以下、本考案の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態に係る鞍乗型車両は自動二輪車10である。自動二輪車10は、骨格をなす車体フレーム11と、乗員が着座するシート16とを備えている。この自動二輪車10は、いわゆるモペット型の自動二輪車である。すなわち、自動二輪車10は、シート16の前方に下方に窪んだ側面視凹状空間17が形成され、シート16に着座した乗員が車体フレーム11を跨いで乗車するものである。なお、ここでいう「モペット型」は、単に車両の形状上の種類を表しているに過ぎず、車両の最高速度や排気量等を限定するものではなく、車両の大小等も何ら限定するものではない。
また、本考案に係る鞍乗型車両は、モペット型の自動二輪車に限らず、シートの前方に燃料タンクが配置されているいわゆるモーターサイクル型等の他の形式の自動二輪車等であってもよい。
以下の説明では、前後左右の方向は、シート16に着座した乗員から見た方向を言うものとする。車体フレーム11は、ステアリングヘッドパイプ12と、ステアリングヘッドパイプ12から後方斜め下向きに延びる一本のメインフレーム13と、メインフレーム13の中途部から後方斜め上向きに延びる左右のシートレール14L,14Rと、メインフレーム13の後端部とシートレール14L,14Rの中途部とに接続された左右のシートピラーチューブ15L,15Rとを備えている。
車体フレーム11の上方及び左右の側方は、車体カバー21によって覆われている。車体カバー21の上側かつシート16の前方には、下方に窪んだ側面視凹状空間17が区画されている。また、車体カバー21の下側には、メインフレーム13の通り道となるセンタートンネル11aが区画されている。
ステアリングヘッドパイプ12には、フロントフォーク18を介して前輪19が支持されている。シートレール14L,14Rの上には、燃料タンク20及びシート16が支持されている。シート16は、燃料タンク20の上方からシートレール14L,14Rの後端部に向かって延びている。燃料タンク20は、シートレール14L,14Rの前半部の上方に配置され、車体カバー21及びシート16によって覆われている。
メインフレーム13の中途部には、下向きに突出した左右一対の第1エンジンブラケット22L,22Rが設けられている。メインフレーム13の後端部には、それぞれ左右一対の第2エンジンブラケット23L,23R及びリヤアームブラケット24L,24Rが設けられている。なお、ここではメインフレーム13等に設けられたブラケット、具体的には、第1エンジンブラケット22L,22R、第2エンジンブラケット23L,23R、及びリヤアームブラケット24L,24R等は、車体フレーム11の一部をなすものとする。
図3に示すように、リヤアーム25は、左右一対のアーム部25aと、これら両アーム部25aを連結する連結部25bとを備えている。各アーム部25aの前端には、ピボット軸38が挿通されるピボット部25cが設けられている。
リヤアームブラケット24L,24Rは、メインフレーム13の後端部から下向きに突出している。図4に示すように、これらリヤアームブラケット24L,24Rにはパイプ24aが設けられ、ピボット軸38は、このパイプ24aと左右のピボット部25cとを貫通している。なお、本実施形態では、ピボット軸38は長尺ボルトで形成されており、ピボット軸38の左端はナット38bによって固定されている。これにより、ピボット軸38にリヤアーム25の前端部が揺動自在に支持されている。リヤアーム25の後端部には後輪26が支持されている。リヤアーム25の後半部は、クッションユニット27を介して車体フレーム11に懸架されている。
図7に示すように、第2エンジンブラケット23L,23Rは、メインフレーム13の後端部から下向きに突出している。これら左右の第2エンジンブラケット23L,23Rは、車幅方向に間隔を空けて向かい合っている。
図1に示すように、車体フレーム11には、後輪26を駆動するエンジンユニット28が支持されている。具体的には、図6に示すように、エンジンユニット28はクランクケース35とシリンダ43とシリンダヘッド44とを備えている。クランクケース35は第1及び第2のエンジンマウント部36,37を有している。第1エンジンマウント部36は、クランクケース35の前端部の上側から上向きに突出し、第1エンジンブラケット22L,22Rに支持されている。第2エンジンマウント部37は、クランクケース35の後端部の上側から後方斜め上向きに突出し、第2エンジンブラケット23L,23Rに支持されている(図7も参照)。このため、クランクケース35は、メインフレーム13に吊り下げられた状態で支持されている。
詳細は後述するように、エンジンユニット28は、エンジン29とベルト式無段変速機(以下、CVTという)30とを備えている(図8参照)。エンジン29の形式は何ら限定されないが、本実施形態では、エンジン29は4サイクル単気筒エンジンによって構成されている。
図1に示すように、自動二輪車10は、前輪19の上方及び後方を覆うフロントフェンダー31と、後輪26の後方斜め上側を覆うリヤフェンダー32とを備えている。
自動二輪車10は、前述の車体カバー21に加えて、フロントカウル33と、左右のレッグシールド34L,34Rとを備えている。レッグシールド34L,34Rは運転者の脚部の前方を覆うカバー部材であり、側方から見て斜め上下方向に延びている。なお、レッグシールド34L,34Rはフロントカウル33と一体となっていてもよく、別体であってもよい。
図3に示すように、レッグシールド34L,34Rの水平断面形状は、後方に向かって開いた凹形状に形成されている。言い換えると、レッグシールド34L,34Rの横断面形状は、前方に向かって先細りの略C字状の湾曲形状に形成されている。
