JP2016070102A - 乗り物 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の構造の複雑化を抑えつつ、過給機によりエンジン出力を向上できる乗り物を提供する。【解決手段】雪上車は、エンジン40を支持するフレーム2と、入力軸および出力軸36を含む変速機と、出力軸36と動力伝達可能に連結された推進装置と、出力軸36と動力伝達可能に連結された回転軸51を含む過給機50と、を備える。過給機50は、フレーム2に固定されている。【選択図】図6

Description

本発明は、過給機を備えた乗り物に関する。
従来から、雪上車、四輪バギー車などの乗り物において、エンジン出力の向上のために過給機が用いられている。特許文献1には、内燃機関の排気ガスのエネルギーを利用するターボ式の過給機を備えた雪上車が開示されている。特許文献2には、内燃機関のクランク軸によって駆動される機械式の過給機を備えた雪上車が開示されている。
米国特許第7198127号明細書 米国特許出願公開第2007/0102215号明細書
ターボ式の過給機は、排気ガスを利用できるように、内燃機関の排気通路と一体化させる必要がある。そのため、過給機および内燃機関(排気通路を含む)の構造が複雑となる。また、高温の排気ガスを利用するので高度な熱対策が必要となり、それにより過給機および内燃機関の構造が更に複雑化しやすい。
クランク軸により駆動される過給機では、クランク軸と過給機とを連結する機構を内燃機関に内蔵する必要がある。そのため、内燃機関に対して特別な設計が必要となり、また、内燃機関の構造が複雑となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の構造の複雑化を抑えつつ、過給機によりエンジン出力を向上できる乗り物を提供することである。
本発明に係る乗り物は、クランク軸を含む内燃機関と、前記内燃機関を支持するフレームと、変速機と、推進装置と、過給機とを備える、前記変速機は、前記クランク軸に動力伝達可能に連結された入力軸と、前記入力軸に連結され、前記入力軸の回転速度よりも小さい回転速度で回転可能な出力軸と、を含む。前記推進装置は、前記出力軸と動力伝達可能に連結され、推進力を発生するように構成されている。前記過給機は、前記入力軸または前記出力軸と動力伝達可能に連結された回転軸を含み、空気を圧縮して前記内燃機関に供給するように構成されている。前記過給機は、前記フレームに固定されている。
上記乗り物によれば、過給機は入力軸または出力軸と動力伝達可能に連結された回転軸を含んでおり、クランク軸の動力によって駆動される。過給機と内燃機関の排気通路とを一体化させる必要がない。また、過給機の動力源として高温の排気ガスのエネルギーを利用する場合に比べて、高度な熱対策が不要となる。そのため、過給機および内燃機関の構造の複雑化を抑えることができる。また、上記乗り物によれば、過給機の回転軸は入力軸または出力軸と動力伝達可能に連結されるので、クランク軸と過給機とを連結する機構を内燃機関に内蔵する必要がない。そのため、内燃機関に対して特別な設計が必要ではなく、内燃機関の構造の複雑化を抑制することができる。更に、上記乗り物によれば、過給機はフレームに固定されているので、過給機をエンジンにボルト等で固定する必要がない。過給機を固定するための構造を内燃機関に付加する必要がないため、内燃機関の構造の複雑化を抑制することができる。また、内燃機関の内部および外部のいずれにも、過給機を設けるための専用の構造は不要なので、汎用的な内燃機関を備えた乗り物に対して、その内燃機関に変更を加えることなく過給機を付加することができる。以上のように、上記乗り物によれば、内燃機関の構造の複雑化を抑えつつ、過給機によりエンジン出力を向上することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記内燃機関は、前記フレームに対して弾性部材を介して支持されている。
上記態様によれば、弾性部材は変形容易であるので、内燃機関をフレームに対し移動可能に支持することができる。よって、内燃機関の振動をフレームに伝えにくくすることができる。内燃機関の振動が車体に及ぼす悪影響を低減することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記内燃機関は、前記フレームに対し移動可能である。前記過給機は、前記フレームに対し移動不能なように前記フレームに固定されている。
上記態様によれば、過給機は内燃機関に対して相対移動可能に設置される。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記内燃機関は、空気を吸い込む吸込口を有するインタークーラを備える。前記過給機は、空気を吹き出す吹出口を有する。前記乗り物は、前記過給機の前記吹出口と前記インタークーラの前記吸込口とを繋ぐ空気通路を備える。前記空気通路の少なくとも一部は、可撓性を有する可撓性部材により構成されている。
上記態様によれば、空気通路における可撓性部材により構成された部分は変形可能である。過給機が内燃機関に対し相対移動したとしても、空気通路の上記部分が変形することにより、過給機の吹出口とインタークーラの吸込口との接続は良好に保たれる。よって、過給機により、エンジン出力を安定して向上させることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記乗り物の側方から見て、前記過給機は前記内燃機関の上方に配置されている。
上記態様によれば、内燃機関の構造の複雑化を招くことなく、過給機を容易に配置することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記過給機の前記回転軸は、前記出力軸に動力伝達可能に連結されている。前記変速機は、前記入力軸に取り付けられた駆動プーリと、前記出力軸に取り付けられた従動プーリと、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻かれたベルトと、を含む。
上記態様によれば、変速機は変速比を無段階に変更することができる。過給機は出力軸により駆動されるが、変速の際に出力軸の回転速度は滑らかに変化する。そのため、過給機の動作が不安定になることが避けられ、エンジン出力をより安定して向上させることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記出力軸は、前記推進装置に連結された推進装置連結部と、前記過給機の前記回転軸に連結された過給機連結部と、を含んでいる。
