支持する円筒状の部位であり、各側壁部55A,55Bの後端部に設けられている。駆動ローラ51の軸51Sの左端部には、ベルト側カップリング51Aが設けられている。ベルト側カップリング51Aには、装置本体10に設けられた可動部の一例としての本体側カップリング130が連結・解除される。本体側カップリング130と、ベルト側カップリング51Aとは、駆動源Mから駆動ローラ51への駆動力の伝達・遮断を切り替えるためのカップリングCPを構成している。
本体側カップリング130は、ベルト側カップリング51Aに対して、左右方向、つまり駆動ローラ51の軸線方向に進退可能に構成されており、駆動源Mから駆動ローラ51への駆動力の伝達を遮断する遮断位置(図4の位置)と、駆動源Mからの駆動力を駆動ローラ51に伝達する伝達位置(図7の位置)とに移動可能になっている。言い換えると、本体側カップリング130は、遮断位置ではベルト側カップリング51Aとの連結が解除されて駆動ローラ51の軸線方向の左側に退避した状態であり、伝達位置ではベルト側カップリング51Aと連結した状態である。
図7に示すように、本体側カップリング130は、装置本体10に回転可能に設けられた本体側駆動ギヤ140によって軸線方向に移動可能に支持されている。本体側駆動ギヤ140は、駆動源Mから駆動力が伝達されるギヤ部141と、ギヤ部141の中心部から本体側カップリング130に向けて突出する突出部142とを有している。
本体側カップリング130は、円筒部131と、円筒部131の外周面から径方向外側に突出するフランジ132と、円筒部131の右端に設けられる継手133とを有している。円筒部131は、内部に本体側駆動ギヤ140の突出部142が挿入されており、突出部142に対して軸線方向に移動可能で、かつ、回転方向に係合している。また、円筒部131の右端部には、径方向に延びる溝131Aが設けられている。
フランジ132は、環状に形成されており、当該フランジ132と本体側駆動ギヤ140との間には、本体側カップリング130をベルト側カップリング51Aに向けて付勢する付勢部材の一例としての圧縮コイルバネ150が設けられている。
継手133は、本体側カップリング130の円筒部131の軸線と駆動ローラ51の軸線とがずれた状態でも、本体側駆動ギヤ140から本体側カップリング130を介して駆動ローラ51に駆動力を伝達するためのものである。継手133は、円板状の基部133Aと、基部133Aから右側に突出する一対の凸部133Bと、円筒部131の右端部の溝131Aに円筒部131の径方向である第1径方向に移動可能に係合する係合部133Cとを有している。
各凸部133Bは、第1径方向に直交する第2径方向に間隔を空けて並んでおり、ベルト側カップリング51Aに形成される4つの凹部51Bのうち径方向に並んだ2つの凹部51B内に入り込んだ状態で、第2径方向に移動可能で、かつ、回転方向に係合可能となっている。これにより、ベルト側カップリング51Aの軸線と本体側駆動ギヤ140の軸線とが径方向にずれたとしても、継手133がベルト側カップリング51Aと円筒部131とに回転方向で係合した状態で本体側駆動ギヤ140からベルト側カップリング51Aに動力が伝達される。より詳しくは、円筒部131と継手133とが第1径方向に相対的に移動し、凹部51Bと継手133とが第2径方向に相対的に移動することで、本体側駆動ギヤ140とベルト側カップリング51Aとの軸線が径方向にずれた場合であっても動力が伝達される。
図5に示すように、軸受部A2,B2は、装置本体10に設けられた一対の規制部14で支持されている。規制部14は、軸受部A2,B2を介して、上下方向において駆動ローラ51の位置を規制するための部位である。
規制部14は、上下方向に延びる底部14Aと、底部14Aの上端から前方に延びる上側部14Bと、底部14Aの下端から前方に延びる下側部14Cとを有しており、前後方向の前側が開放されている。下側部14Cは、上側部14Bよりも前方に長く延びている。
上側部14Bおよび下側部14Cは、その間隔が軸受部A2,B2の外径よりもわずかに大きく、軸受部A2,B2の外周面に嵌合可能に構成されている。これにより、軸受部A2,B2の上方への移動が上側部14Bによって規制され、軸受部A2,B2の下方への移動が下側部14Cによって規制されている。
底部14Aは、前後方向において駆動ローラ51の位置を規制する、詳しくは駆動ローラ51の後方への移動を規制する部位であり、装置本体10に装着された状態のベルトユニット50の軸受部A2,B2に対して後側に隣接して設けられている。なお、底部14Aは、装置本体10に装着された状態のベルトユニット50の軸受部A2,B2に対して近い位置に配置されていればよく、当該軸受部A2,B2に対して間隔を空けて配置されていてもよい。