図2および図4に示すように、リヤアーム25の右側のアーム部25aにおける前側部分25fの上方には、エアチャンバ154が配置されている。なお、ここでアーム部25aの前側部分25fとは、アーム部25aの前後方向中間位置よりも前側の部分のことをいう。本実施形態では、エアチャンバ154は、リヤアーム25のアーム部25aの前端から後方に向かって全長の約1/4〜1/3の部分の上方に配置されている。
エアチャンバ154には吸気ダクト153が接続されている。吸気ダクト153のエアチャンバ154側の一部も、リヤアーム25のアーム部25aの前側部分25fの上方に配置されている。ただし、吸気ダクト153はアーム部25aの前側部分25fの上方から外れた位置にあってもよい。また、吸気ダクト153の大部分がアーム部25aの前側部分25fの上方に配置されていてもよい。
エアチャンバ154の形状は何ら限定されないが、本実施形態では、エアチャンバ154は前後方向に長い略直方体形状に形成されている。エアチャンバ154の上下方向の長さは、前後方向長さの約半分であり、左右方向の長さも前後方向長さの約半分になっている。図3に示すように、エアチャンバ154の横幅は、後側の方が前側よりも狭くなっており、平面視において、エアチャンバ154の車幅方向内側(左側)の表面は、シートレール14Rに沿った形状に形成されている。一方、平面視において、エアチャンバ154の車幅方向外側(右側)の表面は、前後方向と平行に形成されている。
図2に示すように、エアチャンバ154の上部には、吸入ダクト156が設けられている。吸入ダクト156は曲がり管からなり、吸入ダクト156の吸気口157は前方斜め下向きに開口している。ただし、吸気口157の開口方向は何ら限定されない。吸気口157は前方に開口していてもよく、前方斜め上向きに開口していてもよく、その他の方向に開口していてもよい。エアチャンバ154の内部には、フィルタ155が収納されている。
本実施形態では、エアチャンバ154は樹脂材料で形成されている。ただし、エアチャンバ154の材料は何ら限定される訳ではない。
図1に示すように、エアチャンバ154の上部の右側方及び吸入ダクト156の右側方は、カバー160で覆われている。なお、このカバー160は、メインフレーム13及びシートピラーチューブ15Rの一部を側方から覆っているが、シートレール14L,14Rを覆っている車体カバー21とは別個のものである。ただし、車両のスリム化に反しない限り、カバー160を車体カバー21と一体化することも可能である。すなわち、カバー160は車体カバー21の一部であってもよい。
図3に示すように、エンジンユニット28の左側及び右側には、ゴム等からなるフットレスト85L,85Rが配置されている。フットレスト85L,85Rは、運転者の足を支持する足載せ部材である。左右のフットレスト85L,85Rは、金属製の連結棒87と、この連結棒87に固定された取り付け板88(図5及び図6参照)とを介して、エンジンユニット28のクランクケース35に支持されている。
連結棒87は、クランクケース35の後半部の下方を通って車幅方向に延びている。連結棒87の左端は、クランクケース35の左側に突出し、左側のフットレスト85Lを支持している。連結棒87の右端は、変速機ケース53の右側に突出し、右側のフットレスト85Rを支持している。図5に示すように、取り付け板88は金属板をプレス成形したものであり、取り付け板88の前後方向の中間部には、連結棒87を嵌め込む凹部89が形成されている。凹部89は、連結棒87に下方から突き合わされるとともに、連結棒87の外周面に溶接されている。
取り付け板88は、連結棒87の前方に張り出すフランジ状の第1取付部90と、連結棒87の後方に張り出すフランジ状の第2取付部91とを有している。第1取付部90及び第2取付部91は、連結棒87の軸方向(左右方向)に延びるとともに、クランクケース35の後半部の下面83と向かい合っている。
クランクケース35の後半部の下面83は、4つ(図5では2つのみ図示)のボス部92を有している。これらボス部92は、クランクケース35の下面83から下向きに突出しており、このクランクケース35に一体に形成されている。各ボス部92には、ボルト孔(図示せず)が形成されている。フットレスト85L,85Rの取り付け板88にも、これらボス部92に対応する位置にボルト孔(図示せず)が形成されている。そして、取り付け板88とボス部92とは、ボルト99によって締結されている。このように、フットレスト85L,85Rは、連結棒87及び取り付け板88を介して、ボルト99によってクランクケース35に固定されている。
図1及び図3に示すように、右側のフットレスト85Rの前方には、ブレーキペダル84が設けられている。ブレーキペダル84は、変速機ケース53の下方を通って右斜め前方に突出し、変速機ケース53の右側方において前方斜め上向きに延びている。図3に示すように、自動二輪車10の走行の際には、運転者の右足62aは、変速機ケース53及び吸気ダクト134と車幅方向に隣り合うことになる。
次に、エンジンユニット28の内部構成を説明する。図8に示すように、エンジンユニット28は、エンジン29と、CVT30と、遠心式クラッチ41と、減速機構42とを備えている。
エンジン29は、クランクケース35と、クランクケース35に接続されたシリンダ43と、シリンダ43に接続されたシリンダヘッド44とを備えている。クランクケース35は、分割された2つのケースブロック、すなわち、左側に位置する第1のケースブロック35aと、右側に位置する第2のケースブロック35bとを有している。第1ケースブロック35aと第2ケースブロック35bとは、車幅方向に沿って互いに突き合わされている。
クランクケース35内には、クランク軸46が収容されている。クランク軸46は、車幅方向に延びており、水平に配置されている。クランク軸46は、軸受47を介して第1ケースブロック35aに支持され、軸受48を介して第2ケースブロック35bに支持されている。