上記態様によれば、クランク軸からの動力を伝達する動力伝達経路上、過給機は推進装置よりも下流側にある訳ではないので、推進装置の動作の影響をあまり受けずに過給機を動作させることができる。よって、過給機を良好に動作させることができ、エンジン出力を十分に向上させることができる。また、過給機を駆動するための動力を、出力軸から推進装置に至る経路の途中から取り出す必要がない。そのため、構造を簡単化することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記推進装置連結部は、前記出力軸における前記過給機連結部と前記変速機との間に位置している。
上記態様によれば、過給機連結部は推進装置連結部よりも出力軸の先端側に位置する。そのため、出力軸と過給機の回転軸とを連結する動力伝達部材を出力軸の先端側に配置することができる。よって、構造を簡単化することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記過給機の前記回転軸は、ベルト、チェーン、およびギアのうちの少なくとも一つを介して前記出力軸の前記過給機連結部と連結されている。
上記態様によれば、過給機の回転軸に出力軸の動力を良好に伝達することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記乗り物は、前記クランク軸と前記入力軸との間、または、前記出力軸と前記回転軸との間に配置されたクラッチを備える。
上記態様によれば、動力伝達経路上、過給機の回転軸の上流側にクラッチが配置されている。クラッチを遮断することにより、過給機がクランク軸に与える負荷をなくすことができる。したがって、クラッチを適宜遮断することによって、内燃機関の特性を適宜変更することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記クラッチは遠心クラッチである。
上記態様によれば、クランク軸の回転速度が零または小さいときには、クランク軸と過給機の回転軸との間の動力伝達は遮断され、クランク軸の負荷は低減される。そのため、例えばスタータモータで内燃機関を始動する場合、スタータモータの負荷を小さくすることができ、小型のスタータモータで内燃機関を良好に始動することができる。また、低速時に過給圧が必要以上に高くなってしまうことがなく、良好な過給圧特性を実現することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記変速機は、前記内燃機関の側方に配置されている。前記過給機は、前記内燃機関のうち前記変速機が配置された側とは反対側に配置されている。
上記態様によれば、上記乗り物の重量バランスが良好となる。重量バランスをとるために複雑な構造を採用する必要がなく、構造の複雑化を抑制することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記クランク軸は、車幅方向に延びている。前記変速機は、前記内燃機関の車幅方向の第1側に配置されている。前記過給機は、前記内燃機関の車幅方向の前記第1側の反対側である第2側に配置されている。
上記態様によれば、上記乗り物の車幅方向の重量バランスが良好となる。車幅方向の重量バランスをとるために複雑な構造を採用する必要がなく、構造の複雑化を抑制することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記乗り物は雪上車である。
上記態様によれば、雪上車において前述の効果を得ることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記乗り物はオフロード車両である。
上記態様によれば、オフロード車両において前述の効果を得ることができる。
本発明によれば、内燃機関の構造の複雑化を抑えつつ、過給機によりエンジン出力を向上できる乗り物を提供することができる。
本発明の実施形態に係る雪上車の左側面図である。 上記雪上車の主要部の平面図である。 上記雪上車の主要部の平面図である。 上記雪上車の主要部の左側面図である。 上記雪上車の主要部の右側面図である。 上記雪上車の主要部の右側面図である。 上記雪上車の駆動力伝達経路、過給機、およびダクトの斜視図である。 図6のVIII線断面図である。 出力軸ギア、ブレーキディスク、および駆動プーリの位置関係を示す概念図である。 他の実施形態に係るATVの左側面図である。 他の実施形態に係るROVの左側面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る乗り物は、雪上車1である。以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、雪上車1のシート3に着座した乗員から見た前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面に付した符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
雪上車1は、フレーム2と、フレーム2に支持されかつ乗員が着座するシート3と、乗員によって操作されるハンドル4と、左右一対のスキー5と、を備える。ハンドル4には、ステアリング軸4Aが接続されている。図示は省略するが、ステアリング軸4Aは左右のスキー5に連結されている。シート3の前方にはフロントカバー6が設けられている。フロントカバー6の左方には左サイドカバー7が配置され、フロントカバー6の右方には右サイドカバー(図示せず)が配置されている。シート3の左下には左の足載台8が設けられ、シート3の右下には右の足載台(図示せず)が設けられている。左右のスキー5は、左右のサスペンションユニット9によりフレーム2に支持されている。雪上車1は鞍乗型車両の一例であり、乗員がシート3に跨がって乗車するように構成されている。ただし、本発明に係る乗り物は雪上車1以外の鞍乗型車両であってもよく、鞍乗型車両以外の乗り物であってもよい。
図2および図3に示すように、雪上車1は、内燃機関(以下、エンジンという)40と、遠心クラッチ15と、変速機の一例であるベルト式の無段変速機(以下、CVTという)30と、空気を圧縮してエンジン40に供給する過給機50とを備えている。また、図1に示すように雪上車1は、エンジン40の動力によって駆動される推進装置10を備えている。推進装置10は、雪上車1の推進力を発生させる装置である。本実施形態では推進装置10は、駆動輪11と、従動輪12と、駆動輪11および従動輪12に巻かれたトラックベルト13とを有している。雪上車1は更に、エンジン40を始動させるスタータモータ19(図3および図6参照)を備えている。
図4は雪上車1の主要部の左側面図であり、図5は主要部の右側面図である。ただし、図5では、後述するベルト58の図示は省略している。図6は、図5から後述するブレーキ装置65およびオイルタンク39を取り外した状態を示す図である。図4に示すように、フレーム2は、ステアリング軸4Aを回転自在に支持するステアリングフレーム4Bを備えている。ステアリング軸4Aは前斜め下方に延びている。ステアリングフレーム4Bは、車両側面視において後斜め下方に延びている。図3に示すように車両平面視において、ステアリングフレーム4Bは車幅方向に延びている。なお、車幅方向は左右方向のことである。
