以下、本考案の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態に係る鞍乗型車両は自動二輪車10である。自動二輪車10は、骨格をなす車体フレーム11と、乗員が着座するシート16とを備えている。この自動二輪車10は、いわゆるモペット型の自動二輪車である。すなわち、自動二輪車10は、シート16の前方に下方に窪んだ側面視凹状空間17が形成され、シート16に着座した乗員が車体フレーム11を跨いで乗車するものである。なお、ここでいう「モペット型」は、単に車両の形状上の種類を表しているに過ぎず、車両の最高速度や排気量等を限定するものではなく、車両の大小等も何ら限定するものではない。
また、本考案に係る鞍乗型車両は、モペット型の自動二輪車に限らず、シートの前方に燃料タンクが配置されているいわゆるモーターサイクル型等の他の形式の自動二輪車等であってもよい。
以下の説明では、前後左右の方向は、シート16に着座した乗員から見た方向を言うものとする。車体フレーム11は、ステアリングヘッドパイプ12と、ステアリングヘッドパイプ12から後方斜め下向きに延びる一本のメインフレーム13と、メインフレーム13の中途部から後方斜め上向きに延びる左右のシートレール14L,14Rと、メインフレーム13の後端部とシートレール14L,14Rの中途部とに接続された左右のシートピラーチューブ15L,15Rとを備えている。
車体フレーム11の上方及び左右の側方は、車体カバー21によって覆われている。車体カバー21の外側(より詳しくは上側)かつシート16の前方には、下方に窪んだ側面視凹状空間17が区画されている。また、車体カバー21の内側には、メインフレーム13等の車体フレーム11の通り道となるセンタートンネル11aが区画されている。
ステアリングヘッドパイプ12には、フロントフォーク18を介して前輪19が支持されている。シートレール14L,14Rの上には、燃料タンク20及びシート16が支持されている。シート16は、燃料タンク20の上方からシートレール14L,14Rの後端部に向かって延びている。燃料タンク20は、シートレール14L,14Rの前半部の上方に配置され、車体カバー21及びシート16によって覆われている。
メインフレーム13の中途部には、下向きに突出した左右一対の第1エンジンブラケット22L,22Rが設けられている。メインフレーム13の後端部には、それぞれ左右一対の第2エンジンブラケット23L,23R及びリヤアームブラケット24L,24Rが設けられている。なお、ここではメインフレーム13等に設けられたブラケット、具体的には、第1エンジンブラケット22L,22R、第2エンジンブラケット23L,23R、及びリヤアームブラケット24L,24R等は、車体フレーム11の一部をなすものとする。
リヤアームブラケット24L,24Rは、メインフレーム13の後端部から下向きに突出している。これらリヤアームブラケット24L,24Rにはピボット軸38が設けられ、ピボット軸38にリヤアーム25の前端部が揺動自在に支持されている。リヤアーム25の後端部には後輪26が支持されている。リヤアーム25の後半部は、クッションユニット27を介して車体フレーム11に懸架されている。
図5に示すように、第2エンジンブラケット23L,23Rは、メインフレーム13の後端部から下向きに突出している。これら左右の第2エンジンブラケット23L,23Rは、車幅方向に間隔を空けて向かい合っている。
図1に示すように、車体フレーム11には、後輪26を駆動するエンジンユニット28が支持されている。具体的には、図4に示すように、エンジンユニット28はクランクケース35とシリンダ43とシリンダヘッド44とを備えている。クランクケース35は第1及び第2のエンジンマウント部36,37を有している。第1エンジンマウント部36は、クランクケース35の前端部の上側から上向きに突出し、第1エンジンブラケット22L,22Rに支持されている。第2エンジンマウント部37は、クランクケース35の後端部の上側から後方斜め上向きに突出し、第2エンジンブラケット23L,23Rに支持されている(図5も参照)。このため、クランクケース35は、メインフレーム13に吊り下げられた状態で支持されている。
詳細は後述するように、エンジンユニット28は、エンジン29とベルト式無段変速機(以下、CVTという)30とを備えている(図6参照)。エンジン29の形式は何ら限定されないが、本実施形態では、エンジン29は4サイクル単気筒エンジンによって構成されている。CVT30は変速機ケース53によって覆われ、変速機ケース53はカバー45によって覆われている(図1参照)。
図3に示すように、変速機ケース53には接続管86が設けられている。詳細は後述するが、接続管86は、変速機ケース53におけるCVT30のプライマリシーブ71側の部分、言い換えると、変速機ケース53の前半部に接続されている(図6参照)。接続管86は、後方斜め上向きに延びている。
接続管86には、吸気ダクト136が接続されている。図3及び図9に示すように、吸気ダクト136は、いったん斜め上向きに延びた後に下向きに湾曲する曲がり管からなり、ここでは約180度湾曲している。吸気ダクト136の車幅方向の内側には、下向きに開口する吸気口137が形成されている。吸気口137は、変速機ケース53の上面部53uに対向している。なお、この上面部53uは水平面から傾いている。具体的には、変速機ケース53の上面部53uは、車両走行時に前下がりに傾斜した状態となる。ただし、上面部53uを車両走行時に前上がりに傾斜した状態となるように形成することも可能であり、水平状態となるように形成することも可能である。