シリンダ43内には、ピストン50が摺動可能に挿入されている。このピストン50には、コンロッド51の一端部が連結されている。クランク軸46の左側クランクアーム46aと右側クランクアーム46bとの間には、クランクピン59が設けられている。コンロッド51の他端部は、クランクピン59に連結されている。
シリンダヘッド44には、凹部44aと、凹部44aに連通する図示しない吸気ポート及び排気ポートとが形成されている。シリンダヘッド44の凹部44aの内部には、点火プラグ55が挿入されている。図5に示すように、上記吸気ポートには吸気管52aが接続され、上記排気ポートには排気管52が接続されている。図1及び図3に示すように、排気管52はシリンダヘッド44から後方かつ右斜め下向きに延びた後、エンジンユニット28の変速機ケース53の下方を通ってさらに後方に延び、後輪26の右側方に配置されたマフラ54に接続されている。
図8に示すように、シリンダ43内の左側部には、クランクケース35の内部とシリンダヘッド44の内部とをつなぐカムチェーン室56が形成されている。このカムチェーン室56には、タイミングチェーン57が配設されている。タイミングチェーン57は、クランク軸46とカム軸58とに巻き掛けられている。カム軸58は、クランク軸46の回転に従って回転し、図示しない吸気バルブ及び排気バルブを開閉させる。
第1ケースブロック35aの前半部の左側には、発電機63を収容する発電機ケース66が着脱自在に取り付けられている。第2ケースブロック35bの右側には、CVT30を収容する変速機ケース53が取り付けられている。
第2ケースブロック35bの後半部の右側には開口が形成され、この開口はクラッチカバー60によって塞がれている。クラッチカバー60は、ボルト61(図9参照)により、第2ケースブロック35bに対して着脱可能に固定されている。
変速機ケース53は、クランクケース35から独立して形成されており、CVT30の車幅方向内側(左側)を覆う内側ケース53aと、CVT30の車幅方向外側(右側)を覆う外側ケース53bとから構成されている。内側ケース53aはクランクケース35の右側に取り付けられ、外側ケース53bは内側ケース53aの右側に取り付けられている。これら内側ケース53aと外側ケース53bとの内部には、CVT30を収容するベルト室67が形成されている。
図8に示すように、クランク軸46の右側端部は、第2ケースブロック35b及び内側ケース53aを貫通し、ベルト室67にまで延びている。このクランク軸46の右側端部には、CVT30のプライマリシーブ71が嵌め込まれている。そのため、プライマリシーブ71は、クランク軸46の回転に従って回転する。このクランク軸46の右側部分(厳密には、軸受48よりも右側の部分)は、プライマリシーブ軸46cを形成している。
一方、クランク軸46の左側端部は、第1ケースブロック35aを貫通し、発電機ケース66内に延びている。このクランク軸46の左側端部には、発電機63が取り付けられている。発電機63は、ステータ64と、ステータ64に対向するロータ65とを備えている。ロータ65は、クランク軸46と共に回転するスリーブ74に固定されている。ステータ64は、発電機ケース66に固定されている。
クランクケース35内の後半部には、クランク軸46と平行にセカンダリシーブ軸62が配置されている。図9に示すように、セカンダリシーブ軸62の中央部の右側部分は、軸受75を介してクラッチカバー60に支持されている。セカンダリシーブ軸62の左側部分は、軸受76を介して第2ケースブロック35bの左端部に支持されている。セカンダリシーブ軸62の右側端部は、第2ケースブロック35b及びクラッチカバー60を貫通し、ベルト室67にまで延びている。このセカンダリシーブ軸62の右側端部には、CVT30のセカンダリシーブ72が連結されている。
図8に示すように、CVT30は、プライマリシーブ71と、セカンダリシーブ72と、これらプライマリシーブ71とセカンダリシーブ72とに巻き掛けられたVベルト73とを備えている。前述したように、プライマリシーブ71はクランク軸46の右側部に取り付けられている。セカンダリシーブ72はセカンダリシーブ軸62の右側部に連結されている。
プライマリシーブ71は、車幅方向の外側に位置する固定シーブ半体71aと、車幅方向の内側に位置し、固定シーブ半体71aに対向する可動シーブ半体71bとを備えている。固定シーブ半体71aは、プライマリシーブ軸46cの右端部に固定されており、プライマリシーブ軸46cと共に回転する。可動シーブ半体71bは、固定シーブ半体71aの左側に配置されており、プライマリシーブ軸46cにスライド自在に取り付けられている。したがって、可動シーブ半体71bは、プライマリシーブ軸46cと共に回転し、かつ、プライマリシーブ軸46cの軸方向にスライド自在である。固定シーブ半体71aと可動シーブ半体71bとの間には、ベルト溝が形成されている。可動シーブ半体71bの左側部分にはカム面111が形成され、カム面111の左側にはカムプレート112が配設されている。可動シーブ本体71bのカム面111とカムプレート112との間には、ローラウエイト113が配設されている。
セカンダリシーブ72は、車幅方向の内側に位置する固定シーブ半体72aと、車幅方向の外側に位置し、固定シーブ半体72aに対向する可動シーブ半体72bとを備えている。可動シーブ半体72bは、セカンダリシーブ軸62の右端部に取り付けられている。可動シーブ半体72bは、セカンダリシーブ軸62と共に回転し、かつ、セカンダリシーブ軸62の軸方向にスライド自在である。セカンダリシーブ軸62の右端には圧縮コイルスプリング114が設けられており、可動シーブ半体72bは圧縮コイルスプリング114から左向きの付勢力を受けている。固定シーブ半体72aの軸心部は円筒状のスライドカラーとなっており、セカンダリシーブ軸62にスプライン嵌合されている。
セカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bの右側部分には、送風用の複数の羽根158が形成されている。これらの羽根158は、吸気ダクト153からベルト室67に空気を導き、また、ベルト室67内の空気を外部に搬送する。本実施形態では、羽根158は、側面視において、可動シーブ半体72bの中心部から径方向外側に螺旋状に延びるように形成されている。ただし、羽根158の具体的形状は何ら限定されず、その枚数も何ら限定されるものではない。また、可動シーブ半体72bの外側に、可動シーブ半体72bと別体の羽根車等を設けるようにしてもよい。このようなものも、「可動シーブ半体72bの外側に形成された送風用の羽根」に該当する。
CVT30では、ローラウエイト113がプライマリシーブ71の可動シーブ半体71bを右向きに押す力と、圧縮コイルスプリング114がセカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bを左向きに押す力との大小関係によって、減速比が決定される。
すなわち、プライマリシーブ軸46cの回転数が上昇すると、ローラウエイト113が遠心力を受けて径方向外側に移動し、可動シーブ半体71bを右向きに押す。すると、可動シーブ半体71bは右側に移動し、プライマリシーブ71のベルト巻き掛け径が大きくなる。これに伴い、セカンダリシーブ72のベルト巻き掛け径が小さくなり、セカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bは、圧縮コイルスプリング114の付勢力に対抗して右側に移動する。この結果、プライマリシーブ71におけるVベルト73の巻き掛け径が大きくなる一方、セカンダリシーブ72における巻き掛け径が小さくなり、減速比は小さくなる。
一方、プライマリシーブ軸46cの回転数が低下すると、ローラウエイト113の遠心力が小さくなるので、ローラウエイト113は可動シーブ半体71bのカム面111及びカムプレート112に沿って径方向内側に移動する。そのため、ローラウエイト113が可動シーブ半体71bを右向きに押す力が小さくなる。すると、圧縮コイルスプリング114の付勢力が相対的に上記力を上回り、セカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bは左側に移動し、それに応じてプライマリシーブ71の可動シーブ半体71bも左側に移動する。その結果、プライマリシーブ71におけるベルト巻き掛け径が小さくなる一方、セカンダリシーブ72におけるベルト巻き掛け径が大きくなり、減速比は大きくなる。
図8に示すように、外側ケース53bにおけるセカンダリシーブ軸62の先端側には、車幅方向外側(右側)に膨出する碗状の膨出部94が形成されている。図2に示すように、膨出部94の後方斜め上側には接続管152が形成されている。この接続管152は、外側ケース53bと一体化されている。接続管152には、吸気ダクト153を介してエアチャンバ154が接続されている。なお、接続管152と吸気ダクト153との接続態様は何ら限定されない。図8に示すように、本実施形態では、接続管152と吸気ダクト153とは、バンド135によって固定されている。ただし、接続管152と吸気ダクト153とは、互いに螺合されていてもよい。また、接続管152と吸気ダクト153とは、互いに接合されていてもよい。さらに、接続管152と吸気ダクト153とは、一体化されていてもよい。すなわち、接続管152が後方斜め上向きに延長され、エアチャンバ154と直接接続されていてもよい。
図8に示すように、接続管152の右端と膨出部94の右端とは、車幅方向に関して互いにほぼ揃った位置にある。また、図3に示すように、エアチャンバ154の右端も変速機ケース53の膨出部94の右端とほぼ揃った位置にある。そのため、接続管152、吸気ダクト153及びエアチャンバ154は、膨出部94よりも外側(右側)に出っ張ってはいない。すなわち、吸気ダクト153及びエアチャンバ154は、変速機ケース53よりも外側に出っ張ってはいない。したがって、吸気ダクト153及びエアチャンバ154を設けているにも拘わらず、自動二輪車10の最大幅は実質的に増加しておらず、車両のスリム化が図られている。
図8に示すように、内側ケース53aの周縁部の左側にはシール溝68aが形成され、このシール溝68aに第2ケースブロック35bの右側の周縁部が嵌め込まれている。なお、シール溝68a内における内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間には、Oリング68が挿入されている。また、内側ケース53aの周縁部の右側にもシール溝69aが形成され、このシール溝69aには外側ケース53bの周縁部が嵌め込まれている。シール溝69a内における内側ケース53aと外側ケース53bとの間には、Oリング69が挿入されている。外側ケース53bと第2ケースブロック35bとは、それらの間に内側ケース53aを挟み込んだ状態でボルト70によって締結されている。
図10に示すように、内側ケース53aの前半部121は左側に膨出する碗状に形成され、内側ケース53aの後半部122は右側に膨出する碗状に形成されている。前半部121には、CVT30のプライマリシーブ軸46cを挿通させる孔121aが形成されている。後半部122には、CVT30のセカンダリシーブ軸62を挿通させる孔122aが形成されている。なお、図10では、内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間に介在するクラッチカバー60(図8参照)の図示は省略している。