図4に示すように、フレーム2は、左上フレーム21Lと、左下フレーム22Lと、左サイドフレーム23Lとを含む。図5に示すように、フレーム2は、右上フレーム21Rと、右下フレーム22Rと、右サイドフレーム23Rとを含む。
左上フレーム21L、左下フレーム22L、右上フレーム21R、および右下フレーム22Rは、パイプ状の部材によって構成されている。図3に示すように、左上フレーム21Lと右上フレーム21Rとは、車幅方向に離間している。図4および図5に示すように車両側面視において、左上フレーム21Lおよび右上フレーム21Rは、屈曲した形状を有している。また、図3に示すように車両平面視において、左上フレーム21Lおよび右上フレーム21Rは、屈曲した形状を有している。車両平面視において、左上フレーム21Lの前部および右フレームの21Rの前部は、前方に行くほど互いの間隔が狭くなるように車両中心線CLに対して傾斜している。左上フレーム21Lの後部および右上フレーム21Rの後部は、車両前後方向に延びている。
左下フレーム22Lは左上フレーム21Lの下方に配置され、右下フレーム22Rは右上フレーム21Rの下方に配置されている。車両平面視において、左下フレーム22Lおよび右下フレーム22Rは、左上フレーム21Lおよび右上フレーム21Rと同様に屈曲した形状を有している。図4に示すように車両側面視において、左上フレーム21Lは、左下フレーム22Lの前端部から後斜め上向きに延びている。左上フレーム21Lの中途部は、屈曲した形状を有する。図5に示すように車両側面視において、右上フレーム21Rは、右下フレーム22Rの前端部から後斜め上向きに延びている。右上フレーム21Rの中途部は、屈曲した形状を有する。
図3に示すように、左上フレーム21Lと右上フレーム21Rとには、車幅方向に延びる複数の横フレーム24が掛け渡されている。左上フレーム21Lと右上フレーム21Rとは、横フレーム24により接続されている。図示は省略するが、左下フレーム22Lと右下フレーム22Rとは、車幅方向に延びる複数の横フレームにより接続されている。
図4および図5に示すように、左サイドフレーム23Lおよび右サイドフレーム23Rは板状の部材である。左サイドフレーム23Lおよび右サイドフレーム23Rは、車両前後方向および鉛直方向に延びている。なお、鉛直方向とは車両上下方向のことである。図3に示すように、左サイドフレーム23Lと右サイドフレーム23Rとは、車幅方向に互いに離間している。左サイドフレーム23Lと右サイドフレーム23Rとは、車幅方向に延びる複数の横フレームにより接続されている。図4および図5に示すように、左サイドフレーム23Lの前部および右サイドフレーム23Rの前部には、後方に向けて凹んだ凹部25が形成されている。図3に示すように車両平面視において、左サイドフレーム23Lは、エンジン40の後述する外側クランク軸45Bを除く部分とCVT30との間に配置されている。右サイドフレーム23Rは、車両平面視において、エンジン40と過給機50との間に配置されている。
図4に示すように、左上フレーム21Lおよび左下フレーム22Lは、左サイドフレーム23Lと接続されている。それらの接続態様は特に限定されないが、本実施形態では、左上フレーム21Lの後部21Laが左サイドフレーム23Lと接続され、左下フレーム22Lの後部22Laが左サイドフレーム23Lと接続されている。また、左上フレーム21Lの後部21Laには、左の縦フレーム27Lの上端部が接続されている。縦フレーム27Lは、屈曲した形状を有している。縦フレーム27Lの下端部27Laは、左サイドフレーム23Lと接続されている。縦フレーム27Lの下端部27Laは、左下フレーム22Lの後部22Laよりも上方に位置している。左上フレーム21Lの前部21Lbと縦フレーム27Lとは、車両側面視において車両前後方向に延びる中フレーム28Lにより接続されている。中フレーム28Lの前端部は左上フレーム21Lの前部21Lbに接続され、中フレーム28Lの後端部は縦フレーム27Lに接続されている。
図5に示すように、右上フレーム21Rおよび右下フレーム22Rは、右サイドフレーム23Rと接続されている。それらの接続態様は特に限定されないが、本実施形態では、右上フレーム21Rの後部21Raが右サイドフレーム23Rと接続され、右下フレーム22Rの後部22Raが右サイドフレーム23Rと接続されている。また、右上フレーム21Rの後部21Raには、右の縦フレーム27Rの上端部が接続されている。縦フレーム27Rは、屈曲した形状を有している。縦フレーム27Rの下端部27Raは、右サイドフレーム23Rと接続されている。縦フレーム27Rの下端部27Raは、右下フレーム22Rの後部22Raよりも上方に位置している。右上フレーム21Rの前部21Rbと縦フレーム27Rとは、車両側面視において車両前後方向に延びる中フレーム28Rにより接続されている。中フレーム28Rの前端部は右上フレーム21Rの前部21Rbに接続され、中フレーム28Rの後端部は縦フレーム27Rに接続されている。
次に、エンジン40について説明する。エンジン40の形式は特に限定されないが、本実施形態に係るエンジン40は、車幅方向に並ぶ3つの気筒を備えた3気筒の内燃機関である。図3に示すように、エンジン40は、後述の外側クランク軸45Bを除いて左サイドフレーム23Lと右サイドフレーム23Rとの間に配置されている。エンジン40は、クランクケース41(図6参照)と、クランクケース41に接続されたシリンダブロック(図示せず)と、このシリンダブロックに接続されたシリンダヘッド43(図3参照)とを備えている。本実施形態では、図6に示すように車両側面視において、エンジン40のシリンダ軸線44は、水平線および垂直線から傾いている。詳しくは、シリンダ軸線44は、車両側面視において後斜め上向きに傾いている。図示は省略するが、シリンダブロックはクランクケース41から後斜め上向きに延びており、シリンダ軸線44は後方に行くほど上方に向かうように傾いている。図3および図7に示すように、エンジン40は、車幅方向に延びるクランク軸45を有している。シリンダヘッド43およびシリンダブロックの内部には図示しない燃焼室が形成されており、燃焼室内で燃料が燃焼することにより、クランク軸45が回転する。図示は省略するが、クランク軸45は、図示しないギアを介してスタータモータ19に連結されている。クランク軸45は、クランクケース41の内部に位置する内側クランク軸45Aと、クランクケース41の外部に位置する外側クランク軸45Bとを有している。外側クランク軸45Bは、クランクケース41から左方に延びている。以下の説明において、車両中心線CLに近づく方を車幅方向の内方と言い、車両中心線CLから遠ざかる方を車幅方向の外方と言う。外側クランク軸45Bは、クランクケース41から車幅方向の外方に延びている。本実施形態では、内側クランク軸45Aと外側クランク軸45Bとは一体化されており、単一の部材により形成されている。ただし、内側クランク軸45Aと外側クランク軸45Bとは別体であってもよい。