図2に示すように、吸気口137は、左右方向長さが前後方向長さよりも短い形状に形成されている。これにより、自動二輪車10のスリム化が図られている。本実施形態では、吸気口137は平面視略長方形状に形成されている。ただし、吸気口137の形状は何ら限定されず、楕円形状、円形状等の他の形状であってもよい。図3に示すように、吸気口137は、前後方向に関して、CVT30のプライマリシーブ軸46c(図6参照)の軸心C1とセカンダリシーブ軸62(図6参照)の軸心C2との間に配置されている。
図2に示すように、吸気ダクト136の前後方向長さは、変速機ケース53の前後方向長さよりも短くなっている。平面視において、変速機ケース53の右端と吸気ダクト136の右端とは、ほぼ揃った位置にある。そのため、吸気ダクト136は変速機ケース53よりも側方に出っ張っておらず、自動二輪車10のスリム化が図られている。
吸気ダクト136と接続管86との間の接続態様は何ら限定されないが、本実施形態では、吸気ダクト136と接続管86とはバンド135で固定されている(図3参照)。ただし、接続管152と吸気ダクト153とは、互いに螺合されていてもよい。また、接続管152と吸気ダクト153とは、互いに接合されていてもよい。また、接続管152と吸気ダクト153とは、一体化されていてもよい。
図9に示すように、吸気ダクト136の吸気口137の内側には、第1フィルタ138が取り付けられている。接続管86の内部には、第2フィルタ139が取り付けられている。第1フィルタ138と第2フィルタ139とは同一種類のものであってもよいが、本実施形態では、第2フィルタ139は第1フィルタ138よりも目の細かいフィルタである。なお、フィルタは吸気通路のいずれかに設置されていればよく、その設置位置は特に限定されるものではない。また、フィルタの個数も何ら限定されず、例えば第1フィルタ138及び第2フィルタ139のいずれか一方を省略することも可能である。
カバー45は変速機ケース53及び吸気ダクト136の両方を覆っており、カバー45の内部空間45cの空気が吸気ダクト136の吸気口137から吸い込まれることになる。カバー45の上端部45aは上向きに屈曲しており、車体カバー21の一部と重なっている。なお、カバー45と車体カバー21とは直接重なっていてもよく、シール材等を介して重なっていてもよい。カバー45の下端部45bは、シール材140を介して変速機ケース53と重なっている。
カバー45の内部空間45cとセンタートンネル11aとは連通しており、特に本実施形態では、カバー45の内部空間45cとセンタートンネル11aとは、カバー45の上端部45aの下方において連続している。吸気ダクト136はカバー45の内部空間45c内に配置され、センタートンネル11aの車幅方向の外方に位置している。なお、カバー45の内部空間45cとセンタートンネル11aとの境界は、車体カバー21又はカバー45の形状等に応じて適宜に設定することができる。例えば、車体カバー21の右端部又はカバー45の左端部を通る仮想垂直面を上記境界としてもよい。
本実施形態では、カバー45、吸気ダクト136、及び接続管86は、いずれも樹脂材料で形成されている。ただし、これらの材料は何ら限定されず、また、これらは別々の材料で形成されていてもよい。
図1に示すように、自動二輪車10は、前輪19の上方及び後方を覆うフロントフェンダー31と、後輪26の後方斜め上側を覆うリヤフェンダー32とを備えている。
自動二輪車10は、前述の車体カバー21に加えて、フロントカウル33と、左右のレッグシールド34L,34Rとを備えている。レッグシールド34L,34Rは運転者の脚部の前方を覆うカバー部材であり、側方から見て斜め上下方向に延びている。なお、レッグシールド34L,34Rはフロントカウル33と一体となっていてもよく、別体であってもよい。
図2に示すように、レッグシールド34L,34Rの水平断面形状は、後方に向かって開いた凹形状に形成されている。言い換えると、レッグシールド34L,34Rの横断面形状は、前方に向かって先細りの略C字状の湾曲形状に形成されている。
ただし、レッグシールド34L,34Rの具体的形状は何ら限定されない。本実施形態のレッグシールド34L,34Rは湾曲板状に形成されているが、例えば平板状に形成されていてもよい。また、本実施形態では、レッグシールド34L,34Rの左右の幅は前側から後側に向かうにつれて大きくなっているが、左右の幅は一定であってもよい。また、レッグシールド34L,34Rは必ずしも斜め上下方向に延びている必要はなく、上下方向に延びていてもよい。レッグシールド34L,34Rは、側面視において一直線状に延びていてもよく、曲線状に延びていてもよい。また、レッグシールド34L,34Rの一部が直線状に延びかつ一部が曲線状に延びていてもよい。
本実施形態では、レッグシールド34L,34Rは、樹脂材料で形成されている。ただし、レッグシールド34L,34Rの材料は何ら限定される訳ではない。
レッグシールド34L,34Rの長手方向の長さも特に限定されないが、レッグシールド34R,34Lの下端は、変速機ケース53の上端よりも下方に位置していることが好ましい。さらに、レッグシールド34L,34Rの下端は、変速機ケース53の上下方向中間位置(後述のプライマリシーブ軸46cの中心C1とセカンダリシーブ軸62の中心C2とを結んだ線L1(図1参照))よりも下方に位置していることが好ましく、本実施形態では、変速機ケース53の下端よりも下方に位置している。
図2に示すように(なお、図2ではカバー45の図示は省略している。)、吸気ダクト136は車体フレーム11の右側に配置され、右側のレッグシールド34Rの後方に位置している。レッグシールド34Rは、吸気ダクト136よりも車幅方向の外側(右側)に延設されている。
エンジンユニット28の左側及び右側には、ゴム等からなるフットレスト85L,85Rが配置されている。フットレスト85L,85Rは、運転者の足を支持する足載せ部材である。左右のフットレスト85L,85Rは、金属製の連結棒87と、この連結棒87に固定された取り付け板88(図3及び図4参照)とを介して、エンジンユニット28のクランクケース35に支持されている。