そして、この底部14Aで後方への移動が規制された状態の駆動ローラ51の軸線上には、前述した本体側カップリング130が配置されている。
また、このような断面視コ字状の規制部14内において軸受部A2,B2が支持されたベルトユニット50は、装置本体10への着脱時において、駆動ローラ51の軸線を中心にして回動することが可能となっている。
係合部A3,B3は、装置本体10に設けられた押圧部材110に係合する部位であり、その下端部が下方に向かうにつれて徐々に幅狭となるテーパ形状に形成されている。係合部A3,B3は、駆動ローラ51に対して前方に第1距離L1だけ離れて配置されるとともに、把持部C1に対して後方に第1距離L1よりも大きな第2距離L2だけ離れて配置されている。より詳しくは、駆動ローラ51の軸線、つまりベルトユニット50を回動しながら装着する際において支点となる箇所から、係合部A3,B3のうち押圧部材110に作用する作用点となる箇所までの距離が第1距離L1となっている。また、作用点となる箇所から、把持部C1のうち最も後側の部位までの距離が第2距離L2となっている。
押圧部材110は、係合部A3,B3を、装置本体10に設けられた位置決め部15に向けて前後方向に押圧するための押圧機構100を構成する部材である。なお、押圧機構100および位置決め部15は、ベルトユニット50の左右両側に設けられている。
押圧部材110は、装置本体10に回動可能に支持される回動軸部111と、回動軸部111から上方に延び、位置決め部15との間で係合部A3,B3を挟持する第1アーム部112と、第1アーム部112の上端部から後方に突出する第3アーム部113と、回動軸部111から前方に延びる第2アーム部114とを有している。第1アーム部112の上端部の前側は、係合部A3,B3に向けて徐々に幅狭となるテーパ形状に形成されている。
押圧機構100は、前述した押圧部材110の他、引張コイルバネ120を備えている。引張コイルバネ120は、一端部が押圧部材110の第2アーム部114の先端部に係合し、他端部が装置本体10に設けられたバネ係合部16に係合している。これにより、引張コイルバネ120によって付勢される押圧部材110が、前後方向において係合部A3,B3を位置決め部15に押し付けることで、ベルトユニット50が前後方向に位置決めされている。
被支持部A4,B4は、装置本体10に設けられた左右一対の支持部17に下から支持される部位であり、係合部A3,B3と把持部C1との間、詳しくは把持部C1寄りの位置に設けられている。また、各側壁部55A,55Bの前端部には、従動ローラ52を回転可能に支持する軸受52Aと、軸受52Aを前後方向に移動可能に支持するガイド孔52Bと、軸受52Aを前方に向けて付勢する圧縮コイルバネ52Cとが設けられている。これにより、駆動ローラ51と従動ローラ52が互いに離れて、搬送ベルト53に適度な張力が加わっている。
図6(a)に示すように、ベルトユニット50の左後側(左右方向の片側)には、ホルダ42と本体側カップリング130とを連動させるための連動機構200が設けられている。ホルダ42の左側の側壁42A、つまり本体側カップリング130側の側壁42Aには、図6(b)に示すように、当該側壁42Aの外面から左側に突出して、連動機構200に係合する係合突起42Bが設けられている。
係合突起42Bの下部は、ホルダ42を第2位置から第1位置へ移動する際に連動機構200に係合する第1係合部42Cとなっており、上部は、ホルダ42を第1位置から第2位置へ移動する際に連動機構200に係合する第2係合部42Dとなっている。また、ホルダ42の左右の側壁42Aの下面42Eの前後端部には、当該下面42Eから下側に突出する突出部42Fが合計4つ形成されており、各突出部42Fの下面は、ホルダ42をカラープリンタ1の設置面等に載せるときに設置面等に接触する載置面42Gとなっている(図2も参照)。
載置面42Gは、感光体ドラム43よりも下側、つまりベルトユニット50側に配置されている。そして、係合突起42Bは、載置面42Gよりも上側、つまり感光体ドラム43側に配置されている。
連動機構200は、係合突起42Bと係合する連動部材の一例としての第1リンク210と、第1リンク210に連結される第2リンク220と、第2リンク220に連結され、本体側カップリング130を左側に押圧するためのカム235を有する第3リンク230とを備えている。