エンジン40はフレーム2に支持されている。詳しくは、エンジン40は左サイドフレーム23Lおよび右サイドフレーム23Rに支持されている。次に、エンジン40を支持する構造について説明する。
図6に示すように、右サイドフレーム23Rの前部には、孔81Rが形成されている。右サイドフレーム23Rの中央部には、孔82Rが形成されている。孔82Rは孔81Rの後方に位置している。孔81Rおよび孔82Rは、エンジン40を右サイドフレーム23Rに固定するボルト等の固定具が挿入される孔である。図4に示すように、左サイドフレーム23Lの前部には、孔81Lが形成されたブラケット83が設けられている。左サイドフレーム23Lの中央部には、孔82Lが形成されている。孔82Lは孔81Lの後方に位置している。孔81Lおよび孔82Lは、エンジン40を左サイドフレーム23Lに固定するボルト等の固定具が挿入される孔である。
図8は、図6のVIII線断面を模式的に表した図である。図8に示すように、エンジン40は、貫通孔89が形成された取付ボス87を備えている。取付ボス87は、右サイドフレーム23Rの孔81Rと貫通孔89とが揃うように、右サイドフレーム23Rに対して位置決めされる。取付ボス87の貫通孔89の内部には筒状のブッシュ88が挿入され、右サイドフレーム23Rの孔81Rとブッシュ88の内部とにボルト85が挿入される。ボルト85は、車幅方向に延びている。ボルト85は右サイドフレーム23R、取付ボス87およびブッシュ88を貫通しており、ボルト85の先端部にナット86が締め付けられる。ボルト85およびナット86により、取付ボス87が右サイドフレーム23Rに支持される。ブッシュ88は弾性体からなっており、本実施形態ではブッシュ88はゴム製である。取付ボス87とボルト85との間にゴム製のブッシュ88が介在することにより、取付ボス87はボルト85に対し相対回転可能である。そのため、取付ボス87は右サイドフレーム23Rに対して相対回転可能である。エンジン40は、右サイドフレーム23Rに対して相対移動可能に支持される。
図示は省略するが、右サイドフレーム23Rの孔82R、左サイドフレーム23Lの孔81Lおよび孔82Lにも同様のボルト85が挿入され、エンジン40はこれらボルト85により右サイドフレーム23Rおよび左サイドフレーム23Lに対し相対移動可能に支持される。孔82R、孔81L、および孔82Lにおけるエンジン40の支持構造は孔81Rにおける支持構造(図8参照)と同様であるので、それらの説明は省略する。なお、孔82R、孔81L、および孔82Lにおけるエンジン40の支持構造は、孔81Rにおける支持構造と異なっていてもよい。また、上述の支持構造は一例に過ぎない。エンジン40を右サイドフレーム23Rおよび左サイドフレーム23Lに対し相対移動可能に支持する構造として、他の構造を用いてもよい。本実施形態では、エンジン40は、孔81Lの側方に位置する第1左側部と、孔82Lの側方に位置する第2左側部と、孔81Rの側方に位置する第1右側部と、孔82Rの側方に位置する第2右側部とを備え、それら第1左側部、第2左側部、第1右側部、および第2右側部によりフレーム2に支持されているが、他の部分でフレーム2に支持されていてもよい。エンジン40の支持部分は4つに限られない。
図3に示すように、CVT30はエンジン40の左方に配置されている。図3および図7に示すように、CVT30は、第1駆動プーリ31と、第1従動プーリ32と、第1駆動プーリ31および第1従動プーリ32に巻かれたベルト33とを含んでいる。第1従動プーリ32は第1駆動プーリ31の後方に配置されている。第1駆動プーリ31は、互いに接近および離反が可能な左右一対の駆動シーブ31aおよび31bを有し、第1従動プーリ32は、互いに接近および離反が可能な左右一対の従動シーブ32aおよび32bを有する。ベルト33の一部は右の駆動シーブ31aと左の駆動シーブ31bとに挟持され、ベルト33の他の一部は右の従動シーブ32aと左の従動シーブ32bとに挟持される。右の駆動シーブ31aと左の駆動シーブ31bとの間隔および右の従動シーブ32aと左の従動シーブ32bとの間隔が連続的に変化することにより、変速比が変更される。
第1駆動プーリ31の中心には、入力軸35が取り付けられている。第1駆動プーリ31は、入力軸35と共に回転するように構成されている。第1従動プーリ32の中心には、出力軸36が取り付けられている。第1従動プーリ32は、出力軸36と共に回転するように構成されている。入力軸35および出力軸36は、いずれも車幅方向に延びている。
遠心クラッチ15は、クランク軸45と入力軸35との間に配置されている。なお、ここでいう遠心クラッチ15の位置は、空間上の位置ではなく、クランク軸45からの動力の伝達経路上での位置を意味する。動力伝達経路において、駆動側、従動側をそれぞれ上流側、下流側とすると、遠心クラッチ15は、クランク軸45の下流側かつ入力軸35の上流側に配置されている。図示は省略するが、遠心クラッチ15は、外側クランク軸45Bに接続された駆動部と、入力軸35に接続された従動部とを有する。遠心クラッチ15の駆動部はクランク軸45と共に回転する。駆動部の回転速度が所定速度未満の場合、駆動部と従動部とは遮断される。そのため、駆動部の回転速度が所定速度未満の場合、クランク軸45と入力軸35とは遮断される。一方、駆動部の回転速度が所定速度以上の場合、駆動部と従動部とは連結する。そのため、駆動部の回転速度が所定速度以上の場合、クランク軸45と入力軸35とは連結する。なお、遠心クラッチ15は、空間上は第1駆動プーリ31の左方に配置されている。遠心クラッチ15は、空間上は第1駆動プーリ31に対して車幅方向の外方に配置されている。
出力軸36は、エンジン40の左方からエンジン40の右方に向けて延びている。左側、右側をそれぞれ車幅方向の第1側、第2側とすると、出力軸36はエンジン40の車幅方向の第1側から第2側に向けて延びている。出力軸36の左端部は第1従動プーリ32に接続されている。クランク軸45の動力は、CVT30を介して出力軸36に伝達される。クランク軸45の動力は、CVT30で変速された後に出力軸36に伝達される。クランク軸45の動力は、CVT30で減速されてから出力軸36に伝達される。第1従動プーリ32の回転速度は第1駆動プーリ31の回転速度よりも小さいため、出力軸36の回転速度は入力軸35の回転速度よりも小さい。出力軸36の回転速度は、クランク軸45の回転速度よりも小さい。