内側ケース53aには、通風口123が設けられている。本実施形態では、通風口123は円形状に形成され、内側ケース53aの上下方向中間位置よりも上側に3個形成されている。ただし、通風口123の形状は何ら限定されない。また、通風口123の位置は、必ずしも内側ケース53aの上側部分に限られない。本実施形態では、通風口123は、内側ケース53aの前半部121及び後半部122のそれぞれに設けられている。ただし、通風口123は、前半部121及び後半部122のいずれか一方のみに形成されていてもよい。通風口123の個数も特に限定される訳ではない。
第2ケースブロック35bの右側部分の下側には、複数の通風口124が形成されている。詳しくは、第2ケースブロック35bは、右側方に向かって立設された周縁部125を備えており、この周縁部125は変速機ケース53の輪郭形状に応じた形状を有している。そして、周縁部125の下側は、その一部が切り欠かれたようなスリット状に形成され、いわゆる櫛状になっている。そのため、第2ケースブロック35bと内側ケース53aとによって区画される空間126は、通風口124を通じてエンジンユニット28の外部と連通している。なお、第2ケースブロック35bの後半部の右側はクラッチカバー60によって覆われているので、第2ケースブロック35bの後半部にあっては、上記空間126はクラッチカバー60と内側ケース53aとの間に形成されることになる。
周縁部125の櫛状部分には、補強リブ128が設けられている。通風口124の下方には、オイルパン127が設けられている。
以上のような構成により、図11に示すように、ベルト室67内の空気は、内側ケース53aの通風口123を通じて空間126に導かれ、さらに第2ケースブロック35bの通風口124を通じて、オイルパン127に向かって排出される。その結果、上記空気はエンジンユニット28の外部に排出されることになる。
本実施形態では、第2ケースブロック35bの周縁部125の下側を櫛状に形成し、スリット状の複数の通風口124を形成していた。ただし、通風口124の形状はスリット形状に限らず、円形状等の他の形状の開口であってもよいことは勿論である。第2ケースブロック35bの通風口124の形状、寸法及び個数等は、何ら限定されるものではない。
図9に示すように、遠心式クラッチ41は、セカンダリシーブ軸62の左側部分に取り付けられている。遠心式クラッチ41は、湿式多板式のクラッチであり、略円筒状のクラッチハウジング78とクラッチボス77とを備えている。クラッチハウジング78はセカンダリシーブ軸62にスプライン嵌合され、セカンダリシーブ軸62と一体となって回転する。クラッチハウジング78には、リング状の複数のクラッチ板79が取り付けられている。これらクラッチ板79は、セカンダリシーブ軸62の軸方向に間隔を空けて並んでいる。
セカンダリシーブ軸62の左側部分の周囲には、軸受81を介して円筒状の歯車80が回転自在に嵌め込まれている。クラッチボス77は、クラッチ板79の径方向内側かつ歯車80の径方向外側に配置され、この歯車80と噛み合っている。そのため、歯車80はクラッチボス77と共に回転する。クラッチボス77の径方向外側には、リング状の複数のフリクションプレート82が取り付けられている。これらフリクションプレート82は、セカンダリシーブ軸62の軸方向に沿って間隔を空けて並んでおり、各フリクションプレート82は隣り合うクラッチ板79,79の間に配置されている。
クラッチハウジング78の左側には、複数のカム面83aが形成されている。カム面83aと、このカム面83aに対向する最も右側のクラッチ板79との間には、ローラウエイト84aが配置されている。
この遠心式クラッチ41では、ローラウエイト84aに作用する遠心力の大小によって、クラッチインの状態(接続状態)とクラッチオフの状態(遮断状態)とが自動的に切り替えられる。
すなわち、クラッチハウジング78の回転速度が所定速度以上になると、ローラウエイト84aが遠心力を受けて径方向外側に移動し、クラッチ板79はローラウエイト84aによって左方向に押される。その結果、クラッチ板79とフリクションプレート82とが圧着し、セカンダリシーブ軸62の駆動力が遠心式クラッチ41を経て出力軸85に伝達されるクラッチイン状態となる。
一方、クラッチハウジング78の回転速度が所定速度未満になると、ローラウエイト84aに作用する遠心力が小さくなり、ローラウエイト84aは径方向内側に移動する。その結果、クラッチ板79とフリクションプレート82との圧着が解除され、セカンダリシーブ軸62の駆動力が出力軸85に伝達されないクラッチオフ状態となる。なお、図9において、遠心式クラッチ41における前側(図9における上側)の部分はクラッチオフ状態を表し、後側(図9における下側)の部分はクラッチイン状態を表している。
減速機構42は、遠心式クラッチ41と出力軸85との間に介在している。減速機構42は、セカンダリシーブ軸62及び出力軸85と平行に配置された変速軸100を有している。変速軸100は、軸受101を介して第1ケースブロック35aに回転自在に支持されるとともに、軸受102を介して第2ケースブロック35bに回転自在に支持されている。変速軸100の右端部には、歯車80と噛み合う第1変速歯車103が設けられている。
変速軸100の中央部には、第1変速歯車103よりも小径の第2変速歯車104が設けられている。出力軸85の右端部の外周側には、第2変速歯車104と噛み合う第3変速歯車105が形成されている。出力軸85の右端部の内周側は、軸受106を介してセカンダリシーブ軸62の左端部に支持されている。したがって、出力軸85は、軸受106を介してセカンダリシーブ軸62に回転自在に支持され、セカンダリシーブ軸62と同軸状(一直線上)に配置されている。また、出力軸85の中央部は、軸受107を介して第2ケースブロック35bの左端部に回転自在に支持されている。