図7および図8に示すように、第1リンク210は、上下方向に延びる長尺状の部材であり、装置本体10によって上下方向に移動可能に支持されている。詳しくは、装置本体10は、第1リンク210を前後方向に挟んで保持する保持部材の一例としての一対のガイド部13を有し、第1リンク210の前後幅が一対のガイド部13間の距離よりも若干大きくなっている。これにより、第1リンク210は、外部から力が加わっていないときには、一対のガイド部13との摩擦により、上下の位置が保持され、外部から力が加わると、一対のガイド部13で支持されながら上下に移動するようになっている。
第1リンク210の上部には、前後方向に沿って延びるスリット211が形成されている。スリット211は、前端部が前側に向けて開口しており、当該開口から係合突起42Bが挿入可能となっている。これにより、ホルダ42が第2位置(図8の位置)から第1位置(図7の位置)に下がると、係合突起42Bの第1係合部42Cによってスリット211の下面が押されて、ホルダ42とともに第1リンク210が下がって、第1リンク210が、第1位置に対応した第3位置に移動する。そして、ホルダ42が第1位置において装置本体10で支持されると、第1リンク210は、一対のガイド部13によって第3位置に保持される。
また、ホルダ42が第1位置から第2位置に上がると、係合突起42Bの第2係合部42Dによってスリット211の上面が押されて、ホルダ42とともに第1リンク210が上がって、第1リンク210が、第2位置に対応した第4位置に移動する。そして、ホルダ42が第2位置から第5位置に移動して、係合突起42Bがスリット211から外れると、第1リンク210は、一対のガイド部13によって第4位置に保持される。
また、第1リンク210のスリット211の下側には、第2リンク220に連結される第1連結軸212が設けられている。また、スリット211の開口端には、係合突起42Bをスリット211内に案内するために、前側に向かうにつれて上下方向外側に傾斜する一対の案内面213が設けられている。
第2リンク220は、L字状の部材であり、装置本体10に回動可能に支持される回動軸部221と、ホルダ42が第1位置(図7の位置)にあるときに回動軸部221から前斜め下側に延びる第1延出部222と、ホルダ42が第1位置にあるときに回動軸部221から後斜め下側に延びる第2延出部223とを有している。第1延出部222には、第1連結軸212に係合する第1長孔222Aが形成されている。第2延出部223の下端部には、後述する第3リンク230に設けられる第2連結軸234に係合する第2長孔223Aが形成されている。
これにより、第1リンク210が下方に移動する際には、第1リンク210によって第2リンク220の第1延出部222が下方に押されて、第2リンク220が図示時計回りに回動し、第1リンク210が上方に移動する際には、第1リンク210によって第2リンク220の第1延出部222が上方に引っ張られて、第2リンク220が図示反時計回りに回動する。
第3リンク230は、装置本体10に前後方向に移動可能に支持されており、主に、前後方向に延びる長尺状の第1部位231と、第1部位231よりも左右方向の厚さが厚く、第1部位231から後方に延びる第2部位232とを有している。
第1部位231には、第2長孔223Aに係合する第2連結軸234が設けられている。これにより、第2リンク220が図示時計回りに回動すると、第2リンク220によって第3リンク230が後方に押されて後方に移動し、第2リンク220が図示反時計回りに回動すると、第2リンク220によって第3リンク230が前方に引っ張られて前方に移動する。
第2部位232には、左側に突出するカム235が設けられている。カム235は、前面が、左右方向に対して傾斜するカム面235Aとなっている。詳しくは、カム面235Aは、カム235が前方へ移動するときに本体側カップリング130のフランジ132を左側に押圧して本体側カップリング130を遮断位置に移動させるように、後側に向かうにつれて左側に傾斜している。また、カム235の左側の面は、本体側カップリング130のフランジ132を支持して、本体側カップリング130を遮断位置に保持する保持面235Bとなっている。
次に、連動機構200の動作について説明する。
ホルダ42を装置本体10に装着する場合には、まず、ユーザは、図3から図2の順に示すように、ホルダ42を第5位置から第2位置に移動させる。これにより、図8(a)に示すように、ホルダ42の係合突起42Bが第1リンク210のスリット211内に入り込む。