連結棒87は、クランクケース35の後半部の下方を通って車幅方向に延びている。連結棒87の左端は、クランクケース35の左側に突出し、左側のフットレスト85Lを支持している。連結棒87の右端は、変速機ケース53の右側に突出し、右側のフットレスト85Rを支持している。図3に示すように、取り付け板88は金属板をプレス成形したものであり、取り付け板88の前後方向の中間部には、連結棒87を嵌め込む凹部89が形成されている。凹部89は、連結棒87に下方から突き合わされるとともに、連結棒87の外周面に溶接されている。
取り付け板88は、連結棒87の前方に張り出すフランジ状の第1取付部90と、連結棒87の後方に張り出すフランジ状の第2取付部91とを有している。第1取付部90及び第2取付部91は、連結棒87の軸方向(左右方向)に延びるとともに、クランクケース35の後半部の下面83と向かい合っている。
クランクケース35の後半部の下面83は、4つ(図3では2つのみ図示)のボス部92を有している。これらボス部92は、クランクケース35の下面83から下向きに突出しており、このクランクケース35に一体に形成されている。各ボス部92には、ボルト孔(図示せず)が形成されている。フットレスト85L,85Rの取り付け板88にも、これらボス部92に対応する位置にボルト孔(図示せず)が形成されている。そして、取り付け板88とボス部92とは、ボルト99によって締結されている。このように、フットレスト85L,85Rは、連結棒87及び取り付け板88を介して、ボルト99によってクランクケース35に固定されている。
図1及び図2に示すように、右側のフットレスト85Rの前方には、ブレーキペダル84が設けられている。ブレーキペダル84は、変速機ケース53の下方を通って右斜め前方に突出し、変速機ケース53の右側方において前方斜め上向きに延びている。図2に示すように、自動二輪車10の走行の際には、平面視において、運転者の右足62aは変速機ケース53及び吸気ダクト134と車幅方向に隣り合うことになる。なお、図2では図示を省略するが、カバー45(図1参照)も右足62aと車幅方向に隣り合うことになる。
なお、本実施形態では、乗員の足を支持する足載せ部材はフットレスト85L,85Rによって構成されているが、足載せ部材はフットレスト85L,85Rに限定されず、例えばボードタイプの足載せ部材等、他の部材によって構成されていてもよい。
次に、エンジンユニット28の内部構成を説明する。図6に示すように、エンジンユニット28は、エンジン29と、前述のCVT30と、遠心式クラッチ41と、減速機構42とを備えている。
エンジン29は、クランクケース35と、クランクケース35に接続されたシリンダ43と、シリンダ43に接続されたシリンダヘッド44とを備えている。クランクケース35は、分割された2つのケースブロック、すなわち、左側に位置する第1のケースブロック35aと、右側に位置する第2のケースブロック35bとを有している。第1ケースブロック35aと第2ケースブロック35bとは、車幅方向に沿って互いに突き合わされている。
クランクケース35内には、クランク軸46が収容されている。クランク軸46は、車幅方向に延びており、水平に配置されている。クランク軸46は、軸受47を介して第1ケースブロック35aに支持され、軸受48を介して第2ケースブロック35bに支持されている。
シリンダ43内には、ピストン50が摺動可能に挿入されている。このピストン50には、コンロッド51の一端部が連結されている。クランク軸46の左側クランクアーム46aと右側クランクアーム46bとの間には、クランクピン59が設けられている。コンロッド51の他端部は、クランクピン59に連結されている。
シリンダヘッド44には、凹部44aと、凹部44aに連通する図示しない吸気ポート及び排気ポートとが形成されている。シリンダヘッド44の凹部44aの内部には、点火プラグ55が挿入されている。図3に示すように、上記吸気ポートには吸気管52aが接続され、上記排気ポートには排気管52が接続されている。図1及び図2に示すように、排気管52はシリンダヘッド44から後方かつ右斜め下向きに延びた後、エンジンユニット28の変速機ケース53の下方を通ってさらに後方に延び、後輪26の右側方に配置されたマフラ54に接続されている。
図6に示すように、シリンダ43内の左側部には、クランクケース35の内部とシリンダヘッド44の内部とをつなぐカムチェーン室56が形成されている。このカムチェーン室56には、タイミングチェーン57が配設されている。タイミングチェーン57は、クランク軸46とカム軸58とに巻き掛けられている。カム軸58は、クランク軸46の回転に従って回転し、図示しない吸気バルブ及び排気バルブを開閉させる。
第1ケースブロック35aの前半部の左側には、発電機63を収容する発電機ケース66が着脱自在に取り付けられている。第2ケースブロック35bの右側には、CVT30を収容する変速機ケース53が取り付けられている。
第2ケースブロック35bの後半部の右側には開口が形成され、この開口はクラッチカバー60によって塞がれている。クラッチカバー60は、ボルト61(図7参照)により、第2ケースブロック35bに対して着脱可能に固定されている。
変速機ケース53は、クランクケース35から独立して形成されており、CVT30の車幅方向内側(左側)を覆う内側ケース53aと、CVT30の車幅方向外側(右側)を覆う外側ケース53bとから構成されている。内側ケース53aはクランクケース35の右側に取り付けられ、外側ケース53bは内側ケース53aの右側に取り付けられている。これら内側ケース53aと外側ケース53bとの内部には、CVT30を収容するベルト室67が形成されている。なお、前述の接続管86は外側ケース53bに設けられている。