このような構成により、クラッチボス77と出力軸85とは、歯車80、第1変速歯車103、変速軸100、第2変速歯車104、及び第3変速歯車105を介して連結されている。そのため、出力軸85は、クラッチボス77の回転に従って回転する。
出力軸85の左端部は第1ケースブロック35aを貫通し、クランクケース35の外側に突出している。出力軸85の左端部には、ドライブスプロケット108が固定されている。ドライブスプロケット108には、出力軸85の駆動力を後輪26に伝達する動力伝達機構としてチェーン109が巻き掛けられている。なお、動力伝達機構はチェーン109に限られず、伝動ベルト、複数の歯車を組み合わせてなる歯車機構、ドライブシャフト等、その他の部材であってもよい。
以上が自動二輪車10の構成である。次に、CVT30の冷却動作について説明する。
エンジンユニット28が作動すると、CVT30のプライマリシーブ71及びセカンダリシーブ72が回転し、それに伴ってセカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bの羽根158が回転する。その結果、吸気ダクト153からベルト室67内に向かって空気を導く吸引力が発生する。
すると、吸入ダクト156の吸気口157(図2参照)を通じてエアチャンバ154内に空気が吸い込まれ、当該空気はフィルタ155を通過して浄化された後、吸気ダクト153及び接続管152を通じてベルト室67に吸い込まれる。ベルト室67に吸い込まれた空気は、セカンダリシーブ72、プライマリシーブ71、及びVベルト73の周囲を流れ、これらを冷却する。
プライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73を冷却した空気は、内側ケース53aの通風口123を通じてベルト室67から排出され(図11参照)、内側ケース53aと第2ケースブロック49bとの間の空間126に流れ込む。そして、当該空間126内の空気は、第2ケースブロック49bの下部に形成された通風口124を通じて、エンジンユニット28の外部に排出される。以上のような空気の流れによって、CVT30は連続的に冷却されることになる。
以上のように、本実施形態によれば、CVT30の冷却用空気通路の少なくとも一部を形成するエアチャンバ154は、リヤアーム25の一方のアーム部25aにおける前側部分25fの上方に配置されている(図1参照)。そのため、アーム部25aの前側部分25fの上方のスペースを、冷却用の空気通路の設置スペースとして有効に利用することができる。したがって、車体カバー21を大型化することなく、空気通路の設置スペースを十分に確保することができる。その結果、十分な流路断面積を有する空気通路を実現することができ、CVT30の冷却性能の向上と車体カバー21の小型化とを両立させることが可能となる。本実施形態によれば、CVT30の信頼性の向上と自動二輪車10のスリム化とを両立させることができる。
本実施形態によれば、吸気ダクト153及びエアチャンバ154は、自動二輪車10の左右方向に関して、チェーン109が設けられている側と反対側に配置されている。すなわち、チェーン109は自動二輪車10の左半部に設けられているのに対し、吸気ダクト153及びエアチャンバ154は、自動二輪車10の右半部に配置されている。そのため、吸気ダクト153とチェーン109との干渉、並びにエアチャンバ154とチェーン109との干渉を容易に避けることができる。したがって、吸気ダクト153及びエアチャンバ154の設置スペースとして、十分な大きさのスペースを容易に確保することが可能となる。なお、吸気ダクト153及びエアチャンバ154の左右位置は何ら限定されず、例えば、吸気ダクト153及びエアチャンバ154を自動二輪車10の左半部に設け、チェーン109等の動力伝達機構を自動二輪車10の右半部に設けることも可能である。
図1に示すように、本実施形態によれば、エアチャンバ154は、側面視においてリヤアームブラケット24Rと重なる位置に配置されている。このように、本実施形態では、エンジン29のシリンダ43及びシリンダヘッド44(図5参照)はクランクケース35から前方に突出しているのに対し、エアチャンバ154はエンジン29と反対側に配置されている。したがって、エンジン29と反対側のスペースを有効に活用することができ、自動二輪車10の小型化を図ることができる。また、エアチャンバ154がエンジン29から離れた位置に配置されているので、エアチャンバ154内の空気はエンジン29によって加熱されにくい。したがって、ベルト室67に対してより低温の空気を供給することができ、CVT30の冷却性能を向上させることができる。
なお、本実施形態では、エアチャンバ154はリヤアームブラケット24Rの外側に配置されていた。しかし、エアチャンバ154をリヤアームブラケット24Rの内側に配置することも可能である。
図8に示すように、本実施形態によれば、セカンダリシーブ軸62の先端は、プライマリシーブ軸46cの先端よりも車幅方向の外側に位置している。すなわち、セカンダリシーブ軸62の方がプライマリシーブ軸46よりも外側に突出している。そのため、吸気ダクト153を変速機ケース53のセカンダリシーブ軸62側に接続することにより、エアチャンバ154からベルト室67に至る空気通路を比較的真っ直ぐに形成することができる。その結果、空気通路の曲がり部分が少なくなり、空気通路内を流れる空気の抵抗を減らすことができる。したがって、CVT30の冷却性能を向上させることができる。