その後、ユーザが、ホルダ42の自重を利用してホルダ42を第2位置から第1位置に下げると、図7(a)に示すように、第1リンク210が下方に移動して、第2リンク220が図示時計回りに回動し、第3リンク230が後方に移動する。これにより、図7(b)に示すように、カム235の保持面235Bが本体側カップリング130のフランジ132から外れて、本体側カップリング130が圧縮コイルバネ150の付勢力によって遮断位置から伝達位置に移動して、ベルト側カップリング51Aに連結される。
装置本体10からホルダ42を引き出す場合において、ユーザが、ホルダ42を第1位置から第2位置に持ち上げると、図8(a)に示すように、第1リンク210が上方に移動して、第2リンク220が図示反時計回りに回動し、第3リンク230が前方に移動する。これにより、図8(b)に示すように、カム235のカム面235Aによって本体側カップリング130のフランジ132が左側に押圧され、本体側カップリング130が圧縮コイルバネ150の付勢力に抗して伝達位置から遮断位置に移動して、ベルト側カップリング51Aから退避する。その後、ユーザは、ホルダ42を第2位置から第5位置に移動させる。これにより、係合突起42Bが第1リンク210のスリット211から外れて、第1リンク210が一対のガイド部13によって第4位置に保持される。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
フロントカバーとカップリングとを連動させる構成においては、フロントカバーが完全に閉まっていない状態などに、カップリングの連結が不安定になる可能性があった。これに対し、本実施形態では感光体ドラム43と搬送ベルト53が接触する第1位置にホルダ42が移動するのに連動して、本体側カップリング130をベルト側カップリング51Aに駆動力を伝達する伝達位置に移動させる連動機構200を備えることで、画像形成を行う際にベルトユニット50の搬送ベルト53を良好に動作させることができる。
ホルダ42の上下方向の移動に連動して連動機構200を動かすので、ホルダ42の自重を利用して連動機構200を良好に作動させることができる。
ホルダ42の下降時と上昇時の両方において、係合突起42Bが第1リンク210に係合して第1リンク210を動かすので、例えば第1リンクを第4位置に戻すためのバネ等を設けなくても、連動機構200を構成することができる。詳しくは、第1リンクを第4位置に付勢するバネを設け、係合突起で第1リンクの上面をバネの付勢力に抗して下方に押圧することで第1リンクを第3位置に移動させ、ホルダを持ち上げたときに、第1リンクがバネの付勢力で第4位置に戻るように連動機構を構成することもできるが、前記実施形態の連動機構200では、このようなバネが不要となっている。また、このようなバネを有する構造では、ホルダに対してバネから常時上方への付勢力が働くため、感光体ドラムと搬送ベルトとの接触状態が悪くなるおそれがあるが、前記実施形態の連動機構200では、バネがないため、感光体ドラム43と搬送ベルト53とを良好に接触させることができる。
係合突起42Bがホルダ42の本体側カップリング130側の側壁42Aに設けられているので、例えば係合突起をホルダの入力側カップリングとは反対側の側壁に設ける構造に比べ、連動機構200の構造を簡易化することができる。
係合突起42Bを載置面42Gよりも上側に設けることで、ホルダ42の載置面42Gをカラープリンタ1の設置面等に置いたときに、係合突起42Bが設置面等に接触しないので、ホルダ42を安定して設置面等に載置することができる。
ホルダ42を第2位置から第5位置に移動させた場合には、第1リンク210が一対のガイド部13によって第4位置に保持されるので、ホルダ42を第5位置に引き出した状態において、本体側カップリング130を遮断位置に良好に保持することができる。また、第1リンク210が第4位置に保持されるので、ホルダ42を第5位置から第2位置に移動させる際において、係合突起42Bをスリット211内に確実に挿入することができる。
カップリングCPの可動部である本体側カップリング130を装置本体10に設けたので、例えば可動部をベルトユニットに設ける構造に比べ、ベルトユニット50の構造を簡易化することができ、ベルトユニット50の着脱作業を容易に行うことができるとともに、交換部品であるベルトユニット50の低コスト化を図ることができる。
駆動ローラ51の上下方向の位置を規制する規制部14を設けることで、振動や衝撃などの外乱があっても、駆動ローラ51の上下方向の位置が変動しにくくなるので、搬送ベルト53の挙動を安定させ、画像の位置ずれが起こるのを抑えることができる。