図6に示すように、エンジン40の右方にはギアボックス60が設けられている。ギアボックス60は、右サイドフレーム23Rの右方に配置されている。ギアボックス60の内部には、出力軸36に固定された出力軸ギア61と、推進装置10の駆動軸62に固定された駆動軸ギア63とが収容されている。駆動軸62には駆動輪11(図1参照)が固定されている。また、ギアボックス60には、出力軸ギア61の動力を受けて駆動軸ギア63が回転するように出力軸ギア61と駆動軸ギア63とを連結すると共に、駆動軸ギア63の回転方向を切替可能な切替装置64が設けられている。出力軸36が回転すると、出力軸36の動力が出力軸ギア61および駆動軸ギア63を介して駆動軸62に伝わり、駆動軸62が回転する。それにより、駆動輪11が回転し、トラックベルト13が循環する。図1において、駆動輪11が反時計回りに回転すると、トラックベルト13は反時計回りに循環し、雪上車1には前方への推進力が発生する。切替装置64が駆動軸62の回転方向を切り替え、駆動輪11が図1の時計回りに回転すると、トラックベルト13は時計回りに循環し、雪上車1には後方への推進力が発生する。このように、切替装置64は、前方への推進力を発生する前進状態と後方への推進力を発生する後進状態とを切り替える。なお、ギアボックス60および切替装置64には、公知の任意の機構を用いることができる。そのため、ギアボックス60および切替装置64の詳細な説明は省略する。
図5に示すように、ギアボックス60よりも車幅方向の外方には、ブレーキ装置65が配置されている。ブレーキ装置65は、出力軸36に連結されたブレーキディスク37と、ブレーキキャリパ38とを有している。出力軸36は、ブレーキディスク37の中心部に固定されている。ブレーキキャリパ38は、制動時にブレーキディスク37を挟み込むように構成されている。ブレーキディスク37およびブレーキキャリパ38は、右サイドフレーム23Rの右方に配置されている。ブレーキディスク37およびブレーキキャリパ38は、ギアボックス60の右方に配置されている。
次に、過給機50について説明する。図3に示すように、過給機50はエンジン40の右方に配置されている。過給機50は右サイドフレーム23Rの右方に配置されている。過給機50は、エンジン40に対して、CVT30が配置された側とは反対側に配置されている。すなわち、車幅方向において、CVT30と過給機50との間にエンジン40が配置されている。車幅方向の左側、右側をそれぞれ第1側、第2側とすると、CVT30はエンジン40に対して車幅方向の第1側に配置され、過給機50はエンジン40に対して車幅方向の第2側に配置されている。
図6に示すように車両側面視において、過給機50はエンジン40の上方に配置されている。過給機50は、車両側面視において、エンジン40のクランクケース41の上方に配置されている。過給機50は、出力軸36よりも上方に配置されている。過給機50は、ブレーキディスク37よりも上方に配置されている。図5に示すように車両側面視において、過給機50は右サイドフレーム23Rの上方に配置されている。過給機50の少なくとも一部は、車両側面視において、ステアリング軸4Aとステアリングフレーム4Bと右サイドフレーム23Rとで囲まれる領域に配置されている。車両側面視において、過給機50の回転軸51は、ステアリング軸4Aとステアリングフレーム4Bと右サイドフレーム23Rとで囲まれる領域に配置されている。本実施形態では、車両側面視において、過給機50の全体がステアリング軸4Aとステアリングフレーム4Bと右サイドフレーム23Rとで囲まれる領域に配置されている。
過給機50は、エンジン40の動力を動力源とする機械式の過給機である。過給機50は、エンジン40のクランク軸45の動力を受けて作動する。詳細は後述するが、過給機50はクランク軸45に間接的に接続されている。過給機50の種類は特に限定されないが、本実施形態では遠心式の過給機50である。過給機50は、回転軸51と、回転軸51に固定されたインペラ52(図3参照)と、インペラ52が収容されたケーシング53とを有している。ケーシング53には、空気を吸い込む吸込口54と、空気を吹き出す吹出口55とが形成されている。吸込口54は左方に向かって開口している。車幅方向の左側を第1側とすると、吸込口54は車幅方向の第1側に向かって開口している。吹出口55は、前方に向かって開口している。
図7に示すように、吸込口54にはダクト67が接続されている。ダクト67は空気を流通させる筒状の部材である。ダクト67は左右方向に延びている。ダクト67の左端には空気が流入する入口68が形成され、ダクト67の右端には空気が流出する出口69が形成されている。ダクト67の右端部は過給機50のケーシング53の吸込口54に挿入されており、ダクト67の出口69とケーシング53の吸込口54とは繋がっている。ダクト67の左端部には、フランジ部67aが形成されている。フランジ部67aには、フィルタ66が取り付けられている。ダクト67の入口68はフィルタ66により覆われている。過給機50が作動すると、外部の空気はフィルタ66を通じてダクト67の内部に吸い込まれ、ダクト67から過給機50のケーシング53の内部に吸い込まれる。過給機50のケーシング53の内部に吸い込まれた空気は圧縮され、吹出口55から吹き出される。
図6に示すように、過給機50の回転軸51には、第2従動プーリ56が固定されている。第2従動プーリ56はケーシング53よりも車幅方向の外方に配置されている。第2従動プーリ56はケーシング53の右方に配置されている。出力軸36には第2駆動プーリ57が固定されている。第2駆動プーリ57は、右サイドフレーム23Rの右方に配置されている。第2駆動プーリ57は、ギアボックス60よりも車幅方向の外方に配置されている。第2駆動プーリ57は、ブレーキ装置65よりも車幅方向の外方に配置されている。第2駆動プーリ57は、ギアボックス60の右方に配置されており、ブレーキ装置65の右方に配置されている。出力軸36に固定された第2駆動プーリ57と回転軸51に固定された第2従動プーリ56とには、動力伝達部材の一例であるベルト58が巻かれている。なお、符号59は、ベルト58に張力を与えるテンショナを表す。出力軸36と回転軸51とは、第2駆動プーリ57とベルト58と第2従動プーリ56とを介して動力伝達可能に連結している。そのため、回転軸51には、出力軸36の動力が伝達される。出力軸36の動力により、過給機50は駆動される。過給機50の回転軸51は、入力軸35、CVT30、出力軸36、第2駆動プーリ57、ベルト58、および第2従動プーリ56を介して、エンジン40のクランク軸45に連結されている。
図3に示すように、回転軸51はクランク軸45よりも後方に配置されている。回転軸51は出力軸36よりも前方に配置されている。車両平面視において、回転軸51はクランク軸45と出力軸36との間に配置されている。図6に示すように、回転軸51は出力軸36よりも上方に配置されている。回転軸51はクランク軸45よりも上方に配置されている。