図6に示すように、クランク軸46の右側端部は、第2ケースブロック35b及び内側ケース53aを貫通し、ベルト室67にまで延びている。このクランク軸46の右側端部には、CVT30のプライマリシーブ71が嵌め込まれている。そのため、プライマリシーブ71は、クランク軸46の回転に従って回転する。このクランク軸46の右側部分(厳密には、軸受48よりも右側の部分)は、プライマリシーブ軸46cを形成している。
一方、クランク軸46の左側端部は、第1ケースブロック35aを貫通し、発電機ケース66内に延びている。このクランク軸46の左側端部には、発電機63が取り付けられている。発電機63は、ステータ64と、ステータ64に対向するロータ65とを備えている。ロータ65は、クランク軸46と共に回転するスリーブ74に固定されている。ステータ64は、発電機ケース66に固定されている。
クランクケース35内の後半部には、クランク軸46と平行にセカンダリシーブ軸62が配置されている。図7に示すように、セカンダリシーブ軸62の中央部の右側部分は、軸受75を介してクラッチカバー60に支持されている。セカンダリシーブ軸62の左側部分は、軸受76を介して第2ケースブロック35bの左端部に支持されている。セカンダリシーブ軸62の右側端部は、第2ケースブロック35b及びクラッチカバー60を貫通し、ベルト室67にまで延びている。このセカンダリシーブ軸62の右側端部には、CVT30のセカンダリシーブ72が連結されている。
図6に示すように、CVT30は、プライマリシーブ71と、セカンダリシーブ72と、これらプライマリシーブ71とセカンダリシーブ72とに巻き掛けられたVベルト73とを備えている。前述したように、プライマリシーブ71はクランク軸46の右側部に取り付けられている。セカンダリシーブ72はセカンダリシーブ軸62の右側部に連結されている。
プライマリシーブ71は、車幅方向の外側に位置する固定シーブ半体71aと、車幅方向の内側に位置し、固定シーブ半体71aに対向する可動シーブ半体71bとを備えている。固定シーブ半体71aは、プライマリシーブ軸46cの右端部に固定されており、プライマリシーブ軸46cと共に回転する。可動シーブ半体71bは、固定シーブ半体71aの左側に配置されており、プライマリシーブ軸46cにスライド自在に取り付けられている。したがって、可動シーブ半体71bは、プライマリシーブ軸46cと共に回転し、かつ、プライマリシーブ軸46cの軸方向にスライド自在である。固定シーブ半体71aと可動シーブ半体71bとの間には、ベルト溝が形成されている。可動シーブ半体71bの左側部分にはカム面111が形成され、カム面111の左側にはカムプレート112が配設されている。可動シーブ本体71bのカム面111とカムプレート112との間には、ローラウエイト113が配設されている。
外側ケース53bにおけるプライマリシーブ71の外側部分には、複数の吸気口98が形成されている。図9に示すように、吸気口98は接続管86内とベルト室67とを連通させる開口である。本実施形態では、吸気口98は固定シーブ半体71aの右側部分に向かって開口している。
プライマリシーブ71の固定シーブ半体71aの右側部分には、送風用の複数の羽根95が形成されている。これらの羽根95は、吸気ダクト136からベルト室67に空気を導き、また、ベルト室67内の空気を外部に搬送する。本実施形態では、羽根95は、側面視において固定シーブ半体71aの中心部から径方向外側に螺旋状に延びるように形成されている。ただし、羽根95の具体的形状は何ら限定されず、その枚数も何ら限定されるものではない。また、固定シーブ半体71aの外側に、固定シーブ半体71aと別体の羽根車等を設けるようにしてもよい。このようなものも、「固定シーブ半体71aの外側に形成された送風用の羽根」に該当する。
セカンダリシーブ72は、車幅方向の内側に位置する固定シーブ半体72aと、車幅方向の外側に位置し、固定シーブ半体72aに対向する可動シーブ半体72bとを備えている。可動シーブ半体72bは、セカンダリシーブ軸62の右端部に取り付けられている。可動シーブ半体72bは、セカンダリシーブ軸62と共に回転し、かつ、セカンダリシーブ軸62の軸方向にスライド自在である。セカンダリシーブ軸62の右端には圧縮コイルスプリング114が設けられており、可動シーブ半体72bは圧縮コイルスプリング114から左向きの付勢力を受けている。固定シーブ半体72aの軸心部は円筒状のスライドカラーとなっており、セカンダリシーブ軸62にスプライン嵌合されている。
本実施形態では、セカンダリシーブ72はプライマリシーブ71よりも直径が大きくなっている。具体的には、セカンダリシーブ72の固定シーブ半体72a及び可動シーブ半体72bは、プライマリシーブ71の固定シーブ半体71a及び可動シーブ半体71bよりも直径が大きい。
CVT30では、ローラウエイト113がプライマリシーブ71の可動シーブ半体71bを右向きに押す力と、圧縮コイルスプリング114がセカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bを左向きに押す力との大小関係によって、減速比が決定される。
すなわち、プライマリシーブ軸46cの回転数が上昇すると、ローラウエイト113が遠心力を受けて径方向外側に移動し、可動シーブ半体71bを右向きに押す。すると、可動シーブ半体71bは右側に移動し、プライマリシーブ71のベルト巻き掛け径が大きくなる。これに伴い、セカンダリシーブ72のベルト巻き掛け径が小さくなり、セカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bは、圧縮コイルスプリング114の付勢力に対抗して右側に移動する。この結果、プライマリシーブ71におけるVベルト73の巻き掛け径が大きくなる一方、セカンダリシーブ72における巻き掛け径が小さくなり、減速比は小さくなる。