図3に示すように、本実施形態によれば、平面視において、変速機ケース53の車幅方向の外方には、乗員の足62aを支持するフットレスト85Rが設けられている。そして、変速機ケース53及び吸気ダクト153は、フットレスト85Rよりも車幅方向の内側(左側)に配置されている。そのため、フットレスト85Rよりも内側のスペースを、変速機ケース53及び吸気ダクト153の設置スペースとして有効利用することができる。また、吸気ダクト153をフットレスト85Rによって邪魔されずに変速機ケース53に向けて真っ直ぐに配置することができるので、吸気ダクト153内における空気の流通抵抗を低減させることができる。そのため、CVT30の冷却性能をさらに向上させることができる。
また、図3に示すように、エンジン29の排気管52は、変速機ケース53及び吸気ダクト153の下方を通って後ろ向きに延び、側面視においてピボット軸38の下方を通過している。そのため、排気管52と吸気ダクト153等との干渉を容易に避けることができる。したがって、排気管52に邪魔されることなく、吸気ダクト153等の流路断面積を十分に確保することができる。
図1に示すように、エアチャンバ154の吸入ダクト156の吸気口157は、シート16の下方のフレーム(すなわちメインフレーム13及びシートピラーチューブ15Rの一部)を覆うカバー160内の空間に開口している。そのため、吸気口157はカバー160によって覆われるので、エアチャンバ154に水や埃等が流入することを抑制することができる。したがって、ベルト室67に対する水や埃等の流入を抑制することができ、CVT30の信頼性を向上させることができる。
図8に示すように、本実施形態によれば、セカンダリシーブ72の可動シーブ半体(外側シーブ半体)72bの外側に、送風用の羽根158が設けられている。そのため、エアチャンバ154内の空気をベルト室67に円滑に導くことができる。したがって、CVT30の冷却性能をより一層向上させることができる。
図3に示すように、シートレール14Rは、後方に向かうにつれて車幅方向の外側に向かうフレーム部14aを備え、エアチャンバ154は、フレーム部14aに沿った形状に形成されている。すなわち、エアチャンバ154の横幅は、後側の方が前側よりも狭くなっている。そのため、フレーム部14aは後方に行くにつれて外側に出っ張っているものの、エアチャンバ154の外側には出っ張り部分は生じない。したがって、自動二輪車10のスリム化を促進することができる。
図1に示すように、本実施形態はモペット型の自動二輪車10であり、シート16の前方に下方に窪んだ側面視凹状空間17が形成され、シート16の前端はリヤアーム25の前端よりも前方に位置している。この種の形式の自動二輪車10では、車両のスリム化、特に凹状空間17の側方部分のスリム化が強く求められている。本実施形態によれば、エアチャンバ154はリヤアーム25のアーム部25aにおける前側部分25fの上方に配置されているので、エアチャンバ154を設けることによって車両のスリム化を損なうおそれはない。すなわち、本実施形態によれば、車両のスリム化を図ることができる。
また、凹状空間17はシート16の前方において下方に窪んでいるので、シート16の下方に配置された吸入ダクト156の吸気口157の前方は、車体カバー21によって覆われる。そのため、吸気口157に向かって前方から水や埃等が流入することを抑制することができ、CVT30の信頼性を向上させることができる。
本実施形態では、車体フレーム11がリヤアームブラケット24L,24Rを備えており、リヤアーム15の両アーム部15aは、それぞれリヤアームブラケット24L,24Rよりも車幅方向の外側に配置されている。そして、エアチャンバ154は、リヤアームブラケット24Rよりも車幅方向の外側において、右側のアーム部25aの上方に配置されている。したがって、エアチャンバ154をコンパクトに配置することができる。
ところで、リヤアーム25のアーム部25aは、後輪26の上下動に従って、ピボット軸38を中心として揺動する(図2において仮想線で図示したアーム部25a参照)。すなわち、アーム部25aは、前端部を中心として揺動する。そのため、アーム部25aの揺動に伴って、アーム部25aとエアチャンバ154との干渉が懸念される。しかし、前述したように、本実施形態によれば、エアチャンバ154はアーム部25aの前側部分25fの上方に配置されている。そのため、後輪26が大きく上下動した場合であっても、アーム部25aの前側部分25fの上下動は後輪26の上下動よりも小さいので、エアチャンバ154とアーム部25aとが干渉することを防止することができる。
なお、図4に示すように、本実施形態では、エアチャンバ154は、メインフレーム13と車幅方向に隣り合っていた。しかし、エアチャンバ154とメインフレーム13とが干渉しない限り、エアチャンバ154の一部が車幅方向の内側に延長されていてもよい。
本実施形態では、リヤアーム25を支持する部材として、左右一対のリヤアームブラケット24L,24Rが設けられていた。しかし、リヤアーム25を支持するリヤアームブラケットは、左右一対でなくてもよく、単一のブラケットであってもよい。
<第2実施形態>
第1実施形態では、リヤアーム25のアーム部25aにおける前側部分25fの上方に配置されたエアチャンバ154は、ベルト室67に空気を供給する吸気通路の一部を構成していた。しかし、リヤアーム25の上方に配置される空気通路は、吸気通路に限定されるわけではない。図12に示すように、第2実施形態は、リヤアーム25のアーム部25aにおける前側部分25fの上方に配置されたエアチャンバ154を、ベルト室67内の空気を排出する排気通路の一部として利用したものである。
図12に示すように、本実施形態においては、変速機ケース53の外側ケース53bの前側部分に接続管96が形成され、この接続管96に吸気ダクト134が接続されている。吸気ダクト134の上流側は、エアチャンバ130に接続されている。エアチャンバ130は、右側のレッグシールド34Rの後方に配置されている。