過給機50はフレーム2に固定されている。過給機50はエンジン40に取り付けられておらず、エンジン40に支持されていない。図6に示すように、過給機50のケーシング53には、前方に延びる第1アーム91と、下方に延びる第2アーム92と、後方に延びる第3アーム93とが設けられている。第1アーム91の先端部、第2アーム92の先端部、および第3アーム93の先端部には、孔が形成されている。第1アーム91の孔にはボルト94が挿入されている。第1アーム91は、ボルト94により右サイドフレーム23Rに固定されている。第2アーム92の孔にはボルト95が挿入されている。第2アーム92は、ボルト95により右サイドフレーム23Rに固定されている。第3アーム93の孔にはボルト96が挿入されている。第3アーム93は、ボルト96により右サイドフレーム23Rに固定されている。前述の通り、エンジン40はフレーム2に対し弾性体を介して支持されているため、相対移動可能である。一方、過給機50は、フレーム2に対し移動不能に固定されている。そのため、過給機50はエンジン40に対し相対移動可能に設置されている。
前述したように、出力軸36には、出力軸ギア61、ブレーキディスク37、および第2駆動プーリ57が固定されている。図9は、出力軸ギア61、ブレーキディスク37、および第2駆動プーリ57の位置関係を示す概念図である。出力軸ギア61、ブレーキディスク37、第2駆動プーリ57は、右サイドフレーム23Rの車幅方向の外方において、車幅方向の内方から外方に向かって順に配置されている。すなわち、出力軸ギア61は右サイドフレーム23Rよりも車幅方向の外方に配置され、ブレーキディスク37は出力軸ギア61よりも車幅方向の外方に配置され、第2駆動プーリ57はブレーキディスク37よりも車幅方向の外方に配置されている。出力軸ギア61は右サイドフレーム23Rの右方に配置され、ブレーキディスク37は出力軸ギア61の右方に配置され、第2駆動プーリ57はブレーキディスク37の右方に配置されている。
出力軸36は、出力軸ギア61を介して推進装置10に連結されている。出力軸36のうち出力軸ギア61が固定された部分は、推進装置10に連結された推進装置連結部36aを構成している。出力軸36の動力は、推進装置連結部36aから推進装置10に向けて出力される。また、出力軸36は、第2駆動プーリ57、ベルト58、および第2従動プーリ56を介して過給機50の回転軸51に連結されている。出力軸36のうち第2駆動プーリ57が固定された部分は、過給機50の回転軸51に連結された過給機連結部36bを構成している。出力軸36の動力は、過給機連結部36bから過給機50に向けて出力される。過給機連結部36bは、出力軸36の先端部に形成されている。過給機連結部36bは、出力軸36の右端部に形成されている。推進装置連結部36aは、過給機連結部36bに対し、車幅方向の内方に位置している。推進装置連結部36aは、過給機連結部36bの左方に位置している。推進装置連結部36aは、出力軸36における過給機連結部36bとCVT30との間に位置している。
図3に示すように、雪上車1は、過給機50からの圧縮空気を冷却するインタークーラ70を備えている。車両平面視において、インタークーラ70は、左サイドフレーム23Lと右サイドフレーム23Rとの間に配置されている。インタークーラ70は、CVT30よりも右方かつ過給機50よりも左方に配置されている。車両平面視において、インタークーラ70は出力軸36の前方に配置されている。インタークーラ70は、過給機50よりも前方に配置されている。図6に示すように車両側面視において、インタークーラ70はエンジン40のクランクケース41の上方に配置されている。インタークーラ70は、シリンダブロックおよびシリンダヘッド43の前方に配置されている。ただし、インタークーラ70の配置は一例に過ぎず、特に限定されない。
インタークーラ70は、箱状のケーシング71と、ケーシング71の内部に配置されたエアフィルタ(図示せず)と、ケーシング71の内部に配置された冷却器(図示せず)と、ケーシング71の内部に空気を吸入する吸込口72と、ケーシング71の外部に空気を吐出する吐出管73とを備えている。吸込口72は、車両中心線CLよりも右方に配置されている。すなわち、吸込口72は、車両中心線CLに対し、過給機50が配置された方に配置されている。過給機50の吹出口55と吸込口72とは、ゴム製の管(以下、ゴム管という)74により接続されている。ゴム管74は、可撓性を有する管の一例である。ゴム管74の一端は吹出口55に接続され、ゴム管74の他端は吸込口72に接続されている。過給機50の吹出口55の少なくとも一部は右サイドフレーム23Rの右方に位置し、吸込口72は右サイドフレーム23Rの左方に位置している。車両平面視において、ゴム管74は右サイドフレーム23Rの右方から左方に延びている。
エンジン40は、空気を燃焼室に導く吸気管47を備えている。インタークーラ70の吐出管73は、エンジン40の吸気管47に接続されている。エンジン40は3気筒エンジンであり、吐出管73および吸気管47は、それぞれ3本ずつ設けられている。図3に示すように、吐出管73は車幅方向に並んでおり、吸気管47は車幅方向に並んでいる。車両平面視において、吐出管73および吸気管47は車両前後方向に延びている。
過給機50によって圧縮された空気は、ゴム管74を通じてインタークーラ70のケーシング71内に導入される。ケーシング71内に導入された空気は、エアフィルタを通過することにより浄化され、また、冷却器によって冷却される。冷却後の清浄な空気は、吐出管73から吐出され、エンジン40の吸気管47に供給される。
図2に示すように、排気管48は後方に向けて延びている。エンジン40の3本の排気管48は、集合管49に接続されている。集合管49には、サイレンサ46が接続されている。排気管48と集合管49とサイレンサ46の一部とは、シート3(図1参照)の下方に配置されている。エンジン40の燃焼室からの排ガスは、排気管48、集合管49、およびサイレンサ46を通って外部へ排出される。本実施形態の雪上車1では、過給機50はエンジン40の排ガスのエネルギーは利用しない。過給機50は、排ガスの流通経路、すなわち、排気管48、集合管49、およびサイレンサ46から分離されている。
エンジン40の右方には、オイルタンク39が配置されている。オイルタンク39は、右サイドフレーム23Rの右方に配置されている。図3に示すように車両平面視において、過給機50はオイルタンク39の後方に配置されている。図5に示すように車両側面視において、オイルタンク39はギアボックス60およびブレーキ装置65の前方に配置されている。車両側面視において、過給機50はオイルタンク39よりも上方に配置されている。