一方、プライマリシーブ軸46cの回転数が低下すると、ローラウエイト113の遠心力が小さくなるので、ローラウエイト113は可動シーブ半体71bのカム面111及びカムプレート112に沿って径方向内側に移動する。そのため、ローラウエイト113が可動シーブ半体71bを右向きに押す力が小さくなる。すると、圧縮コイルスプリング114の付勢力が相対的に上記力を上回り、セカンダリシーブ72の可動シーブ半体72bは左側に移動し、それに応じてプライマリシーブ71の可動シーブ半体71bも左側に移動する。その結果、プライマリシーブ71におけるベルト巻き掛け径が小さくなる一方、セカンダリシーブ72におけるベルト巻き掛け径が大きくなり、減速比は大きくなる。
内側ケース53aの周縁部の左側にはシール溝68aが形成され、このシール溝68aに第2ケースブロック35bの右側の周縁部が嵌め込まれている。なお、シール溝68a内における内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間には、Oリング68が挿入されている。また、内側ケース53aの周縁部の右側にもシール溝69aが形成され、このシール溝69aには外側ケース53bの周縁部が嵌め込まれている。シール溝69a内における内側ケース53aと外側ケース53bとの間には、Oリング69が挿入されている。外側ケース53bと第2ケースブロック35bとは、それらの間に内側ケース53aを挟み込んだ状態でボルト70によって締結されている。
図8に示すように、内側ケース53aの前半部121は左側に膨出する碗状に形成され、内側ケース53aの後半部122は右側に膨出する碗状に形成されている。前半部121には、CVT30のプライマリシーブ軸46cを挿通させる孔121aが形成されている。後半部122には、CVT30のセカンダリシーブ軸62を挿通させる孔122aが形成されている。なお、図8では、内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間に介在するクラッチカバー60(図6参照)は図示していない。
内側ケース53aには、通風口123が設けられている。本実施形態では、通風口123は円形状に形成され、内側ケース53aの上下方向中間位置よりも上側に3個形成されている。ただし、通風口123の形状は何ら限定されない。また、通風口123の位置は、必ずしも内側ケース53aの上側部分に限られない。本実施形態では、通風口123は、内側ケース53aの前半部121及び後半部122のそれぞれに設けられている。ただし、通風口123は、前半部121及び後半部122のいずれか一方のみに形成されていてもよい。通風口123の個数も特に限定される訳ではない。
第2ケースブロック35bの右側部分の下側には、複数の通風口124が形成されている。詳しくは、第2ケースブロック35bは、右側方に向かって立設された周縁部125を備えており、この周縁部125は変速機ケース53の輪郭形状に応じた形状を有している。そして、周縁部125の下側は、その一部が切り欠かれたようなスリット状に形成され、いわゆる櫛状になっている。そのため、第2ケースブロック35bと内側ケース53aとによって区画される空間126は、通風口124を通じてエンジンユニット28の外部と連通している。なお、第2ケースブロック35bの後半部の右側はクラッチカバー60によって覆われているので、第2ケースブロック35bの後半部にあっては、上記空間126はクラッチカバー60と内側ケース53aとの間に形成されることになる。
周縁部125の櫛状部分には、補強リブ128が設けられている。通風口124の下方には、オイルパン127が設けられている。
以上のような構成により、図9に示すように、ベルト室67内の空気は、内側ケース53aの通風口123を通じて空間126に導かれ、さらに第2ケースブロック35bの通風口124を通じて、オイルパン127に向かって排出される。その結果、上記空気はエンジンユニット28の外部に排出されることになる。
本実施形態では、第2ケースブロック35bの周縁部125の下側を櫛状に形成し、スリット状の複数の通風口124を形成していた。ただし、通風口124の形状はスリット形状に限らず、円形状等の他の形状の開口であってもよいことは勿論である。第2ケースブロック35bの通風口124の形状、寸法及び個数等は、何ら限定されるものではない。
図7に示すように、遠心式クラッチ41は、セカンダリシーブ軸62の左側部分に取り付けられている。遠心式クラッチ41は、湿式多板式のクラッチであり、略円筒状のクラッチハウジング78とクラッチボス77とを備えている。クラッチハウジング78はセカンダリシーブ軸62にスプライン嵌合され、セカンダリシーブ軸62と一体となって回転する。クラッチハウジング78には、リング状の複数のクラッチ板79が取り付けられている。これらクラッチ板79は、セカンダリシーブ軸62の軸方向に間隔を空けて並んでいる。
セカンダリシーブ軸62の左側部分の周囲には、軸受81を介して円筒状の歯車80が回転自在に嵌め込まれている。クラッチボス77は、クラッチ板79の径方向内側かつ歯車80の径方向外側に配置され、この歯車80と噛み合っている。そのため、歯車80はクラッチボス77と共に回転する。クラッチボス77の径方向外側には、リング状の複数のフリクションプレート82が取り付けられている。これらフリクションプレート82は、セカンダリシーブ軸62の軸方向に沿って間隔を空けて並んでおり、各フリクションプレート82は隣り合うクラッチ板79,79の間に配置されている。
クラッチハウジング78の左側には、複数のカム面83aが形成されている。カム面83aと、このカム面83に対向する最も右側のクラッチ板79との間には、ローラウエイト84aが配置されている。