ホルダ42を第2位置から第5位置に移動させることで、ホルダ42を装置本体10外に露出させることができるので、プロセスユニット41の交換などを容易に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、以下の説明では、前記実施形態と略同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
前記実施形態では、保持部材として一対のガイド部13を例示したが、本発明はこれに限定されず、保持部材は、例えば、図9(a)に示すように、第1リンク210を第4位置に保持するバネ310であってもよい。具体的に、この形態では、第1リンク210を上下方向に移動可能に支持する一対のガイド部18の間隔が、第1リンク210の前後幅よりも若干大きくなっている。また、装置本体10には、バネ310を支持するバネ支持部311と、第1リンク210が第4位置から上方(第3位置から離れる方向)に移動するのを規制する規制壁312とが設けられている。
この場合であっても、バネ310によって、第1リンク210を第4位置に良好に保持することができる。なお、このバネ310の付勢力は、第1リンク210を第3位置から第4位置まで移動させるための大きな付勢力に設定する必要はなく、あくまで第1リンク210を第4位置に保持できる程度の弱い付勢力に設定することができる。
また、保持部材は、図9(b)に示すように、第1リンク210に形成される被係合凸部214に係合することで、第1リンク210を第4位置に保持する係合凸部320であってもよい。係合凸部320は、装置本体10に設けられている。被係合凸部214および係合凸部320は、低めの凸部であり、ホルダ42の自重が加わると外れるように構成されている。この場合であっても、被係合凸部214と係合凸部320との係合により、第1リンク210を第4位置に良好に保持することができる。
なお、前記実施形態において、カム235の保持面235Bと本体側カップリング130のフランジ132との摩擦力が十分大きければ、一対のガイド部13の間隔を第1リンク210の前後幅よりも大きくしてもよい。この場合であっても、フランジ132が、摩擦力によって第3リンク230の後方への移動を抑えることで、第3リンク230および第2リンク220を介して第1リンク210を第4位置に保持することができる。なお、この場合、保持部材は、フランジ132を有する本体側カップリング130となる。
前記実施形態では、ホルダ42に係合突起42Bを設け、第1リンク210にスリット211を設けたが、本発明はこれに限定されず、これとは逆に、ホルダにスリットを設け、第1リンクにスリットに入り込む係合突起を設けてもよい。この場合、スリットの上面が第1係合部となり、スリットの下面が第2係合部となる。
前記実施形態では、駆動ローラ51の軸線方向に直交する方向に移動するカム235を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カムは、可動部の軸線と同心円上に配置される複数のカム面を有し、軸線中心に回動することでカム面を周方向に移動させて可動部を押圧するように構成してもよい。
前記実施形態では、搬送ベルト53が2つのローラ(駆動ローラ51および従動ローラ52)により張架されていたが、本発明はこれに限定されず、ベルトは、駆動ローラおよび2個以上の従動ローラにより張架されていてもよい。この場合、第1方向は、駆動ローラと、当該駆動ローラに対してベルトの回転方向上流側に配置される従動ローラとによってベルトが張架される方向である。
前記実施形態では、ベルトの一例として用紙Pを搬送する搬送ベルト53を例示したが、本発明はこれに限定されず、トナー像を担持して用紙に転写するための転写ベルトなどであってもよい。また、感光体は、感光体ドラム43に限らず、他の感光体、例えばベルト状の感光体であってもよい。
前記実施形態では、可動部である本体側カップリング130を装置本体10に設け、ベルト側カップリング51Aをベルトユニット50に設けたが、本発明はこれに限定されず、可動部をベルトユニットに設け、可動部が連結・解除される部材を装置本体に設けてもよい。
前記実施形態では、3つのリンク210〜230を有する連動機構200を例示したが、本発明はこれに限定されず、リンクの数は適宜変更可能であるとともに、リンクの他にピニオンギヤやラックギヤなどを設けて連動機構を構成してもよい。
前記実施形態では、付勢部材として圧縮コイルバネ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば引張コイルバネ、板バネ、トーションバネなどであってもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。