以上のように、本実施形態に係る雪上車1は、過給機50を備えているので、エンジン出力を向上させることができる。過給機50は、出力軸36と動力伝達可能に連結された回転軸51を含んでおり、クランク軸45の動力により駆動される。そのため、エンジン40の排気ガスのエネルギーを利用するターボ式の過給機と異なり、過給機50とエンジン40の排気通路とを一体化する必要がない。また、過給機50の動力源として高温の排気ガスのエネルギーを利用する場合に比べて、高度な熱対策が不要となる。そのため、過給機50およびエンジン40の構造の複雑化を抑えることができる。また、雪上車1によれば、過給機50の回転軸51は出力軸36と動力伝達可能に連結されているので、エンジン40のクランク軸45と過給機50とを連結する機構をエンジン40に内蔵する必要がない。そのため、エンジン40に対して特別な設計が必要ではなく、エンジン40の構造の複雑化を抑制することができる。更に、過給機50はフレーム2に固定されているので、過給機50をエンジン40にボルト等で固定する必要がない。過給機50を固定するための構造をエンジン40に付加する必要がないため、エンジン40の構造の複雑化を抑制することができる。また、このようにエンジン40の内部および外部のいずれにも、過給機50を設けるための専用の構造が不要なので、汎用的なエンジン40を備えた雪上車に対して、そのエンジン40に変更を加えることなく過給機50を付加することができる。雪上車1によれば、エンジン40の構造の複雑化を抑えつつ、過給機50によりエンジン出力を向上することができる。
雪上車1によれば、エンジン40はゴム製のブッシュ88を介してフレーム2に支持されている。そのため、エンジン40をフレーム2に対し移動可能に支持することができる。よって、エンジン40の振動をフレーム2に伝えにくくすることができる。エンジン40の振動が雪上車1に及ぼす悪影響を低減することができる。
また、雪上車1では、エンジン40はフレーム2に対し移動可能であり、過給機50はフレーム2に対し移動不能なようにフレーム2に固定されている。そのため、過給機50はエンジン40に対して相対移動可能に設置される。
過給機50の吹出口55とインタークーラ70の吸込口72とは、ゴム管74により接続されている。過給機50がエンジン40に対して相対移動したとしても、ゴム管74が変形することにより、過給機50の吹出口55とインタークーラ70の吸込口72との接続は良好に保たれる。よって、過給機50により、エンジン出力を安定して向上させることができる。
図6に示すように車両側面視において、過給機50はエンジン40の上方に配置されている。雪上車1によれば、エンジン40の構造の複雑化を招くことなく、過給機50を容易に配置することができる。
雪上車1は、変速機としてCVT30を備えている。そのため、変速比を無段階に変更することができる。過給機50は出力軸36により駆動されるが、変速の際に出力軸36の回転速度は滑らかに変化する。そのため、過給機50の動作が不安定になることが避けられ、エンジン出力をより安定して向上させることができる。
図9に示すように、出力軸36は、推進装置10に連結された推進装置連結部36aと、過給機50の回転軸51に連結された過給機連結部36bとを含んでいる。雪上車1によれば、過給機50は、エンジン40のクランク軸45の動力を伝達する動力伝達経路上、推進装置10よりも下流側にある訳ではない。雪上車1によれば、推進装置10の動作の影響をあまり受けずに過給機50を動作させることができる。よって、過給機50を良好に動作させることができ、エンジン出力を十分に向上させることができる。また、過給機50を駆動するための動力を、出力軸36から推進装置10に至る経路の途中(言い換えると、推進装置連結部36aの下流側の部分)から取り出す必要がない。そのため、雪上車1の構造を簡単化することができる。
図9に示すように、推進装置連結部36aは、出力軸36における過給機連結部36bとCVT30との間に位置している。過給機連結部36bは推進装置連結部36aよりも出力軸36の先端側に位置する。そのため、出力軸36と過給機50の回転軸51とを動力伝達可能に連結する動力伝達部材を、出力軸36の先端側に配置することができる。よって、雪上車1の構造を簡単化することができる。
雪上車1では、過給機50の回転軸51は、ベルト58を介して出力軸36と連結されている。雪上車1によれば、過給機50の回転軸51に出力軸36の動力を良好に伝達することができる。なお、出力軸36から回転軸51に動力を伝達する動力伝達部材はベルト58に限られず、チェーンまたはギアであってもよく、他の部材であってもよい。動力伝達部材は、ベルト、チェーン、およびギアのうちの二つ以上を含んでいてもよい。
雪上車1によれば、クランク軸45とCVT30の入力軸35との間に遠心クラッチ15が配置されている。すなわち、動力伝達経路上、過給機50の回転軸51の上流側に遠心クラッチ15が配置されている。そのため、クランク軸45の回転速度が零または小さいときには、クランク軸45と過給機50の回転軸51との間の動力伝達は遮断され、クランク軸45の負荷は低減される。よって、スタータモータ19を大型化しなくても、スタータモータ19でエンジン40を良好に始動することができる。また、低速時に過給圧が必要以上に高くなってしまうことがなく、良好な過給圧特性を実現することができる。
なお、クラッチは遠心クラッチ15に限られない。どのようなクラッチであっても、クラッチを遮断することにより、過給機50がクランク軸45に与える負荷をなくすことができる。したがって、クラッチを適宜遮断することによって、エンジン40の特性を適宜変更することができる。
雪上車1によれば、過給機50はエンジン40に対してCVT30が配置された側と反対側に配置されている。そのため、雪上車1の重量バランスが良好となる。雪上車1によれば、重量バランスをとるために複雑な構造を採用する必要がなく、構造の複雑化を抑制することができる。
雪上車1によれば、クランク軸45は車幅方向に延びている。左側、右側をそれぞれ車幅方向の第1側、第2側とすると、CVT30はエンジン40に対して車幅方向の第1側に配置され、過給機50はエンジン40に対して、車幅方向の第1側の反対側である第2側に配置されている。そのため、雪上車1の車幅方向の重量バランスが良好となる。車幅方向の重量バランスをとるために複雑な構造を採用する必要がなく、構造の複雑化を抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限らず、他に種々の形態にて実施することができる。次に、他の実施形態について説明する。
前記実施形態では、過給機50は右サイドフレーム23Rに固定されていた。しかし、過給機50は、フレーム2の他の部分に固定されていてもよい。例えば、過給機50の少なくとも一部は、右上フレーム21Rに固定されていてもよい。
前記実施形態では、遠心クラッチ15は、クランク軸45と入力軸35との間に配置されていた。しかし、遠心クラッチ15は、動力伝達経路上、クランク軸45の下流側かつ過給機50の上流側の任意の位置に配置することができる。遠心クラッチ15は、出力軸36と過給機50の回転軸51との間に配置されていてもよい。