この遠心式クラッチ41では、ローラウエイト84aに作用する遠心力の大小によって、クラッチインの状態(接続状態)とクラッチオフの状態(遮断状態)とが自動的に切り替えられる。
すなわち、クラッチハウジング78の回転速度が所定速度以上になると、ローラウエイト84aが遠心力を受けて径方向外側に移動し、クラッチ板79はローラウエイト84aによって左方向に押される。その結果、クラッチ板79とフリクションプレート82とが圧着し、セカンダリシーブ軸62の駆動力が遠心式クラッチ41を経て出力軸85に伝達されるクラッチイン状態となる。
一方、クラッチハウジング78の回転速度が所定速度未満になると、ローラウエイト84aに作用する遠心力が小さくなり、ローラウエイト84aは径方向内側に移動する。その結果、クラッチ板79とフリクションプレート82との圧着が解除され、セカンダリシーブ軸62の駆動力が出力軸85に伝達されないクラッチオフ状態となる。なお、図7において、遠心式クラッチ41における前側(図7における上側)の部分はクラッチオフ状態を表し、後側(図7における下側)の部分はクラッチイン状態を表している。
減速機構42は、遠心式クラッチ41と出力軸85との間に介在している。減速機構42は、セカンダリシーブ軸62及び出力軸85と平行に配置された変速軸100を有している。変速軸100は、軸受101を介して第1ケースブロック35aに回転自在に支持されるとともに、軸受102を介して第2ケースブロック35bに回転自在に支持されている。変速軸100の右端部には、歯車80と噛み合う第1変速歯車103が設けられている。
変速軸100の中央部には、第1変速歯車103よりも小径の第2変速歯車104が設けられている。出力軸85の右端部の外周側には、第2変速歯車104と噛み合う第3変速歯車105が形成されている。出力軸85の右端部の内周側は、軸受106を介してセカンダリシーブ軸62の左端部に支持されている。したがって、出力軸85は、軸受106を介してセカンダリシーブ軸62に回転自在に支持され、セカンダリシーブ軸62と同軸状(一直線上)に配置されている。また、出力軸85の中央部は、軸受107を介して第2ケースブロック35bの左端部に回転自在に支持されている。
このような構成により、クラッチボス77と出力軸85とは、歯車80、第1変速歯車103、変速軸100、第2変速歯車104、及び第3変速歯車105を介して連結されている。そのため、出力軸85はクラッチボス77の回転に従って回転する。
出力軸85の左端部は第1ケースブロック35aを貫通し、クランクケース35の外側に突出している。出力軸85の左端部には、ドライブスプロケット108が固定されている。ドライブスプロケット108には、出力軸85の駆動力を後輪26に伝達する動力伝達機構としてチェーン109が巻き掛けられている。なお、動力伝達機構はチェーン109に限られず、伝動ベルト、複数の歯車を組み合わせてなる歯車機構、ドライブシャフト等、その他の部材であってもよい。
以上が自動二輪車10の構成である。次に、図9を参照しながら、CVT30の冷却動作について説明する。
エンジンユニット28が作動すると、CVT30のプライマリシーブ軸46cが回転し、それに伴ってプライマリシーブ71の固定シーブ半体71aの羽根95が回転する。その結果、吸気ダクト136からベルト室67内に向かって空気を導く吸引力が発生する。
すると、図9に示すように、吸気口137を通じて吸気ダクト136内に空気が吸い込まれ、当該空気は第1フィルタ138を通過して浄化された後、接続管86内に流入する。接続管86内に流入した空気は、第2フィルタ139を通過して浄化された後、吸気口98を通じてベルト室67に吸い込まれる。ベルト室67に吸い込まれた空気は、プライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73の周囲を流れ、これらプライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73を冷却する。
プライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73を冷却した空気は、内側ケース53aの通風口123を通じてベルト室67から排出され、内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間の空間126に流れ込む。そして、当該空間126内の空気は、第2ケースブロック35bの下部に形成された通風口124を通じて、エンジンユニット28の外部に排出される。以上のような空気の流れによって、CVT30は連続的に冷却されることになる。
以上のように、本実施形態によれば、センタートンネル11aの車幅方向の外方かつ変速機ケース53の上方に吸気ダクト136が配置され、当該吸気ダクト136の上端136aがシート16の前方の凹状空間17の下端17aよりも低い位置に設けられている(図1参照)。これにより、センタートンネル11aの車幅方向の外方かつ変速機ケース53の上方の空間を空気通路の設置スペースとして有効に利用することができる。したがって、車体カバー21を大型化することなく、空気通路の設置スペースを十分に確保することができる。その結果、十分な流路断面積を有する空気通路を実現することができ、CVT30の冷却性能の向上と車体カバー21の小型化とを両立させることが可能となる。本実施形態によれば、CVT30の信頼性の向上と自動二輪車10のスリム化とを両立させることができる。
特に、本実施形態のような形式の鞍乗型車両、すなわち、シートの前方に下方に窪んだ凹状空間が形成されかつ乗員が車体フレームを跨いで乗車する形式の鞍乗型車両では、特に車体のスリム化が望まれている。そのため、車体のスリム化に関する観点から、ベルト室に連通する空気通路の設置位置に関して、他の形式の鞍乗型車両には見られないような多くの制約が存在する。しかしながら、本実施形態によれば、上述の通り、CVT30の信頼性の向上と自動二輪車10のスリム化とを両立させることができる。したがって、本考案の効果が特に顕著に発揮されることになる。ただし、本考案に係る鞍乗型車両は、上記形式の鞍乗型車両に限定される訳ではない。