エアチャンバ130は、一方向に長い箱状に形成されており、レッグシールド34Rの長手方向に沿って斜め上下方向に延びている。図13に示すように、エアチャンバ130は、レッグシールド34Rの断面形状に沿った形状に形成されている。具体的には、本実施形態では、レッグシールド34Rは前方に向かって先細りの形状に形成されており、エアチャンバ130も先細りの形状に形成されている。エアチャンバ130の大部分は、レッグシールド34Rによって仕切られた空間34c内に配置されている。
図12に示すように、エアチャンバ130の上部には、空気を取り入れる吸入ダクト131が設けられている。吸入ダクト131は、エアチャンバ130の上面から前方斜め上向きに延びる曲がり管によって形成されている。吸入ダクト131の吸気口132は前方斜め下向きに開口し、レッグシールド34Rの背面に対向している。ただし、吸気口132の開口方向は特に限定される訳ではない。エアチャンバ130の内部には、フィルタ133が収納されている(図13参照)。
エアチャンバ130、吸入ダクト131、及び吸気ダクト134は、いずれも樹脂材料によって形成されている。ただし、エアチャンバ130、吸入ダクト131、及び吸気ダクト134の材料は何ら限定されず、また、それらは別々の材料で形成されていてもよい。
エアチャンバ130の取付方法も何ら限定されない。例えば、図12に示すように、レッグシールド34Rにブラケット39を設けておき、エアチャンバ130を当該ブラケット39にボルト等によって固定してもよい。
前述したように、本実施形態では、エアチャンバ154は排気通路の一部を形成している。そして、第1実施形態の吸気ダクト153は排気ダクトとなり、吸入ダクト156は排出ダクトとなり、吸気口157は排気口となる。本実施形態では、エアチャンバ154内にフィルタ155は設けられていない。これら排気ダクト153、エアチャンバ154、及び排出ダクト156の構成は第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態では、CVT30のセカンダリシーブ72側には羽根158(図8参照)が設けられておらず、プライマリシーブ71側に送風用の羽根95が設けられている。すなわち、ベルト室67に空気を導く羽根95は、プライマリシーブ71の固定シーブ半体(外側シーブ半体)71aの外側部分に形成されている。なお、本実施形態では、内側ケース53aには通風口123が形成されておらず、第2ケースブロック35bにも通風口124は形成されていない。
本実施形態では、吸入ダクト131の吸気口132(図12参照)を通じてエアチャンバ130内に空気が吸い込まれ、当該空気はフィルタ133(図13参照)を通過して浄化された後、吸気ダクト134及び接続管96を通じてベルト室67に吸い込まれる。ベルト室67に吸い込まれた空気は、プライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73を冷却した後、接続管152及び排気ダクト153を通じてエアチャンバ154に流れ込む。エアチャンバ154に流れ込んだ空気は、排出ダクト156の排気口157を通じて外部に排出される。このような空気の流れにより、CVT30の冷却が行われる。
本実施形態によれば、リヤアーム25のアーム部25aにおける前側部分25fの上方のスペースを、ベルト室67からの空気を排出するための排気通路の設置スペースとして有効に利用することができる。したがって、車体カバー21を大型化することなく、排気通路の設置スペースを確保することができる。その結果、十分な流路面積を有する排気通路を実現することができ、CVT30の冷却性能の向上と車体カバー21の小型化とを両立させることが可能となる。
なお、上記実施形態では、排気通路の一部としてエアチャンバ154を用いていたが、エアチャンバ154は必ずしも必要なものではない。例えば、排気ダクト153を後方斜め上向きに延長し、エアチャンバ154及び排出ダクト156を省略するようにしてもよい。すなわち、排気通路を形成する排気ダクト153の一部をリヤアーム25のアーム部25aにおける前側部分25fの上方に配置してもよい。このような場合であっても、リヤアーム25のアーム部25aにおける前側部分25fの上方のスペースを排気通路の設置スペースとして有効に利用することができる。
<その他の実施形態>
前記実施形態では、リヤアーム25が左右一対のアーム部25aを備え、エアチャンバ154が一方のアーム部25aの上方に配置されていた。すなわち、図15に概念的に示すように、リヤアーム25は、左右一対のアーム部25aと、両アーム部25aを連結する連結部25bと、ピボット軸38が挿通される左右一対のピボット部25cとを備えていた。そして、エアチャンバ154は、一方のアーム部25aの前側部分の上方に配置されていた。しかし、図15に示すように、エアチャンバ154をいずれか一方のピボット部25cの上方に配置することも可能である。
また、リヤアーム25の構成は、前記実施形態のものに限定される訳ではない。例えば、図16に示すように、リヤアーム25は、1本のアーム部25aと左右一対のピボット部25cとを備えるものであってもよい。このようなリヤアーム25において、例えば、エアチャンバ154をいずれか一方のピボット部25cの上方に配置してもよい。
また、図17に示すように、リヤアーム25は、左右一対のアーム部25aと一つのピボット部25cとを備えるものであってもよい。このようなリヤアーム25において、例えば、エアチャンバ154を、いずれか一方のアーム部25aの前側部分の上方に配置してもよい。
また、図18に示すように、リヤアーム25は、1本のアーム部25aと一つのピボット部25cとを備えるものであってもよい。このようなリヤアーム25において、例えば、エアチャンバ154をアーム部25aの前側部分の上方に配置してもよい。