前記実施形態では、過給機50の吹出口55とインタークーラ70の吸込口72とは、ゴム管74により接続されていた。しかし、ゴム管74の代わりに、可撓性を有する他の管を用いてもよい。例えば、ゴム管74の代わりに、変形容易なコルゲート管(言い換えると、蛇腹状の管)を用いてもよい。また、ゴム管74の代わりに可撓性を有しない管(例えば、樹脂製の管、金属製の管)を備え、その管と吹出口55との間、または、その管と吸込口72との間に、ゴム製の継手を設けてもよい。継手は空気通路の一部を構成する。このように、空気通路の一部を構成する部材を可撓性部材により構成してもよい。
前記実施形態では、変速機はCVT30であるが、変速機の種類は特に限定されない。変速機は、有段式の変速機でもよく、例えば、ドグクラッチ式の変速機であってもよい。
前記実施形態では、CVT30がエンジン40の左側に配置され、過給機50がエンジン40の右側に配置されていた。しかし、CVT30がエンジン40の右側に配置され、過給機50がエンジン40の左側に配置されていてもよい。この場合、右側、左側をそれぞれ車幅方向の第1側、第2側とすると、変速機はエンジン40に対して車幅方向の第1側に配置され、過給機50はエンジン40に対して車幅方向の第2側に配置されることになる。この場合、過給機50の吸込口54は、車幅方向の第1側である右側に向けて開口していてもよい。
前記実施形態では、過給機50はエンジン40に対してCVT30が配置された側と反対側に配置されていたが、過給機50およびCVT30はエンジン40に対して同じ側に配置されていてもよい。過給機50およびCVT30の両方が、エンジン40の左側に配置されていてもよく、エンジン40の右側に配置されていてもよい。
前記実施形態では、過給機50の吸込口54に、車幅方向の第1側から第2側に向けて延びるダクト67が接続されていた。ダクト67は車幅方向の右側から左側に延びていた。しかし、ダクト67の長さは限定されない。ダクト67の入口68は、エンジン40の右端よりも右方に位置していてもよいが、エンジン40の右端よりも左方に位置していてもよい。また、ダクト67の形状は真っ直ぐに限らず、曲がっていてもよい。また、ダクト67は必ずしも必要ではなく、省略することが可能である。過給機50の吸込口54にフィルタ66が取り付けられていてもよい。
前記実施形態に係る乗り物は雪上車1であるが、本発明に係る乗り物は雪上車1に限定されない。乗り物は他のオフロード車両であってもよい。例えば、図10に示すように、乗り物は全地形型車両(All Terrain Vehicle。以下、ATVという)101であってもよい。ATV101は、鞍乗型のオフロード車両の一例である。ATV101は、内燃機関102と変速機103と過給機104と遠心クラッチ(図示せず)とを備え、更に推進装置の一部として左前輪105、右前輪(図示せず)、左後輪106、および右後輪(図示せず)を備えている。
また、図11に示すように、乗り物はレクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(Recreational Off-highway Vehicle 以下、ROVと呼ぶ)110であってもよい。ROV110は、車幅方向に並ぶ複数のシート111を備えたオフロード車両の一例である。ROV110は、内燃機関112と変速機(図示せず)と過給機113と遠心クラッチ(図示せず)とを備え、更に推進装置の一部として左前輪114、右前輪(図示せず)、左後輪115、および右後輪(図示せず)を備えている。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
1 雪上車(乗り物)
2 フレーム
10 推進装置
30 CVT(変速機)
35 入力軸
36 出力軸
40 内燃機関
45 クランク軸
50 過給機
51 回転軸

Claims (15)

  1. クランク軸を含む内燃機関と、
    前記内燃機関を支持するフレームと、
    前記クランク軸に動力伝達可能に連結された入力軸と、前記入力軸に連結され、前記入力軸の回転速度よりも小さい回転速度で回転可能な出力軸と、を含む変速機と、
    前記出力軸と動力伝達可能に連結され、推進力を発生する推進装置と、
    前記入力軸または前記出力軸と動力伝達可能に連結された回転軸を含み、空気を圧縮して前記内燃機関に供給する過給機と、を備え、
    前記過給機は、前記フレームに固定されている、乗り物。
  2. 前記内燃機関は、前記フレームに対して弾性部材を介して支持されている、請求項1に記載の乗り物。
  3. 前記内燃機関は、前記フレームに対し移動可能であり、
    前記過給機は、前記フレームに対し移動不能なように前記フレームに固定されている、請求項2に記載の乗り物。
  4. 前記内燃機関は、空気を吸い込む吸込口を有するインタークーラを備え、
    前記過給機は、空気を吹き出す吹出口を有し、
    前記過給機の前記吹出口と前記インタークーラの前記吸込口とを繋ぐ空気通路を備え、
    前記空気通路の少なくとも一部は、可撓性を有する可撓性部材により構成されている、請求項1に記載の乗り物。
  5. 前記乗り物の側方から見て、前記過給機は前記内燃機関の上方に配置されている、請求項1に記載の乗り物。
  6. 前記過給機の前記回転軸は、前記出力軸に動力伝達可能に連結され、
    前記変速機は、前記入力軸に取り付けられた駆動プーリと、前記出力軸に取り付けられた従動プーリと、前記駆動プーリおよび前記従動プーリに巻かれたベルトと、を含む、請求項1に記載の乗り物。
  7. 前記出力軸は、前記推進装置に連結された推進装置連結部と、前記過給機の前記回転軸に連結された過給機連結部と、を含んでいる、請求項1に記載の乗り物。
  8. 前記推進装置連結部は、前記出力軸における前記過給機連結部と前記変速機との間に位置している、請求項7に記載の乗り物。
  9. 前記過給機の前記回転軸は、ベルト、チェーン、およびギアのうちの少なくとも一つを介して前記出力軸の前記過給機連結部と連結されている、請求項8に記載の乗り物。
  10. 前記クランク軸と前記入力軸との間、または、前記出力軸と前記回転軸との間に配置されたクラッチを備えた、請求項1に記載の乗り物。
  11. 前記クラッチは遠心クラッチである、請求項10に記載の乗り物。
  12. 前記変速機は、前記内燃機関の側方に配置され、
    前記過給機は、前記内燃機関のうち前記変速機が配置された側とは反対側に配置されている、請求項1に記載の乗り物。
  13. 前記クランク軸は、車幅方向に延びており、
    前記変速機は、前記内燃機関の車幅方向の第1側に配置され、
    前記過給機は、前記内燃機関の車幅方向の前記第1側の反対側である第2側に配置されている、請求項1に記載の乗り物。
  14. 雪上車である、請求項1に記載の乗り物。
  15. オフロード車両である、請求項1に記載の乗り物。
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