本実施形態によれば、フットレスト85Rが変速機ケース53の車幅方向の外方に配置され、変速機ケース53の上方に吸気ダクト136が配置され、吸気ダクト136の車幅方向の外側端(右側端)は、フットレスト85Rの車幅方向の内側端(左側端)よりも内側(左側)に位置している(図2参照)。そのため、吸気ダクト136がフットレスト85Rほど側方に出っ張ることがなく、自動二輪車10のスリム化を促進することができる。
また、本実施形態によれば、車幅方向の内側に向かって開口するカバー45で吸気ダクト136の外側を覆うこととしたので、ベルト室67に対する水や埃等の流入を抑制することができ、CVT30の信頼性を向上させることができる。
図9に示すように、カバー45と車体カバー21とは部分的に重なっている。そのため、カバー45と車体カバー21との間の隙間からカバー45内に水や埃等が浸入することを抑制することができる。したがって、ベルト室67に対する水や埃等の流入を更に抑制することができ、CVT30の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、カバー45及び車体カバー21の重なり形状は何ら限定されるものではない。例えば、図10に示すように、車体カバー21に外側に突出する突出片21aを設け、カバー45の左端部45aを突出片21aと上下方向に重ねるようにしてもよい。
また、本実施形態によれば、カバー45の内部空間45cとセンタートンネル11aとは連通している。そのため、吸気ダクト136からは、主としてセンタートンネル11a内の空気が吸い込まれることになる。したがって、センタートンネル11aの外部(車体カバー21の外側)の空気を吸気ダクト136に直接吸い込む場合に比べて、ベルト室67に対する水や埃等の流入を抑制することができ、CVT30の信頼性をより一層向上させることができる。
図2に示すように、本実施形態によれば、変速機ケース53の前方にレッグシールド34Rが配置され、レッグシールド34Rは吸気ダクト136よりも車幅方向の外側に延設されている。そのため、前方から変速機ケース53に向かって降りかかる水や埃等をレッグシールド34Rで防ぐことができ、ベルト室67に対する水や埃等の流入を更に抑制することができる。また、吸気ダクト136はレッグシールド34Rに比べると車幅方向に出っ張っていないので、吸気ダクト136を設けることによって車両のスリム化を損なうおそれはない。
また、本実施形態によれば、吸気ダクト136の前後方向長さは、変速機ケース53の前後方向長さよりも短くなっている。そのため、空気通路のコンパクト化を図ることができる。
前述したように、本実施形態によれば、平面視において、吸気ダクト136の車幅方向の外側端(右側端)は、変速機ケース53の車幅方向の外側端(右側端)よりも内側(左側)に位置している(図2参照)。そのため、吸気ダクト136が変速機ケース53よりも側方に出っ張ることがなく、自動二輪車10のスリム化を促進することができる。
図1に示すように、本実施形態によれば、吸気ダクト136はプライマリシーブ軸46cとセカンダリシーブ軸62との間の上方に位置している。これにより、従来は有効に利用されていなかったCVT30の両シーブ軸46c,62間の上方のスペースを有効に活用することができる。
図3に示すように、変速機ケース53は上面部53uを有しており、この上面部53uは走行時に前下がりに傾斜した状態となる。そのため、上面部53uには水や埃等が溜まりにくい。そして、本実施形態では、吸気ダクト136の吸気口137は、上面部53uに対向している。したがって、吸気口137から水や埃等が吸い込まれることをより一層抑制することができる。
本実施形態によれば、吸気ダクト136は、自動二輪車10の左右方向に関して、チェーン109が設けられている側と反対側に配置されている。すなわち、チェーン109は自動二輪車10の左半部に設けられているのに対し、吸気ダクト136は自動二輪車10の右半部に配置されている。そのため、吸気ダクト136とチェーン109との干渉を容易に避けることができる。したがって、吸気ダクト136の設置スペースとして、十分な大きさのスペースを容易に確保することが可能となる。なお、吸気ダクト136の左右位置は何ら限定されず、例えば、吸気ダクト136を自動二輪車10の左半部に設け、チェーン109等の動力伝達機構を自動二輪車10の右半部に設けることも可能である。
<第2実施形態>
第1実施形態は、センタートンネル11aの車幅方向の外方かつ変速機ケース53の上方に、吸気通路を区画する吸気ダクト136を配置したものであった。しかし、センタートンネル11aの外方かつ変速機ケース53の上方に配置される空気通路は、吸気通路に限定される訳ではない。図11〜図13に示す第2実施形態は、センタートンネル11aの車幅方向の外方かつ変速機ケース53の上方に、CVT30の冷却後の空気を外部に排出する排気通路を配置したものである。
図11及び図12に示すように、本実施形態においては、変速機ケース53の外側ケース53bの前側部分(プライマリシーブ71側の部分)に接続管96が形成され、この接続管96に吸気ダクト134が接続されている。吸気ダクト134の上流側は、エアチャンバ130に接続されている。エアチャンバ130は、右側のレッグシールド34Rの後方に配置されている。エアチャンバ130は、一方向に長い箱状に形成されており、レッグシールド34Rの長手方向に沿って斜め上下方向に延びている。
図11に示すように、エアチャンバ130の上部には、空気を取り入れる吸入ダクト131が設けられている。吸入ダクト131は、エアチャンバ130の上面から前方斜め上向きに延びる曲がり管によって形成されている。吸入ダクト131の吸気口132は前方斜め下向きに開口し、レッグシールド34Rの背面に対向している。ただし、吸気口132の開口方向は特に限定される訳ではない。エアチャンバ130の内部には、図示しないフィルタが収納されている。
エアチャンバ130、吸入ダクト131、及び吸気ダクト134は、いずれも樹脂材料によって形成されている。ただし、エアチャンバ130、吸入ダクト131、及び吸気ダクト134の材料は何ら限定されず、また、それらは別々の材料で形成されていてもよい。
エアチャンバ130の取付方法も何ら限定されない。例えば、図11に示すように、レッグシールド34Rにブラケット39を設けておき、エアチャンバ130を当該ブラケット39にボルト等によって固定してもよい。
図13に示すように、本実施形態では、内側ケース53aの通風口123は、内側ケース53aの下半部に形成されている。なお、第2ケースブロック35bには通風口124(図8参照)は形成されていない。
変速機ケース53(より詳しくは内側ケース53a)の上方には、排気通路を区画する排気ダクト146が設けられている。本実施形態では、排気ダクト146は内側ケース53aと一体的に形成されているが、排気ダクト146は内側ケース53aと別体のものであってもよい。排気ダクト146は上向きに延びる直管によって形成されている。ただし、排気ダクト146の具体的形状は何ら限定されるものではない。
排気ダクト146は、カバー147によって覆われている。カバー147は、上方に向かって凸状の山形の断面形状を有している。
排気ダクト146は、内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間に形成された空間126につながっている。したがって、空間126内の空気が排気ダクト146を通ってカバー147の内部空間147cに導かれることになる。
カバー147の上部には、上方に突出した突出片147aが形成され、突出片147aは車体カバー21の下端部21aと左右方向に重なっている。すなわち、本実施形態においても、カバー147は車体カバー21と部分的に重なっている。なお、カバー147と車体カバー21とは直接重なっていてもよく、シール材等を介して重なっていてもよい。カバー147の下端部は、シール材140を介して外側ケース53bと重なっている。
図1に示すように、排気ダクト146は、プライマリシーブ軸46cの軸心C1とセカンダリシーブ軸62の軸心C2との間の上方に配置されている。排気ダクト146の上端は、シート16の前方の凹状空間17の下端17aよりも低い位置に配置されている。
その他の構成は第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態では、レッグシールド34Rの後方の吸入ダクト131(図11参照)を通じてエアチャンバ130内に空気が吸い込まれ、当該空気は図示しないフィルタを通過して浄化された後、吸気ダクト134及び接続管96を通じてベルト室67に吸い込まれる。ベルト室67に吸い込まれた空気は、プライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73の周囲を流れ、これらを冷却する。
図13に示すように、プライマリシーブ71、セカンダリシーブ72及びVベルト73を冷却した空気は、内側ケース53aの通風口123を通じてベルト室67から排出され、内側ケース53aと第2ケースブロック35bとの間の空間126に流れ込む。そして、当該空間126内の空気は、排気ダクト146を通じてカバー147の内部空間147cに導かれ、センタートンネル11aを経て外部に排出される。以上のような空気の流れによって、CVT30の冷却が行われる。
本実施形態によれば、センタートンネル11aの車幅方向の外方かつ変速機ケース53の上方の空間を、ベルト室67からの空気を排出するための排気通路の設置スペースとして有効に利用することができる。したがって、車体カバー21を大型化することなく、排気通路の設置スペースを確保することができる。その結果、十分な流路面積を有する排気通路を実現することができ、CVT30の冷却性能の向上と車体カバー21の小型化とを両立させることが可能となる。
<第3実施形態>
第1実施形態(図9参照)では、車体カバー21とカバー45とは別部材であり、それらは部分的に重ねられていた。また、車幅方向に関して、吸気ダクト136は車体カバー21よりも外側に配置されていた。第2実施形態(図13参照)においても、車体カバー21とカバー147とは別部材であり、それらは部分的に重ねられていた。また、車幅方向に関して、排気ダクト146は車体カバー21よりも外側に配置されていた。しかし、センタートンネルを区画する車体カバーとダクトを覆うカバーとは、一体的に形成されていてもよい。
図14に示すように、第3実施形態は、第2実施形態において、車体カバー21とカバー147とを一体化したものである。言い換えると、カバー147は車体カバー21の一部を形成している。そのため、本実施形態では、車幅方向(図14の左右方向)に関して、排気ダクト146はセンタートンネル11aよりも外側に配置されているが、車体カバー21の外側端21bよりは内側に位置している。なお、図14における仮想線L2は、センタートンネル11aの外側の境界を表している。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、図示は省略するが、第1実施形態(図9参照)において、センタートンネル11aを区画する車体カバー21と、吸気ダクト136を覆うカバー45とを一体化してもよい。この場合、車幅方向に関して、吸気ダクト136はセンタートンネル11aよりも外側に配置されるが、車体カバー21の外側端よりは内側に位置することになる。